特許第6831705号(P6831705)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6831705
(24)【登録日】2021年2月2日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】テープ切断ユニットの組付構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20210208BHJP
【FI】
   H05K13/02 B
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-2018(P2017-2018)
(22)【出願日】2017年1月10日
(65)【公開番号】特開2018-113308(P2018-113308A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2019年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】井上 聡
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−071257(JP,A)
【文献】 特開2009−302146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース面を有する基台と、この基台に固定され、テープフィーダを支持するフィーダ支持部を有するフィーダバンクと、前記フィーダ支持部の下方に配置されて、前記テープフィーダの先端から送出される空テープを切断するテープ切断ユニットと、を備えた部品実装装置の前記テープ切断ユニットの組付構造であって、
前記フィーダバンクは、テープフィーダのテープ送り方向と平行な方向である第1方向と直交する第2方向に間隔を隔てて前記ベース面上に立設された一対の脚部と、当該一対の脚部に亘って橋架された前記フィーダ支持部とを含み、
前記テープ切断ユニットは、前記ベース面上に直接載置され、前記一対の脚部と前記フィーダ支持部と前記ベース面とによって形成された空間内である組付け位置とこの組付け位置から前記フィーダバンクの外側に引き出された引出し位置との間で前記第1方向に移動可能となるように設けられ、かつ、当該テープ切断ユニットを前記基台に対して着脱可能に固定する固定手段により前記組付け位置において前記基台に固定されており
前記一対の脚部は、それぞれ、前記第2方向に対向しかつ互いに前記第1方向に平行に延在する対向面を有し、
前記テープ切断ユニットは、さらに、前記対向面にそれぞれ当接して、前記組付け位置と前記引き出し位置との間を前記対向面に沿って前記第1方向に案内されることが可能な側面を備えている、ことを特徴とするテープ切断ユニットの組付構造。
【請求項2】
請求項1に記載のテープ切断ユニットの組付構造において、
前記固定手段は、前記テープ切断ユニットのうち、前記引出し位置側からアクセス可能な位置で前記テープ切断ユニットと前記基台とを固定するものである、ことを特徴とするテープ切断ユニットの組付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープフィーダから送出された空テープを切断するテープ切断ユニットを備えた部品実装装置に関し、特に、前記テープ切断ユニットの組付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テープフィーダを備えた部品実装装置には、その下方部にダストボックスが備えられており、テープフィーダの先端部から送出される部品供給後の空テープが下方に案内されて前記ダストボックスに収納される。この場合、ダストボックへの空テープの収納性を高めるべく、部品実装装置には、例えば特許文献1に開示されるようなテープ切断ユニットが備えられている。
【0003】
テープ切断ユニットは、固定刃と可動刃とからなるカッターを備えており、テープフィーダの先端部から前記ダストボックスに案内される空テープを途中で切断する構成となっている。これにより、テープフィーダから送出される空テープは、一定寸法以下に短く切断されてダストボックスに収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−158661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
テープ切断ユニットは、上記の通り、テープフィーダの先端部から下方に案内される空テープをその途中で切断するため、通常、テープフィーダを支持するフィーダバンクと称される部材の下方に配置されている。そのため、メンテナンスのためにテープ切断ユニットを取り出すには、一旦フィーダバンクを取り外してから、テープ切断ユニットを取り外す必要があった。特に、特許文献1のような従来のテープ切断ユニットには、カッター駆動用のエアシリンダが下方に突出して設けられており、テープ切断ユニットは、このエアシリンダを部品実装装置の基台に形成された開口部分に挿入した状態で当該基台に組付けられている。よって、テープ切断ユニットを取り外すには、基台からテープ切断ユニットを持ち上げる必要もあり、テープ切断ユニットのメンテナンスに時間と労力を要するという課題があった。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、部品実装装置に備えられたテープ切断ユニットのメンテナンス性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、ベース面を有する基台と、この基台に固定され、テープフィーダを支持するフィーダ支持部を有するフィーダバンクと、前記フィーダ支持部の下方に配置されて、前記テープフィーダの先端から送出される空テープを切断するテープ切断ユニットと、を備えた部品実装装置の前記テープ切断ユニットの組付構造であって、前記フィーダバンクは、テープフィーダのテープ送り方向と平行な方向である第1方向と直交する第2方向に間隔を隔てて前記ベース面上に立設された一対の脚部と、当該一対の脚部に亘って橋架された前記フィーダ支持部とを含み、前記テープ切断ユニットは、前記ベース面上に直接載置され、前記一対の脚部と前記フィーダ支持部と前記ベース面とによって形成された空間内である組付け位置とこの組付け位置から前記フィーダバンクの外側に引き出された引出し位置との間で前記第1方向に移動可能となるように設けられ、かつ、当該テープ切断ユニットを前記基台に対して着脱可能に固定する固定手段により前記組付け位置において前記基台に固定されており前記一対の脚部は、それぞれ、前記第2方向に対向しかつ互いに前記第1方向に平行に延在する対向面を有し、前記テープ切断ユニットは、さらに、前記対向面にそれぞれ当接して、前記組付け位置と前記引き出し位置との間を前記対向面に沿って前記第1方向に案内されることが可能な側面を備えているものである。
【0008】
この組付構造によれば、テープ切断ユニットのメンテナンス時には、固定手段によるテープ切断ユニットの固定状態を解除し、ベース面に沿って組付け位置から引出し位置にテープ切断ユニットを引き出せばよい。これにより、フィーダバンクを取り外すことなくテープ切断ユニットを部品実装装置から取り外すことが可能となる。また、逆の手順に従うことで、テープ切断ユニットを元の組付け位置に戻す(組付ける)ことができる。そのため、テープ切断ユニットの着脱が容易となり、当該テープ切断ユニットのメンテナンス性が向上する。
特に、上記構造によれば、フィーダバンクの一対の脚部(対向面)に沿ってテープ切断ユニットを案内することができるため、テープ切断ユニットを着脱する際の作業性をフィーダバンクの脚部を利用した合理的な構造で向上させることができる。
【0015】
上記の組付構造において、前記固定手段は、前記テープ切断ユニットのうち、前記引出し位置側からアクセス可能な位置で前記テープ切断ユニットと前記基台とを固定するものであるのが好適である。
【0016】
この構造によれば、固定手段への作業者のアクセスが容易となるので、基台に対するテープ切断ユニットの固定、又は固定解除の作業性が向上する。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、部品実装装置に備えられたテープ切断ユニットのメンテナンス性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のテープ切断ユニットの組付構造が適用された部品実装装置の平面概略図である。
図2】上記部品実装装置の第2部品供給部を示す斜視図である。
図3】上記第2部品供給部を示す部品実装装置の断面図である。
図4】上記第2部品供給部の分解斜視図である。
図5】テープ切断ユニットの斜視図である。
図6】テープ切断ユニットの断面図である。
図7】テープ切断ユニットをフィーダバンクの前方に引き出した状態を示す第2部品供給部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。
【0020】
[部品実装装置の全体構成]
図1は、本発明にかかるテープ切断ユニットの組付構造が適用された部品実装装置を平面図で概略的に示している。図面中には、方向関係を明確にするためにXY直角座標軸を示している。X方向は水平面と平行な方向であり、Y方向は水平面上でX方向と直交する方向である。以下の説明では、適宜上、Y2方向の側を装置前側、Y1方向の側を装置後側と称する場合がある。
【0021】
部品実装装置1は、基台2と、この基台2上でプリント配線板等の基板Pを搬送する基板搬送機構3と、部品供給部6と、部品実装用のヘッドユニット8と、このヘッドユニット8を駆動するヘッドユニット駆動機構とを備えている。
【0022】
基台2は、Y方向にやや長い平面視長方形のテーブル部2aを有している。Y方向におけるテーブル部2aの中央部分は、基板Pに対して部品の実装作業を行う作業エリアWAであり、そのY方向の両側部分は、主に実装用の部品を供給する部品供給エリアPAである。テーブル部2aの各領域WA、PAには、水平かつ平坦なベース面12が設けられており、部品実装装置1の各構成要素はこのベース面12上に組付けられている。
【0023】
前記作業エリアWAには、上記基板搬送機構3が設けられている。基板搬送機構3は、基板PをX方向に搬送する一対のベルトコンベア4と、当該ベルトコンベア4によって搬送される基板Pをリフトアップして所定の実装作業位置(同図に示す位置)に位置決めする位置決め機構5とを備えている。基板Pは、この基板搬送機構3により、部品実装装置1のX1方向側(図1の右側)から装置内に受け入れられ、実装作業完了後、部品実装装置1のX2方向側(図1の左側)に送り出される。
【0024】
前記部品供給エリアPAには、上記部品供給部5が設けられている。当例では、装置前側の部品供給エリアPAに、第1、第2の2つの部品供給部6a、6bがX方向に所定間隔を隔てて設けられ、装置後側の部品供給エリアPAに、第3、第4の2つの部品供給部6c、6dがX方向に所定間隔を隔て設けられている。
【0025】
部品供給部6a〜6dには、各々、ベルトコンベア4に沿って複数のテープフィーダ7が着脱可能に配置されている。なお、図1は、第1部品供給部6aにのみテープフィーダ7が配置された状態を示している。
【0026】
テープフィーダ7は、テープを担体(キャリア)として、IC、トランジスタ、コンデンサ等の小片状の電子部品(単に部品と称す)を供給するものである。図示を省略するが、上記テープは、部品が一定間隔で収容されたキャリアテープと、収納部品を塞ぐようにキャリアテープに貼着されたカバーテープとで構成されており、テープフィーダ7は、このテープを簡潔的に送り出しつつカバーテープをキャリアテープから引き剥がす等することにより、上記ヘッドユニット8に対して部品を供給する。
【0027】
図1及び図3に模式的に示すように、テープフィーダ7は、偏平なフィーダ本体部7aと、このフィーダ本体部7aに組み込まれる図外のテープ送り機構と、上記テープが巻回されたリール7bとを備え、後述するフィーダバンク20に着脱可能に支持されている。テープフィーダ7は、モータを駆動源とする前記テープ送り機構により、リール7bからテープを引き出しながらフィーダ本体部7aの前方(作業エリアWA側)に送り出すことで、当該テープに収納された部品を、フィーダ本体部7aの前端近傍に設けられた部品取出部に順次配置する。
【0028】
前記ヘッドユニット8は、各部品供給部6a〜6dのテープフィーダ6から部品を取り出して基板P上に実装するものであり、ヘッドユニット駆動機構の作動により一定の領域内でX方向およびY方向に移動する。ヘッドユニット駆動機構は、上記テーブル部2aのX方向両端に立設された一対の門型のフレーム部2b上に各々固定されてY方向に延びる一対の固定レール9と、各固定レール9に移動可能に支持されてX方向に延びるユニット支持部材10と、このユニット支持部材10に固定されてヘッドユニット8をX方向に移動可能に支持する図外の固定レールとを含み、リニアモータ等の駆動手段によりユニット支持部材10及びヘッドユニット8を移動させる。つまり、ヘッドユニット駆動機構は、ヘッドユニット8をX方向に移動させる一方、ユニット支持部材10をY方向に移動させることで、ヘッドユニット8を一定の領域内でX方向およびY方向の任意の位置に移動させる。
【0029】
なお、図1中の符号11は、ヘッドユニット8がテープフィーダ7から取り出した部品の保持状態を下方から画像認識するためのカメラであり、第1、第2の部品供給部6a、6bの間、及び第3、第4の部品供給部6c、6dの間に配置されている。
【0030】
[部品供給部6a〜6dの詳細構造]
図2は、部品実装装置1の第2部品供給部6bの斜視図であり、図3は、第2部品供給部6bを示す部品実装装置1の断面図であり、図4は、第2部品供給部6bの分解斜視図である。
【0031】
なお、第2部品供給部6b及びこれに装着されたテープフィーダ7の説明については、適宜、Y方向を前後方向、X方向を左右方向と称し、その場合、テープフィーダ7を基準として、Y1方向の側(作業エリアWAの側)を前、Y2方向の側を後、X1方向の側を右、X2方向の側を左とする。当例ではY方向(前後方向)が本発明の第1方向に相当し、X方向(左右方向)が本発明の第2方向に相当する。
【0032】
図2図4に示すように、第2部品供給部6bは、テープフィーダ7を支持するフィーダバンク20と、テープフィーダ7から送出される空テープBTを切断するテープ切断ユニット30と、テープ切断ユニット30を覆うカバー40と、前記空テープBTをテープフィーダ7からテープ切断ユニット30まで案内するガイド板50及び第1ダクト60と、空テープBTを収容するダストボックス80と、テープ切断ユニット30による切断後の空テープBTをダストボックス80に案内する第2ダクト70とを備えている。なお、空テープBTとは、ヘッドユニット8による部品取り出し後のテープである。
【0033】
フィーダバンク20は、図4に示すように、各々テーブル部2aのベース面12にに立設された左右一対の板状の脚部22と、これら脚部22の上端部に亘って橋架されたフィーダ支持部24とを備えた門型形状の構造物である。フィーダバンク20は、各脚部22に形成されたフランジ部23がボルトB1によりベース面12に締結されることで、テーブル部2a(基台2)に固定されている。
【0034】
フィーダ支持部24は、左右方向に細長いほぼ水平な板状を成し、その前端部に、フィーダ位置決め用の位置決めプレート26を備えている。位置決めプレート26には、前後方向に開口する上下一組のピンホール対27がX方向に一定間隔で複数組形成されている。また、フィーダ支持部24の上面には、フィーダ位置決め用の前後方向に延びる複数の溝型のスロット25がX方向に一定間隔で設けられている。
【0035】
テープフィーダ7は、フィーダ本体部7aの下端部が上記スロット25に挿入され、かつ、フィーダ本体部7aの前端に設けられた位置決めピンが上記ピンホール対27に挿入された状態でフィーダ支持部24に支持されている。この構成により、複数のテープフィーダ7が、それぞれ位置決めされて、整列した状態でフィーダ支持部24に支持されている。
【0036】
なお、フィーダ支持部24の直下であってフィーダバンク20の後面には電気接続部28が設けられている。電気接続部28には、上記スロット25と同じ間隔でX方向に並ぶ複数のコネクタ29が配置されている。これらコネクタ29は、テープフィーダ7を部品実装装置1の図外の制御装置に電気的に接続するためのものであり、フィーダ本体部7aの前端面に設けられた図外のコネクタが上記コネクタ29に嵌合されている。これにより、各テープフィーダ7aが上記制御装置に電気的に接続されている。
【0037】
前記フィーダ支持部24の下方には、上記テープ切断ユニット30が配置されている。テープ切断ユニット30は、図4に示すように、フィーダバンク20の一対の脚部22と、フィーダ支持部24と、前記ベース面12とによって形成された空間S内に配置され、前記ベース面12に直接載置されている。
【0038】
テープ切断ユニット30は、図3図6に示すように、上下方向に偏平は略箱形のユニット構造体であり、その前端近傍の位置に、上下方向に貫通する貫通孔31とこの貫通孔31内に配置された上記カッター35とを備えており、上記ガイド板50及び第1ダクト60を通じてこの貫通孔31に案内される空テープBTを上記カッター35によって切断するように構成されている。
【0039】
なお、第1ダクト60は、図2図4に示すように、上下方向に延びる筒状の部材であり、その下端部がテープ切断ユニット30の上記貫通孔31に僅かに挿入された状態で、ガイド板50と共にフィーダバンク20にボルトで固定されている。第1ダクト60の上端部には、テープフィーダ7の前端(Y1方向の末端)に対向するように後向きに開口するテープ導入口60aが設けられ、下端部には、下向きに開口するテープ導出口60bが設けられている。一方、ガイド板50は、図4に示すように、フィーダ支持部24に支持されたテープフィーダ7の前端と第1ダクト60の上端部との間に形成される隙間を上方から覆うようにX方向に延在して設けられている。これにより、空テープBTは、テープフィーダ7の前端からほぼ水平に送出されながらその進行方向を下方に変換され、テープ切断ユニット30の上記貫通孔31に案内されるようになっている。
【0040】
上記テープ切断ユニット30は、図5及び図6に示すように、前後壁部33a、33b及び左右壁部33c、33dからなる周壁部33と、底壁部34とからなる平面視長方形のユニットケース32を有し、このユニットケース32に固定刃35a及び可動刃35bからなる上記カッター35と、可動刃35bを支持するホルダー36と、可動刃35bを駆動するエアシリンダ37とが組み込まれた構成を有している。
【0041】
詳しくは、ユニットケース32の前壁部33aの内側面に上記固定刃35aが後向きに固定される一方、この固定刃35aに対向して可動刃35bが前向きに配置されている。可動刃35bは、前後方向にスライド自在となるようにユニットケース32に支持されたホルダー36に組付けられており、上記エアシリンダ37によりホルダー36と一体に前後方向に進退駆動される。つまり、テープ切断ユニット30は、貫通孔31内に案内された空テープBTを、可動刃35bと固定刃35aとで挟み込んで切断するように構成されている。
【0042】
なお、貫通孔31および上記第1ダクト60は、何れもテープフィーダ7の配設領域に亘ってX方向に延在する細長い断面形状を有しており、カッター35の各刃35a、35bも同様に、テープフィーダ7の配設領域に亘ってX方向に延在している。これにより、テープ切断ユニット30は、フィーダバンク20に支持された複数のテープフィーダ7から送出される複数本の空テープBTを一括して切断するようになっている。
【0043】
基台2の上記テーブル部2aのうち、上記貫通孔31に対応する位置には開口部13が設けられており、テープ切断ユニット30により切断された空テープBTは、この開口部13を通じてテーブル部2aの下方に落下するようになっている。
【0044】
テーブル部2aの下方には、図3に示すように、上記ダストボックス80が配置されるとともに、上記開口部13を通じて落下する空テープBTをダストボックス80に案内する、上下方向に延びた第2ダクト70が設けられている。これにより、切断された空テープBTがダストボックス80に収容されるようになっている。なお、第2ダクト70は、その上端部が上記開口部13を通じてテープ切断ユニット30の貫通孔31に挿入された状態で、テーブル部2aにボルトで固定されている。
【0045】
なお、上記テープ切断ユニット30は、その前面、具体的には、ユニットケース32の後壁部33bの外側面に固定用のブラケット38を備えている。当該ブラケット38は、上記ベース面12にボルトB2で締結されており、これによりテープ切断ユニット30がテーブル部2a(基台2)に固定されている。ブラケット38は、後壁部33bの左右2箇所に設けられており、テープ切断ユニット30は、これら2箇所のブラケット38のみでテーブル部2aに固定されている。
【0046】
ここで、テープ切断ユニット30が載置されているテーブル部2aの上記ベース面12はフラットな形状とされ、このベース面12に支持されるテープ切断ユニット30の下面、具体的には、ユニットケース32(底壁部34)の下面34aもフラットな形状とされている。つまり、テープ切断ユニット30は、フィーダ支持部24下方に位置する組付け位置P1(図3図4に示す位置)と、この組付け位置P1からフィーダバンク20の外側、具体的には装置前側に引き出された引出し位置P2(図7に示す位置)との間でベース面12面に沿って移動させることができるように、当該ベース面12上に支持されている。これにより、上記ボルトB2および後記カバー40等を外しておけば、フィーダバンク20を取り外すことなく、テープ切断ユニット30をテーブル部2a(基台2)に対して着脱することが可能となっている。
【0047】
フィーダバンク20の各脚部22は、X方向に対向しかつY方向に互いに平行に延びる対向面22aを有しており、テープ切断ユニット30は、左右の側面、具体的にはユニットケース32の左右壁部33c、33dの外側面が当該対向面22aに当接する構成となっている。これにより、テープ切断ユニット30の着脱時には、各脚部22の対向面22aに沿ってテープ切断ユニット30を案内できるようになっている。
【0048】
なお、テープ切断ユニット30は、上記カバー40により覆われている。カバー40は、図2及び図3に示すように、テープ切断ユニット30を上方から覆う水平部42aと、その後端から下方に延びてテープ切断ユニット30を後方から覆う垂直部42bとを備えた断面L字型のカバーである。このカバー40は、フィーダバンク20の脚部22およびベース面12にそれぞれボルトで固定されている。
【0049】
カバー40の上記水平部42aの上面には、フィーダ支持部24と同様に、フィーダ位置決め用の前後方向に延びる複数の溝型のスロット43がX方向に一定間隔で設けられている。つまり、テープフィーダ7は、フィーダ支持部24のスロット25に加えて、当該カバー40のスロット43にもフィーダ本体部7aが挿入されており、これらフィーダ支持部24及びカバー40によって支持されている。
【0050】
なお、ここでは、第2部品供給部6bの構成について説明したが、第1、第3、第4の各部品供給部6a、6c、6dも基本的な構成は第2部品供給部6bと同じである。但し、第3、第4の各部品供給部6c、6dは、部品実装装置1の装置後側の部品供給エリアPAに設けられているため、構成自体は第2部品供給部6bと共通であるが、第2部品供給部6bとは前後逆向きの構成となっている。
【0051】
[作用効果等]
以上のような部品供給部6(6a〜6d)の構成によれば、テープ切断ユニット30のメンテナンス性が向上する。すなわち、テープ切断ユニット30のメンテナンス時には、図2に示す状態から、ガイド板50、第1ダクト60、第2ダクト70及びカバー40を取り外し(図4参照)、ブラケット38を固定しているボルトB2を取り外してベース面12に対するテープ切断ユニット30の固定を解除した後、テープ切断ユニット30をベース面12に沿って組付け位置P1から引出し位置P2に引き出せば、図7に示すように、フィーダバンク20を取り外すことなくテープ切断ユニット30を難なく取り外すことができる。また、これと逆の手順に従うことで、メンテナンス後のテープ切断ユニット30を元の組付け位置P1に戻す(組付ける)ことができる。そのため、テープ切断ユニットの脱着に際し、常にフィーダバンクの取り外しが必要な従来のこの種の部品実装装置と比較すると、フィーダバンクを取り外す時間と労力を削減でき、その分、テープ切断ユニット30のメンテナンス性が向上する。
【0052】
特に、テープ切断ユニット30は、その引き出し側となる後側面(前壁部33aの外側面)に固定用のブラケット38が備えられている。換言すれば、テープ切断ユニット30は、引出し位置P2側からアクセス可能な位置でテーブル部2a(基台2)に締結(固定)されている。そのため、ボルトB2への作業者のアクセスが容易であり、テープ切断ユニットの締結(固定)、又は締結解除(固定解除)の作業性が良い。よって、この点でもテープ切断ユニット30のメンテナンス性が向上する。
【0053】
また、上記部品供給部6の構成によれば、テープ切断ユニット30の着脱時には、上記の通り、フィーダバンク20の各脚部22の対向面22aに沿ってテープ切断ユニット30を案内することができるので、テープ切断ユニット30の移動や、上記ブラケット38のねじ孔への位置決めをより安定的にかつ速やかに行うことができる。従って、この点でもテープ切断ユニット30のメンテナンス性が向上する。
【0054】
ところで、従来のこの種のテープ切断ユニット(背景技術の特許文献1に記載されたテープ切断ユニット)は、カッター駆動用のエアシリンダが下方に突出して設けられており、テープ切断ユニットは、基台に形成された開口部分に当該エアシリンダが挿入された状態で当該基台に組付けられていた。これに対して、上記実施形態のテープ切断ユニット30は、図6に示すように、ユニットケース32の内底面(底壁部34の上面)に立設された板状の支持部34bにエアシリンダ37が固定され、このエアシリンダ37の出力軸37a(ピストン)が上記ホルダー36にボルトB3で締結されることで、ユニットケース32の下面(すなわち、底壁部34の下面34a)からエアシリンダ37が下方に突出することがない構造となっている。このようなテープ切断ユニット30の構成を採用できる主な理由は以下の通りである。
【0055】
部品供給部6は、テープフィーダ7を支持した上で、その上方にヘッドユニット8の移動空間を確保する必要があるため、高さ的な制約を受ける。従来の部品実装装置では、プレス加工等された金属板同士を溶接等で互いに組付けることにより基台が構成されており、精度が求められる基台のベース面は、通常、ほぼ平坦な一枚の金属板で構成されていた。そのため、部品供給部の高さを抑えるには、上記の通り、テープ切断ユニットの下方にカッター駆動用のエアシリンダを突出させ、当該エアシリンダを基台の開口部分に挿入した状態でテープ切断ユニットを基台に組付けることによって、テープフィーダの支持高さ位置がエアシリンダによって高くなることを回避して、部品供給部全体の高さを抑えるようにしていた。
【0056】
これに対して、当例では、基台2は鋳造品であり、テーブル部2aやフレーム部2bを含む全体が同一材料によって一体に成型されている。鋳造品は、形状的な自由度が高く、しかも精度を出し易いため、当例では、図2に示すように、テーブル部2aのベース面12全体としての精度を確保しつつ、部品供給エリアPAのベース面12を作業エリアWAのベース面12よりも低く設定することで、これらの間に段差Lを設けている。つまり、ユニットケース32の下面34a(すなわち、底壁部34の下面)からエアシリンダ37が下方に突出することがないようにテープ切断ユニット30を構成しながらも、当該テープ切断ユニット30が設置される部品供給エリアPAのベース面12の高さを低くしていることで、結果的に、テープフィーダ7を含む部品供給部6の全体の高さを抑えた構造となっている。よって、テープ切断ユニット30を、上述のようにエアシリンダ37が下方に突出することがない構造とすることが可能となっている。
【0057】
[変形例等]
なお、上述した部品実装装置1は、本発明に係るテープ切断ユニットの組付構造が適用された部品実装装置の好ましい実施形態の例示であり、部品実装装置1の具体的な構成や具体的なテープ切断ユニット30の組付構造は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0058】
例えば、上記実施形態では、第1ダクト60の下端部がテープ切断ユニット30の貫通孔31に挿入され、第2ダクト70の上端部が前記貫通孔31に挿入されている。しかし、テープフィーダ7から送出される空テープBTを確実に貫通孔31に案内でき、また、切断後の空テープBTを確実にダストボックス80に案内することができれば、各ダクト60,70の端部が貫通孔31内に挿入されていない構造を採用することもできる。この構造によれば、ベース面12に沿ってテープ切断ユニット30を移動させる際にダクト60、70が当該テープ切断ユニット30と干渉することが無くなるので、ガイド板50、第1ダクト60及び第2ダクト70を取り外すことなく、テープ切断ユニット30を着脱することが可能となる。よって、テープ切断ユニット30のメンテナンス性がより一層向上するという利点がある。
【0059】
また、上記実施形態では、テーブル部2aのベース面12にテープ切断ユニット30が直接載置されており、テープ切断ユニット30の着脱時には、ベース面12に沿ってテープ切断ユニット30を移動させる構造である。しかし、ベース面12上にリニアガイドを設け、テープ切断ユニット30をこのリニアガイドを介してベース面12上に移動可能に支持する構造を採用することもできる。この構造によれば、着脱時のテープ切断ユニット30の移動をより簡単に行うことが可能となるので、テープ切断ユニット30のメンテナンス性の向上に寄与するものとなる。
【0060】
また、実施形態では、テープ切断ユニット30をテーブル部2a(基台2)に対して着脱可能に固定する本発明の固定手段として、当該テープ切断ユニット30をベース面12に締結するボルトB2が用いられているが、例えば、固定手段としてトグルクランプ等のクランプ装置を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 部品実装装置
2 基台
2a テーブル部
6 部品供給部
6a 第1部品供給部
6b 第2部品供給部
6c 第3部品供給部
6d 第4部品供給部
7 テープフィーダ
12 ベース面
20 フィーダバンク
22 脚部
22a 対向面
24 フィーダ支持部
30 テープ切断ユニット
38 ブラケット
B2 ボルト(固定手段)
BT 空テープ
P1 組付け位置
P2 引出し位置
S 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7