(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6831916
(24)【登録日】2021年2月2日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】SiC素材及びSiC複合素材
(51)【国際特許分類】
C01B 32/956 20170101AFI20210208BHJP
C04B 41/87 20060101ALI20210208BHJP
【FI】
C01B32/956
C04B41/87 G
C04B41/87 V
C04B41/87 M
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-530632(P2019-530632)
(86)(22)【出願日】2017年8月18日
(65)【公表番号】特表2019-526525(P2019-526525A)
(43)【公表日】2019年9月19日
(86)【国際出願番号】KR2017009002
(87)【国際公開番号】WO2018034532
(87)【国際公開日】20180222
【審査請求日】2019年2月15日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0104726
(32)【優先日】2016年8月18日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519053658
【氏名又は名称】トカイ カーボン コリア カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】キム チョン イル
【審査官】
若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−107239(JP,A)
【文献】
特開平11−199323(JP,A)
【文献】
特開2012−136368(JP,A)
【文献】
特表2007−513257(JP,A)
【文献】
特開平11−157989(JP,A)
【文献】
特開2008−277781(JP,A)
【文献】
特開2001−130964(JP,A)
【文献】
特開2000−169298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/00−32/991
C04B 35/56−35/599
41/80−41/91
C23C 16/00−16/56
C30B 1/00−35/00
H01L 21/205
21/302
21/3065
21/31
21/365
21/461
21/469
21/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベース上の少なくとも一面に形成された第1SiCコーティング膜と、
前記第1SiCコーティング膜上に形成された第2SiCコーティング膜と、
を含み、
前記第1SiCコーティング膜及び第2SiCコーティング膜は、下記の式(1)により算出されるX
線回折ピークの回折強度比(I)が互いに異な
り、
前記第1SiCコーティング膜の回折強度比(I)は、1.21超過であり、
前記第2SiCコーティング膜の回折強度比(I)は、1.5未満である、
SiC多重層複合素材。
【数1】
【請求項2】
前記第1SiCコーティング膜の回折強度比(I)は、1.21超過及び1.5未満である、請求項1に記載のSiC多重層複合素材。
【請求項3】
前記第1SiCコーティング膜の回折強度比(I)は、1.5以上である、請求項1に記載のSiC多重層複合素材。
【請求項4】
前記第1SiCコーティング膜対第2SiCコーティング膜の厚さ比は、1:0.1〜1:0.95である、請求項1に記載のSiC多重層複合素材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SiC素材及びこれを用いたSiC複合素材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、半導体製造装備に用いられるサセプタ又はフォーカスリング、電極などは、既存の半導体工程で使用した炭素素材をそのまま使用すれば、炭素素材で異物が生じる問題がある。
【0003】
このような問題を考慮して、炭素素材の構造物の表面にSiCやTaCをコーティングして使用する方法が用いられている。
【0004】
SiCは、耐熱性及び耐化学性に強く、物理的な強度が高くて利用可能性が高いものの、半導体分野で使用するSiCは、プラズマ環境で表面のエッチングが発生し、このようなプラズマによるエッチングは、SiCの結晶方向により異なるエッチング量を示す。このような互いに異なるエッチング量によってSiC素材の製品安定性が低くなり、SiC素材の頻繁な切り替えは半導体の製造コストなどが増加する原因となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述したような問題を解決するためのもので、プラズマ環境で安定的で均一にエッチングされるSiC素材及びSiC複合素材を提供することにある。
【0006】
また、本発明は、SiC多重層複合素材を提供することにある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されることなく、言及されない他の課題は下記の記載によって通常の技術者に明確に理解できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、下記の式(1)により算出されるX
線回折ピークの回折強度比(I)が1.5未満であるSiC素材に関する。
【0009】
【数1】
本発明の一実施形態により、前記回折強度比(I)は、1.21以下であり得る。
【0010】
本発明の一実施形態により、前記回折強度比(I)は、1.0以下であり得る。
【0011】
本発明の一実施形態により、前記回折強度比(I)は、0.9以下であり得る。
【0012】
本発明の一実施形態により、前記回折強度比(I)は、0.8以下であり得る。
【0013】
本発明の一実施形態により、前記111面のピークの2θ値は、前記111面のピークの2θ値は35°〜36°であり、前記200面ピークの2θ値は41°〜42°であり、前記220面のピークの2θ値は60°〜61°であり得る。
【0014】
本発明の他の態様は、ベースと、前記ベース上の少なくとも一面に形成されたSiCコーティング膜とを含み、前記SiCコーティング膜は、前記回折強度比(I)が1.5未満であるSiC複合素材に関する。
【0015】
本発明の更なる態様は、ベースと、前記ベース上の少なくとも一面に形成された第1SiCコーティング膜と、前記第1SiCコーティング膜上に形成された第2SiCコーティング膜とを含み、前記第1SiCコーティング膜及び第2SiCコーティング膜は、下記の式(1)により算出されるX
線回折ピークの回折強度比(I)が互いに異なるSiC多重層複合素材に関する。
【0016】
【数2】
本発明の一実施形態により、前記第1SiCコーティング膜の回折強度比(I)は、1.21超過であり得る。
【0017】
本発明の一実施形態により、前記第1SiCコーティング膜の回折強度比(I)は、1.21超過及び1.5未満であり得る。
【0018】
本発明の一実施形態により、前記第1SiCコーティング膜の回折強度比(I)は、1.5以上であり得る。
【0019】
本発明の一実施形態により、前記第2SiCコーティング膜の回折強度比(I)は、1.5未満であり得る。
【0020】
本発明の一実施形態により、前記第1SiCコーティング膜対第2SiCコーティング膜の厚さ比は、1:0.1〜1:0.95であり得る。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、プラズマに露出される部分にプラズマによって低いエッチング量を有する111面を優先成長の結晶方向に形成し、プラズマ環境で安定的で均一なエッチング量を有するSiC素材及びSiC複合素材を提供することができる。
【0022】
本発明によるSiC素材及びSiC複合素材は、プラズマ環境でクラック、ホールなどの発生頻度を低くして素材の寿命を増加させることができる。
【0023】
本発明は、ソースガスの供給速度、成長速度などのような工程条件を変更して、優先成長の結晶方向を111面に転換させるため、111面を優先成長の結晶方向を有するSiC素材及びSiC複合素材の製造に対する経済性及び生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1A】本発明の一実施形態に係る本発明のSiC素材の断面を例示的に示すものである。
【
図1B】本発明の一実施形態に係る本発明のSiC複合素材の断面を例示的に示すものである。
【
図1C】本発明の一実施形態に係る本発明のSiC多重層複合素材の断面を例示的に示すものである。
【
図2A】本発明の一実施形態に係る本発明のSiC素材のX線回折パターンを例示的に示すものである。
【
図2B】本発明の一実施形態に係る本発明のSiC素材のX線回折パターンを例示的に示すものである。
【
図3】本発明の一実施形態に係る本発明のSiC多重層複合素材のX線回折パターンを例示的に示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明を説明するにおいて、関連する公知機能又は構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合はその詳細な説明を省略する。また、本明細書で用いられる用語は本発明の好適な実施形態を適切に表現するために使用された用語として、これはユーザ、運用者の意図、又は本発明が属する分野の慣例などによって変わり得る。本明細書で本用語に対する定義は、本明細書全般にわたった内容に基づいて下されなければならないのであろう。
【0026】
本発明は、SiC(炭化ケイ素)素材に関し、前記SiC素材は、プラズマ露出面の優先成長の結晶方向に111面を成長させ、プラズマ環境に対する安定性が向上され、均一なエッチング量を有する表面を提供することができる。
【0027】
本発明の一実施形態により、
図1A〜
図1C、
図2A及び
図2Bを参照すると、
図1A〜
図1Cは、本発明の一実施形態に係るSiC素材、SiC複合素材、及びSiC多重層複合素材の断面を例示的に示すものであり、
図2A及び
図2Bは、本発明の一実施形態に係るSiC素材のX線回折パターンを例示的に示すものであり、
図1Aに示すSiC素材1は、
図2A及び
図2Bで提示すように、111面、200面、220面、及び311面のX線回折ピークを主ピークとして有し、前記ピークのうち111面は、SiC1の成長時に優先成長の結晶方向に成長し、最大の回折強度を有する。
【0028】
本発明の一例として、
図2A及び
図2BのX線回折パターンは、本発明の技術分野で適用されるX線回折測定方法を使用し、本明細書には具体的に言及していないが、例えば、薄膜又は粉末X線回折測定方法を用いることができ、好ましくは、SiC素材及び複合素材の表面、又は切断面にX線を照射して実施してもよい。X線分析装置は、「Rigaku、Dmax 2500」を利用し、縦軸に回折強度及び横軸に回折角(2θ)を示すX線パターンを取得し、これについて
図2A〜
図3に適用される。
【0029】
本発明の一例として、X
線回折ピークの回折強度比(I)は下記の式により算出され、X
線回折ピークの回折強度比(I)は1.5未満であってもよく、好ましくは、1.21以下、1.0以下、0.9以下、又は0.8以下であり得る。例えば、
図2A及び
図2Bを参照すると、
図2Aは回折強度比(I)が1.21であるSiC素材であり、
図2Bは回折強度比(I)が0.7であるSiC素材である。前記回折強度比(I)が1.5未満であれば、プラズマ環境で表面エッチングを均一にし、従来の200面及び220面が優先成長の結晶方向を有するSiC素材に比べてエッチング量が少なく、クラック、ホールなどの発生を減らすことができる。
【0030】
【数3】
本発明の一例として、前記111面のピークの2θ値は、35°〜36°、好ましくは、35.2°〜35.8°又は35.6°〜35.8°であってもよく、前記111面のピークが最大の回折強度を示す。
【0031】
本発明の一例として、前記200面のピークの2θ値は41°〜42°であってもよい。前記220面のピークの2θ値は60°〜61°であってもよい。
【0032】
本発明の一例として、SiC素材1は50um以上、好ましくは、500um以上、又は1mm〜10mmの厚さに形成され、前記厚さ範囲内に含まれれば、プラズマ環境で素材の安定性が保持され、寿命が延びて長期間使用することができる。
【0033】
本発明はSiC複合素材に関し、プラズマ環境で最も低くエッチングされる結晶方向が優先成長されたSiCコーティング膜が形成されるため、複合素材の安定性を向上させることができる。
【0034】
本発明の一実施形態により、
図1Bを参照すると、本発明のSiC複合素材2は、ベース10及び前記ベース上の一面、両面、又は全面に形成されたSiCコーティング膜20を含む。
【0035】
本発明の一例として、SiC複合素材2は、一面、両面、又は全面にプラズマに露出され、プラズマに露出される面に形成されたSiCコーティング膜20は、111面、200面、220面、及び311面のX線回折ピークを主ピークとして有し、前記ピークのうち111面は、優先成長の結晶方向に成長し、最大の回折強度を有する。また、前記式(1)により算出されたX
線回折ピークの回折強度比(I)が1.5未満であってもよく、好ましくは、1.21以下、1.0以下、0.9以下、又は0.8以下であり得る。
【0036】
本発明の一例として、ベース10は、SiC基材又は炭素基材であり、前記炭素基材は、半導体工程などに適用される炭素からなる素材を含み、例えば、黒鉛、等方性黒鉛、グラファイト、炭素繊維強化炭素複合材などであってもよく、好ましくは、グラファイトイである。
【0037】
本発明の一例として、SiCコーティング膜20は、5um以上、好ましくは、50um以上、1mm以上、又は、1mm〜10mmの厚さに形成され、前記厚さ範囲内に含まれれば、プラズマ環境で製品の安定性が保持され、SiCコーティング膜のエッチング不均一によるベースの損傷を防止することができ、素材の寿命を延長させることができる。
【0038】
本発明は、SiC多重層複合素材に関し、ベース上に回折強度比(I)を変化させて多層のSiCコーティング膜が形成されるため、プラズマ環境でエッチング量を低くしながら、製品の生産性を向上することができる。
【0039】
本発明の一実施形態により、
図1Cを参照すると、本発明のSiC多重層複合素材3は、ベース10’及び前記ベース上の一面、両面、又は全面に形成された第1SiCコーティング膜20a、及び第1SiCコーティング膜20a上に形成された第2SiCコーティング膜20bを含む。
【0040】
本発明の一例として、ベース10’は、SiC基材又は炭素基材であり、前記で言及したものと同一である。
【0041】
本発明の一例として、第1SiCコーティング膜20a及び第2SiCコーティング膜20bは、式(1)により算出される回折強度比(I)の値が互いに異なってもよい。
【0042】
例えば、
図3を参照すると、
図3において、第1SiCコーティング膜20aは、111面、200面、220面、及び311面のX線回折ピークを主ピークとして有し、前記ピークのうち200面及び220面が優先成長の結晶方向に成長してもよい。また、第1SiCコーティング膜20aは、前記式で算出される回折強度比(I)が1.5以上、又は1.54以上であってもよく、好ましくは、
図3に示すように、回折強度比(I)が1.54であってもよい。これは速い成長が行われた200面及び220面を優先成長の結晶方向に優先成長させた後、相対的に成長速度の低い第2SiCコーティング膜21bを形成するため、SiC多重層複合素材の生産性を確保することができる。
【0043】
異なる例として、第1SiCコーティング膜20aは、111面、200面、220面、及び311面のX線回折ピークを主ピークとして有し、前記ピークのうち111面が優先成長の結晶方向に成長し、111面が最大の回折強度を有し、第2SiCコーティング膜20bと異なる回折強度比(I)を有する。例えば、回折強度比(I)は、1.21超過であり、好ましくは、複合素材の生産性とプラズマエッチングによる製品の安定性を改善するために1.21超過及び1.5未満であってもよい。
【0044】
本発明の一例として、第1SiCコーティング膜20aは、5um以上、好ましくは50um以上、1mm以上、又は1mm〜10mm又は5mm〜7mmの厚さに形成され、前記厚さ範囲内に含まれれば、プラズマ環境でベースの損傷を防止して複合素材の生産性及び経済的な製造コストを確保することができる。
【0045】
本発明の一例として、第2SiCコーティング膜20bは、111面、200面、220面及び311面のX線回折ピークを主ピークとして有し、前記ピークのうち111面が優先成長の結晶方向に成長し、最大の回折強度を有する。また、前記式(1)により算出されるX
線回折ピークの回折強度比(I)が1.5未満、好ましくは1.21、1.0以下、0.9以下、又は0.8以下であってもよい。第2SiCコーティング膜20bがプラズマ露出面に形成されるため、200面及び220面に比べて低いエッチング量と均一な表面エッチングを提供することができる。
【0046】
本発明の一例として、第2SiCコーティング膜20bは、5um以上、好ましくは50um以上1mm以上、又は、1mm〜10mm、1mm〜5mmの厚さで形成され、前記厚さ範囲内に含まれれば、プラズマ環境で安定性が保持され、プラズマは、露出面で均一なエッチングが行われるために複合素材の寿命を延長させることができる。
【0047】
本発明の一例として、第1SiCコーティング膜20a及び第2SiCコーティング膜20bの厚さは互いに異なり、例えば、前記第1SiCコーティング膜20a対第2SiCコーティング膜20bの厚さ比は、1:0.1〜1:0.95、好ましくは、1:0.1〜1:0.7、1:0.1〜1:0.5、又は、1:0.1〜1:0.4であってもよい。前記厚さ比に含まれれば、相対的に速い成長速度で第1SiCコーティング膜20aを第2SiCコーティング膜20bに比べて厚く形成するため、相対的に成長速度が低い第2SiCコーティング膜の形成による生産性の低下を防止することができ、プラズマ環境で均一なエッチング量を有する複合素材を提供することができる。
【0048】
本発明は、本発明によるSiC素材及びSiC複合素材の製造方法を提供する。
【0049】
本発明の一実施形態により、SiC素材1及びSiC複合素材2は、本発明の技術分野で適用される方法により製造され、例えば、CVDを用いて形成され、Siソースガス、Cソースガス、及び水素、窒素、ヘリウム、アルゴンなどのような通常の運搬ガスなどを適用して形成され得る。例えば、前記CVDは、本発明の技術分野に適用される工程条件で実行され、例えば、SiC素材1は、本発明の技術分野で用いられる蒸着装置を用いて製造されてもよい。
【0050】
本発明は、本発明によるSiC多重層複合素材の製造方法を提供する。
【0051】
本発明の一実施形態により、SiC多重層複合素材3は、本発明の技術分野で適用される方法により製造され、例えば、CVDを用いて形成され、Siソースガス、Cソースガス、及び水素、窒素、ヘリウム、アルゴンなどのような通常の運搬ガスなどを適用して形成され得る。例えば、第1SiCコーティング膜及び第2SiCコーティング膜のコーティング膜の形成時の成長速度を調整し、SiCコーティング膜の優先成長の結晶方向を変更して回折強度比(I)を変化させ得る。成長の速度調整により主成長の結晶方向を容易に調整し、このような速度によってSiC自体の温度が50℃以上上昇し、速い成長速度でベースに接する第1SiCコーティング膜を形成した後成長速度を低くし、プラズマエッチングに強い第2SiCコーティング膜を形成するため、SiC多重層複合素材の生産性の低下を防止できる。
【0052】
本発明は、プラズマ環境でエッチング量が少なくて均一なエッチングが行われるSiC素材、SiC複合素材、及びSiC多重層複合素材を提供することができ、SiC製造時工程条件、例えば、成長速度を調整してSiC素材、SiC複合素材、及びSiC多重層複合素材を提供し得る。
【0053】
本発明の前記実施形態を参照して説明したが、本発明はこれに限定されることなく、下記の特許請求の範囲、発明の詳細な説明、及び添付された図面に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更させることができる。
本発明に関連する発明の実施態様の一部を以下に示す。
[態様1]
下記の式(1)により算出されるX線回折ピークの回折強度比(I)が1.5未満である、SiC素材。
【数1】
[態様2]
前記回折強度比(I)は、1.21以下である、請求項1に記載のSiC素材。
[態様3]
前記回折強度比(I)は、1.0以下である、請求項1に記載のSiC素材。
[態様4]
前記回折強度比(I)は、0.9以下である、請求項1に記載のSiC素材。
[態様5]
前記回折強度比(I)は、0.8以下である、請求項1に記載のSiC素材。
[態様6]
前記111面のピークの2θ値は、35°〜36°であり、
前記200面ピークの2θ値は、41°〜42°であり、
前記220面のピークの2θ値は、60°〜61°である、請求項1に記載のSiC素材。
[態様7]
ベースと、
前記ベース上の少なくとも一面に形成されたSiCコーティング膜と、
を含み、
前記SiCコーティング膜は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のSiC素材である、SiC複合素材。
[態様8]
ベースと、
前記ベース上の少なくとも一面に形成された第1SiCコーティング膜と、
前記第1SiCコーティング膜上に形成された第2SiCコーティング膜と、
を含み、
前記第1SiCコーティング膜及び第2SiCコーティング膜は、下記の式(1)により算出されるX線回折ピークの回折強度比(I)が互いに異なる、SiC多重層複合素材。
【数2】
[態様9]
前記第1SiCコーティング膜の回折強度比(I)は、1.21超過である、請求項8に記載のSiC多重層複合素材。
[態様10]
前記第1SiCコーティング膜の回折強度比(I)は、1.21超過及び1.5未満である、請求項8に記載のSiC多重層複合素材。
[態様11]
前記第1SiCコーティング膜の回折強度比(I)は、1.5以上である、請求項8に記載のSiC多重層複合素材。
[態様12]
前記第2SiCコーティング膜の回折強度比(I)は、1.5未満である、請求項8に記載のSiC多重層複合素材。
[態様13]
前記第1SiCコーティング膜対第2SiCコーティング膜の厚さ比は、1:0.1〜1:0.95である、請求項8に記載のSiC多重層複合素材。