特許第6831679号(P6831679)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6831679
(24)【登録日】2021年2月2日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】光学部品および照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 8/00 20060101AFI20210208BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20210208BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20210208BHJP
【FI】
   F21V8/00 330
   G02B5/08 Z
   F21V8/00 310
   F21V8/00 340
   F21Y115:10
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-231523(P2016-231523)
(22)【出願日】2016年11月29日
(65)【公開番号】特開2018-88366(P2018-88366A)
(43)【公開日】2018年6月7日
【審査請求日】2019年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】317015179
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(72)【発明者】
【氏名】小林 直寛
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−194045(JP,A)
【文献】 特開2014−235837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 8/00
G02B 5/08
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光が入射する入射面と、
この入射面から入射した光を反射する第一反射面と、
この第一反射面で反射した光を分割してそれぞれの方向への光束として反射する複数の互いに離間した第二反射面と、
この第二反射面で反射したを出射する複数の互いに離間した出射面と、を備え
前記出射面は平面であり、
前記第一反射面と前記第二反射面との間に設けられた対向する2つの側面部の間隔が、前記入射面側から前記出射面側に向けて広がっていることを特徴とする光学部品。
【請求項2】
前記複数の第二反射面の、前記入射面に直交する軸に対する角度は、前記入射面から離れた位置にある前記第二反射面ほど小さくなっていることを特徴とする請求項1に記載の光学部品。
【請求項3】
前記複数の出射面は、すべて平行に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光学部品。
【請求項4】
前記入射面と前記出射面以外の外面に反射膜が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項5】
前記出射面には、光を集束または発散するレンズ部材が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項6】
請求項1からのいずれか1項に記載の光学部品と、この光学部品の前記入射面に光を入射する光源と、を備えることを特徴とする照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部品および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の車内天井部等に設けられ、車内を照らす照明装置(ルームランプ)が知られている(例えば、特許文献1および2)。照明装置は、例えば、車内前方の天井部に設けられ、運転席や助手席において地図を見る際等に、手元を照明するために使用される。
このような照明装置は、手元を見やすくするために、特定範囲を均一に照らすことが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2013/102996号
【特許文献2】特開2003−299987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば特許文献1に記載の照明装置のように、照明装置のLED光源が下方向に向けられており、光をレンズによる屈折で所望の方向に導こうとした場合、屈折させることができる角度には限界があるので、運転席や助手席等の所望の範囲を均一に照射することが困難という問題がある。
また、例えば特許文献2に記載の照明装置のように、LED光源を傾けることによって、照射方向を調整する場合、照射したい方向毎にLED基板を傾ける必要がある等して、部品数が増加してしまうといった問題がある。
また、照明装置は内装の一部であることから、特徴的な光り方をするデザイン性の高い照明装置が求められている。例えば、照明装置を見たときに複数の光源が光っているように見える照明装置が求められている。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、複数の光源が光っているように見せることができるとともに、所望の範囲に均一に光を出射することができる光学部品およびこの光学部品を備えた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の光学部品は、光源からの光が入射する入射面と、この入射面から入射した光を反射する第一反射面と、この第一反射面で反射した光をそれぞれの方向に反射する複数の互いに離間した第二反射面と、この第二反射面で反射した光を出射する複数の出射面と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明においては、光学部品は、入射面から入射した光を、第一反射面で反射し、この第一反射面で反射した光を、複数の第二反射面のそれぞれで反射し、複数の出射面から出射する。したがって、複数の出射面それぞれから光が出射され、複数の光源が光っているように見える。
また、第一反射面および第二反射面で光を反射させることによって、光の進む方向を変えているので、レンズ等の屈折により光を導く光学部品では導くことができない方向にも光を導くことができる。したがって、光を導きたい方向に導くことができ、所望の範囲に均一に光を出射することができる。
【0008】
また、本発明の前記構成において、前記複数の第二反射面の、前記入射面に直交する軸に対する角度は、前記入射面から離れた位置にある前記第二反射面ほど小さくなっていることが好ましい。
【0009】
このような構成によれば、複数の第二反射面のうちの、それぞれで反射される光が、平行に近い状態となって進むように、光を反射させることができる。したがって、より多くの光を導きたい方向に導くことができ、所望の範囲により多くの光を届けることができる。
【0010】
また、本発明の前記構成において、前記複数の出射面は、すべて平行に配置されていることが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、複数の出射面のそれぞれから出射される光は、同一の方向に向かうこととなる。したがって、より多くの光を導きたい方向に導くことができ、所望の範囲により多くの光を届けることができる。また、出射面の配置に統一感が生まれるので、光学部品のデザイン性を高めることができる。
【0012】
また、本発明の前記構成において、前記入射面と前記出射面以外の外面に反射膜が設けられていることが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、光学部品内部の光は反射膜で反射されるので、出射面以外の部分から光が出射されるのを防ぎ、入射面から入射した光が、反射膜がない場合に比べて確実に複数の出射面から出射されるので、反射膜がない場合に比べてはっきりと複数の光源が光っているように見せることができる。また、入射面から入射した光が、反射膜がない場合に比べて確実に複数の出射面から出射されるので、同じ光源を使用した場合であっても、より多くの光を所望の範囲に導くことができ、所望の範囲を明るく照明することができる。
【0014】
また、本発明の前記構成において、前記出射面には、光を集束または発散するレンズ部材が設けられていることが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、レンズ部材で光を集束または発散させることができるので、入射面から光学部品に入射し、出射面に導かれる光が、必要以上に発散または集束してしまう場合に、レンズ部材で光の向かう方向を調整し、所望の範囲を所望の明るさで照明することができる。
【0016】
また、本発明の前記構成において、前記第一反射面と前記第二反射面との間に設けられた対向する2つの側面部の間隔が、前記入射面側から前記出射面側に向けて広がっていることが好ましい。
【0017】
このような構成によれば、2つの側面部の間隔が、入射面側から出射面側に向けて広がっているので、入射面側から側面部に向かってくる光は、2つの側面部が平行に設けられている場合に比べ、出射面側に向けて反射されることとなる。したがって、出射面に向かう光を集光させることができ、2つの側面部が平行に設けられている場合に比べ、はっきりと複数の光源が光っているように見せることができる。
【0018】
また、本発明の照明装置は、前記構成の光学部品と、この光学部品の前記入射面に光を入射する光源と、を備えることを特徴とする。
【0019】
このような構成によれば、前記各光学部品と同様の作用効果を、照明装置で得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複数の光源が光っているように見せることができるとともに、所望の範囲に均一に光を出射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態を示すもので、照明装置をLED側から見た斜視図である。
図2】同、光学部品を入射面側から見た斜視図である。
図3】同、光学部品を出射面側から見た斜視図である。
図4】同、光学部品を第一反射面側から見た図である。
図5】同、照明装置をLEDと逆側から見た斜視図である。
図6】同、LEDから出射面への光の進路を示す図である。
図7】同、照明装置を車のルームランプとして用いる場合の、照明装置を並べた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
本実施の形態の光学部品は、例えば、車の車内天井部等に設けられる照明装置等に用いられる。
光学部品1は、図1に示すように、LED2と共に用いることで、照明装置3として使用することができる。なお、図1は、照明装置3の内部が見えるように、光学部品1を保持する保持部材30の、図1における手前側の壁部を透過させて照明装置3を表している。
【0023】
光学部品1は、図2および図3に示すように、入射面11、出射面14、第一反射面17、第二反射面20,21,22、側面25,26、第一平面12、第二平面18、第三平面23、第四平面24、突出部13および係止部15a,15b,15cを備え、光学樹脂により一体的に成形されている。
【0024】
光学部品1は、図2および図3に示すように、LED2(光源)側を向く長方形状の入射面(入射部)11(図1参照)と、その反対側の面で、入射面11に略平行な、長方形状の第一平面12と、を備えている。
第一平面12には、入射面11と逆側に突出するようにして、三角柱状の突出部13が、6つ設けられている。また、突出部13は、第一平面12に、三角柱の側面のうちの1つを当接させたような状態で、第一平面12と一体的に設けられている。また、6つの突出部13は、第一平面12の長辺方向に離間して3列に並べて設けられており、第一平面12の短辺方向に離間して2列に並べて設けられている。また、突出部13である三角柱の側面のうちの1つは、出射面(出射部)14(14a,14b,14c,14d,14e,14f)となっている。つまり、出射面14は、第一平面12の長辺方向における一方の端部12a側から、他方の端部12b側に向かって、出射面14a,14b、出射面14c,14d、そして出射面14e,14fの順に2つずつ並べて、計6つ設けられている。また、6つの出射面14は、同一の方向を向くようにして配置されている。すなわち、6つの出射面14は、すべて平行になるようにして配置されている。
また、隣り合う出射面の間隔は等しくなるように配置されている。すなわち、出射面14aと出射面14bとの間隔、出射面14cと出射面14dとの間隔および出射面14eと出射面14fとの間隔は、等しくなっている。また、出射面14aと出射面14cとの間隔、出射面14cと出射面14eとの間隔、出射面14bと出射面14dとの間隔および出射面14dと出射面14fとの間隔は、等しくなっている。このような配置とすることにより、照明としてのデザイン性が向上する。
【0025】
入射面11と第一平面12とは、略平行であり、互いに対向している。また、入射面11は、第一平面12よりも長辺および短辺の長さが短くなっている。また、入射面11と第一平面12とは、入射面11の長辺方向における一方の端部11aと第一平面12の長辺方向における一方の端部12aとが、それぞれの長辺の延びる方向において略一致する位置に配置されており、そこから同一の方向に長辺が延びるようにして配置されている。
【0026】
また、入射面11の端部11aから、入射面11の長辺方向外側に突出するようにして、係止部15aが設けられている。また、係止部15aは、LED2側を向く面が、入射面11と面一となっている。
また、第一平面12の端部12a側の短辺から、入射面11側に向けて、第一平面12に対して直交する当接面16が配置されている。また、当接面16の、第一平面12と逆側の辺から、第一平面12の長辺方向外側に突出するようにして、係止部15bが設けられている。つまり、係止部15bは、第一平面12側の面が、第一平面12よりも入射面11側に位置している。
【0027】
入射面11の端部11aから係止部15aを挟んで第一平面12側には、第一反射面17が、入射面11側から第一平面12側に向かって延びるようにして配置されている。また、第一反射面17は、光学部品1の内側の面が、入射面11側および後述する第二反射面20,21,22側を向くようにして配置されている。また、第一反射面17は、入射面11側から第一平面12側に向かって、入射面11の端部11a側からもう一方の端部11b側に向けて傾くようにして、入射面11に垂直な方向に対して傾いた状態で配置されている。言い換えると、第一反射面17は、入射面11側から第一平面12側に向かうにつれて、入射面11の長辺方向における光学部品1の幅を狭めるようにして配置されている。
【0028】
また、第一反射面17の、入射面11と逆側の辺から、係止部15b側に向けて延びるように、第二平面18が配置されている。第二平面18の係止部15b側の辺は、第一平面12の長辺方向における位置が、当接面16と同一となっている。つまり、係止部15bは、第二平面18および当接面16から第一平面12の長辺方向外側に突出するようにして設けられている。
【0029】
また、光学部品1は、3つの第二反射面20,21,22と、第三平面23と、第四平面24とを備えている。これらは、入射面11の端部11b側の短辺から、第一平面12の端部12b側の短辺に向かって、第二反射面20、第三平面23、第二反射面21、第四平面24、第二反射面22の順に配置されている。また、ここで、第三平面23および第四平面24は、入射面11および第一平面12に略平行な長方形状の平面である。また、第二反射面20,21は、入射面11に対して、第一反射面17と同じ方向に傾けて配置されている。また、第二反射面22は、入射面11および第一平面に略垂直な面となっている。
【0030】
第二反射面20は、入射面11の端部11b側の短辺から、第一平面12側に向かって延びるようにして配置されている。また、第二反射面20は、光学部品1の内側の面が、第一反射面17側および出射面14a,14b側を向くようにして配置されている。また、第二反射面20は、入射面11側から第一平面12側に向かうにつれて、入射面11の長辺方向における光学部品1の幅を広げるようにして配置されている。つまり、第二反射面20は、第一平面12側が、入射面11側よりも、第一平面12の長辺方向において第一平面12の端部12b側に位置している。
【0031】
また、第二反射面20の、入射面11と逆側の辺から、第一平面12の端部12b側に延びるようにして、入射面11と略平行な第三平面23が配置されている。また、第三平面23は、光学部品1の外側の面がLED2側(第一平面12と逆側)を向き、光学部品1の内側の面が第一平面12と対向した状態となっている。
【0032】
また、第二反射面21は、第三平面23の第二反射面20と逆側の辺から、第一平面12側に向かって延びるようにして配置されている。また、第二反射面21は、光学部品1の内側の面が、第一反射面17側および出射面14c,14d側を向くようにして配置されている。また、第二反射面21は、入射面11側から第一平面12側に向かうにつれて、入射面11の長辺方向における光学部品1の幅を広げるようにして配置されている。つまり、第二反射面21は、第一平面12側が、入射面11側よりも、第一平面12の長辺方向において第一平面12の端部12b側に位置している。つまり、第二反射面21は、入射面11、第一平面12および第三平面23に対して、第一反射面17および第二反射面20と同じ方向に傾けて配置されている。また、第二反射面21は、入射面11に直交する軸に対する角度が、第二反射面20よりも小さくなっている。また、後述する第二反射面22は、入射面11に直交する軸に対する角度が、第二反射面21よりも小さくなっている。
【0033】
また、第二反射面21の、第三平面23と逆側の辺から第一平面12の端部12b側に延びるようにして、入射面11と略平行な第四平面24が配置されている。また、第四平面24は、光学部品1の外側の面がLED2側(第一平面12と逆側)を向き、光学部品1の内側の面が第一平面12と対向した状態となっている。
【0034】
また、第四平面24の、第二反射面21と逆側の辺は、第一平面12の長辺方向において、第一平面12の端部12b側の辺と、略同一の位置に位置している。また、第四平面24および後述する第二反射面22から、第一平面12の長辺方向外側に突出するようにして、係止部15cが設けられている。また、係止部15cは、LED2側(第一平面12と逆側)を向く面が、第四平面24と面一となっている。
【0035】
また、第四平面24から係止部15cを挟んで、第一平面12側には、第二反射面22が配置されている。また、第二反射面22は、第一平面12に対して直交するようにして、第一平面12の端部12b側の短辺から、第四平面24側(入射面11側)に向かって配置されている。また、第二反射面22は、光学部品1の内側の面が、第一反射面17側および出射面14e,14f側を向くようにして配置されている。
【0036】
また、光学部品1は、入射面11、第一反射面17、第二反射面20,21,22、第一平面12、第二平面18、第三平面23および第四平面24に囲まれた平面である2つの側面(側面部)25,26を備えている。つまり、光学部品1は、入射面11の2つの長辺それぞれから、第一平面12の2つの長辺それぞれに向けて延びる側面25,26を備えている。
【0037】
前述のように、第一平面12は、入射面11よりも短辺方向の長さが長いので、側面25と側面26との間隔は、入射面11側よりも第一平面12側の方が広くなっている。また、図4に示すように、第一反射面17側(あるいは第二反射面20,21,22側)から光学部品1を見たときに、側面25および側面26は、入射面11に垂直な方向に対して同一の方向に傾いた状態となっている。なお、側面25または26は、入射面11に直交するようになっていてもよい。また、側面25と側面26が、第一反射面17側から光学部品1を見たときに、入射面11に垂直な方向に対して異なる方向に傾いた状態となっていてもよい。また、側面25または側面26は、それぞれ1つの平面で構成されていてもよく、複数の平面で構成されていてもよい。
【0038】
また、光学部品1は、入射面11および出射面14以外の部分の外面に、反射膜が設けられている。また、この反射膜は、蒸着により形成されている。
【0039】
次に、この光学部品1を用いた照明装置について説明する。
光学部品1は、図1に示すように、LED2と組み合わせることで、照明装置3として使用することができる。照明装置3は、光学部品1と、LED2と、保持部材30と、を備えている。なお、光源はLEDに限らず、他の発光素子等を用いてもよい。
【0040】
光学部品1は、角筒状の保持部材30によって保持されている。保持部材30には、1つの壁部31に、係止部15a,15bをそれぞれ挿入するための、長方形状の2つの穴30a,30bが設けられている。また、保持部材30には、壁部31に対向する壁部32に、係止部15cを挿入するための長方形状の穴30cが設けられている。そして、穴30a,30b,30cに、係止部15a,15b,15cがそれぞれ挿入されることで、光学部品1が保持部材30に係止されている。
また、保持部材30に保持された光学部品1は、当接面16および第二反射面22(図2または図3参照)が、保持部材30の内面に当接または近接した状態となっている。
また、図5に示すように、保持部材30の一方の開口面と第一平面12とは、ほぼ面一となっている。つまり、保持部材30の一方の開口面から、保持部材30の外側に向かって、突出部13が突出した状態となっている。なお、図5は、照明装置3の内部が見えるように、保持部材30の図1における手前側の壁部を透過させて照明装置3を表している。
なお、保持部材30は、光を反射させる機能を備えていてもよい。また、この際、光学部品1は、反射膜を備えていなくてもよく、備えていてもよい。
【0041】
また、照明装置3のLED2は、図示しない基板に設けられている。そして、LED2が設けられた基板に、保持部材30が取り付けられることで、光学部品1が、LED2に対して所定の位置に固定されている。
また、LED2は、入射面11に対向するようにして、入射面11の長辺方向に沿って、2個配置されている。なお、LED2は、1個でもよく、3個以上設けられていてもよい。このLED2の個数は、実現したい照明装置の明るさ等に応じて、適宜選択すればよい。また、LED2は、入射面11の長辺方向に沿って設けられていなくてもよく、例えば、入射面11の短辺方向に沿って設けられている等してもよい。
【0042】
LED2から放射され、光学部品1に入射する光の進む方向を図6に示す。
まず、LED2から放射された光は、入射面11から光学部品1の内部に取り入れられる。
次いで、入射面11から入射した光の一部は、第一反射面17に向かう。
次いで、第一反射面17に向かった光は、第一反射面17で反射される。ここで、LED2からの光は、入射面11側に向かって広がりをもって出射されるので、LED2からの光は、第一反射面17に対して様々な入射角で入射し、反射される。そこで、この第一反射面17で反射される光のうち、代表的な3つの光L1,L2,L3について図6に示すとともに説明する。
【0043】
光L1は、第一反射面17で反射され、次いで、第二反射面20に向かう。
次いで、この光L1は、第二反射面20で反射され、出射面14a(14b)に向かう。
次いで、この光L1は、出射面14a(14b)から出射される。
つまり、光L1は、LED2から出射され、入射面11から光学部品1の内部に入射し、第一反射面17で反射され、第二反射面20で反射され、出射面14a(14b)から光学部品1の外側に向かって出射される。
このとき、出射面14a(14b)に向かう光L1の進行方向に対して、出射面14a(14b)が直角となるように、出射面14a(14b)が配置されていると、光学部品1から出射される光が屈折することなく真っ直ぐ進むようにすることができる。
【0044】
また、光L2は、第一反射面17で反射され、次いで、第二反射面21に向かう。
次いで、この光L2は、第二反射面21で反射され、出射面14c(14d)に向かう。
次いで、この光L2は、出射面14c(14d)から出射される。
つまり、光L2は、LED2から出射され、入射面11から光学部品1の内部に入射し、第一反射面17で反射され、第二反射面21で反射され、出射面14c(14d)から光学部品1の外側に向かって出射される。
【0045】
また、光L3は、第一反射面17で反射され、次いで、第二反射面22に向かう。
次いで、この光L3は、第二反射面22で反射され、出射面14e(14f)に向かう。
次いで、この光L3は、出射面14e(14f)から出射される。
つまり、光L3は、LED2から出射され、入射面11から光学部品1の内部に入射し、第一反射面17で反射され、第二反射面22で反射され、出射面14e(14f)から光学部品1の外側に向かって出射される。
【0046】
以上のように、第一反射面17は、入射面11から光学部品1の内部に入射した光を、少なくとも3つの第二反射面20,21,22に向けて反射するように配置されている。また、第二反射面20は、第一反射面17からの光を少なくとも出射面14aおよび14bに向けて反射するように配置されている。また、第二反射面21は、第一反射面17からの光を少なくとも出射面14cおよび14dに向けて反射するように配置されている。また、第二反射面22は、第一反射面17からの光を少なくとも出射面14eおよび14fに向けて反射するように配置されている。したがって、第二反射面20,21,22は、第一反射面17で反射した光線を、複数の光束に分割する機能を有しているということができる。
【0047】
また、出射面14a,14b,14c,14d,14e,14fは、平行に配置されており、光L1と光L2と光L3とは、図6に示すように、光学部品1から略同一の方向に向かって出射されるようになっている。なお、第二反射面20,21,22の向きを変えたり、各出射面14の向きを変えたりすることで、光L1と光L2と光L3とが、それぞれ別の方向に向かうようにしてもよい。
【0048】
このような構成の光学部品においては、入射面(入射部)11から入射した光が、第一反射面17で複数の方向に反射され、この第一反射面17で複数の方向に反射された光が、第二反射面20,21,22で反射され、6つの出射面14(出射部)から出射される。したがって、LED2等の光源が6個設けられていない場合であっても光学部品1により、6つの光源が光っているように見せることができる。これにより、光学部品1を用いた照明装置のデザイン性を高めたりすることができる。
また、光源からの光を、屈折のみによって光を導く光学部品により所望の方向に導こうとした場合には、出射面に対してある程度以上の角度で入射する光は、全反射してしまうので、光源からの光が進む方向に対して一定以上の角度に導くことができないという問題がある。本構成の光学部品においては、第一反射面17および第二反射面20,21,22で光を反射させることによって、光の進む方向を変えているので、レンズ等の屈折により光を導く光学部品では導くことができない方向にも光を導くことができる。よって、光を導きたい方向に導くことができ、照明したい範囲の中心に光を導いたり、照明したい範囲内等の複数箇所にバランスよく光を導いたりすることができ、所望の範囲内で光のムラ、筋、影等が生じないように、光を均一に出射することができる。
また、第二反射面20、第二反射面21、第二反射面22は、入射面11から離れた位置にある第二反射面ほど、入射面11に直交する軸に対する角度が小さくなっているので、第一反射面17で反射され、第二反射面20,21,22のそれぞれに向かった光は、それぞれの光が向かう方向が平行に近づくように第二反射面20,21,22によって反射される。したがって、より多くの光を導きたい方向に導くことができ、所望の範囲により多くの光を届けることができる。
【0049】
また、このように、第一反射面17に向けて放射されるLED2の光を、6つの出射面14から所望の方向に向かうように出射させることができるので、光源が複数あるように見える照明装置3を実現する際に、LED2を複数用意したり、これら複数のLED2が設けられた基板をそれぞれ傾ける等して、LED2からの光の放射方向を調整したりする必要がない。このため、照明装置3を製造する際に必要な部品の数や、製造工程数を削減することができる。
また、6つの出射面14は、すべて平行に配置されているので、6つの出射面14から、同一の方向に向けて光を出射させることができる。したがって、多くの光を導きたい方向に導くことができ、所望の範囲により多くの光を届けることができる。
また、光学部品1は、曲面を設けることなく形成することもできるという利点もある。
【0050】
また、このような構成の光学部品においては、光学部品1内部の光は反射膜で反射されるので、出射面14以外の部分から光が出射されるのを防ぎ、入射面11から入射した光が、反射膜がない場合に比べて確実に複数の出射面14から出射される。したがって、反射膜がない場合に比べてはっきりと複数の光源が光っているように見せることができる。また、入射面11から入射した光が、反射膜がない場合に比べて確実に複数の出射部から出射されるので、同じ光源を使用した場合であっても、より明るく所望の範囲を照明することができる。
【0051】
また、各出射面14にはレンズ部材が設けられていてもよい。例えば、出射面14が平面である場合に、光学部品1から出射される光が発散しすぎてしまう場合には、出射面14に凸レンズを設けることで、出射面14から出射される光を集束させることができる。また、出射面14が平面である場合に、光学部品1から出射される光が集束しすぎてしまう場合には、出射面14に凹レンズを設けることで、出射面14から出射される光を発散させることができる。また、出射面14から出射される光の方向をレンズ部材によって調整することもできる。したがって、このような構成によれば、レンズ部材で光の向かう方向を調整し、所望の範囲を所望の明るさで照明することができる。また、所定範囲を均一に照明したい場合に、レンズ部材により、均一の程度を調整することもできる。
なお、レンズ部材は、光学部品1と同様の樹脂材料等によって光学部品1と一体的に形成されていてもよく、光学部品1の出射面14に接着等により設けられるものであってもよい。また、出射面14に設けられるレンズ部材は、フレネルレンズ等であってもよい。
【0052】
また、このような構成の光学部品においては、第一反射面17と前記第二反射面20,21,22との間に設けられた対向する2つの側面(側面部)25,26の間隔が、入射面11側から出射面14側に向けて広がっているので、側面25と側面26との間を反射しながら入射面11側から出射面14側に向かう光は、側面25(26)から側面26(25)に向かう力が徐々に弱まり、入射面11側から出射面14側に向かう力が反射の度に強まる。つまり、光は、側面25から側面26に向かう方向に関して、側面25,26での反射により集光されることとなる。したがって、2つの側面部が平行に設けられている場合等に比べ、はっきりと複数の光源(各出射面14)が光っているように見せることができる。
【0053】
また、本実施の形態の照明装置3は、例えば、2つの照明装置3を、車の車内天井部に設けることで、車のルームランプとして使用することができる。以下では、車の前部座席(運転席と助手席)の間に設けられ、前部右側座席と、前部左側座席とをそれぞれ均一に照明するルームランプについて説明する。
ルームランプは、図7に示すように、2つの照明装置3を備える。この2つの照明装置3は、入射面11が天井側、第一平面12が床側を向くようにして、車内天井部の、運転席と助手席の間に設けられる。また、2つの照明装置3は、車の左右方向(車の進行方向に向かって左右)に並べて設けられる。なお、図7は、図7における手前側の壁部を透過させて照明装置3を表している。
図7に示すように、前部左側座席側に設けられる照明装置3A(光学部品1)は、上述の照明装置3(光学部品1)と同様の形状であるが、右側座席側に設けられる照明装置3B(光学部品1)は、保持部材30の壁部32に平行な面(入射面11に略垂直な面)を中心として照明装置3全体を反転させた面対称な形状となっている。また、2つの照明装置3は、光学部品1の側面25が車の進行方向前方を向くようにして、壁部32を対向させた状態で車の左右方向に並べて設けられる。つまり、前部左側座席側には、上述の照明装置3(光学部品1)が設けられ、前部右側座席側には、この照明装置3(光学部品1)と左右(車に設置した状態における左右)対称な照明装置3(光学部品1)が設けられる。
なお、前部右側座席側に上述の照明装置3を設け、この照明装置3と左右対称な照明装置3を、2つの照明装置3の保持部材30の壁部31を対向させた状態で、左側座席側に設けることとしてもよい。つまり、2つの照明装置3の側面25または側面26は、どちらの側面が車の前方を向くように設けられてもよく、照明装置3の設けられる位置と、照明したい位置との関係等に応じて適宜選択すればよい。
また、2つの照明装置3のLED2は、同一の基板上に設けられていてもよく、別の基板上に設けられていてもよい。
【0054】
また、左側に設けられる照明装置3Aは、光学部品1の6つの出射面14から出射された光が、前部左側座席の、例えば座席に座った人が地図を広げた際における地図の中心が来ると推定される位置に向かうように、配置される。
また、右側に設けられる照明装置3Bは、光学部品1の6つの出射面14から出射された光が、前部右側座席の、例えば座席に座った人が地図を広げた際における地図の中心が来ると推定される位置に向かうように、配置される。
このように、車の左右方向中心部に設けられた照明装置3から左右の座席の狙った位置に光が向かうようにできるのは、光学部品1によって、LED2の光を、LED2から放射される光の方向に対して大きい角度を持った位置に光を導くことができるからである。通常の光学部品では、LED2から放射される光を、十分な角度をつけて導くことができず、車の左右方向外側に光を十分に届けることができない等して、所望の範囲を均一に照明することができないことがあるが、本実施の形態の光学部品1を用いることで、所望の範囲を均一に照明することができる。
なお、それぞれの光学部品1の6つの出射面14のうちの各出射面14から出射される光は、全てが一方向(例えば、座席に座った人が地図を広げた際における地図の中心)に向かうようにする必要はない。例えば、6つの出射面14からの光が放射状に出射されるように光学部品1を成形した方が、所定範囲を均一に照明する照明装置3とすることができる場合にはこのようにしてもよい。また、均一に照明するのではなく、6つの出射面14からの光が、バラバラの方向に向かうようにして、印象的な光り方をするようにしてもよい。
【0055】
このようなルームランプ(照明装置)によれば、車内の各前部座席における所望の位置を均一に照明することができる。また、ルームランプを見たときに、複数の光源が光っているように見せることができ、車内のデザイン性を高めることができる。また、LED2が設けられる基板やLED2自体を、天井部に対して傾けて設ける必要がなく、ルームランプを少ない部品点数で実現することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 光学部品
2 LED(光源)
3,3A,3B 照明装置
11 入射面
14,14a,14b,14c,14d,14e,14f 出射面
17 第一反射面
20,21,22 第二反射面
25,26 側面(側面部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7