特許第6831710号(P6831710)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6831710
(24)【登録日】2021年2月2日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】表示装置の製造方法、及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20210208BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20210208BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20210208BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20210208BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20210208BHJP
【FI】
   G09F9/00 342
   G09F9/00 313
   G09F9/30 308A
   H05B33/10
   H05B33/02
   H05B33/14 A
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-14205(P2017-14205)
(22)【出願日】2017年1月30日
(65)【公開番号】特開2018-124327(P2018-124327A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西川 広美
【審査官】 小野 健二
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0181345(US,A1)
【文献】 特開平11−288002(JP,A)
【文献】 特開2003−233056(JP,A)
【文献】 特開2017−009958(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0217382(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00−9/46
H01L 27/32
H05B 33/00−33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性基材の上に複数の画素を設け表示領域を形成し、前記可撓性基材と前記複数の画素とを備え、且つ表示領域を有する表示パネルを形成する表示パネル形成工程と、
前記表示パネルの前記表示領域に隣接する部分を湾曲し、湾曲領域を形成すると共に、前記湾曲領域の前記表示領域とは反対側に位置する部分を、前記表示領域と対向させ、背面領域を形成する、表示パネル湾曲工程と、
前記表示パネルの表面の内、前記可撓性基材の前記複数の画素とは反対側に位置すると共に、前記湾曲領域に位置する内表面を、液状接着剤で充填する充填工程と、
前記液状接着剤を硬化させて接着層を形成する硬化工程と、
を含み、
前記充填工程は、
前記表示パネルの両側面に側面保護シートを貼り付ける保護シート貼り付け工程と、
前記保護シート貼り付け工程の後に、前記内表面へ前記液状接着剤を注入する注入工程と、
を含む表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記注入工程は、
前記表示領域と前記背面領域の対向部における開口を上方に向け、前記開口の側から前記内表面へ前記液状接着剤を注入する、
請求項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記側面保護シートは、前記両側面の内、少なくとも前記湾曲領域に位置する部分の全域に貼り付けられる、請求項又はに記載の表示装置の製造方法。
【請求項4】
可撓性基材の上に複数の画素を設け表示領域を形成し、前記可撓性基材と前記複数の画素とを備え、且つ表示領域を有する表示パネルを形成する表示パネル形成工程と、
前記表示パネルの前記表示領域に隣接する部分を湾曲し、湾曲領域を形成すると共に、前記湾曲領域の前記表示領域とは反対側に位置する部分を、前記表示領域と対向させ、背面領域を形成する、表示パネル湾曲工程と、
前記表示パネルの表面の内、前記可撓性基材の前記複数の画素とは反対側に位置すると共に、前記湾曲領域に位置する内表面を、液状接着剤で充填する充填工程と、
前記液状接着剤を硬化させて接着層を形成する硬化工程と、
を含み、
前記充填工程は、
前記表示パネルの第1の側面に側面保護シートを貼り付け、前記表示領域と前記背面領域との対向部における開口を塞ぐ開口部保護シートを貼り付ける保護シート貼り付け工程と、
前記保護シート貼り付け工程の後に、前記内表面へ前記液状接着剤を注入する注入工程と、
を含む表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記表示パネルは、前記第1の側面と対向する第2の側面を有し、
前記注入工程は、
前記第2の側面を上方に向け、前記第2の側面の側から前記内表面へ前記液状接着剤を注入する、
請求項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記側面保護シートは、前記第1の側面の内、少なくとも前記湾曲領域に位置する部分の全域に貼り付けられる、
請求項又はに記載の表示装置の製造方法。
【請求項7】
可撓性基材の上に複数の画素を設け表示領域を形成し、前記可撓性基材と前記複数の画素とを備え、且つ表示領域を有する表示パネルを形成する表示パネル形成工程と、
前記表示パネルの前記表示領域に隣接する部分を湾曲し、湾曲領域を形成すると共に、前記湾曲領域の前記表示領域とは反対側に位置する部分を、前記表示領域と対向させ、背面領域を形成する、表示パネル湾曲工程と、
前記表示パネルの表面の内、前記可撓性基材の前記複数の画素とは反対側に位置すると共に、前記湾曲領域に位置する内表面を、液状接着剤で充填する充填工程と、
前記液状接着剤を硬化させて接着層を形成する硬化工程と、
を含み、
前記表示パネル湾曲工程の後に、
前記表示領域と前記背面領域との対向部に両面テープを配置し、前記表示領域と前記背面領域とを貼り合せる貼り合せ工程を有し、
前記充填工程は、
前記表示パネルの第1の側面に側面保護シートを貼り付ける保護シート貼り付け工程と、
前記保護シート貼り付け工程の後に、前記内表面へ前記液状接着剤を注入する注入工程と、
を含む、表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記表示領域の前記背面領域と対向する側には、第1保護フィルムが配置され、
前記背面領域の前記表示領域と対向する側には、第2保護フィルムが配置され、
前記両面テープは、前記第1保護フィルムと前記第2保護フィルムとを貼り合せる、
請求項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記表示パネルは、前記第1の側面と対向する第2の側面を有し、
前記注入工程は、
前記第2の側面を上方に向け、前記第2の側面の側から前記内表面へ前記液状接着剤を注入する、
請求項又はに記載の表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記側面保護シートは、前記第1の側面の内、少なくとも前記湾曲領域に位置する部分の全域に貼り付けられる、
請求項7乃至9のいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記充填工程において、前記液状接着剤には熱硬化樹脂を用い、
前記硬化工程において、前記液状接着剤を加熱する、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記充填工程において、前記液状接着剤には紫外線硬化樹脂を用い、
前記硬化工程において、前記液状接着剤に紫外線を照射する、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記充填工程において、前記液状接着剤には紫外線硬化樹脂を用い、
前記硬化工程において、前記液状接着剤に紫外線を照射し、
前記保護シート貼り付け工程において、前記側面保護シートには紫外線透過性の材料を用いる、
請求項乃至10のいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記硬化工程の後に、前記接着層の内、前記表示パネルの側面からはみ出した部分を切除する切除工程を含む、
請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の製造方法、及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置の小型化又は画像を表示する表示領域の拡大のために、表示領域の周縁にある、いわゆる額縁領域を狭くすること(狭額縁化)が求められている。特に、スマートフォン等のモバイル機器において、狭額縁化の要請が大きくなってきている。
【0003】
狭額縁化を図る一例として、下記特許文献1には、可撓性を有するフィルム状の基材と、基材上に設けられた表示素子と、表示素子に接続された配線とを含む表示装置が開示されている。表示装置は湾曲部と非湾曲部とを有し、配線は非湾曲部から湾曲部にまで設けられている。このように、表示装置の一部に湾曲部を設けることにより狭額縁化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−31499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の表示装置では、湾曲部に外部から応力が加わった際に、可撓性基材の形状が変形し、配線にダメージを与える恐れがあった。
【0006】
本開示は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、表示装置の湾曲部に外部からの応力が加わった際の配線へのダメージを緩和することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示に係る表示装置の製造方法は、可撓性基材の上に複数の画素を設け表示領域を形成し、前記可撓性基材と前記複数の画素とを備え、且つ表示領域を有する表示パネルを形成する表示パネル形成工程と、前記表示パネルの前記表示領域に隣接する部分を湾曲し、湾曲領域を形成すると共に、前記湾曲領域の前記表示領域とは反対側に位置する部分を、前記表示領域と対向させ、背面領域を形成する、表示パネル湾曲工程と、前記表示パネルの表面の内、前記可撓性基材の前記複数の画素とは反対側に位置すると共に、前記湾曲領域に位置する内表面を、液状接着剤で充填する充填工程と、前記液状接着剤を硬化させて接着層を形成する硬化工程と、を含む。
【0008】
(2)上記(1)における表示装置の製造方法は、前記充填工程は、前記表示パネルの両側面に側面保護シートを貼り付ける保護シート貼り付け工程と、前記保護シート貼り付け工程の後に、前記内表面へ前記液状接着剤を注入する注入工程と、を含んでもよい。
【0009】
(3)上記(2)における表示装置の製造方法は、前記注入工程は、前記表示領域と前記背面領域の対向部における開口を上方に向け、前記開口の側から前記内表面へ前記液状接着剤を注入してもよい。
【0010】
(4)上記(2)又は(3)における表示装置の製造方法は、前記側面保護シートは、前記両側面の内、少なくとも前記湾曲領域に位置する部分の全域に貼り付けられてもよい。
【0011】
(5)上記(1)における表示装置の製造方法は、前記充填工程は、前記表示パネルの第1の側面に側面保護シートを貼り付け、前記表示領域と前記背面領域との対向部における開口を塞ぐ開口部保護シートを貼り付ける保護シート貼り付け工程と、前記保護シート貼り付け工程の後に、前記内表面へ前記液状接着剤を注入する注入工程と、を含んでもよい。
【0012】
(6)上記(5)における表示装置の製造方法は、前記表示パネルは、前記第1の側面と対向する第2の側面を有し、前記注入工程は、前記第2の側面を上方に向け、前記第2の側面の側から前記内表面へ前記液状接着剤を注入してもよい。
【0013】
(7)上記(5)又は(6)における表示装置の製造方法は、前記側面保護シートは、前記第1の側面の内、少なくとも前記湾曲領域に位置する部分の全域に貼り付けられてもよい。
【0014】
(8)上記(1)における表示装置の製造方法は、前記表示パネル湾曲工程の後に、前記表示領域と前記背面領域との対向部に両面テープを配置し、前記表示領域と前記背面領域とを貼り合せる貼り合せ工程を有してもよい。
【0015】
(9)上記(8)における表示装置の製造方法は、前記表示領域の前記背面領域と対向する側には、第1保護フィルムが配置され、前記背面領域の前記表示領域と対向する側には、第2保護フィルムが配置され、前記両面テープは、前記第1保護フィルムと前記第2保護フィルムとを貼り合せてもよい。
【0016】
(10)上記(8)又は(9)における表示装置の製造方法は、前記充填工程は、前記表示パネルの第1の側面に側面保護シートを貼り付ける保護シート貼り付け工程と、前記保護シート貼り付け工程の後に、前記内表面へ前記液状接着剤を注入する注入工程と、を含んでもよい。
【0017】
(11)上記(10)における表示装置の製造方法は、前記表示パネルは、前記第1の側面と対向する第2の側面を有し、前記注入工程は、前記第2の側面を上方に向け、前記第2の側面の側から前記内表面へ前記液状接着剤を注入してもよい。
【0018】
(12)上記(10)又は(11)における表示装置の製造方法は、前記側面保護シートは、前記第1の側面の内、少なくとも前記湾曲領域に位置する部分の全域に貼り付けてもよい。
【0019】
(13)上記(1)〜(12)における表示装置の製造方法は、前記充填工程において、前記液状接着剤には熱硬化樹脂を用い、前記硬化工程において、前記液状接着剤を加熱してもよい。
【0020】
(14)上記(1)〜(12)における表示装置の製造方法は、前記充填工程において、前記液状接着剤には紫外線硬化樹脂を用い、前記硬化工程において、前記液状接着剤に紫外線を照射してもよい。
【0021】
(15)上記(2)〜(7)、(10)〜(12)における表示装置の製造方法は、前記充填工程において、前記液状接着剤には紫外線硬化樹脂を用い、前記硬化工程において、前記液状接着剤に紫外線を照射し、前記保護シート貼り付け工程において、前記側面保護シートには紫外線透過性の材料を用いてもよい。
【0022】
(16)上記(1)における表示装置の製造方法は、前記硬化工程の後に、前記接着層の内、前記表示パネルの側面からはみ出した部分を切除する切除工程を含んでもよい。
【0023】
(17)本開示に係る表示装置は、表示領域と、可撓性基板と、前記可撓性基板の上に配置された複数の画素と、を備える表示パネルと、前記表示パネルを湾曲した状態で固定する接着層と、を有する表示装置であって、前記表示パネルは、前記複数の画素を含む表示領域と、前記表示領域に隣接し、湾曲している湾曲領域と、前記湾曲領域の前記表示領域とは反対の側に位置し、前記表示領域と対向する背面領域と、を備え、前記湾曲領域は、前記可撓性基材の前記複数の画素とは反対側の表面である内表面を有し、前記接着層は、前記内表面と接し、且つ前記表示領域と前記背面領域との間に位置している。
【0024】
(18)上記(17)における表示装置は、前記表示領域の前記背面領域と対向する側には、第1保護フィルムが位置し、前記背面領域の前記表示領域と対向する側には、第2保護フィルムが位置し、前記接着層は、前記第1保護フィルムと前記第2保護フィルムとに接していてもよい。
【0025】
(19)また、前記第1保護フィルムと前記第2保護フィルムとの間に両面テープを有し、前記接着層は、前記第1保護フィルムの前記内表面側の端部と、前記第2保護フィルムの前記内表面側の端部と、前記両面テープの前記内表面側の端部とに、接していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本実施形態に係る表示装置の概略の構成を示す模式図である。
図2図2は、本実施形態に係る表示装置の表示パネルの模式的な平面図である。
図3図3は、本実施形態に係る表示装置の表示パネルの模式的な平面図である。
図4図4は、本実施形態に係る表示装置の表示パネルの模式的な垂直断面図である。
図5図5は、本実施形態に係る表示装置の第1の製造方法を示す側面図である。
図6図6は、本実施形態に係る表示装置の第1の製造方法を示す側面図である。
図7図7は、本実施形態に係る表示装置の第1の製造方法を示す側面図である。
図8図8は、本実施形態に係る表示装置の第1の製造方法を示す側面図である。
図9図9は、本実施形態に係る表示装置の第2の製造方法を示す側面図である。
図10図10は、本実施形態に係る表示装置の第2の製造方法を示す側面図である。
図11図11は、本実施形態に係る表示装置の第2の製造方法を示す側面図である。
図12図12は、本実施形態に係る表示装置の表示パネルの模式的な垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1の実施形態]
以下、本開示の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0028】
なお、本開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0029】
本開示の実施形態に係る表示装置2は、例えば有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パソコン、携帯端末、携帯電話等に搭載される。図1は実施形態に係る表示装置2の概略の構成を示す模式図である。表示装置2は、画像を表示する画素アレイ部4と、当該画素アレイ部4を駆動する駆動部とを備える。表示装置2はフレキシブルディスプレイであり、可撓性を有した樹脂フィルムなどからなる基材と、当該基材の内部又は上方に設けられた配線と、を含む配線層を有する。
【0030】
画素アレイ部4には画素に対応して有機発光ダイオード6及び画素回路8がマトリクス状に配置される。画素回路8は、点灯TFT(thin film transistor)10、駆動TFT12、及びキャパシタ14などを含む。
【0031】
一方、駆動部は、走査線駆動回路20、映像線駆動回路22、駆動電源回路24及び制御装置26を含み、画素回路8を駆動し、有機発光ダイオード6の発光を制御する。
【0032】
走査線駆動回路20は画素の水平方向の並び(画素行)ごとに設けられた走査信号線28に接続されている。走査線駆動回路20は制御装置26から入力されるタイミング信号に応じて走査信号線28を順番に選択し、選択した走査信号線28に、点灯TFT10をオンする電圧を印加する。
【0033】
映像線駆動回路22は画素の垂直方向の並び(画素列)ごとに設けられた映像信号線30に接続されている。映像線駆動回路22は制御装置26から映像信号を入力され、走査線駆動回路20による走査信号線28の選択に合わせて、選択された画素行の映像信号に応じた電圧を各映像信号線30に出力する。当該電圧は、選択された画素行にて点灯TFT10を介してキャパシタ14に書き込まれる。駆動TFT12は書き込まれた電圧に応じた電流を有機発光ダイオード6に供給し、これにより、選択された走査信号線28に対応する画素の有機発光ダイオード6が発光する。
【0034】
駆動電源回路24は画素列ごとに設けられた駆動電源線32に接続され、駆動電源線32及び選択された画素行の駆動TFT12を介して有機発光ダイオード6に電流を供給する。
【0035】
ここで、有機発光ダイオード6の下部電極は駆動TFT12に接続される。一方、各有機発光ダイオード6の上部電極は、全画素の有機発光ダイオード6に共通の電極で構成される。下部電極を陽極(アノード)として構成する場合は、高電位が入力され、上部電極は陰極(カソード)となって低電位が入力される。下部電極を陰極(カソード)として構成する場合は、低電位が入力され、上部電極は陽極(アノード)となって高電位が入力される。
【0036】
図2は表示装置2の表示パネル40の模式的な平面図である。表示パネル40は、表示領域Aと、表示領域Aに連結された湾曲予定領域B2と、湾曲予定領域B2に連結された背面予定領域C2と、を有する。
【0037】
表示パネル40の表示領域Aには表示素子42が配置されており、表示素子42が、図1に示した画素アレイ部4、有機発光ダイオード6、画素回路8を含んでいる。即ち、図2に示す表示素子42は、画素アレイ部4に位置する複数の画素を含み、複数の画素の各々には、有機発光ダイオード6を含む発光素子が設けられている。表示素子42の上方には偏光板44が配置されている。偏光板44は例えば円偏光板である。表示素子42と偏光板44との間には、保護フィルムが配置されてもよい。
【0038】
表示パネル40の湾曲予定領域B2、背面予定領域C2には部品実装領域46が設けられ、表示素子42に電気的に接続される配線や端子が配置される。さらに部品実装領域46には駆動部を構成するドライバIC48が搭載されたり、FPC(Flexible Printed Circuits)50が接続されたりする。FPC50は制御装置26や走査線駆動回路20、映像線駆動回路22、駆動電源回路24等に接続されたり、その上にICを搭載されたりする。
【0039】
表示パネル40を表示装置2の筐体に格納する際には、湾曲予定領域B2を折り返すことにより、背面予定領域C2を表示領域Aの裏面側に配置し、背面予定領域C2を表示領域Aの少なくとも一部と対向させる。
【0040】
図3は湾曲領域B形成後の表示パネル40の模式的な平面図である。表示パネル40を湾曲領域Bにて折り返しているため、部品実装領域46の一部のみが表示されている。
【0041】
図4はこの湾曲領域B形成後の表示パネル40の模式的な垂直断面図であり、図3に示すIV−IV線に沿った位置での断面を示している。ここで、表示領域Aにおける背面領域Cと対向する面を、表示領域Aの内表面と定義し、背面領域Cにおける表示領域Aと対向する面を、背面領域Cの内表面と定義する。また、湾曲領域Bにおいて表示パネル40全体の中心側を向く面を、湾曲領域Bの内表面と定義する。
【0042】
表示パネル40は、上述した配線層60を有しており、配線層60は、可撓性基材と、この可撓性基材の内部、又は上方に設けられた配線とを含む。この配線層60は、表示領域A、湾曲領域B、背面領域Cに渡って設けられている。表示領域Aにおける配線層60の内表面側と、背面領域Cにおける配線層60の内表面側とは、互いに対向している。
【0043】
表示領域Aにおける配線層60の外表面側には、表示素子42が設けられている。表示素子42は、図1に示した画素アレイ部4を有しており、各画素に対応する画素回路8と、赤、緑、又は青色に発光する有機発光ダイオード6とを有している。表示素子42の有機発光ダイオード6と画素回路8は、配線層60の配線と電気的に接続されている。
【0044】
表示領域Aにおける配線層60の内表面側には、第1の保護フィルム51が設けられており、第1の保護フィルム51が、表示領域Aにおける配線層60の内表面を保護している。第1の保護フィルム51としては、例えば、感光性アクリル樹脂、シリコーン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などからなるラミネートフィルムなどを用いることができる。
【0045】
背面領域Cにおける配線層60の内表面側には、第2の保護フィルム52が設けられており、第2の保護フィルム52が、背面領域Cにおける配線層60の内表面側を保護している。第2の保護フィルム52としては、第1の保護フィルム51と同様の材料を用いることができる。
【0046】
湾曲領域Bにおいて、配線層60は湾曲している。湾曲した配線層60の外表面側には、第3の保護フィルム53が設けられており、第3の保護フィルム53が、湾曲領域Bにおける配線層60の外表面側を保護している。第3の保護フィルム53としては、第1の保護フィルム51と同様の材料を用いることができる。また、第3の保護フィルム53の替わりに、樹脂膜を設けてもよい。第3の保護フィルム53、或いは樹脂膜は、湾曲領域Bに位置すると共に、湾曲領域Bに隣接する表示領域Aの一部、及び背面領域Cの一部にも、湾曲領域Bから連続して位置してもよい。
【0047】
表示素子42の外表面側には、第4の保護フィルム54が設けられており、第4の保護フィルム54が、表示素子42と配線層60とを保護している。第4の保護フィルム54としては、第1の保護フィルム51と同様の材料を用いることができる。第4の保護フィルム54の外表面側には偏光板44が設けられている。
【0048】
なお、第3の保護フィルム53と第4の保護フィルム54とを、一枚の保護フィルムで形成しても構わない。ただし、第3の保護フィルム53と第4の保護フィルム54を別に設けることにより、湾曲領域Bにおいて第3の保護フィルム53の外表面側に加わる引張応力を緩和することができ、配線層60における配線が断線するのを抑制することができ望ましい。
【0049】
背面領域Cにおける配線層60の外表面側には、上述のとおり、ドライバIC48やFPC50が配置され、配線層60の配線と電気的に接続されている。
【0050】
そして、湾曲領域Bにおける配線層60の内表面側は、接着層90が充填されている。本実施の形態においては、接着層90は、湾曲領域Bにおける配線層60の内表面側から、第1の保護フィルム51と第2の保護フィルム52との対向面にまで設けられているが、少なくとも湾曲領域Bにおける配線層60の内表面側を充填していればよい。
【0051】
接着層90により、湾曲領域Bにおける配線層60の内表面側を充填しているため、湾曲領域Bの外表面側から応力が加わった際においても、表示装置2の形状が変形するのを抑制することができ、配線層60へのダメージを緩和することができる。
【0052】
なお、図12に示すように、表示領域Aにおける配線層60の内表面側と背面領域Cにおける配線層60の内表面側との対向部に両面テープ80を設ける構成としてもよい。両面テープ80の幅は、第1の保護フィルム51、第2の保護フィルム52の幅と同じか、それ以上の大きさを有しており、表示領域Aと背面領域Cとの対向部における開口を塞いでいる。
【0053】
(第1の製造方法)
続いて、図5図8を用いて、本実施形態に係る表示装置の第1の製造方法を説明する。図5図8は、本実施形態に係る表示装置の製造方法を示す側面図である。
【0054】
第1の工程は、画像表示を行う表示領域Aと、表示領域Aの少なくとも一部と対向する背面領域Cと、表示領域Aと背面領域Cとを連結する湾曲領域Bとを有する表示パネル40を準備する準備工程である。図2に示したように、表示領域A、湾曲予定領域B2、背面予定領域C2が同一平面上に配置されていた表示パネル40の外表面側に、図5に示すような折り曲げ治具70を接触させ、この折り曲げ治具70を折り曲げることにより、表示パネル40を湾曲領域Bにて湾曲させる。この工程により、表示領域Aの少なくとも一部と背面領域Cとが対向し、これら表示領域Aと背面領域Cとを連結する湾曲領域Bを有する表示パネル40を準備することができる。
【0055】
第2の工程は、湾曲領域Bにおける配線層60の内表面側を、液状接着剤92で充填する充填工程である。この充填工程は、保護シート貼り付け工程と、液状接着剤注入工程とを含む。
【0056】
保護シート貼り付け工程は、図6に示すように、表示パネル40の両側面に側面保護シート72を張り付ける。なお、この図6においては、説明の便宜上、表示パネル40の一側面側の側面保護シート72を表示していない。側面保護シート72は少なくとも、湾曲領域Bに配置された配線層60の側面を覆うように貼り付けられる。本実施形態においては、湾曲領域Bに配置された配線層60の側面から、第1の保護フィルム51と第2の保護フィルム52との対向部の側面までを覆うように張り付けられている。
【0057】
液状接着剤注入工程は、図7に示すように、表示領域Aと背面領域Cの対向部における開口を上方に向け、この開口側から湾曲領域Bにおける配線層60の内表面側に液状接着剤92を樹脂注入ノズル74により注入する。本実施形態においては、液状接着剤92を、湾曲領域Bにおける配線層60の内表面から第1の保護フィルム51と第2の保護フィルム52の対向部にまで注入しているが、液状接着剤92は少なくとも湾曲領域Bにおける配線層60の内表面を充填するよう注入されていればよい。なお、この図7においては、樹脂注入ノズル74と液状接着剤92の説明の便宜上、表示パネル40の一側面側の側面保護シート72を表示していない。注入する液状接着剤92としては、熱硬化性樹脂、又は紫外線硬化性樹脂などを用いることができる。熱硬化樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーンなどが挙げられる。
【0058】
第3の工程は、接着剤を硬化させる硬化工程である。上記液状接着剤注入工程において、液状接着剤92として熱硬化樹脂を用いた場合には、表示パネル40全体、あるいは液状接着剤92充填部を加熱することにより液状接着剤92を硬化させ、図4に示した接着層90を形成することができる。液状接着剤92として紫外線硬化樹脂を用いた場合には、側面保護シート72側などから紫外線を照射することにより、液状接着剤92を硬化させることができる。側面保護シート72側から紫外線を照射する場合には側面保護シート72を光透過性の材料を用いて構成することが望ましい。
【0059】
最後に側面保護シート72を剥離し、折り曲げ治具70を取り外せば、図4に示した表示パネル40を得ることができる。この製造方法により、湾曲領域Bにおける配線層60の内表面側を接着層90が充填する構成を実現することができ、湾曲領域Bの外表面側から応力が加わった際においても、表示装置2の形状が変形するのを抑制することができ、配線層60へのダメージを緩和することができる。また、表示装置2の小型化が進み、湾曲領域Bの内表面側の形状が緻密になったとしても、その形状に適した接着層90を形成することができる。
【0060】
なお、液状接着剤注入工程において、表示パネル40の側面を上方に向ける製造方法としてもかまわない。その場合、図8に示すように、表示領域Aにおける配線層60の内表面側と背面領域Cにおける配線層60の内表面側との対向部における開口を塞ぐ開口部保護シート73を設け、表示パネル40の第1の側面側のみに側面保護シート72を設ける。表示パネル40の第2の側面側には側面保護シート72を設けず、この表示パネル40の第2の側面側から液状接着剤92を注入すればよい。
【0061】
なお、上記充填工程において、粘度が高い液状接着剤92を使用する場合には、保護シート貼り付け工程を設けることなく液状接着剤92を注入し、硬化工程の後に、配線層60の側面からはみ出した接着層90、及び第1の保護フィルム51と第2の保護フィルム52との対向部からはみ出した接着層90を切除する切除工程を設けてもよい。その場合、硬化工程後の側面保護シート72、開口部保護シート73を剥離する工程は不要となる。
【0062】
(第2の製造方法)
続いて、図9図11を用いて、本実施形態に係る表示装置の第2の製造方法を説明する。図9図11は、本実施形態に係る表示装置の製造方法を示す側面図である。
【0063】
第1の工程は、画像表示を行う表示領域Aと、表示領域Aの少なくとも一部と対向する背面領域Cと、表示領域Aと背面領域Cとを連結する湾曲領域Bとを有する表示パネル40を準備する準備工程である。この準備工程において、第1の製造方法と異なるのは、図9に示すように、表示パネル40が、第1の保護フィルム51と第2の保護フィルム52の対向部に両面テープ80を有している点である。予め第1の保護フィルム51又は第2の保護フィルム52の一方に両面テープ80を貼り付けておき、表示パネル40を折り曲げることにより、この両面テープ80が、第1の保護フィルム51と第2の保護フィルム52の対向部に接着される。換言すれば、両面テープ80で表示領域Aと背面領域Cとが貼り合わされる。ここで、両面テープ80は、第1の保護フィルム51と第2の保護フィルム52の対向部における開口を塞いでいる。即ち、両面テープ80が、表示領域Aにおける配線層60の内表面側と背面領域Cにおける配線層60の内表面側との対向部における開口を塞いでいる。
【0064】
第2の工程は、湾曲領域Bにおける配線層60の内表面側を、液状接着剤92で充填する充填工程である。この充填工程は、保護シート貼り付け工程と、液状接着剤注入工程とを含む。
【0065】
保護シート貼り付け工程は、図10に示すように、表示パネル40の第1の側面に側面保護シート72を張り付ける。側面保護シート72は少なくとも、湾曲領域Bに配置された配線層60の側面を覆うように貼り付けられる。本実施形態においては、湾曲領域Bに配置された配線層60の側面から、第1の保護フィルム51と第2の保護フィルム52との対向部の側面までを覆うように張り付けられている。
【0066】
液状接着剤注入工程は、図11に示すように、表示パネル40の第2の側面を上方に向け、この表示パネル40の第2の側面側から湾曲領域Bにおける配線層60の内表面側に液状接着剤92を注入する。本実施形態における第2の製造方法においては、液状接着剤92を、湾曲領域Bにおける配線層60の内表面、第1の保護フィルム51の端部、第2の保護フィルム52の端部、及び両面テープ80の端部に囲われた領域に注入されている。注入する液状接着剤92としては、熱硬化性樹脂、又は紫外線硬化性樹脂などを用いることができる。熱硬化樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーンなどが挙げられる。
【0067】
第3の工程は、接着剤を硬化させる硬化工程である。上記液状接着剤注入工程において、液状接着剤92として熱硬化樹脂を用いた場合には、表示パネル40全体、あるいは液状接着剤92充填部を加熱することにより液状接着剤92を硬化させ、図12に示した接着層90を形成することができる。液状接着剤92として紫外線硬化樹脂を用いた場合には、側面保護シート72側、あるいは側面保護シート72を設けなかった表示パネル40の第2の側面側などから紫外線を照射することにより、液状接着剤92を硬化させることができる。側面保護シート72側から紫外線を照射する場合には側面保護シート72を光透過性の材料を用いて構成することが望ましい。
【0068】
最後に側面保護シート72を剥離し、折り曲げ治具70を取り外せば、図12に示した表示パネル40を得ることができる。この製造方法により、湾曲領域Bにおける配線層60の内表面側を接着層90が充填する構成を実現することができ、湾曲領域Bの外表面側から応力が加わった際においても、表示装置2の形状が変形するのを抑制することができ、配線層60へのダメージを緩和することができる。また、表示装置2の小型化が進み、湾曲領域Bの内表面側の形状が緻密になったとしても、その形状に適した接着層90を形成することができる。
【0069】
なお、上記充填工程において、粘度が高い液状接着剤92を使用する場合には、保護シート貼り付け工程を設けることなく液状接着剤92を注入し、硬化工程の後に、配線層60の側面からはみ出した接着層90を切除する切除工程を設けてもよい。その場合、硬化工程後の側面保護シート72を剥離する工程は不要となる。
【0070】
なお、本実施形態においては、表示装置2が有機エレクトロルミネッセンス表示装置である場合を例示したが、液晶表示装置、その他の自発光型表示装置、あるいは電気泳動素子等を有する電子ペーパー型表示装置等、他の表示装置においても、湾曲領域Bを有する構成であれば、本開示を適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
2 表示装置、4 画素アレイ部、6 有機発光ダイオード、8 画素回路、10 点灯TFT、12 駆動TFT、14 キャパシタ、20 走査線駆動回路、22 映像線駆動回路、24 駆動電源回路、26 制御装置、28 走査信号線、30 映像信号線、32 駆動電源線、40 表示パネル、42 表示素子、44 偏光板、46 部品実装領域、48 ドライバIC、50 FPC、51 第1の保護フィルム、52 第2の保護フィルム、53 第3の保護フィルム、54 第4の保護フィルム、60 配線層、70 折り曲げ治具、72 側面保護シート、73 開口部保護シート、74 樹脂注入ノズル、80 両面テープ、90 接着層、92 液状接着剤、A 表示領域、B 湾曲領域、B2 湾曲予定領域、C 背面領域、C2 背面予定領域。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12