特許第6831494号(P6831494)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6831494
(24)【登録日】2021年2月1日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】空調機
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20210208BHJP
   F24F 13/28 20060101ALI20210208BHJP
   B01D 39/16 20060101ALI20210208BHJP
   B01D 46/52 20060101ALI20210208BHJP
【FI】
   F24F7/06 C
   F24F13/28
   B01D39/16 C
   B01D46/52 A
【請求項の数】1
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2020-510636(P2020-510636)
(86)(22)【出願日】2019年6月26日
(86)【国際出願番号】JP2019025479
(87)【国際公開番号】WO2020004504
(87)【国際公開日】20200102
【審査請求日】2020年2月20日
(31)【優先権主張番号】特願2018-124265(P2018-124265)
(32)【優先日】2018年6月29日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】森 将明
(72)【発明者】
【氏名】堀江 百合
(72)【発明者】
【氏名】有満 幸生
【審査官】 ▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−000990(JP,A)
【文献】 特開2001−062234(JP,A)
【文献】 特開平08−108015(JP,A)
【文献】 特開平05−103936(JP,A)
【文献】 特開2011−226770(JP,A)
【文献】 特開2011−200798(JP,A)
【文献】 特開2014−064995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
B01D 39/16
B01D 46/52
F24F 13/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口及び排気口を有する空気の流路と、
前記吸気口から前記排気口への前記空気の流れを作り出す送風機と、
前記流路に配置され、前記吸気口から導入された前記空気を濾過処理するエアフィルタユニットと、を有する送風機フィルタユニットを備え、
前記エアフィルタユニットは、フィルタプリーツパックと、前記フィルタプリーツパックの周端部を全周にわたって支持する枠体と、を備え、
前記エアフィルタユニットの開口面積が1.35m2以上であり、
前記エアフィルタユニットの捕集能力が、欧州規格(EN)1822−1:2009に定められたクラスH13以上であり、
前記送風機の送風効率ηが0.75となるように前記送風機フィルタユニットを運転したときに、以下の式により与えられる前記送風機フィルタユニットの消費電力効率が600kWh/(m2・年)以下であり、
前記枠体を水平に保持し、前記周端部を除いて前記フィルタプリーツパックを自由な状態として評価した前記フィルタプリーツパックの自重たわみ量が30mm以下である空調機。
式:消費電力効率kWh/(m2・年)={(Q×ΔP)/(η×1000)}×(24×365)/S
前記式のQは、前記エアフィルタユニットの定格流量(m3/秒)であり、ΔPは、前記エアフィルタユニットを当該ユニットの定格流量で透過する空気に対する前記エアフィルタユニットの圧力損失(Pa)であり、Sは、前記エアフィルタユニットの開口面積(m2)である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアフィルタユニットと、エアフィルタユニットを備える空調機とに関する。
【背景技術】
【0002】
クリーンルーム等の空間に清浄空気を供給する大型の空調機は、一般に、空気を濾過処理する複数のエアフィルタユニットを備える。エアフィルタユニットは、空調機における空気の流路に配置される。空気に含まれる微細な塵芥は、エアフィルタユニットを空気が透過する際に除去される。エアフィルタユニットの典型的な一例を、図9に示す。図9に示すエアフィルタユニット101は、フィルタプリーツパック102と、フィルタプリーツパック102の周端部を全周にわたって支持する枠体103とを備える。フィルタプリーツパック102は、シート状のフィルタ濾材104がプリーツ加工により折り畳まれた構造を有する。エアフィルタユニット101では、フィルタ濾材104の折り畳み構造によって、通気面積に比べて大きな濾過面積を確保できる。通気面積は、通常、エアフィルタユニット101の開口面積である。また、フィルタプリーツパック102の周端部を全周にわたって支持する枠体103によって、エアフィルタユニット101としての取扱性が向上し、空調機におけるエアフィルタユニット101の配置及び交換が容易となる。エアフィルタユニット101は、例えば、枠体103を水平に保持した状態で空調機に固定される。
【0003】
特許文献1には、エアフィルタユニットが固定された送風機フィルタユニット(ファンフィルタユニット(FFU))を天井に備えるクリーンルームが開示されている。FFUは、エアフィルタユニットの枠体を水平に保持した状態で天井に設置されている。また、特許文献1には、クリーンルームが備える複数のFFU間で運転強度(風量)を相違させる制御によってクリーンルームの消費電力を削減する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−228160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、複数のFFU間の風量制御は煩雑であり、空調機及びその使用環境によっては十分に消費電力を削減できないこともある。本発明者らの検討によると、個々のエアフィルタユニットのサイズが大きく、捕集効率が高い場合には、消費電力の削減は特に困難である。
【0006】
本発明は、個々のエアフィルタユニットのサイズが大きく、捕集能力が高い場合であっても、消費電力を削減することに適した空調機と、この空調機に適したエアフィルタユニットとを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
吸気口及び排気口を有する空気の流路と、
前記吸気口から前記排気口への前記空気の流れを作り出す送風機と、
前記流路に配置され、前記吸気口から導入された前記空気を濾過処理するエアフィルタユニットと、を有する送風機フィルタユニットを備え、
前記エアフィルタユニットは、フィルタプリーツパックと、前記フィルタプリーツパックの周端部を全周にわたって支持する枠体と、を備え、
前記エアフィルタユニットの開口面積が1.35m2以上であり、
前記エアフィルタユニットの捕集能力が、欧州規格(EN)1822−1:2009に定められたクラスH13以上であり、
前記送風機の送風効率ηが0.75となるように前記送風機フィルタユニットを運転したときに、以下の式により与えられる前記送風機フィルタユニットの消費電力効率が600kWh/(m2・年)以下である空調機、
を提供する。
式:消費電力効率kWh/(m2・年)={(Q×ΔP)/(η×1000)}×(24×365)/S
前記式のQは、前記エアフィルタユニットの定格流量(m3/秒)であり、ΔPは、前記エアフィルタユニットを当該ユニットの定格流量で透過する空気に対する前記エアフィルタユニットの圧力損失(Pa)であり、Sは、前記エアフィルタユニットの開口面積(m2)である。
【0008】
別の側面から、本発明は、上記空調機に適したエアフィルタユニットを提供する。
即ち、本発明は、
フィルタプリーツパックと、前記フィルタプリーツパックの周端部を全周にわたって支持する枠体と、を備え、
開口面積が1.35m2以上であり、
前記フィルタプリーツパックを構成するフィルタ濾材のPF値が23以上であり、
前記枠体を水平に保持し、前記周端部を除いて前記フィルタプリーツパックを自由な状態として評価した前記フィルタプリーツパックの自重たわみ量が30mm以下であるエアフィルタユニット、
を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の空調機は、サイズが大きく、捕集能力が高いエアフィルタユニットを備えながらも、供給される電力に対する高い運転効率を有している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の空調機の一例を模式的に示す断面図である。
図2図2は、本発明の空調機が備えるエアフィルタユニットの一例を模式的に示す斜視図である、
図3図3は、本発明の空調機の別の一例を示す模式図である。
図4図4は、本発明のエアフィルタユニットの一例を模式的に示す斜視図である。
図5図5は、本発明のエアフィルタユニットが備えるフィルタプリーツパックの一例を模式的に示す斜視図である。
図6図6は、エアフィルタユニットが備えるフィルタプリーツパックの自重たわみ量を評価する方法を説明するための図である。
図7図7は、本発明のエアフィルタユニットについて、フィルタプリーツパックの周端部が枠体によって支持されている状態の一例を模式的に示す断面図である。
図8図8は、本発明のエアフィルタユニットの別の一例を模式的に示す断面図である。
図9図9は、従来のエアフィルタユニットの一例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0012】
[空調機]
本開示の空調機の一例としてFFU21を図1に示す。FFU21は、吸気口22及び排気口23を有する空気の流路26を有する。吸気口22は、流路26の一方の端部に位置する。排気口23は、流路26の他方の端部に位置する。流路26は、筐体24の内部に形成されている。FFU21は、送風機25及びエアフィルタユニット27を有する。送風機25は、ファンである。エアフィルタユニット27は、流路26に配置され、吸気口22から導入された空気を濾過処理する。送風機25は、流路26に配置され、吸気口22から排気口23への空気の流れを作り出す。送風機25の作動によって吸気口22から流路26に導入された空気は、エアフィルタユニット27の透過時に微細な粉塵が除去された後、排気口23からFFU21の外部に吹き出される(図1の矢印を参照)。
【0013】
図2に示すように、エアフィルタユニット27は、フィルタプリーツパック(以下、「プリーツパック」と記載する)32と、プリーツパック32を支持する枠体33とを備える。プリーツパック32は、シート状のフィルタ濾材31がプリーツ形状に折り畳まれた構造を有する。枠体33は、プリーツパック32の周端部34を全周にわたって支持している。エアフィルタユニット27の開口面積(枠体33の開口35の面積)は1.35m2以上である。エアフィルタユニット27の捕集能力は、欧州規格(以下、「EN」と記載する)1822−1:2009に定められたクラスH13(以下、「クラスH13」と記載する)以上である。
【0014】
FFU21は、サイズが大きく、捕集能力の高いエアフィルタユニット27を有しながらも、供給される電力に対する高い運転効率を有している。以下の式(1)により与えられるFFU21の消費電力効率は、送風機の送風効率ηが0.75となるようにFFU21を運転したときに、600kWh/(m2・年)以下である。
式(1):消費電力効率kWh/(m2・年)={(Q×ΔP)/(η×1000)}×(24×365)/S
式(1)のQは、エアフィルタユニットの定格流量(m3/秒)である。ΔPは、エアフィルタユニットを当該ユニットの定格流量で透過する空気に対するエアフィルタユニットの圧力損失(Pa)である。Sは、エアフィルタユニットの開口面積(m2)である。
【0015】
送風機の送風効率ηは、送風機の運転条件(送風機を備える送風機フィルタユニットの運転条件)によって変化する値であり、送風機に供給される電力と、送風機が生み出す風量及び全圧とから求められる値である。具体的には、送風効率は、以下の式(2)により算出される。ただし、式(2)における送風機の風量は、実測値を、標準状態(温度20℃、圧力101.3kPa、相対湿度65%、密度1.20kg/m3)での風量に換算した値である。
式(2):送風効率η=[送風機の風量(m3/秒)×送風機全圧(kPa)]/送風機の軸動力(kW)
【0016】
エアフィルタユニットの定格流量(nominal flow rate)Qは、エアフィルタユニットの製造者によってエアフィルタユニットごとに定められる流量であり、製造者によって当該ユニットの捕集能力が保証される最大の流量である。
【0017】
エアフィルタユニットの圧力損失ΔPは、日本工業規格(以下、「JIS」と記載する)B9908:2011に定められた試験方法形式1の圧力損失試験に準拠して求めることができる。ただし、ΔPは、評価対象であるエアフィルタユニットの定格流量において測定した値とする。また、圧力損失ΔPを評価する際のエアフィルタユニットの枠体の角度及び空気の透過方向は、FFUの運転時における枠体の角度及び空気の透過方向に一致させる。例えば、FFUの運転時に枠体が水平に保持され、上方から下方へ空気が透過するエアフィルタユニットの圧力損失ΔPは、枠体を水平に保持した状態で当該ユニットの上方から下方へ空気を透過させて評価する。この評価のために、例えば、JIS B9908:2011に定められた形式1の試験装置と同様の構成を有すると共に、枠体を水平に保持した状態でエアフィルタユニットを固定可能であり、かつ、固定したエアフィルタユニットの上方から下方へ空気を流すことが可能な装置を使用できる。
【0018】
FFU21の消費電力効率は、500kWh/(m2・年)以下、400kWh/(m2・年)以下、300kWh/(m2・年)以下、さらには250kWh/(m2・年)以下であってもよい。
【0019】
FFU21は、1.35m2以上の開口面積を有するエアフィルタユニット27を有する。開口面積が大きくなると、エアフィルタユニット27の定格流量を増大できる。定格流量の増大により、例えば、エアフィルタユニット27を備えるFFU21の大風量化が可能となり、クリーンルームの構築に要するFFUの数を低減できる。FFUの数の低減は、クリーンルームの低コスト化及び/又はメンテナンス性の向上に寄与する。また、エアフィルタユニット27の定格流量は、複数のエアフィルタユニットがタイル状に配列した構造を有する、開口面積(主枠体の開口面積)が同じエアフィルタモジュールの定格流量に比べて大きくすることが可能である。エアフィルタモジュールは、モジュールの外形を構成する枠体(主枠体)以外にも、主枠体の開口内に配列した各フィルタユニットごとに枠体(副枠体)を有している。エアフィルタモジュールの定格流量は、少なくとも開口面積に占める副枠体の面積分、小さくなる。
【0020】
エアフィルタユニット27の開口面積は、1.38m2以上、1.44m2以上、さらには1.48m2以上であってもよい。
【0021】
開口35の短辺は、600mm以上であってもよく、800mm以上、さらには1000mm以上であってもよい。
【0022】
開口35の形状は、典型的には、正方形である。開口35の形状が正方形である場合、1.35m2の開口面積を有するエアフィルタユニット27は、典型的には、「4フィート×4フィート」と一般に称されるサイズを有している。
【0023】
FFU21は、高い捕集能力を有するエアフィルタユニット27を備える。このため、FFU21は、クリーンルームの空調機システムに使用できる。クリーンルームの空調機システムに使用する場合、FFU21は、例えば、排気口23が室内に面するようにクリーンルームの天井に設置される。ただし、クリーンルームへのFFU21の設置の形態及び方法は、上記例に限定されない。また、FFU21の用途は、クリーンルームの空調機システムに限定されない。例えば、排気口23周辺の比較的限られた範囲に清浄空気を供給するEFU(Equipment Fan Filter Unit)としてFFU21を使用することも可能である。
【0024】
エアフィルタユニット27の捕集能力は、クラスH13以上である。クラスH13以上の捕集能力を有するエアフィルタユニットは、初期圧力損失が245Pa以下である場合、JIS Z8122:2000に定められたHEPA(high-efficiency particulate air grade)フィルタ又はULPA(ultra-low penetration air grade)フィルタから構成されるエアフィルタユニットに相当する。エアフィルタユニット27の捕集能力は、EN1822−1:2009に定められたクラスU15以上であってもよい。クラスU15以上の捕集能力を有するエアフィルタユニットは、初期圧力損失が245Pa以下である場合、上記ULPAフィルタから構成されるエアフィルタユニットに相当する。エアフィルタユニット27の捕集能力は、EN1822−1:2009に定められたクラスH14以上、クラスU15以上、さらにはクラスU16以上であってもよい。
【0025】
エアフィルタユニット27は、FFU21の運転時に枠体33が水平に保持されるように流路26に配置されていてもよい。また、エアフィルタユニット27は、流路26に対して脱着可能に配置されていてもよい。ただし、FFU21におけるエアフィルタユニット27の配置の状態(例えば、位置及び角度)は、流路26に配置されている限り、限定されない。
【0026】
エアフィルタユニット27では、空気(被濾過空気)の流入側を上方として枠体33を水平に保持したときに、プリーツパック32が水平又は下方に撓んだ状態となってもよい。空気の流入側は、FFU21に配置された状態においては、吸気口22側である。
【0027】
FFU21は、エアフィルタユニット27の枠体33が水平に保持されるように、クリールルームの天井に設置できる。
【0028】
エアフィルタユニット27は、枠体33に接続された、プリーツパック32を保護するための網状体(以下、当業者が一般的に使用する名称に基づいて「ラス網」と記載する)を備えていてもよい。ラス網を備えるエアフィルタユニット27は、通常、プリーツパック32に対してラス網が排気口23側となるようにFFU21に配置される。
【0029】
図1に示すFFU21では、筐体24の内部における吸気口22の近傍に送風機25が配置されている。ただし、FFU21における送風機25の配置の状態は、送風機25の作動によって吸気口22から排気口23への空気の流れを作り出すことができる限り、限定されない。送風機25の種類は限定されず、典型的には、軸流型送風機である。
【0030】
本開示の空調機の別の一例として、クリーンルーム52の空調機システム51を図3に示す。空調機システム51は、クリーンルーム52、外調機53及び内調機54を備える。外調機53と内調機54と、及び内調機54とクリーンルーム52とは、それぞれ、ダクト56により互いに接続されている。また、空調機システム51は、複数のFFU21を備える。各FFU21は、エアフィルタユニット27の枠体33が水平に保持されるように、クリーンルーム52の天井に設置されている。
【0031】
クリーンルーム52の床面には、吸気口57が設けられている。吸気口57は、例えば、グレーチング床である。クリーンルーム52の床面全体が吸気口57であってもよい。空調機システム51は、クリーンルーム52の室内から、吸気口57、内調機54、FFU21の吸気口22、エアフィルタユニット27、及びFFU21の排気口23に至る空気の循環流路を備えている。
【0032】
外調機53は、外気導入口55を備えると共に、外気導入口55から導入した外気42に含まれる塵芥をある程度除去するプレフィルタを備えている。内調機54は、クリーンルーム52からの空気と、外調機53からの外気43とを、クリーンルーム52の運転状況に応じて連続的又は断続的に混合する機能を有する。内調機54は、内調機54を通過する空気に含まれる塵芥を除去するプレフィルタ及び/又はエアフィルタユニットを備えていてもよい。また、外調機53及び/又は内調機54は、空気の温調機能を有していてもよい。
【0033】
空調機システム51では、FFU21が有する送風機25の作動によって、クリーンルーム52の室内から、吸気口57、内調機54、FFU21の吸気口22、エアフィルタユニット27、及びFFU21の排気口23を順に通過し、クリーンルーム52の室内に戻る気流41が生じる。内調機54を通過した気流41には、外気43が含まれていてもよい。気流41に含まれる空気は、エアフィルタユニット27の透過時に微細な粉塵が除去された後、排気口23からクリーンルーム52の室内に吹き出される。図3に示す空調機システム51は、ダウンフロー方式の空調機システムである。なお、クリーンルーム52は外部排気口58を備えており、必要に応じて、クリーンルーム52内の空気の一部44を外部に排出できる。
【0034】
空調機システム51は、サイズが大きく、捕集能力の高いエアフィルタユニット27を有するFFU21を備えながらも、供給される電力に対する高い運転効率を有している。
【0035】
空調機システム51におけるFFU21の配置の状態は、送風機25の作動によって気流41が生じると共に、クリーンルーム52として所望の性能が達成される限り、図3に示す例に限定されない。
【0036】
空調機システム51では、少なくとも1つのFFUが上述したFFU21であればよい。図3に示す例では、全てのFFUが上述したFFU21である。
【0037】
空調機システム51は、FFU21を備える限り、任意の構成を有することができる。
【0038】
本開示の空調機は、例えば、以下に示す本開示のエアフィルタユニット1を、エアフィルタユニット27として備えることができる。
【0039】
[エアフィルタユニット]
エアフィルタユニット1の一例を図4に示す。図4に示すエアフィルタユニット1は、プリーツパック2と、プリーツパック2を支持する枠体3とを備える。枠体3は、プリーツパック2の周端部4を全周にわたって支持している。エアフィルタユニット1の開口面積(枠体3の開口5の面積)Sは、1.35m2以上である。
【0040】
図5に示すように、プリーツパック2は、シート状のフィルタ濾材11がプリーツ形状に折り畳まれた構造を有する。また、プリーツパック2は、ビード12を有している。ビード12は、樹脂から構成される紐状体であり、フィルタ濾材11のプリーツ形状を維持するスペーサーの一種である。ビード12は、フィルタ濾材11のプリーツ線13(折り線)と交差する方向に沿って進む連続線又は断続線を描くように、折り畳まれたフィルタ濾材11の表面に配置されている。
【0041】
プリーツパック2を構成するフィルタ濾材11のPF値(Performance Factor)は23以上である。PF値は、フィルタ濾材の捕集性能の指標となる値である。23以上のPF値を有するフィルタ濾材11は捕集性能が高い。このため、フィルタ濾材11により構成されるプリーツパック2を備えるエアフィルタユニット1は、高い捕集性能を有することができる。
【0042】
エアフィルタユニット1では、枠体3を水平に保持し(換言すると、エアフィルタユニット1を透過する気流の方向が垂直となるように枠体3を保持し)、周端部4を除いてプリーツパック2を自由な状態として評価したプリーツパック2の自重たわみ量が30mm以下である。
【0043】
プリーツパックと、プリーツパックの周端部を全周にわたって支持する枠体とを備えるエアフィルタユニットでは、枠体を水平に保持すると、周端部を除いたプリーツパックの中央部が重力によって下方へたわむ。特に、1.35m2以上の開口面積Sを有する大型化されたエアフィルタユニットでは、重力によるプリーツパック中央部の下方へのたわみ(以下、「プリーツパックの自重たわみ」と記載する)が大きくなる傾向を示す。プリーツパックの自重たわみは、エアフィルタユニットの構造圧損を増大させ、構造圧損の増大は、エアフィルタユニットの圧力損失ΔPを増大させる。また、ラス網を備えるエアフィルタユニットでは、重力によってたわんだプリーツパックがラス網に接触することがある。ラス網に対するプリーツパックの接触量の増加によっても、エアフィルタユニットの構造圧損は増大する。
【0044】
エアフィルタユニット1では、開口面積Sが1.35m2以上であるにもかかわらず、枠体を水平に保持し、周端部4を除いて自由な状態として評価したプリーツパックの自重たわみ量(以下、「自重たわみ量B」と記載する)が30mm以下である。このため、ラス網への接触量の増加による構造圧損の増大を含め、プリーツパック2の自重たわみに起因する構造圧損の増大が抑制される。したがって、エアフィルタユニット1では、圧力損失ΔP、特に、枠体3を水平に保持した状態における圧力損失ΔP、の増大が抑制される。それ故、エアフィルタユニット1を備える空調機では、消費電力効率の低減が可能となる。
【0045】
プリーツパック2の自重たわみ量Bは、27mm以下、26mm以下、25mm以下、24mm以下、22mm以下、20mm以下、さらには15mm以下であってもよい。自重たわみ量Bの下限は、例えば0mm以上であり、1mm以上、3mm以上、さらには5mm以上であってもよい。
【0046】
プリーツパックの自重たわみ量Bを評価するにあたり、「周端部を除いてプリーツパックを自由な状態とする」とは、具体的には、「周端部を支持する部材以外の部材がプリーツパックに接しない状態とする」ことを意味する。したがって、例えば、枠体を水平に保持したときにラス網との接触によってプリーツパックの自重たわみが制限される場合には、ラス網の一部又は全部を取り除くことで、ラス網がプリーツパックに接しない状態とする必要がある。
【0047】
プリーツパックの自重たわみ量Bは、例えば、次のように評価できる(図6参照)。最初に、(a)に示すように、評価対象であるエアフィルタユニット61の枠体62が水平となるように、開口部64を有する試験台63の上にエアフィルタユニット61を戴置する。エアフィルタユニット61は、当該ユニット61が備えるプリーツパック65の自重たわみを試験台63が阻害しないように戴置する。自重たわみが阻害されない戴置は、例えば、開口部64に対するエアフィルタユニット61の位置を調整することで実施できる。開口部64は、枠体62の開口と同じ形状及びサイズを有していてもよい。この場合、試験台63の上面に垂直な方向から見て枠体62の開口と開口部64とが一致するように、エアフィルタユニット61を戴置してもよい。(a)の状態において、プリーツパック65は自重によりたわんでいる。
【0048】
次に、(b)に示すように、プレート66を下方からゆっくりと垂直に上昇させる。プレート66は、枠体62の開口の面積の95%以上の面積を有すると共に、開口部64を上下方向に通過できる形状及び開口部64との位置関係を有している。プレート66は、その上面が水平を維持し続けるように上昇させる。
【0049】
次に、(c)に示すように、プレート66の上面がプリーツパック65のいずれかのプリーツ線に接触したときのプレート66の高さy1を記録する。なお、プリーツ線への接触は、エアフィルタユニット61の側方からプリーツ線の延びる方向にプリーツパック65及びプレート66を観察して判定する。
【0050】
次に、(d)に示すように、プレート66をさらに上昇させて、プリーツパック65が有する全てのプリーツ線の少なくとも90%のプリーツ線にプレート66の上面が接触したときのプレート66の高さy2を記録する。高さy2とy1との差の絶対値を、プリーツパック65の自重たわみ量Bとすることができる。自重たわみ量Bは、プリーツパック65が有する全てのプリーツ線の少なくとも90%のプリーツ線が1つの水平面上にある状態を想定したときの当該水平面を基準としうる。
【0051】
エアフィルタユニット1の開口5の短辺は、600mm以上であってもよく、800mm以上、さらには1000mm以上であってもよい。
【0052】
開口5の形状は、典型的には、正方形である。開口5の形状が正方形である場合、1.35m2の開口面積を有するエアフィルタユニット1は、典型的には、「4フィート×4フィート」と一般に称されるサイズを有している。
【0053】
1.35m2以上の開口面積を有するエアフィルタユニット1によれば、より小さな開口面積を有するエアフィルタユニットに比べて定格流量を増大できる。定格流量の増大により、例えば、エアフィルタユニット1を備えるFFUの大風量化が可能となる。また、エアフィルタユニット1の定格流量は、同じ開口面積(主枠体の開口面積)を有するエアフィルタモジュールの定格流量に比べて大きくすることが可能である。エアフィルタユニット1の開口面積は、1.38m2以上、1.44m2以上、さらには1.48m2以上であってもよい。
【0054】
プリーツパック2を構成するフィルタ濾材11のPF値は23以上である。PF値が大きいほど、濾材の捕集性能は高くなる。23以上のPF値を有するフィルタ濾材は、半導体工業、薬品工業等のクリーンルームで使用される高性能又は超高性能エアフィルタユニットの濾材に使用可能である。フィルタ濾材のPF値は、5.3cm/秒の線速度で空気を透過させたときの濾材の圧力損失PLF(単位:mmH2O)、及び5.3cm/秒の線速度で空気を透過させ、粒子径0.10〜0.20μmのポリアルファオレフィン粒子を用いて測定した濾材の捕集効率CEF(単位:%)から、以下の式(3)により求められる。
式(3):PF値={−lоg[(100−CEF)/100]/PLF}×100
【0055】
フィルタ濾材11のPF値は、25以上、26以上、27以上、28以上、さらには30以上であってもよい。
【0056】
フィルタ濾材11の圧力損失PLFは、例えば10〜400Paであり、100〜400Pa、100〜350Paであってもよい。
【0057】
フィルタ濾材の圧力損失PLFは、次のように評価できる。同一形状を有する2つのプレートから構成される測定ホルダーを準備する。各プレートには、貫通孔(円形の断面形状及び100cm2の有効通気面積を有する)が形成されている。次に、評価対象のフィルタ濾材を双方のプレートにより挟持する。フィルタ濾材の挟持は、プレートの主面に垂直な方向から見て双方のプレートの貫通孔が一致するように、かつ、各プレートの貫通孔の開口をフィルタ濾材が覆うように実施する。また、フィルタ濾材の挟持は、各プレートとフィルタ濾材との間に隙間が生じないように行う。隙間を生じないようにするために、о−リングや両面粘着テープ等の固定部材を使用してもよい。固定部材を使用する場合、貫通孔を通過する空気の流れが固定部材によって阻害されないようにする。次に、貫通孔及び貫通孔内に位置するフィルタ濾材のみを空気が通過するように、流量計及び圧力計(マノメータ)が接続されたチャンバーにホルダーをセットする。次に、ホルダーの一方の面と他方の面との間に圧力差を発生させ、貫通孔及びフィルタ濾材に空気を流し始める。貫通孔及びフィルタ濾材を通過する空気の線速度が流量計の測定値にして5.3cm/秒となったときの上記圧力差(静圧差)を、圧力計により測定する。1つの濾材に対して上記圧力差を8回測定し、その平均値を、評価対象であるフィルタ濾材の圧力損失PLFとする。
【0058】
フィルタ濾材11の捕集効率CEFは、例えば20〜100%であり、90〜100%、99.9〜100%であってもよい。
【0059】
フィルタ濾材の捕集効率CEFは、次のように評価できる。同一形状を有する2つのプレートから構成される測定ホルダーを準備する。各プレートには、貫通孔(円形の断面形状及び100cm2の有効通気面積を有する)が形成されている。次に、評価対象のフィルタ濾材を双方のプレートにより挟持する。フィルタ濾材の挟持は、プレートの主面に垂直な方向から見て双方のプレートの貫通孔が一致するように、かつ、各プレートの貫通孔の開口をフィルタ濾材が覆うように実施する。また、フィルタ濾材の挟持は、各プレートとフィルタ濾材との間に隙間が生じないように行う。隙間を生じないようにするために、о−リングや両面粘着テープ等の固定部材を使用してもよい。固定部材を使用する場合、貫通孔を通過する空気の流れが固定部材によって阻害されないようにする。次に、貫通孔及び貫通孔内に位置するフィルタ濾材のみを空気が通過するように、流量計及び圧力計(マノメータ)が接続されたチャンバーにホルダーをセットする。次に、ホルダーの一方の面と他方の面との間に圧力差を発生させ、貫通孔及びフィルタ濾材に空気を流し始める。次に、貫通孔及び濾材を通過する空気の線速度が流量計の測定値にして5.3cm/秒を維持するように、圧力差を調整する。次に、粒子径0.10〜0.20μm(平均粒子径0.15μm)のポリアルファオレフィン粒子を、4×108個/L以上の濃度で、濾材を通過する空気に含ませる。その後、測定ホルダーの下流に配置したパーティクルカウンタを用いて、濾材を通過した空気に含まれるポリアルファオレフィン粒子の濃度を測定し、以下の式(4)により、評価対象物の捕集効率CEFを求める。
式(4):捕集効率CEF=[1−(下流側の粒子濃度)/(上流側の粒子濃度)]×100(%)
【0060】
フィルタ濾材11の面密度は、例えば、50g/m2以上100g/m2以下である。面密度の上限は、90g/m2以下、80g/m2以下、75g/m2以下、さらには70g/m2以下であってもよい。面密度の下限は、55g/m2以上、さらには60g/m2以上であってもよい。フィルタ濾材11の面密度は、フィルタ濾材11の重量を主面の面積で除して求めることができる。
【0061】
フィルタ濾材11は、公知のフィルタ濾材を構成する材料と同じ材料から構成されうる。フィルタ濾材11は、例えば、ガラス繊維から構成される濾材、又はポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」と記載する)多孔質膜を含む濾材である。高いPF値の達成が可能であると共に自己発塵性が低いことから、PTFE多孔質膜を含むフィルタ濾材11が好ましい。
【0062】
PTFE多孔質膜は、典型的には、微細な繊維状構造体である無数のPTFEフィブリルにより構成される。PTFE多孔質膜は、フィブリルに接続されたPTFEのノード(結節部)を有していてもよい。
【0063】
PTFE多孔質膜は、例えば、未焼成のPTFE粉末と液状潤滑剤との混和物を押出及び/又は圧延等の手法によりフィルムに成形し、得られた未焼成のフィルムから液状潤滑剤を除去した後、これを延伸することにより形成できる。未焼成フィルムの形成後、任意のタイミングにおいて、PTFEの融点以上の温度にフィルムを加熱する焼成を実施してもよい。液状潤滑剤は、例えば、ナフサ、ホワイトオイル、流動パラフィン等の炭化水素油である。ただし、液状潤滑剤は、PTFE粉末の表面を濡らすことができると共に、後に除去できるものであれば限定されない。延伸の一例は、未焼成フィルムのMD方向(長手方向)に対する延伸倍率2〜60倍、延伸温度150〜390℃の延伸と、当該フィルムのTD方向(幅方向)に対する延伸倍率10〜60倍、延伸温度40〜150℃の延伸とを組み合わせた二軸延伸である。ただし、延伸は、この例に限定されない。
【0064】
PTFE多孔質膜の厚さは、例えば、1〜100μmである。PTFE多孔質膜の平均孔径は、例えば0.1〜50μmである。
【0065】
PTFE多孔質膜の気孔率は、例えば、70〜98%である。PTFE多孔質膜が有する小さい平均孔径及び高い気孔率によって、PTFE多孔質膜を含むフィルタ濾材11の圧力損失を低く、捕集効率を高くできる。PTFE多孔質膜の気孔率は、次のように評価できる。評価対象であるPTFE多孔質膜を一定の寸法(例えば、直径6cmの円形)に切り出して、その体積及び重量を求める。得られた体積及び重量を以下の式(5)に代入して、PTFE多孔質膜の気孔率を算出できる。式(5)のV(単位:cm3)は測定した上記体積、W(単位:g)は測定した上記重量、D(単位:g/cm3)はPTFEの真密度(2.2g/cm3)である。
式(5):気孔率(%)=100×[V−(W/D)]/V
【0066】
PTFE多孔質膜の面密度は、例えば、0.05〜10g/m2であり、0.1〜5g/m2、0.3〜3g/m2であってもよい。
【0067】
PTFE多孔質膜のPF値は、5.3cm/秒の線速度で空気を透過させたときのPTFE多孔質膜の圧力損失PLM(単位:mmH2O)、及び5.3cm/秒の線速度で空気を透過させ、粒子径0.10〜0.20μmのポリアルファオレフィン粒子を用いて測定したPTFE多孔質膜の捕集効率CEM(単位:%)から、以下の式(6)により求められる。
式(6):PF値={−lоg[(100−CEM)/100]/PLM}×100
【0068】
PTFE多孔質膜の圧力損失及び捕集効率は、フィルタ濾材の圧力損失及び捕集効率を測定する上記方法を応用して評価できる。具体的には、評価対象であるPTFE多孔質膜を、フィルタ濾材の代わりに測定ホルダーに固定すればよい。PTFE多孔質膜のPF値、圧力損失及び捕集効率は、通常、フィルタ濾材11のPF値、圧力損失及び捕集効率のそれぞれと同じ値をとる。
【0069】
PTFE多孔質膜を含むフィルタ濾材11は、通気性支持材をさらに含んでいてもよい。通気性支持材は、PTFE多孔質膜に比べて厚さ方向に高い通気性を有する層であり、PTFE多孔質膜を保護する機能を有する。通気性支持材は、例えば、短繊維及び/又は長繊維等の繊維により構成される。通気性支持材は、例えば、不織布、織布、メッシュである。通気性、強度及び柔軟性に優れることから、不織布から構成される通気性支持材が好ましい。
【0070】
通気性支持材を構成する材料は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル;芳香族ポリアミドを含むポリアミド;及びこれらの複合材料である。PTFE多孔質膜との接合性に優れることから、当該材料は、好ましくはポリオレフィンであり、より好ましくはPEである。
【0071】
通気性支持材を構成する複合材料の一例は、芯部と、芯部を被覆する鞘部との芯鞘構造を有する複合繊維である。複合繊維の芯部と鞘部とでは、各々の部分を構成する材料が異なっている。芯部を構成する材料の融点に比べて、鞘部を構成する材料の融点が低いことが好ましい。芯部を構成する材料は、例えば、PET等のポリエステルである。鞘部を構成する材料は、例えば、PE等のポリオレフィンである。鞘部を構成する材料がポリオレフィンである場合、PTFE多孔質膜との接合性に優れるポリオレフィンを、通気性支持材におけるPTFE多孔質膜との接合面に露出させることができる。
【0072】
通気性支持材を構成する繊維の平均繊維径は、例えば、1〜50μmであり、1〜30μm、10〜30μmであってもよい。
【0073】
通気性支持材の面密度は、例えば、20g/m2以上70g/m2以下である。面密度の上限は、50g/m2以下、40g/m2以下、35g/m2以下、さらには30g/m2以下であってもよい。面密度の下限は、25g/m2以上であってもよい。
【0074】
PTFE多孔質膜及び通気性支持材を含むフィルタ濾材11では、通常、PTFE多孔質膜と通気性支持材とが互いに接合されている。接合方法は限定されず、例えば、熱ラミネート、接着剤によるラミネートである。接合部における圧力損失の上昇を抑制できることから、熱ラミネートによる接合が好ましい。
【0075】
フィルタ濾材11は、2以上のPTFE多孔質膜及び/又は2以上の通気性支持材を含んでいてもよい。フィルタ濾材11は、例えば、1つのPTFE多孔質膜と、これを挟持する2つの通気性支持材とを含む3層構造を有する。フィルタ濾材11は、3層以上の多層構造を有していてもよい。フィルタ濾材11がPTFE多孔質膜及び通気性支持材を含む多層構造を有する場合、フィルタ濾材11の双方の最外層が通気性支持材であることが好ましい。この場合、フィルタ濾材11の強度及び耐久性を向上できる。また、この場合、フィルタ濾材11をプリーツパック2にプリーツ加工する際の捕集効率の低下を抑制できる。
【0076】
フィルタ濾材11は、プリーツパック2の自重たわみ量Bが30mm以下である限り、上記例示した以外の構成を有していてもよい。
【0077】
フィルタ濾材11を製造する方法には公知の方法を適用できる。PTFE多孔質膜及び通気性支持材を含むフィルタ濾材11は、例えば、PTFE多孔質膜と通気性支持材とを熱ラミネートにより接合して製造できる。
【0078】
プリーツパック2におけるフィルタ濾材11のプリーツ高さH(プリーツパック2の一方の面と他方の面との距離;図5参照)は、例えば、25〜50mmであり、25〜40mm、25〜35mmであってもよい。プリーツパックにおけるフィルタ濾材のプリーツ形状はエアフィルタユニットの構造圧損に影響を与える。プリーツ高さHがこれらの範囲にある場合、エアフィルタユニット1の構造圧損をさらに低減できる。
【0079】
プリーツパック2におけるフィルタ濾材11のプリーツ幅W(プリーツパック2の一方の面において隣接するプリーツ線13間の間隔;図5参照)は、例えば、2.5〜4.2mmであり、2.8〜3.6mm、3.0〜3.4mmであってもよい。プリーツ幅Wがこれらの範囲にある場合、エアフィルタユニット1の構造圧損をさらに低減できる。
【0080】
ビード12は、フィルタ濾材11の一方の表面に配置されていても、双方の表面に配置されていてもよい。フィルタ濾材11がPTFE多孔質膜及び通気性支持材を含む場合、ビード12は通気性支持材の表面に配置されていることが好ましい。ビード12は、例えば、フィルタ濾材11の表面に溶融樹脂を紐状に塗布して形成できる。ビード12を構成する樹脂は、例えば、ポリアミド、ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体である。ただし、ビード12を構成する樹脂は上記例に限定されない。
【0081】
プリーツパック2におけるビード12の配置量(エアフィルタユニット1の開口面積1m2あたりの配置量、単位:g/m2)は、例えば、40〜80g/m2であり、40〜70g/m2、40〜60g/m2、さらには40〜50g/m2であってもよい。プリーツパック2におけるビード12の配置量がこれらの範囲にある場合、プリーツパック2の自重たわみ量Bをより確実に30mm以下にできる。フィルタ濾材11の双方の表面にビード12が配置されている場合、各表面におけるビード12の配置量は実質的に同じであってもよい。なお、本明細書では、ビード12の配置量の比が0.95〜1.05の範囲にある場合、実質的に同じであるとする。
【0082】
フィルタ濾材11のプリーツ加工には公知の方法を適用できる。フィルタ濾材11のプリーツ加工は、例えば、レシプロ式又はロータリー式のプリーツ加工機を用いて実施できる。
【0083】
枠体3は、例えば、金属、樹脂又はこれらの複合材料から構成される。枠体3が樹脂から構成される場合、枠体3の成形と同時にプリーツパック2を枠体3に固定することも可能である。枠体3の構成は、従来のエアフィルタユニットが備える枠体の構成と同じであってもよい。
【0084】
プリーツパック2の周端部4は、全周にわたって枠体3により支持されている。枠体3による周端部4の支持の状態の一例を図7に示す。図7に示す例では、C字状の断面を有する枠体3の凹部6において、周端部4が枠体3に固定されている。より具体的には、コーキング剤7が枠体3の全周にわたって凹部6に充填されており、充填されたコーキング剤7によって周端部4が支持されている。コーキング剤は、例えば、二液エポキシコーキング剤である。ただし、コーキング剤は上記例に限定されない。
【0085】
エアフィルタユニット1は、プリーツパック2の自重たわみ量Bが30mm以下である限り、プリーツパック2及び枠体3以外のさらなる部材を備えていてもよい。さらなる部材としてラス網8を備えるエアフィルタユニット1の一例を図8に示す。図8に示すエアフィルタユニット1のラス網8は、使用時にエアフィルタユニット1を透過する気流14の下流側から当該ユニット1を見たときにプリーツパック2を覆うように配置されている。また、ラス網8は、プリーツパック2よりも気流14の下流側に配置されている。ラス網8は、プリーツパック2を保護する機能を有する。図8のエアフィルタユニット1では、枠体3に形成されたスリット9にラス網8の周端部が挿入されることで、ラス網8が枠体3に固定されている。ただし、ラス網8を枠体3に固定する方法は、この例に限定されない。
【0086】
ラス網8には、公知のエアフィルタユニットが備えるラス網を使用できる。ラス網8を構成する材料は、例えば、金属、樹脂及びこれらの複合材料である。ラス網8の典型的な一例は、エキスパンドメタル及びワイヤーメッシュ等の金属メッシュである。エアフィルタユニット1に組み込まれた状態で、ラス網8におけるプリーツパック2側の面は平坦であることが好ましい。より具体的には、当該面は、プリーツパック2に向かって突出したリブ等の突出部を有さないことが好ましい。ラス網8の上記面が平坦である場合、自重たわみに起因するプリーツパック2とラス網8との接触の程度を抑制できる。
【0087】
エアフィルターユニット1は、枠体3を垂直に保持したときに、枠体3に接続された部材がプリーツパック2に接触していない構成を有することができる。また、ラス網8を備えるエアフィルターユニット1は、枠体3を垂直に保持したときに、ラス網8又はラス網に接続された部材がプリーツパック2に接触していない構成を有することができる。
【0088】
エアフィルタユニット1は、プリーツパック2及び枠体3以外のさらなる部材として、プレフィルタを備えていてもよい。プレフィルタは、典型的には、気流14の上流側から当該ユニット1を見たときにプリーツパック2を覆うように、プリーツパック2よりも気流14の上流側に配置される。プレフィルタには、公知のエアフィルタユニットが備えるプレフィルタを使用できる。プレフィルタは、例えば、不織布から構成される。プレフィルタの捕集効率は、通常、フィルタ濾材11の捕集効率よりも小さい。プレフィルタは、プリーツパック2を透過する前の空気に含まれる比較的大きな粒子を捕集する役割を担うことができる。
【0089】
枠体3を水平に保持し、エアフィルタユニット1の上方から下方に当該ユニット1の定格流量で空気を透過させたときのエアフィルタユニット1の圧力損失ΔPは、例えば、110Pa以下であり、100Pa以下、90Pa以下、さらには60Pa以下であってもよい。圧力損失ΔPの下限は限定されないが、例えば、30Pa以上である。エアフィルタユニットの圧力損失は、JIS B9908:2011に定められた試験方法形式1の圧力損失試験に準拠して求めることができる。枠体を水平に保持した状態にあるエアフィルタユニットの圧力損失ΔPを評価するために、例えば、JIS B9908:2011に定められた形式1の試験装置と同様の構成を有すると共に、枠体を水平に保持した状態でエアフィルタユニットを固定可能であり、かつ、固定したエアフィルタユニットの上方から下方へ空気を流すことが可能な装置を使用できる。
【0090】
枠体3を水平に保持し、エアフィルタユニット1の上方から下方に当該ユニット1の定格流量で空気を透過させたときのエアフィルタユニット1の構造圧損は、例えば、10Pa以下であり、8Pa以下、6Pa以下、5Pa以下、さらには3Pa以下であってもよい。構造圧損の下限は限定されないが、例えば、1Pa以上である。エアフィルタユニット1の構造圧損は、エアフィルタユニット1の圧力損失ΔP(実測値)から、構造圧損が無いと仮定したときの理論上の圧力損失ΔP0を差し引いて求めることができる。特定の圧力損失PLFを有するフィルタ濾材11を備えるエアフィルタユニットの圧力損失は、構造圧損が無いと仮定すると、PLFを基準に、フィルタ濾材11を透過する空気の線速度に比例して変化する。このため、圧力損失ΔP0は、エアフィルタユニット1が備えるフィルタ濾材11の圧力損失PLF(単位:Pa)、エアフィルタユニット1の濾過面積FS(単位:m2)及びエアフィルタユニット1の定格流量Q(単位:m3/分)を用いて、式:ΔP0=PLF/5.3×{(Q/FS)/60}により求めることができる。「5.3」は、フィルタ濾材11の圧力損失PLFを測定する際の空気の線速度(単位:cm/秒)である。「(Q/FS)/60」は、エアフィルタユニット1を定格流量Qで空気が透過する際に、当該ユニット1が備えるフィルタ濾材11を透過する空気の線速度(単位:cm/秒)に対応する。エアフィルタユニット1の濾過面積FSは、開口面積S、並びにエアフィルタユニット1におけるフィルタ濾材11のプリーツ幅W及びプリーツ高さHから算出できる。
【0091】
枠体3を水平に保持し、エアフィルタユニット1の上方から下方に当該ユニット1の定格流量で空気を透過させたときに、エアフィルタユニット1の圧力損失ΔPに占める構造圧損の比率は、例えば、10%以下であり、8%以下、6%以下、さらには5%以下であってもよい。当該比率の下限は限定されないが、例えば、2%以上である。
【0092】
エアフィルタユニット1の捕集能力は、例えば、クラスH13以上である。エアフィルタユニット1の捕集能力は、EN1822−1:2009に定められたクラスH14以上、クラスU15以上、さらにはクラスU16以上であってもよい。
【0093】
エアフィルタユニット1の捕集効率は、例えば、99.95%以上であり、99.99%以上、99.995%以上、99.999%以上、99.9995%以上、さらには99.9999%以上であってもよい。捕集効率の上限は限定されないが、例えば、99.999999%以下である。
【0094】
エアフィルタユニットの捕集効率は、EN1822−1:2009に定められた方法に準拠して、以下の測定条件及び測定方法により評価できる。ただし、最大透過粒子径(MPPS)に対する捕集効率ではなく、多分散(粒子径0.10〜0.20μm、平均粒子径0.15μm)の試験粒子を使用して求めた捕集効率を、エアフィルタユニットの捕集効率とする。
・試験粒子:PAO(ポリアルファオレフィン)
・試験粒子径:0.1μm以上
・上流側粒子濃度:1.0×108個/L以上
・面風速:0.4±0.1m/秒
EN1822−1:2009に定められた方法に従い、エアフィルタユニットの下流側の面に沿って、50mm×10mmの測定用開口部を有するプローブを速度22m/秒でスキャンさせて、ユニットの開口領域の下流側に漏れ出たPAO粒子の総数を計測する。次に、計測したPAO粒子の総数から、下流側粒子濃度を求める。求めた下流側粒子濃度及び上記上流側粒子濃度から、式:捕集効率(%)=[1−(下流側粒子濃度/上流側粒子濃度)]×100により、エアフィルタユニットの捕集効率を求めることができる。
【0095】
エアフィルタユニット1は、任意の角度に枠体3を保持した状態で使用でき、例えば、枠体3を水平に保持した状態で使用できる。
【0096】
エアフィルタユニット1では、空気(被濾過空気)の流入側を上方として枠体3を水平に保持したときに、プリーツパック2が水平又は下方に撓んだ状態となってもよい。ただし、自重たわみ量Bは30mm以下である。
【0097】
エアフィルタユニット1は、例えば、空調機に組み込んで使用できる。空調機は、例えば、上述した本開示の空調機である。当該空調機は、エアフィルタユニット27としてエアフィルタユニット1を備えうる。エアフィルタユニット1は、枠体3を水平に保持した状態で、空調機における空気の流路に配置されていてもよい。エアフィルタユニット1は、上記流路に対して脱着可能に配置されていてもよい。
【0098】
エアフィルタユニット1を備える空調機は、例えば、FFU(FFUにはEFUが含まれる)及びFFUを備える空調機システムである。エアフィルタユニット1を備える空調機のより具体的な例は、図1に示すFFU21及び図3に示す空調機システムである。空調機は、例えば、クリーンルーム用空調機である。
【実施例】
【0099】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
【0100】
本実施例で作製したフィルタ濾材、エアフィルタユニット及びFFUの評価方法を以下に示す。
【0101】
[自重たわみ量B]
エアフィルタユニットが備えるプリーツパックの自重たわみ量Bは、上述の方法により評価した。
【0102】
[構造圧損、圧力損失、捕集効率及びPF値]
フィルタ濾材及びエアフィルタユニットの圧力損失及び捕集効率、並びにエアフィルタユニットの構造圧損は、上述の方法により評価した。エアフィルタユニットの圧力損失及び構造圧損は、枠体を水平に保持し、エアフィルタユニットの上方から下方に当該ユニットの定格流量で空気を透過させたときの値とした。フィルタ濾材の圧力損失及び捕集効率は、5.3cm/秒の線速度で空気を透過させたときの値とした。フィルタ濾材のPF値は、上記評価により求めたフィルタ濾材の圧力損失PLF及び捕集効率CEFから、以下の式(3)により算出した。
式(3):PF値={−lоg[(100−CEF)/100]/PLF}×100
【0103】
[消費電力効率]
FFUの消費電力効率は、エアフィルタユニットの定格流量Q及び開口面積S、並びに上記評価により求めたエアフィルタユニットの圧力損失ΔPから、以下の式(1)により算出した。式(1)の送風効率ηは0.75とした。
式(1):消費電力効率kWh/(m2・年)={(Q×ΔP)/(η×1000)}×(24×365)/S
【0104】
[フィルタ濾材の作製]
(フィルタ濾材A)
PTFEファインパウダー(ダイキン工業製、F−104)100重量部と、液状潤滑剤であるドデカン25重量部とを均一に混合し、得られた混合物を予備成形した。次に、予備成形物をロッド状にペースト押出成形し、得られた成形体をロール圧延して、厚さ200μmの帯状のシートを得た。次に、得られたシートをMD方向に延伸温度250℃、延伸倍率15倍で延伸した後、TD方向に延伸温度170℃、延伸倍率30倍で延伸した。次に、延伸後のシートを500℃で焼成して、PTFE多孔質膜Aを得た。得られたPTFE多孔質膜Aの厚さは3μmであった。
【0105】
次に、一対の通気性支持材によってPTFE多孔質膜Aを挟持するようにPTFE多孔質膜A及び通気性支持材を積層した。これを熱ラミネートにより接合して、通気性支持材/PTFE多孔質膜/通気性支持材の積層構造を有するフィルタ濾材Aを得た。通気性支持材には、ユニチカ製エルベスS0403WDO(厚さ290μm、面密度40g/m2)を用いた。得られたフィルタ濾材Aの面密度は81g/m2、捕集効率CEFは99.90%、圧力損失PLFは101Pa、PF値は30.0であった。
【0106】
(フィルタ濾材B)
TD方向への延伸温度を110℃とした以外はPTFE多孔質膜Aの形成と同様にして、PTFE多孔質膜Bを得た。得られたPTFE多孔質膜Bの厚さは4μmであった。次に、PTFE多孔質膜Aの代わりにPTFE多孔質膜Bを用い、通気性支持材にユニチカ製エルベスS0303WDO(厚さ230μm、面密度30g/m2)を用いた以外はフィルタ濾材Aの形成と同様にして、通気性支持材/PTFE多孔質膜/通気性支持材の積層構造を有するフィルタ濾材Bを得た。得られたフィルタ濾材Bの面密度は61g/m2、捕集効率CEFは99.991%、圧力損失PLFは138Pa、PF値は28.7であった。
【0107】
(フィルタ濾材C)
MD方向への延伸倍率を10倍とし、TD方向への延伸温度を110℃とした以外はPTFE多孔質膜Aの形成と同様にして、PTFE多孔質膜Cを得た。得られたPTFE多孔質膜Cの厚さは5μmであった。次に、PTFE多孔質膜Aの代わりにPTFE多孔質膜Cを用い、通気性支持材にユニチカ製エルベスS0303WDO(厚さ230μm、面密度30g/m2)を用いた以外はフィルタ濾材Aの形成と同様にして、通気性支持材/PTFE多孔質膜/通気性支持材の積層構造を有するフィルタ濾材Cを得た。得られたフィルタ濾材Cの面密度は61g/m2、捕集効率CEFは99.9999%、圧力損失PLFは221Pa、PF値は26.6であった。
【0108】
(フィルタ濾材D)
MD方向への延伸倍率を9倍とし、TD方向への延伸温度を110℃とした以外はPTFE多孔質膜Aの形成と同様にして、PTFE多孔質膜Dを得た。得られたPTFE多孔質膜Dの厚さは5μmであった。次に、PTFE多孔質膜Aの代わりにPTFE多孔質膜Dを用い、通気性支持材にユニチカ製エルベスS0303WDO(厚さ230μm、面密度30g/m2)を用いた以外はフィルタ濾材Aの形成と同様にして、通気性支持材/PTFE多孔質膜/通気性支持材の積層構造を有するフィルタ濾材Dを得た。得られたフィルタ濾材Dの面密度は61g/m2、捕集効率CEFは99.99998%、圧力損失PLFは250Pa、PF値は26.3であった。
【0109】
(フィルタ濾材E)
フィルタ濾材Eとして、北越製紙製ガラスろ材SB320−A(厚み380μm)を準備した。フィルタ濾材Eの面密度は70g/m2、捕集効率CEFは99.97%、圧力損失PLFは278Pa、PF値は12.4であった。
【0110】
(フィルタ濾材F)
フィルタ濾材Fとして、北越製紙製ガラスろ材SB380−A(厚み380μm)を準備した。フィルタ濾材Fの面密度は70g/m2、捕集効率CEFは99.992%、圧力損失PLFは315Pa、PF値は12.7であった。
【0111】
(フィルタ濾材G)
フィルタ濾材Gとして、北越製紙製ガラスろ材SB111−A(厚み380μm)を準備した。フィルタ濾材Gの面密度は73g/m2、捕集効率CEFは99.999%、圧力損失PLFは380Pa、PF値は12.9であった。
【0112】
[エアフィルタユニットの作製]
(サンプル1)
フィルタ濾材Aを、プリーツ高さH30mm、プリーツ幅W3.2mmでプリーツ加工した。次に、プリーツ加工したフィルタ濾材Aの一方の表面に、エチレン−酢酸ビニル共重合体を含むホットメルト接着剤(ヘンケル製、テクノメルトQ3115)を塗布してビードを形成し、プリーツパックを作製した。ビードの配置量は62g/m2とした。次に、形成したプリーツパックを、外寸が1220mm×1220mm、開口の寸法が1180mm×1180mmであるアルミ製の枠体(開口面積1.35m2、厚さ75mm)に、プリーツパックの四辺が枠体に密着するようにコーキング剤により固定して、エアフィルタユニットを得た。コーキング剤には、二液エポキシコーキング剤(ヘンケル製、マクロプラスト8104MC−18と、マクロプラストUK5400とを3:1(重量比)で混合したもの)を使用した。得られたエアフィルタユニットの定格流量Qは40m3/分、捕集効率は99.980%、圧力損失ΔPは49.7Pa、構造圧損は2.5Pa、圧力損失ΔPに占める構造圧損の比率は5.0%、自重たわみ量Bは27mm、EN1822−1:2009に定められた捕集能力の区分はクラスH13相当であった。
【0113】
(サンプル2)
フィルタ濾材Aの代わりにフィルタ濾材Bを使用し、プリーツ加工におけるプリーツ高さHを35mmとした以外は、サンプル1と同様にして、エアフィルタユニットを得た。得られたエアフィルタユニットの定格流量Qは40m3/分、捕集効率は99.997%、圧力損失ΔPは59.9Pa、構造圧損は4.7Pa、圧力損失ΔPに占める構造圧損の比率は7.8%、自重たわみ量Bは26mm、EN1822−1:2009に定められた捕集能力の区分はクラスH14相当であった。
【0114】
(サンプル3)
ビードの配置量を48g/m2とした以外はサンプル2と同様にして、エアフィルタユニットを得た。得られたエアフィルタユニットの定格流量Qは40m3/分、捕集効率は99.997%、圧力損失ΔPは59.5Pa、構造圧損は4.2Pa、圧力損失ΔPに占める構造圧損の比率は7.0%、自重たわみ量Bは24mm、EN1822−1:2009に定められた捕集能力の区分はクラスH14相当であった。
【0115】
(サンプル4)
プリーツ加工におけるプリーツ高さHを40mmとした以外はサンプル2と同様にして、エアフィルタユニットを得た。得られたエアフィルタユニットの定格流量Qは40m3/分、捕集効率は99.998%、圧力損失ΔPは53.7Pa、構造圧損は5.3Pa、圧力損失ΔPに占める構造圧損の比率は9.9%、自重たわみ量Bは24mm、EN1822−1:2009に定められた捕集能力の区分はクラスH14相当であった。
【0116】
(サンプル5)
フィルタ濾材Aの代わりにフィルタ濾材Cを使用し、プリーツ加工におけるプリーツ高さHを35mmとした以外は、サンプル1と同様にして、エアフィルタユニットを得た。得られたエアフィルタユニットの定格流量Qは40m3/分、捕集効率は99.99993%、圧力損失ΔPは96.0Pa、構造圧損は7.4Pa、圧力損失ΔPに占める構造圧損の比率は7.8%、自重たわみ量Bは26mm、EN1822−1:2009に定められた捕集能力の区分はクラスU15相当であった。
【0117】
(サンプル6)
プリーツ加工におけるプリーツ高さHを30mmとした以外はサンプル5と同様にして、エアフィルタユニットを得た。得られたエアフィルタユニットの定格流量Qは40m3/分、捕集効率は99.99990%、圧力損失ΔPは108.8Pa、構造圧損は5.5Pa、圧力損失ΔPに占める構造圧損の比率は5.0%、自重たわみ量Bは26mm、EN1822−1:2009に定められた捕集能力の区分はクラスU15相当であった。
【0118】
エアフィルタユニットの開口面積が大きい場合、枠体間の濾材自重が大きくなる。これを支えるために、当業者であれば、スペーサーであるビードの配置量を増大させて、濾材同士を強固に接合する(PTFE多孔質膜を含む濾材では、例えば、91g/m2程度とする)。サンプル1〜6では、このような当業者の技術常識に反し、敢えてビード配置量を低減させている。
【0119】
(サンプル7:比較例)
フィルタ濾材Aの代わりにフィルタ濾材Dを使用し、プリーツ加工におけるプリーツ高さHを35mmとし、ビードの配置量を91g/m2とした以外は、サンプル1と同様にして、エアフィルタユニットを得た。得られたエアフィルタユニットの定格流量Qは40m3/分、捕集効率は99.99999%、圧力損失ΔPは110.3Pa、構造圧損は11.3Pa、圧力損失ΔPに占める構造圧損の比率は10.2%、自重たわみ量Bは33mm、EN1822−1:2009に定められた捕集能力の区分はクラスU15相当であった。
【0120】
(サンプル8:比較例)
フィルタ濾材Aの代わりにフィルタ濾材Eを使用し、プリーツ加工におけるプリーツ高さHを40mmとした以外は、サンプル1と同様にして、エアフィルタユニットを得た。得られたエアフィルタユニットの定格流量Qは40m3/分、捕集効率は99.990%、圧力損失ΔPは111.5Pa、構造圧損は14.0Pa、圧力損失ΔPに占める構造圧損の比率は12.6%、自重たわみ量Bは28mm、EN1822−1:2009に定められた捕集能力の区分はクラスH13相当であった。
【0121】
(サンプル9:比較例)
フィルタ濾材Aの代わりにフィルタ濾材Fを使用し、プリーツ加工におけるプリーツ高さHを40mmとした以外は、サンプル1と同様にして、エアフィルタユニットを得た。得られたエアフィルタユニットの定格流量Qは40m3/分、捕集効率は99.9980%、圧力損失ΔPは126.3Pa、構造圧損は15.9Pa、圧力損失ΔPに占める構造圧損の比率は12.6%、自重たわみ量Bは28mm、EN1822−1:2009に定められた捕集能力の区分はクラスH14相当であった。
【0122】
(サンプル10:比較例)
フィルタ濾材Aの代わりにフィルタ濾材Gを使用し、プリーツ加工におけるプリーツ高さHを40mmとした以外は、サンプル1と同様にして、エアフィルタユニットを得た。得られたエアフィルタユニットの定格流量Qは40m3/分、捕集効率は99.9998%、圧力損失ΔPは153.3Pa、構造圧損は20.1Pa、圧力損失ΔPに占める構造圧損の比率は13.1%、自重たわみ量Bは29mm、EN1822−1:2009に定められた捕集能力の区分はクラスU15相当であった。
【0123】
サンプル1〜10の評価結果を、以下の表1〜表3に示す。表2の「捕集能力」の欄には、EN1822−1:2009に定められた捕集能力の区分を記載する。
【0124】
【表1】
【0125】
【表2】
【0126】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明の空調機は、例えば、クリーンルームに清浄空気を供給するクリーンルーム用の空調機として使用できる。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図9