特許第6831707号(P6831707)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6831707
(24)【登録日】2021年2月2日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】弁棒による空気圧維持タイヤおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B60C 23/12 20060101AFI20210208BHJP
   B60C 5/00 20060101ALI20210208BHJP
【FI】
   B60C23/12
   B60C5/00 E
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-10812(P2017-10812)
(22)【出願日】2017年1月25日
(65)【公開番号】特開2017-132462(P2017-132462A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2019年11月11日
(31)【優先権主張番号】62/287951
(32)【優先日】2016年1月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513158760
【氏名又は名称】ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】チェン−シュン リン
(72)【発明者】
【氏名】ロビン ランガデイ
【審査官】 上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−306862(JP,A)
【文献】 特開2005−053343(JP,A)
【文献】 特開2006−321310(JP,A)
【文献】 特開2015−089814(JP,A)
【文献】 米国特許第04088350(US,A)
【文献】 特開2002−039458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 23/12
B60C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気圧維持タイヤ組立体であって、
タイヤトレッド領域まで延びる第1および第2のサイドウォールによって閉じられたタイヤキャビティと
前記タイヤキャビティ内の空気圧を予め設定された圧力レベルに維持するために圧縮空気を生成するエアポンピング手段と、
弁棒の外側端部に隣接して配置されバルブハウジングとを有し、
前記バルブハウジングは、弁棒内部通路からタイヤキャビティ内へ圧縮空気が流れるように選択的に開閉動作可能であ
前記第1のサイドウォールは、転動するタイヤフットプリント内で動作可能に屈曲する少なくとも1つの屈曲領域と、前記第1のサイドウォールの前記屈曲領域内に配置されたサイドウォール溝または通路とを有し、前記サイドウォールまたは通路は、前記転動するタイヤフットプリント内の前記第1のサイドウォール屈曲領域が屈曲することに応じて非変形状態と変形圧搾状態との間でセグメントごとに変形
前記エアポンピング手段は、タイヤフットプリントに隣接するときに動作可能に屈曲する前記第1のサイドウォールの少なくとも屈曲領域内に少なくとも部分的に位置し、
前記エアポンピング手段は、ソフトまたは弾性体のチュービングおよび前記コンプレッションフィッティングを有し、
前記バルブハウジングは、前記コンプレッションフィッティングに対する動的荷重を軽減するために前記ソフトまたは弾性体のチュービングおよびコンプレッションフィッティングによって前記エアポンピング手段に連結されていることを特徴とする空気圧維持タイヤ組立体。
【請求項2】
前記ソフトまたは弾性体のチュービングは、引張り強度が120000psi未満であることを特徴とする、請求項1に記載の空気圧維持タイヤ組立体。
【請求項3】
前記バルブハウジングは円筒形であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の空気圧維持タイヤ組立体。
【請求項4】
前記バルブハウジングは、前記エアポンピング手段を「開」状態および「閉」状態にするために開閉する逃がし弁をさらに含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の空気圧維持タイヤ組立体。
【請求項5】
前記エアポンピング手段の前記ソフトまたは弾性体のチュービングの少なくとも一部は、前記第1のタイヤサイドウォール内に配置され、前記チュービングは、前記タイヤが荷重を受けながら回転することによって漸進的に平坦化されることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の空気圧維持タイヤ組立体。
【請求項6】
前記バルブハウジングは、当該バルブハウジングの外側端部の所に配置された手動充填組立体をさらに含み、
前記バルブハウジングの手動充填組立体は、前記タイヤキャビティを弁棒を介して手動によって直接圧縮するのと同様に手動によって圧縮するように逆止め弁を含むことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の空気圧維持タイヤ組立体。
【請求項7】
前記タイヤキャビティ内の空気圧が前記予め設定された圧力レベルよりも低くなると、空気が前記バルブハウジングを通過し、前記弁棒を通過して前記タイヤキャビティに流入することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の空気圧維持タイヤ組立体。
【請求項8】
前記タイヤキャビティ内の空気圧が前記予め設定された圧力レベルであるとき、空気が逃がし弁を通って大気に排出されることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の空気圧維持タイヤ組立体。
【請求項9】
タイヤ内を所定の空気圧に維持する方法であって、
圧縮空気をタイヤキャビティ内に送る細長い内部空気通路を有する細長い弁棒を前記タイヤのタイヤキャビティから外側に突き出るように配置するステップと、
前記弁棒上にバルブハウジングを配置するステップと、
圧縮空気が前記弁棒内部通路から前記タイヤキャビティ内に流れるように制御するために前記弁棒内部通路を選択的に開閉するステップと、
圧縮空気が前記弁棒内部通路の外側端部を通ってタイヤキャビティ内に送られるように前記バルブハウジングにエアポンピング手段を結合するステップとを有し、
前記タイヤは、第1のサイドウォールと、タイヤフットプリントに隣接するときに動作可能に屈曲する前記第1のサイドウォールの少なくとも屈曲領域内に少なくとも部分的に位置する前記エアポンピング手段とを有し、
前記結合するステップは、バルブハウジングコンプレッションフィッティングに対する動的荷重を軽減するためにソフトまたは弾性体のチュービングを前記コンプレッションフィッティングおよび前記バルブハウジングの少なくとも一方と相互に連結する方法。
【請求項10】
前記タイヤをリム上に支持するステップと、
前記弁棒を前記タイヤから前記リムの開口を通して延ばすステップと、
前記バルブハウジングを前記タイヤキャビティの外部に配置するステップとをさらに含むことを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記弁棒通路から前記タイヤキャビティ内への空気通路を選択的に開閉する前記弁棒内の逆止め弁をさらに有することを特徴とする、請求項9または請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記バルブハウジング内に逃がし弁を組み込むステップをさらに含むことを特徴とする、請求項9乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記バルブハウジングの内部チャンバを前記エアポンピング手段から圧縮空気を受け取るように結合するステップと、
前記内部チャンバ内の圧縮空気の有無に応じて前記弁棒の逆止め弁を選択的に開閉するステップとをさらに含むことを特徴とする、請求項9乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記タイヤから、前記タイヤを支持するリムを貫通して延びる開口を通して前記弁棒を延ばすステップと、
前記バルブハウジングを前記弁棒に取り付けるステップとをさらに含むことを特徴とする、請求項9乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
荷重を受けて回転する前記タイヤから第1のサイドウォール内に曲げ応力が伝達され、それによって空気がサイドウォール空気通路に沿ってセグメントごとに押し込まれることに応じて、拡張された直径から実質的に縮小された直径になるようにセグメントごとの圧縮が生じるように動作可能に配置された前記空気通路を前記第1のタイヤサイドウォール内に配置するステップと、
前記空気通路を前記弁棒の半径方向外側の端部に連結し、それによって加圧空気を前記タイヤキャビティに送るステップとをさらに含むことを特徴とする、請求項9乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、空気圧維持タイヤに関し、より詳細には、タイヤの空気圧を維持する弁棒による空気圧維持タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの空気は、通常の空気拡散によって時間の経過とともに低下する。タイヤは膨らんだ状態が自然な状態である。したがって、運転者は、繰り返しタイヤの空気圧を維持するように努め、そうしないと燃費が悪くなり、タイヤの寿命が短くなり、車両の制動・ハンドリング性能が低下する。タイヤの空気圧が著しく低くなったときに運転者に警告するタイヤ圧監視システムが提案されている。しかし、そのようなシステムは、依然として、運転者が、タイヤを推奨圧力まで再膨張させるよう警告されたときに是正措置をとることに依存している。したがって、タイヤの空気圧の経時的な低下を、運転者が介入することなく補償するためにタイヤの空気圧を自己調整する空気圧維持機能をタイヤ内に組み込むことが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明による空気圧維持タイヤ組立体は、タイヤトレッド領域まで延びる第1および第2のサイドウォールによって閉じられたタイヤキャビティを有するタイヤと、タイヤキャビティ内の空気圧を予め設定された圧力レベルに維持するために圧縮空気を生成し、コンプレッションフィッティングに対する動的荷重を軽減するためのソフトチュービングおよびコンプレッションフィッティングを有するエアポンピング手段と、弁棒の外側端部に隣接して配置され、弁棒内部通路からタイヤキャビティ内へ圧縮空気が流れるように選択的に開閉動作可能なバルブハウジングとを含む。バルブハウジングは、コンプレッションフィッティングに対する動的荷重を軽減するためにソフトチュービングおよびコンプレッションフィッティングによってエアポンピング手段に連結される。第1のサイドウォールは、転動するタイヤフットプリント内で動作可能に屈曲する少なくとも1つの屈曲領域と、第1のサイドウォールの屈曲領域内に配置された溝側壁によって画定されたサイドウォール溝とを有し、溝は、転動するタイヤフットプリント内の第1のサイドウォール屈曲領域が屈曲することに応じて非変形状態と変形圧搾状態との間でセグメントごとに変形する。
【0004】
組立体の別の態様によれば、ソフトチュービングは、引張り強度が120000psi未満である。
【0005】
組立体のさらに別の態様によれば、バルブハウジングは円筒形である。
【0006】
組立体のさらに別の態様によれば、バルブハウジングは、エアポンピング手段を「開」状態および「閉」状態にするために開閉する逃がし弁をさらに含む。
【0007】
組立体のさらに別の態様によれば、エアポンピング手段は、第1のタイヤサイドウォール内にチューブを有する。このチューブは、タイヤが荷重を受けながら回転することによって漸進的に平坦化される。
【0008】
組立体のさらに別の態様によれば、バルブハウジングは、バルブハウジングの外側端部の所に配置された手動充填組立体をさらに含む。
【0009】
組立体のさらに別の態様によれば、バルブハウジングの手動充填組立体は、タイヤキャビティを弁棒を介して手動によって直接圧縮するのと同様に手動によって圧縮するように逆止め弁を含む。
【0010】
組立体のさらに別の態様によれば、タイヤが路面上を荷重を受けながら回転し続けると、エアポンピング手段のチューブの一部が、タイヤフットプリントに隣接するときに順次圧搾される。
【0011】
組立体のさらに別の態様によれば、エアポンピング手段の一部がセグメントごとに順次平坦化すると、空気がバルブハウジングおよびタイヤキャビティに送られる。
【0012】
組立体の別の態様によれば、タイヤキャビティ内の空気圧が予め設定された圧力レベルよりも低くなると、空気がバルブハウジングを通過し、弁棒を通過してタイヤキャビティに流入する。
【0013】
組立体のさらに別の態様によれば、タイヤキャビティ内の空気圧が予め設定された圧力レベルであるとき、空気は逃がし弁を通って大気に排出される。
【0014】
本発明による方法は、タイヤ内を所定の空気圧に維持する。この方法は、圧縮空気をタイヤキャビティ内に送る細長い内部空気通路を有する細長い弁棒をタイヤのタイヤキャビティから外側に突き出るように配置するステップと、弁棒上にバルブハウジングを配置するステップと、圧縮空気が弁棒内部通路からタイヤキャビティ内に流れるように制御するために弁棒内部通路を選択的に開閉するステップと、圧縮空気が弁棒内部通路の外側端部を通ってタイヤキャビティ内に送られるようにバルブハウジングにエアポンピング手段を結合するステップとを含む。結合ステップは、バルブハウジングコンプレッションフィッティングに対する動的荷重を軽減するためにソフトチュービングをコンプレッションフィッティングおよびバルブハウジングと相互に連結することを含む。エアポンピング手段は、タイヤフットプリントに隣接するときに屈曲するように動作可能な少なくとも1つの屈曲領域と、屈曲領域内に配置された溝側壁によって画定されたサイドウォール溝とを有する第1のサイドウォールを含み、溝は、タイヤフットプリント内の第1のサイドウォールが屈曲することに応じて非変形状態と変形圧搾状態との間でセグメントごとに変形する。
【0015】
この方法の別の態様によれば、さらなるステップは、タイヤをリム上に支持することと、弁棒をタイヤからリムの開口を通して延ばすことと、バルブハウジングをタイヤキャビティの外部に配置することとを含む。
【0016】
この方法のさらに別の態様によれば、弁棒内の逆止め弁は、弁棒通路からタイヤキャビティ内への空気通路を選択的に開閉する。
【0017】
この方法のさらに別の態様によれば、さらなるステップは、バルブハウジング内に逃がし弁を組み込むステップを含む。
【0018】
この方法のさらに別の態様によれば、さらなるステップは、バルブハウジングの内部チャンバをエアポンピング手段から加圧空気を受け取るように結合するステップと、内部チャンバ内の圧縮空気の有無に応じて弁棒の逆止め弁を選択的に開閉するステップとを含む。
【0019】
この方法のさらに別の態様によれば、さらなるステップは、タイヤから、タイヤを支持するリムを貫通して延びる開口を通して弁棒を延ばすステップと、バルブハウジングを弁棒に取り付けるステップとを含む。
【0020】
この方法のさらに別の態様によれば、さらなるステップは、荷重を受けて回転するタイヤから第1のサイドウォール内に曲げ応力が伝達され、それによって空気がサイドウォール空気通路に沿ってセグメントごとに押し込まれることに応じて、拡張された直径から実質的に縮小された直径になるようにセグメントごとの圧縮が生じるように動作可能に配置された空気通路を第1のタイヤサイドウォール内に配置するステップと、空気通路を弁棒の半径方向外側の端部に連結し、それによって圧縮空気をタイヤキャビティに送るステップとを含む。
〈定義〉
タイヤの「アスペクト比」は、タイヤの断面幅(SW)に対するタイヤの断面高さ(SH)の比に、百分率として表せるように100パーセントを掛けた値を意味する。
【0021】
「非対称トレッド」は、タイヤの中心面すなわち赤道面に対して対称ではないトレッドパターンを有するトレッドを意味する。
【0022】
「軸線方向の」および「軸線方向に」は、タイヤの回転軸に平行なラインまたは方向を意味する。
【0023】
「チェーファー」は、コードプライを摩耗および切断から防止し、たわみをリムの上方に分散させるように、タイヤビードの外側の周囲に配置された材料の狭いストリップである。
【0024】
「周方向の」は、軸線方向に垂直な環状のトレッドの表面の周囲に沿って延びるラインまたは方向を意味する。
【0025】
「赤道中心面(CP)」は、タイヤの回転軸に垂直であり、かつトレッドの中心を通過する平面を意味する。
【0026】
「フットプリント」は、零速度ならびに標準的な荷重および空気圧においてタイヤトレッドが平坦な表面に接触する接触部分または接触領域を意味する。
【0027】
「溝」は、トレッドの周りを周方向または横方向に、直線状、曲線状、またはジグザグに延びる細長い空隙領域を意味する。周方向および横方向に延びる溝は、共有部分を有することがある。「溝幅」は、溝または溝部が占めるトレッド表面積を、幅を問題にしているその溝または溝部の長さで割った値に等しく、したがって、溝幅は、溝の長さにわたる平均幅である。溝は、タイヤにおける深さが一定でなくてもよい。溝の深さは、トレッドの円周に沿って一定でなくてもよく、あるいは一定であるがタイヤにおける別の溝の深さとは異なってもよい。そのような狭いかあるいは広い溝は、相互に連結された広い周方向溝と比べて実質的に浅い深さを有している場合、対応するトレッド領域にリブ状の特性を維持する傾向がある「タイバー」を形成すると考えられる。
【0028】
「車内側」は、タイヤが車輪に取り付けられ、車輪が車両に取り付けられたときに車両に最も近いタイヤの側を意味する。
【0029】
「内側の」はタイヤキャビティに向かう方向を意味する。
【0030】
「横方向の」は軸線方向を意味する。
【0031】
「横方向縁部」は、標準的な荷重およびタイヤ空気圧の下で測定された軸線方向において最も外側のトレッド接触部分またはフットプリントに接し、赤道中心面に平行なラインを意味する。
【0032】
「ネット接触領域」は、トレッドの円周全体に沿った横方向縁部間の路面に接触するトレッド部材の総面積を、横方向縁部間のトレッド全体の総面積によって割った値を意味する。
【0033】
「非方向性トレッド」は、好ましい前進方向を有さないトレッドであり、トレッドパターンを好ましい走行方向に揃えるために車両上の特定の1つまたは2つ以上の車両位置に取り付けることを必要としないトレッドを意味する。逆に、方向性トレッドパターンは、特定の車輪位置を必要とする好ましい走行方向を有する。
【0034】
「車外側」は、タイヤがホイールに取り付けられ、ホイールが車両に取り付けられたときに車両から最も遠く離れているタイヤの側を意味する。
【0035】
「外側の」は、タイヤキャビティから離れる方向を意味する。
【0036】
「蠕動運動」は、空気などの収容された物質を環状の経路に沿って推進する波状の収縮による動作を意味する。
【0037】
「ラジアル(半径方向の)」および「半径方向に」は、タイヤの回転軸に向かうかまたは離れる方向を意味する。
【0038】
「リブ」は、少なくとも1つの周方向溝と、同様な第2の溝または横方向縁部のいずれかとによって画定され、全深さ溝によって横方向に分割されることのない、トレッド上の周方向に延びるゴムのストリップを意味する。
【0039】
「サイプ」は、タイヤのトレッド部材に成形され、トレッド面を細分しトラクションを向上させる小さな長穴を意味し、一般に幅が狭く、タイヤのフットプリントおいて開口されたままである溝とは異なりタイヤのフットプリントにおいて閉じる。
【0040】
「トレッド部材」または「トラクション部材」は、溝に隣接する形状を有することによって画定されるリブまたはブロック部材を意味する。
【0041】
「トレッド弧幅」は、トレッドの横方向縁部間で測定されるトレッドの弧長を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本発明について、一例として添付の図面を参照して説明する。
図1】本発明による例示的な組立体の概略断面図である。
図2】組立体、タイヤ、チューブ、およびポンプ位置を示す概略斜視図である。
図3図2の概略側面図である。
図4】本発明に使用されるAMT弁棒調整装置にポンプチューブが連結されたポンプ部分組立体を示す概略図である。
図5】ポンプチューブ移動ハウジングおよびタイヤAMT弁棒調整装置を示す、図4の概略拡大図である。
図6】タイヤが第1の方向に回転している状態におけるAMT弁棒調整装置にポンプチューブが連結されたポンプ部分組立体を示す概略図である。
図7】タイヤが第2の逆方向に回転している状態におけるAMT弁棒調整装置にポンプチューブが連結されたポンプ部分組立体を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図2図5を参照する。本発明に使用される例示的なタイヤ組立体10は、タイヤ12と、蠕動運動ポンプ組立体14と、タイヤリム16とを含んでもよい。タイヤ12は、リム16に一般的な方法によって取り付けられてもよい。タイヤ12は、一般的な構成であってもよく、互いに向かい合うビード領域(ビード領域22のみが示されている)からクラウンまたはタイヤトレッド領域26まで延びる一対のサイドウォール(サイドウォール18のみが示されている)を有している。タイヤ12とリム16はともにタイヤキャビティ28を囲んでいる。
【0044】
蠕動運動ポンプ組立体14は、環状の溝または通路32を囲む環状のエアチューブ30を含んでもよい。チューブ30は、反復的な変形サイクルに耐えることのできる、プラスチックまたはゴム化合物などの弾性的な可撓性材料によって形成されてもよい。このような構成では、チューブ30は、外力を受けたときにタイヤ12内に変形して平坦な状態になり、そのような力が除去されたときに最初の状態に戻ってもよい。図示の例では、応力を受けていない状態におけるチューブ30の断面は概ね円形であってもよいが、代替断面形状が使用されてもよい。チューブ30は、タイヤ12を好ましい空気圧に維持するようにタイヤキャビティ28内に空気を送り込むことを目的として必要量の空気を動作可能に移動させるのに十分な直径を有してもよい。
【0045】
変形可能なエアチューブをタイヤ内に組み込む蠕動運動原理は、引用によって全体が本明細書に組み込まれている米国特許第8113254号公報に図示され記載されている。このシステムでは、チューブは、タイヤ内においてタイヤビード領域に近接して形成された環状のタイヤ通路内に組み込まれている。タイヤが荷重を受けながら回転すると、タイヤの外部からの空気がチューブに取り込まれ、タイヤが回転するにつれてタイヤ内のチューブが漸次圧搾されることによって空気がエアチューブに沿って送られる。したがって、空気は、出口弁に送り込まれ、次いで、タイヤキャビティ内の空気圧を所望の圧力レベルに維持するためにタイヤ内に送り込まれる。
【0046】
チューブ30は、タイヤ12の溝32内にぴったりと取り付けられ、タイヤが荷重を受けながら回転するにつれて順次平坦化してもよい。タイヤ12が空気を空気通路/溝32に沿って送り、空気圧を維持するためにタイヤキャビティ28に送り込む際に、チューブ30がセグメントごとに平坦化する。サイドウォール溝32内にチューブ30を使用する蠕動運動ポンピングシステム14は、引用によって全体が本明細書に組み込まれている発行済みの米国特許第8042586号号公報に示されている。
【0047】
ポンプチューブ30は、概ね環状であってもよく、ビード領域22に近接する下部タイヤサイドウォール領域を囲んでもよい。しかし、本発明から逸脱せずにチューブ30用の他の構成が得られてもよい。チューブ30の互いに向かい合う端部34,36がポンピング組立体100に連結されてもよい。ポンピング組立体100は、チューブ30の端部をポンピング組立体に連結する2つのポンプチューブ101,102を含んでもよい。ポンプチューブ101,102は、タイヤ/リム組立体12,16の弁棒80にねじ込み可能に取り付けられたポンピング組立体14の概ね円筒形のハウジング110に取り付けられてもよい。タイヤキャビティを手動によって充填する間に空気をチューブ30からタイヤキャビティ28に取り込むために開閉する一方向逆止め弁76が、弁棒80内に配置されてもよい。バルブハウジング110は、ポンピング組立体14を「開」状態および「閉」状態にするために開閉する逃がし弁105をさらに有してもよい。空気は、バルブハウジング110に取り込まれてもよく、チューブ30からタイヤキャビティ28に送られてもよい。上述のように、チューブ30は、タイヤサイドウォール内の溝32に組み込まれてもよく、タイヤ12が荷重を受けながら回転することによって漸進的に平坦化されてもよい。
【0048】
バルブハウジング101の上端または外側端部に手動充填組立体200が配置されてもよい。手動充填組立体200は、タイヤキャビティ28を弁棒80を介して手動によって直接圧縮するのと同様に手動によって圧縮することができるように、逆止め弁202を含んでもよい。
【0049】
図6および図7はそれぞれ、タイヤ12が反時計回りに回転する場合(図6)およびタイヤ12が時計回りに回転する場合(図7)におけるAMT組立体の概略図を示す。タイヤ12が路面上を荷重を受け続けながら回転すると、チューブ30は、タイヤフットプリントに隣接する際に順次平坦化または圧搾される場合がある。チューブ通路32がセグメントごとに順次平坦化すると、平坦化されたセグメントから排出された空気は図6および図7に示されている方向へハウジング110まで送られる。
【0050】
空気流圧力が逆止め弁76に対して十分な圧力であるとき、空気は、弁棒80を通ってタイヤキャビティ28(図6)に流入してもよい。タイヤキャビティ28内の空気圧が設定圧力未満であるとき、空気は連結チューブ70からバルブハウジング101に至り、弁棒80およびタイヤキャビティに流れ込む。タイヤキャビティ28内の空気圧が設定圧力以上であるとき(図7)、逆止め弁76が閉じ、空気をバルブハウジング110から弁棒80に送り込むことはできなくなる。その代わり、圧縮された空気は、逃がし弁105を通って大気に排出されるまでバルブハウジング110内に保持されてもよい。
【0051】
弁棒80の逆止め弁76および手動充填組立体200の逆止め弁202は、タイヤの一般的な膨張に使用される一般的な弁棒コアとバルブコアとを含んでもよい。バルブコアは、「シュレーダバルブコア」であってもよく、内部を弁軸が延びる細長いハウジングを含んでもよい。バルブシール部材が、細長いハウジング内に配置されてもよく、弁軸に結合されてもよい。バイアスばねが、弁軸を囲み、密封部材を細長いハウジング内においてバルブシール部材に対して「上昇」位置または「閉」位置に偏らせてもよい。バルブコア内の空気通路は、弁軸が移動し、それによって弁密封部材が「下降」位置または「開」位置に移動させられ、それによって大気を空気通路に進入させ、タイヤキャビティ28の方へ送るのが可能になるまで、「閉」状態に偏らされてもよい。
【0052】
上述の例示的な組立体10は、ソフトチューブ30,80,101,102をばねクランプまたはプラスチック製スリーブクランプによって連結するのに一般的な「バーブ」を使用してもよい。そのようなばね/プラスチック製スリーブクランプの締付け力は、ばね/スリーブ内径およびチューブ肉厚に大きく依存する場合がある。ばね/スリーブ内径が小さく、チューブ肉厚が厚い場合、締付け力が強くなる場合があるが、製造/組立てが困難になることがある。さらに、動的条件の間のばね/スリーブ締付け力の変動は耐久不可能である場合がある。バーブがわずかに屈曲することによって締付け力の分布が不均等になると、場合によってはAMT組立体10に漏出点が生じることがある。たとえば、バーブにおける動的循環運動およびその結果としての応力集中によって、バーブの先端においてチューブが切断され、バーブの疲労破壊が生じる場合がある。
【0053】
したがって、低コスト/効率的な組立てプロセスを開発し、不均等な締付け力分布および疲労などの動的循環問題を解消し、寸法依存性およびばらつきをなくすことが望ましい。本発明による組立体300は、これらの問題を解消するためにコンプレッションフィッティング構成およびソフトチュービングを含んでもよい。コンプレッションフィッティングは従来、各部材に対する高い圧縮力を生成するためにハードチュービングとともに使用されている。一般的なハードチュービング/圧縮組立体が、ソフトチューブ30とソフトチューブ80とソフトチューブ101とソフトチューブ102のうちの少なくとも1つ用の支持インサート310と、コンプレッションフィッティングねじ/スタッド320と、コンプレッションフィッティングハウジング110とジャンクションフィッティング330(図4図7)のうちの少なくとも1つを含む組立体300(図1)を形成するように修正されてもよい。ソフトチューブは、AMTチューブ30とAMTチューブ80とAMTチューブ101とAMTチューブ102のうちの少なくとも1つであってもよい。ソフトチュービングの材料は、引張り強度が1平方インチ当たり120000ポンド(psi)よりも低くてもよい。
【0054】
図1に示されているように、組立体300は、円錐状支持インサートと圧縮ねじ/スタッドを組み合わせるかまたは対にすることによって動的荷重に耐えるチューブロッキング構成を形成してもよい。空気圧シールを強化するために支持インサートとコンプレッションフィッティングとの間にガスケット(不図示)が配置されてもよい。
【0055】
本明細書に提示された本発明の説明を考慮して本発明の変形実施形態が可能である。本発明を例示することを目的として特定の代表的な実施形態および詳細が示されたが、当業者には、本発明の範囲から逸脱せずに実施形態および詳細に様々な変更および修正を施せることが明らかになろう。したがって、以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の対象とされる全範囲内の変更を上述の特定の実施形態に施せることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7