特許第6831875号(P6831875)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6831875
(24)【登録日】2021年2月2日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】スケートボード練習補助装置
(51)【国際特許分類】
   A63B 19/00 20060101AFI20210208BHJP
【FI】
   A63B19/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-116297(P2019-116297)
(22)【出願日】2019年6月24日
(65)【公開番号】特開2021-343(P2021-343A)
(43)【公開日】2021年1月7日
【審査請求日】2019年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】319007066
【氏名又は名称】佐藤 周防
(74)【代理人】
【識別番号】100155158
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 仁
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 周防
【審査官】 田中 洋行
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2002/0050589(US,A1)
【文献】 米国特許第06547221(US,B1)
【文献】 米国特許第7007978(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC A63B 1/00−26/00
A63B69/00−71/16
A63C 1/00−19/12
E04F11/00−11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スケートボードが乗るレールを備えたスケートボード練習補助装置であって、
差し込み方式のレール継手により抜き差し可能に直列に接続されて前記レールを構成する筒形状に形成された複数のレール本体と、
前記レールの一端部又は両端部に対し差し込み方式のスタンド継手を介して抜き差し可能に接続され、前記レールの端部を上下方向で支持する端部スタンド部と、
前記複数のレール本体同士の繋ぎ目を上下方向で支持し、前記繋ぎ目のレール継手に対して差し込み方式で抜き差し可能に接続される繋ぎ目スタンド部と、
ベルト部材の締付で前記レールの前端部に位置する前端レール本体と後端部に位置する後端レール本体に対して互いに向かい合う方向に押し込み力を付与するベルト締付手段とを備え、
前記複数のレール本体、前記端部スタンド部及び前記繋ぎ目スタンド部を樹脂材で形成したことを特徴とするスケートボード練習補助装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記端部スタンド部は、前記前端レール本体を支持する前部側の端部スタンド部と、前記後端レール本体を支持する後部側の端部スタンド部とが設けられ、
前記ベルト締付手段は、前記前部側の端部スタンド部と前記後部側の端部スタンド部との間に掛け回されたベルト部材を長さ調整バックルを通して引っ張ることにより緊結する緊結ベルトで構成したことを特徴とするスケートボード練習補助装置。
【請求項3】
請求項1及び2のいずれか1項において、
前記複数のレール本体、前記端部スタンド部及び前記繋ぎ目スタンド部を円筒形状に形成したことを特徴とするスケートボード練習補助装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記端部スタンド部は、上下方向に延びる円筒形の支柱を有し、前記支柱の内径部内に前記ベルト部材が通されていて、前記内径部に差し込まれる前記スタンド継手の差し込み部には、前記ベルト部材を挟み込む切欠溝が形成されていることを特徴とするスケートボード練習補助装置。
【請求項5】
請求項1及び2のいずれか1項において、
前記複数のレール本体、前記端部スタンド部及び前記繋ぎ目スタンド部を角筒形状に形成したことを特徴とするスケートボード練習補助装置。
【請求項6】
請求項において、
前記端部スタンド部は、前記支柱を接地面に対して支持する接地部が接地面に接する金属板と、前記金属板の上面に起立固定された金属製の金属筒とにより構成し、前記支柱と前記金属筒を差し込み方式で接続し、固定したことを特徴とするスケートボード練習補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スケートボードで丸形レールや角形レールの上をスライドするボードスライド等の練習を行うためのスケートボード練習補助装置に係り、特に、持ち運びが容易で、安全性を備えたスケートボード練習補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スケートボードの競技等において、レールの上をスライドする技(以下「ボードスライド」という。)がある。このようレールスライドを習得するには、高さの低い丸形又は角形の中空パイプをレールとして利用して練習することから始めるのが一般的で、金属製パイプの両端にスタンドを取り付けたスケートボード練習補助装置が市販されている(非特許文献1)。
【0003】
スケートボード練習補助装置は、レールに大きな衝撃、荷重が加わるため、金属製中空パイプとスタンドは強固に固定している。金属パイプ製のレールと金属パイプ製のスタンドとを固定する構造としては、例えばレールとパイプを金属パイプ製の継手をネジで固定する構成が提案される。この場合、継手に雌ネジを切ったネジ孔を形成し、レールとスタンドにはネジ孔に合わせてネジの通し孔を形成し、通し孔に取り付けネジを差し込んでネジ孔にねじ込み、継手を介してレールとスタンドの固定を行う。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】“スケートボードレール”、[online]、令和1年5月29日、株式会社都村製作所、[令和1年5月29日検索]、インターネット<URL:https://shop.tsumura-f.co.jp/shopdetail/000000000395/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スケートボード練習補助装置を使用した練習は、広くて安全な場所が必要となるため、練習場所まで持ち運ぶには、スケートボード練習補助装置を分解組み立て構造とすると共に軽量化を図ることが望まれる。このため、レールとスタンドと継手を塩化ビニル管で構成することにより軽量化を図ることが可能となる。
【0006】
しかし、スケートボード練習補助装置を金属製パイプに代えて塩化ビニル管で構成し、ネジ止めによる固定方式を採用すると、レールに大きな荷重や強い衝撃が加わった場合、継手側に形成したネジ孔のネジ山が潰れ易く、取り付けネジが抜けるという安全性の問題が生じる。
【0007】
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、持ち運びが容易で、安全性を備えたスケートボード練習補助装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
〔発明1〕 上記目的を達成するために、発明1のスケートボード練習補助装置は、スケートボードが乗るレールを備えたスケートボード練習補助装置であって、差し込み方式のレール継手により抜き差し可能に直列に接続されて前記レールを構成する筒形状に形成された複数のレール本体と、前記レールの一端部又は両端部に対し差し込み方式のスタンド継手を介して抜き差し可能に接続され、前記レールの端部を上下方向で支持する端部スタンド部と、前記複数のレール本体同士の繋ぎ目を上下方向で支持し、前記繋ぎ目のレール継手に対して差し込み方式で抜き差し可能に接続される繋ぎ目スタンド部と、ベルト部材の締付で前記レールの前端部に位置する前端レール本体と後端部に位置する後端レール本体に対して互いに向かい合う方向に押し込み力を付与するベルト締付手段とを備え、前記複数のレール本体、前記端部スタンド部及び前記繋ぎ目スタンド部を樹脂材で形成した。
【0009】
〔発明2〕 さらに、発明2のスケートボード練習補助装置は、発明1のスケートボード練習補助装置において、前記端部スタンド部は、前記前端レール本体を支持する前部側の端部スタンド部と、前記後端レール本体を支持する後部側の端部スタンド部とが設けられ、前記ベルト締付手段は、前記前部側の端部スタンド部と前記後部側の端部スタンド部との間に掛け回されたベルト部材を長さ調整バックルを通して引っ張ることにより緊結する緊結ベルトで構成した。
【0010】
〔発明3〕 さらに、発明3のスケートボード練習補助装置は、発明1及び2のいずれか1のスケートボード練習補助装置において、前記複数のレール本体、前記端部スタンド部及び前記繋ぎ目スタンド部を円筒形状に形成した。
【0011】
〔発明4〕 さらに、発明4のスケートボード練習補助装置は、発明3のスケートボード練習補助装置において、前記端部スタンド部は、上下方向に延びる円筒形の支柱を有し、前記支柱の内径部内に前記ベルト部材が通されていて、前記内径部に差し込まれる前記スタンド継手の差し込み部には、前記ベルト部材を挟み込む切欠溝が形成されている。
【0012】
〔発明5〕 さらに、発明5のスケートボード練習補助装置は、発明1及び2のいずれか1のスケートボード練習補助装置において、前記複数のレール本体、前記端部スタンド部及び前記繋ぎ目スタンド部を角筒形状に形成した。
【0013】
〔発明6〕 さらに、発明6のスケートボード練習補助装置は、発明4及び5のいずれか1のスケートボード練習補助装置において、前記端部スタンド部は、前記支柱を接地面に対して支持する接地部が接地面に接する金属板と、前記金属板の上面に起立固定された金属製の金属筒とにより構成し、前記支柱と前記金属筒を差し込み方式で接続し、固定した。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、発明1のスケートボード練習補助装置によれば、複数のレール本体をレール継手で抜き差し可能に繋いだレールを樹脂製の管材で構成しても、ベルト部材の締付で差し込み方向に付与した締付力で保持しているので、スケートボードの練習中にレール部材が緩むことがなく、安全性が確保される。また、レール本体に加えて支持スタンド部と繋ぎ目スタンド部、及び各種継手も樹脂製管材で構成するため、全体を軽量化でき、分解した状態での持ち運びが容易となる。
【0015】
さらに、発明2のスケートボード練習補助装置によれば、ベルト締付手段はベルト部材を引っ張って締め付けると緩むことなく緊結されるので、簡単な操作で締付ができ、しかも確実に締付力が保持される。
【0016】
さらに、発明3のスケートボード練習補助装置によれば、丸形の硬質ポリ塩化ビニル管等の円筒形状に形成された管材は市販されており入手が容易であるため、スケートボード練習補助装置を安価に提供することができる。
【0017】
さらに、発明4のスケートボード練習補助装置によれば、支柱の内径部にスタンド継手の差し込み部を差し込むだけで、支柱とスタンド継手の相対的な回転を阻止することができ、練習中に端部スタンドが不用意に動くことを防止することができる。
【0018】
さらに、発明5のスケートボード練習補助装置によれば、継手で接続される部材同士は軸回りにおける相対的な回転ができない構造であるため、特別な回り止め手段を設けることを不要とする。
【0019】
さらに、発明6のスケートボード練習補助装置によれば、レールの高さを低くすることができ、また安定してレールを支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明によるスケートボード練習補助装置の第1実施形態を示す分解正面図である。
図2図1中の各スタンドを示し、(a)はA矢視図、(b)はB矢視図、(c)はC矢視図である。
図3図1に示すスケートボード練習補助装置の組み立て状態を示し、(a)は上面図、(b)は正面図である。
図4図3(a)のD矢視断面図である。
図5図1に示すスケートボード練習補助装置の追加レールユニットを示す分解正面図である。
図6】本発明によるスケートボード練習補助装置の第2実施形態を示し、第1レール部と第1スタンドの一部を示す分解斜視図である。
図7】第3実施形態を示す第3スタンド部の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1から図5は本発明によるスケートボード練習補助装置の第1実施形態を示す。なお、図1中、右側を前端と称し、左側を後端と称す。
【0022】
図1において、スケートボード練習補助装置(以下「練習補助装置」という。)1は、第1レール部10と、第2レール部20と、第1スタンド部30と、第2スタンド部40と、第3スタンド部50と、ベルト締付手段をなす緊結ベルト60とにより構成している。第1レール部10と、第2レール部20と、第1スタンド部30と、第2スタンド部40と、第3スタンド部50は硬質ポリ塩化ビニル管(以下「塩ビ管」という。)で構成されている。第1レール部10の直管の第1レール本体11と第2レール部20の直管の第2レール本体21によりレールを構成する。第1スタンド部30と第3スタンド部50は前記レールの前後両端部を支持する端部スタンド部を構成し、第2スタンド部40は、第1レール本体11と第2レール本体21の繋ぎ目を支持する繋ぎ目スタンド部を構成する。
【0023】
練習補助装置1の概略構成は、第1レール部10の後端部に第2レール部20の前端部が差し込み方式のレール用継手で接続されて抜き差し可能なレールをなす。第1スタンド部30は第1レール部10の前端部に差し込み方式のスタンド用継手で抜き差し可能に接続される。また、第2スタンド部40は、第1レール部10と第2レール部20の繋ぎ目部分に差し込み方式のスタンド用継手で抜き差し可能に接続され、第3スタンド部50は第2レール部20の後端部に差し込み方式のスタンド用継手で接続される。
【0024】
図3に示すように、練習補助装置1の上記した各構成要素を継手方式で接続した後、緊結ベルト60のベルト部材であるベルト本体60aを第1スタンド部30の第1支柱31の中を通し、さらに第3スタンド部50の第3支柱51の中を通し、長さ調整バックル61に通したベルト本体60aの自由端側を強く引っ張って緊結することで、第1レール部10と第2レール部20が図1中左右方向(軸方向)に沿って互いに向かい合う方向に強く押し付け合う押し込み力を発生し、ガタつくことなく固定される。
【0025】
次に、練習補助装置1の各構成要素について説明する。
〔第1レール部10〕
塩ビ管製の第1レール部10は、円筒形状に形成された塩ビ管製の第1レール本体11と、第1レール本体11の前端部11aの内径部に取り付けられた円筒形状の90度エルボであるスタンド用継手の第1継手12と、第1レール本体11の後端部11bの内径部に取り付けられた円筒形状のT型チーズであるレール用継手である第2継手13とにより構成している。第1継手12は、90度エルボの一端差し込み部12aが第1レール本体11の前端部11aの内径部に差し込まれ、接着剤を介して接着固定される。ここで、第1レール本体11に固定された第1継手12の他端差し込み部12bの軸心方向を上下方向とする。
【0026】
また、一端差し込み部12aの軸方向を前後方向とすると、前後方向に沿った軸線と上下方向に沿った軸線と互いに直交する方向である紙面に対して表裏方向を幅方向とする。第1継手12の他端差し込み部12bの周壁には、縦長に形成された切欠溝12cを幅方向において対向して形成している。一対の切欠溝12cは、他端差し込み部12bの開口端から上方に向けて所定の長さ形成された逆凹形状に形成されている。
【0027】
第2継手13は、円筒形状に形成されたT型チーズで、上下方向に延びる縦差し込み部13aを中心として水平方向に両側に90度の角度を有して分岐する第1分岐差し込み部13bと第2分岐差し込み部13cが形成されている。第1分岐差し込み部13bが第1レール本体11の後端部11bの内径部に接着剤を介して接着固定される。その際、縦差し込み部13aは上下方向の軸線に合わせて配置される。第1レール本体11の後端部11bの下半部分は、縦差し込み部13aが第1分岐差し込み部13bとの突き合わされる外周形状に合致した湾曲凹部形状に切り欠いた切欠部11cが形成されている。このため、第1分岐差し込み部13bは前後方向において、縦差し込み部13aの軸中心位置まで第1レール11の後端部11bに差し込むことができる。
【0028】
〔第2レール部20〕
第2レール部20は、第1レール本体11と同径の円筒形状に形成された塩ビ管製の第2レール本体21と、第3継手22で構成される。第2レール本体21の前端部21aの下半部分に第1レール本体11の切欠部11cと対称の切欠部21cが形成される。第2レール本体21の前端部21aは、第2継手13の第2分岐差し込み部13cに、縦差し込み部13aの軸中心位置まで差し込まれ、抜き差し可能に接続される。
【0029】
第3継手22は第1継手12と同一のものを使用しており、第1継手12と同様に第2レール本体21の後端部21bに取り付けられる。なお、第3継手22の構成において、第1継手12と同じ部分には符号12に代えて符号22を付し、アルファベットの添え字は同様としてその説明は省略する。
【0030】
第3継手22は、一端差し込み部22aが第2レール本体21の後端部21の内径部に差し込まれて接着固定され、他端差し込み部22bに一対の切欠溝22cが幅方向に対向して形成される。
【0031】
〔第1スタンド部30〕
図1及び図2(a)に示すように、第1スタンド部30は、第1レール本体11の前端部を支持する。第1レール本体11と同径の塩ビ管製の前支柱である第1支柱31と、第1支柱31の下端部31aに固定される第1接地部32とにより構成している。第1支柱31の上端部31bの内径部には、第1継手12の他端差し込み部12bが抜き差し可能に差し込まれる。第1支柱31は、上端部31bの端面が第1継手12の90度に曲がる内側湾曲部に達する差し込み停止位置まで差し込まれる。
【0032】
第1支柱31の上端部31bの周壁には、緊結ベルト60のベルト本体60aが挿通可能な上下方向の高さを有する上下に細長いスリット31cが一対の切欠溝12cに対応して幅方向(図2(a)において左右方向)に対向して形成されている。そして、第1支柱31が差し込み停止位置まで他端差し込み部12bに差し込まれた状態において、図4に示すように、一対の切欠溝12cと一対のスリット31cは正対した状態になる。
【0033】
本実施形態において、緊結ベルト60は練習補助装置1の組み立て前に、予め第1支柱31の一対のスリット31c内にベルト本体60aが通されている。このため、第1支柱31に第1継手12の他端差し込み部12bを差し込むと、一対の切欠溝12cが第1支柱31の内径部内を幅方向に沿ってと配置される緊結ベルト60のベルト本体60aに差し込まれる。練習補助装置1の組み立て完了のために、ベルト本体60aを緊結すると、第1支柱31内を通るベルト本体60aは緊張されるので、第1継手12の他端差し込み部12bと第1支柱31とは上下方向に沿った軸心の周りについて一体化し、相対的な回転が阻止される。
【0034】
第1接地部32は、第1スタンド部30の幅方向における起立安定性を保持するもので、第2継手13と同一サイズ(規格)の継手を上下方向逆にして用いた第1接地継手33の縦差し込み部33aを第1支柱31の下端部31aの内径部に接着剤を介して接着固定される。第1接地継手33は、第1分岐差し込み部33bと第2分岐差し込み部33cを幅方向に沿って配置する。本実施形態において、第2継手13と第1接地継手33は同サイズの規格化された製品を使用しているため、第1分岐差し込み部33bと第2分岐差し込み部33cの長さでは第1支柱31の起立保持に不安定であるため、第1分岐差し込み部33bと第2分岐差し込み部33cにそれぞれ延長接地パイプ34、35を継ぎ足している。延長接地パイプ34、35は第1パイプ本体11と同サイズ(規格)のパイプを使用し、内径部に第1分岐差し込み部33bと第2分岐差し込み部33cを差し込んで接着固定している。
【0035】
〔第2スタンド部40〕
図1及び図2(b)に示すように、第2スタンド部40は、第1レール部10と第2レール部20の繋ぎ目部分を支持する。第2スタンド部40は基本的に第1スタンド部30と同構造に形成され、第2支柱41の下端部41aに第2接地部42が固定される。第2接地部42は、第1接地継手33と同じ継手である第2接地継手43の縦差し込み部43aを第2支柱41の下端部41aの内径部に差し込み、接着剤を介し接着固定している。第2支柱41の上端部41bの内径部に第2継手13の縦差し込み部13aを抜き差し可能に差し込む。第2継手13はレール用の継手とスタンド用の継手を兼用する。
【0036】
第2スタンド20は、主に下向きの荷重を支持することから、第1スタンド部30のように第2支柱41の幅方向の振れは大きくないので、延長接地パイプ34、35を設けていない。このため、練習補助装置1の軽量化を図ることができる。
【0037】
〔第3スタンド部50〕
第3スタンド部50は、図1及び図2(c)に示すように、第1スタンド部30と同一の構成を有している。第3スタンド部50は、第2レール部20と同一の内径を有する塩ビ管製の後ろ支柱である第3支柱51の下端部51aに第3接地部52を固定している。第3接地部52は第1接地部32と同一構造で、第3接地継手53の縦差し込み部53aを第3支柱51の下端部51aの内径部に接着剤を介して接着固定される。第1分岐差し込み部53bと第2分岐差し込み部53cにそれぞれ延長接地パイプ54、55を継ぎ足している。
【0038】
第1支柱31と同構成の第3支柱51には、一対のスリット51cが幅方向に対向して形成され、一対のスリット51cにベルト本体60aが通される。第3支柱51の上端部51bの内径部に第3継手22の他端差し込み部22bが差し込まれる。その際、第3継手22の一対の切欠溝22cは、一対のスリット51cを通るベルト本体60aに差し込まれる。したがって、第3スタンド部50と第3継手22との相対的な回転が阻止される。
【0039】
〔緊結ベルト60〕
緊結ベルト60のベルト本体60aの長さは、第1レール本体11と第2レール本体21とを同じ長さとした場合、例えば第1レール本体11を3本繋ぎ合わせた長さのレールに対して掛け回すことができる長さに引っ張るための把持部分の余裕を持たせた長さを有する。緊結ベルト60は、ベルト本体60aの一端部に長さ調整バックル61が取り付けられる。長さ調整バックル61は、図1及び図2(a)に示すように、四角形のフレーム部62内に、第1格子部63と第2格子部64が隔設されている。緊結ベルト60の一端側は、フレーム部62の一端側の裏側から第1格子部63で折り返し、折り返し先端部をベルト本体60aの裏側で縫合している。ベルト本体60aの自由端側は、フレーム部62の他端側の裏側から差し込んで第2格子部64で折り返し、フレーム部62の他端側フレームとベルト本体60aの表側との間を通して引き出され、引き出された部分を把持部分とする。この長さ調整バックル61は、把持部分を引くという簡単な操作でベルト本体60aで形成される輪を小さくすることができるが、輪に延び方向の力が作用しても前記把持部分が引き戻されることはなく、緊結状態が保持される。
【0040】
第1レール部10と第2レール部20を第1レール部10側の第2継手13により抜き差し可能に繋ぎ合わせ、第1スタンド部30の第1支柱31に第1継手12を抜き差し可能に差し込む。同様に、第2スタンド部40の第2支柱41の内径部に第2継手13の縦差し込み部13aを抜き差し可能に差し込む。さらに、第3スタンド部50の第3支柱51の内径部に第3継手22の他端差し込み部22bを抜き差し可能に差し込む。このようにして練習補助装置1は図3のように組み立てられる。
【0041】
最後に、第1支柱31の一対のスリット31cと第3支柱51の一対のスリット51cに予め通しておいた緊結ベルト60のベルト本体60aを長さ調整バックル61に通し、ベルト本体60aの把持部分を強く引っ張ることにより、前後方向における第1レール本体11と第2レール本体21の各差込み部を差し込み方向に強い力で押し付けて強固に一体化する。緊結ベルト60のベルト本体60aは第1レール部11と第2レール部21と平行に配置することにより、緊結力をロスなく第1レール部11と第2レール部21の差し込み方向に付与することができる。また、ベルト本体60aを90度エルボの第1継手12と第3継手22に近づけた上方位置の一対のスリット31c、51cに通しているので、緊結力をより一層ロスなく第1レール部11と第2レール部12に加えることができる。ベルト本体60aが第1継手12と第3継手22から離れた下方に位置すると、第1支柱31と第3支柱51が互いに向かい合う内側方向に曲げ変形を受け、第1レール本体11と第2レール本体21の各差込み部における差し込み方向の力が弱まる。
【0042】
図3(b)に示すように、練習補助装置1の組み立て状態において、第1支柱31の内径部内でベルト本体60aに対して第1継手12の一対の切欠溝12cが挟み込まれるようにして差し込まれるため、第1支柱31が第1継手12に対し、上下方向の軸心を中心とする回転が規制される。このため、第1スタンド部30の第1接地部32は、幅方向に沿って延びた状態に位置決めされる。第3支柱51と第3継手22も同様な構成であるため、第3スタンド部50の第3接地部52も同様な位置きめが行われる。
【0043】
第2スタンド部40は、第2接地部42を幅方向に沿って延びた状態に位置決めする規制手段は特に設けていない。このため、第2スタンド部40を第2継手13の縦差し込み部13aに差し込む際に、第2接地部42を幅方向に沿うように差し込む。
【0044】
第3スタンド部50の全体的な高さは第1スタンド部30と同じとしているが、高さが異なってもよい。
【0045】
本実施形態において、第1レール本体11と第2レール本体21は例えば60cm程度の長さとすることにより、持ち運びが容易である。また、第1レール本体11と第2レール本体21の塩ビ管としては、呼び径(内径)が例えば150mmを例示することができる。勿論、これに限定されるものではない。
【0046】
第1レール本体11と第2レール本体21を繋いだ長さでは不十分の場合には、図5に示す追加レールユニット70を用いて長さを延長することができる。
【0047】
図5において、追加レールユニット70は、追加レール部71と、第2スタンド部40と同じ構成の追加スタンド72とにより構成される。追加レール部71は、図1において、第1レール部10と第2レール部20との間に配置され、追加スタンド72は、追加レール部71と第2レール部20の繋ぎ目を支持する。
【0048】
追加レール部71は、第2レール本体21をそのまま利用した追加レール本体73と、第1レール部10の第2継手13と同一の追加継手74で構成される。追加レール本体73の前端部73aの内径部に第2継手13の他端差し込み部13bが抜き差し可能に差し込まれる。追加レール本体73の後端部73bには、追加継手74が第1レール部10の構造と同様にして接着固定される。
【0049】
また、追加レール本体73の前端部73aの下半部分には第2レール本体21の切欠溝12cと同じ切欠溝73cが形成され、追加レール本体73の前端部が第2継手13の縦差し込み部13aとの干渉を避けて差し込み可能としている。
【0050】
このように、追加レール本体73を追加しても、緊結ベルト60は余裕をもって第1レール本体11と追加レール本体73と第2レール本体21を差し込み方向に沿って緊結保持することができる。
【0051】
本実施形態の練習補助装置1によれば、装置全体を構成する第1レール部10、第2レール部20、追加レールユニット70、第1スタンド部30、第2スタンド部40、第3スタンド部50は硬質ポリ塩化ビニル管を用いているため、軽量化することができる。
【0052】
また、第1レール部10、第2レール部20、追加レールユニット70、第1スタンド部30、第2スタンド部40、第3スタンド部50は、それぞれ継手等の構成部材をネジ止めではなく接着剤で固定し、雌ネジ部を不要としているので、練習中に雌ネジ部が潰れて取り付けネジが抜けるということがなく、安全性に優れている。
【0053】
さらに、丸形の硬質ポリ塩化ビニル管は市販されており入手が容易であるため、練習補助装置1を安価に提供することができる。
【0054】
また、第1レール本体11と第2レール本体21、追加する場合には追加レール本体71の前後方向に沿った組付けは、前後方向に沿って継手を用いて差し込む方式を採用しているが、前後方向の両端に設けた第1スタンド部30と第3スタンド部50の一対のスリット31c、51c内を通したベルト本体60aを緊張し、前後方向に沿って第1レール本体11と第2レール本体21、又はその間に追加レール本体71を継ぎ足した状態で緊結している。このため、第1レール本体11と第2レール本体21、又はその間に継ぎ足した追加レール本体71が一体化し、抜けが防止され、練習でレール上に強い衝撃や荷重を加えても安全性が維持される。
【0055】
さらに、第1スタンド部30の第1支柱31に対し、差し込み相手の第1継手12の他端差し込み部12bの回り止め手段として第1支柱31の内径部に配置するベルト本体60aを利用している。他端差し込み部12bに形成した一対の切欠溝12cを上からベルト本体60aに差し込んで挟み込むようにているので、第1継手12と第1支柱31とは上下方向に沿った軸心回りの相対的な回転が規制される。第3スタンド50の第3支柱51と第3継手22との関係においても同様である。したがって、練習中に第1レール本体11や第2レール本体21等のレールに対して幅方向に沿った力を加え、第1継手13、第3継手22に上下方向の軸心回りに回転モーメントを発生させても、第1支柱31、第3支柱51がこれを受け止めるので、レールが不用意に動くことが防止される。また、緊結ベルト60はベルト本体60aが樹脂繊維などで形成されるため、その弾性力で回転モーメントを緩衝して受け止めるため、急激な反力の発生を防止することができる。緊結ベルト60を緩めれば、第1継手12から第1スタンド部30を容易に抜き取ることができる。第1レール本体11と第2レール本体21との抜き取りも同様である。
【0056】
また、練習補助装置1のレールを傾斜させる場合には、第3スタンド部50を第1スタンド部30よりも低いスタンド部に交換すればよく、第3スタンド部50を設けなくてもよい。
【0057】
〔第1実施形態の変形例〕
第1支柱31と第3支柱51にはそれぞれ縦長矩形開口のスリット31c、51cを設けているが、スリット31c、51cを第1支柱31及び第3支柱の上端まで達し、上端が開口した深溝形状としてもよい。この場合、ベルト本体60aをスリット31c、51cの上端開口から差し込むことができるので、ベルト本体60aの取り付け作業が容易となる。
【0058】
第1接地部32の延長接地パイプ34,35と第3接地部52の延長接地パイプ54,55を金属製パイプとしてもよい。
【0059】
〔第2実施形態〕
図6は本発明によるスケートボード練習補助装置の第2実施形態を示す。第1実施形態は、練習補助装置1の第1レール部10、第2レール部20、追加レールユニット70、第1スタンド部30、第2スタンド部40、第3スタンド部50を円筒形状の丸形塩ビ管で構成しているが、第2実施形態は、これらの各部材を角形塩ビ管で構成している。
【0060】
図6は、練習補助装置100の一部である第1レール部110と第1スタンド130の第1支柱131との分解斜視図を示している。第1レール部110は、角形の第1レール本体111の前端部111aの内径部に角形の90度エルボである第1継手112の一端差し込み部112aが差し込まれて接着剤を介して接着固定されている。第1レール本体111の後端部111bの内径部に、角形のT型チーズである第2継手113の第1分岐差し込み部113bが差し込まれて接着剤を介して接着固定されている。後端部111bの底壁部には、差し込みの際に縦差し込み部113aとの干渉を避ける切欠部111cが形成されている。
【0061】
第1継手112の他端差し込み部112bは外形が角形形状に形成され、第1スタンド130の第1支柱131は内径部1311が角孔に形成されている。角孔の内径部1311に角形外形の他端差し込み部112bが抜き差し可能に差し込まれるため、上下方向に沿った軸心の回りについて回転不能に嵌合し、第1支柱113と他端差し込み部112bが相対的に回転することはない。したがって、第1実施形態のように他端差し込み部12bに切欠溝12cを設け、ベルト本体60aに差し込ませる構成は不要となる。図示しない緊結ベルト60のベルト本体60aは、第1支柱131と図示しない第3支柱との外周面に掛け回して緊結される。
【0062】
〔第3実施形態〕
図7は第3実施形態を示す第3スタンド部の概略斜視図である。
第3実施形態の第3スタンド部50は、スリット51cを備えた第3支柱51を支持する第3接地部52´を平板上の金属板57と、金属板57の上に金属製の金属筒58を垂直に立て、金属筒58を溶接など金属板57に固定した構成としている。そして、第3支柱51の内径部を金属筒58に外嵌して固定している。固定手段としては、接着剤、ネジ止め等が用いられる。ネジ止めの場合、金属筒58にネジ孔をを設け、第3支柱51に設けたネジ通し孔にネジを通してネジ孔に螺合させて締め付けるので、ネジ山がつぶれることがない。
【0063】
第3実施形態によれば、金属板57を接地させるため、広い面積での接地が可能となり、安定してレールの支持を行うことができる。第1スタンド部30は、第1接地部32をこの金属板57を用いた構成の第3接地部32´とすることができる。
【0064】
第1スタンド部30の第1接地部32´と第3スタンド部50の第3接地部52´は接地面に接地する部材をパイプ状の管材から金属板57に変更しているので、第1スタンド部30と第3スタンド部50の高さは低くなる(金属板57の板厚は管材の外径よりもはるかに小さい)。このため、第2スタンド部40の高さも低くする必要がある。そこで、第2スタンド部40は、第2接地部42を廃止し、第2支柱41の下端を接地面に接地させることでレールの水平を維持することができる。
【0065】
〔他の実施形態〕
追加レールユニット70の接続は、1本だけでなく、複数本の追加レールユニット70を接続してもよく、複数本の追加レール本体73を接続し、その両端に第1レール本体11と第2レール本体21を接続する。
【0066】
また、緊結ベルト60を除く練習補助装置1、100の構成要素は硬質の塩ビ管を用いているが、硬質でなくてもよく、塩ビ管でなくてもよく、軽量の樹脂管で、スケートボードのボードスライドに耐える強度を備えたものであればよい。
【0067】
さらに、第2レール部20は、第2レール本体21の後端部21bを地面などに固定し、第1レール部10側を高くしてレールを傾斜させて練習補助装置1を使用する場合、第3スタンド部50を設けなくてもよい。その際、緊結ベルト60のベルト本体60aは、第2レール本体21の後端側端面に掛けて緊結する。
【符号の説明】
【0068】
1…スケートボード練習補助装置(練習補助装置)、 10…第1レール部、 11…第1レール本体、 11a…前端部、 11b…後端部、 11c…切欠部、 12…第1継手、 12a…一端差し込み部、 12b…他端差し込み部、 12c…切欠溝、 13…第2継手、 13a…縦差し込み部、 13b…第1分岐差し込み部、 13c…第2分岐差し込み部、 20…第2レール部、 21…第2レール本体、 21a…前端部、 21b…後端部、 21c…切欠部、 22…第3継手、 22a…一端差し込み部、 22b…他端差し込み部、 22c…切欠溝、 30…第1スタンド部、 31…第1支柱、 31a…下端部、 31b…上端部、 31c…スリット、 32…第1接地部、 33…第1接地継手、 33a…縦差し込み部、 33b…第1分岐差し込み部、 33c…第2分岐差し込み部、 34、35…延長接地パイプ、 40…第2スタンド部、 41…第2支柱、 41a…下端部、 41b…上端部、 42…第2接地部、 43…第2接地継手、 43a…縦差し込み部、 50…第3スタンド部、 51…第3支柱、 51a…下端部、 51b…上端部、 52、52´…第3接地部、 53…第3接地継手、 53a…縦差し込み部、 53b…第1分岐差し込み部、 53c…第2分岐差し込み部、 54、55…延長接地パイプ、 57…金属板、 58…金属筒、 60…緊結ベルト、 61…長さ調整バックル、 62…フレーム部、 60a…ベルト本体、 63…第1格子部、 64…第2格子部、 70…追加レールユニット、 71…追加レール部、 72…追加スタンド、 73…追加レール本体、 73a…前端部、 73b…後端部、 73c…切欠溝、 74…追加継手、 100…練習補助装置、 110…第1レール部、 130…第1スタンド、 131…第1支柱、 1311…内径部、 111…第1レール本体、 111a…前端部、 111b…後端部、 112…第1継手、 112a…一端差し込み部、 112b…他端差し込み部、 113…第2継手、 113b…第1分岐差し込み部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7