特許第6831742号(P6831742)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6831742
(24)【登録日】2021年2月2日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20210208BHJP
   B25F 5/02 20060101ALI20210208BHJP
【FI】
   B25F5/00 H
   B25F5/02
【請求項の数】14
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2017-79291(P2017-79291)
(22)【出願日】2017年4月12日
(65)【公開番号】特開2018-79557(P2018-79557A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2020年1月16日
(31)【優先権主張番号】特願2016-216411(P2016-216411)
(32)【優先日】2016年11月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】特許業務法人勇智国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105120
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 哲幸
(74)【代理人】
【識別番号】100106725
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 敏行
(72)【発明者】
【氏名】飯田 斉
(72)【発明者】
【氏名】古澤 正規
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 慶
(72)【発明者】
【氏名】小辻 孝文
(72)【発明者】
【氏名】山田 圭祐
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−148014(JP,A)
【文献】 特開2016−144856(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/092885(WO,A1)
【文献】 特開2008−036753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00、5/02
B25B 21/00
B25D 11/00、17/00
B23B 45/00
B23D 45/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動工具であって、
前記電動工具の前後方向に延在する作業軸に対して交差する方向に延在する回転軸周りに回転可能なモータシャフトを有するモータと、
前記モータを収容するハウジングと、
少なくとも1つのバッテリを着脱可能に構成されたバッテリ装着部であって、前記ハウジングに設けられ、前記回転軸の延在方向において、前記モータを挟んで前記作業軸とは反対側に配置されたバッテリ装着部と、
前記ハウジングの外表部に設けられたバッテリ保護部とを備え、
前記バッテリ装着部は、前記回転軸の前記延在方向において、前記少なくとも1つのバッテリの一端部が前記バッテリ装着部に装着され、且つ、前記バッテリの反対側端部が前記ハウジングから露出するように構成されており、
前記バッテリ保護部は、前記バッテリ装着部に前記一端部が装着された場合に、前記少なくとも1つのバッテリの前記反対側端部の少なくとも1つの隅部領域を外力から保護するように構成されており、
前記作業軸が水平方向に延在し、前記回転軸が上下方向に延在するように前記電動工具が配置された場合、前記バッテリ装着部は、前記モータシャフトの下端部を支持するベアリングよりも下側、且つ、側面視で前記モータの下方領域と重なる位置に配置されており、
前記バッテリ保護部は、前記ハウジングの一部によって形成されており、
前記バッテリ保護部は、前記前後方向において、前記バッテリ装着部に対して夫々両側に配置された前側保護部と後側保護部とを含むことを特徴とする電動工具。
【請求項2】
請求項1に記載の電動工具であって、
前記ハウジングは、前記作業軸に沿って前記前後方向に延在する駆動機構収容部と、前記駆動機構収容部の後端部から下方に突出するモータ収容部と、前記モータ収容部の後方で前記上下方向に延在する把持部とを含み、
前記前側保護部の前端および前記後側保護部の後端は、前記前後方向において、夫々、前記モータ収容部の前端および前記把持部の後端と概ね同じ位置にあることを特徴とする電動工具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電動工具であって、
前記バッテリ保護部を形成する前記ハウジングの前記一部は、樹脂製であって、
前記バッテリ保護部に少なくとも一部が配置された金属製の補強部材を更に備えたことを特徴とする電動工具。
【請求項4】
電動工具であって、
前記電動工具の前後方向に延在する作業軸に対して交差する方向に延在する回転軸を有するモータと、
前記モータを収容するハウジングと、
少なくとも1つのバッテリを着脱可能に構成されたバッテリ装着部であって、前記ハウジングに設けられ、前記回転軸の延在方向において、前記モータを挟んで前記作業軸とは反対側に配置されたバッテリ装着部と、
前記ハウジングの外表部に設けられたバッテリ保護部とを備え、
前記バッテリ装着部は、前記回転軸の前記延在方向において、前記少なくとも1つのバッテリの一端部が前記バッテリ装着部に装着され、且つ、前記バッテリの反対側端部が前記ハウジングから露出するように構成されており、
前記バッテリ保護部は、前記バッテリ装着部に前記一端部が装着された場合に、前記少なくとも1つのバッテリの前記反対側端部の少なくとも1つの隅部領域を外力から保護するように構成されており、
前記バッテリ保護部は、前記バッテリが前記バッテリ装着部に装着された場合の前記電動工具の重心と前記隅部領域とを結ぶ仮想直線に直交し、且つ、前記隅部領域を通る仮想平面よりも、前記重心から離れる方向に突出するように形成されていることを特徴とする電動工具。
【請求項5】
電動工具であって、
前記電動工具の前後方向に延在する作業軸に対して交差する方向に延在する回転軸を有するモータと、
前記モータを収容するハウジングと、
少なくとも1つのバッテリを着脱可能に構成されたバッテリ装着部であって、前記ハウジングに設けられ、前記回転軸の延在方向において、前記モータを挟んで前記作業軸とは反対側に配置されたバッテリ装着部と、
前記ハウジングの外表部に設けられたバッテリ保護部とを備え、
前記バッテリ装着部は、前記回転軸の前記延在方向において、前記少なくとも1つのバッテリの一端部が前記バッテリ装着部に装着され、且つ、前記バッテリの反対側端部が前記ハウジングから露出するように構成されており、
前記バッテリ保護部は、前記バッテリ装着部に前記一端部が装着された場合に、前記少なくとも1つのバッテリの前記反対側端部の少なくとも1つの隅部領域を外力から保護するように構成されており、
前記バッテリ保護部の内部空間に配置され、前記隅部領域の保護とは異なる機能を発揮するように構成された付加機構を更に備えたことを特徴とする電動工具。
【請求項6】
電動工具であって、
前記電動工具の前後方向に延在する作業軸に対して交差する方向に延在する回転軸を有するモータと、
前記モータを収容するハウジングと、
少なくとも1つのバッテリを着脱可能に構成されたバッテリ装着部であって、前記ハウジングに設けられ、前記回転軸の延在方向において、前記モータを挟んで前記作業軸とは反対側に配置されたバッテリ装着部と、
前記ハウジングの外表部に設けられたバッテリ保護部とを備え、
前記バッテリ装着部は、前記回転軸の前記延在方向において、前記少なくとも1つのバッテリの一端部が前記バッテリ装着部に装着され、且つ、前記バッテリの反対側端部が前記ハウジングから露出するように構成されており、
前記バッテリ保護部は、前記バッテリ装着部に前記一端部が装着された場合に、前記少なくとも1つのバッテリの前記反対側端部の少なくとも1つの隅部領域を外力から保護するように構成されており、
前記バッテリ装着部には、前記回転軸の前記延在方向における長さが異なる複数種類のバッテリを選択的に着脱可能であって、
前記バッテリ保護部は、前記回転軸の前記延在方向における長さを調整可能に構成されていることを特徴とする電動工具。
【請求項7】
請求項4〜6の何れか1つに記載の電動工具であって、
前記バッテリ保護部は、前記ハウジングの一部によって形成されていることを特徴とする電動工具。
【請求項8】
請求項に記載の電動工具であって、
前記バッテリ保護部を形成する前記ハウジングの前記一部は、樹脂製であって、
前記バッテリ保護部に少なくとも一部が配置された金属製の補強部材を更に備えたことを特徴とする電動工具。
【請求項9】
請求項4〜6の何れか1つに記載の電動工具であって、
前記バッテリ保護部は、前記ハウジングとは別の部材として形成され、前記ハウジングに取り付けられていることを特徴とする電動工具。
【請求項10】
請求項に記載の電動工具であって、
前記バッテリ保護部は、前記ハウジングとは異なる材料で形成されていることを特徴とする電動工具。
【請求項11】
請求項4〜10の何れか1つに記載の電動工具であって、
前記バッテリ保護部は、前記前後方向において、前記バッテリ装着部に対して夫々両側に配置された前側保護部と後側保護部とを含むことを特徴とする電動工具。
【請求項12】
請求項4〜10の何れか1つに記載の電動工具であって、
前記バッテリ保護部は、前記作業軸および前記回転軸に交差する方向において、前記バッテリ装着部の前部領域の両側に配置された一対の前側保護部と、前記バッテリ装着部の後部領域の両側に配置された一対の後側保護部とを含むことを特徴とする電動工具。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか1つに記載の電動工具であって、
前記バッテリ装着部は、複数のバッテリを、前記前後方向に並んだ状態で着脱可能に構成されていることを特徴とする電動工具。
【請求項14】
請求項1〜13の何れか1つに記載の電動工具であって、
前記作業軸が水平方向に延在し、前記回転軸が上下方向に延在するように前記電動工具が配置された場合、前記バッテリ装着部は前記モータに対して下側に配置され、
前記バッテリ保護部は、前記バッテリ保護部の下面が、前記バッテリ装着部に装着されたときの前記バッテリの下面と略面一となるように構成されていることを特徴とする電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリを着脱可能に構成された電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
充電式のバッテリを動力源とする様々な電動工具が知られている。例えば、特許文献1には、前後方向に延在する打撃軸上で工具ビットを直線動作させる打撃工具であって、モータを収容する工具本体と、工具本体の後端部に連接され、上下方向に延在するハンドグリップとを備えた打撃工具が開示されている。工具本体には、モータの後方、且つハンドグリップの下方に、2つのバッテリが着脱可能なバッテリ装着部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−148014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記打撃工具とは異なり、バッテリの装着位置を、モータの後方ではなく下方とした場合、典型的には、バッテリ上部の工具本体への装着箇所を除くバッテリ全体が、工具本体の外部に露出してしまいやすい。このため、落下等、何らかの原因でバッテリに対して外力が加えられた場合、バッテリが損傷する可能性が高くなる。そこで、このようなバッテリの装着位置が採用される場合には、バッテリの工具本体(ハウジング)からの露出箇所の損傷対策が望まれる。
【0005】
本発明は、バッテリを着脱可能に構成された電動工具において、バッテリのハウジングからの露出箇所の損傷対策に資する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、モータと、ハウジングと、バッテリ装着部と、バッテリ保護部とを備えた電動工具が提供される。
【0007】
モータは、電動工具の前後方向に延在する作業軸に対して交差する方向に延在する回転軸を有する。ハウジングは、モータを収容する。バッテリ装着部は、少なくとも1つのバッテリを着脱可能に構成されている。また、バッテリ装着部は、ハウジングに設けられ、モータの回転軸の延在方向において、モータを挟んで作業軸とは反対側に配置されている。バッテリ保護部は、ハウジングの外表部に設けられている。バッテリ装着部は、モータの回転軸の延在方向において、少なくとも1つのバッテリの一端部がバッテリ装着部に装着され、且つ、バッテリの反対側端部がハウジングから露出するように構成されている。バッテリ保護部は、バッテリ装着部にバッテリの一端部が装着された場合に、少なくとも1つのバッテリの反対側端部の少なくとも1つの隅部領域を外力から保護するように構成されている。
【0008】
なお、上記の「電動工具」とは、バッテリから供給される電力を使用して動作し、工作等に使用されるツール一般をいう。また、電動工具の「作業軸」とは、例えば、打撃子を直線状に駆動するように構成されたいわゆる打撃工具(例えば、ハンマドリル)においては、打撃子の駆動軸に対応する。また、例えば、最終出力シャフトを回転駆動するように構成されたいわゆる回転工具(例えば、シャーレンチ)においては、最終出力シャフトの回転軸に対応する。
【0009】
ハウジングは、いわゆる工具本体とも称される部分であり、少なくともモータを収容可能に構成されていればよい。例えば、ハウジングは、モータを収容する部分と、その他の内部機構を収容する部分とが別個に形成され、連結されていてもよい。また、いわゆる防振ハウジングと称される、互いに相対移動可能に弾性要素を介して連結された複数の部分で構成されたハウジングであってもよい。
【0010】
バッテリ装着部に装着可能なバッテリの形状は特に限定されるものではないが、典型的な形状としては、略直方体形状(角が面取りされている形状を含む)が挙げられる。略直方体形状のバッテリの場合には、隅部領域は、直方体の頂点に対応する領域と言い換えられてもよい。また、「ハウジングから露出する」とは、ハウジングの外部に配置されている、外部に向かって開放状に露出されているとも言い換えることができる。
【0011】
バッテリ装着部にバッテリの一端部が装着された場合、外部に露出した反対側端部の隅部領域は、他の領域に比べ、外力が加わった場合に損傷を受けやすい箇所である。これに対し、本態様の電動工具は、バッテリ保護部によって、バッテリの反対側端部の少なくとも1つの隅部領域を外力から保護し、バッテリが損傷する可能性を低減することができる。
【0012】
本発明の一態様によれば、バッテリ保護部は、ハウジングの一部によって形成されていてもよい。本態様によれば、部品点数を増加させることなく、バッテリ保護部を簡便に形成することができる。
【0013】
本発明の一態様によれば、バッテリ保護部は、ハウジングとは別の部材として形成され、ハウジングに取り付けられていてもよい。なお、ハウジングに対するバッテリ保護部の取付け方法は特に限定されるものではなく、例えば、ハウジングと同じ材料または異なる材料で予め形成されたバッテリ保護部が、ハウジングに対して、接着、ネジによる固定、挟み込み等の方法によって取り付けられてもよい。あるいは、ハウジングとは別の材料によるバッテリ保護部がハウジングと共に一体成形されることで、ハウジングに取り付けられてもよい。本態様によれば、ハウジングをシンプルな形状で保ちつつ、バッテリ保護部の設計の自由度を高めることができる。
【0014】
本発明の一態様によれば、バッテリ保護部は、ハウジングとは異なる材料で形成されていてもよい。本態様によれば、ハウジングとバッテリ保護部とを、夫々に適した材料で形成することができる。
【0015】
本発明の一態様によれば、バッテリ保護部は、前後方向において、バッテリ装着部に対して夫々両側に配置された前側保護部と後側保護部とを含んでもよい。本態様によれば、バッテリ装着部の前側と後側に2つの保護部(前側保護部と後側保護部)が設けられることで、前側に配置された隅部領域と後側に配置された隅部領域とを外力から保護することができる。
【0016】
本発明の一態様によれば、バッテリ保護部は、作業軸および回転軸に交差する方向において、バッテリ装着部の前部領域の両側に配置された一対の前側保護部と、バッテリ装着部の後部領域の両側に配置された一対の後側保護部とを含んでもよい。バッテリ装着部の前部領域と後部領域の夫々の両側に保護部が設けられることで、前側に配置された隅部領域と後側に配置された隅部領域とを外力から保護することができる。
【0017】
本発明の一態様によれば、バッテリ装着部は、複数のバッテリを、前後方向に並んだ状態で着脱可能に構成されていてもよい。本態様によれば、電動工具は、1つのバッテリのみが装着可能な電動工具に比べ、バッテリ装着部に装着された複数のバッテリを用いて、より高い出力を発揮することができる。
【0018】
本発明の一態様によれば、作業軸が水平方向に延在し、回転軸が上下方向に延在するように電動工具が配置された場合、バッテリ装着部はモータに対して下側に配置され、バッテリ保護部は、バッテリ保護部の下面が、バッテリ装着部に装着されたときのバッテリの下面と略面一となるように構成されていてもよい。本態様によれば、バッテリ保護部の下面とバッテリの下面を載置面として、電動工具を地面や床面に安定した姿勢で載置することができる。
【0019】
本発明の一態様によれば、バッテリ保護部は、バッテリがバッテリ装着部に装着された場合の電動工具の重心と隅部領域とを結ぶ仮想直線に直交し、且つ、隅部領域を通る仮想平面よりも、重心から離れる方向に突出するように形成されていてもよい。一般的に、バッテリが装着された状態で電動工具が落下した場合、電動工具の重心が隅部領域にのった状態で(言い換えると、重心が隅部領域の真上に位置する姿勢で、または、隅部領域に電動工具の全重量が作用する状態で)隅部領域が地面や床に衝突すると、隅部領域に加わる衝撃が大きくなり、損傷の可能性が高まる。これに対し、本態様によれば、バッテリ保護部を上記仮想平面よりも突出するように形成することで、隅部領域に重心が乗った状態で電動工具が落下した場合でも、バッテリ保護部が先に地面や床に衝突するため、隅部領域を効果的に保護することができる。
【0020】
本発明の一態様によれば、電動工具は、バッテリ保護部の内部空間に配置され、バッテリの隅部領域の保護とは異なる機能を発揮するように構成された付加機構を更に備えていてもよい。本態様によれば、空きスペースとなりやすいバッテリ保護部の内部空間を有効活用して、電動工具の利便性を高めることができる。
【0021】
本発明の一態様によれば、バッテリ保護部を形成するハウジングの一部が樹脂製であって、電動工具は、バッテリ保護部に少なくとも一部が配置された金属製の補強部材を更に備えていてもよい。本態様によれば、バッテリ保護部が外力を受けた場合に、バッテリ保護部が損傷する可能性を低減することができる。これにより、バッテリが損傷する可能性をより確実に低減することができる。
【0022】
本発明の一態様によれば、バッテリ装着部には、回転軸の延在方向における長さが異なる複数種類のバッテリを選択的に着脱可能であって、バッテリ保護部は、回転軸の延在方向における長さを調整可能に構成されていてもよい。本態様によれば、バッテリ装着部に装着されるバッテリの長さに応じて、バッテリ保護部の長さを調整できる。これにより、装着されたバッテリの隅部領域を適切に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態に係るハンマドリルの縦断面図である。
図2】ハウジングの一部が取り外された状態のハンマドリルを背面視で示す説明図である。
図3】第2実施形態に係るハンマドリルの一部の縦断面図である。
図4】ハンマドリルの一部の背面図である。
図5】第3実施形態に係るハンマドリルの一部の縦断面図である。
図6】第4実施形態に係るハンマドリルの縦断面図である。
図7】ハンマドリルの一部の背面図である。
図8】第5実施形態に係るハンマドリルの一部の縦断面図である。
図9】第6実施形態に係るハンマドリルの一部の縦断面図である。
図10】第7実施形態に係るハンマドリルの縦断面図である。
図11】第8実施形態に係るハンマドリルの一部の縦断面図である。
図12】第9実施形態に係るハンマドリルの一部の縦断面図である。
図13】第9実施形態に係るハンマドリルの一部の別の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。なお、以下の実施形態では、電動工具の一例として、ハンマドリルを例示する。
【0025】
<第1実施形態>
以下、図1および図2を参照して、第1実施形態に係るハンマドリル101について説明する。ハンマドリル101は、バッテリ9を動力源として、先端工具18を所定の作業軸A1に沿って直線状に駆動する動作(打撃動作)や、先端工具18を作業軸A1周りに回転駆動する動作(ドリル動作)を行うように構成されている。
【0026】
まず、ハンマドリル101の概略構成について説明する。図1に示すように、ハンマドリル101の外郭は、主としてハウジング10によって形成されている。本実施形態のハウジング10は、いわゆる防振ハウジングとして構成されており、第1ハウジング部11と、第1ハウジング部11に対して相対移動可能に弾性連結された第2ハウジング部13とを含む。
【0027】
第1ハウジング部11は、モータ2を収容するモータ収容部111と、モータ2の動力によって先端工具18を駆動するように構成された駆動機構3を収容する駆動機構収容部117とを含み、全体として略L字状に形成されている。駆動機構収容部117は、作業軸A1方向に延在する長尺状に形成されている。駆動機構収容部117の作業軸A1方向における一端部には、先端工具18を着脱可能に構成されたツールホルダ34が設けられている。モータ収容部111は、駆動機構収容部117の作業軸A1方向におけるもう一方の端部において、駆動機構収容部117に対して相対移動不能に連結固定され、作業軸A1に交差して、作業軸A1から離れる方向に突出するように配置されている。モータ収容部111内には、モータ2が、モータシャフト25の回転軸A2が作業軸A1に直交する方向に延在するように配置されている。
【0028】
なお、以下の説明では、便宜上、ハンマドリル101の作業軸A1方向をハンマドリル101の前後方向と規定し、ツールホルダ34が設けられている一端部側をハンマドリル101の前側、反対側を後側と規定する。また、モータシャフト25の回転軸A2の延在方向をハンマドリル101の上下方向と規定し、駆動機構収容部117からモータ収容部111が突出する方向を下方向、反対方向を上方向と規定する。
【0029】
第2ハウジング部13は、把持部131と、上側部分133と、下側部分136とを含み、全体として略U字状に形成されている。把持部131は、作業者によって把持可能に構成され、モータシャフト25の回転軸A2方向(つまり上下方向)に延在するように配置される部分である。より詳細には、把持部131は、第1ハウジング部11に対して後方に離間して上下方向に延在している。上側部分133は、把持部131の上端部に接続する部分である。本実施形態では、上側部分133は、把持部131の上端部から前方に延在し、第1ハウジング部11の駆動機構収容部117の大部分を覆うように構成されている。下側部分136は、把持部131の下端部に接続する部分である。本実施形態では、下側部分136は、把持部131の下端部から前方に延在し、モータ収容部111の下側に配置されている。下側部分136の前後方向における中央部の下端部には、バッテリ装着部6が設けられている。ハンマドリル101は、バッテリ装着部6に装着されたバッテリ9から供給される電力により動作する。
【0030】
以上の構成によって、ハンマドリル101では、第2ハウジング部13に加え、第1ハウジング部11のうちモータ収容部111が上側部分133と下側部分136とに上下から挟まれた状態で外部に露出して、ハンマドリル101の外表面を形成している。
【0031】
以下、ハンマドリル101の詳細構成について説明する。まず、ハウジング10の防振ハウジング構造について簡単に説明する。前述の通り、ハウジング10では、モータ2および駆動機構3を収容する第1ハウジング部11に対し、把持部131を含む第2ハウジング部13が相対移動可能に弾性的に連結されることで、第1ハウジング部11から第2ハウジング部13(特に、把持部131)への振動伝達の抑制が図られている。
【0032】
より詳細には、図1に示すように、第1ハウジング部11の駆動機構収容部117と、第2ハウジング部13の上側部分133との間には、左右一対の第1バネ41が配置されている。更に、第1ハウジング部11のモータ収容部111と、第2ハウジング部13の下側部分136との間には、第2バネ42が配置されている。本実施形態では、第1バネ41および第2バネ42は、圧縮コイルバネで構成されており、第1ハウジング部11と第2ハウジング部13とを、作業軸A1方向において、把持部131が第1ハウジング部11から離れる方向に付勢している。
【0033】
更に、上側部分133および下側部分136は、夫々、モータ収容部111の上端部および下端部に対して摺動可能に構成されている。より詳細には、上側部分133の下面およびモータ収容部111の上端面は、互いに当接した状態で作業軸A1方向に摺動可能な摺動面として形成されており、上側摺動部46を構成する。また、下側部分136の上面およびモータ収容部111の下端面は、互いに当接した状態で作業軸A1方向に摺動可能な摺動面として形成されており、下側摺動部47を構成する。上側摺動部46および下側摺動部47は、第1ハウジング部11と第2ハウジング部13が作業軸A1方向に相対移動するように案内する摺動ガイドとして機能する。これにより、打撃動作が行われるときに発生する振動のうち、最も大きく且つ支配的な作業軸A1方向の振動が把持部131に伝達されるのを効果的に抑制することができる。
【0034】
以下、第1ハウジング部11の詳細な構成とその内部構造について説明する。
【0035】
図1に示すように、第1ハウジング部11のうち、モータ収容部111は、上側が開口した有底の矩形筒状に形成されている。駆動機構収容部117は、その後側部分の下端部が、モータ収容部111の上端部内に配置された状態で、モータ収容部111に対して相対移動不能に連結固定されている。本実施形態では、モータ収容部111には、小型で高出力なブラシレスモータがモータ2として収容されている。上下方向に延在するモータシャフト25は、上下端部において、ベアリングによって回転可能に支持されている。モータシャフト25の上端部は、駆動機構収容部117内に突出しており、この部分に駆動ギア29が形成されている。
【0036】
第1ハウジング部11のうち、駆動機構収容部117には、運動変換機構30と、打撃要素36と、回転伝達機構38とを含む駆動機構3が収容されている。
【0037】
運動変換機構30は、モータ2の回転運動を直線運動に変換して打撃要素36に伝達するように構成されている。本実施形態では、運動変換機構30として、クランク機構が採用されている。より詳細には、運動変換機構30は、クランクシャフト31と、連接ロッド32と、ピストン33と、シリンダ35とを含む。クランクシャフト31は、駆動機構収容部117の後端部にモータシャフト25と平行に配置されている。クランクシャフト31は、駆動ギア29に噛合する被動ギアと、偏心ピンとを有する。連接ロッド32の一端部は偏心ピンに連結され、他端部は連結ピンを介してピストン33に連結されている。ピストン33は、円筒状のシリンダ35内に摺動可能に配置されている。シリンダ35は、駆動機構収容部117の先端領域内に配置されたツールホルダ34の後部に、同軸状に連結固定されている。モータ2が駆動されると、ピストン33は、シリンダ35内で作業軸A1方向に往復移動される。
【0038】
打撃要素36は、ストライカ361と、インパクトボルト363とを含む。ストライカ361は、シリンダ35内に作業軸A1方向に摺動可能に配置されている。ストライカ361とピストン33との間には、ピストン33の往復移動によって生じる空気の圧力変動を介して、打撃子としてのストライカ361を直線状に移動させるための空気室365が形成されている。インパクトボルト363は、ストライカ361の運動エネルギを先端工具18に伝達する中間子として構成され、ツールホルダ34内に作業軸A1方向に摺動可能に配置されている。
【0039】
モータ2が駆動され、ピストン33が前方に向けて移動されると、空気室365の空気が圧縮されて内圧が上昇する。このため、ストライカ361は、高速に前方に押し出されてインパクトボルト363に衝突し、運動エネルギを先端工具18に伝達する。これにより、先端工具18は作業軸A1に沿って直線状に駆動され、被加工物を打撃する。一方、ピストン33が後方へ移動されると、空気室365の空気が膨張して内圧が低下し、ストライカ361が後方へ引き込まれる。ハンマドリル101は、運動変換機構30および打撃要素36にこのような動作を繰り返させることで、打撃動作を行う。
【0040】
回転伝達機構38は、モータシャフト25の回転動力をツールホルダ34に伝達するように構成されている。本実施形態では、回転伝達機構38は、複数のギアを含むギア減速機構として構成されており、モータ2の回転動力は、適宜減速された上でツールホルダ34に伝達される。なお、回転伝達機構38の動力伝達経路上には、噛合い式のクラッチが配置されている。クラッチが係合状態に置かれた場合には、回転伝達機構38によってモータシャフト25の回転動力がツールホルダ34に伝達され、ツールホルダ34に装着された先端工具18が作業軸A1周りに回転駆動される。一方、クラッチの係合状態が解除された場合には、回転伝達機構38によるツールホルダ34への動力伝達が遮断され、先端工具18は回転駆動されない。
【0041】
本実施形態のハンマドリル101は、駆動機構収容部117の上端部に回動可能に配置されたモード切替ダイヤル4の操作により、ハンマモードおよびハンマドリルモードの2つの駆動モードのうち一方が選択可能に構成されている。ハンマモードは、クラッチが係合解除状態とされ、運動変換機構30のみが駆動されることで、打撃動作のみが行われる駆動モードである。ハンマドリルモードは、クラッチが係合状態とされ、運動変換機構30および回転伝達機構38が駆動されることで、打撃動作およびドリル動作が行われる駆動モードである。なお、かかるモード切替えのための機構については、周知の技術であるため、ここでの説明は省略する。
【0042】
以下、第2ハウジング部13の詳細な構成とその内部構造について説明する。
【0043】
図1に示すように、上側部分133の後側部分は、下側が開口した略矩形箱状に形成されており、駆動機構収容部117の後側部分(より詳細には、運動変換機構30および回転伝達機構38が収容されている部分)を上方から覆っている。また、上側部分133の前側部分は、円筒状のバレル部134として形成されている。バレル部134は、駆動機構収容部117の前側部分(より詳細には、ツールホルダ34が収容されている部分)の外周を覆っている。また、バレル部134の外周面には、補助ハンドルが取り外し可能に装着されている。なお、補助ハンドルは周知であるため、ここでの詳細な説明および図示は省略する。
【0044】
把持部131の前部には、作業者による押圧操作が可能なトリガ14が設けられている。筒状に形成された把持部131の内部には、トリガ14の操作に応じてオン状態とオフ状態との間で切り替えられるスイッチ145が設けられている。
【0045】
下側部分136は、上側が一部開口した矩形箱状に形成されており、モータ収容部111の下側に配置されている。下側部分136の内部には、コントローラ5が配置されている。コントローラ5は、図示しない配線によって、モータ2、スイッチ145、バッテリ装着部6等と電気的に接続されている。コントローラ5は、トリガ14が押圧操作され、スイッチ145がオン状態となると、モータ2への通電(すなわち、先端工具18の駆動)を開始し、トリガ14の押圧操作が解除されて、スイッチ145がオフ状態となると、モータ2への通電を停止するように構成されている。
【0046】
また、前述の通り、下側部分136の前後方向における中央部の下端部には、バッテリ装着部6が設けられている。本実施形態では、バッテリ装着部6は、前後方向に並設され、同一構成を有する2つの装着部を含む。以下では、2つの装着部のうち、前側に配置された装着部を前側装着部61といい、後側に配置された装着部を後側装着部66という。前側装着部61および後側装着部66は、夫々、充電式のバッテリ9を着脱可能に構成されている。よって、バッテリ装着部6には、2つのバッテリ9が前後方向に並んだ状態で着脱可能である。よって、ハンマドリル101は、1つのバッテリ9のみが装着可能なハンマドリルに比べ、より高い出力を発揮することができる。なお、本実施形態のハンマドリル101に着脱可能なバッテリ9は、容量が18ボルトのバッテリである。
【0047】
ここで、バッテリ9の構成について、簡単に説明する。図1および図2に示すように、バッテリ9は、概ね直方体状に形成されている。バッテリ9は、フック91と、端子(図示せず)と、一対のガイド溝93と、ボタン95を有する。なお、説明の便宜上、バッテリ9の方向に関しては、ハンマドリル101に装着された状態で、その上下方向を規定する。
【0048】
フック91と端子は、バッテリ9の上面に設けられている。フック91は、バッテリ9の長手方向(図1の紙面直交方向、図2の左右方向)における一端部に、常時には上面から上方へ突出するようにバネ(図示せず)で付勢され、バッテリ9の側面に設けられたボタン95の押圧操作で上面から下方へ引っ込むように構成されている。端子は、フック91に隣接してバッテリ9の上面に設けられている。一対のガイド溝93は、バッテリ9の長手方向に沿って配置された一対の側面の上端部に、長手方向に直線状に延在する溝として形成されている。
【0049】
このような構成のバッテリ9に対応して、前側装着部61および後側装着部66の各々は、その下側にバッテリ9の一部が露出した状態で、バッテリ9の上端部が装着されるように構成されている。具体的には、前側装着部61および後側装着部66の各々は、フック係合部601と、一対のガイドレール603と、バッテリ接続端子605とを有する。
【0050】
フック係合部601は、上方へ凹んだ凹部であって、バッテリ9のフック91が係合可能に構成されている。一対のガイドレール603は、左右方向に直線状に延在し、バッテリ9の一対のガイド溝93にスライド係合可能に構成されている。バッテリ接続端子605は、フック91がフック係合部601に係合することでバッテリ9が前側装着部61または後側装着部66に装着されるのに伴い、バッテリ9の端子と電気的に接続するように構成されている。
【0051】
なお、本実施形態では、前側装着部61および後側装着部66は、フック91が左側に配置され、ガイド溝93にガイドレール603が係合した状態で、ハンマドリル101の左方から右方へ向けてスライド係合されるように構成されている。このため、フック係合部601は前側装着部61および後側装着部66において左端部に配置され、バッテリ接続端子605はバッテリ9の端子に対して右方から接続するように構成されている。なお、2つのバッテリ9がバッテリ装着部6に装着されると、2つのバッテリ9の下面は、面一となる。図2に示すように、バッテリ9の長手方向(左右方向)の長さは、ハウジング10(下側部分136)の左右方向の長さよりも長い。よって、バッテリ装着部6に装着された状態において、バッテリ9の左右端部は、下側部分136から左右方向に突出している。
【0052】
更に、図1に示すように、下側部分136の外表部には、バッテリ9がバッテリ装着部6に装着された場合に、バッテリ9の露出部分のうち、下端部の少なくとも1つの隅部領域90を外力から保護するように構成されたバッテリ保護部7が設けられている。以下、バッテリ保護部7の詳細構成について説明する。
【0053】
本実施形態では、バッテリ保護部7は、前後方向において、バッテリ装着部6に対して両側に設けられた前側保護部71と後側保護部76とを含む。前側保護部71および後側保護部76は、夫々、ハウジング10(下側部分136)の一部として形成されている。より詳細には、前側保護部71および後側保護部76は、夫々、下側部分136のうち、バッテリ装着部6を挟んでバッテリ装着部6よりも下方に突出する部分として形成されている。図1および図2に示すように、上下方向に関しては、前側保護部71および後側保護部76は、夫々、その下面が、バッテリ装着部6に装着されたバッテリ9の下面と概ね面一となるように構成されている。また、図2に示すように、左右方向に関しては、前側保護部71および後側保護部76は何れも、モータ収容部111および上側部分133と概ね同じ長さを有する。
【0054】
本実施形態では、バッテリ9の上端部はバッテリ装着部6に装着され、下端部はバッテリ装着部6の下方に露出する。バッテリ9は略直方体形状に形成されているため、下端部の隅部領域90は4つ(前側の左右に2つと、後側の左右に2つ)存在する。バッテリ装着部6には2つのバッテリ9が前後方向に並んで装着されるため、全体として、隅部領域90は8つ存在する。
【0055】
これら8つの隅部領域90のうち、前側装着部61に装着されたバッテリ9(以下、単に前側のバッテリ9という)の後側下端部の2つの隅部領域90と、後側装着部66に装着されたバッテリ9(以下、単に後側のバッテリ9という)の前側下端部の2つの隅部領域90は、前後に並んだ2つのバッテリ9の間にあるため、外力を受けにくくなる。これらに比べて、前側のバッテリ9の前側下端部の2つの隅部領域90と、後側のバッテリ9の後側下端部の2つの隅部領域90は、周囲に外力に干渉する部分が少ないため、外力にさらされやすい状態にある。そこで、前側保護部71および後側保護部76は、これらの外力にさらされやすい隅部領域90を保護するように設けられている。
【0056】
具体的には、前側保護部71は、前側のバッテリ9の前側下端部の2つの隅部領域90を外力から保護するように構成されている。一方、後側保護部76は、後側のバッテリ9の後側下端部の2つの隅部領域90を外力から保護するように構成されている。より詳細には、前側保護部71は、主に前側保護部71よりも前方から(斜め方向を含む)前側下端部の2つの隅部領域90に向かう外力に干渉することで、これらの隅部領域90を保護する。後側保護部76は、主に後側保護部76よりも後方から(斜め方向を含む)後側下端部の2つの隅部領域90に向かう外力に干渉することで、これらの隅部領域90を保護する。
【0057】
なお、2つのバッテリ9は前後方向に並んだ状態で装着されるため、2つのバッテリ9を全体として略直方体形状の1つのバッテリグループ900としてとらえると、バッテリグループ900の隅部領域90は、4つ(前側装着部61に装着されたバッテリ9の前側下端部の2つの隅部領域90と、後側装着部66に装着されたバッテリ9の後側下端部の2つの隅部領域90)存在するともいえる。よって、前側保護部71は、バッテリ装着部6に装着されたバッテリグループ900の前側下端部の2つの隅部領域90を外力から保護するように構成され、後側保護部76は、バッテリグループ900の後側下端部の2つの隅部領域90を外力から保護するように構成されていると言い換えることもできる。つまり、バッテリ保護部7は、バッテリグループ900の下端部の全ての隅部領域90を外力から保護するように構成されているともいえる。
【0058】
更に、後側保護部76は、特に落下時の衝撃から効果的に隅部領域90を保護するように構成されている。具体的には、2つのバッテリ9がバッテリ装着部6に装着されたときのハンマドリル101(図示しない補助ハンドルを含む)の重心Gと、後側のバッテリ9の後側下端部(バッテリグループ900の後側下端部)の隅部領域90とを結ぶ仮想直線を規定し、更に、仮想直線に直交し、且つ、その隅部領域90を通る仮想平面を規定した場合、後側保護部76は、この仮想平面よりも、重心Gから離れる方向に突出するように形成されている。
【0059】
一般的に、バッテリ9が装着され、重心Gが隅部領域90に乗った状態で(言い換えると、重心Gが隅部領域90の真上に位置する姿勢で、または、隅部領域90にハンマドリル101の全重量が作用する状態で))ハンマドリル101が落下し、隅部領域90が地面や床に衝突すると、隅部領域90に加わる衝撃が大きくなり、バッテリ9の損傷の可能性が高まる。これに対し、後側保護部76を上記の仮想平面よりも突出するように形成することで、後側下端部の2つの隅部領域90の何れかに重心Gが乗った状態でハンマドリル101が落下した場合でも、後側保護部76が先に地面や床に接触するため、隅部領域90を効果的に保護することができる。
【0060】
なお、前側保護部71については、重心Gと、前側のバッテリ9の前側下端部(バッテリグループ900の前側下端部)の隅部領域90とを結ぶ仮想直線に直交し、且つ、その隅部領域90を通る仮想平面から突出はしていない。しかしながら、前側のバッテリ9の下面が仮想平面よりも突出しているため、前側下端部の隅部領域90に重心Gが乗った状態でハンマドリル101が落下した場合、先にバッテリ9の下面が先に地面や床に接触するため、より損傷しやすい隅部領域90を保護することができる。
【0061】
以上に説明したように、本実施形態では、ハンマドリル101のハウジング10には、モータ2の回転軸A2の延在方向(上下方向)において、モータ2を挟んで作業軸A1とは反対側にバッテリ装着部6が設けられている。バッテリ装着部6は、2つのバッテリ9を前後方向に並んだ状態で着脱可能に構成されている。更に、ハウジング10の外表部には、前後方向において、バッテリ装着部6に対して夫々両側に配置された前側保護部71と後側保護部76とを含むバッテリ保護部7が設けられている。
【0062】
バッテリ装着部6にバッテリ9の上端部が装着された場合、外部に露出した下端部の隅部領域90は、他の領域に比べ、外力が加わった場合に損傷を受けやすい箇所である。特に、本実施形態のように、2つのバッテリ9が前後方向に並んだ状態で装着される場合、前側のバッテリ9の前側下端部の2つの隅部領域90と、後側のバッテリ9の後側下端部の2つの隅部領域90が外力にさらされやすく、損傷を受けやすい。これに対し、前側保護部71と後側保護部76とを設けることで、これらの隅部領域90を外力から保護し、バッテリ9が損傷する可能性を低減することができる。また、上述の仮想平面との関係を満たす後側保護部76によって、落下時の衝撃から後側のバッテリ9の後側下端部の2つの隅部領域90を効果的に保護することができる。
【0063】
また、本実施形態では、バッテリ保護部7(前側保護部71および後側保護部76)は、ハウジング10の一部によって形成されている。よって、部品点数を増加させることなく、バッテリ保護部7を簡便に形成することができる。更に、バッテリ保護部7(前側保護部71および後側保護部76)は、その下面が、バッテリ装着部6(前側装着部61および後側装着部66)に装着されたときのバッテリ9の下面と略面一となるように構成されている。よって、バッテリ保護部7の下面とバッテリ9の下面を載置面として、ハンマドリル101を地面や床面に安定した姿勢で載置することができる。
【0064】
なお、本実施形態では、ハンマドリル101は、本発明の「電動工具」に対応する構成例である。モータ2は、「モータ」に対応する構成例である。ハウジング10は、「ハウジング」に対応する構成例である。バッテリ装着部6は、「バッテリ装着部」に対応する構成例である。バッテリ9および隅部領域90は、夫々、「バッテリ」および「隅部領域」に対応する構成例である。バッテリ保護部7は、本発明の「バッテリ保護部」に対応する構成例であり、前側保護部71、後側保護部76は、夫々、「前側保護部」、「後側保護部」に対応する構成例である。
【0065】
<第2実施形態>
以下、図3および図4を参照して、第2実施形態に係るハンマドリル102について説明する。本実施形態のハンマドリル102は、下側部分137とバッテリ保護部70の構成が第1実施形態とは異なる以外、第1実施形態のハンマドリル101と概ね同一の構成を有する。よって、同一の構成については、図示および説明を省略し、主に異なる構成について図を参照して説明する。なお、この点については、第3実施形態以降の実施形態でも同様である。
【0066】
図3および図4に示すように、本実施形態のバッテリ保護部70は、第1実施形態と同様、前側保護部72と後側保護部77とを含む。一方、バッテリ保護部70は、第1実施形態とは異なり、下側部分137を含むハウジング10とは別の部材として形成され、下側部分137に取り付けられている。下側部分137は、バッテリ装着部6の前側と後側において、下方に突出している。そして、これらの突出部分を覆うように、前側保護部72と後側保護部77とが取り付けられている。本実施形態では、前側保護部72および後側保護部77は、ハウジング10とは異なる材料で形成されている。より詳細には、本実施形態では、ハウジング10は、軽量化と剛性とを考慮してポリアミド樹脂で形成される一方、バッテリ保護部70は、衝撃吸収性を考慮してゴムで成形されている。なお、バッテリ保護部70は、ハウジング10と一体成形されることで、ハウジング10に取り付けられている。
【0067】
下側部分137とバッテリ保護部70とを合わせた外形は、第1実施形態のバッテリ保護部7を含む下側部分136の外形と概ね同じである。よって、第1実施形態と同様、前側保護部72および後側保護部77は、その下面が、バッテリ装着部6に装着されたバッテリ9の下面と略面一になるように構成されている。また、後側保護部77は、重心G(図1参照)と、後側のバッテリ9の後側下端部の隅部領域90とを結ぶ仮想直線に直交し、且つ、その隅部領域90を通る仮想平面よりも、重心Gから離れる方向に突出するように形成されている。
【0068】
以上のように構成された本実施形態のバッテリ保護部70によれば、前側保護部72と後側保護部77は、夫々、前側のバッテリ9の前側下端部の2つの隅部領域90と、後側のバッテリ9の後側下端部の2つの隅部領域90を外力から保護し、バッテリ9が損傷する可能性を低減することができる。また、後側のバッテリ9の後側下端部の2つの隅部領域90の何れかに重心Gが乗った状態でハンマドリル102が落下した時の衝撃から、隅部領域90を効果的に保護することができる。
【0069】
また、本実施形態では、バッテリ保護部70は、ハウジング10とは異なる材料による別の部材として、ハウジング10に一体成形によって取り付けられている。このように、バッテリ保護部70を別の部材として形成することで、ハウジング10をシンプルな形状に保ちつつ、バッテリ保護部70を適切に設けることができる。また、ハウジング10とバッテリ保護部70とを、夫々に適切な材料で形成することができる。なお、本実施形態のように、バッテリ保護部70がハウジング10とは別部材とされる場合には、バッテリ保護部70は、ハウジング10よりも弾性係数が小さい材料で形成されることが好ましい。また、この場合、ゴムに限らず、弾性を有する材料で形成されることが好ましい。
【0070】
なお、本実施形態では、バッテリ保護部70は、本発明の「バッテリ保護部」に対応する構成例であり、前側保護部72、後側保護部77は、夫々、「前側保護部」、「後側保護部」に対応する構成例である。
【0071】
<第3実施形態>
以下、図5を参照して、第3実施形態に係るハンマドリル103について説明する。本実施形態のハンマドリル103も、下側部分138とバッテリ保護部700の構成が異なる以外、第1実施形態のハンマドリル101(図1参照)と概ね同一の構成を有する。
【0072】
図5に示すように、本実施形態では、ハウジング10の下側部分138のうち前端部は、バッテリ装着部6よりも下方に突出するように形成されており、その下面の後側部分は、前側部分に対して僅かに上方に凹む段差部731とされている。一方、下側部分138のうち後端部の下面は、バッテリ装着部6のガイドレール603と概ね同じ位置にある。
【0073】
バッテリ装着部6の下方には、カバー部材79が固定されている。カバー部材79は、概ね矩形状の金属製の板金が側面視で概ねL字状をなすように屈曲されることで形成されている。カバー部材79は、モータ2の回転軸A2に概ね直交する方向に伸展する下面部791と、下面部791の後端から下面部791に概ね直交する方向に屈曲して伸展する側面部792と、側面部792の後端から側面部792に概ね直交する方向に屈曲して伸展する上面部793とを含む。下面部791の前端部は、前側保護部73の段差部731に下側からネジで固定されている。また、上面部は、下側部分138の後端部に下側からネジで固定されている。これにより、バッテリ装着部6とカバー部材79の間には、側面視矩形状であって、左右方向に貫通するバッテリ収容空間が形成されている。
【0074】
バッテリ9は、ガイド溝93がハンマドリル103の左方から右方へ向けてガイドレール603にスライド係合されることでバッテリ装着部6に対して装着され、バッテリ収容空間内に配置される。このとき、下面部791は、バッテリ9の下面に対向し、側面部792は、後側装着部66に装着されたバッテリ9の後端面に対向するように配置される。なお、バッテリ収容空間は左側が開放されているため、カバー部材79が固定された状態であっても、バッテリ装着部6に対してバッテリ9を着脱することが可能である。
【0075】
本実施形態のバッテリ保護部700は、前後方向において、バッテリ装着部6に対して両側に配置された前側保護部73と後側保護部78とを含む。前側保護部73および後側保護部78として、第1実施形態の前側保護部71と、第2実施形態の後側保護部77の組み合わせに対応する構成が採用されている。
【0076】
具体的には、バッテリ保護部700の前側保護部73は、下側部分138の一部として形成される一方、後側保護部78は、ハウジング10とは別部材としてゴムで形成され、下側部分138に取り付けられている。前側保護部73は、下側部分138のうち、上述のようにバッテリ装着部6よりも下方に突出するように形成された前端部によって構成されている。後側保護部78は、カバー部材79が下側部分138に固定された後、カバー部材79の後側、且つ、下側部分138の後端部の下側に接着されている。前側保護部73および後側保護部78は、夫々の下面がカバー部材79の下面部791と面一となるように構成されている。左右方向については、第1、第2実施形態と同様、バッテリ装着部6に装着された状態において、バッテリ9の左右端部は、バッテリ保護部700から左右方向に突出する(図2参照)。
【0077】
また、後側保護部78は、第1、第2実施形態と同様、重心G(図1参照)と、後側のバッテリ9の後側下端部の隅部領域90とを結ぶ仮想直線に直交し、且つ、その隅部領域90を通る仮想平面よりも、重心Gから離れる方向に突出するように形成されている。
【0078】
以上のように構成された本実施形態のバッテリ保護部700によれば、前側保護部73と後側保護部78は、夫々、前側のバッテリ9の前側下端部の2つの隅部領域90と、後側のバッテリ9の後側下端部の2つの隅部領域90を外力から保護し、バッテリ9が損傷する可能性を低減することができる。また、特に、ゴム製の後側保護部78によって、後側のバッテリ9の後側下端部の2つの隅部領域90の何れかに重心Gが乗った状態でハンマドリル103が落下した時の衝撃から、隅部領域90を効果的に保護することができる。
【0079】
更に、バッテリ保護部700の下面と、カバー部材79(下面部791)の下面とが面一となるため、バッテリ9の装着の有無にかかわらず、バッテリ保護部700の下面とカバー部材79の下面を載置面として、ハンマドリル103を地面や床面に安定した姿勢で載置することができる。また、カバー部材79は、主にバッテリ9の下方(斜め方向を含む)からバッテリ9に向かう外力に対して干渉することで、バッテリ9を保護することができる。
【0080】
なお、本実施形態では、バッテリ保護部700は、本発明の「バッテリ保護部」に対応する構成例であり、前側保護部73、後側保護部78は、夫々、「前側保護部」、「後側保護部」に対応する構成例である。
【0081】
<第4実施形態>
以下、図6および図7を参照して、第4実施形態に係るハンマドリル104について説明する。本実施形態のハンマドリル104は、下側部分139とバッテリ保護部8の構成が異なる以外、第1実施形態のハンマドリル101(図1参照)と概ね同一の構成を有する。
【0082】
図6に示すように、本実施形態のハンマドリル104は、ハウジング10と、ハウジング10に収容されたモータ2と、2つのバッテリ9が着脱可能に構成されたバッテリ装着部60と、ハウジング10の外表部に設けられたバッテリ保護部8とを備えている。ハウジング10は、モータ2および駆動機構3を収容する第1ハウジング部11と、第1ハウジング部11に対して弾性連結された第2ハウジング部13とを含む。
【0083】
第2ハウジング部13の下側部分139は、モータ2の下側に配置され、その下端部にバッテリ装着部60を有する。本実施形態のバッテリ装着部60は、下側部分139の下端部の前側部分に設けられた前側装着部62と、後側部分に設けられた後側装着部67とを含む。
【0084】
図6および図7に示すように、前側装着部62および後側装着部67は、同一構成を有し、第1実施形態と同様、フック係合部601と、一対のガイドレール603と、バッテリ接続端子605とを含む。一方、バッテリ第1実施形態とは異なり、前側装着部62は、バッテリ9が前側から装着されるように構成され、後側装着部67は、バッテリ9が後側から装着されるように構成されている。具体的には、前側装着部62および後側装着部67のガイドレール603は、夫々、前後方向に延在する。また、前側装着部62では、フック係合部601は前端部に配置され、バッテリ接続端子605はバッテリ9の端子に対して後方から接続するように構成されている。後側装着部67では、フック係合部601は後端部に配置され、バッテリ接続端子605はバッテリ9の端子に対して前方から接続するように構成されている。
【0085】
本実施形態のバッテリ保護部8は、下側部分139の前端部に設けられた一対の前側保護部81と、後端部に設けられた一対の後側保護部86とを含む。一対の前側保護部81および一対の後側保護部86は、夫々、下側部分139の一部として形成されている。具体的には、一対の前側保護部81は、薄板状に形成され、前側装着部62の前部領域を挟んで左右方向に互いに対向し、且つ、前側装着部62よりも下方に突出するように配置されている。なお、一対の前側保護部81および一対の後側保護部86の夫々の対向面には、補強リブ801が設けられている。また、一対の後側保護部86は、薄板状に形成され、後側装着部67の後部領域を挟んで左右方向に互いに対向し、且つ、前側装着部62よりも下方に突出するように配置されている。バッテリ装着部60にバッテリ9が装着されると、一対の前側保護部81および一対の後側保護部86は、夫々、前側のバッテリ9の前端部および後側のバッテリ9の後端部の左右両側に配置される。
【0086】
本実施形態では、一対の前側保護部81および一対の後側保護部86は、バッテリ装着部60にバッテリ9が装着された場合にバッテリ9の下面よりも下方に僅かに突出し、且つ、夫々の下面が概ね面一となるように形成されている。
【0087】
更に、本実施形態では、左右一対の前側保護部81は、夫々、バッテリ9がバッテリ装着部60に装着されたときのハンマドリル104(補助ハンドルを含む)の重心Gと、前側のバッテリ9の前側下端部(バッテリグループ901の前側下端部)の左右の隅部領域90の夫々とを結ぶ仮想直線に直交し、且つ、その隅部領域90を通る仮想平面よりも、重心Gから離れる方向に突出するように形成されている。同様に、左右一対の後側保護部86は、夫々、重心Gと後側のバッテリ9の後側下端部(バッテリグループ901の後側下端部)の左右の隅部領域90の夫々とを結ぶ仮想直線に直交し、且つ、その隅部領域90を通る仮想平面よりも、重心Gから離れる方向に突出するように形成されている。
【0088】
以上のように構成された本実施形態のバッテリ保護部8によれば、一対の前側保護部81は、主に一対の前側保護部81よりも左方または右方(斜め方向を含む)から前側下端部の2つの隅部領域90に向かう外力に干渉することで、これらの隅部領域90を保護することができる。また、一対の後側保護部86は、主に一対の後側保護部86よりも左方または右方(斜め方向を含む)から後側下端部の2つの隅部領域90に向かう外力に干渉することで、これらの隅部領域90を保護することができる。つまり、バッテリ9が損傷する可能性を低減することができる。また、一対の前側保護部81および一対の後側保護部86によって、バッテリグループ901の下端部の4つの隅部領域90の何れかに重心Gが乗った状態でハンマドリルが落下した時の衝撃から、隅部領域90を効果的に保護することができる。
【0089】
また、バッテリグループ901を囲むように4か所に配置される一対の前側保護部81および一対の後側保護部86の下面を載置面として、ハンマドリル104を地面や床面に安定した姿勢で載置することができる。
【0090】
なお、本実施形態では、バッテリ保護部8は、本発明の「バッテリ保護部」に対応する構成例であり、一対の前側保護部81、一対の後側保護部86は、夫々、「一対の前側保護部」、「一対の後側保護部」に対応する構成例である。
【0091】
<第5実施形態>
以下、図8を参照して、第5実施形態に係るハンマドリル105について説明する。本実施形態のハンマドリル105は、第1実施形態のハンマドリル101(図1参照)のバッテリ保護部7内に、無線連動ユニット711が設けられた変形例に相当する。
【0092】
図8に示すように、本実施形態のバッテリ保護部7は、第1実施形態と同じく、前側保護部71と後側保護部76とを含む。つまり、前側保護部71および後側保護部76は、夫々、ハウジング10(下側部分136)の一部として形成され、バッテリ装着部6の前側と後側でバッテリ装着部6よりも下方に延在している。このような構成により、前側保護部71と後側保護部76には、空きスペースとしての内部空間が形成されている。そこで、本実施形態では、前側保護部71の内部空間に、無線連動ユニット711が収容されている。
【0093】
無線連動ユニット711は、バッテリ9の隅部領域90の保護とは異なる機能を発揮する付加機構であって、外部機器と無線通信が可能に構成されている。本実施形態では、無線連動ユニット711は、コントローラ5からの制御信号に従って、ハンマドリル105とは別個の定置式の集塵機に対し、アンテナ(図示略)を介して、所定の周波数帯の電波を使って所定の連動信号を無線送信するように構成されている。なお、このようなシステム自体は公知であるため、簡単に説明すると、コントローラ5は、トリガ14(図1参照)が押圧操作され、スイッチ145(図1参照)がオン状態とされている間、無線連動ユニット711に連動信号を送信させる。集塵機のコントローラは、無線連動ユニット711から送信された連動信号を受信している間、集塵機のモータを駆動するように構成されている。つまり、ハンマドリル105の使用者は、トリガ14の押圧操作をするだけで、集塵機をハンマドリル105に連動して動作させることができる。
【0094】
以上のように構成された本実施形態のハンマドリル105によれば、バッテリ9の隅部領域90を外力から保護し、損傷の可能性を低減することができることに加え、バッテリ保護部7の内部空間を有効活用して、集塵機との連動機能を実現することができる。本実施形態では、無線連動ユニット711は、本発明の「付加機構」に対応する構成例である。なお、無線連動ユニット711は、前側保護部71ではなく、後側保護部76の内部空間に収容されていてもよい。また、無線連動ユニット711は、集塵機に対して連動信号を送信するもの限られず、その他の外部機器(例えば、携帯端末)と無線通信を行うように構成されていてもよい。
【0095】
<第6実施形態>
以下、図9を参照して、第6実施形態に係るハンマドリル106について説明する。本実施形態のハンマドリル106は、第1実施形態のハンマドリル101(図1参照)のバッテリ保護部7内に、USB端子712が設けられた変形例に相当する。
【0096】
図9に示すように、本実施形態でも、前側保護部71および後側保護部76は、夫々、ハウジング10(下側部分136)の一部として形成され、バッテリ装着部6の前側と後側でバッテリ装着部6よりも下方に延在している。そして、本実施形態では、前側保護部71の内部空間に、2つのUSB端子712が配置されている。USB端子712は、バッテリ9の隅部領域90の保護とは異なる機能を発揮する付加機構であって、外部のUSB機器(例えば、携帯端末)に電気的に接続可能に構成されている。これにより、例えば、バッテリ装着部6に装着されたバッテリ9を利用して、USB端子712を介して接続されたUSB機器を充電することが可能となる。
【0097】
以上のように構成された本実施形態のハンマドリル106によれば、バッテリ9の隅部領域90を外力から保護し、損傷の可能性を低減することができることに加え、バッテリ保護部7の内部空間を有効活用して、バッテリ9からUSB機器への電力供給機能を実現することができる。なお、USB端子712は、前側保護部71ではなく、後側保護部76の内部空間に収容されていてもよいし、その数は、1つでも、3つ以上であってもよい。また、USB端子712に代えて、他の通信規格に基づく外部機器の接続端子が設けられていてもよい。本実施形態では、USB端子712は、本発明の「付加機構」に対応する構成例である。
【0098】
<第7実施形態>
以下、図10を参照して、第7実施形態に係るハンマドリル107について説明する。本実施形態のハンマドリル107は、第1実施形態のハンマドリル101(図1参照)のバッテリ保護部7内に、距離センサ713が設けられた変形例に相当する。
【0099】
図10に示すように、本実施形態でも、前側保護部71および後側保護部76は、夫々、ハウジング10(下側部分136)の一部として形成され、バッテリ装着部6の前側と後側でバッテリ装着部6よりも下方に延在している。そして、本実施形態では、前側保護部71の内部空間に、距離センサ713が配置されている。距離センサ713は、バッテリ9の隅部領域90の保護とは異なる機能を発揮する付加機構であって、所定の検出範囲内にある物体との間の距離を測定可能に構成されている。本実施形態では、赤外線方式の距離センサ713が採用されており、前側保護部71の前壁部に設けられた貫通孔から赤外発光ダイオードの光を投光し、物体により反射された光が受光素子上で入射した位置に応じて距離を測定するように構成されている。
【0100】
ハンマドリル107がドリル動作によって加工対象物19に対して穿孔作業を行う場合、作業開始時の加工対象物19までの測定距離と、作業中の測定距離との差は、形成された孔の深さに概ね対応する。よって、例えば、コントローラ5は、算出された孔の深さが、使用者が予め設定した深さに達した場合、モータ2(図1参照)の駆動を停止したり、LEDランプ(図示せず)やブザー等により、報知を行ったりすることができる。
【0101】
以上のように構成された本実施形態のハンマドリル107によれば、バッテリ9の隅部領域90を外力から保護し、損傷の可能性を低減することができることに加え、バッテリ保護部7の内部空間を有効活用して、穿孔作業で形成された孔の深さの測定機能を実現することができる。なお、距離センサ713の距離測定方式は、上記の例に限られず、超音波方式等、他のいかなる方式が採用されてもよい。本実施形態では、距離センサ713は、本発明の「付加機構」に対応する構成例である。
【0102】
<第8実施形態>
以下、図11を参照して、第8実施形態に係るハンマドリル108について説明する。本実施形態のハンマドリル108は、第1実施形態のハンマドリル101(図1参照)のバッテリ保護部7が補強部材803、805によって補強された変形例に相当する。
【0103】
図11に示すように、本実施形態でも、前側保護部71および後側保護部76は、夫々、ハウジング10(下側部分136)の一部として形成され、バッテリ装着部6の前側と後側でバッテリ装着部6よりも下方に延在している。そして、本実施形態では、前側保護部71および後側保護部76の内部には、夫々、金属製の補強部材803、805が設けられている。より詳細には、補強部材803は、前側保護部71を構成する下側部分136の壁部のうち、前壁部(下側部分136の前壁部)、底壁部、後壁部(前側装着部61の前端部から下方に延在する壁部)の内面に沿って配置されている。同様に、補強部材805は、後側保護部76を構成する下側部分136の壁部のうち、前壁部(後側装着部66の後端部から下方に延在する壁部)、底壁部、後壁部(下側部分136の後壁部)の内面に沿って配置されている。なお、補強部材803、805は、いかなる方法で前側保護部71および後側保護部76に固定されてもよいが、本実施形態では、補強部材803、805は、何れも、下側部分136と一体成形されることで、前側保護部71と後側保護部76に固定されている。
【0104】
以上のように構成された本実施形態のハンマドリル108によれば、前側保護部71と後側保護部76が補強部材803、805によって夫々補強されているため、前側保護部71と後側保護部76が外力を受けた場合に、前側保護部71と後側保護部76が損傷する可能性を低減することができる。これにより、バッテリ9が損傷する可能性をより確実に低減することができる。本実施形態では、補強部材803、805の各々が、本発明の「補強部材」に対応する構成例である。
【0105】
なお、補強部材803、805は、夫々、その少なくとも一部が前側保護部71と後側保護部76に配置されていればよい。例えば、補強部材803、805は、その少なくとも一部が前側保護部71と後側保護部76の外面に固定されていてもよい。なお、バッテリ装着部6から下方に突出する前側保護部71と後側保護部76が根元で折れる可能性を低減するという観点から、図11に示すように、補強部材803、805は、少なくとも一部がバッテリ装着部6よりも上方に延在していると好ましい。
【0106】
<第9実施形態>
以下、図12および図13を参照して、第9実施形態に係るハンマドリル109について説明する。本実施形態のハンマドリル109は、バッテリ保護部80の構成が異なる以外、第1実施形態のハンマドリル101(図1参照)と概ね同一の構成を有する。上記実施形態では、バッテリ装着部6に着脱可能なバッテリとして、容量が18ボルトのバッテリ9のみを例示したが、バッテリ装着部6に着脱可能なバッテリは、バッテリ9のみならず、容量やサイズが異なる複数種類が存在する。そこで、本実施形態では、バッテリ保護部80は、複数種類のバッテリに対応可能に構成されている。
【0107】
図12に示すように、本実施形態のバッテリ保護部80は、前側保護部83と後側保護部88とを含む。前側保護部83は、ベース部831と、ベース部831に着脱可能に構成された付加部836とを含む。同様に、後側保護部88は、ベース部881と、ベース部881に着脱可能に構成された付加部886とを含む。
【0108】
ベース部831、881は、夫々、第1実施形態の前側保護部71と後側保護部76に対応しており、ハウジング10(下側部分136)の一部として形成され、バッテリ装着部6の前側と後側でバッテリ装着部6よりも下方に延在している。つまり、ベース部831、881は、バッテリ9がバッテリ装着部6に装着された場合、ベース部831、881の下面とバッテリ9の下面とが概ね面一となるように構成されている。また、ベース部831、881の下端部には、夫々、ネジ穴832、882が形成されている。
【0109】
付加部836、886は、夫々、その上面がベース部831、881の下面に当接した状態で、ネジ839、889でベース部831、881に固定可能に構成されている。具体的には、付加部836、886には、夫々、上下方向に貫通する段付き穴837、887が形成されている。段付き穴837、887に下側からネジ839、889が挿通され、ベース部831、881のネジ穴832、882に螺合されることで、付加部836、886がベース部831、881に固定される。なお、付加部836、886は、ベース部831、881(つまり、ハウジング10)と同じ材料で形成されていてもよいし、第2実施形態のように、異なる材料で形成されていてもよい。付加部836、886は、バッテリ903がバッテリ装着部6に装着された場合、ベース部831、881に固定された付加部836、886の下面とバッテリ903の下面とが概ね面一となるように構成されている。バッテリ903は、バッテリ9よりも上下方向の高さが大きい大容量のバッテリである。バッテリ903の前後方向の幅および左右方向の長さはバッテリ9と同一である。
【0110】
使用者は、バッテリ9を電源として用いる場合には、付加部836、886がベース部831、881に固定された状態でハンマドリル109を使用してもよいし、ネジ839、889を外して付加部836、886をベース部831、881から取り外した状態で使用してもよい。どちらの場合も、バッテリ保護部80によって、バッテリ9の隅部領域90を外力から保護し、バッテリ9が損傷する可能性を低減することができる。また、付加部836、886をベース部831、881から取り外した状態で使用することで、ベース部831、881の下面とバッテリ9の下面を載置面として、ハンマドリル109を地面や床面に安定した姿勢で載置することができる。
【0111】
一方、使用者は、バッテリ903を電源として用いる場合には、付加部836、886をベース部831、881に固定してバッテリ保護部80の高さを大きくすればよい。これにより、バッテリ保護部80によって、バッテリ903の隅部領域90を外力から保護し、バッテリ903が損傷する可能性を低減することができる。また、付加部836、886の下面とバッテリ903の下面を載置面として、ハンマドリル109を地面や床面に安定した姿勢で載置することができる。
【0112】
なお、バッテリ9およびバッテリ903は、バッテリ装着部6に着脱可能なバッテリのうち、前後方向(図12の左右方向)の幅が最大である。よって、バッテリ保護部80では、前側保護部83と後側保護部88の前後方向の間隔は、バッテリ9、903に合わせて設定されている。なお、この点については、上記実施形態のバッテリ保護部7(図1参照)、70(図3参照)、700(図5参照)でも同様である。図13に示すように、バッテリ9、903よりも前後方向の幅が小さい小容量のバッテリ904がバッテリ装着部6に装着された場合も、バッテリ保護部80は、バッテリ903の隅部領域90を外力から保護し、バッテリ904が損傷する可能性を低減することができる。なお、バッテリ904の上下方向の高さおよび左右方向の長さは、バッテリ9と同一であるため、ベース部831、881の下面とバッテリ904の下面とは概ね面一となる。
【0113】
以上のように構成された本実施形態のハンマドリル109によれば、使用者は、サイズの異なる複数種類のバッテリのうち、バッテリ装着部6に装着されたバッテリのサイズに応じて、バッテリ保護部80の上下方向の高さを適切に調整することができる。これにより、サイズの異なる複数種類のバッテリのうち、どのバッテリが装着された場合でも、バッテリの隅部領域90を保護し、損傷の可能性を低減することができる。本実施形態では、バッテリ保護部80、前側保護部83、後側保護部88が、夫々、本発明の「バッテリ保護部」、「前側保護部」、「後側保護部」に対応する構成例である。なお、付加部836、886は、ベース部831、881に対してネジ839、889以外の方法で着脱可能とされていてもよい。
【0114】
上記実施形態は単なる例示であり、本発明に係る電動工具は、例示されたハンマドリル101〜109の構成に限定されるものではない。例えば、下記に例示される変更を加えることができる。なお、これらの変更は、これらのうちいずれか1つのみ、あるいは複数が、実施形態に示すハンマドリル101〜109、あるいは請求項に記載された発明と組み合わされて採用されうる。
【0115】
上記実施形態で例示されたバッテリ保護部7、70、700、8、80は、ハンマドリル101〜109以外の電動工具に採用されてもよい。電動工具とは、バッテリから供給される電力を使用して動作し、工作等に使用されるツール一般をいう。例えば、バッテリ保護部7、70、700、8、80の何れか1つが、最終出力シャフトを回転駆動するように構成されたいわゆる回転工具(例えば、シャーレンチ)に採用されてもよい。この場合、最終出力シャフトの回転軸が作業軸A1に対応する。
【0116】
バッテリ保護部7,70、700、8、80の構成(形状、数、配置位置等)は、バッテリ保護部7,70、700、8、80がバッテリ9、903、904の少なくとも1つの隅部領域90を外力から保護可能な範囲において、適宜変更可能である。例えば、第1〜第3および第5〜第9実施形態において、バッテリ保護部7、70、700、80の下端位置は、バッテリ装着部6に装着されたバッテリ9、903、904の下面よりも下方に配置されてもよい。バッテリ保護部7、70、700、80の左右方向の幅は、バッテリ9、903、904の左右方向の幅以上とされてもよい。また、第4実施形態において、一対の前側保護部81および一対の後側保護部86は、バッテリ9の下面よりも下方で補強用の棒状部材または板状部材によって接続されていてもよい。
【0117】
また、第1〜第3および第5〜第9実施形態において、前側保護部71、72、73、83を、重心Gと前側のバッテリ9、903、904の前側下端部の隅部領域90とを結ぶ仮想直線に直交し、且つ、隅部領域90を通る仮想平面から突出するように形成してもよい。この場合、重心Gが前側下端部の隅部領域90に乗った状態でハンマドリルが落下したときにも、前側保護部71、72、73、83によって、その衝撃から前側下端部の隅部領域90を効果的に保護することができる。
【0118】
なお、使用される先端工具18の径が比較的大きく、運動変換機構30としてクランク機構を採用するハンマドリル101〜109(補助ハンドルを含む)は、2つのバッテリ9を装着した状態の総重量が6kgを超える大型の電動工具である。なお、上述のように、装着されるバッテリ9は容量18ボルトであるため、バッテリ9自体も比較的重い。また、2つのバッテリ9を装着した状態のハンマドリル101〜109(補助ハンドルを含む)の総重量は、2つのバッテリ9の重量の5倍を超える。このような重量比となる大型の電動工具では、電動工具が落下したときに、重心がバッテリの隅部領域にのった状態で隅部領域が床や机に衝突すると、落下時のバッテリの損傷の可能性がより高くなる。よって、バッテリを含む電動工具の総重量が、バッテリの重量の5倍を超えるような電動工具(特に、バッテリ装着時の総重量が6kg以上の電動工具)においては、バッテリ保護部は、バッテリが装着された場合の電動工具の重心とバッテリの隅部領域とを結ぶ仮想直線に直交し、且つ、隅部領域を通る仮想平面よりも、重心から離れる方向に突出するように形成されていることが特に好ましい。
【0119】
第3実施形態において、下側部分138に取り付けられているカバー部材79は、設けられなくてもよい。反対に、第1、第2、第4〜第9実施形態の下側部分136、137、139に、同様のカバー部材が取り付けられてもよい。
【0120】
第4実施形態において、第2実施形態のように、一対の前側保護部81および後側保護部86の全てを、ハウジング10(下側部分139)とは別部材で形成し、ハウジング10に取り付けてもよい。または、第3実施形態のように、一対の前側保護部81および後側保護部86の一部をハウジング10(下側部分139)の一部として形成するとともに、残りの一部をハウジング10(下側部分139)とは別部材で形成し、ハウジング10に取り付けてもよい。
【0121】
バッテリ装着部6、60に着脱可能なバッテリ9、903、904の数は、2つに限られるものではなく、1つであっても、3つ以上であってもよい。着脱可能なバッテリ9、903、904の数が1つのバッテリ装着部が採用される場合、バッテリ保護部は、バッテリ9、903、904のバッテリ装着部に装着される側の端部(上端部)とは反対側の端部(下端部)の隅部領域90の少なくとも1つを外力から保護するように構成されていればよいが、全てを外力から保護するように構成されることがより好ましい。また、特に、落下時に重心が乗った状態で衝撃を受ける可能性が高い隅部領域90に対応する保護部については、上記実施形態で説明した仮想平面よりも突出するように構成することが好ましい。
【0122】
バッテリ装着部6、60のように、複数のバッテリ9、903、904が所定方向(例えば、作業軸A1の延在方向(前後方向)、作業軸A1と回転軸A2に直交する方向(左右方向))に並んだ状態で着脱可能な場合、複数のバッテリ9、903、904を1つのバッテリグループとみなしてもよい。この場合、バッテリグループのバッテリ装着部に着脱される一端部(上端部)とは反対側の端部(下端部)の少なくとも1つの隅部領域90を外力から保護するように構成されたバッテリ保護部が設けられればよい。
【0123】
バッテリグループの場合、バッテリ保護部は、バッテリグループ全体としての下端部の隅部領域90の全てを外力から保護するように構成されることがより好ましい。言い換えると、バッテリ保護部は、バッテリグループを構成する複数のバッテリ9、903、904のうち、所定方向(バッテリ9、903、904の並列方向)において第1方向側の端に配置されたバッテリ9の第1方向側の下端部の隅部領域90、および、複数のバッテリ9、903、904のうち、所定方向において第1方向とは反対の第2方向側の端に配置されたバッテリ9、903、904の第2方向側の下端部の隅部領域90を外力から保護するように構成されていると好ましい。
【0124】
例えば、略直方体形状の複数のバッテリ9、903、904が前後方向に並んだ状態で着脱される場合には、バッテリグループにおいて、最前方に配置されたバッテリ9、903、904の前側下端部の2つの隅部領域90と、最後方に配置されたバッテリ9の後側下端部の2つの隅部領域90とを保護することが好ましい。この場合、バッテリ保護部は、第1〜第3および第5〜第9実施形態のように、夫々が2つの隅部領域90を保護する2つの部分を含んでもよいし、第4実施形態のように、夫々が1つの隅部領域90を保護する4つの部分を含んでもよい。また、バッテリ保護部は、1つまたは3つの部分で4つの隅部領域を保護するように構成されてもよい。直方体形状とは異なる形状のバッテリが着脱される場合、バッテリ保護部の構成は、そのバッテリの隅部領域の数と位置に応じて適宜、変更されればよい。
【0125】
また、上記実施形態では、相対移動可能に弾性連結された第1ハウジング部11および第2ハウジング部13を含むハウジング10が例示されているが、ハウジング10は必ずしもこのようないわゆる防振ハウジングとして構成される必要はない。防振ハウジング構造が採用される場合であっても、その構成は適宜変更が可能である。例えば、下側部分136、137、138、139は、モータ収容部111と一体的に、第1ハウジング部11の一部として形成され、把持部131および上側部分133を含む第2ハウジング部13が第1ハウジング部11に対して相対移動可能に弾性連結されていてもよい。この場合、バッテリ保護部7、70、700、8、80は、第2ハウジング部13ではなく、第1ハウジング部11に設けられてもよい。なお、上記実施形態のように、防振ハウジングにおいて、振動源(モータ2や駆動機構3)が収容される第1ハウジングに対して弾性連結された第2ハウジングにバッテリ装着部およびバッテリ保護部が設けられた場合には、チャタリング防止や防振効果向上の効果を得ることができる点で好ましい。
【0126】
更に、本発明および上記実施形態の趣旨に鑑み、以下の態様が構築される。以下の態様が、実施形態に示すハンマドリル101〜109、上記変更例、または各請求項に記載された発明と組み合わされて採用されうる。
<態様1>
前記作業軸が水平方向に延在し、前記回転軸が上下方向に延在するように前記電動工具が配置された場合、前記バッテリ装着部は前記モータに対して下側に配置され、
前記バッテリ装着部は、前記少なくとも1つのバッテリを含むバッテリグループの上端部が前記バッテリ装着部に装着され、且つ、前記バッテリグループの下端部が前記ハウジングから露出するように構成されており、
前記バッテリ保護部は、前記バッテリグループの前記下端部の全ての隅部領域を外力から保護するように構成されていてもよい。
<態様2>
前記作業軸が水平方向に延在し、前記回転軸が上下方向に延在するように前記電動工具が配置された場合、前記バッテリ装着部は前記モータに対して下側に配置され、
前記バッテリ装着部は、所定方向に並んだ状態の複数のバッテリの上端部が前記バッテリ装着部に装着され、且つ、前記複数のバッテリの下端部が前記ハウジングから露出するように構成されており、
前記バッテリ保護部は、前記複数のバッテリのうち、前記所定方向において第1方向側の端に配置されたバッテリの前記第1方向側の下端部の隅部領域、および、前記複数のバッテリのうち、前記所定方向において前記第1方向とは反対の第2方向側の端に配置されたバッテリの前記第2方向側の下端部の隅部領域を外力から保護するように構成されていてもよい。
<態様3>
態様2において、
前記所定方向は前記前後方向であって、
前記バッテリ保護部は、前記複数のバッテリのうち、最前方に配置されたバッテリの前側下端部の隅部領域、および、前記複数のバッテリのうち、最後方に配置されたバッテリの後側下端部の隅部領域を外力から保護するように構成されていてもよい。
<態様4>
前記電動工具は、前記バッテリ装着部に前記バッテリが装着された場合の前記バッテリを含む総重量が、前記バッテリの重量の5倍を超える電動工具であって、
前記バッテリ保護部は、前記バッテリが前記バッテリ装着部に装着された場合の前記電動工具の重心と前記隅部領域とを結ぶ仮想直線に直交し、且つ、前記隅部領域を通る仮想平面よりも、前記重心から離れる方向に突出するように形成されていてもよい。
<態様5>
態様4において、
前記電動工具は、先端工具を着脱可能に構成され、且つ、打撃子を介して前記先端工具を前記作業軸に沿って直線状に駆動するように構成された打撃工具であって、前記ハウジングに収容され、前記モータの回転動力を直線運動に変換し、前記打撃子に伝達するように構成されたクランク機構を備えていてもよい。
<態様6>
前記バッテリ保護部は、前記前後方向において、前記バッテリ装着部に対して後側に配置された後側保護部を含み、
前記後側保護部は、前記バッテリが前記バッテリ装着部に装着された場合の前記電動工具の重心と前記隅部領域とを結ぶ仮想直線に直交し、且つ、前記隅部領域を通る仮想平面よりも、前記重心から離れる方向に突出するように形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0127】
101、102、103、104、105、106、107、108、109:ハンマドリル
2:モータ
25:モータシャフト
29:駆動ギア
3:駆動機構
30:運動変換機構
31:クランクシャフト
32:連接ロッド
33:ピストン
34:ツールホルダ
35:シリンダ
36:打撃要素
361:ストライカ
363:インパクトボルト
365:空気室
38:回転伝達機構
4:モード切替ダイヤル
41:第1バネ
42:第2バネ
46:上側摺動部
47:下側摺動部
5:コントローラ
6、60:バッテリ装着部
61、62:前側装着部
66、67:後側装着部
601:フック係合部
603:ガイドレール
605:バッテリ接続端子
7、70、700、8、80:バッテリ保護部
71、72、73、81、83:前側保護部
76、77、78、86、88:後側保護部
831、881:ベース部
832、882:ネジ穴
836、886:付加部
837、887:段付き穴
839、889:ネジ
711:無線連動ユニット
712:USB端子
713:距離センサ
731:段差部
801:補強リブ
803、805:補強部材
79:カバー部材
791:下面部
792:側面部
793:上面部
9、903、904:バッテリ
90:隅部領域
91:フック
93:ガイド溝
95:ボタン
900、901:バッテリグループ
10:ハウジング
11:第1ハウジング部
111:モータ収容部
117:駆動機構収容部
13:第2ハウジング部
131:把持部
133:上側部分
134:バレル部
136、137、138、139:下側部分
14:トリガ
145:スイッチ
18:先端工具
A1:作業軸
A2:回転軸
G:重心
図1
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