特許第6831806号(P6831806)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6831806
(24)【登録日】2021年2月2日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 25/06 20060101AFI20210208BHJP
   H01H 25/04 20060101ALI20210208BHJP
   H01H 13/66 20060101ALN20210208BHJP
【FI】
   H01H25/06 E
   H01H25/04 A
   !H01H13/66
【請求項の数】7
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2018-33930(P2018-33930)
(22)【出願日】2018年2月27日
(65)【公開番号】特開2018-142539(P2018-142539A)
(43)【公開日】2018年9月13日
【審査請求日】2019年6月14日
(31)【優先権主張番号】特願2017-34300(P2017-34300)
(32)【優先日】2017年2月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】定森 秀人
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 郵
(72)【発明者】
【氏名】西本 巧
(72)【発明者】
【氏名】松本 明
(72)【発明者】
【氏名】ファン スンヘ
(72)【発明者】
【氏名】イ スンボ
【審査官】 内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−172390(JP,A)
【文献】 特開2004−087290(JP,A)
【文献】 特開2009−302004(JP,A)
【文献】 実開昭61−112551(JP,U)
【文献】 特開2009−036008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00 − 13/88
H01H 25/04 − 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の周りの回転、及び、前記回転軸に沿った押圧が可能なハンドルを有し、前記ハンドルの回転に応じた第1の信号及び前記ハンドルの押圧に応じた第2の信号を出力する操作部と、
前記操作部が一面に取り付けられる第1の基板と、
前記第1の基板における前記操作部とは反対側にある第2の基板と、
前記回転軸に直交する円柱状の一対の軸部を有し、前記第1の基板を保持する可動部と、
前記第2の基板に固定され前記一対の軸部を前記一対の軸部の周りに回転可能に保持する一対の軸受部と、
前記第1の基板を前記第2の基板に対して第1操作位置と第2操作位置との間で前記一対の軸部の周りに揺動させる入力装置において、
前記第2の基板における前記第1の基板側の面に実装され、前記第1の基板が前記第2操作位置にある場合に第3の信号を出力する検出部と、
前記可動部の長さ方向の一端にあって前記操作部を前記第2操作位置から前記第1操作位置に移動させる向きの弾性力を前記操作部に作用させる復帰部材と、
を有し、
前記可動部は、前記可動部の長さ方向の他端にあって前記第2の基板で支持される支持台を有し、
前記支持台は、前記可動部の外側の面が平坦面、前記可動部の中央側の面が曲面となっている、
入力装置。
【請求項2】
前記一対の軸部は、前記第2の基板への前記ハンドルの投影領域内に位置する、
請求項1の入力装置。
【請求項3】
前記可動部は、矩形の板状であり、厚み方向の第1面及び第2面を有し、
前記第1の基板は、前記可動部の第1面に取り付けられ、
前記支持台は、前記可動部の第2面から突出し、
前記復帰部材は、前記可動部の第2面に固定される、
請求項1又は2の入力装置。
【請求項4】
回転軸の周りの回転、及び、前記回転軸に沿った押圧が可能なハンドルを有し、前記ハンドルの回転に応じた第1の信号及び前記ハンドルの押圧に応じた第2の信号を出力する操作部と、
前記操作部を保持する可動部と、
前記可動部を前記ハンドルの押圧方向に沿って第1操作位置から第2操作位置まで移動可能に保持するボディと、
前記可動部が前記第2操作位置にある場合に第3の信号を出力する検出部と、
を備える、
入力装置。
【請求項5】
前記可動部を前記第2操作位置から前記第1操作位置に移動させる向きの弾性力を前記可動部に作用させる復帰部材を更に備える、
請求項4の入力装置。
【請求項6】
回転軸の周りの回転、及び、前記回転軸に沿った押圧が可能なハンドルを有し、前記ハンドルの回転に応じた第1の信号及び前記ハンドルが第1の押圧力で下方に押圧された際に第2の信号を出力するエンコーダを含み、前記第1の押圧力によって前記ハンドルの押圧方向に沿って第1操作位置から第2操作位置まで移動可能な操作部と、
前記操作部を保持する可動部と、
前記ハンドルが前記第1の押圧力よりも大きな第2の押圧力で前記第2操作位置において押圧されることにより前記可動部を前記第1操作位置へ到達させるように、前記可動部を前記第2操作位置から前記第1操作位置に移動させる向きの弾性力を前記可動部に作用させる復帰部材と、
前記可動部の下方に設けられたボディと、
前記可動部と前記ボディとの間に配置され、前記可動部が前記第2操作位置にある場合に前記ボディで押圧されて第3の信号を出力する検出部と、
を備える、
入力装置。
【請求項7】
前記第1の信号は、前記ハンドルの前記回転軸の周りの回転角を示す信号である、
請求項1〜6のいずれか一つの入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、各種電子機器等の入力に用いる入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以下、従来の入力装置について説明する。従来の入力装置は、操作部と、操作部の下方で操作部と結合した回転操作電子部品と、回転操作電子部品とはんだ付け等により電気的に接続された基板と、を有している。操作部は、第1の回転方向と、第1の回転方向に対して逆方向の第2の回転方向とに回転する。そして、操作部の回転量や回転方向に応じた出力を入力装置は行う。
【0003】
なお、先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-107170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来の入力装置では、第1の回転方向と第2の回転方向とにしか回転できないため、入力形態が少なかった。
【0006】
そこで本開示は、複数の電子機器を制御可能な入力装置の提供を目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の入力装置は、操作部と、第1の基板と、第2の基板と、可動部と、一対の軸受け部と、検出部と、を備える。前記操作部は、回転軸の周りの回転、及び、前記回転軸に沿った押圧が可能なハンドルを有し、前記ハンドルの回転に応じた第1の信号及び前記ハンドルの押圧に応じた第2の信号を出力するように構成される。前記操作部は、前記第1の基板の一面に取り付けられる。前記第2の基板は、前記第1の基板における前記操作部とは反対側にある。前記可動部は、前記回転軸に直交する円柱状の一対の軸部を有し、前記第1の基板を保持する。前記一対の軸受け部は、前記第2の基板に固定され前記一対の軸部を前記一対の軸部の周りに回転可能に保持する。前記入力装置は、前記第1の基板を前記第2の基板に対して第1操作位置と第2操作位置との間で前記一対の軸部の周りに揺動させる。前記入力装置は、検出部と、復帰部材とを有する。前記検出部は、前記第2の基板における前記第1の基板側の面に実装され、前記第1の基板が前記第2操作位置にある場合に第3の信号を出力するように構成される。前記復帰部材は、前記可動部の長さ方向の一端にあって前記操作部を前記第2操作位置から前記第1操作位置に移動させる向きの弾性力を前記操作部に作用させる。前記可動部は、前記可動部の長さ方向の他端にあって前記第2の基板で支持される支持台を有する。前記支持台は、前記可動部の外側の面が平坦面、前記可動部の中央側の面が曲面となっている。
【0008】
本開示の一態様の入力装置は、操作部と、可動部と、ボディと、検出部と、を備える。前記操作部は、回転軸の周りの回転、及び、前記回転軸に沿った押圧が可能なハンドルを有し、前記ハンドルの回転に応じた第1の信号及び前記ハンドルの押圧に応じた第2の信号を出力するように構成される。前記可動部は、前記操作部を保持する。前記ボディは、前記可動部を前記ハンドルの押圧方向に沿って第1操作位置から第2操作位置まで移動可能に保持する。前記検出部は、前記可動部が前記第2操作位置にある場合に第3の信号を出力するように構成される。
【0009】
本開示の一態様の入力装置は、操作部と、可動部と、復帰部材と、ボディと、検出部と、を備える。前記操作部は、回転軸の周りの回転、及び、前記回転軸に沿った押圧が可能なハンドルを有し、前記ハンドルの回転に応じた第1の信号及び前記ハンドルが第1の押圧力で下方に押圧された際に第2の信号を出力するエンコーダを含み、前記第1の押圧力によって前記ハンドルの押圧方向に沿って第1操作位置から第2操作位置まで移動可能なように構成される。前記可動部は、前記操作部を保持する。前記復帰部材は、前記ハンドルが前記第1の押圧力よりも大きな第2の押圧力で前記第2操作位置において押圧されることにより前記可動部を前記第1操作位置へ到達させるように、前記可動部を前記第2操作位置から前記第1操作位置に移動させる向きの弾性力を前記可動部に作用させる。前記ボディは、前記可動部の下方に設けられる。前記検出部は、前記可動部と前記ボディとの間に配置され、前記可動部が前記第2操作位置にある場合に前記ボディで押圧されて第3の信号を出力するように構成される。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本開示によれば、多様な操作を出力できるため、いるので、多用な出力を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施の形態1の入力装置の前方分解斜視図である。
図2図2は、実施の形態1の入力装置の後方分解斜視図である。
図3図3は、実施の形態1の入力装置の斜視図である。
図4図4は、実施の形態1の入力装置の断面図である。
図5図5は、実施の形態1の入力装置の押圧時の断面図である。
図6図6は、実施の形態1の入力装置の押圧時の断面図である。
図7図7は、実施の形態1の入力装置の傾倒時の断面図である。
図8図8は、実施の形態1の入力装置を備える電子機器の模式図である。
図9図9は、実施の形態2の入力装置の前方分解斜視図である。
図10図10は、実施の形態2の入力装置の後方斜視図である。
図11図11は、実施の形態2の入力装置の斜視図である。
図12図12は、実施の形態2の入力装置の断面図である。
図13図13は、実施の形態2の入力装置の押圧時の断面図である。
図14図14は、実施の形態2の入力装置の押圧時の断面図である。
図15図15は、実施の形態2の入力装置の押し込み時の断面図である。
図16図16は、実施の形態2の入力装置を備える電子機器の模式図である。
図17図17は、実施の形態3の入力装置の前方分解斜視図である。
図18図18は、実施の形態3の入力装置の後方分解斜視図である。
図19図19は、実施の形態3の入力装置の斜視図である。
図20図20は、実施の形態3の入力装置の断面図である。
図21図21は、実施の形態3の入力装置の押圧時の断面図である。
図22図22は、実施の形態3の入力装置の押圧時の断面図である。
図23図23は、実施の形態3の入力装置の引いた時の断面図である。
図24図24は、実施の形態3の入力装置を備える電子機器の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.実施の形態
1.1 実施の形態1
1.1.1 入力装置
以下本実施の形態における入力装置100Aについて図1図8を用いて説明する。なお、図4図7の各々では、入力装置100Aの前後方向を上下方向に沿わせた状態を示すが、これは入力装置100Aの使用方法を制限する趣旨ではない。
【0013】
図4に示すように、入力装置100Aは、操作部10Aと、第1の基板34Aと、第2の基板31Aと、傾倒機構70Aと、検出部33Aと、を備える。操作部10Aは、回転軸P10の周りの回転、及び、回転軸P10に沿った押圧が可能なハンドル(回転部)11Aを有し、ハンドル11Aの回転に応じた第1の信号S1A(図8参照)及びハンドル11Aの押圧に応じた第2の信号S2A(図8参照)を出力する。操作部10Aは、第1の基板34Aの一面(図4における上面)に取り付けられる。第2の基板31Aは、第1の基板34Aにおける操作部10Aとは反対側(図4における下側)にある。傾倒機構70Aは、第1の基板34Aに固定され回転軸P10に直交する円柱状の軸部321A、及び第2の基板31Aに固定され軸部321Aを軸部321Aの周りに回転可能に保持する軸受部43Aを含む。傾倒機構70Aは、第1の基板34Aを第2の基板31Aに対して第1操作位置(図4参照)と第2操作位置(図7参照)との間で軸部321Aの周りに揺動させる。検出部33Aは、第2の基板31Aにおける第1の基板34A側の面(図4における上面)に実装され、第1の基板34Aが第2操作位置にある場合に第3の信号S3A(図8参照)を出力するように構成される。
【0014】
入力装置100Aでは、ハンドル11Aを回転させれば、操作部10Aから第1の信号S1Aが出力され、ハンドル11Aを押圧すれば、操作部10Aから第2の信号S2Aが出力される。更に、ハンドル11Aを傾けて第1の基板34Aを第1操作位置から第2操作位置へ移動させることで、検出部33Aから第3の信号S3Aが出力される。このように、入力装置100Aは、ハンドル11Aの回転・押し込み・傾倒の3つの動作を検出し、それぞれに対応した出力信号(第1〜第3の信号S1A〜S3A)を出力している。そのため、ひとつの操作部10Aで多様な入力を実現できる。よって、入力装置100Aは、複数の電子機器を制御可能である。
【0015】
以下、より詳細に入力装置100Aについて説明する。
【0016】
入力装置100Aは、操作部10A(図3参照)と出力部20A(図8参照)とを有している。操作部10A(ハンドル11A)は、回転可能かつ、回転軸P10に沿って移動可能かつ、回転軸P10に直交する軸方向に移動可能に設けられている。
【0017】
出力部20Aは、操作部10Aが回転した場合に、操作部10Aの回転方向に対応する第1の信号S1Aを出力する。また、出力部20Aは、操作部10Aが回転軸P10に沿って移動した場合に、第2の信号S2Aを出力する。また、出力部20Aは、操作部10Aが軸方向に移動した場合に、操作部10Aの軸方向への移動に対応する第3の信号S3Aを出力する。
【0018】
入力装置100Aは、以上のように構成されている。入力装置100Aは、多様な移動(回転・回転軸P10方向への移動・回転軸P10と直交する方向への移動)を行う操作部10Aと、操作部10Aのそれぞれの移動に応じた信号(第1の信号S1A・第2の信号S2A・第3の信号S3A)を出力する出力部20Aとを有している。
【0019】
そのため、入力装置100Aは、多様な入力を実現できる。
【0020】
入力装置100Aは、上述した操作部10Aと出力部20Aに加えて、操作部10Aと機械的に結合した基部30Aをさらに有している(図1参照)。また、入力装置100Aは、筐体40Aを有している。
【0021】
操作部10Aは、図4に示すように、ハンドル11Aと、回転操作電子部品であるエンコーダ12Aを有している。ハンドル11Aは、使用者が入力装置100Aを操作するための部位である。ハンドル11Aは回転移動できるようにエンコーダ12Aと結合している回転部である。特に、ハンドル11Aは、円筒状であって、後面が解放されている。エンコーダ12Aは、ハンドル11Aと基部30Aとの間に配置されている。そして、ハンドル11Aと機械的に結合している。なお、エンコーダ12Aは後述するように基部30Aとも機械的に結合している。なお、エンコーダ12Aは、アブソリュート式でもインクリメンタル式でもよい。また、エンコーダ12Aの変わりに、エンコーダ12Aと同様に押圧可能な回転操作電子部品に属する可変抵抗器であってもよい。
【0022】
エンコーダ12Aは、結合部(軸部)121Aと、第1の端子部122Aと、第2の端子部123Aとを有している。結合部121Aは、ハンドル11Aと結合している。また、結合部121Aは、操作部10Aのハンドル11Aと連動してハンドル11Aの回転方向に回転可能かつ、基部30Aに向かって移動可能である。より詳細には、エンコーダ12Aは、略円柱状であって、その一端に結合部121Aを備え、その他端に第1及び第2の端子部122A,123Aを有している。結合部121Aは、回転軸P10の周りの回転、及び、回転軸P10に沿った押圧が可能である。そして、ハンドル11Aは、図4に示すように、結合部121Aに結合されている。よって、ハンドル11Aは、結合部121Aとともに、回転軸P10の周りの回転、及び、回転軸P10に沿った押圧が可能である。
【0023】
第1の端子部122Aは、結合部121Aの回転方向に対応した第1の信号S1Aを出力する。つまり、第1の信号S1Aは、ハンドル11Aの回転に応じた信号である。例えば、第1の信号S1Aは、ハンドル11Aの回転の度合いに応じた信号レベルを有する。一例としては、第1の信号S1Aは、ハンドル11Aの回転軸P10の周りの回転角を示す信号である。第2の端子部123Aは、結合部121Aの基部30Aに向かう移動に対応した第2の信号S2Aを出力する。つまり、第2の信号S2Aは、ハンドル11Aの押圧に応じた信号である。例えば、第2の信号S2Aは、ハンドル11Aの押圧の度合いに応じた信号レベルを有する。
【0024】
エンコーダ12Aが第1の基板34Aの一面(図4における上面)に実装され、これによって、エンコーダ12Aの第1の端子部122A及び第2の端子部123Aが第1の基板34Aに電気的に接続される。特に、エンコーダ12Aの結合部121Aの回転軸P10は第1の基板34Aの厚み方向と一致している。このようにして、操作部10Aは、第1の基板34Aの一面(図4における上面)に取り付けられる。また、第1の基板34Aには、フレキシブルプリント基板(FPC)35Aが装着される。FPC35Aは、エンコーダ12Aからの出力を入力装置100Aの外方へ出力するために設けられており、第1の出力部21A及び第2の出力部22Aを含む。
【0025】
基部30Aは、第2の基板31Aと、可動部32Aと、検出部33Aとを有している。第2の基板31Aは、電子回路を形成された、たとえば回路基板やプリント基板である。
【0026】
可動部32Aは、第2の基板31A上を傾倒可能に設けられている。そして、エンコーダ12Aを保持している。特に、可動部32Aは、第1の基板34Aを保持し、これによって、第1の基板34Aに実装されたエンコーダ12Aを保持する。そして、可動部32Aは、たとえばシーソのように、力点と作用点との間に支点を配置して初期位置から2方向に移動したり、一方への移動を規制するよう力点と支点との間に作用点を配置したり、作用点と支点との間に力点を配置したりした初期位置から一方向の移動としてもよい。また、可動部32Aは、たとえば平板などの板の下方に突起を設けて4方向への移動や8方向への傾倒を可能としてもよい。この場合、突起は外方向へ向かって膨らむ曲面凸状であるとよい。
【0027】
また、可動部32Aをシーソ動作が可能な形状に形成する場合、ハンドル11Aや結合部121Aの回転軸P10とシーソ動作の支点の軸とを直交しない(交わらない)ように形成するとよい。言い換えるとシーソ動作の支点の軸と回転軸P10とは、ねじれの関係にある。これにより、結合部121Aの押し込み動作(回転軸P10に沿った移動)の与える可動部32Aに対する影響が抑制される。また、可動部32Aを初期位置から一方向への移動とする場合、エンコーダ12Aの位置を支点に対して傾倒方向とは逆の位置に配置するとよい。これにより安定した動作が可能となる。
【0028】
特に、可動部32Aは、一対の軸部321Aと、突起323Aと、支持台324Aと、備える。可動部32Aは、矩形の板状である。一対の軸部321Aは、ハンドル11Aの回転軸P10に直交する方向に延びている。図1に示すように、一対の軸部321Aは、可動部32Aの幅方向の両側から突出しており、それらの中心軸は一致している。また、軸部321Aは、図1及び図2からわかるように、第2の基板31Aへのハンドル11Aの投影領域内に位置する。可動部32Aの厚み方向の第1面には、第1の基板34Aが取り付けられる。図1に示すように、可動部32Aの第1面には、第1の基板34Aが収まる凹部325Aが形成されるとともに、凹部325A内に第1の基板34Aを保持するための複数の爪326Aが形成されている。突起323A及び支持台324Aは、可動部32Aの厚み方向の第2面から突出している。突起323Aは、可動部32Aの長さ方向の一端(図4の左端)にあり、支持台324Aは、可動部32Aの長さ方向の他端(図4の右端)にある。突起323Aは、弾性体50Aの固定に用いられる。弾性体50Aは、第1の基板34Aを第2操作位置から第1操作位置に移動させる向きの弾性力を第1の基板34Aに作用させる復帰部材である。より詳細には、弾性体50Aはコイルバネであり、突起323Aは弾性体50Aの内側に挿入される。支持台324Aは、可動部32Aにおいて第2の基板31Aで支持される部位である。支持台324Aは、可動部32Aの中央側の面が曲面となっている。これにより、可動部32Aは、第2の基板31A上において揺動可能である。
【0029】
検出部33Aは、可動部32Aで押圧可能に配置されている。そして、可動部32Aの傾倒方向の移動に対応した第3の信号S3Aを出力する。たとえば、検出部33Aは、プッシュスイッチやメンブレンスイッチや圧力センサであり、可動部32Aによって押圧されることにより、可動部32Aの傾倒を検出する。本実施の形態において、検出部33Aは、操作部331Aを有しており、操作部331Aが押圧されると、第3の信号S3Aを出力する。
【0030】
このような検出部33Aは、たとえば、第2の基板31A上に配置され、下方に移動した可動部32Aによって押圧されても良く、後述する筐体40Aの天面部41Aの下方に配置され、上方に移動した可動部32Aによって押圧されてもよい。
【0031】
筐体40Aは、天面部41Aと柱部42Aとを有し、可動部32Aの軸部321Aを挿入できるよう孔部431Aを形成されている。天面部41Aには、ハンドル11Aを収納している凹部411Aが形成されている。そして、柱部42Aは、上端部で天面部41Aと結合しており、下端部で固定具60Aによって底面部となる第2の基板31Aと結合している。本実施の形態において、固定具60Aはねじである。より詳細には、凹部411Aの底部には、エンコーダ12Aが通る孔部412Aが形成されている(図4参照)。また、筐体40Aは、4つの柱部42Aを有しており、4つの柱部42Aは、天面部41Aの後面において凹部411Aを囲うように配置されている。柱部42Aの先端にはねじ穴421Aが形成されている。第2の基板31Aの孔部311Aを通して固定具60Aを柱部42Aのねじ穴421Aに挿入することで、筐体40Aが第2の基板31Aに固定される。
【0032】
また、筐体40Aは、可動部32Aを揺動可能に支持するための構成として、一対の軸受部43Aを有している。一対の軸受部43Aは、天面部41Aの後面において、孔部412Aの両側に位置する。一対の軸受部43Aのそれぞれは、孔部431Aを有している。可動部32Aの一対の軸部321Aが一対の軸受部43Aの孔部431Aにそれぞれ嵌ることで、可動部32Aが筐体40Aに対して軸部321Aの周りに揺動可能となる。そして、可動部32Aには、操作部10Aが実装された第1の基板34Aが取り付けられている。よって、筐体40Aと可動部32Aとは、第1の基板34Aを第2の基板31Aに対して第1操作位置(図4参照)と第2操作位置(図7参照)との間で軸部321Aの周りに揺動させる傾倒機構70Aを構成する。第1操作位置は、例えば、エンコーダ12Aの結合部121Aの回転軸P10が第2の基板31Aの厚み方向と一致する位置である。第2操作位置は、例えば、可動部32Aの突起323Aが第2の基板31Aに接触する位置である。ここで、入力装置100Aでは、第1の基板34Aが第1操作位置にある場合において、図4に示すように、軸部321Aに対して、回転軸P10と検出部33Aとが反対側にある。
【0033】
以上述べたように、入力装置100Aは、回転可能かつ、回転軸P10に沿って移動可能かつ、回転軸P10に直交する軸方向に移動可能に設けられた操作部10A(ハンドル11A)と、操作部10A(ハンドル11A)の回転方向に対応する第1の信号S1Aと、操作部10A(ハンドル11A)の回転軸P10に沿った移動に対応する第2の信号S2Aと、操作部10A(ハンドル11A)の軸方向への移動に対応する第3の信号S3Aとを出力する出力部20Aと、を備えている。
【0034】
入力装置100Aは、さらに、操作部10Aと機械的に結合した基部30Aを備えている。操作部10Aは、回転部(ハンドル)11Aと、回転部11Aと基部30Aとの間に配置され、回転部11Aと機械的に結合した回転操作電子部品(エンコーダ)12Aと、を有する。回転操作電子部品(エンコーダ)12Aは、回転部11Aと結合して、回転方向に回転可能かつ基部30Aに向かって移動可能な結合部121Aと、結合部121Aの回転方向に対応した第1の信号S1Aを出力する第1の端子部122Aと、結合部121Aの基部30Aに向かう移動に対応した第2の信号S2Aを出力する第2の端子部123Aと、を含む。基部30Aは、第2の基板31Aと、第2の基板31A上を傾倒可能に設けられ、回転操作電子部品(エンコーダ)12Aを保持する可動部32Aと、可動部32Aに押圧可能に配置され、可動部32Aの傾倒方向の移動に対応した第3の信号S3Aを出力する検出部33Aと、を有する。出力部20Aは、第1の端子部122Aと電気的に接続された第1の出力部21Aと、第2の端子部123Aと電気的に接続された第2の出力部22Aと、第3の端子部(検出部)33Aと電気的に接続された第3の出力部23Aと、を有する。
【0035】
入力装置100Aは、以上のように構成されており、次のように動作する。図4図7を参照して入力装置100Aの動作を説明する。
【0036】
図4は、入力装置100Aに負荷のかかっていない状態(初期状態)を表している。この状態では、第1の基板34Aは第2の基板31Aに対して第1操作位置にある。この状態でハンドル11Aを(回転軸P10の周りに)回転させると、エンコーダ12Aの第1の端子部122Aから第1の信号S1Aが出力され、第1の出力部21Aから第1の信号S1Aが出力される(図8参照)。
【0037】
図5は、入力装置100Aのハンドル11Aに上方から下方へ向かう押圧力F11を負荷させた状態(押圧状態)を表している。この状態では、ハンドル11Aの押圧によってエンコーダ12Aの第2の端子部123Aから第2の信号S2Aが出力され、第2の出力部22Aから第2の信号S2Aが出力される(図8参照)。
【0038】
図6は、図5に示す押圧状態において、さらにハンドル11Aに上方から下方へ向かう押圧力F12(つまり、押圧力F11より大きい押圧力)を負荷させた状態(押し込み状態)を表している。この状態では、エンコーダ12Aの結合部121Aがエンコーダ12Aの本体内に挿入されていき、ハンドル11Aは、天面部41Aの凹部411A内へさらに挿入される。このような機構を付与した場合、ハンドル11Aが強く押圧された場合においてエンコーダ12Aをクッションとして用いることができるため、エンコーダ12Aが回路基板(第1の基板34A)を押圧して回路基板(第1の基板34A)に与える力学的な力を緩衝できる。
【0039】
図7は、初期状態からハンドル11Aに回転軸P10に直交する方向(図7の左方向)に力F13を作用させた状態(傾倒状態)を表している。これによって、可動部32A(第1の基板34A)が軸部321Aの周りに揺動して、第1操作位置から第2操作位置へ移動する。この状態では、検出部33Aから第3の信号S3Aが出力され、第3の出力部23Aから第3の信号S3Aが出力される。なお、図7において、可動部32Aの押圧されている側は下方に移動しており、検出部33Aは可動部32Aによって下向きに押圧されている。しかし、可動部32Aの押圧されている側の反対側は上方に移動しているため、検出部33Aを可動部32Aによって上向きに押圧してもよい。この状態から、傾倒に要している力を取り除くと、弾性体50Aにより、可動部32Aは復帰する。つまり、弾性体50Aによって、可動部32A(第1の基板34A)が第2操作位置から第1操作位置へ戻る。
【0040】
入力装置100Aは、以上のように動作している。入力装置100Aは、ハンドル11Aの回転・押し込み・傾倒の3つの動作を検出し、3つの動作それぞれに対応した出力信号(S1A,S2A,S3A)を出力している。そのため、ひとつの操作部10Aで多様な入力を実現できる。
【0041】
1.1.2 電子機器
実施の形態1の入力装置100Aを用いた電子機器1000Aについて図8を参照して説明する。電子機器1000Aは、たとえば、リモコンなどの入力機器や、レコード・テレビ・映像再生器などのAV機器や、天井照明・間接照明・スポットライトなどの照明機器や、エアコン・冷蔵庫・洗濯機・乾燥機などの家電や、電気乗用車・ガソリン自動車・ハイブリッド自動車・二輪車などの車両や、車両に掲載されているカーナビ・オーディオ・テレビ・エアコンなどの車載用電子機器などである。
【0042】
電子機器1000Aは、入力装置100Aと電気的に接続されたマイクロコントロールユニット(MCU)200を有している。MCU200は、第1の入力端子203と、第2の入力端子202と、第3の入力端子201とを有している。そして、第1の出力部21Aと第1の入力端子203が、第2の出力部22Aと第2の入力端子202が、第3の出力部23Aと第3の入力端子201が、それぞれ電気的に接続されている。また、少なくとも第1の出力部21Aと第1の入力端子203間、第2の出力部22Aと第2の入力端子202間、第3の出力部23Aと第3の入力端子201間は、電気的に独立している。
【0043】
そして、MCU200は、どの入力端子(第1〜第3の入力端子203,202,201)から出力信号(第1〜第3の信号S1A,S2A,S3A)が入力されたか、時間または電圧波形または電気パルスに基づきどの程度の入力を受けたかを判定する。
【0044】
さらに、MCU200は、たとえば表示装置や、モータや、光源や、タイマーや、スピーカなど、上述の電子機器において調整や制御を行う対象(負荷300)と電気的に接続されている。そして、MCU200は、制御端子204から各々に対して操作を行う。
【0045】
たとえば、実施の形態1の入力装置100Aが車載オーディオと車載エアコンと車載用照明と車載用テレビについて電気的に接続している場合を説明する。傾倒動作で、車載オーディオや車載エアコンや車載用照明や車載用テレビに出力先を切り替える。出力先の切り替えは、左に傾倒した場合は車載用オーディオ、右に傾倒した場合は車載用エアコン・前に傾倒した場合は車載用照明、後ろに傾倒した場合は車載用テレビといったように切り替えてよい。また、出力先の切り替えは、左に傾倒するたびに変わっていくようにしてもよい。
【0046】
なお、一定時間以上傾倒されない場合は、傾倒操作はなかったものとしてもよい。このような場合、傾倒されてから一定時間に押し込みや回転の操作があった場合に、入力を行うようにすれば、使用者は、前回の操作を思い出さずに済み、モニター等に現状の出力先が表示されるような場合でも、入力の度に確認しなくてもよい。
【0047】
また、操作部10A(ハンドル11A)を透明にして、入力装置100Aの内部に発光ダイオードや液晶や有機ELなどの光源を配置して、色覚情報を表示するようにして出力先を伝えてもよい。
【0048】
そして、たとえば、回転操作によって、音量の大小・温度の高低または風量の大小・照明の明暗または色温度の高低を調整する。このとき、回転操作に合わせて、たとえば、エアコンなら温度を上げるほど赤み(暖色)が強くなり、下げるほど青色(寒色)になるように、スピーカであれば音量を上昇させるにともない白色から黒色や緑色などに変色させるように、操作部10A(ハンドル11A)の色を変色するように構成してもよい。
【0049】
そして、たとえば、押圧操作によって決定としてもよい。一定時間以内に押圧されない場合は、キャンセルとしてMCU200が判断して元の状態に戻してもよい。
【0050】
このように、実施の形態1の入力装置100Aを用いることで電子機器1000Aは、ひとつの操作部10Aで多様な入力を可能とでき、意匠性が向上したり、操作性を向上したりすることができる。
【0051】
1.2 実施の形態2
1.2.1 入力装置
以下本実施の形態における入力装置100Bについて図9図16を用いて説明する。なお、図12図15の各々では、入力装置100Bの前後方向を上下方向に沿わせた状態を示すが、これは入力装置100Bの使用方法を制限する趣旨ではない。
【0052】
図12に示すように、入力装置100Bは、操作部10Bと、ボディ(筐体)40Bと、検出部33Bと、を備える。操作部10Bは、回転軸P10の周りの回転、及び、回転軸P10に沿った押圧が可能なハンドル(回転部)11Bを有し、ハンドル11Bの回転に応じた第1の信号S1B(図16参照)及びハンドル11Bの押圧に応じた第2の信号S2B(図16参照)を出力する。ボディ40Bは、操作部10Bをハンドル11Bの押圧方向に沿って第1操作位置(図12参照)から第2操作位置(図15参照)まで移動可能に保持する。検出部33Bは、操作部10Bが第2操作位置にある場合に第3の信号S3B(図16参照)を出力するように構成される。
【0053】
入力装置100Bでは、ハンドル11Bを回転させれば、操作部10Bから第1の信号S1Bが出力され、ハンドル11Bを押圧すれば、操作部10Bから第2の信号S2Bが出力される。更に、ハンドル11Bを押圧して操作部10Bを第1操作位置から第2操作位置へ移動させることで、検出部33Bから第3の信号S3Bが出力される。このように、入力装置100Bは、ハンドル11Bの回転・1段階目の押圧(押し込み)・2段階目の押圧(押し込み)の3つの動作を検出し、それぞれに対応した出力信号(第1〜第3の信号S1B〜S3B)を出力している。そのため、ひとつの操作部10Bで多様な入力を実現できる。よって、入力装置100Bは、複数の電子機器を制御可能である。
【0054】
本実施の形態は、可動部32Bの下方に検出部33Bが配置されている点では、実施の形態1と類似しているが、可動部32Bの移動の向きが異なっている。すなわち、実施の形態1では、可動部32Aを傾倒させることにより第3の信号S3Aを出力していたが、実施の形態2では、ハンドル11Bを押し込むことによって、第3の信号S3Bを出力している。
【0055】
言い換えれば、本実施の形態は、操作部10B(ハンドル11B)の回転と、1段階目の押し込みと、2段階目の押し込みとによって、多様な入力を実現することを検討して、実施の形態1を変形している。
【0056】
そのため、可動部32Bは4つの弾性体50Bで支えられており、可動部32Bの中央部に対向する位置に検出部33Bが配置されている。なお、2つの弾性体50Bを結んだ間に検出部33Bを配置していれば弾性体50Bを2つとしても良く、また、弾性体50Bがコイルバネであればコイルバネの内側に検出部33Bを配置していればよく、検出部33Bがプッシュスイッチのような弾性を有する可動接点を有していれば弾性体50Bを用いなくてもよい。なお、複数の弾性体50Bを用いる場合は、それぞれの弾性係数・ばね定数が可動部32Bのバランスがとれる程度の範囲で等しいとよい。これにより、可動部32Bの移動のバランスを保つことができる。
【0057】
また、上下方向に可動部32Bが移動するため、筐体40Bにはガイド部44Bが形成されており、可動部32Bにはガイド部44Bを挿入する孔部322Bが形成されている。
【0058】
より詳細に入力装置100Bについて説明する。
【0059】
入力装置100Bは、操作部10B(図11参照)と出力部20B(図16参照)とを有している。操作部10B(ハンドル11B)は、回転可能かつ、回転軸P10に沿って移動可能に設けられている。
【0060】
出力部20Bは、操作部10Bが回転した場合に、操作部10Bの回転方向に対応する第1の信号S1Bを出力する。また、出力部20Bは、操作部10Bが回転軸P10に沿って移動した場合に、第2の信号S2Bを出力する。また、出力部20Bは、操作部10Bが回転軸P10に沿って更に移動した場合に、第3の信号S3Bを出力する。特に、出力部20Bは、図16に示すように、第1の信号S1Bを出力する第1の出力部21Bと、第2の信号S2Bを出力する第2の出力部22Bと、第3の信号S3Bを出力する第3の出力部23Bと、を含む。
【0061】
このように、入力装置100Bは、回転可能かつ、第1の位置と第2の位置との間を回転軸P10に沿って移動可能に設けられた操作部10B(ハンドル11B)と、操作部10Bの回転方向に対応する第1の信号S1Bを出力する第1の出力部21Bと、第1の位置に対応する第2の信号S2Bを出力する第2の出力部22Bと、第2の位置に対応する第3の信号S3Bを出力する第3の出力部23Bと、を備えている。ここで、第1の位置は、ハンドル11Bが初期位置から押し込まれた位置であり、第2の位置は、ハンドル11Bが第1の位置から更に押し込まれた位置である。
【0062】
入力装置100Bは、上述した操作部10Bと出力部20Bに加えて、操作部10Bと機械的に結合した基部30Bをさらに有している(図9参照)。また、入力装置100Bは、筐体40Bを有している。
【0063】
操作部10Bは、ハンドル11Bと、エンコーダ12Bを有している。ハンドル11B及びエンコーダ12Bは実施の形態1のハンドル11A及びエンコーダ12Aと同様である。エンコーダ12Bは、結合部(軸部)121Bと、第1の端子部122Bと、第2の端子部123Bとを有している。結合部121Bは、ハンドル11Bと結合している。また、結合部121Bは、操作部10Bのハンドル11Bと連動してハンドル11Bの回転方向に回転可能かつ、基部30Bに向かって移動可能である。よって、ハンドル11Bは、結合部121Bとともに、回転軸P10の周りの回転、及び、回転軸P10に沿った押圧が可能である。
【0064】
第1の端子部122Bは、結合部121Bの回転方向に対応した第1の信号S1Bを出力する。つまり、第1の信号S1Bは、ハンドル11Bの回転軸P10の周りの回転角を示す信号である。第2の端子部123Bは、結合部121Bの基部30Bに向かう移動に対応した第2の信号S2Bを出力する。
【0065】
エンコーダ12Bが第1の基板34Bの一面(図12における上面)に実装され、これによって、エンコーダ12Bの第1の端子部122B及び第2の端子部123Bが第1の基板34Bに電気的に接続される。特に、エンコーダ12Bの結合部121Bの回転軸P10は第1の基板34Bの厚み方向と一致している。このようにして、操作部10Bは、第1の基板34Bの一面(図12における上面)に取り付けられる。また、第1の基板34Bには、FPC35Bが装着される。FPC35Bは、エンコーダ12Bからの出力を入力装置100Bの外方へ出力するために設けられており、第1の出力部21B及び第2の出力部22Bを含む。
【0066】
基部30Bは、第2の基板31Bと、可動部32Bと、検出部33Bとを有している。第2の基板31Bは、電子回路を形成された、たとえば回路基板やプリント基板である。
【0067】
可動部32Bは、第2の基板31Bに対して回転軸P10に沿って移動可能に設けられている。そして、可動部32Bは、エンコーダ12Bを保持している。特に、可動部32Bは、第1の基板34Bを保持し、これによって、第1の基板34Bに実装されたエンコーダ12Bを保持する。特に、可動部32Bは、矩形の板状である。可動部32Bの厚み方向の第1面には、第1の基板34Bが取り付けられる。特に、可動部32Bの厚み方向の第1面には、第1の基板34Bが収まる凹部325Bが形成されるとともに、凹部325B内に第1の基板34Bを保持するための複数の爪326Bが形成されている。また、可動部32Bの四隅には、可動部32Bを筐体40Bに対して、回転軸P10に沿った方向に移動可能に取り付けるための孔部322Bが設けられている。また、可動部32Bの厚み方向の第2面には、一対の規制部327B(図10参照)を設けている。一対の規制部327Bは、可動部32Bの第2面の中央に対して、可動部32Bの長さ方向の両側にある。
【0068】
検出部33Bは、可動部32Bで押圧可能に配置されている。そして、可動部32Bの回転軸P10に沿った方向の移動に対応した第3の信号S3Bを出力する。たとえば、検出部33Bは、プッシュスイッチやメンブレンスイッチや圧力センサであり、可動部32Bによって押圧されることにより、可動部32Bの押圧を検出する。本実施の形態において、検出部33Bは、操作部331Bを有しており、操作部331Bが押圧されると、第3の信号S3Bを出力する。このような検出部33Bは、図12に示すように、第2の基板31B上に配置される。特に、検出部33Bは、回転軸P10上に位置するように第2の基板31Bに実装されている。
【0069】
筐体40Bは、天面部41Bと柱部42Bとを有している。天面部41Bには、ハンドル11Bを収納している凹部411Bが形成されている。そして、柱部42Bは、上端部で天面部41Bと結合しており、下端部で固定具60Bによって底面部となる第2の基板31Bと結合している。本実施の形態において、固定具60Bはねじである。より詳細には、凹部411Bの底部には、エンコーダ12Bが通る孔部412Bが形成されている(図12参照)。また、柱部42Bは4つあり、これらは天面部41Bの後面において凹部411Bを囲うように配置されている。柱部42Bの先端にはねじ穴421Bが形成されている。第2の基板31Bの孔部311Bを通して固定具60Bを柱部42Bのねじ穴421Bに挿入することで、筐体40Bが第2の基板31Bに固定される。
【0070】
また、筐体40Bは、可動部32Bを回転軸P10に沿った方向(図12の上下方向)で移動可能に支持するための構成として、複数(図示例では4つ)のガイド部44Bを有している。複数のガイド部44Bは、天面部41Bの後面において凹部411Bを囲うように配置されている。各ガイド部44Bは、天面部41Bの後面から突出する柱状の台部441Bと、台部441Bの先端から突出する脚部442Bとを有する。脚部442Bは、可動部32Bの孔部322Bを通ることが可能な大きさであるのに対して、台部441Bは孔部322Bを通ることができない大きさである。また、脚部442Bは孔部322Bより長い。また、脚部442Bは、その軸方向が回転軸P10に平行するように形成されている。
【0071】
可動部32Bは、孔部322Bにガイド部44Bの脚部442Bを挿入することで、筐体40Bに取り付けられる。したがって、可動部32Bは、ガイド部44Bの脚部442Bの軸方向に沿って、つまり、回転軸P10に沿って移動可能である。また、筐体40Bは、第2の基板31Bに固定される。このとき、可動部32Bと第2の基板31Bとの間には、複数の弾性体50Bが配置される。特に、弾性体50Bは、ガイド部44Bの脚部442Bにおいて可動部32Bの孔部322Bから突出した部分に嵌められる。なお、図12に示すように、各ガイド部44Bの脚部442Bは、筐体40Bを第2の基板31Bに固定した際に、第2の基板31Bに接触する。
【0072】
このようにして、筐体(ボディ)40Bは、可動部32Bを回転軸P10に沿った方向(図12の上下方向)で移動可能に保持する。可動部32Bは操作部10Bを保持し、操作部10Bのハンドル11Bの押圧方向は回転軸P10に沿った方向である。よって、筐体40Bは、操作部10Bをハンドル11Bの押圧方向に沿って第1操作位置から第2操作位置まで移動可能に保持する。第1操作位置は、第2操作位置よりも可動部32Bが筐体40Bに近い位置である。上述したように、可動部32Bと第2の基板31Bとの間には、複数の弾性体50Bが配置されている。これら弾性体50Bは、操作部10Bを第2操作位置から第1操作位置に移動させる向きの弾性力を操作部10Bに作用させる復帰部材として作用する。ここで、ガイド部44Bの台部441Bは可動部32Bの孔部322Bより大きいから、台部441Bによって、可動部32Bが位置決めされる。つまり、第1操作位置では、可動部32Bがガイド部44Bの台部441Bに接触する(図12参照)。また、第2操作位置では、可動部32Bの一対の規制部327Bが第2の基板31Bにおける第1の基板34B側の面に接触する(図15参照)。
【0073】
入力装置100Bは、以上のように構成されており、次のように動作する。図12図15を参照して入力装置100Bの動作を説明する。
【0074】
図12は、入力装置100Bに負荷のかかっていない状態(初期状態)を表している。この状態では、操作部10Bは第1操作位置にある。使用者が図12の状態に対してハンドル11Bを回転操作する。ハンドル11Bは、エンコーダ12Bの結合部(軸部)121Bに装着されており、ハンドル11Bへの回転操作でエンコーダ12Bが作動する。そして、エンコーダ12Bからの出力(第1の端子部122Bからの第1の信号S1B)は、エンコーダ12Bを実装した第1の基板34Bに装着したFPC35B(第1の出力部21B)を介して入力装置100Bの外方へ出力される。
【0075】
使用者が図12の状態に対してハンドル11Bを押し下げ操作すると、ハンドル11Bが下方に移動し、それに応じてエンコーダ12Bの結合部(軸部)121Bも押し下げられる。図13は、入力装置100Bのハンドル11Bに上方から下方へ向かう押圧力F21を負荷させた状態を表している。エンコーダ12Bは、結合部(軸部)121Bの下方移動に応じて状態の切り換わるスイッチを内蔵しており、ハンドル11Bの下方移動に応じてエンコーダ12Bに内蔵したスイッチが例えばオン状態に切り換わった図13の状態になる。エンコーダ12Bに内蔵したスイッチの状態の切り換わりも第1の基板34Bに装着したFPC35Bから得られる。つまり、エンコーダ12Bからの出力(第2の端子部123Bからの第2の信号S2B)が、FPC35B(第2の出力部22B)を介して入力装置100Bの外方へ出力される。
【0076】
その後、使用者がさらにハンドル11Bを押し下げると、ハンドル11Bへの押し下げ力が弾性体50Bのバネ力を超え、第1の基板34Bを配置した可動部32Bは弾性体50Bを撓ませつつ、略水平状態を維持しつつ全体的に下方に移動する。なお、エンコーダ12Bに内蔵したスイッチの状態は切り換わったままである。
【0077】
そして、可動部32Bが全体的に下方に移動していき、図14に示すように、可動部32Bの背面が第2の基板31Bに配置した検出部33Bの操作部331Bに当接し、さらに押し下げられて図15に示すように検出部33Bの操作部331Bを押し込む。なお、図14は、入力装置100Bのハンドル11Bに上方から下方へ向かう押圧力F22を負荷させた状態を表しており、押圧力F22は、図13に示す押圧力F21より大きい。また、図15は、入力装置100Bのハンドル11Bに上方から下方へ向かう押圧力F23を負荷させた状態を表しており、押圧力F23は、図14に示す押圧力F22より大きい。
【0078】
これによって検出部33Bからの信号(第3の信号S3B)が得られる。検出部33Bは検出用スイッチである。検出用スイッチは、エンコーダ12Bに内蔵したスイッチの状態の切り換わりに必要とする力よりも大きい操作力で切り換わるものを用いる。検出用スイッチからの出力(第3の信号S3B)は、第2の基板31Bから得られる。なお、可動部32Bは、下面で検出用スイッチを押すように構成している。そして、検出用スイッチの操作部331Bを押し込み過ぎることを防止するために、可動部32Bの下方への所定距離の移動時に、第2の基板31Bに当接する規制部327B(図10参照)を設けている。規制部327Bが第2の基板31Bに当接して可動部32Bの下方への移動が停止した状態(操作部10Bが第2操作位置に移動した状態)では、検出用スイッチは切り換わっている。そして、ハンドル11Bは凹部411B内に所定量が収容状態である。
【0079】
上述した押し下げ操作力(押圧力F21,F22,F23)を除くと、弾性体50Bの復帰力などで可動部32Bは元の位置(第1操作位置)に押し上げられ、またエンコーダ12Bに内蔵したスイッチも自己復帰する。これらによって、ハンドル11Bも元の高さ位置に戻る。
【0080】
すなわち、押す力の変化によって、回転以外の多様な入力を実現している。
【0081】
1.2.2 電子機器
実施の形態2の入力装置100Bを用いた電子機器1000Bについて図16を参照して説明する。なお、電子機器1000Bの種類は電子機器1000Aと同様である。
【0082】
電子機器1000Bは、入力装置100Bと電気的に接続されたMCU200を有している。MCU200は、実施の形態1と同様に、第1の入力端子203と、第2の入力端子202と、第3の入力端子201とを有している。そして、第1の出力部21Bと第1の入力端子203が、第2の出力部22Bと第2の入力端子202が、第3の出力部23Bと第3の入力端子201が、それぞれ電気的に接続されている。また、少なくとも第1の出力部21Bと第1の入力端子203間、第2の出力部22Bと第2の入力端子202間、第3の出力部23Bと第3の入力端子201間は、電気的に独立している。
【0083】
そして、MCU200は、どの入力端子(第1〜第3の入力端子203,202,201)に出力信号(第1〜第3の信号S1B,S2B,S3B)が入力されたか、時間または電圧波形または電気パルスに基づきどの程度の入力を受けたかを判定する。
【0084】
さらに、MCU200は、たとえば表示装置や、モータや、光源や、タイマーや、スピーカなど、上述の電子機器において調整や制御を行う対象(負荷300)と電気的に接続されている。そして、MCU200は、制御端子204から各々に対して操作を行う。
【0085】
このように、実施の形態2の入力装置100Bを用いることで電子機器1000Bは、ひとつの操作部10Bで多様な入力を可能とでき、意匠性が向上したり、操作性を向上したりすることができる。
【0086】
なお、実施の形態2の入力装置100Bを用いて電子機器1000Bを構築する場合、押圧力を取り除いた際の検出部33Bの出力(第3の信号S3B)と、エンコーダ12Bの出力(第2の信号S2B)との途絶える順番を検出するように電子機器1000BのMCU200を構成するとよい。そうすれば、第3の信号(検出信号)S3Bが発せられた場合に、第2の信号(検出信号)S2Bが発せられたと電子機器1000Bが判断してしまうような誤動作を抑制できる。
【0087】
つまり、たとえば、第2の信号S2Bのみが途絶えた場合は、MCU200は第2の信号S2Bが出力された状態の操作を得たと判断する、たとえば、第2の信号S2Bが途絶えたと判断した後に第3の信号S3Bが途絶えたならば、MCU200は第3の信号S3Bを出力する動作が行われたと判断する、たとえば、第3の信号S3Bが途絶えたと判断した後に第2の信号S2Bが途絶えたならば、MCU200は第3の信号S3Bを出力する動作が行われたと判断するといった具合である。
【0088】
1.3 実施の形態3
1.3.1 入力装置
以下本実施の形態における入力装置100Cについて図17図24を用いて説明する。なお、図20図23の各々では、入力装置100Cの前後方向を上下方向に沿わせた状態を示すが、これは入力装置100Cの使用方法を制限する趣旨ではない。
【0089】
図20に示すように、入力装置100Cは、操作部10Cと、ボディ(筐体)40Cと、検出部33Cと、を備える。操作部10Cは、回転軸P10の周りの回転、及び、回転軸P10に沿った押圧が可能なハンドル(回転部)11Cを有し、ハンドル11Cの回転に応じた第1の信号S1C(図24参照)及びハンドル11Cの押圧に応じた第2の信号S2C(図24参照)を出力する。ボディ40Cは、操作部10Cをハンドル11Cの押圧方向とは反対方向に沿って第1操作位置(図20参照)から第2操作位置(図23参照)まで移動可能に保持する。検出部33Cは、操作部10Cが第2操作位置にある場合に第3の信号S3C(図24参照)を出力するように構成される。
【0090】
入力装置100Cでは、ハンドル11Cを回転させれば、操作部10Cから第1の信号S1Cが出力され、ハンドル11Cを押圧すれば、操作部10Cから第2の信号S2Cが出力される。更に、ハンドル11Cを引いて操作部10Cを第1操作位置から第2操作位置へ移動させることで、検出部33Cから第3の信号S3Cが出力される。このように、入力装置100Cは、ハンドル11Cの回転・押し込み・引っ張りの3つの動作を検出し、それぞれに対応した出力信号(第1〜第3の信号S1C〜S3C)を出力している。そのため、ひとつの操作部10Cで多様な入力を実現できる。よって、入力装置100Cは、複数の電子機器を制御可能である。
【0091】
本実施の形態は、可動部32Cの移動の方向という点では実施の形態2と類似しているが、第3の信号S3Cを出力する際の可動部32Cの移動の方向が実施の形態2の下方向に対して、上方向となっている点で実施の形態2と異なっている。そのため、可動部32C上に検出部33Cが配置されており、可動部32Cの移動によって、検出部33Cが、可動部32Cと筐体40Cの天面部41Cとの間で挟まれることによって検出部33Cが押圧される。
【0092】
すなわち、操作部10Cのハンドル11Cを上方へと引くと、可動部32Cは連動して上方に移動するように構成されている。そのため、本実施の形態では、可動部32Cの上方に弾性体50Cが配置されており、可動部32Cが上方へ引かれると、筐体40Cの天面部41Cと可動部32Cとの間で弾性体50Cは圧縮されるように構成されている。また、回転体(回転部)であるハンドル11Cは、上方がフランジ状に形成されており、ハンドル11Cの引きやすさを向上できるように構成されている。
【0093】
より詳細に入力装置100Cについて説明する。
【0094】
入力装置100Cは、操作部10C(図19参照)と出力部20C(図24参照)とを有している。操作部10C(ハンドル11C)は、回転可能かつ、回転軸P10に沿って移動可能に設けられている。
【0095】
出力部20Cは、操作部10Cが回転した場合に、操作部10Cの回転方向に対応する第1の信号S1Cを出力する。また、出力部20Cは、操作部10Cが回転軸P10に沿って押圧方向(図20における下方向)に移動した場合に、第2の信号S2Cを出力する。また、出力部20Cは、操作部10Cが回転軸P10に沿って押圧方向とは反対方向(図20における上方向)に移動した場合に、第3の信号S3Cを出力する。特に、出力部20Cは、図24に示すように、第1の信号S1Cを出力する第1の出力部21Cと、第2の信号S2Cを出力する第2の出力部22Cと、第3の信号S3Cを出力する第3の出力部23Cと、を含む。
【0096】
このように、入力装置100Cは、回転可能かつ、第1の位置と第2の位置との間を回転軸P10に沿って移動可能に設けられた操作部10C(ハンドル11C)と、操作部10Cの回転方向に対応する第1の信号S1Cを出力する第1の出力部21Cと、第1の位置に対応する第2の信号S2Cを出力する第2の出力部22Cと、第2の位置に対応する第3の信号S3Cを出力する第3の出力部23Cと、を備えている。ここで、第1の位置は、ハンドル11Cが初期位置から押し込まれた位置であり、第2の位置は、ハンドル11Cが初期位置から引っ張られた位置である。
【0097】
入力装置100Cは、上述した操作部10Cと出力部20Cに加えて、操作部10Cと機械的に結合した基部30Cをさらに有している(図17参照)。また、入力装置100Cは、筐体40Cを有している。
【0098】
操作部10Cは、ハンドル11Cと、エンコーダ12Cを有している。ハンドル11Cは実施の形態2のハンドル11Bと同様であるが、フランジ部111Cを備えている。フランジ部111Cはハンドル11Cの側面の前端部から突出している。フランジ部111Cは、使用者がハンドル11Cを引く動作を容易にするために設けられている。エンコーダ12Cは実施の形態2のエンコーダ12Bと同様である。エンコーダ12Cは、結合部(軸部)121Cと、第1の端子部122Cと、第2の端子部123Cとを有している。結合部121Cは、ハンドル11Cと結合している。また、結合部121Cは、操作部10Cのハンドル11Cと連動してハンドル11Cの回転方向に回転可能かつ、基部30Cに向かって移動可能である。よって、ハンドル11Cは、結合部121Cとともに、回転軸P10の周りの回転、及び、回転軸P10に沿った押圧が可能である。
【0099】
第1の端子部122Cは、結合部121Cの回転方向に対応した第1の信号S1Cを出力する。つまり、第1の信号S1Cは、ハンドル11Cの回転軸P10の周りの回転角を示す信号である。第2の端子部123Cは、結合部121Cの基部30Cに向かう移動に対応した第2の信号S2Cを出力する。
【0100】
エンコーダ12Cが第1の基板34Cの一面(図20における上面)に実装され、これによって、エンコーダ12Cの第1の端子部122C及び第2の端子部123Cが第1の基板34Cに電気的に接続される。特に、エンコーダ12Cの結合部121Cの回転軸P10は第1の基板34Cの厚み方向と一致している。このようにして、操作部10Cは、第1の基板34Cの一面(図20における上面)に取り付けられる。また、第1の基板34Cには、FPC35Cが装着される。FPC35Cは、エンコーダ12Cからの出力を入力装置100Cの外方へ出力するために設けられており、第1の出力部21C及び第2の出力部22Cを含む。
【0101】
基部30Cは、第2の基板31Cと、可動部32Cと、検出部33Cとを有している。第2の基板31Cは、電子回路を形成された、たとえば回路基板やプリント基板である。
【0102】
可動部32Cは、第2の基板31Cに対して回転軸P10に沿って移動可能に設けられている。そして、可動部32Cは、エンコーダ12Cを保持している。特に、可動部32Cは、第1の基板34Cを保持し、これによって、第1の基板34Cに実装されたエンコーダ12Cを保持する。特に、可動部32Cは、矩形の板状である。可動部32Cの厚み方向の第1面には、第1の基板34Cが取り付けられる。特に、可動部32Cの厚み方向の第1面には、第1の基板34Cが収まる凹部325Cが形成されるとともに、凹部325C内に第1の基板34Cを保持するための複数の爪326Cが形成されている。また、可動部32Cの四隅には、可動部32Cを筐体40Cに対して、回転軸P10に沿った方向に移動可能に取り付けるための孔部322Cが設けられている。
【0103】
検出部33Cは、筐体40Cで押圧可能に配置されている。そして、可動部32Cの回転軸P10に沿った方向に対応した第3の信号S3Cを出力する。たとえば、検出部33Cは、プッシュスイッチやメンブレンスイッチや圧力センサであり、筐体40Cによって押圧されることにより、筐体40Cの押圧を検出する。本実施の形態において、検出部33Cは、操作部331Cを有しており、操作部331Cが押圧されると、第3の信号S3Cを出力する。このような検出部33Cは、図20に示すように、第1の基板34C上に配置される。
【0104】
筐体40Cは、天面部41Cと柱部42Cとを有している。天面部41Cには、ハンドル11Cを収納している凹部411Cが形成されている。そして、柱部42Cは、上端部で天面部41Cと結合しており、下端部で固定具60Cによって底面部となる第2の基板31Cと結合している。本実施の形態において、固定具60Cはねじである。より詳細には、凹部411Cの底部には、エンコーダ12Cが通る孔部412Cが形成されている(図20参照)。また、柱部42Cは4つあり、これらは天面部41Cの後面において凹部411Cを囲うように配置されている。柱部42Cの先端にはねじ穴421Cが形成されている。第2の基板31Cの孔部311Cを通して固定具60Cを柱部42Cのねじ穴421Cに挿入することで、筐体40Cが第2の基板31Cに固定される。
【0105】
また、筐体40Cは、可動部32Cを回転軸P10に沿った方向(図20の上下方向)で移動可能に支持するための構成として、複数(図示例では4つ)のガイド部44Cを有している。複数のガイド部44Cは、天面部41Cの後面において凹部411Cを囲うように配置されている。各ガイド部44Cは、天面部41Cの後面から突出する柱状の台部441Cと、台部441Cの先端から突出する脚部442Cとを有する。脚部442Cは、可動部32Cの孔部322Cを通ることが可能な大きさであるのに対して、台部441Cは孔部322Cを通ることができない大きさである。また、脚部442Cは孔部322Cより長い。また、脚部442Cは、その軸方向が回転軸P10に平行するように形成されている。
【0106】
可動部32Cは、孔部322Cにガイド部44Cの脚部442Cを挿入することで、筐体40Cに取り付けられる。したがって、可動部32Cは、ガイド部44Cの脚部442Cの軸方向に沿って、つまり、回転軸P10に沿って移動可能である。また、筐体40Cは、第2の基板31Cに固定される。このとき、可動部32Cと筐体40Cとの間には、複数の弾性体50Cが配置される。特に、弾性体50Cは、ガイド部44Cの脚部442Cに嵌められて、台部441Cと可動部32Cとの間に位置する。なお、図20に示すように、各ガイド部44Cの脚部442Cは、筐体40Cを第2の基板31Cに固定した際に、第2の基板31Cに接触する。
【0107】
更に、筐体40Cは、押圧部45C及び規制部46Cを有している。押圧部45Cは、天面部41Cの後面において、検出部33Cの操作部331Cと対向する位置にある。押圧部45Cの天面部41Cからの突出量によって、可動部32Cの移動時に検出部33Cの操作部331Cが押圧されるタイミングが変更され得る。規制部46Cは、検出部33Cの操作部331Cを押し込み過ぎることを防止するために、上方への所定距離の移動時に、第1の基板34Cに当接する(図23参照)。
【0108】
このようにして、筐体(ボディ)40Cは、可動部32Cを回転軸P10に沿った方向(図20の上下方向)で移動可能に保持する。可動部32Cは操作部10Cを保持し、操作部10Cのハンドル11Cの押圧方向は回転軸P10に沿った方向である。よって、筐体40Cは、操作部10Cをハンドル11Cの押圧方向とは反対方向に沿って第1操作位置から第2操作位置まで移動可能に保持する。第1操作位置は、第2操作位置よりも可動部32Cが筐体40Cから遠い位置である。上述したように、可動部32Cと筐体40Cとの間には、複数の弾性体50Cが配置されている。これら弾性体50Cは、操作部10Cを第2操作位置から第1操作位置に移動させる向きの弾性力を操作部10Cに作用させる復帰部材として作用する。ここで、筐体40Cは第2の基板31Cが固定されており、第2の基板31Cによって、可動部32Cが位置決めされる。つまり、第1操作位置では、可動部32Cが第2の基板31Cに接触する(図20参照)。また、第2操作位置では、筐体40Cの規制部46Cが第1の基板34Cにおける筐体40C側の面に接触する(図23参照)。
【0109】
入力装置100Cは、以上のように構成されており、次のように動作する。図20図23を参照して入力装置100Cの動作を説明する。
【0110】
図20は、入力装置100Cに負荷のかかっていない状態(初期状態)を表している。この状態では、操作部10Cは第1操作位置にある。この状態でハンドル11Cを回転すると、エンコーダ12Cの第1の端子部122Cから第1の信号S1Cが出力され、第1の出力部21Cから第1の信号S1Cが出力される(図24参照)。
【0111】
図21は、入力装置100Cのハンドル11Cに上方から下方へ向かう押圧力F31を負荷させた状態(押圧状態)を表している。この状態では、エンコーダ12Cの第2の端子部123Cから第2の信号S2Cが出力され、第2の出力部22Cから第2の信号S2Cが出力される(図24参照)。
【0112】
図22は、図21に示す押圧状態において、ハンドル11Cにさらに上方から下方へ向かう押圧力F32を負荷させた状態(押し込み状態)を表している。この状態では、エンコーダ12Cの結合部121Cがエンコーダ12Cの本体内に挿入されていき、ハンドル11Cは、天面部41Cの凹部411C内へさらに挿入される。このような機構を付与した場合、ハンドル11Cが強く押圧された場合においてエンコーダ12Cをクッションとして用いることができるため、エンコーダ12Cが回路基板(第1の基板34C)を押圧して回路基板(第1の基板34C)に与える力学的な力を緩衝できる。
【0113】
図23は、初期状態から回転体(回転部)であるハンドル11Cを上方へ引いた状態(引き状態)を表している。つまり、図23は、初期状態において、ハンドル11Cに下方から上方へ向かう力F33を負荷させた状態(引っ張り状態)を表している。これによって、可動部32C(操作部10C)が回転軸P10に沿って第1操作位置から第2操作位置へ移動する。この状態では、検出部33Cから第3の信号S3Cが出力され、第3の出力部23Cから第3の信号S3Cが出力される。この状態から引く力F33を取り除くと、弾性体50Cにより可動部32Cは初期状態へと復帰し、第3の信号S3Cの出力は停止する。つまり、弾性体50Cによって、可動部32C(操作部10C)が第2操作位置から第1操作位置へ戻る。
【0114】
以上のように構成された入力装置100Cは、ハンドル11Cの回転・押し込み・引っ張りの3つの動作を検出し、それぞれに対応した出力信号(S1C,S2C,S3C)を出力している。そのため、ひとつの操作部10Cで多様な入力を実現できる。
【0115】
1.3.2 電子機器
実施の形態3の入力装置100Cを用いた電子機器1000Cについて図24を参照して説明する。なお、電子機器1000Cの種類は電子機器1000Aと同様である。
【0116】
電子機器1000Cは、入力装置100Cと電気的に接続されたMCU200を有している。MCU200は、実施の形態1と同様に、第1の入力端子203と、第2の入力端子202と、第3の入力端子201とを有している。そして、第1の出力部21Cと第1の入力端子203が、第2の出力部22Cと第2の入力端子202が、第3の出力部23Cと第3の入力端子201が、それぞれ電気的に接続されている。また、少なくとも第1の出力部21Cと第1の入力端子203間、第2の出力部22Cと第2の入力端子202間、第3の出力部23Cと第3の入力端子201間は、電気的に独立している。
【0117】
そして、MCU200は、どの入力端子(第1〜第3の入力端子203,202,201)に出力信号(第1〜第3の信号S1C,S2C,S3C)が入力されたか、時間または電圧波形または電気パルスに基づきどの程度の入力を受けたかを判定する。
【0118】
さらに、MCU200は、たとえば表示装置や、モータや、光源や、タイマーや、スピーカなど、上述の電子機器において調整や制御を行う対象(負荷300)と電気的に接続されている。そして、MCU200は、制御端子204から各々に対して操作を行う。
【0119】
このように、実施の形態3の入力装置100Cを用いることで電子機器1000Cは、ひとつの操作部10Cで多様な入力を可能とでき、意匠性が向上したり、操作性を向上したりすることができる。
【0120】
2.態様
上記実施の形態から明らかなように、第1の態様の入力装置(100A)は、操作部(10A)と、第1の基板(34A)と、第2の基板(31A)と、傾倒機構(70A)と、検出部(33A)と、を備える。前記操作部(10A)は、回転軸(P10)の周りの回転、及び、前記回転軸(P10)に沿った押圧が可能なハンドル(11A)を有する。前記操作部(10A)は、前記ハンドル(11A)の回転に応じた第1の信号(S1A)及び前記ハンドル(11A)の押圧に応じた第2の信号(S2A)を出力するように構成される。前記操作部(10A)は、前記第1の基板(34A)の一面に取り付けられる。前記第2の基板(31A)は、前記第1の基板(34A)における前記操作部(10A)とは反対側にある。前記傾倒機構(70A)は、前記第1の基板(34A)に固定され前記回転軸(P10)に直交する円柱状の軸部(321A)、及び前記第2の基板(31A)に固定され前記軸部(321A)を前記軸部(321A)の周りに回転可能に保持する軸受部(43A)を含む。前記傾倒機構(70A)は、前記第1の基板(34A)を前記第2の基板(31A)に対して第1操作位置と第2操作位置との間で前記軸部(321A)の周りに揺動させる。前記検出部(33A)は、前記第2の基板(31A)における前記第1の基板(34A)側の面に実装され、前記第1の基板(34A)が前記第2操作位置にある場合に第3の信号(S3A)を出力するように構成される。第1の態様によれば、多様な操作を出力できるため、多様な出力を実現できる。よって、複数の電子機器を制御可能な入力装置を提供できる。
【0121】
第2の態様の入力装置(100A)は、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様では、前記軸部(321A)は、前記第2の基板(31A)への前記ハンドル(11A)の投影領域内に位置する。第2の態様によれば、操作部(10A)により第1の基板(34A)を揺動させる操作が行いやすくなる。
【0122】
第3の態様の入力装置(100A)は、第1又は第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第3の態様では、前記入力装置(100A)は、前記第1の基板(34A)を前記第2操作位置から前記第1操作位置に移動させる向きの弾性力を前記第1の基板(34A)に作用させる復帰部材(50A)を更に備える。第3の態様によれば、操作性が向上する。
【0123】
第4の態様の入力装置(100B)は、操作部(10B)と、ボディ(40B)と、検出部(33B)と、を備える。前記操作部(10B)は、回転軸(P10)の周りの回転、及び、回転軸(P10)に沿った押圧が可能なハンドル(11B)を有する。前記操作部(10B)は、前記ハンドル(11B)の回転に応じた第1の信号(S1B)及び前記ハンドル(11B)の押圧に応じた第2の信号(S2B)を出力するように構成される。前記ボディ(40B)は、前記操作部(10B)を前記ハンドル(11B)の押圧方向に沿って第1操作位置から第2操作位置まで移動可能に保持する。前記検出部(33B)は、前記操作部(10B)が第2操作位置にある場合に第3の信号(S3B)を出力するように構成される。第4の態様によれば、多様な操作を出力できるため、多様な出力を実現できる。よって、複数の電子機器を制御可能な入力装置を提供できる。
【0124】
第5の態様の入力装置(100B)は、第4の態様との組み合わせにより実現され得る。第5の態様では、前記入力装置(100B)は、前記操作部(10B)を前記第2操作位置から前記第1操作位置に移動させる向きの弾性力を前記操作部(10B)に作用させる復帰部材(50B)を更に備える。第5の態様によれば、操作性が向上する。
【0125】
第6の態様の入力装置(100C)は、操作部(10C)と、ボディ(40C)と、検出部(33C)と、を備える。前記操作部(10C)は、回転軸(P10)の周りの回転、及び、回転軸(P10)に沿った押圧が可能なハンドル(11C)を有する。前記操作部(10C)は、前記ハンドル(11C)の回転に応じた第1の信号(S1C)及び前記ハンドル(11C)の押圧に応じた第2の信号(S2C)を出力するように構成される。前記ボディ(40C)は、前記操作部(10C)を前記ハンドル(11C)の押圧方向とは反対方向に沿って第1操作位置から第2操作位置まで移動可能に保持する。前記検出部(33C)は、前記操作部(10C)が第2操作位置にある場合に第3の信号(S3C)を出力するように構成される。第6の態様によれば、多様な操作を出力できるため、多様な出力を実現できる。よって、複数の電子機器を制御可能な入力装置を提供できる。
【0126】
第7の態様の入力装置(100C)は、第6の態様との組み合わせにより実現され得る。第7の態様では、前記入力装置(100C)は、前記操作部(10C)を前記第2操作位置から前記第1操作位置に移動させる向きの弾性力を前記操作部(10C)に作用させる復帰部材(50C)を更に備える。第7の態様によれば、操作性が向上する。
【0127】
第8の態様の入力装置(100A;100B;100C)は、第1〜第7の態様のいずれか一つとの組み合わせにより実現され得る。第8の態様では、前記第1の信号(S1A;S1B;S1C)は、前記ハンドル(11A;11B;11C)の前記回転軸(P10)の周りの回転角を示す信号である。第8の態様によれば、回転角の入力が求められる電子機器に利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本開示にかかる態様は多様な操作を出力できるという効果を有し、各種電子機器等に用いると有用である。
【符号の説明】
【0129】
100A,100B,100C 入力装置
10A,10B,10C 操作部
11A,11B,11C ハンドル
34A 第1の基板
31A 第2の基板
33A,33B,33C 検出部
40B,40C 筐体(ボディ)
50A,50B,50C 弾性体(復帰部材)
70A 傾倒機構
321A 軸部
43A 軸受部
P10 回転軸
S1A,S1B,S1C 第1の信号
S2A,S2B,S2C 第2の信号
S3A,S3B,S3C 第3の信号
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