(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う燃料電池システムの一実施形態について説明する。まず、
図1〜
図5を参照して、図示の燃料電池システムの一実施形態について説明する。
図1及び
図2において、この燃料電池システムは、発電を行うためのセルスタック2を備え、このセルスタック2は、複数の燃料電池セル4を所定方向(
図2において左右方向)に積層して形成される。燃料電池セル4は、電解質膜として例えば固体高分子電解質膜6を用い、この固体高分子電解質膜6の片側(
図1及び
図2において左側)に燃料極8が設けられ、その他側(
図1及び
図2において右側)に空気極10(酸素極)が設けられている。また、燃料電池セル4の燃料極8側には、ガス流路12を通して流れる燃料ガスをこの燃料極8に導入する燃料極セパレータ(図示せず)が設けられ、また燃料電池セル4の空気極10側には、空気流路14(酸化材流路)を流れる空気を空気極10に導入する空気極セパレータ(図示せず)が設けられている。このようなセルスタック2の構成は、固体高分子形燃料電池に用いられるものと同様の構成である。
【0033】
このセルスタック2の燃料極8の導入側は、燃料ガス流路16を介して改質器18に接続され、この改質器18は、原燃料ガス流路20を介して燃料ガス供給源22(例えば、埋設管、燃料ガスタンクなどから構成される)に接続される。原燃料ガス流路20にはガスブロア24が配設され、このガスブロア24により原燃料ガスが燃料ガス供給源22から原燃料ガス流路20を通して改質器18に供給され、原燃料ガス流路20、燃料ガス供給源22及びガスブロア24が、燃料ガスを供給するための燃料ガス供給手段を構成する。また、燃料ガス流路16にはガス加湿器26が設けられている。
【0034】
このように構成されているので、燃料ガス供給源22からの原燃料ガスは、原燃料ガス流路20を通して改質器18に供給され、この改質器18にて改質された燃料ガス(「改質燃料ガス」とも称する)がガス加湿器26にて加湿された後に燃料ガス流路16を通してセルスタック2(複数の燃料電池セル4)の燃料極8側に送給される。
【0035】
セルスタック2の空気極10側は空気送給流路28を介して空気加湿器30に接続され、この空気加湿器30は、空気供給流路32を介して空気ブロア34に接続されている。このように構成されているので、空気ブロア34からの空気は、空気供給流路32を通して空気加湿器30に供給され、この空気加湿器30にて加湿された後に空気送給流路28を通してセルスタック2(複数の燃料電池セル4)の空気極10側に送給され、空気ブロア34及び空気供給流路32が、セルスタック2に空気を供給するための空気供給手段を構成する。
【0036】
セルスタック2(複数の燃料電池セル4)においては、燃料極8側における燃料ガスの酸化及び空気極10側における空気(酸素)の還元により発電が行われ、この発電により発生した発電電力は、出力ケーブル(図示せず)を介して例えばインバータ(図示せず)に出力される。
【0037】
セルスタック2の燃料極8側から排出された燃料ガス(「排燃料ガス」とも称する)は、排燃料ガス流路36を通して燃焼器38に送給され、その空気極10側から排出された排気ガスは、排気ガス排出流路39を通して外部に排出される。この燃焼器38は改質器18に付設され、空気供給流路32は燃焼空気流路40を通して燃焼器38に接続されている。また、燃焼器38には燃焼ガス排出流路42が接続され、この燃焼ガス排出流路42が排気ガス排出流路39に接続されている。
【0038】
このように構成されているので、セルスタック2からの排燃料ガスは、排燃料ガス流路36を通して燃焼器38に送給され、またこの燃焼器38には空気供給流路32を流れる空気の一部が燃焼空気流路40を通して燃焼器38に送給され、この燃焼器38にて排燃料ガスが燃焼される。この燃焼器38の燃焼による熱でもって改質器18が加熱され、燃焼により発生した熱は、改質器18での改質反応に利用される。この燃焼器38での燃焼排気ガスは、燃焼ガス排出流路42及び排気ガス排出流路39を通して外部に排出される。
【0039】
この実施形態では、セルスタック2からの排燃料ガスと空気ブロア34からの空気とが予め混合された後に燃焼器38に供給して燃焼させているが、排燃料ガスと空気とを別々に燃焼器38に供給して燃焼させるようにしてもよい。
【0040】
このセルスタック2には、更に、セルスタック2を冷却するための冷却水循環手段52が設けられている。図示の冷却水循環手段52は、セルスタック2を通して冷却水を循環する冷却水循環流路54を備え、この冷却水循環流路54に冷却水循環ポンプ56及び熱交換器58が配設されている。このように構成されているので、冷却水循環ポンプ56が作動すると、セルスタック2及び熱交換器58を通して冷却水が循環される。
【0041】
また、セルスタック2を流れる冷却水の熱を温水として回収するための貯湯装置58が設けられている。図示の貯湯装置58は、温水を貯えるための貯湯タンク60と、冷却水の熱を回収するために冷却水循環流路54に配設された熱交換器62と、貯湯タンク60内の水を熱交換器62を通して循環するための貯湯循環流路64とを備え、貯湯循環流路64(この形態では、熱交換器62より上流側部位)に貯湯循環ポンプ66が配設されている。
【0042】
このように構成されているので、貯湯循環ポンプ66が作動すると、貯湯タンク60の底部からの水が貯湯循環流路64の上流側部64aを通して熱交換器62に流れ、この熱交換器62において冷却水循環流路54を通して循環される冷却水との間で熱交換され、熱交換により加温された温水が貯湯循環流路64の下流側部64bを通して貯湯タンク60内の上端部に貯えられる。尚、この貯湯タンク60の底部には、貯湯タンク60内に水を供給するための水供給流路68が接続され、その上端部には、貯湯タンク60内の温水を出湯するための温水出湯流路70が接続されている。
【0043】
この燃料電池システムのセルスタック2に関連して、次のように構成されている。セルスタック2はスタックユニット72として構成され、このスタックユニット72のユニットハウジング73内にセルスタック2が収容されている。このユニットハウジング73の正面は、
図3に示すように構成され、ユニットハウジング73の正面上端部に空気流入接続部74、冷却水流入接続部76及び燃料ガス流入接続部78が、
図3において左から右に向けてこの順に配設されている。この空気流入接続部74には、空気送給流路28の下流側部を規定する空気流入管(図示せず)が接続され、この空気流入接続部74から流入した空気が空気流入口80を通してセルスタック2(複数の燃料電池セル4)の空気極10側に流れる。冷却水流入接続部76には、冷却水循環流路54の流入側部54aを規定する冷却水流入管(図示せず)が接続され、この冷却水流入接続部76から流入した冷却水が冷却水流入口82を通してセルスタック2の冷却流路(図示せず)に流れる。また、燃料ガス流入接続部78には、燃料ガス流路16の下流側部を規定する燃料ガス流入管85(
図4及び
図5参照)が接続され、燃料ガス流入接続部78から流入した燃料ガスが燃料ガス流入口84を通してセルスタック2の燃料極8側に流れる。
【0044】
このユニットハウジング73の正面下端部に燃料ガス流出接続部86、冷却水流出接続部88及び空気流出接続部84が、
図3において左から右に向けてこの順に配設されている。燃料ガス流出接続部86には、排燃料ガス流路36の上流側部を規定する燃料ガス流出管(図示せず)が接続され、セルスタック2の燃料極8側から燃料ガス流出口92を通して流出した燃料ガス(排燃料ガス)は、燃料ガス流出接続部86を通して燃料ガス流出管に流出される。冷却水流出接続部88には、冷却水循環流路54の流出側部54bを規定する冷却水流出管(図示せず)が接続され、セルスタック2の冷却水流路から冷却水流出口94を通して流出した冷却水は、冷却水流出接続部88及び冷却水流出管を通して流出される。また、空気流出接続部90には、排気ガス排出流路39の上流側部を規定する燃料ガス流出管(図示せず)が接続され、セルスタック2の空気極10側から空気流出口96を通して流出した空気は、空気流出接続部90を通して排気ガスとして排気ガス排出流路39に流出する。尚、このユニットハウジング73の上壁には、セルスタック2からの発電電力を出力するための一対の出力端子100が設けられ、これらの出力端子100に出力ケーブル102が電気的に接続されている(
図3においては、一方の出力端子及び出力ケーブルのみを示す)。
【0045】
燃料電池システムのセルスタック2においては、セルスタック2の燃料極8側に供給される燃料ガスが不足すると、セルスタック2に部分的劣化が生じ、この劣化により発電効率が低下する。このようなことから、この燃料電池システムでは、次のように構成してセルスタック2の劣化進行を抑えている。
【0046】
主として
図3〜
図5を参照して、燃料ガスの供給不良によるセルスタック2の部分的劣化は、セルスタック2の燃料極8の流入部及びその近傍に発生し易く、そのために、この燃料ガスに関連する連通状態(接続状態)を反転可能に構成されている。この実施形態では、ユニットハウジング73の燃料ガス流入接続部78に
図4及び
図5に一点鎖線で示すように接続されていた(換言すると、燃料ガス流入口84に連通されていた)燃料ガス流入管85が、この燃料ガス流入接続部78から外され、例えば矢印103で示すように回して移動された後に、
図4及び
図5に実線で示すようにユニットハウジング73の燃料ガス流出接続部86に接続される(換言すると、燃料ガス流出口92に連通される)。また、図示していないが、ユニットハウジング73の燃料ガス流出接続部86に接続されていた(換言すると、燃料ガス流出口92に連通されていた)燃料ガス流出管(図示せず)が、燃料ガス流入管85と略同様に、この燃料ガス流出接続部86から外された後に、ユニットハウジング73の燃料ガス流入接続部78に接続される(換言すると、燃料ガス流入口84に連通される)。
【0047】
このように燃料ガス流入管85及び燃料ガス流出管(図示せず)の連通状態(接続状態)を反転させると、燃料ガス流路16を通して供給される燃料ガスは、燃料ガス流出接続部86(燃料ガス流出口92)からセルスタック2の燃料極8側に流れ、またセルスタック2の燃料極8側を流れた燃料ガスは、燃料ガス流入接続部74(燃料ガス流入口80)を通して燃料ガス流入管85から排燃料ガス流路36に流れる。従って、このように反転させた状態では、セルスタック2の劣化状態の少ない燃料ガス流出口86側から燃料ガスがその燃料極8側に送給され、これによって、セルスタック2の劣化進行を抑えることができる。
【0048】
このような燃料ガスに関連する連通状態(接続状態)の反転は、セルスタック2の発電出力の低下などに基づいてセルスタック2の部分的劣化を検知したとき、或いは設計寿命の半分程度の期間を稼働運転したときにセルスタック2に部分的劣化が生じたとして行うようにすることができる。
【0049】
セルスタック2の部分的劣化は、セルスタック2を冷却するための冷却水の部分的循環不良によっても生じ、そのために、この冷却水の部分的循環不良に対しては、次のように構成してセルスタック2の劣化進行を抑えることができる。
【0050】
冷却水の循環不良によるセルスタック2の部分的劣化は、このセルスタック2の冷却水の流入部及びその近傍に発生し易く、そのために、この冷却水に関連する連通状態(接続状態)を反転可能に構成するようにしてもよい。この場合、ユニットハウジング73の冷却水流入接続部76(冷却水流入口82)に連通されていた冷却水流入管(図示せず)が、この冷却水流入接続部76から外され、下方に移動させた後に、ユニットハウジング73の冷却水流出接続部88に接続される(換言すると、冷却水流出口94に連通される)。また、図示していないが、ユニットハウジング73の冷却水流出接続部88(冷却水流出口94)に連通されていた冷却水流出管が、冷却水流入管と略同様に、この冷却水流出接続部88から外された後に、ユニットハウジング73の冷却水流入接続部76に接続される(換言すると、冷却水流入口82に連通される)。
【0051】
このように冷却水流入管(図示せず)及び冷却水流出管(図示せず)の連通状態(接続状態)を反転させると、冷却水循環流路54の流入側部54aからの冷却水は、冷却水流出接続部88(冷却水流出口94)を通してセルスタック2の冷却水流路に流れ、またセルスタック2の冷却水流路を流れた冷却水は、冷却水流入接続部76(冷却水流入口82)及び冷却水流入管を通して冷却水循環流路54の下流側部54bに流れる。従って、このように反転させた状態では、セルスタック2の劣化状態の少ない冷却水流出口94側から冷却水がセルスタック2の冷却水流路に送給され、これによって、セルスタック2の劣化進行を抑えることができる。
【0052】
このような燃料ガスに関連する連通状態(接続状態)の反転は、燃料ガスの供給不足による部分的劣化と同様に、セルスタック2の発電出力の低下などに基づいてセルスタック2の部分的劣化を検知したとき、或いは設計寿命の半分程度の期間を稼働運転したときにセルスタック2に部分的劣化が生じたとして行うようにすることができる。
【0053】
燃料電池システムのセルスタック2は、例えば、
図6及び
図7に示すように構成することによって、燃料ガスに関連する連通状態(接続状態)の反転、また冷却水に関連する連通状態(接続状態)の反転を容易に行うことができる。尚、以下の実施形態において、上述した実施形態と実質上同一の部材には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0054】
図6及び
図7を参照して、第1の変形形態のセルスタック2Aを収容するユニットハウジング72Aにおいては、ユニットハウジング73の正面上端部には、上述した実施形態と同様に、空気流入接続部74(空気流入口80)、冷却水流入接続部76(冷却水流入口82)及び燃料ガス流入接続部78(燃料ガス流入口84)が、
図6において左から右に向けてこの順に配設されている。上述した実施形態と同様に、空気流入接続部74(空気流入口80)には空気流入管(図示せず)が接続され、冷却水流入接続部76(冷却水流入口82)には、冷却水流入管(図示せず)が接続され、また燃料ガス流入接続部78(燃料ガス流入口84)には、燃料ガス流入管(図示せず)が接続される。
【0055】
また、このユニットハウジング73の下端部には、燃料ガス流出接続部86(燃料ガス流出口92)、冷却水流出接続部88(冷却水流出口94)及び空気流出接続部90(空気流出口96)が、
図3において左から右に向けてこの順に配設されている。上述した実施形態と同様に、燃料ガス流出接続部86(燃料ガス流出口92)には燃料ガス流出管(図示せず)が接続され、冷却水流出接続部88(冷却水流出口94)には、冷却水流出管(図示せず)が接続され、また空気流出接続部90(空気流出口96)には、空気流出管(図示せず)が接続される。
【0056】
この第1の変形形態では、スタックユニット72(即ち、セルスタック2A)が上下反転可能に構成されており、このことに関連して、スタックユニット72のユニットハウジング93の前面に一対の出力端子100a,100bが設けられ、一対の端子100a,110bに出力ケーブル102a,102bが電気的に接続されている。
【0057】
この第1の変形形態のセルスタック2Aを上下反転させると、
図7に示す状態になる。上下反転する前の状態を示す
図6と上下反転した後の状態を示す
図7とを対比することによって容易に理解される如く、上下反転前の燃料ガス流入接続部78(燃料ガス流入口84)、冷却水流入接続部76(冷却水流入口82)及び空気流入接続部74(空気流入口80)の位置に、上下反転後の燃料ガス流出接続部86(燃料ガス流出口92)、冷却水流出接続部88(冷却水流出口94)及び空気流出接続部90(空気流出口96)が位置するとともに、上下反転前の燃料ガス流出接続部86(燃料ガス流出口92)、冷却水流出接続部88(冷却水流出口94)及び空気流出接続部90(空気流出口96)の位置に、上下反転後の燃料ガス流入接続部78(燃料ガス流入口84)、冷却水流入接続部76(冷却水流入口82)及び空気流入接続部74(空気流入口80)が位置するようになる。
【0058】
このように上下反転可能に構成し、上下反転した状態においては
図7に示す上述した配置となるために、この上下反転後に、空気流入管(図示せず)を空気流出接続部90に、冷却水流入管(図示せず)を冷却水流出接続部88に、燃料ガス流入管(図示せず)を燃料ガス流出接続部86に、また燃料ガス流出管(図示せず)を燃料ガス流入接続部78に、冷却水流出管(図示せず)を冷却水流入接続部76に、空気流出管(図示せず)を空気流入接続部74に容易に接続することができる。
【0059】
上述の第1の変形形態のセルスタックにおいては、上下反転可能に構成しているが、上下反転に代えて、左右反転可能に構成するようにしてもよい。第2の変形形態のセルスタックを示す
図8及び
図9において、第2の変形形態のセルスタック(図示せず)を収容するユニットハウジング72Bにおいては、ユニットハウジング73Bの正面上端部には、
図8に示すように、空気流入接続部74(空気流入口80)、冷却水流入接続部76(冷却水流入口82)及び燃料ガス流入接続部78(燃料ガス流入口84)が、
図8において左から右に向けてこの順に配設されている。上述した実施形態と同様に、空気流入接続部74(空気流入口80)には空気流入管(図示せず)が接続され、冷却水流入接続部76(冷却水流入口82)には、冷却水流入管(図示せず)が接続され、また燃料ガス流入接続部78(燃料ガス流入口84)には、燃料ガス流入管(図示せず)が接続される。
【0060】
また、このユニットハウジング73Bの背面上端部には、
図9に示すように、燃料ガス流出接続部86(燃料ガス流出口92)、冷却水流出接続部88(冷却水流出口94)及び空気流出接続部90(空気流出口96)が、
図9において左下から右上に向けてこの順に配設されている。燃料ガス流出接続部86(燃料ガス流出口92)には燃料ガス流出管(図示せず)が接続され、冷却水流出接続部88(冷却水流出口94)には、冷却水流出管(図示せず)が接続され、また空気流出接続部90(空気流出口96)には、空気流出管(図示せず)が接続される。
【0061】
この第2の変形形態では、スタックユニット72B(即ち、セルスタック)が左右反転可能(換言すると、横方向に180度反転可能)に構成されており、このことに関連して、スタックユニット72Bのユニットハウジング73Bの上面に一対の出力端子100a,100bが設けられ、一対の端子100a,100bに出力ケーブル(図示せず)が電気的に接続されている。
【0062】
この第2の変形形態のスタックユニット72B(セルスタック)を左右反転させると、
図8及び
図9から理解されるように、左右反転前の燃料ガス流入接続部78(燃料ガス流入口84)、冷却水流入接続部76(冷却水流入口82)及び空気流入接続部74(空気流入口80)の位置に、左右反転後の燃料ガス流出接続部86(燃料ガス流出口92)、冷却水流出接続部88(冷却水流出口94)及び空気流出接続部90(空気流出口96)が位置するとともに、左右反転前の燃料ガス流出接続部86(燃料ガス流出口92)、冷却水流出接続部88(冷却水流出口94)及び空気流出接続部90(空気流出口96)の位置に、左右反転後の燃料ガス流入接続部78(燃料ガス流入口84)、冷却水流入接続部76(冷却水流入口82)及び空気流入接続部74(空気流入口80)が位置するようになる。
【0063】
このように左右反転可能に構成し、左右反転した状態においては上述した配置となるために、この左右反転後に、空気流入管(図示せず)を空気流出接続部90に、冷却水流入管(図示せず)を冷却水流出接続部88に、燃料ガス流入管(図示せず)を燃料ガス流出接続部86に、また燃料ガス流出管(図示せず)を燃料ガス流入接続部78に、冷却水流出管(図示せず)を冷却水流入接続部76に、空気流出管(図示せず)を空気流入接続部74に容易に接続することができる。
【0064】
上述した実施形態では、セルスタックに部分的劣化が生じたときに燃料ガス(冷却水)に関連する燃料ガス流入管及び燃料ガス流出管(冷却水流入管及び冷却水流出管)の接続を替えての連通状態を切り替えているが、燃料ガス流入管及び燃料ガス流出管(冷却水流入管及び冷却水流出管)の経路上にガス流路切替手段(冷却水流路切替手段)を設け、このガス流路切替手段(冷却水流路切替手段)の切替えによって、セルスタックの燃料ガス流入口及び燃料ガス流出口(冷却水流入口及び燃料ガス流出口)への連通状態を切り替えるようにすることもできる。
【0065】
図10及び
図11は、燃料ガス流入管及び燃料ガス流出管の経路上に配設されるガス流路切替手段の第1の実施形態を示すが、冷却水流入管及び冷却水流出管の経路上にもこのガス流路切替手段と同様の構成の冷却水流路切替手段を配設することができる。
【0066】
図10及び
図11において、図示のガス流路切替手段130(冷却水流路切替手段132)は、第1ガスバルブ134(第1冷却水バルブ136)と第2ガスバルブ138(第2冷却水バルブ138)を備え、例えば、第1ガスバルブ134(第1冷却水バルブ136)が燃料ガス流入管132(冷却水流入管126)の経路上に配設され、第2ガスバルブ138(第2冷却水バルブ140)が燃料ガス流出管124(冷却水流出管128)の経路上に配設される。
【0067】
第1ガスバルブ134(第1冷却水バルブ136)は、第1主流路142と、この第1主流路142から分岐する一対の第1分岐流路144,146とを備え、第1主流路142と一方(スタックユニット72Cに近い方)の第1分岐流路144との接続部に第1弁部材148が配設されている。また、第2ガスバルブ138(第2冷却水バルブ140)は、第2主流路152と、この第2主流路152から分岐する一対の分岐流路154,156とを備え、第2主流路154と一方(スタックユニット72Cに近い方)の第2分岐流路154との接続部に第2弁部材158が配設されている。更に、第1ガスバルブ134(第1冷却水バルブ136)の一方の第1分岐流路144と第2ガスバルブ138(第2冷却水バルブ140)の他方の第2分岐流路156とが第1分岐接続流路160を介して接続され、また第1ガスバルブ134(第1冷却水バルブ136)の他方の第1分岐流路46と第2ガスバルブ138(第2冷却水バルブ140)の一方の第2分岐流路154とが第2分岐接続流路162を介して接続されている。
【0068】
ガス流路切替手段130(冷却水流路切替手段132)は、
図10に示す第1ガス流路切替状態(第1冷却水流路切替状態)と
図11に示す第2ガス流路切替状態(第2冷却水流路切替状態)とに選択的に切り替えられる。例えば、スタックユニット72Cの設置初期においては、ガス流路切替手段130(冷却水流路切替手段132)は、第1ガス流路切替状態(第1冷却水流路切替状態)に保持される。この切替状態においては、
図10に示すように、第1ガスバルブ134(第1冷却水バルブ136)の第1弁部材148は、第1主流路142を連通状態に保持するとともに、一方の第1分岐流路144を閉塞状態に保持し、また第2ガスバルブ138(第2冷却水バルブ140)の第2弁部材158は、第2主流路152を連通状態に保持するとともに、一方の第2分岐流路154を閉塞状態に保持する。
【0069】
この第1ガス流路切替状態(第1冷却水流路切替状態)においては、第1及び第2分岐接続流路160,162が閉塞状態に保持され、ガスブロア24(冷却水循環ポンプ56)からの燃料ガス(冷却水)は、
図10に矢印で示すように、第1ガスバルブ134(第1冷却水バルブ136)の第1主流路142を通り、燃料ガス流入管122(冷却水流入管126)及びスタックユニット72Cの燃料ガス流入接続部78(冷却水流入接続部76)を通してセルスタックの燃料ガス流入口(図示せず)(冷却水流入口)に送給される。また、セルスタックの燃料ガス流出口(図示せず)(冷却水流出口)からの燃料ガス(冷却水)は、スタックユニット72Cの燃料ガス流出接続部86(冷却水流出接続部88)及び燃料ガス流出管124(冷却水流出接続管128)を通り、更に第2ガスバルブ138(第2冷却水バルブ140)の第2主流路152を通して下流側に送給される。
【0070】
また、セルスタック(図示せず)に部分的劣化が生じたときには、ガス流路切替手段130(冷却水流路切替手段132)は、第2ガス流路切替状態(第2冷却水流路切替状態)に切り替えられる。この切替状態においては、
図11に示すように、第1ガスバルブ134(第1冷却水バルブ136)の第1弁部材148は、第1主流路142を閉塞して一方の分岐流路144を連通状態に保持し、また第2ガスバルブ138(第2冷却水バルブ140)の第2弁部材158は、第2主流路152を閉塞して一方の第2分岐流路154を連通状態に保持する。
【0071】
従って、この第2ガス流路切替状態(第2冷却水流路切替状態)においては、第1及び第2分岐接続流路160,162が連通状態に保持され、ガスブロア24(冷却水循環ポンプ56)からの燃料ガス(冷却水)は、
図11に矢印で示すように、第1ガスバルブ134(第1冷却水バルブ136)の他方の第1分岐流路146、第2分岐接続流路162及び第2ガスバルブ138(第2冷却水バルブ140)の一方の第2分岐流路154を通り、燃料ガス流出管124(冷却水流出管128)及び燃料ガス流出接続部86(冷却水流出接続部88)を通してスタックユニット72C内のセルスタックの燃料ガス流出口(図示せず)(冷却水流出口)に供給され、この燃料ガス流出口(冷却水流出口)を通してセルスタックの燃料極側(冷却水流路)に送給される。
【0072】
このとき、セルスタックの燃料極側(冷却水流路)を流れた燃料ガス(冷却水)は、その燃料ガス流入口(冷却水流入口)から流出される。そして、この燃料ガス流入口(図示せず)(冷却水流入口)からの燃料ガス(冷却水)は、燃料ガス流入接続部78(冷却水流入接続部76)及び燃料ガス流入接続管122(冷却水流入接続管126)を通り、更に第1ガスバルブ134(第1冷却水バルブ136)の一方の第1分岐流路144、第1分岐接続流路160及び第2ガスバルブ138(第2冷却水バルブ140)の他方の第2分岐流路156を通して下流側に送給される。
【0073】
このように第1及び第2ガスバルブ134,138(第1及び第2冷却水バルブ136,140)を備えたガス流路切替手段130(冷却水流路切替手段132)を用い、このガス流路切替手段130(冷却水流路切替手段132)の連通状態を切り替えることにより、燃料ガス流入管122(冷却水流入管126)及び燃料ガス流出管124(冷却水流出管128)の管接続を入れ替えることなく、燃料ガス(冷却水)の供給を反対側の流出側から行うことができる。
【0074】
この実施形態においては、燃料ガス及び冷却水の双方の供給切替えを行うためにガス流路切替手段130及び冷却水流路切替手段132を設けているが、燃料ガス及び冷却水のいずれか一方の供給切替え行うようにしてもよく、この場合、燃料ガス(又は冷却水)の切替えのためにガス流路切替手段130(又は冷却水切替手段132)が設けられる。
【0075】
また、この実施形態においては、ガス流路切替手段130(冷却水切替手段132)の第1ガスバルブ134(第1冷却水バルブ136)の第1弁部材148を第1主流路142と一方の第1分岐流路144との接続部に配設しているが、この第1弁部材148を第1主流路142と他方の第1分岐流路146との接続部に配設するようにしてもよい。また、第2ガスバルブ138(第2冷却水バルブ140)についても、第2弁部材158を第2主流路152と一方の第2分岐流路154との接続部に配設しているが、この第2弁部材158を第2主流路152と他方の第2分岐流路156との接続部に配設するようにしてもよい。
【0076】
また、上述した実施形態では、ガス流路切替手段(冷却水流路切替手段)を第1及び第2ガスバルブ(第1及び第2冷却水バルブ)から構成しているが、このような構成に代えて、このガス流路切替手段(冷却水流路切替手段)を
図12及び
図13に示すように構成することもできる。
【0077】
図12及び
図13において、図示のガス流路切替手段130D(冷却水流路切替手段132D)は、燃料ガス流入管122(冷却液流入管126)に関連して配設された第1及び第2ガス電磁弁172,174(第1及び第2冷却水電磁弁176,178)及び燃料ガス流出管124(冷却水流出管128)に関連して配設された第3及び第4ガス電磁弁180,182(第3及び第4冷却水電磁弁184,186)を備え、第1ガス電磁弁172(第1冷却水電磁弁176)が燃料ガス流入管122(冷却水流入管126)の経路上、例えば燃料ガス流路16(冷却水循環流路の上流側部54a)に配設され、第3ガス電磁弁180(第3冷却水電磁弁184)が燃料ガス流出管124(冷却水流出管128)の経路上、例えば排燃料ガス流路36(冷却水循環流路の下流側部54b)に配設されている。
【0078】
また、例えば、燃料ガス流路16(冷却水循環流路の上流側部54a)における第1ガス電磁弁172(第1冷却水電磁弁174)の配設部位より上流側の部位と排燃料ガス流路36(冷却水循環流路の下流側部54b)における第3ガス電磁弁180(第3冷却水電磁弁184)の配設部位より下流側の部位との間が、第1接続流路188を介して接続され、この第1接続流路188に第3ガス電磁弁174(第3冷却水電磁弁178)が配設されている。更に、例えば、燃料ガス流路16(冷却水循環流路の上流側部54a)における第1ガス電磁弁172(第1冷却水電磁弁174)の配設部位より下流側の部位と排燃料ガス流路36(冷却水循環流路の下流側部54b)における第3ガス電磁弁180(第3冷却水電磁弁184)の配設部位より上流側の部位との間が、第2接続流路190を介して接続され、この第2接続流路180に第4ガス電磁弁182(第4冷却水電磁弁186)が配設されている。尚、
図12及び
図13において、複数の電磁弁のうち白色で示したのが開状態のもので、黒色で示したのが閉状態のものである。
【0079】
このガス流路切替手段130D(冷却水流路切替手段132D)は、
図12に示す第1ガス流路切替状態(第1冷却水流路切替状態)と
図13に示す第2ガス流路切替状態(第2冷却水流路切替状態)とに選択的に切り替えられる。例えば、スタックユニット72Dの設置初期においては、ガス流路切替手段130D(冷却水流路切替手段132D)は、第1ガス流路切替状態(第1冷却水流路切替状態)に保持される。この切替状態においては、
図12に示すように、第1及び第3ガス電磁弁172,180(第1及び第3冷却水電磁弁176,180)が開状態に保持され、第2及び第4ガス電磁弁174,182(第2及び第4冷却水電磁弁178,186)が閉状態に保持される。
【0080】
従って、この第1ガス流路切替状態(第1冷却水流路切替状態)においては、第1及び第2接続流路188,190が閉塞状態に保持され、ガスブロア24(冷却水循環ポンプ56)からの燃料ガス(冷却水)は、
図12に矢印で示すように、第1ガス電磁弁172(第1冷却水電磁弁176)を通り、燃料ガス流入管122(冷却水流入管126)及び燃料ガス流入接続部78(冷却水流入接続部76)を通してスタックユニット72Dのセルスタックの燃料ガス流入口(図示せず)(冷却水流入口)に送給される。また、セルスタックの燃料ガス流出口(図示せず)(冷却水流出口)からの燃料ガス(冷却水)は、燃料ガス流出接続部86(冷却水流出接続部88)及び燃料ガス流出管124(冷却水流出接続管128)を通り、更に第3ガス電磁弁180(第3冷却水電磁弁184を通して下流側に送給される。
【0081】
また、セルスタック(図示せず)に部分的劣化が生じたときには、ガス流路切替手段130D(冷却水流路切替手段132D)は、第2ガス流路切替状態(第2冷却水流路切替状態)に切り替えられる。この切替状態においては、
図13に示すように、第2及び第4ガス電磁弁174,182(第2及び第4冷却水電磁弁178,186)が開状態に保持され、第1及び第3ガス電磁弁172,180(第2及び第4冷却水電磁弁176,184)が閉状態に保持される。
【0082】
従って、この第2ガス流路切替状態(第2冷却水流路切替状態)においては、第1及び第2接続流路188,190が連通状態に保持され、ガスブロア24(冷却水循環ポンプ56)からの燃料ガス(冷却水)は、
図13に矢印で示すように、第4ガス電磁弁182(第4冷却水電磁弁186)及び第2接続流路190を通り、燃料ガス流出管124(冷却水流出管128)及び燃料ガス流出接続部86(冷却水流出接続部88)を通してスタックユニット72Dのセルスタックの燃料ガス流出口(図示せず)(冷却水流出口)に送給され、この燃料ガス流出口(冷却水流出口)を通してセルスタックの燃料極側(冷却水流路)に送給される。
【0083】
このとき、セルスタックの燃料極側(冷却水流路)を流れた燃料ガス(冷却水)は、その燃料ガス流入口(冷却水流入口)から流出される。そして、スタックユニット72Dの燃料ガス流入口(図示せず)(冷却水流入口)からの燃料ガス(冷却水)は、燃料ガス流入接続部78(冷却水流入接続部76)及び燃料ガス流入接続管122(冷却水流入接続管126)を通り、更に第2ガス電磁弁174(第2冷却水電磁弁178)及び第1接続流路188を通して下流側に送給される。
【0084】
このように第1〜第4ガス電磁弁172,174,180,182(第1〜第4冷却水電磁弁176,178,184,186)を備えたガス流路切替手段130D(冷却水流路切替手段132D)を用い、このガス流路切替手段130D(冷却水流路切替手段132D)の連通状態を切り替えることにより、上述したと同様に、燃料ガス(冷却水)の供給を反対側の流出側から行うことができる。
【0085】
この実施形態においても、燃料ガス及び冷却水の双方の供給切替えを行うためにガス流路切替手段130D及び冷却水流路切替手段132Dを設けているが、燃料ガス及び冷却水のいずれか一方の供給切替え行うようにしてもよい。
【0086】
以上、本発明に従う燃料電池システムの一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。