特許第6831608号(P6831608)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6831608
(24)【登録日】2021年2月2日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】梯子
(51)【国際特許分類】
   E06C 7/18 20060101AFI20210208BHJP
   E06C 1/39 20060101ALI20210208BHJP
   E06C 1/32 20060101ALI20210208BHJP
   E06C 7/44 20060101ALI20210208BHJP
   E06C 7/46 20060101ALI20210208BHJP
【FI】
   E06C7/18
   E06C1/39
   E06C1/32
   E06C7/44
   E06C7/46
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-97878(P2020-97878)
(22)【出願日】2020年6月4日
【審査請求日】2020年6月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516046709
【氏名又は名称】▲高▼井産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140693
【弁理士】
【氏名又は名称】木宮 直樹
(72)【発明者】
【氏名】楊 振華
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−088464(JP,A)
【文献】 実開昭54−147528(JP,U)
【文献】 特開2008−255721(JP,A)
【文献】 実開昭55−004290(JP,U)
【文献】 特開平10−176476(JP,A)
【文献】 特開2007−177452(JP,A)
【文献】 特開2008−297778(JP,A)
【文献】 実開平01−179999(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06C 7/18
E06C 7/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が乗った状態で作業を行うことができる梯子であって、
第1の梯子部材と、
前記第1の梯子部材より長手方向長さが短く、第2の上端部を有する第2の梯子部材と、
前記第2の上端部より上方に位置し、前記使用者の膝を支持するために前記第1の梯子部材に設けられるサポート部材と、
前記第1の梯子部材に設けられ前記使用者の足を乗せるための第1の踏み部材と、
前記第2の梯子部材の前記第2の上端部に設けられ前記使用者の足を乗せるための第2の踏み部材と、
前記第1の梯子部材に入れ子式に装着され、前記第1の梯子部材の長手方向に伸縮自在な把持部と、を備え、
前記第1及び第2の踏み部材上に前記使用者の足が乗せられた状態において、前記使用者の膝が前記サポート部材により支持される位置関係を前記第1及び第2の踏み部材と前記サポート部材とが有し、前記第1及び第2の梯子部材が鉛直方向に延材する仮想中心線に関し左右対称に配置され
前記第1の梯子部材は、屈曲部により互いに連結される上方梯子部及び下方梯子部を有し、前記第1の梯子部材の長手方向への前記把持部の移動が前記屈曲部により係止されることを特徴とする梯子。
【請求項2】
前記第1及び第2の梯子部材が有する底脚部の少なくとも一に設けられる接地維持手段を備え、前記接地維持手段により、前記第1及び第2の梯子部材の全てが地面に接地可能であることを特徴とする請求項1に記載の梯子。
【請求項3】
前記接地維持手段は、前記底脚部の外側に突出する凸部であることを特徴とする請求項2に記載の梯子。
【請求項4】
前記接地維持手段は、前記凸部を下方に付勢するための付勢手段を有することを特徴とする請求項3に記載の梯子。
【請求項5】
使用状態の前記第1の梯子部材と前記第2の梯子部材とが水平な地面に配置されると、前記付勢手段が鉛直方向に前記凸部を付勢することを特徴とする請求項4に記載の梯子
【請求項6】
前記底脚部は、スリップ止め部を有し、仮想鉛直線Xに関し、前記凸部が、前記スリップ止め部より、遠い位置に配置されることを特徴とする請求項3に記載の梯子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅、戸建て等の建築物の作業を行う際に用いられる作業台付きの梯子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されるヒンジラダーは、ラダー1と、ヒンジ5を介しラダー1に連結されるスタンド3と、ラダー1とスタンド3とにより支持されるプラットフォーム10と、ラダー1を構成する一対のサイドレール2の上端部を連結する上方クロス8とを備え、プラットフォーム10は、第1ヒンジ12によりラダー1に、そしてタイロッド40によりスタンド3のクロスバー9に連結され、さらに、タイロッド40は、第2ヒンジ41によりプラットフォーム10に連結され、そして第3のヒンジ42によりクロスバー9に連結される構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許公報0457703
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、使用者がヒンジラダーに対しどのように乗り、使用者がヒンジラダーをどのように使用するかについて、明示されていない。しかし、ヒンジラダーを構成する部材の寸法関係を考慮すると、使用者は、プラットフォーム10上に片足を乗せ、腰又は太ももが上方クロス8に当接するような状態で、作業することが推察される。
【0005】
しかしながら、本構成を有するヒンジラダーは、スタンド3が鉛直方向に延びているため、上方クロス8に使用者が太ももを介し荷重が掛かると、スタンド3側への付勢力が作用し、ヒンジラダーが予期せずに倒れる恐れがある。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、上記課題を解決するため、使用者等が最上部の踏み部材に乗り、作業を行う場合であっても、倒れることを確実に防止できる梯子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の梯子の第1の態様は、使用者が乗った状態で作業を行うことができる梯子であって、
第1の梯子部材と、
前記第1の梯子部材より長手方向長さが短く、第2の上端部を有する第2の梯子部材と、
前記第2の上端部より上方に位置し、前記使用者の膝を支持するために前記第1の梯子部材に設けられるサポート部材と、
前記第1の梯子部材に設けられ前記使用者の足を乗せるための第1の踏み部材と、
前記第2の梯子部材の前記第2の上端部に設けられ前記使用者の足を乗せるための第2の踏み部材と、を備え、
前記第1及び第2の踏み部材上に前記使用者の足が乗せられた状態において、前記使用者の膝が前記サポート部材により支持される位置関係を前記第1及び第2の踏み部材と前記サポート部材とが有し、前記第1及び第2の梯子部材が鉛直方向に延材する仮想中心線に関し左右対称に配置される。
【0008】
また、本発明の梯子の第2の態様によれば、第1の態様の梯子であって、前記第1及び第2の梯子部材が有する底脚部の少なくとも一に設けられる接地維持手段を備え、前記接地維持手段により、前記第1及び第2の梯子部材の全てが地面に接地可能である。
【0009】
本発明の梯子の第3の態様によれば、第2の態様の梯子であって、前記接地維持手段は、前記底脚部の外側に突出する凸部である。
【0010】
本発明の梯子の第4の態様によれば、第3の態様の梯子であって、前記接地維持手段は、前記凸部を下方に付勢するための付勢手段を有する。
【0011】
本発明の梯子の第5の態様によれば、第1乃至第4の態様のいずれかの梯子であって、前記第1の梯子部材の第1の上端部は、その長手方向に伸縮自在な伸縮手段を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明の梯子によれば、第1及び第2の踏み部材に足が乗ると、サポート部材により膝が支持される構成であるので、使用者が作業する際に、足がサポート部材に支持されるとともに、第1及び第2の梯子部材に対し負荷が均等にかかり、梯子が不意に転倒することが防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a)は、本発明の第1の実施例に係る梯子の斜視図であり、(b)は、図1(a)に示される梯子の裏面斜視図である。
図2】(a)は、図1(a)の線IIAに沿った断面図であり、(b)は、図1(b)のIIB矢印図である。
図3】(a)は、図1に示される梯子の側面図であり、(b)は、図1に示される梯子の正面図である。
図4】(a)は、本発明の第2の実施例に係る梯子の凸部及び関連する部材を示す背面図であり、(b)は、図4(a)の線IV−IVに沿った断面図である。
図5】(a)は、第2の実施例に係る梯子がベランダに配置された状態を示す斜視図であり、(b)は、図5(a)の一点鎖線Vで囲まれる部位の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施例に係る梯子について図面を参照しつつ説明する。尚、図面において同一部分は同一符号で示してある。以下説明する実施例は例示として説明するものであり、本発明を限定するものではないことは言うまでもない。
【0015】
〔第1の実施例〕
図1(a)は、本発明の第1の実施例に係る梯子1の斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示される梯子1の裏面斜視図であり、図2(a)は、図1(a)の線IIAに沿った断面図であり、図2(b)は、図1(b)のIIB矢印図であり、図3(a)は、図1に示される梯子1の側面図であり、図3(b)は、図1に示される梯子1の正面図である。
【0016】
本実施例の使用者の足を支持する梯子1は、主として、第1の梯子部材3と、第1の梯子部材3に連結される第2の梯子部材5と、第1の上端部3a側に使用者の膝を支持するためのサポート部材17と、第1の梯子部材3に設けられ使用者の足を支持するための第1の踏み部材31と、第2の梯子部材5に設けられ使用者の足を支持するための第2の踏み部材51と、を備える。また、作業台を構成する第1及び第2の踏み部材31、51は隣接配置されており、使用者の足が乗った状態において、使用者の膝がサポート部材17により支持されるように第1及び第2の踏み部材31、51とサポート部材17との位置関係を有する。さらに、図3(a)に示されるように、第1及び第2の梯子部材3、5が鉛直方向に延びる仮想中心線Xに関し左右対称に配置される。
【0017】
第1の梯子部材3は、図3(b)に示されるように、正面視において左右対称の形状を呈し、下方梯子部33と、下方梯子部33の上端部に連続する上方梯子部35とを有する。下方梯子部33は、下方に下がるに従い拡開し、上方梯子部35は、鉛直方向に延びる。従って、2つの下方梯子部33を連結する第1のステップ39は、第1のステップ39の鉛直方向上方に位置する第2のステップ37より長手方向寸法が長い。一方、2つの上方梯子部35を連結する第1の踏み部材31と、第1の踏み部材31の上方に位置するサポート部材17は、長手方向寸法が、第2のステップ37より若干短く寸法付けられている。
【0018】
さらに、図2に示されるように、第1の梯子部材3の下端部には、底脚部11が装着されている。底脚部11は、図2(b)に示されるように、凸部7とスリップ止め部13とを備える。接地維持手段である凸部7は、図2(b)の裏面視において円形の半円球形状であり、スリップ止め部13から鉛直方向に関する長さtだけ突出した状態で、スリップ止め部13に装着されている。スリップ止め部13は、複数の凹部を有し、廊下、ベランダ等の床面上における予期せぬ滑りを防止できる構成である。
【0019】
凸部7は、半円球状部7aと半円球状部7aに連続する円筒基部7bと有し、円筒基部7bがスリップ止め部13の内部と第1の梯子部材3の下端部とにより保持されている。凸部7は、低硬度のシリコーンゴムから構成されている。凸部7は、梯子1が地面に載置された場合には、半円球状部7aが梯子1の自重により若干屈曲する(撓む)程度の強度を有することが望ましい。
【0020】
図2(a)に示されるように、半円球状部7aは、スリップ止め部13より外方に配置され(図3(a)において、仮想中心線Xからスリップ止め部13より遠い位置)である。また、第1及び第2の梯子部材3、5が開かれた使用状態において、半円球状部7aの仮想中心線Cが、鉛直方向に延びる仮想鉛直線Qに対し傾斜するように延材する。なお、第1及び第2の梯子部材3、5が閉じた休止状態では、半円球状部7aの仮想中心線Cが、鉛直方向に延びる仮想鉛直線Qに整合する。
【0021】
上記構成の凸部7は、第1の梯子部材3が床面に載置されると、最初に凸部7が床面に接し、梯子1の自重により凸部7が撓む。さらに、第1の梯子部材3の第1及び第2のステップ39、37に使用者が乗ると、凸部7が潰れ、スリップ止め部13が地面に接することになる。
【0022】
さらに、第1の梯子部材3の上方梯子部35の上端部3a(図1(a)参照。)には、把持部9が設けられている。把持部9は、上方梯子部35の内部空間に入れ子式に装着され、把持部9が上方梯子部35に対し摺動可能である。また、把持部9は、長手方向に所定間隔の固定用穴が設けられており、上方梯子部35に装着されている固定用突起部が、当該固定用穴に挿入されることにより把持部9が所定の位置において固定される。なお、図1(a)は、把持部9が突出した状態を示し、図1(b)は、把持部9が上方梯子部35の内部に収容された状態を示す。
【0023】
また、図3(b)に示されるように、把持部9及び上方梯子部35が鉛直方向に延びる仮想鉛直線Yに沿って延材し、下方梯子部33が、仮想鉛直線Yから離れる方向に延材している。本構成により、把持部9の、上方梯子部35の上端部3aからの突出長さが最も短い状態では、把持部9の下端部が下方梯子部33に内面に当接することで係止される。なお、上記説明において、第1の梯子部材3は、図3(a)に示されるように、仮想鉛直線Yに対し左右対称の構成を呈する。
【0024】
次に、第2の梯子部材5について説明する。なお、第2の梯子部材5の構成が、第1の梯子部材3の構成と同じ場合には、説明を割愛する。第2の梯子部材5は、下方梯子部53と、下方梯子部53に連結される上方梯子部55と、図1(a)において、左右の下方梯子部53を連結する下方ステップ57と、左右の下方梯子部53を連結し、作業者の足を支持するための第2の踏み部材51と、を備える。第2の踏み部材51は、第1の踏み部材31と同じ構成であり、第1及び第2の踏み部材31、51は、図3(a)の仮想中心線Xに関し左右対称に配置される。さらに、図3(b)に示されるように、第2の梯子部材5は、鉛直方向に延びる仮想中心線Xに関し、第1の梯子部材3に対し線対称の構造である。第1及び第2の梯子部材3、5は、仮想中心線Xに対し、同角度で傾斜する。
【0025】
また、第2の梯子部材5の下方梯子部53の下端部には、第1の梯子部材3の下方梯子部33の下端部と同様に、底脚部11が装着され、底脚部11は、図2(b)に示されるように、凸部7とスリップ止め部13とを備える。従って、本実施形態では、第1及び第2の梯子部材3、5が、凸部7を備える構成であり、仮に、梯子1が載置される床(又は地面、以下床と称す。)に多少の凹凸がある場合であっても、凸部7が撓むことにより、4つの第1及び第2の梯子部材3、5が床に接地される。
【0026】
なお、図1(a)中の符号41は、収納レバーである。使用者が、収納レバー41を持ち上げられると、線状に固定されたヒンジ部材15が、その中央部で上方に屈曲し、第1及び第2の梯子部材3、5が閉じられる。
【0027】
〔第2の実施例〕
第2の実施例に係る凸部107について図4を参照しつつ説明する。図4(a)は、凸部107及び関連する部材を示す背面図であり、図4(b)は、図4(a)の線IV−IVに沿った断面図である。
【0028】
半円球状の凸部107は、第1の実施例と異なり、付勢手段であるコイルスプリング151により付勢されている構成である。さらに、凸部107の中心を通る仮想中心線Cは、鉛直方向に延び、コイルスプリング151により、図4(b)の下方に付勢されることにより、梯子1が床又は地面に載置されていない状態では、凸部107がスリップ止め部113より突出する。凸部107の材料は、第1の実施例と異なり、高硬度のシリコーンゴムから構成され、凸部107は、梯子1の自重によっては撓まない強度を有する。
【0029】
また、凸部107は、床等に設置される状態において、第1の実施例と同様に、底脚部111の底面の外方に位置する。さらに、本実施例では、凸部107がコイルスプリング151により付勢される構成で、コイルスプリング151がスリップ止め部113に係止され、スリップ止め部113が、ねじ153により底脚部111に固定される。
【0030】
本実施例では、梯子1が使用される状態では、凸部107の仮想中心線Cが、鉛直方向に延材し、また、コイルスプリング151が伸縮する伸縮中心線が仮想中心線Cに整合する。また、図4では、一つの底脚部111のみが示されているが、第1の実施例と同様に、第2の実施例においても梯子1が備える4つの底脚部111に凸部107が装着されている。さらに、床や地面に存在する凹凸に応じて、第1及び第2の梯子部材3、5の一方に凸部107を備え、第1及び第2の梯子部材3の他方に第1の凸部7を設ける構成や、第1及び第2の梯子部材3、5から底脚部111を選択し、凸部7、107を選択的に装着する構成とすることも可能である。
【0031】
図5(a)(b)は、使用状況を説明するための図である。梯子1が、マンション等の建築物の、溝を有する床上に、例えば、建築物の外壁の周囲に設置される足場から、使用者により配置された状態である。床面S1の縁部には、水はけ用の溝が設けられている。溝は、水平方向に対して右方向に傾斜する溝底面S2と、溝底面S2から鉛直方向に延びる溝壁面S3とを有する。床面S1は、ほぼ水平に延材する。第1の梯子部材3の2つの底脚部111が、床面S1上に載置され、第2の梯子部材5の2つの底脚部111が、溝底面S2上に載置される。
【0032】
梯子1が図5(b)に示されるように溝底面S2上に載置された場合、右側に位置する凸部107bに掛かる負荷に比較し、左側に位置する凸部107aに掛かる負荷が大きいため、凸部107aを支持するコイルスプリング151が相対的に収縮し、右側の底脚部111が浮いた状態、すなわち右側の凸部107bが相対的に突出した状態で接地されることになる。従って、梯子1によれば、接地面が水平でない場合であっても、第1及び第2の梯子部材3、5のすべてが接地する接地状態を実現できる。このように、本実施例の接地維持手段は、凸部107と、付勢手段であるコイルスプリング151とから構成される。
【0033】
作業者が足場から、接地状態にある梯子1へ乗り移ろうとする際、作業者は、把持部9に手で触り、梯子1にガタツキがないことを確認できる。よって、作業者は、足場から梯子1に、安心して乗り移ることができる。また、足場から梯子1に乗り移る場合には、第1の梯子部材3の上端部3aに装着されている一方の把持部9を伸ばし、他方の把持部9を縮めた状態にすることにより、作業者は、伸びた把持部9を掴みつつ、足を第2の踏み部材51に移動することを容易に実行できる。なお、上記使用状況では、第2の実施例の梯子1を用いて説明したが、第1の実施例の梯子1でも同様の効果が得られることは言うまでもない。また、図面の明瞭化のため図5には、溝底面S2に連続し、溝底面S2の鉛直方向上方に延びる床縁面S4の部位が示されていないが、床縁面S4の近傍に載置される凸部107a、107bが、溝底面S2から滑り落ちるような床縁面S4の構成を意図するものではない。
【0034】
第1及び第2の実施例は、第1及び第2の梯子部材3、5をそれぞれ2つの構成であるが、第1及び第2の梯子部材3、5の数は、3つ以上に適宜変更できる。また、梯子部材3,5は、断面視で四角形状であるが、円形状、楕円形状、多角形状に適宜変更できることは言うまでもない。
【0035】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 梯子
3,103 第1の梯子部材
3a,5a 上端部
5,105 第2の梯子部材
7,107,107a,107b 凸部
7a 半円球状部
7b 円筒基部
9 把持部
11,111 底脚部
13,113 スリップ止め部
17 サポート部材
31 第1の踏み部材
33,53 下方梯子部
35,55 上方梯子部
37 第2のステップ
39 第1のステップ
51 第2の踏み部材
57 下方ステップ
151 コイルスプリング
S,S1 床面
S2 溝底面
S3 溝壁面
S4 床縁面
X, 仮想中心線
Y,Q 仮想鉛直線
【要約】
【課題】使用者等が梯子の最上部の踏み部材に乗り、作業を行う場合であっても、倒れることを確実に防止できる梯子を提供する。
【解決手段】使用者が乗った状態で作業を行うことができる梯子1であって、第1の梯子部材3と、第1の梯子部材3より長手方向長さが短く、第2の上端部5aを有する第2の梯子部材5と、第2の上端部5aより上方に位置し、使用者の膝を支持するために第1の梯子部材3に設けられるサポート部材17と、第1の梯子部材3に設けられ使用者の足を乗せるための第1の踏み部材31と、第2の梯子部材5の第2の上端部5aに設けられ使用者の足を乗せるための第2の踏み部材51と、を備え、第1及び第2の踏み部材31、51上に使用者の足が乗せられた状態において、使用者の膝がサポート部材17により支持される位置関係を第1及び第2の踏み部材31、51とサポート部材17とが有し、第1及び第2の梯子部材3、5が鉛直方向に延材する仮想中心線Xに関し左右対称に配置される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5