特許第6831503号(P6831503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6831503
(24)【登録日】2021年2月2日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び、情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/28 20060101AFI20210208BHJP
   G01C 5/00 20060101ALI20210208BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20210208BHJP
   G08G 1/005 20060101ALN20210208BHJP
【FI】
   G01C21/28
   G01C5/00 Z
   G01C15/00 102C
   !G08G1/005
【請求項の数】9
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2016-241563(P2016-241563)
(22)【出願日】2016年12月13日
(65)【公開番号】特開2017-116539(P2017-116539A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2019年8月28日
(31)【優先権主張番号】14/976,316
(32)【優先日】2015年12月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奈良 憲和
(72)【発明者】
【氏名】河田 恵
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン チュー
【審査官】 小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−329864(JP,A)
【文献】 特開2008−014757(JP,A)
【文献】 特開2013−253927(JP,A)
【文献】 特開2015−076063(JP,A)
【文献】 特開2015−190871(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0057926(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00
G08G 1/00
G09B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が駐車可能な複数の階層を有する立体構造物に関する情報を処理する情報処理装置であって、
GPS信号を受信するGPS受信部と、
前記GPS受信部が受信する前記GPS信号に基づいて、間隔をあけてGPS精度を検出すると共に、前記車両の位置を検出するGPS処理部と、
前記GPS処理部が間隔をあけて検出した前記GPS精度の推移に基づいて、前記立体構造物の入口地点に前記車両が位置したときに前記GPS精度が検出されたタイミングである入口タイミングを検出する情報処理部と、
を備え
前記情報処理部は、
前記GPS処理部が間隔をあけて検出した前記GPS精度の推移に基づいて、
前記立体構造物における駐車地点に前記車両が位置したときに前記GPS精度が検出されたタイミングである駐車タイミングから遡って、最初に前記GPS精度が悪化判定精度閾値を上回って悪くなるタイミングである悪化タイミングを検出し、さらに、前記悪化タイミングから遡って最初に前記GPS精度が前記悪化判定精度閾値よりも小さい良好判定精度閾値を下回って良くなるタイミングである良好タイミングを検出し、前記良好タイミングを前記入口タイミングとする
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
車両が駐車可能な複数の階層を有する立体構造物に関する情報を処理する情報処理装置であって、
GPS信号を受信するGPS受信部と、
前記GPS受信部が受信する前記GPS信号に基づいて、間隔をあけてGPS精度を検出すると共に、前記車両の位置を検出するGPS処理部と、
前記GPS処理部が間隔をあけて検出した前記GPS精度の推移に基づいて、前記立体構造物の入口地点に前記車両が位置したときに前記GPS精度が検出されたタイミングである入口タイミングを検出する情報処理部と、
前記GPS処理部が前記GPS精度を検出する間隔に対応する間隔で前記車両の高度を検出する高度検出部を備え、
前記情報処理部は、
ユーザーから入力された前記車両が駐車した前記階層を取得し、
取得した前記車両が駐車した前記階層と、前記高度検出部が間隔をあけて検出した前記車両の高度の推移と、前記立体構造物における前記階層間の高さ方向の幅として予め定められた階層幅とに基づいて、
前記立体構造物における駐車地点に前記車両が位置したときに前記GPS精度が検出されたタイミングである駐車タイミングから遡って、最初に前記車両の高度として、前記立体構造物の2階の高度に対応する高度が検出されたタイミングである2階付近タイミングを検出し、
前記2階付近タイミングから遡って、最初に前記GPS精度が悪化判定精度閾値を上回って悪くなる悪化タイミングを検出し、さらに、前記悪化タイミングから遡って最初に前記GPS精度が前記悪化判定精度閾値よりも小さい良好判定精度閾値を下回って良くなるタイミングである良好タイミングを検出し、前記良好タイミングを前記入口タイミングとする
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
前記情報処理部は、
前記駐車タイミングにおける前記車両の平面位置と、前記悪化タイミングにおける前記車両の平面位置との離間距離が、想定される前記立体駐車場の領域の大きさに基づいて予め設定された駐車/悪化地点距離閾値を下回る場合に、前記良好タイミングを前記入口タイミングとする
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記情報処理部は、
前記悪化タイミングにおける前記車両の位置と、前記良好タイミングにおける前記車両の位置との離間距離が悪化/良好地点距離閾値を下回る場合に、前記良好タイミングを前記入口タイミングとする
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記GPS処理部が前記GPS精度を検出する間隔に対応する間隔で前記車両の高度を検出する高度検出部を備え、
前記情報処理部は、
ユーザーから入力された前記車両が駐車した前記階層を取得し、
取得した前記車両が駐車した前記階層と、前記高度検出部が間隔をあけて検出した前記車両の高度の推移と、前記立体構造物における前記階層間の高さ方向の幅として予め定められた階層幅とに基づいて、
前記立体構造物における駐車地点に前記車両が位置したときに前記GPS精度が検出されたタイミングである駐車タイミングから遡って、最初に前記車両の高度として、前記立体構造物の2階の高度に対応する高度が検出されたタイミングである2階付近タイミングを検出し、
前記2階付近タイミングから遡って、最初に前記GPS精度が悪化判定精度閾値を上回って悪くなる悪化タイミングを検出し、さらに、前記悪化タイミングから遡って最初に前記GPS精度が前記悪化判定精度閾値よりも小さい良好判定精度閾値を下回って良くなるタイミングである良好タイミングを検出し、前記良好タイミングを前記入口タイミングとする
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記情報処理部は、
前記2階付近タイミングにおける前記車両の位置と、前記悪化タイミングにおける前記車両の位置との離間距離が2階/悪化地点距離閾値を下回る場合に、前記良好タイミングを前記入口タイミングとする
ことを特徴とする請求項2または5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記情報処理部は、
前記悪化タイミングにおける前記車両の位置と、前記良好タイミングにおける前記車両の位置との離間距離が悪化/良好地点距離閾値を下回る場合に、前記良好タイミングを前記入口タイミングとする
ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
サーバーと、前記サーバーにネットワークを介して接続され、車両が駐車可能な複数の階層を有する立体構造物に関する情報を処理する情報処理装置とを備える情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
GPS信号を受信するGPS受信部と、
前記GPS受信部が受信する前記GPS信号に基づいて、間隔をあけてGPS精度を検出すると共に、前記車両の位置を検出するGPS処理部と、
前記GPS処理部が前記GPS精度を検出する間隔に対応する間隔で前記車両の高度を検出する高度検出部と、
前記GPS処理部が間隔をあけて検出した前記GPS精度の推移に基づいて、前記立体構造物の入口地点に前記車両が位置したときに前記GPS精度が検出されたタイミングである入口タイミングを検出し、前記入口タイミングで前記高度検出部が検出した前記車両の高度と、前記立体構造物における駐車地点に前記車両が位置したときに前記GPS精度が検出されたタイミングである駐車タイミングで前記高度検出部が検出した前記車両の高度との高度差を検出し、検出した前記高度差を示す高度差情報を前記サーバーに送信する情報処理部と、を有し、
前記サーバーは、
前記高度差情報を受信し、受信した前記高度差情報に基づく処理を実行するサーバー制御部を有し、
前記情報処理装置の前記情報処理部は、
ユーザーから入力された前記車両が駐車した前記階層を取得し、
取得した前記階層を示す駐車階層情報、及び、前記入口タイミングにおける前記車両の位置を示す入口位置情報を、前記高度差情報と併せて前記サーバーに送信し、
前記サーバーは、情報を記憶するサーバー記憶部を備え、
前記サーバーの前記サーバー制御部は、
前記駐車階層情報、前記入口位置情報、及び、前記高度差情報を受信し、
受信した前記駐車階層情報が示す階層と関連付けて前記入口位置情報、及び、前記高度差情報を前記サーバー記憶部に記憶させ、
前記情報処理装置の前記情報処理部は、
前記高度差情報、及び、前記入口位置情報を含み、前記車両が駐車した前記立体構造物の前記階層を問い合わせる階層応答要求情報を前記サーバーに送信し、
前記サーバーの前記サーバー制御部は、
前記階層応答要求情報を受信した場合、階層と関連付けて記憶させた前記入口位置情報、及び、前記高度差情報に基づいて、前記車両が駐車した前記立体構造物の前記階層を判別し、判別した前記階層を示す階層応答情報を前記情報処理装置に送信する
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項9】
前記情報処理装置は、ウェアラブル端末又は前記車両に搭載された車載装置と通信可能に接続され、
前記情報処理装置は、
前記階層応答情報を受信した場合、前記ウェアラブル端末又は前記車載装置と通信して、前記ウェアラブル端末又は前記車載装置に前記階層応答情報が示す前記階層を表示させる
ことを特徴とする請求項に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及び、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザーの所定の操作を伴う指示に応じて1の地点における高度(高さ)を検出し、ユーザーの所定の操作を伴う指示に応じて、当該1の地点と異なる高度に位置する他の地点における高度(高さ)を検出し、当該1の地点を基準とした当該他の地点の相対高さを検出する情報処理装置(携帯型ナビゲーション装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−286492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両は、立体駐車場等の立体構造物に駐車する場合がある。車両が立体構造物に駐車する場合に、立体構造物における入口を基準とした駐車位置の相対高さを検出できれば、検出した相対高さに基づいて車両が駐車した階層を検出する等の有益な処理が行える。相対高さを検出するためには、立体構造物の入口に車両が位置したタイミングにおける車両の高度を取得する必要があるが、上述した特許文献1を利用して、立体構造物の入口に車両が位置したタイミングにおける車両の高度を取得する場合、ユーザーが所定の操作を行う必要がある。所定の操作はユーザーにとって煩雑であると共に、車両が立体構造物の入口に位置したときにユーザーが的確に所定の操作を行えるとは限らない。一方、ユーザーの操作を伴うことなく、立体構造物の入口に車両が位置したタイミングにおける車両の高度を取得するためには、立体構造物の入口に車両が位置したタイミングを自動で適切に検出できるようにする必要がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、車両が駐車可能な複数の階層を有する立体構造物に関する情報を処理する情報処理装置について、立体構造物の入口に車両が位置したタイミングを適切に検出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、車両が駐車可能な複数の階層を有する立体構造物に関する情報を処理する情報処理装置であって、GPS信号を受信するGPS受信部と、前記GPS受信部が受信する前記GPS信号に基づいて、間隔をあけてGPS精度を検出すると共に、前記車両の位置を検出するGPS処理部と、前記GPS処理部が間隔をあけて検出した前記GPS精度の推移に基づいて、前記立体構造物の入口地点に前記車両が位置したときに前記GPS精度が検出されたタイミングである入口タイミングを検出する情報処理部と、を備え、前記情報処理部は、前記GPS処理部が間隔をあけて検出した前記GPS精度の推移に基づいて、前記立体構造物における駐車地点に前記車両が位置したときに前記GPS精度が検出されたタイミングである駐車タイミングから遡って、最初に前記GPS精度が悪化判定精度閾値を上回って悪くなるタイミングである悪化タイミングを検出し、さらに、前記悪化タイミングから遡って最初に前記GPS精度が前記悪化判定精度閾値よりも小さい良好判定精度閾値を下回って良くなるタイミングである良好タイミングを検出し、前記良好タイミングを前記入口タイミングとすることを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、車両が駐車可能な複数の階層を有する立体構造物に関する情報を処理する情報処理装置であって、GPS信号を受信するGPS受信部と、前記GPS受信部が受信する前記GPS信号に基づいて、間隔をあけてGPS精度を検出すると共に、前記車両の位置を検出するGPS処理部と、前記GPS処理部が間隔をあけて検出した前記GPS精度の推移に基づいて、前記立体構造物の入口地点に前記車両が位置したときに前記GPS精度が検出されたタイミングである入口タイミングを検出する情報処理部と、
前記GPS処理部が前記GPS精度を検出する間隔に対応する間隔で前記車両の高度を検出する高度検出部を備え、前記情報処理部は、ユーザーから入力された前記車両が駐車した前記階層を取得し、取得した前記車両が駐車した前記階層と、前記高度検出部が間隔をあけて検出した前記車両の高度の推移と、前記立体構造物における前記階層間の高さ方向の幅として予め定められた階層幅とに基づいて、前記立体構造物における駐車地点に前記車両が位置したときに前記GPS精度が検出されたタイミングである駐車タイミングから遡って、最初に前記車両の高度として、前記立体構造物の2階の高度に対応する高度が検出されたタイミングである2階付近タイミングを検出し、前記2階付近タイミングから遡って、最初に前記GPS精度が悪化判定精度閾値を上回って悪くなる悪化タイミングを検出し、さらに、前記悪化タイミングから遡って最初に前記GPS精度が前記悪化判定精度閾値よりも小さい良好判定精度閾値を下回って良くなるタイミングである良好タイミングを検出し、前記良好タイミングを前記入口タイミングとすることを特徴とする
【0007】
また、本発明は、前記情報処理部は、前記駐車タイミングにおける前記車両の平面位置と、前記悪化タイミングにおける前記車両の平面位置との離間距離が、想定される前記立体駐車場の領域の大きさに基づいて予め設定された駐車/悪化地点距離閾値を下回る場合に、前記良好タイミングを前記入口タイミングとすることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記情報処理部は、前記悪化タイミングにおける前記車両の位置と、前記良好タイミングにおける前記車両の位置との離間距離が悪化/良好地点距離閾値を下回る場合に、前記良好タイミングを前記入口タイミングとすることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記GPS処理部が前記GPS精度を検出する間隔に対応する間隔で前記車両の高度を検出する高度検出部を備え、前記情報処理部は、ユーザーから入力された前記車両が駐車した前記階層を取得し、取得した前記車両が駐車した前記階層と、前記高度検出部が間隔をあけて検出した前記車両の高度の推移と、前記立体構造物における前記階層間の高さ方向の幅として予め定められた階層幅とに基づいて、前記立体構造物における駐車地点に前記車両が位置したときに前記GPS精度が検出されたタイミングである駐車タイミングから遡って、最初に前記車両の高度として、前記立体構造物の2階の高度に対応する高度が検出されたタイミングである2階付近タイミングを検出し、前記2階付近タイミングから遡って、最初に前記GPS精度が悪化判定精度閾値を上回って悪くなる悪化タイミングを検出し、さらに、前記悪化タイミングから遡って最初に前記GPS精度が前記悪化判定精度閾値よりも小さい良好判定精度閾値を下回って良くなるタイミングである良好タイミングを検出し、前記良好タイミングを前記入口タイミングとする。
【0010】
また、本発明は、前記情報処理部は、前記2階付近タイミングにおける前記車両の位置と、前記悪化タイミングにおける前記車両の位置との離間距離が2階/悪化地点距離閾値を下回る場合に、前記良好タイミングを前記入口タイミングとすることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記情報処理部は、前記悪化タイミングにおける前記車両の位置と、前記良好タイミングにおける前記車両の位置との離間距離が悪化/良好地点距離閾値を下回る場合に、前記良好タイミングを前記入口タイミングとすることを特徴とする。
【0013】
また、上記目的を達成するために、本発明は、サーバーと、前記サーバーにネットワークを介して接続され、車両が駐車可能な複数の階層を有する立体構造物に関する情報を処理する情報処理装置とを備える情報処理システムであって、前記情報処理装置は、GPS信号を受信するGPS受信部と、前記GPS受信部が受信する前記GPS信号に基づいて、間隔をあけてGPS精度を検出すると共に、前記車両の位置を検出するGPS処理部と、前記GPS処理部が前記GPS精度を検出する間隔に対応する間隔で前記車両の高度を検出する高度検出部と、前記GPS処理部が間隔をあけて検出した前記GPS精度の推移に基づいて、前記立体構造物の入口地点に前記車両が位置したときに前記GPS精度が検出されたタイミングである入口タイミングを検出し、前記入口タイミングで前記高度検出部が検出した前記車両の高度と、前記立体構造物における駐車地点に前記車両が位置したときに前記GPS精度が検出されたタイミングである駐車タイミングで前記高度検出部が検出した前記車両の高度との高度差を検出し、検出した前記高度差を示す高度差情報を前記サーバーに送信する情報処理部と、を有し、前記サーバーは、前記高度差情報を受信し、受信した前記高度差情報に基づく処理を実行するサーバー制御部を有し、前記情報処理装置の前記情報処理部は、ユーザーから入力された前記車両が駐車した前記階層を取得し、取得した前記階層を示す駐車階層情報、及び、前記入口タイミングにおける前記車両の位置を示す入口位置情報を、前記高度差情報と併せて前記サーバーに送信し、前記サーバーは、情報を記憶するサーバー記憶部を備え、前記サーバーの前記サーバー制御部は、前記駐車階層情報、前記入口位置情報、及び、前記高度差情報を受信し、受信した前記駐車階層情報が示す階層と関連付けて前記入口位置情報、及び、前記高度差情報を前記サーバー記憶部に記憶させ、前記情報処理装置の前記情報処理部は、前記高度差情報、及び、前記入口位置情報を含み、前記車両が駐車した前記立体構造物の前記階層を問い合わせる階層応答要求情報を前記サーバーに送信し、前記サーバーの前記サーバー制御部は、前記階層応答要求情報を受信した場合、階層と関連付けて記憶させた前記入口位置情報、及び、前記高度差情報に基づいて、前記車両が駐車した前記立体構造物の前記階層を判別し、判別した前記階層を示す階層応答情報を前記情報処理装置に送信することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記情報処理装置は、ウェアラブル端末又は前記車両に搭載された車載装置と通信可能に接続され、前記情報処理装置は、前記階層応答情報を受信した場合、前記ウェアラブル端末又は前記車載装置と通信して、前記ウェアラブル端末又は前記車載装置に前記階層応答情報が示す前記階層を表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、立体構造物の入口に車両が位置したタイミングを適切に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る情報処理システムを示す図。
図2】情報処理システムが備える各装置の機能的構成を示すブロック図。
図3】GPS精度の推移、及び、高度の推移を示す図。
図4】車載装置、携帯端末の動作を示すフローチャート。
図5】車載装置、携帯端末、ウェアラブル端末の動作を示すフローチャート。
図6】ウェアラブル端末に表示されるユーザーインターフェースを示す図。
図7】携帯端末、サービス提供サーバーの動作を示すフローチャート。
図8】立体駐車場データベース立体駐車場レコードを示す図。
図9】携帯端末の動作を示すフローチャート。
図10】ウェアラブル端末、携帯端末、サービス提供サーバーの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る情報処理システム1を示す図である。
図1に示すように、情報処理システム1は、車両2に搭載された車載装置3と、車両2に係るユーザー(後述)が携帯する携帯端末4(情報処理装置)と、ユーザーに装着されるウェアラブル端末5と、を備える。
本実施形態では、説明の便宜のため、運転手等の車両2に搭乗した者、及び、車両2に搭乗した後に降車した者を総称して「ユーザー」と表現する。搭乗者は、ユーザーに含まれる概念である。
【0020】
車載装置3は、車両2に搭載される装置であり、本実施形態では、ナビゲーション機能を有するカーナビゲーション装置である。車載装置3は、カーナビゲーション装置である必要なく、車両2に搭載可能な装置であればよい。
携帯端末4は、ユーザーが携帯可能な装置であり、本実施形態では、タブレット型の携帯電話(スマートフォン)である。携帯端末4は、タブレット型の携帯電話である必要はなく、タブレット型以外の型の携帯電話、タブレット型のコンピューター、ノートパソコン等、ユーザーが携帯可能な装置であればよい。
ウェアラブル端末5は、ユーザーに装着可能な装置であり、本実施形態では、腕時計型の装置である。ウェアラブル端末5は、腕時計型の装置である必要はなく、眼鏡型のヘッドマウントディスプレー等、ユーザーが装着可能な装置であればよい。
【0021】
車載装置3と、携帯端末4とは、Bluetooth(登録商標)等の所定の通信プロトコルに従って無線通信が可能である。これら装置間で行われる通信の通信プロトコルは何でもよく、また、これら装置間で行われる通信は有線通信であってもよい。
また、携帯端末4と、ウェアラブル端末5とは、Bluetooth等の所定の通信プロトコルに従って無線通信が可能である。これら装置間で行われる通信の通信プロトコルは何でもよく、また、これら装置間で行われる通信は有線通信であってもよい。
【0022】
また、図1に示すように、情報処理システム1は、サービス提供サーバー7を備える。
サービス提供サーバー7は、インターネット、電話網、その他の通信網を含んで構成されたネットワークNに接続されたサーバーである。サービス提供サーバー7は、ネットワークNを介して携帯端末4と通信可能である。また、サービス提供サーバー7は、ネットワークNを介して車載装置3と通信可能である。
サービス提供サーバー7は、携帯端末4、及び、車載装置3との関係において、携帯端末4、及び、車載装置3をクライアントとするクラウドサーバーとして機能する。
図1では、サービス提供サーバー7を1つのブロックで表しているが、これはサービス提供サーバー7が単一のサーバー装置により構成されることを意味するものではない。サービス提供サーバー7は、複数のサーバー装置を含んで構成されたものでもよく、ホスト型システムや、分散型システム等のシステムの一部であってもよい。
なお、詳細は省略するが、サービス提供サーバー7と携帯端末4との間では、所定の暗号化技術、その他のセキュリティーに関する技術により、セキュアな通信が行われる。
【0023】
図2は、情報処理システム1が備える車載装置3、携帯端末4、ウェアラブル端末5、及び、サービス提供サーバー7の機能的構成を示すブロック図である。
【0024】
車載装置3は、車両2に搭載される装置であり、少なくとも、地図を表示して地図上に車両2の現在位置を表示する機能、及び、地図を表示して地図上に目的地までの経路を表示して目的地までの経路を案内する機能を有する。
図2に示すように、車載装置3は、車載装置制御部10と、車両情報取得部11と、車載装置無線通信部12と、車載装置記憶部13と、車載装置表示部14と、車載装置ネットワーク通信部15と、を備える。
車載装置制御部10は、CPUや、ROM、RAM、その他周辺回路等を備え、車載装置3の各部を制御する。
車両情報取得部11は、車両に関する情報を取得し、車載装置制御部10に出力する。具体的には、車両情報取得部11は、図示しないGPSユニットを有し、GPSユニットの機能により、車両2の位置と進行方向とを示す情報を車載装置制御部10に出力する。また、車両情報取得部11は、ジャイロセンサー及び加速度センサーを備え、これらセンサーの検出値に基づいて車両2の相対的な方位と、車両2の加速度を示す情報を車載装置制御部10に出力する。また、車両情報取得部11は、図示しない車速センサーを備え、当該センサーの検出値に基づいて車両2の速度を示す情報を車載装置制御部10に出力する。また、車両情報取得部11は、図示しないギアセンサーを備え、当該センサーの検出値に基づいて車両2のギアの状態(パーキング(P)、リバース(R)、ニュートラル(N)、ドライブ(D)等)を示す情報を車載装置制御部10に出力する。また、車両情報取得部11は、図示しないパーキングブレーキセンサーを備え、当該センサーの検出値に基づいてパーキングブレーキによるブレーキのオン/オフ状態を示す情報を車載装置制御部10に出力する。
【0025】
車載装置無線通信部12は、車載装置制御部10の制御で、所定の通信プロトコルに従って携帯端末4と無線通信リンクを確立し、携帯端末4と無線通信する。
車載装置記憶部13は、不揮発性メモリーを備え、各種情報を記憶する。車載装置記憶部13は、地図データ131を記憶する。地図データ131は、地図に関する情報や、地図上に存在する施設に関する情報、地図上の道路を示すリンクの情報、リンクの接続部を示すノードの情報等の地図を表示するために必要な情報や、目的地までの経路の案内に必要な情報等を含むデータである。
車載装置表示部14は、液晶表示パネル等の表示パネルを備え、車載装置制御部10の制御で、表示パネルに各種情報を表示する。
車載装置ネットワーク通信部15は、車載装置制御部10の制御で、所定の通信プロトコルに従って、ネットワークNに接続された装置(サービス提供サーバー7を含む。)と通信する。
【0026】
地図上に車両2の現在位置を表示することを指示された場合、車載装置制御部10は、車両情報取得部11から入力された車両2の位置、進行方向、相対的な方位、及び、加速度を示す情報に基づいて、車両2の現在位置を推定する。車載装置制御部10は、地図データ131に基づいて、推定した車両2の現在位置を中心とした地図を表示パネルに表示し、車両2の現在位置を示す画像を地図上に表示する。
また、車載装置制御部10は、目的地までの経路の案内を指示された場合、車両2の現在位置を推定すると共に、地図データ131に基づいて目的地までの経路を算出し、地図上に車両2の現在位置を表示しつつ、目的地までの経路を表示して、経路を案内する。
また、車載装置制御部10は、車両情報取得部11から入力された車両2の速度を示す情報、ギアの状態を示す情報、パーキングブレーキのオン/オフ状態を示す情報に基づいて、車両2の走行の状態を検出する。
特に、車載装置制御部10は、車両2の走行の状態として、車両2が駐車したことを検出する。本実施形態において、「駐車」とは、車両2の一時的な停車ではなく、ユーザーが車両2から降車することを目的として車両2が完全に停車することを意味する。以下の説明では、「停車」と「駐車」とを区別して表現する。車載装置制御部10は、「車両2の速度=時速0km、かつ、ギアがパーキング(P)、かつ、パーキングブレーキがオン状態」の場合に、車両2が駐車したと判別する。
【0027】
携帯端末4は、ユーザーが携帯するタブレット型の携帯電話である。
図2に示すように、携帯端末4は、携帯端末制御部20と、GPSユニット21(GPS受信部)と、気圧検出部22と、携帯端末ネットワーク通信部23と、携帯端末記憶部24と、携帯端末無線通信部25と、携帯端末タッチパネル26とを備える。
携帯端末制御部20は、CPUや、ROM、RAM、その他周辺回路等を備え、携帯端末4の各部を制御する。携帯端末制御部20は、機能ブロックとして、GPS処理部201と、高度検出部202と、情報処理部203とを備える。これら機能ブロックは、CPUが対応するプログラムを読み出して実行する等、ハードウェアとソフトウェアとの協働により処理を実行する。これら機能ブロックについては後に詳述する。
【0028】
GPSユニット21は、図示しないGPSアンテナを介してGPS衛星からGPS電波に重畳されたGPS信号を受信し、GPS信号に基づいて、携帯端末4の平面位置を示す情報を携帯端末制御部20に出力する。なお、本実施形態において、「平面位置」とは、経度及び緯度が示す座標によって表される対象の位置のことを意味し、後述する「高度」の概念を含まない。また、GPSユニット21は、GPS信号の受信強度を示す情報、その他のGPS精度を検出するために必要な情報に基づいて、GPS精度を検出し、検出したGPS精度を示す情報を携帯端末制御部20に出力する。
気圧検出部22は、気圧センサーを備え、気圧センサーの検出値に基づいて気圧を検出し、検出した気圧を示す情報を携帯端末制御部20に出力する。
携帯端末ネットワーク通信部23は、携帯端末制御部20の制御で、所定の通信プロトコルに従って、ネットワークNに接続された装置(サービス提供サーバー7を含む。)と通信する。
携帯端末記憶部24は、不揮発性メモリーを備え、各種情報を記憶する。
携帯端末無線通信部25は、携帯端末制御部20の制御で、所定の通信プロトコルに従って車載装置3と無線通信リンクを確立し、車載装置3と無線通信する。
また、携帯端末無線通信部25は、携帯端末制御部20の制御で、所定の通信プロトコルに従ってウェアラブル端末5と無線通信リンクを確立し、ウェアラブル端末5と無線通信する。
携帯端末タッチパネル26は、タッチパネルであり、携帯端末制御部20の制御で、各種情報を表示する。携帯端末タッチパネル26は、タッチ操作を検出し、検出したタッチ操作を示す情報を携帯端末制御部20に出力する。
【0029】
ウェアラブル端末5は、ユーザーに装着可能な腕時計型の装置である。
図2に示すように、ウェアラブル端末5は、ウェアラブル端末制御部30と、ウェアラブル端末無線通信部31と、ウェアラブル端末記憶部32と、ウェアラブル端末タッチパネル33とを備える。
ウェアラブル端末制御部30は、CPUや、ROM、RAM、その他周辺回路等を備え、ウェアラブル端末5の各部を制御する。
ウェアラブル端末無線通信部31は、ウェアラブル端末制御部30の制御で、所定の通信プロトコルに従って携帯端末4と無線通信リンクを確立し、携帯端末4と無線通信する。
ウェアラブル端末記憶部32は、不揮発性メモリーを備え、各種情報を記憶する。
ウェアラブル端末タッチパネル33は、タッチパネルであり、ウェアラブル端末制御部30の制御で、各種情報を表示する。ウェアラブル端末タッチパネル33は、タッチ操作を検出し、検出したタッチ操作を示す情報をウェアラブル端末制御部30に出力する。
【0030】
サービス提供サーバー7は、サーバー装置である。サービス提供サーバー7は、携帯端末4との関係において、携帯端末4をクライアントとするクラウドサーバーとして機能する。
図2に示すように、サービス提供サーバー7は、サーバー制御部40と、サーバーネットワーク通信部41と、サーバー記憶部42とを備える。
サーバー制御部40は、CPUや、ROM、RAM、その他周辺回路等を備え、サービス提供サーバー7の各部を制御する。
サーバーネットワーク通信部41は、サーバー制御部40の制御で、所定の通信プロトコルに従って、ネットワークNに接続された装置(携帯端末4)と通信する。
サーバー記憶部42は、不揮発性メモリーを備え、各種情報を記憶する。
【0031】
次に、携帯端末4が備えるGPS処理部201、及び、高度検出部202について詳述する。
なお、以下で説明するGPS処理部201、高度検出部202、及び、後に説明する情報処理部203は、携帯端末4にインストールされた専用のアプリケーション(OSが提供するAPI等の専用のアプリケーションに付随するプログラムを含む。)に基づいて、処理を実行する。
【0032】
<GPS処理部201>
上述したように、GPSユニット21は、GPS信号に基づいて、GPS精度を示す情報を携帯端末制御部20に出力する。GPS処理部201は、GPSユニット21からの入力に基づいて、周期S1(例えば、1秒)で間隔をあけてGPS精度を検出する。GPS処理部201は、検出したGPS精度に基づいて、携帯端末記憶部24に記憶されたGPS精度推移データ241を更新する。GPS精度推移データ241とは、現時点から遡って所定の期間(例えば、1時間)の間に、周期S1で検出されたGPS精度を示す情報を有するデータである。
【0033】
また、上述したように、GPSユニット21は、GPS信号に基づいて、携帯端末4の平面位置を示す情報を携帯端末制御部20に出力する。GPS処理部201は、GPSユニット21からの入力に基づいて、周期S1(GPS精度を検出する周期と同一の周期)で間隔をあけて携帯端末4の平面位置を検出する。GPS処理部201は、検出した平面位置に基づいて、携帯端末記憶部24に記憶された平面位置推移データ242を更新する。平面位置推移データ242とは、現時点から遡って所定の期間(例えば、1時間)の間に、周期S1で検出された平面位置を示す情報を有するデータである。
ここで、携帯端末4を携帯するユーザーが車両2に搭乗している場合、携帯端末4の位置は、車両2の位置とみなすことができる。従って、携帯端末4を携帯するユーザーが車両2に搭乗している場合、GPS処理部201は、GPSユニット21(GPS受信部)が受信するGPS信号に基づいて、車両2の平面位置(位置)を検出する。また、平面位置推移データ242は、携帯端末4を携帯するユーザーが車両2に搭乗している期間については、現時点から遡って所定の期間の間に、周期S1で検出された車両2の平面位置を示す情報を有する。
【0034】
<高度検出部202>
上述したように、気圧検出部22は、気圧を示す情報を携帯端末制御部20に出力する。高度検出部202は、気圧検出部22からの入力に基づいて、周期S1(GPS処理部201がGPS精度を検出する周期と同一の周期)で間隔をあけて携帯端末4の高度を検出する。高度検出部202は、検出した携帯端末4の高度に基づいて、携帯端末記憶部24に記憶された高度推移データ243を更新する。高度推移データ243とは、現時点から遡って所定の期間(例えば、1時間)の間に、周期S1で検出された高度を示す情報を有するデータである。
ここで、携帯端末4を携帯するユーザーが車両2に搭乗している場合、携帯端末4の高度は、車両2の高度とみなすことができる。従って、携帯端末4を携帯するユーザーが車両2に搭乗している場合、高度検出部202は、GPSユニット21(GPS受信部)が受信するGPS信号に基づいて、車両2の高度を検出する。また、高度推移データ243は、携帯端末4を携帯するユーザーが車両2に搭乗している期間については、現時点から遡って所定の期間の間に、周期S1で検出された車両2の高度を示す情報を有する。
【0035】
以上、GPS処理部201、及び、高度検出部202について説明した。本実施形態では、GPS処理部201がGPS精度、GPS処理部201が平面位置を検出する周期、及び、高度検出部202が高度を検出する周期は、周期S1で同一である。しかしながら、これら周期は同一である必要はなく、各周期において、対応する各対象を検出するタイミングの対応関係が分かる構成であればよい。
【0036】
ところで、車両2は、立体駐車場に駐車する場合がある。立体駐車場とは、車両2が駐車可能な複数の階層を有する立体構造物である。
車両2が立体駐車場に駐車する場合、通常、以下の経路を辿って駐車する。すなわち、車両2は、立体駐車場に設けられた入口(立体駐車場に複数の入口が設けられている場合は、いずれか1つの入口)を介して、立体駐車場の内部に進入する。次いで、車両2は、立体駐車場の内部において、必要に応じて、階層間に設けられたスロープを走行し、ユーザーが駐車することを望む所定の階層に至る。次いで、車両2は、当該所望の階層において、所定の位置に駐車する。
以下の説明では、立体駐車場の入口の位置を「入口地点」という。入口地点は、立体駐車場の入口の位置に対応する所定の範囲に含まれる地点を示すものであればよい。また、立体駐車場において車両2が駐車した位置を「駐車地点」という。駐車地点は、立体駐車場において車両2が駐車した位置に対応する所定の範囲に含まれる地点を示すものであればよい。また、以下の説明では、車両2が立体駐車場に入口地点を介して進入し、立体駐車場における駐車地点に駐車するまでの経路を「駐車経路」という。
【0037】
そして、発明者は、テストやシミュレーションの結果、車両2が上述した駐車経路を走行する場合、GPS精度が、以下に示す特徴的な態様で、推移することを発見した。
なお、以下の説明において、「立体駐車場の2階」というように、立体駐車場を具体的な階層によって表す場合、その階層のフロアーを意味している。フロアーは、車両2が走行可能な領域のことを意味する。従って、「立体駐車場の2階」は、立体駐車場の2階のフロアーを意味し、また、「立体駐車場の2階の高度」は、立体駐車場の2階のフロアーの高度を意味する。
【0038】
図3の(A)は、車両2が駐車経路を含む経路を走行して、立体駐車場の3階に駐車する場合に、周期S1で検出されるGPS精度の推移を示すグラフである。図3の(A)のグラフにおいて、横軸は、GPS処理部201がGPS精度を検出するサンプリング周期(タイミング)を示す。図3の(A)のグラフにおいて、縦軸はGPS精度(単位は、m[メートル]。)を示す。図3の(A)のグラフの縦軸において、基準値はGPS精度:0mであり、図中上方へ向かうほど基準値から離れてGPS精度が悪くなることを示す。
図3の(B)は、図3の(A)に係る経路を車両2が走行する場合に、周期S1で検出される車両2の高度の推移を示すグラフである。図3の(B)の横軸は、時間の経過を示す。図3の(B)のグラフにおいて、横軸における目盛りは、高度検出部202が車両2の高度を検出するタイミングを示す。図3の(A)のグラフの横軸の目盛りに対応するタイミングと、図3の(B)のグラフの横軸の目盛りに対応するタイミングとは、同期が取られている。図3の(B)のグラフにおいて、縦軸は車両2の高度(単位は、m[メートル])を示す。図3の(B)のグラフの縦軸において、基準値は高度:0mであり、図中上方へ向かうほど基準値から離れて車両2の高度が高くなることを示す。
【0039】
図3のグラフにおいて、タイミングTPは、車両2が入口地点に位置したタイミングである。また、図3のグラフにおいて、タイミングTQは、車両2が駐車地点に位置したタイミングである。
また、図3のグラフにおいて、範囲H1は、車両2の高度が、入口地点の高度と略同一の値で推移する範囲であり、車両2が立体駐車場の1階を走行している期間に対応する範囲である。また、図3のグラフにおいて、範囲H2は、車両2の高度が、入口地点の高度から徐々に高くなっていく範囲であり、車両2が立体駐車場の1階と2階とを接続するスロープを走行している期間に対応する範囲である。また、図3のグラフにおいて、範囲H3は、車両2の高度が、入口地点の高度よりも高い所定の高度で安定している範囲である。範囲H3における車両2の高度は、立体駐車場の2階の高度と推定できる。従って、範囲H3は、車両2が立体駐車場の2階を走行している期間に対応する範囲である。また、図3のグラフにおいて、範囲H4は、車両2の高度が、立体駐車場の2階の高度から徐々に高くなっていく範囲であり、車両2が立体駐車場の2階と3階とを接続するスロープを走行している期間に対応する範囲である。また、図3のグラフにおいて、範囲H5は、車両2の高度が、立体駐車場の2階の高度よりも高い所定の高度で安定している範囲である。範囲H5における車両2の高度は、立体駐車場の3階の高度と推定できる。従って、範囲H5は、車両2が立体駐車場の3階を走行している期間に対応する範囲である。
【0040】
図3の(A)のグラフに示すように、GPS精度は、タイミングTPまでの間、GPS精度:0m付近の高い精度で安定的に推移する。
図3の(A)のグラフに示すように、GPS精度は、車両2の立体駐車場の進入に応じて車両2が入口地点に位置すると、タイミングTPで、予め定められた閾値である良好判定精度閾値TH1(本例では、GPS精度:10m)を上回って悪化する。GPS精度は、タイミングTPの経過後も徐々に悪化していき、タイミングTAで、予め定められた閾値である悪化判定精度閾値TH2(本例では、GPS精度:100m)を上回って悪化する。GPS精度は、タイミングTAの経過後、所定のタイミングで、悪化のピークを迎える。GPS精度は、所定のタイミングで悪化のピークを迎えた後、徐々に良好化していき、タイミングTBで、悪化判定精度閾値TH2を下回って良好化する。GPS精度は、タイミングTBの経過後も徐々に良好化していき、タイミングTCで、良好化が停止する。GPS精度は、タイミングTCの経過後、タイミングTQに至るまで、高い精度が維持された状態で、安定的に推移する。
なお、事前のテスト、シミュレーションにより、GPS精度が、悪化のピークを迎えるタイミングは、車両2が、立体駐車場の1階と2階とを結ぶスロープを走行している間に発生することが判明している。
以下の説明では、車両2が入口地点に位置したタイミング(図3のタイミングTP)を「入口タイミング」という。また、車両2が駐車地点に位置したタイミング(図3のタイミングTQ)を「駐車タイミング」という。
【0041】
以上のように、駐車経路を車両2が走行する場合、GPS精度は、以下の特徴的な態様で推移する。すなわち、GPS精度は、車両2が入口地点に位置する入口タイミング(図3のタイミングTP)で、良好判定精度閾値TH1を上回った後、徐々に悪化する。GPS精度は、良好判定精度閾値TH1を上回って悪化した後、さらに、悪化判定精度閾値TH2を上回って悪化し、悪化のピークを迎える。GPS精度は、悪化のピークを迎えた後、徐々に良好化し、悪化判定精度閾値TH2を下回る。GPS精度は、悪化判定精度閾値を下回って良好化した後、さらに徐々に良好化していき、所定のタイミングで良好化が停止する。その後、GPS精度は、駐車タイミング(図3のタイミングTQ)に至るまで、高い精度が維持された状態で安定的に推移する。
【0042】
駐車経路を車両2が走行する場合に、GPS精度が、上述した推移となる理由は以下である。すなわち、車両2が立体駐車場に進入する前は、立体駐車場の壁、フロアーその他の立体駐車場に係る構造物に、GPSユニット21によるGPS電波(GPS信号)の受信が影響を受けず、GPS精度は高い精度で安定的に推移する。
【0043】
一方、車両2が立体駐車場に進入すると、立体駐車場に係る構造物が障害物となり、GPSユニット21によるGPS電波(GPS信号)の受信に影響を与えることになる。ここで、GPSユニット21は、受信強度が短い時間の間に急激に変動する場合に、急激な変動から受信強度が安定するまでの間、GPSユニット21が受信するGPS電波に係るGPS精度が継続して悪化していくという特徴がある。また、立体駐車場には、入口の付近に、立体駐車場における駐車を管理するための構造物や、立体駐車場への進入、退出を規制する構造物等のGPS電波の受信の障害物となり得る構造物が比較的多く存在するという特徴がある。また、車両2は、立体駐車場の入口付近では、立体駐車場に進入し又は退出する他の車両2の走行に応じて走行する必要がある。従って、立体駐車場に進入した後の車両2の走行に関して、立体駐車場に進入した後、しばらくの間は、車両2の走行が安定しないという特徴がある。
以上のような、GPSユニット21に関する特徴に由来する理由、立体駐車場に関する構造的な特徴に由来する理由、立体駐車場に進入した後の車両2の走行に関する特徴に由来する理由、その他の理由により、GPS精度は、車両2が立体駐車場の進入した後、所定の期間の間は、継続的に悪化していき、悪化のピークを迎える。悪化のピークを迎えた後、GPS精度は、GPSユニット21における受信強度の変動の安定化、立体駐車場におけるGPS電波の障害物の減少、立体駐車場における車両2の走行の安定化に伴って、徐々に良好化していく。そして、GPS精度は、ある水準で良好化が停止し、高い精度で安定的に推移する。
【0044】
本実施形態において、携帯端末4の情報処理部203は、駐車経路を車両2が走行する場合のGPS精度の推移に基づいて、以下の第1入口タイミング検出処理、又は、第2入口タイミング検出処理のいずれかの処理を行って、入口タイミングを検出することができる。
以下、第1入口タイミング検出処理、及び、第2入口タイミング検出処理について、順番に説明する。
【0045】
<第1入口タイミング検出処理>
図4は、情報処理部203が第1入口タイミング検出処理を実行するときの、車載装置3、及び、携帯端末4の動作を示すフローチャートである。図4の(A)は車載装置3の動作を示し、(B)は携帯端末4の動作(第1入口タイミング検出処理)を示す。
なお、以下の説明で明らかとなる通り、携帯端末4は、第1入口タイミング検出処理において、車両2が立体駐車場に駐車したことを検出した上で、入口タイミングを検出する。
また、図4では、説明の便宜のため、情報処理部203が第1入口タイミング検出処理を実行するトリガーを、車載装置3から所定の情報を受信したこと、としている。しかしながら、情報処理部203が、第1入口タイミング検出処理を実行するトリガーは、図4で例示するトリガーに限らない。
【0046】
ここで、車載装置3には、携帯端末4にインストールされた専用のアプリケーションに対応する専用のソフトウェアがインストールされる。車載装置3に係る専用のソフトウェアは、携帯端末4に係る専用のアプリケーションとの間で、論理的な通信経路を確立して、これらプログラム間で非同期でデータの送受信ができる状態を確立する機能を有する。そして、図4のフローチャートの開始時点では、携帯端末4の専用のアプリケーションが立ち上げられると共に、車載装置3の専用のソフトウェアが立ち上げられ、これらプログラム間で通信経路が確立された状態であるものとする。
また、車載装置3は、図4の(A)のフローチャートに示す処理を、車載装置3にインストールされた専用のソフトウェア、及び、当該専用のソフトウェアに付随するプログラムの機能により実行する。
【0047】
図4の(A)に示すように、車載装置3の車載装置制御部10は、車両情報取得部11からの入力に基づいて、車両2が駐車したか否かを監視する(ステップSA1)。上述したように、車載装置制御部10は、「車両2の速度=時速0km、かつ、ギアがパーキング(P)、かつ、パーキングブレーキがオン状態」の場合に、車両2が駐車したと判別する。
車両2が駐車した場合(ステップSA1:YES)、車載装置制御部10は、車両2が駐車したことを示す情報を、携帯端末4に送信する(ステップSA2)。
【0048】
携帯端末4の情報処理部203は、車両2が駐車したことを示す情報を受信する(ステップSB1)。
次いで、情報処理部203は、GPS精度推移データ241を参照し、GPS精度が検出されたタイミングのうち、駐車タイミング(図3の例では、タイミングTQ)を検出する(ステップSB2)。
次いで、情報処理部203は、GPS精度推移データ241を参照し、駐車タイミングから遡って、最初にGPS精度が悪化判定精度閾値を上回って悪くなるタイミングである悪化タイミング(図3の例では、タイミングTB)を検出する(ステップSB3)。
【0049】
次いで、情報処理部203は、平面位置推移データ242を参照し、駐車タイミングにおける車両2の平面位置と、悪化タイミングにおける車両2の平面位置との離間距離を検出する(ステップSB4)。詳述すると、ステップSB4において、情報処理部203は、平面位置推移データ242を参照し、駐車タイミングでGPS処理部201が検出した車両2の平面位置を取得する。次いで、情報処理部203は、平面位置推移データ242を参照し、悪化タイミングでGPS処理部201が検出した車両2の平面位置を取得する。次いで、情報処理部203は、取得した駐車タイミングでGPS処理部201が検出した車両2の平面位置と、取得した悪化タイミングでGPS処理部201が検出した車両2の平面位置とに基づいて、三平方の定理により、これら平面位置の離間距離を検出する。
以下、駐車タイミングにおける車両2の平面位置と、悪化タイミングにおける車両2の平面位置との離間距離を「駐車/悪化地点離間距離」という。
【0050】
次いで、情報処理部203は、検出した駐車/悪化地点離間距離が、予め定められた閾値である駐車/悪化地点距離閾値を下回るか否かを判別する(ステップSB5)。
駐車/悪化地点離間距離が、駐車/悪化地点距離閾値を下回らない場合(ステップSB5:NO)、情報処理部203は、入口タイミングを検出することなく、処理を停止する(ステップSB6)。
ステップSB6の処理は、以下の理由で実行される。すなわち、車両2が駐車経路を走行して立体駐車場に駐車した場合、駐車タイミングにおける車両2の平面位置、及び、悪化タイミングにおける車両2の平面位置は、共に、立体駐車場の領域内に存在する。従って、車両2が駐車経路を走行して立体駐車場に駐車した場合における駐車/悪化地点離間距離は、立体駐車場の領域の大きさを反映した所定の距離を超えて離間しない。以上を踏まえ、想定される立体駐車場の領域の大きさを反映して、事前に駐車/悪化地点距離閾値が定められる。そして、情報処理部203は、検出した駐車/悪化地点離間距離が、駐車/悪化地点距離閾値を下回らない場合は、車両2が立体駐車場に駐車していない可能性があるものとして、入口タイミングの検出を行わない。
【0051】
ステップSB5において、検出した駐車/悪化地点離間距離が、駐車/悪化地点距離閾値を下回ると判別した場合(ステップSB5:YES)、情報処理部203は、GPS精度推移データ241を参照し、悪化タイミングから遡って、最初にGPS精度が良好判定精度閾値TH1を下回って良くなるタイミングである良好タイミング(図3の例では、タイミングTA)を検出する(ステップSB7)。
【0052】
次いで、情報処理部203は、平面位置推移データ242を参照し、悪化タイミングにおける車両2の平面位置と、良好タイミングにおける車両2の平面位置との離間距離(以下、「悪化/良好地点離間距離」という。)を検出する(ステップSB8)。情報処理部203は、悪化タイミングにおける車両2の平面位置と、良好タイミングにおける車両2の平面位置との離間距離の検出を、駐車タイミングにおける車両2の平面位置と、悪化タイミングにおける車両2の平面位置との離間距離を検出する方法と同様の方法で行う。
【0053】
次いで、情報処理部203は、検出した悪化/良好地点離間距離が、予め定められた閾値である悪化/良好地点距離閾値を下回るか否かを判別する(ステップSB9)。
悪化/良好地点離間距離が、悪化/良好地点距離閾値を下回らない場合(ステップSB9:NO)、情報処理部203は、入口タイミングを検出することなく、処理を停止する(ステップSB10)。ステップSB10の処理は、ステップSB6の処理と同様の理由で実行される。
【0054】
悪化/良好地点離間距離が、悪化/良好地点距離閾値を下回る場合(ステップSB9:YES)、情報処理部203は、高度推移データ243を参照し、駐車タイミングにおける車両2の高度と、良好タイミングにおける車両2の高度との高度差を検出する(ステップSB11)。詳述すると、ステップSB11において、情報処理部203は、高度推移データ243を参照し、駐車タイミングで高度検出部202が検出した車両2の高度を取得する。次いで、情報処理部203は、高度推移データ243を参照し、良好タイミングで高度検出部202が検出した車両2の高度を取得する。次いで、情報処理部203は、取得した駐車タイミングで高度検出部202が検出した車両2の高度と、取得した良好タイミングで高度検出部202が検出した車両2の高度とに基づいて、これら高度の差を算出することにより、高度差を検出する。
【0055】
次いで、情報処理部203は、ステップSB11で検出した高度差が、予め定められた高度閾値を上回るか否かを判別する(ステップSB12)。
検出した高度差が、高度閾値を上回らない場合(ステップSB12:NO)、情報処理部203は、所定の記憶領域に記憶された立体駐車場判定フラグ(後述)について状態を変更しない(ステップSB13)。その後、情報処理部203は、処理手順をステップSB15へ移行する。
一方、検出した高度差が、高度閾値を上回る場合(ステップSB12:YES)、情報処理部203は、立体駐車場判定フラグをオン状態とする(ステップSB14)。その後、情報処理部203は、処理手順をステップSB15へ移行する。
ステップSB12〜ステップSB14の処理は、以下の理由で実行される。
すなわち、第1入口タイミング検出処理では、車両2が立体駐車場に駐車した旨のユーザーの入力が行われないため、車両2が立体駐車場に駐車したかどうかの判定が必要である。ここで、車両2が駐車経路を走行して立体駐車場の2階以上の階層に駐車した場合、入口タイミングにおける車両2の高度と、駐車タイミングにおける車両2の高度との高度差は、少なくとも、階層間の高さ方向の幅以上となる。従って、入口タイミングにおける車両2の高度と、駐車タイミングにおける車両2の高度との高度差が、階層間の高さ方向の幅以上であれば、ステップSB5の処理、及び、ステップSB9の処理が行われていることを考慮すると、非常に高い確率で車両2が立体駐車場に駐車したと言える。一方で、入口タイミングにおける車両2の高度と、駐車タイミングにおける車両2の高度との高度差が、階層間の高さ方向の幅以上でない場合は、車両2が立体駐車場の1階に駐車した可能性がある一方、車両2が立体駐車場以外の場所に駐車した可能性がある。
以上を踏まえ、立体駐車場における階層間の高さ方向の幅を反映して、事前に高度閾値が定められる。そして、情報処理部203は、検出した高度差が、高度閾値を上回る場合は、立体駐車場判定フラグをオン状態とする。一方、情報処理部203は、検出した高度差が、高度閾値を上回らない場合は、立体駐車場判定フラグの状態を変更しない。これにより、情報処理部203は、立体駐車場判定フラグを参照することにより、車両2が立体駐車場に駐車していない可能性があることを適切に管理できる。
【0056】
ステップSB15において、情報処理部203は、良好タイミングを、入口タイミングとする。
【0057】
情報処理部203は、図4の(B)のフローチャートで示す第1入口タイミング検出処理を実行して入口タイミングを検出することにより、上述した駐車経路を走行して立体駐車場に駐車する場合のGPS精度の推移の特徴を反映して適切に入口タイミングを検出できる。
特に、第1入口タイミング検出処理によれば、情報処理部203は、車両2が立体駐車場の入口地点に位置したタイミングにおけるユーザーの作業を必要とすることなく、自動で入口タイミングを検出できる。
【0058】
<第2入口タイミング検出処理>
次に、第2入口タイミング検出処理について説明する。
図5は、情報処理部203が第2入口タイミング検出処理を実行するときの、車載装置3、携帯端末4、及び、ウェアラブル端末5の動作を示すフローチャートである。図5の(A)は車載装置3の動作を示し、(B)は携帯端末4の動作(第2入口タイミング検出処理)を示し、(C)はウェアラブル端末5の動作を示す。
なお、図5では、説明の便宜のため、情報処理部203が第2入口タイミング検出処理を実行するトリガーを、車載装置3から所定の情報を受信したこと、としている。しかしながら、情報処理部203が、第2入口タイミング検出処理を実行するトリガーは、図5で例示するトリガーに限らない。
【0059】
ここで、ウェアラブル端末5には、携帯端末4にインストールされた専用のアプリケーションに対応する専用のソフトウェアがインストールされる。ウェアラブル端末5に係る専用のソフトウェアは、携帯端末4に係る専用のアプリケーションとの間で、論理的な通信経路を確立して、これらプログラム間で非同期でデータの送受信ができる状態を確立する機能を有する。そして、図5のフローチャートの開始時点では、携帯端末4の専用のアプリケーションが立ち上げられると共に、ウェアラブル端末5の専用のソフトウェアが立ち上げられ、これらプログラム間で通信経路が確立された状態であるものとする。ウェアラブル端末5は、図5の(C)のフローチャートに示す処理を、ウェアラブル端末5にインストールされた専用のソフトウェア、及び、当該専用のソフトウェアに付随するプログラムの機能により実行する。
また、図5のフローチャートの開始時点では、携帯端末4の専用のアプリケーションが立ち上げられると共に、上述した車載装置3の専用のソフトウェアが立ち上げられ、これらプログラム間で通信経路が確立された状態であるものとする。
【0060】
図5の(A)に示すように、車載装置3の車載装置制御部10は、車両情報取得部11からの入力に基づいて、車両2が駐車したか否かを監視する(ステップSC1)。
車両2が駐車した場合(ステップSC1:YES)、車載装置制御部10は、車両2が駐車したことを示す情報を、携帯端末4に送信する(ステップSC2)。
【0061】
図5の(B)に示すように、携帯端末4の情報処理部203は、車両2が駐車したことを示す情報を受信する(ステップSD1)。
次いで、情報処理部203は、車両2が駐車したことを示す情報を、ウェアラブル端末5に送信する(ステップSD2)。
【0062】
図5の(C)に示すように、ウェアラブル端末5のウェアラブル端末制御部30は、車両2が駐車したことを示す情報を受信する(ステップSE1)。
次いで、ウェアラブル端末制御部30は、立体駐車場に駐車したか否かを問い合わせ、さらに、立体駐車場に駐車した場合、駐車した階層を問い合わせるユーザーインターフェースを、ウェアラブル端末タッチパネル33に表示させる(ステップSE2)。
図6は、ステップSE2の処理により、ウェアラブル端末タッチパネル33に表示されるユーザーインターフェースの一例を示す図である。
図6に例示するユーザーインターフェースでは、立体駐車場に駐車したか否かを選択的に入力できる。また、図6に例示するユーザーインターフェースでは、駐車した階層をプルダウンメニューから、駐車した階層を示す項目を選択することにより入力できる。
ユーザーは、立体駐車場に駐車した場合、ウェアラブル端末タッチパネル33に表示されたユーザーインターフェースに、立体駐車場に駐車したことを示す入力、及び、駐車した階層を示す入力を行う(ステップSX1)。
なお、立体駐車場に停車していない場合、ユーザーは、インターフェースに、立体駐車場に駐車していないことを示す入力を行う。ウェアラブル端末5は、立体駐車場に駐車していないことを示す情報を携帯端末4に送信する。携帯端末4は、立体駐車場に駐車していなことを示す情報を受信すると、処理を停止し、入口タイミングの検出を行わない。
【0063】
ステップSX1で、ユーザーから、ユーザーインターフェースに対して、立体駐車場に駐車したことを示す入力、及び、駐車した階層を示す入力があった場合、ウェアラブル端末制御部30は、以下の処理を実行する。すなわち、ウェアラブル端末制御部30は、ユーザーから入力された駐車した階層を示す情報(以下、「指定駐車階層情報」という。)を、携帯端末4に送信する(ステップSE3)。
【0064】
図5の(B)に示すように、携帯端末4の情報処理部203は、指定駐車階層情報を受信する(ステップSD3)。
次いで、情報処理部203は、受信した指定駐車階層情報に基づいて、ユーザーから入力された車両2が駐車した階層を取得する(ステップSD4)。
次いで、情報処理部203は、高度推移データ243を参照し、駐車タイミングにおける車両2の高度を検出する(ステップSD5)。
次いで、情報処理部203は、高度推移データ243に基づいて、2階付近タイミングを検出する(ステップSD6)。
以下、図3の(B)を援用して、ステップSD6の処理、及び、2階付近タイミングについて説明する。
【0065】
ここで、立体駐車場における階層間の高さ方向の幅は、立体駐車場ごとに大きく相違しないという特徴がある。具体的には、多くの立体駐車場について、階層間の高さ方向の幅は、「2.7m」を中心とした一定の範囲内にある。このことに基づいて、立体駐車場における階層間の高さ方向の幅の基準値として、「2.7m」が事前に定められている。以下、立体駐車場における階層間の高さ方向の幅の基準値を、「階層幅」という。なお、本実施形態では、階層幅の値は、「2.7m」であるが、階層幅の値は、例示した値に限らない。
以上を踏まえ、ステップSD6において、情報処理部203は、高度推移データ243を参照し、駐車タイミングで高度検出部202により検出された車両2の高度を検出する。次いで、情報処理部203は、以下の式K1により、2階の高度を推定する。
(式K1):Z1=Z2−(Z3×(Z4−2))。
なお、式K1において、Z1は、2階の高度を示す。Z2は、駐車タイミングにおける車両2の高度を示す。Z3は、階層幅を示す。Z4は、車両2が駐車した階層を示す。
なお、2階の高度を推定する方法は、例示した方法に限らず、どのような方法であってもよい。
2階の高度を推定した後、情報処理部203は、以下のようにして2階付近タイミングを検出する。すなわち、情報処理部203は、高度推移データ243に基づいて、高度検出部202により高度が検出されたタイミングのうち、駐車タイミングから遡って最初に、推定した2階の高度(一定のマージンを反映するものとする。)に対応する高度が検出されたタイミングである2階付近タイミングを検出する。
図3の(B)では、タイミングTDが、情報処理部203により、ステップSD6の処理によって2階付近タイミングとして検出されるタイミングである。
【0066】
図5の(B)に示すように、ステップSD6で2階付近タイミングを検出した後、情報処理部203は、GPS精度推移データ241を参照し、2階付近タイミングから遡って、最初にGPS精度が悪化判定精度閾値を上回って悪くなるタイミングである悪化タイミング(図3の例では、タイミングTB)を検出する(ステップSD7)。
上述したように、駐車経路を車両2が走行する場合、GPS精度が悪化のピークを迎えるタイミングは、車両2が、立体駐車場の1階と2階とを結ぶスロープを走行している間に発生することが判明している。つまり、悪化タイミングは、2階付近タイミングよりも時間的に前に発生する。
ここで、上述した第1入口タイミング検出処理では、情報処理部203は、駐車タイミングから遡って悪化タイミングを検出した。一方、第2入口タイミング検出処理では、情報処理部203は、2階付近タイミングを検出した上で、2階付近タイミングから遡って悪化タイミングを検出する。これにより、以下の効果を奏する。
すなわち、駐車タイミングは、悪化タイミングの後、長時間が経過してから発生する場合があり得る。例えば、立体駐車場が10階建てであり、10階に駐車する場合、入口を介して立体駐車場に進入した後、10階に駐車するまでには長時間を要する。この場合、悪化タイミングと駐車タイミングとの間の経過時間は長時間となる。そして、悪化タイミングと駐車タイミングとの間の経過時間が長ければ長いほど、これらタイミングの間にノイズ、その他の理由によりGPS精度が悪化判定精度閾値を超えて悪化する事態が生じる可能性が高くなる。
一方、2階付近タイミングは、車両2が2階に位置した状態であり、立体駐車場が何階建てかにかかわらず、2階付近タイミングと、悪化タイミングとの経過時間は短時間であると想定される。従って、2階付近タイミングと悪化タイミングとの間に想定しない態様で偶発的にGPS精度が悪化判定精度閾値を超えて悪化する事態が生じる可能性は、駐車タイミングと悪化タイミングとの間に当該事態生じる可能性よりも小さい。以上を踏まえ、2階付近タイミングから遡って悪化タイミングを検出することにより、車両2が駐車経路を走行する場合のGPS精度の推移の特徴を踏まえて、適切に悪化タイミングを検出できる。
【0067】
悪化タイミングを検出した後、情報処理部203は、平面位置推移データ242を参照し、2階付近タイミングにおける車両2の平面位置と、悪化タイミングにおける車両2の平面位置との離間距離を検出する(ステップSD8)
以下、2階付近タイミングにおける車両2の平面位置と、悪化タイミングにおける車両2の平面位置との離間距離を「2階/悪化地点離間距離」という。
【0068】
次いで、情報処理部203は、検出した2階/悪化地点離間距離が、予め定められた閾値である2階/悪化地点距離閾値を下回るか否かを判別する(ステップSD9)。
2階/悪化地点離間距離が、2階/悪化地点距離閾値を下回らない場合(ステップSD9:NO)、情報処理部203は、入口タイミングを検出することなく、処理を停止する(ステップSD10)。ステップSD10の処理は、ステップSB6の処理と同様の理由で実行される。
【0069】
ステップSD9において、検出した2階/悪化地点離間距離が、2階/悪化地点距離閾値を下回ると判別した場合(ステップSD9:YES)、情報処理部203は、GPS精度推移データ241を参照し、悪化タイミングから遡って、最初にGPS精度が良好判定精度閾値TH1を下回って良くなるタイミングである良好タイミング(図3の例では、タイミングTA)を検出する(ステップSD11)。
【0070】
次いで、情報処理部203は、平面位置推移データ242を参照し、悪化/良好地点離間距離を検出する(ステップSD12)。上述したように、悪化/良好地点離間距離は、悪化タイミングにおける車両2の平面位置と、良好タイミングにおける車両2の平面位置との離間距離である。
【0071】
次いで、情報処理部203は、検出した悪化/良好地点離間距離が、予め定められた閾値である悪化/良好地点距離閾値を下回るか否かを判別する(ステップSD13)。
悪化/良好地点離間距離が、悪化/良好地点距離閾値を下回らない場合(ステップSD13:NO)、情報処理部203は、入口タイミングを検出することなく、処理を停止する(ステップSD14)。ステップSD14の処理は、ステップSB6の処理と同様の理由で実行される。
【0072】
悪化/良好地点離間距離が、悪化/良好地点距離閾値を下回る場合(ステップSD13:YES)、情報処理部203は、良好タイミングを、入口タイミングとする(ステップSD15)。
【0073】
情報処理部203は、図5の(B)のフローチャートで示す第2入口タイミング検出処理を実行して入口タイミングを検出することにより、上述した駐車経路を走行して立体駐車場に駐車する場合のGPS精度の推移の特徴を反映して適切に入口タイミングを検出できる。
【0074】
次に、サービス提供サーバー7について説明する。
サービス提供サーバー7は、立体駐車場に車両2を駐車させたユーザーに対して、立体駐車場に関する有益な情報を通知するサービスを提供する機能を有する。具体的には、サービス提供サーバー7は、ユーザーからの問い合わせに応じて、ユーザーに対して、少なくとも、立体駐車場において車両2が駐車した階層を示す情報を通知するサービスを提供する。
このサービスは、例えば、以下の方法で実現することも可能である。すなわち、地図上に存在する立体駐車場について、作業者が、サービスを提供するために必要な情報を有するデータベースを構築する。次いで、データベースをサービス提供サーバー7に記憶させる。そして、サービス提供サーバー7は、記憶するデータベースに基づいて、サービスを提供する。
しかしながら、この方法では、以下の課題がある。すなわち、地図上に存在する立体駐車場の数は非常に多い。このため、立体駐車場のそれぞれについて、サービスの提供に必要な情報を調査し、調査の結果に基づいてデータベースを構築するのには、非常な労力を要する。
以上を踏まえ、本実施形態に係るサービス提供サーバー7は、サービスの提供のために必要な情報を収集して、収集した情報に基づいて、適宜、立体駐車場データベースを更新して、立体駐車場データベース421(後述)を構築する。そして、サービス提供サーバー7は、構築した立体駐車場データベース421に基づいて、サービスを提供する。
以下、立体駐車場データベース421を構築する段階、及び、構築した立体駐車場データベース421に基づいてサービスを提供する段階のそれぞれの段階について、サービス提供サーバー7を含む各装置の動作を説明する。
【0075】
<立体駐車場データベース421を構築する段階>
図7は、立体駐車場データベース421を構築する段階の携帯端末4、及び、サービス提供サーバー7の動作を示すフローチャートである。図7の(A)は携帯端末4の動作を示し、(B)はサービス提供サーバー7の動作を示す。
なお、図7の(A)のフローチャートに示す携帯端末4の動作は、車両2の駐車に応じて行われる。
また、携帯端末4は、動作モードとして、図7(A)のフローチャートに示す処理を行う「投稿モード」を備える。ユーザーは、所定の手段で、動作モードの投稿モードへの切り替えを実行できる。図7の(A)のフローチャートの開始時点では、携帯端末4の動作モードは、「投稿モード」である。
なお、動作モードの切り替えは、ユーザーによる手動ではなく、自動で行われてもよい。例えば、立体駐車場データベース421の状態に応じて、サービス提供サーバー7から携帯端末4に対して、動作モードの切り替えを指示する情報を送信し、携帯端末4が、受信した情報に基づいて自動で切り替える構成でもよい。
【0076】
図7の(A)に示すように、携帯端末4の情報処理部203は、車両2の駐車に応じて、上述した第2入口タイミング検出処理を実行し、入口タイミングを検出する(ステップSF1)。このように動作モードが投稿モードの場合、情報処理部203は、車両2の駐車に応じて、第2入口タイミング検出処理を実行する。なお、上述したように、車両2が立体駐車場に駐車していない場合、又は、立体駐車場に駐車していない可能性がある場合、入口タイミングの検出は行われない。
次いで、情報処理部203は、ステップSF1の処理の結果に基づいて、車両2が立体駐車場に駐車したか否かを判別する(ステップSF2)。
車両2が立体駐車場に駐車していない場合(ステップSF2:NO)、情報処理部203は、処理を終了する。
【0077】
車両2が立体駐車場に駐車している場合(ステップSF2:YES)、情報処理部203は、入口タイミングにおいてGPS処理部201が検出した車両2の平面位置を検出すし、検出した平面位置を示す入口平面位置情報を生成する(ステップSF3)。入口タイミングにおける車両2の平面位置は、立体駐車場の入口地点に対応する。
次いで、情報処理部203は、入口タイミングにおいて高度検出部202が検出した車両2の高度を検出し、検出した高度を示す入口高度情報を生成する(ステップSF4)。入口タイミングにおける車両2の高度は、立体駐車場の入口地点の高度に対応する。
【0078】
次いで、情報処理部203は、第2入口タイミング検出処理において、ウェアラブル端末5から受信した指定駐車階層情報を取得する(ステップSF5)。上述したように、指定駐車階層情報は、車両2が駐車した階層を示す情報である。
次いで、情報処理部203は、入口タイミングにおける車両2の高度と、駐車タイミングにおける車両2の高度との高度差を検出し、検出した高度差を示す高度差情報を生成する(ステップSF6)。以下、ステップSF6の処理について詳述する。
【0079】
ステップSF6において、情報処理部203は、高度推移データ243を参照し、駐車タイミングで高度検出部202が検出した車両2の高度を検出する。駐車タイミングにおける車両2の高度は、立体駐車場の駐車地点の高度に対応する。
次いで、情報処理部203は、検出した駐車タイミングにおける車両2の高度と、ステップSF4で検出した入口タイミングにおける車両2の高度との「差」を、高度差として検出する。
このようにして検出された高度差は、入口地点を基準とした駐車地点の高さとして非常に精度の高い値である。なぜなら、入口タイミングにおける車両2の高度、及び、駐車タイミングにおける車両2の高度は、それぞれ、同一の装置(本例では、携帯端末4)によって検出される。仮に、入口タイミングにおける車両2の高度、及び、駐車タイミングにおける車両2の高度を異なる装置によって検出した場合、装置の個体差、性能差に由来する誤差が生じる可能性があるが、ステップSF6で検出される高度差には、このような誤差が生じない。
また、高度差は、入口地点を基準地点とし、駐車地点を測定対象の地点としたときの、入口地点(基準地点)を基準とした、駐車地点(測定対象の地点)の相対的な高さを表している。このように、基準地点を基準として測定対象の地点の相対的な高さを検出する場合、基準地点と、測定対象の地点との離間距離が小さいほど、高い精度で相対的な高さを検出することができる。基準地点と、測定対象の地点との離間距離が小さければ小さいほど、気圧変動の影響が小さいからである。そして、入口地点と、駐車地点とは、同一の立体駐車場の領域に存在しており、これら地点は近接しており、これら地点間で生じる気圧変動は、無視できる程度に小さい。
同様に、基準地点を基準として測定対象の地点の相対的な高さを検出する場合、基準地点で高さを検出したタイミングと、特定対象の地点で高さを検出したタイミングとの間の経過時間が小さいほど、高い精度で相対的な高さを検出することができる。当該経過時間が小さければ小さいほど、気圧変動の影響が小さいからである。そして、入口タイミングと、駐車タイミングとの間の経過時間は、車両2が立体駐車場に進入してから駐車するまでに要した時間であり、当該経過時間は非常に短く、各タイミングの時間的な差異により気圧変動は、無視できる程度に小さい。
【0080】
次いで、情報処理部203は、入口平面位置情報、入口高度情報、指定駐車階層情報、及び、高度差情報を含む投稿情報を生成し、サービス提供サーバー7に送信する(ステップSF7)。投稿情報を送信するために必要な情報(送信先のアドレス、使用する通信プロトコル等)は、携帯端末4に事前に登録される。
投稿情報に含まれる指定駐車階層情報は「駐車階層情報」に相当する。また、投稿情報に含まれる入口平面位置情報は「入口位置情報」に相当する。
【0081】
図7の(B)に示すように、サービス提供サーバー7のサーバー制御部40は、投稿情報を受信する(ステップSG1)。
次いで、サーバー制御部40は、受信した投稿情報に基づいて、サーバー記憶部42が記憶する投稿情報データベース422を更新する(ステップSG2)。
投稿情報データベース422は、携帯端末4から受信した投稿情報を累積的に記憶するデータベースである。ステップSG2において、サーバー制御部40は、投稿情報データベース422に、少なくとも投稿情報を有する1件のレコードを生成する。
以下、投稿情報データベース422が有するレコードを、「投稿情報レコード」という。また、ステップSG1で受信した投稿情報を、「受信投稿情報」という。
【0082】
次いで、サーバー制御部40は、投稿情報データベース422を参照し、当該データベースが有する投稿情報レコードのうち、受信投稿情報に係る入口と同一の入口に係る投稿情報レコードを特定する(ステップSG3)。
なお、受信投稿情報に係る入口とは、受信投稿情報の生成に際して、車両2が進入した立体駐車場の入口を意味する。また、投稿情報レコードに係る入口とは、投稿情報レコードの元となった投稿情報に係る立体駐車場の入口を意味する。
ステップSG3において、サーバー制御部40は、ステップSG1で受信した投稿情報に含まれる入口平面位置情報、及び、入口高度情報を取得する。
【0083】
次いで、サーバー制御部40は、投稿情報データベース422が有する投稿情報レコードから、以下の2つの条件の双方を満たす投稿情報レコードを特定する。第1の条件:投稿情報レコードが有する入口平面位置情報が示す平面位置が、取得した入口平面位置情報が示す平面位置を中心とした所定の範囲内にあること。第2の条件:投稿情報レコードが有する入口高度情報が示す高度が、取得した入口高度情報が示す高度を中心とした所定の範囲内にあること。
投稿情報レコードが、受信投稿情報との関係で第1の条件、及び、第2の条件を満たす場合、受信投稿情報に係る入口と、投稿情報レコードに係る入口とは同一である可能性が高い。なぜなら、この場合、これら入口は、平面位置が近接し、かつ、高度が近接しているからである。つまり、第1の条件、及び、第2の条件を満たすか否かの判別は、受信投稿情報に係る入口と、投稿情報レコードに係る入口とが同一か否かを判別することを目的として行われる。なお、第1の条件における所定の範囲、及び、第2の条件における所定の範囲は、それぞれ、受信投稿情報に係る入口と、投稿情報レコードに係る入口とが同一か否かを判別するための条件という観点のもと、適切な値が設定される。
受信投稿情報に係る入口と、投稿情報レコードに係る入口とが同一か否かの判別について、平面位置のみならず、高度も考慮するのは、以下の理由による。すなわち、立体駐車場においては、複数の階層に入口が設けられる場合がある。そして、複数の階層の入口は、各入口の平面位置が同一又は近接した状態で、立体駐車場に設けられる場合がある。このような場合であっても、高度を考慮して受信投稿情報に係る入口と、投稿情報レコードに係る入口とが同一か否かの判別を行うことにより、同一の立体駐車場の異なる階層に設けられた入口のそれぞれを、異なる入口として区別することができる。
【0084】
なお、ステップSG3の処理では、特定される投稿情報レコードが1つもない場合があるが、この場合、サーバー制御部40は、対応する投稿情報レコードが存在しないと判別する。
【0085】
次いで、サーバー制御部40は、受信投稿情報、及び、ステップSG3で特定した投稿情報レコードに基づいて、立体駐車場データベース421を更新する(ステップSG4)。以下、ステップSG4の処理について詳述する。
【0086】
立体駐車場データベース421は、サービス提供サーバー7が受信した投稿情報に基づいて、入口ごとにレコードを有するデータベースである。同一の立体駐車場に設けられた異なる入口は、立体駐車場データベース421にそれぞれ異なるレコードが登録される。
図8の(A)は、立体駐車場データベース421の1件のレコードが有する情報を模式的に示す図である。
以下の説明では、立体駐車場データベース421のレコードを「立体駐車場レコード」という。
【0087】
図8の(A)に示すように、立体駐車場レコードは、入口識別情報を有する。入口識別情報は、入口を識別するために、入口ごとに(立体駐車場レコードごとに)一意な値を有する情報である。
また、立体駐車場レコードは、入口関連情報を有する。入口関連情報は、平均入口緯度情報と、平均入口経度情報と、平均入口高度情報と、投稿状態情報とを有する。
平均入口緯度情報とは、サービス提供サーバー7が、対応する入口について受信した投稿情報入口平面位置情報が示す入口の緯度の平均値を示す情報である。
平均入口経度情報とは、サービス提供サーバー7が、対応する入口について受信した投稿情報の入口平面位置情報が示す入口の経度の平均値を示す情報である。
平均入口高度情報とは、サービス提供サーバー7が、対応する入口について受信した投稿情報の入口高度情報が示す入口の高度の平均値を示す情報である。
投稿状態情報とは、対応する入口に関し、後述するサービスを提供可能な程度に十分な数の投稿情報を受信したか否かを示す情報である。投稿状態情報は、十分な数の投稿情報を受信したことを示す値、又は、十分な数の投稿情報を受信していないことを示す値のいずれかの値をとる。
【0088】
また、立体駐車場レコードは、階層関連情報を有する。階層関連情報は、階層ごとに、階層詳細情報を有する。階層詳細情報は、平均高度差情報と、標準偏差情報と、投稿数情報とを有する。
平均高度差情報は、サービス提供サーバー7が、対応する入口が設けられた立体駐車場における対応する階層について受信した投稿情報の高度差情報が示す高度差の平均値を示す情報である。
標準偏差情報は、サービス提供サーバー7が、対応する入口が設けられた立体駐車場における対応する階層について受信した投稿情報の高度差情報が示す高度差の標準偏差を示す情報である。
投稿数情報は、サービス提供サーバー7が、対応する入口が設けられた立体駐車場における対応する階層について受信した投稿情報の数を示す情報である。
【0089】
ステップSG3で特定した投稿情報レコードが1つもない場合、ステップSG4で、サーバー制御部40は、以下の処理を実行する。
すなわち、サーバー制御部40は、立体駐車場データベース421に新たに1件の立体駐車場レコードを登録する。
新たに登録する立体駐車場レコードにおいて、サーバー制御部40は、入口識別情報の値を、他のレコードの入口識別情報とは異なる一意な値とする。
また、新たに登録する立体駐車場レコードにおいて、サーバー制御部40は、平均入口緯度情報の値を、受信投稿情報の入口平面位置情報が示す入口の緯度とする。
また、新たに登録する立体駐車場レコードにおいて、サーバー制御部40は、平均入口経度情報の値を、受信投稿情報の入口平面位置情報が示す入口の経度とする。
また、新たに登録する立体駐車場レコードにおいて、サーバー制御部40は、平均入口高度情報の値を、受信投稿情報の入口高度情報が示す入口の高度とする。
また、新たに登録する立体駐車場レコードにおいて、サーバー制御部40は、投稿状態情報の値を、十分な数の投稿情報を受信していないことを示す値とする。
【0090】
また、新たに登録する立体駐車場レコードにおいて、サーバー制御部40は、階層関連情報に、指定駐車階層情報が示す階層の階層詳細情報を追加する。
追加する階層詳細情報について、サーバー制御部40は、平均高度差情報の値を、受信投稿情報の高度差情報が示す高度差とする。
追加する階層詳細情報について、サーバー制御部40は、標準偏差情報をヌル値とする。
追加する階層詳細情報について、サーバー制御部40は、投稿数情報の値を「1」とする。
【0091】
一方、ステップSG3で特定した投稿情報レコードが1つ以上ある場合、ステップSG4で、サーバー制御部40は、以下の処理を実行する。
すなわち、サーバー制御部40は、立体駐車場データベース421の立体駐車場レコードのうち、受信投稿情報に係る入口に対応するレコードを特定する。
特定した立体駐車場レコードにおいて、サーバー制御部40は、平均入口緯度情報の値を、受信投稿情報の入口平面位置情報が示す緯度、及び、ステップSG3で特定した投稿情報レコードのそれぞれの入口平面位置情報が示す緯度の平均値とする。
また、特定した立体駐車場レコードにおいて、サーバー制御部40は、平均入口経度情報の値を、受信投稿情報の入口平面位置情報が示す経度、及び、ステップSG3で特定した投稿情報レコードのそれぞれの入口平面位置情報が示す経度の平均値とする。
また、特定した立体駐車場レコードにおいて、サーバー制御部40は、平均入口高度情報の値を、受信投稿情報の入口高度情報が示す高度、及び、ステップSG3で特定した投稿情報レコードのそれぞれの入口高度情報が示す高度の平均値とする。
また、サーバー制御部40は、所定の手段で、対応する入口が設けられた立体駐車場の各階層について、後述するサービスを提供可能な程度に十分に、投稿情報を受信したか否かを判別する。そして、サーバー制御部40は、投稿状態情報を、判別結果に対応する値とする。
【0092】
また、サーバー制御部40は、特定した立体駐車場レコードの階層関連情報に、指定駐車階層情報が示す階層の階層詳細情報が存在するか否かを判別する。
階層詳細情報が存在しない場合、立体駐車場レコードを新たに登録する場合と同様の方法で、階層関連情報に階層詳細情報を追加する。
階層詳細情報が存在する場合、対応する階層詳細情報について、サーバー制御部40は、平均高度差情報の値を、受信投稿情報の高度差情報が示す高度差に基づいて更新する。
また、対応する階層詳細情報について、サーバー制御部40は、標準偏差情報の値を、受信投稿情報の高度差情報が示す高度差に基づいて更新する。
また、対応する高度差情報について、サーバー制御部40は、投稿数情報の値をインクリメントする。
【0093】
以上のようにして、サービス提供サーバー7のサーバー制御部40は、携帯端末4から投稿情報を受信し、受信した投稿情報に基づいて、立体駐車場データベース421を更新し、これにより立体駐車場データベース421を構築する。
【0094】
<構築した立体駐車場データベース421に基づいてサービスを提供する段階>
次に、サービス提供サーバー7が、立体駐車場データベース421に基づいてサービスを提供する場合の、サービス提供サーバー7を含む各装置の動作について説明する。
まず、サービス提供サーバー7のサービスの提供のために、前提となる携帯端末4の動作について説明する。
図9は、携帯端末4の動作を示すフローチャートである。
なお、図9のフローチャートに示す携帯端末4の動作は、車両2の駐車に応じて行われる。
また、携帯端末4は、動作モードとして、図9のフローチャートに示す処理を行う「対応モード」を備える。ユーザーは、所定の手段で、動作モードの対応モードへの切り替えを実行できる。図9のフローチャートの開始時点では、携帯端末4の動作モードは、「対応モード」である。
なお、動作モードの切り替えは、ユーザーによる手動ではなく、自動で行われてもよい。例えば、立体駐車場データベース421の状態に応じて、サービス提供サーバー7から携帯端末4に対して、動作モードの切り替えを指示する情報を送信し、携帯端末4が、受信した情報に基づいて自動で切り替える構成でもよい。
【0095】
図9に示すように、携帯端末4の情報処理部203は、車両2の駐車に応じて、上述した第1入口タイミング検出処理を実行し、入口タイミングを検出する(ステップSH1)。このように動作モードが対応モードの場合、情報処理部203は、車両2の駐車に応じて、第1入口タイミング検出処理を実行する。なお、上述したように、車両2が立体駐車場に駐車していない場合、又は、立体駐車場に駐車していない可能性がある場合、入口タイミングの検出は行われない。
【0096】
次いで、情報処理部203は、第1入口タイミング検出処理で検出した入口タイミングに基づいて、上述した方法と同様の方法で、入口平面位置情報、入口高度情報、及び、高度差情報を生成する(ステップSH2)。
次いで、情報処理部203は、ステップSH2で生成した入口平面位置情報、入口高度情報、及び、高度差情報を、所定の記憶領域に記憶する(ステップSH3)。
【0097】
次に、サービス提供サーバー7が提供するサービス、及び、当該サーバーがサービスを提供する場合の各装置の動作について説明する。
通常、立体駐車場に車両2を駐車させたユーザーは、車両2を駐車させた後、立体駐車場から離れて、例えば買い物や、観光等の所望の行動を行う。そして、ユーザーは、立体駐車場に戻って車両2に再び搭乗する場合に、車両2が駐車した階層にスムーズに移動するため、立体駐車場において車両2を駐車させた階層を取得することを望む場合がある。
これを踏まえ、サービス提供サーバー7は、構築した立体駐車場データベース421に基づいて、立体駐車場において車両2が駐車した位置に関する情報を通知するサービスを提供する。
【0098】
図10は、サービス提供サーバー7がサービスを提供する場合の、ウェアラブル端末5、携帯端末4、及び、サービス提供サーバー7の動作を示すフローチャートである。図10の(A)はウェアラブル端末5の動作を示し、(B)は携帯端末4の動作を示し、(C)はサービス提供サーバー7の動作を示す。
図10に示すフローチャートの前提として、ユーザーは、立体駐車場に車両2を駐車させた後、立体駐車場から離れた位置におり、立体駐車場の位置、及び、車両2が駐車した階層を取得することを望んでいるものとする。
【0099】
図10の(A)に示すように、ユーザーは、ウェアラブル端末5に対して所定の操作を行って、立体駐車場の位置を示す情報、及び、車両2が駐車した階層を示す情報の表示を指示する(ステップSX2)。
ステップSX2の指示があったことを検出すると、ウェアラブル端末5のウェアラブル端末制御部30は、ステップSX2の指示があったことを示す情報を、携帯端末4に送信する(ステップSI1)。
【0100】
図10の(B)に示すように、携帯端末4の情報処理部203は、ウェアラブル端末5から、ステップSX2の指示があったことを示す情報を受信する(ステップSJ1)
次いで、情報処理部203は、図9のフローチャートのステップSH3で所定の記憶領域に記憶した入口平面位置情報(入口位置情報)、入口高度情報、及び、高度差情報を含み、車両2が駐車した立体駐車場の階層を問い合わせる階層応答要求情報をサービス提供サーバー7に送信する(ステップSJ2)。
【0101】
図10の(C)に示すように、サービス提供サーバー7のサーバー制御部40は、階層応答要求情報を受信する(ステップSK1)。
次いで、サーバー制御部40は、立体駐車場データベース421を参照する(ステップSK2)。
次いで、サーバー制御部40は、立体駐車場データベース421の立体駐車場レコードが有する入口関連情報の平均入口緯度情報、平均入口経度情報、及び、平均入口高度情報と、階層応答要求情報に含まれる入口平面位置情報(入口位置情報)、及び、入口高度情報との比較に基づいて、当該データベースの立体駐車場レコードのうち、対応する立体駐車場レコードを特定する(ステップSK3)。
なお、対応する立体駐車場レコードが立体駐車場データベース421に存在しない場合、又は、特定した立体駐車場レコードの投稿状態情報の値が、十分な数の投稿情報を受信していないことを示す値の場合、サーバー制御部40は、対応する処理を行う。例えば、サーバー制御部40は、サービス提供サーバー7においてサービスを提供するための情報の蓄積が十分でなく、応答できない旨を示す情報を携帯端末4に送信する。携帯端末4は、当該情報の受信に応じて、ウェアラブル端末5と通信し、ウェアラブル端末5にサービスを提供するための情報の蓄積が十分でないことを示す情報を表示させる。
以下、対応する立体駐車場レコードが立体駐車場データベース421に存在し、かつ、特定した立体駐車場レコードの投稿状態情報の値が、十分な数の投稿情報を受信したことを示す値であるものとする。
【0102】
次いで、サーバー制御部40は、受信した階層応答要求情報に含まれる高度差情報、及び、ステップSK3で特定した立体駐車場レコードが有する階層関連情報に基づいて、立体駐車場において車両2が駐車した階層を判別する(ステップSK4)。
詳述すると、サーバー制御部40は、受信した階層応答要求情報に含まれる高度差情報の値と、階層関連情報に含まれる各階層の階層詳細情報のそれぞれの平均高度差情報の値とを比較する。当該比較に際し、サーバー制御部40は、対応する標準偏差情報が示す標準偏差を反映して、比較を行う。次いで、サーバー制御部40は、受信した階層応答要求情報に含まれる高度差情報の値と、最も近似する値の平均高度差情報を検出する。次いで、サーバー制御部40は、受信した階層応答要求情報に含まれる高度差情報の値と最も近似する値の平均高度差情報に対応する階層を、車両2が駐車した階層であると判別する。
【0103】
次いで、サーバー制御部40は、ステップSK4で判別した車両2が駐車した階層を示す階層応答情報を、携帯端末4に送信する(ステップSK5)。
【0104】
図10の(B)に示すように、携帯端末4の情報処理部203は、階層応答情報を受信する(ステップSJ3)。
次いで、情報処理部203は、所定の記憶領域に記憶した入口平面位置情報に基づいて、携帯端末4の現在の位置(=ユーザーの現在の位置)から、入口平面位置情報が示す位置(=立体駐車場の入口の位置)に至るまでの経路が示された地図を表示させる描画データを生成する(ステップSJ4)。例えば、携帯端末4は、車載装置3と通信し、描画データの生成のために必要な情報を取得し描画データを生成する。また例えば、携帯端末4は、ネットワークNに接続された所定のサーバーと通信し、描画データの生成のために必要な情報を取得し描画データを生成する。描画データを生成する方法は、どのような方法であってもよい。
【0105】
次いで、情報処理部203は、ステップSJ4で生成した描画データ、及び、受信した階層応答情報が示す階層を示す情報を、ウェアラブル端末5に送信する(ステップSJ5)。
【0106】
図10の(A)に示すように、ウェアラブル端末5のウェアラブル端末制御部30は、描画データ、及び、階層を示す情報を受信する(ステップSJ2)。
次いで、ウェアラブル端末制御部30は、受信した描画データに基づいて、ユーザーの位置から立体駐車場の入口の位置までの経路が示された地図をウェアラブル端末タッチパネル33に表示させる(ステップSJ3)。また、ウェアラブル端末制御部30は、受信した階層を示す情報に基づいて、地図に示された経路に重ならないように、階層を示す情報を表示する(ステップSJ3)。
ユーザーは、ウェアラブル端末タッチパネル33を参照することにより、ユーザーの現在の位置から、立体駐車場の入口に至る経路を認識できる。また、ユーザーは、ウェアラブル端末タッチパネル33を参照することにより、立体駐車場において、車両2が駐車した階層を認識できる。
なお、本実施形態では、携帯端末4は、車両2の駐車に応じて、入口タイミングを検出し、入口平面位置情報、入口高度情報、及び、高度差情報を生成し、記憶する。そして、携帯端末4は、車両2を駐車した階層を認識することを望むユーザーの指示に応じて、記憶した各情報をサービス提供サーバー7に送信し、サービス提供サーバー7から、階層応答情報を受信する構成である。しかしながら、以下の構成であってもよい。
すなわち、携帯端末4は、車両2の駐車に応じて、上述した各情報の生成、記憶を行うのではなく、車両2を駐車した階層を認識することを望むユーザーの指示に応じて、上述した各情報の生成、サービス提供サーバー7への送信を行う構成でもよい。
また、以下の構成でもよい。すなわち、携帯端末4は、車両2の駐車に応じて、上述した各情報を生成し、記憶することなく、各情報を携帯端末4の識別情報と対応付けて、サービス提供サーバー7に送信する。サービス提供サーバー7は、携帯端末4を識別する情報と、各情報とを対応付けて記憶する。携帯端末4は、車両2を駐車した階層を認識することを望むユーザーの指示に応じて、携帯端末4の識別情報を含み、階層の応答を要求する情報をサービス提供サーバー7に送信し、サービス提供サーバー7は、応答の要求に応じて、階層応答情報を携帯端末4に送信する。
【0107】
以上説明したように、本実施形態に係る携帯端末4(情報処理装置)は、GPS信号を受信するGPSユニット21(GPS受信部)と、GPSユニット21が受信するGPS信号に基づいて、間隔をあけてGPS精度を検出すると共に、車両2の位置を検出するGPS処理部201と、GPS処理部201が間隔をあけて検出したGPS精度の推移に基づいて、立体駐車場(立体構造物)の入口地点に車両2が位置したときにGPS精度が検出されたタイミングである入口タイミングを検出する情報処理部203と、を備える。
この構成によれば、携帯端末4は、立体駐車場に車両2が進入し、駐車する場合に、GPS精度が特徴的に推移することを利用して、立体駐車場の入口地点に車両2が位置したタイミングであるタイミング(入口タイミング)を適切に検出できる。
【0108】
また、本実施形態では、第1入口タイミング検出処理において、情報処理部203は、GPS処理部201が間隔をあけて検出したGPS精度の推移に基づいて、立体駐車場における駐車地点に車両2が位置したときにGPS精度が検出されたタイミングである駐車タイミングから遡って、最初にGPS精度が悪化判定精度閾値を上回って悪くなるタイミングである悪化タイミングを検出し、さらに、悪化タイミングから遡って最初にGPS精度が悪化判定精度閾値よりも小さい良好判定精度閾値TH1を下回って良くなるタイミングである良好タイミングを検出し、良好タイミングを入口タイミングとする。
この構成によれば、携帯端末4は、立体駐車場に車両2が進入し、駐車する場合におけるGPS精度の推移の特徴を利用して、入口タイミングを適切に検出できる。
【0109】
また、本実施形態では、第1入口タイミング検出処理において、情報処理部203は、駐車タイミングにおける車両2の位置と、悪化タイミングにおける車両2の位置との離間距離が駐車/悪化地点距離閾値を下回る場合に、良好タイミングを入口タイミングとする。
この構成によれば、携帯端末4は、車両2が立体駐車場に駐車したことを的確に検出した上で、入口タイミングを適切に検出できる。
【0110】
また、本実施形態では、第1入口タイミング検出処理において、情報処理部203は、悪化タイミングにおける車両2の位置と、良好タイミングにおける車両2の位置との離間距離が悪化/良好地点距離閾値を下回る場合に、良好タイミングを入口タイミングとする。
この構成によれば、携帯端末4は、車両2が立体駐車場に駐車したことを的確に検出した上で、入口タイミングを適切に検出できる。
【0111】
また、本実施形態では、第1入口タイミング検出処理において、情報処理部203は、駐車タイミングで高度検出部202により検出された車両2の高度と、良好タイミングで高度検出部202により検出された車両2の高度とが高度閾値を上回る場合に、良好タイミングを入口タイミングとする。
この構成によれば、携帯端末4は、車両2が立体駐車場に駐車したことを的確に検出した上で、入口タイミングを適切に検出できる。
【0112】
また、本実施形態では、第2入口タイミング検出処理において、情報処理部203は、ユーザーから入力された車両2が駐車した階層を取得し、取得した車両2が駐車した階層と、高度検出部202が間隔をあけて検出した車両2の高度の推移と、立体駐車場における階層間の高さ方向の幅として予め定められた階層幅とに基づいて、駐車タイミングから遡って、最初に車両2の高度として、立体駐車場の2階の高度に対応する高度が検出されたタイミングである2階付近タイミングを検出し、2階付近タイミングから遡って、最初にGPS精度が悪化判定精度閾値を上回って悪くなる悪化タイミングを検出し、さらに、悪化タイミングから遡って最初にGPS精度が悪化判定精度閾値よりも小さい良好判定精度閾値TH1を下回って良くなるタイミングである良好タイミングを検出し、良好タイミングを前記入口タイミングとする。
この構成によれば、携帯端末4は、立体駐車場に車両2が進入し、駐車する場合におけるGPS精度の推移の特徴を利用して、入口タイミングを適切に検出できる。
【0113】
また、本実施形態では、第2入口タイミング検出処理において、情報処理部203は、2階付近タイミングにおける車両2の位置と、悪化タイミングにおける車両2の位置との離間距離が2階/悪化地点距離閾値を下回る場合に、良好タイミングを入口タイミングとする。
この構成によれば、携帯端末4は、車両2が立体駐車場に駐車したことを的確に検出した上で、入口タイミングを適切に検出できる。
【0114】
また、本実施形態では、第2入口タイミング検出処理において、情報処理部203は、悪化タイミングにおける車両2の位置と、良好タイミングにおける車両2の位置との離間距離が悪化/良好地点距離閾値を下回る場合に、良好タイミングを入口タイミングとする。
この構成によれば、携帯端末4は、車両2が立体駐車場に駐車したことを的確に検出した上で、入口タイミングを適切に検出できる。
【0115】
また、本実施形態では、携帯端末4の情報処理部203は、GPS処理部201が間隔をあけて検出したGPS精度の推移に基づいて、立体駐車場の入口地点に車両2が位置したときにGPS精度が検出されたタイミングである入口タイミングを検出し、入口タイミングで高度検出部202が検出した車両2の高度と、立体駐車場における駐車地点に車両2が位置したときにGPS精度が検出されたタイミングである駐車タイミングで高度検出部202が検出した車両2の高度との高度差を検出し、検出した高度差を示す高度差情報をサービス提供サーバー7(サーバー)に送信する。
サービス提供サーバー7は、高度差情報を受信し、受信した高度差情報に基づく処理を実行する。
この構成によれば、携帯端末4は、立体駐車場に車両2が進入し、駐車する場合におけるGPS精度の推移の特徴を利用して、入口タイミングを適切に検出できる。
さらに、サービス提供サーバー7は、受信した高度差情報に基づく処理を行うことによって、高度差情報を利用した立体駐車場に関する情報の通知等の有益なサービスの提供が可能である。
【0116】
また、本実施形態では、携帯端末4の情報処理部203は、ユーザーから入力された車両2が駐車した階層を取得し、取得した階層を示す指定駐車階層情報(駐車階層情報)、及び、入口タイミングにおける車両2の位置を示す入口平面位置情報(入口位置情報)を、高度差情報と併せてサービス提供サーバー7に送信する。サービス提供サーバー7のサーバー制御部40は、指定駐車階層情報、入口平面位置情報、及び、高度差情報を受信し、受信した指定駐車階層情報が示す階層と関連付けて入口平面位置情報、及び、高度差情報をサーバー記憶部42に記憶させる。
この構成によれば、サービス提供サーバー7は、指定駐車階層情報が示す階層と関連付けて記憶した入口平面位置情報、及び、高度差情報に基づいて、有益なサービスの提供ができる。
【0117】
また、本実施形態では、携帯端末4の情報処理部203は、高度差情報、及び、入口平面位置情報(入口位置情報)を含み、車両2が駐車した立体駐車場の階層を問い合わせる階層応答要求情報をサービス提供サーバー7に送信する。サービス提供サーバー7のサーバー制御部40は、階層応答要求情報を受信した場合、階層と関連付けて記憶させた入口平面位置情報、及び、高度差情報に基づいて、車両2が駐車した立体駐車場の階層を判別し、判別した階層を示す階層応答情報を携帯端末4に送信する。
この構成によれば、サービス提供サーバー7は、記憶した情報に基づいて、携帯端末4からの問い合わせに応じて、車両2が駐車した立体駐車場の階層を通知するサービスを提供できる。
【0118】
また、本実施形態では、携帯端末4は、階層応答情報を受信した場合、ウェアラブル端末5と通信して、ウェアラブル端末5に階層応答情報が示す階層を表示させる。
この構成によれば、ユーザーは、ウェアラブル端末5に表示された情報を参照することにより、自身が車両2を駐車させた立体駐車場の階層を認識できる。
なお、本実施形態では、携帯端末4は、受信した階層応答情報に基づいて、ウェアラブル端末5に、階層応答情報が示す階層を表示させる構成であった。しかしながら、携帯端末4が、受信した階層応答情報に基づいて、車載装置3に、階層を表示させることが可能な構成であってもよい。この構成によれば、例えば、駐車中の車両2にユーザーが乗車し、車両2を発車させて立体駐車場を退出しようとする場合において、ユーザーが、車両2が位置する階層を確実に認識したい場合に、ユーザーは、車載装置3に表示された階層を参照することにより、迅速、かつ、確実に、車両2が駐車した階層を確実に認識できる。
【0119】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、携帯端末4が情報処理部203を有し、入口タイミングを検出する構成であった。しかしながら、入口タイミングを検出し、検出した入口タイミングに基づく処理は携帯端末4である必要は無い。例えば、車載装置3が、携帯端末4の情報処理部203の機能、及び、付随する機能を有し、入口タイミングを検出する構成でもよい。この構成において、さらに、車載装置3がネットワークを介して、サービス提供サーバー7と通信し、立体駐車場に関する情報を当該サーバーに提供し、当該サーバーから立体駐車場に関する情報の提供を受ける構成でもよい。以上の場合、車載装置3が「情報処理装置」として機能する。
また、例えば、上述した実施形態では、立体駐車場が、立体構造物であった。しかしながら、立体構造物に相当する構造物は、立体駐車場に限らない。すなわち、立体構造物は、車両2が駐車可能な複数の階層を有する構造物であればよい。
また例えば、図で示したフローチャートの処理単位は、各装置の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。各装置の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。また、同様の処理が行えれば、上記のフローチャートの処理順序も、図示した例に限られるものではない。
また、図2は、本願発明を理解容易にするために、情報処理システム1が備える各装置の機能構成を主な処理内容に応じて分類して示した概略図であり、各装置の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。また、各構成要素の処理は、1つのプログラムで実現されてもよいし、複数のプログラムで実現されてもよい。
【符号の説明】
【0120】
1 情報処理システム
2 車両
3 車載装置(情報処理装置)
4 携帯端末(情報処理装置)
5 ウェアラブル端末
7 サービス提供サーバー(サーバー)
21 GPSユニット(GPS受信部)
201 GPS処理部
202 高度検出部
203 情報処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10