(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガス発生剤と前記ガス発生液とが反応して発生するガスは、二酸化塩素ガスであることを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載したガス発生容器。
予め設定した形状の空間である反応空間の側方を包囲する筒状の側面部と、前記側面部が有する二つの開口部のうち一方の開口部を閉塞する底面部と、を有する本体部の前記底面部に固体のガス発生剤を載せる発生剤載置工程と、
前記発生剤載置工程の後工程であり、前記側面部が有する二つの開口部のうち他方の開口部を閉塞する蓋部で前記他方の開口部を閉塞することで前記反応空間を形成する反応空間形成工程と、
前記反応空間形成工程の後工程であり、前記蓋部のうち蓋部で前記他方の開口部を閉塞した状態である閉塞状態で前記底面部と対向する天面部に形成され、且つ前記反応空間と連通する開口部である少なくとも一つの第一開口部に、前記ガス発生剤と反応してガスを発生させる液体のガス発生液を通過させる発生液通過工程と、
前記発生液通過工程の後工程であり、前記蓋部のうち前記閉塞状態の平面視で前記天面部よりも蓋部の外周側に配置され、且つ前記反応空間で前記ガス発生剤と前記ガス発生液とを反応させて発生させたガスが通過可能な第二開口部に前記発生させたガスを通過させるガス発生工程と、を備えることを特徴とするガス発生方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の説明で参照する図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係等は、現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚さや寸法は、以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
さらに、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。また、以下の説明における「左右」や「上下」の方向は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。よって、例えば、紙面を90度回転すれば「左右」と「上下」とが交換され、紙面を180度回転すれば、「左」が「右」に、「右」が「左」になることは勿論である。
【0011】
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
図1から
図6を参照して、ガス発生容器1の構成について説明する。
ガス発生容器1は、後述するガス発生パッケージを構成する物品の一つであり、内部に収容した固体のガス発生剤と、内部へ供給した液体のガス発生液とを反応させて、ガスを発生させるための箱型の容器である。
【0012】
第一実施形態では、一例として、ガス発生剤とガス発生液とを反応させて発生させるガスを、二酸化塩素ガスとした場合について説明する。したがって、第一実施形態のガス発生容器1は、二酸化塩素ガスの発生容器である。
また、ガス発生容器1は、例えば、材料としてプラスチック等の樹脂材料を用いており、真空成型等によって形成されている。また、図面には表していないが、ガス発生容器1は、着色(例えば、乳白色)されている。
また、
図1から
図3中に表すように、ガス発生容器1は、本体部2と、蓋部4と、ヒンジ部6を備えている。本体部2と、蓋部4と、ヒンジ部6は、一体成型されている。
【0013】
本体部2は、側面部10と、底面部20と、本体側フランジ部30を有している。
側面部10は、四つの壁面12a〜壁面12dを組み合わせた筒状に形成されており、予め設定した形状の空間である反応空間の側方を包囲している。したがって、側面部10は、二つの開口部を有している。
各壁面12a〜壁面12dは、底面部20に近い側の下端部の長さよりも、底面部20から遠い側の上端部の長さが長い、台形の板状に形成された部材である。
各壁面12a〜壁面12dのうち、底面部20の外周面と対向する端部は、それぞれ、底面部20と連続している。
【0014】
各壁面12a〜壁面12dには、本体側排気部14が形成されている。すなわち、本体部2には、四つの本体側排気部14が形成されている。
本体側排気部14は、壁面12のうち、底面部20の外周方向で連続する他の二つの壁面12(例えば、壁面12aであれば、壁面12bと壁面12d)の間となる部分において、底面部20から離れた位置に形成されている。
本体側排気部14の形状は、平面視で長方形の凹部となる形状である。
底面部20は、側面部10が有する二つの開口部のうち一方の開口部(下側の開口部)を閉塞する四辺形の板状に形成されており、本体部2の底面を形成している。
【0015】
第一実施形態では、一例として、底面部20の構成を、平面視(
図1における、ガス発生容器1に対する視点)で、四つの角部をR面取りした正方形とした場合について説明する。
また、底面部20は、ガス発生容器1のうち、ガス発生剤を載せる部分を形成している。
また、底面部20は、底面部20の中心を含む領域である内側領域20inと、内側領域20inを外周から包囲する領域である外周領域20outに分割されている。
【0016】
内側領域20inは、平面視で、四つの角部をR面取りした正方形に形成されている。内側領域20inの中心は、底面部20の中心と重なっている。
外周領域20outは、蓋部4までの距離が、内側領域20inから蓋部4までの距離よりも長くなるように形成されている。
したがって、底面部20は、内側領域20inが外周領域20outよりも盛り上がった形状に形成されている。
本体側フランジ部30は、平面視で方形となる枠状に形成されており、側面部10のうち、底面部20と連続する端部と反対側の端部と連続している。
【0017】
また、本体側フランジ部30には、本体側凹部32が形成されている。
本体側凹部32は、本体側フランジ部30の内面(壁面12の内面と連続する面)に、底面部20の周方向に沿って連続して形成されており、側面部10の内面よりも、平面視で底面部20の中心からの距離が大きくなる形状である。
本体側フランジ部30を形成する四つの辺のうち一つの辺には、本体側突出部34が形成されている。
本体側突出部34は、底面部20と平行である。
【0018】
本体側突出部34の形状は、本体側突出部34が形成されている一つの辺の一部(第一実施形態では、中間点から半分)から、他の部分よりも、平面視で底面部20の中心からの距離が大きくなる形状である。
蓋部4は、側面部10が有する二つの開口部のうち他方の開口部(上方の開口部)を閉塞することで、本体部2と共に、ガス発生容器1の内部に空間(以降の説明では、「反応空間」と記載する場合がある)を形成する部材である。
また、蓋部4は、天面部40と、堤防部50と、蓋側フランジ部60を有している。
【0019】
天面部40は、板状に形成されており、
図4から
図6中に表すように、蓋部4で側面部10が有する二つの開口部のうち他方の開口部を閉塞した状態(以降の説明では、「閉塞状態」と記載する場合がある)で、底面部20と対向する。
また、天面部40には、複数の第一開口部42と、複数の第二開口部44が形成されている。
第一実施形態では、一例として、天面部40に、四つの第一開口部42a〜第一開口部42dと、四つの第二開口部44a〜第二開口部44dが形成されている場合について説明する。
【0020】
各第一開口部42は、反応空間と連通する開口部であり、円形(例えば、直径が3[mm]程度)に形成されている。
また、各第一開口部42は、ガス発生液が通過可能な形状(開口形状、開口面積)に形成されている。
また、各第一開口部42は、互いに等間隔となる位置に形成されている。これに加え、各第一開口部42は、それぞれ、閉塞状態の平面視で、天面部40の中心から等しい距離となる位置に形成されている。
【0021】
また、天面部40は、複数の第一開口部42と同じ数の領域に分割されている。すなわち、第一実施形態では、天面部40が、四つの領域46a〜領域46dに分割されている。
四つに分割された領域46a〜領域46dは、それぞれ、閉塞状態で、第一開口部42に近い位置ほど底面部20までの距離が短い形状に形成されている。
具体的には、各領域46は、平面部70と、四つの傾斜部72を備えている。なお、
図1中では、説明のために、一つの領域46(領域46d)のみに、平面部の符号70を付与する。さらに、
図1中では、説明のために、領域46dが備える四つの傾斜部のうち、一つの傾斜部のみに、傾斜部の符号72を付与する。
【0022】
平面部70は、閉塞状態で、底面部20と平行をなす四辺形に形成されている。平面部70の中心には、第一開口部42が形成されている。
各傾斜部72は、平面部70の外周側を包囲して配置されている。
傾斜部72のうち、平面部70に近い側の下端部は、平面部70の外周と連続している。
傾斜部72のうち、平面部70から遠い側の上端部は、他の領域46が備える傾斜部72の上端部、または、堤防部50と連続している。また、傾斜部72の上端部の長さは、傾斜部72の下端部の長さよりも長い。すなわち、傾斜部72は、台形の板状に形成されている。
【0023】
なお、平面部70の面積と、平面部70に対する傾斜部72の傾斜角度と、第一開口部42の形状(開口形状、開口面積)は、例えば、単位時間当たりに第一開口部42を通過するガス発生液の通過量に応じて設定する。
各第二開口部44は、蓋部4のうち、平面視で天面部40よりも蓋部4の外周側に配置されている。
具体的には、各第二開口部44は、それぞれ、蓋部4のうち、閉塞状態の平面視で、本体側排気部14と重なる位置に形成されている。
【0024】
また、各第二開口部44は、それぞれ、閉塞状態の平面視で、天面部40の中心から等しい距離となる位置に形成されている。
また、各第二開口部44は、第一開口部42と同様、反応空間と連通する開口部である。
各第二開口部44の形状は、ガス発生剤とガス発生液とを反応させて発生させたガスが通過可能な形状(開口形状、開口面積)に形成されている。
具体的には、各第二開口部44の形状は、円形である第一開口部42よりも開口面積の大きい、長方形に形成されている。各第二開口部44の長辺は、天面部40が有する四つの辺のうち、第二開口部44と隣接する一つの辺と平行である。すなわち、第二開口部44の開口面積は、第一開口部42の開口面積よりも大きい。
【0025】
また、第二開口部44の開口面積は、例えば、ガス発生剤とガス発生液とを反応させて発生させたガスが、効率的に通過する値に設定する。
堤防部50は、蓋部4のうち、閉塞状態の平面視で、天面部40よりも蓋部4の外周側に配置されている。また、堤防部50は、蓋部4のうち、閉塞状態の平面視で、第二開口部44よりも蓋部4の中心側に配置されている。
堤防部50の形状は、閉塞状態の平面視で、天面部40を包囲する枠状である。
具体的には、堤防部50は、天面部40に近い側に配置した四つの内壁面と、内壁面よりも蓋部4の外周側に配置した四つの外壁面と、内壁面と外壁面とを連続する天端面を備えている。
【0026】
内壁面の下端は、天面部40と連続している。内壁面の上端は、天端面と連続している。外壁面の下端は、蓋部4のうち、閉塞状態の平面視で、天面部40よりも堤防部50の外周側に配置されている蓋側フランジ部60と連続している。外壁面の上端は、天端面と連続している。そして、閉塞状態では、天端面から底面部20までの距離が、天面部40から底面部20までの距離よりも長い。
したがって、閉塞状態における堤防部50から底面部20までの距離は、閉塞状態における天面部40から底面部20までの距離よりも長い。
【0027】
なお、堤防部50の高さ(天面部40から天端面までの高さ)は、例えば、ガス発生剤と反応させるガス発生液の量に応じて設定する。
第一実施形態では、堤防部50の高さを、堤防部50で包囲された天面部40に、ガス発生剤と反応させる量のガス発生液を瞬時に投入した場合であっても、投入したガス発生液が天面部40から堤防部50を超えて流出しない高さに設定した場合について説明する。
蓋側フランジ部60は、閉塞状態の平面視で枠状に形成されており、堤防部50と連続している。
【0028】
また、蓋側フランジ部60のうち、本体部2と対向する面には、蓋側凸部62が形成されている。
蓋側凸部62は、蓋側フランジ部60の外周部分よりも、本体部2側へ突出しており、本体側フランジ部30に形成された本体側凹部32の内部に収容可能な形状(突出量、幅)に形成されている。
蓋側フランジ部60を形成する四つの辺のうち、閉塞状態で、本体側フランジ部30のうち本体側突出部34が形成されている辺と重なる一つの辺には、蓋側突出部64が形成されている。
【0029】
蓋側突出部64は、閉塞状態で、底面部20と平行である。
蓋側突出部64の形状は、蓋側突出部64が形成されている一つの辺の一部(第一実施形態では、中間点から半分)から、他の部分よりも、平面視で底面部20の中心からの距離が大きくなる形状である。これに加え、蓋側突出部64の形状は、閉塞状態で、本体側突出部34と一部分のみ(第一実施形態では、中間点の一部分)が重なる形状である。
ヒンジ部6は、本体側板部6aと、蓋側板部6bと、中間板部6cを備えている。
本体側板部6aは、長方形の板状に形成されており、一方の長辺が、本体側フランジ部30の本体側突出部34が形成されている辺と連続していない辺に接続されている。
【0030】
蓋側板部6bは、長方形の板状に形成されており、一方の長辺が、蓋側フランジ部60の蓋側突出部64が形成されている辺と連続していない辺に接続されている。
中間板部6cは、長方形の板状に形成されており、長辺の二辺が、それぞれ、本体側板部6aの他方の長辺と、蓋側板部6bの他方の長辺と連続している。また、中間板部6cは、閉塞状態で、湾曲する形状(厚さ、幅、長さ)に形成されている。
したがって、ヒンジ部6は、可撓性を有する形状に形成されている。また、ヒンジ部6は、本体部2と蓋部4とを開閉可能に連結している。
なお、ヒンジ部6の厚さを、本体部2及び蓋部4の厚さよりも小さくすることで、ヒンジ部6全体の強度を本体部2及び蓋部4の強度よりも低下させて、ヒンジ部6に可撓性を付与してもよい。
【0031】
(ガス発生パッケージ)
図1から
図6を参照しつつ、
図7を用いて、ガス発生パッケージ100の構成を説明する。
図7中に表すように、ガス発生パッケージ100は、ガス発生容器1と、ガス発生剤102と、ガス発生液104と、中和剤106と、説明書108と、収容箱110を備えて構成されている。
ガス発生容器1の構成については、説明を省略する。
【0032】
ガス発生剤102は、例えば、粉体(固形)の亜塩素酸ナトリウムを用いて形成されている。第一実施形態では、ガス発生剤102を、複数の粉体の亜塩素酸ナトリウムを繊維質の袋体に収容して形成したシート120を、袋122(例えば、アルミ製)に入れた状態で保存する場合について説明する。
ガス発生液104は、例えば、水に界面活性剤を添加した液体を用いて形成されている。
なお、水に対する界面活性剤の含有量は、例えば、平面部70の面積、平面部70に対する傾斜部72の傾斜角度、第一開口部42の形状に応じ、単位時間当たりに第一開口部42を通過するガス発生液104の通過量に応じて設定する。
【0033】
中和剤106は、例えば、亜硫酸ナトリウムを含有する液体を用いて形成されている。
なお、ガス発生液104と中和剤106は、共に液体であるため、ガス発生液104と中和剤106とを区別するために、ガス発生液104または中和剤106を着色してもよい。
説明書108には、ガス発生パッケージ100を用いて行う、除菌・消臭作業の作業手順が記載されている。
収容箱110は、ガス発生容器1と、ガス発生剤102と、ガス発生液104と、中和剤106と、説明書108を収容する箱であり、材料として紙を用いて形成されている。なお、ガス発生液104と中和剤106は、ガス発生容器1の内部へ収容された状態で、収容箱110に収容されている。
【0034】
また、収容箱110は、底面部20にガス発生剤102を載せた状態で、複数の第一開口部42にガス発生液104が通過可能な状態のガス発生容器1を収容可能である。これに加え、収容箱110は、反応空間でガス発生剤102とガス発生液104が反応して発生したガスが、第二開口部44を通過可能な状態のガス発生容器1を収容可能である。
さらに、収容箱110は、収容部112と、上蓋部114と、二つのサイドフラップ116を備えている。
収容部112は、底面が正方形の枡形に形成されており、長さが等しい四辺の上端部を有する。
【0035】
上蓋部114は、収容部112が有する四辺の上端部のうち、一辺の上端部に接続されており、収容部112を覆うことで、収容部112と共に、収容箱110の内部に空間を形成する部材である。
また、上蓋部114と収容部112との間には、ミシン目(図示せず)が設けられており、手作業によって上蓋部114を収容部112から分離させることが、容易となっている。
【0036】
二つのサイドフラップ116は、それぞれ、収容部112が有する四辺の上端部のうち、上蓋部114が接続されている一辺の上端部と隣り合う上端部に接続されている。
各サイドフラップ116には、それぞれ、サイドフラップ116の一部を切り欠いた形状の排気用切欠き118が形成されている。
各排気用切欠き118は、各サイドフラップ116を変位させて収容部112と重なる位置へ配置した状態で、収容部112に収容したガス発生容器1が備える二つの第二開口部44と、閉塞状態の平面視で重なる位置に形成されている。
【0037】
(ガス発生方法)
図1から
図7を参照しつつ、
図8から
図12を用いて、第一実施形態のガス発生容器1を用いた、ガスの発生方法(以降の説明では、「ガス発生方法」と記載する場合がある)について説明する。
ガス発生方法は、発生剤載置工程と、反応空間形成工程と、発生液通過工程と、ガス発生工程を備えている。
発生剤載置工程では、アルミ製の袋から、複数の亜塩素酸ナトリウムを繊維質の袋体に収容して形成したシートを取出し、ガス発生容器1を収容箱110へ収容する。さらに、本体部2が有する底面部20に載せる。すなわち、発生剤載置工程では、
図8中に表すように、本体部2が有する底面部20にガス発生剤102(シート120)を載せる。
【0038】
反応空間形成工程は、発生剤載置工程の後工程である。
反応空間形成工程では、底面部20にガス発生剤102(シート120)を載せたガス発生容器1を収容箱110へ収容した状態で、本体側凹部32の内部に蓋側凸部62を収容して、蓋部4で本体部2を覆う。すなわち、反応空間形成工程では、
図9中に表すように、側面部10が有する二つの開口部のうち他方の開口部を閉塞する蓋部4で他方の開口部を閉塞することで、反応空間を形成する。
なお、
図9中では、
図1中と同様、説明のために、一つの領域46(領域46d)のみに、平面部の符号70を付与する。さらに、
図9中では、
図1中と同様、説明のために、領域46dが備える四つの傾斜部のうち、一つの傾斜部のみに、傾斜部の符号72を付与する。
【0039】
発生液通過工程は、反応空間形成工程の後工程である。
発生液通過工程では、収容箱110へ収容したガス発生容器1に対し、
図10中に表すように、蓋部4の上方から、堤防部50で包囲された天面部40へ、ガス発生液104を投入する。堤防部50で包囲された天面部40へガス発生液104を投入すると、ガス発生液104は、四つの領域46a〜領域46dへ流入する。四つの領域46a〜領域46dへ流入したガス発生液104は、四つの第一開口部42a〜第一開口部42dを通過する。すなわち、発生液通過工程では、複数の第一開口部42に、ガス発生液104を通過させる。
【0040】
なお、
図10中では、説明のために、収容箱110の図示を省略している。
ガス発生工程は、発生液通過工程の後工程である。
ガス発生工程では、発生液通過工程において、各第一開口部42を通過させたガス発生液104を、底面部20に載せたガス発生剤102(シート120)と反応させてガスを発生させ、発生させたガスを、第二開口部44に通過させる。すなわち、ガス発生工程では、
図11中に表すように、第二開口部44に、ガス発生剤102とガス発生液104とを反応させて発生させたガスGを通過させる。
【0041】
なお、
図11中に表すように、ガス発生剤102とガス発生液104を反応させると、二酸化塩素水CDWが生成される。
第一実施形態では、上述したように、ガス発生工程で発生させるガスが、二酸化塩素ガスである場合について説明する。したがって、第一実施形態では、ガス発生工程で発生させるガスが、無色透明のガスとなる。
また、
図11中に表すように、天面部40へ投入したガス発生液104が、各第一開口部42を通過している間は、第一開口部42及び第二開口部44のうち第二開口部44のみから、ガスG(二酸化塩素ガス)が排気され、部屋の内部へ蒸散する。
【0042】
そして、天面部40へ投入した全てのガス発生液104が第一開口部42を通過した後は、
図12中に表すように、第一開口部42及び第二開口部44から、ガスG(二酸化塩素ガス)が排気され、部屋の内部へ蒸散する。なお、
図12中では、説明のために、第一開口部42から排気されるガスGを、符号「G1」で表す。同様に、
図12中では、説明のために、第二開口部44から排気されるガスGを、符号「G2」で表す。
以上により、第一実施形態のガス発生方法は、底面部20に固体のガス発生剤102を載せ、反応空間を形成し、複数の第一開口部42にガス発生液104を通過させて反応空間で発生させたガスGを、第二開口部44に通過させる方法である。
【0043】
(動作)
図1から
図12を参照して、ガス発生パッケージ100を用いた、室内の除菌・消臭を行う動作の一例を説明する。
室内の除菌・消臭を行う際には、まず、事前の準備作業を行う。
事前の準備作業では、ガスを発生させる部屋の窓を閉め、さらに、部屋の中心付近等、発生させたガスが部屋全体へ供給されやすい位置へ、収容箱110を設置する。このとき、収容箱110は、可能な限り、水平な面(床面等)に設置することが好適である。なお、部屋の空調設備(換気扇、冷暖房等)が作動している場合には、空調設備を停止させる。
【0044】
そして、収容箱110から、ガス発生容器1と、ガス発生剤102と、ガス発生液104と、中和剤106と、説明書108を取り出す。その後、上蓋部114と収容部112との間に設けられたミシン目に沿って、上蓋部114を収容部112から分離させる。また、ガス発生容器1を開けて、ガス発生液104と中和剤106を取り出す。
第一実施形態では、ガス発生容器1に、本体側突出部34と、閉塞状態で、本体側突出部34と一部分のみが重なる形状の蓋側突出部64が形成されている。このため、本体側突出部34を抑えながら蓋側突出部64を持ち上げることにより、ガス発生容器1を開ける作業が容易となる。
【0045】
事前の準備を行った後、発生剤載置工程を実施し、本体部2が有する底面部20にガス発生剤102(シート120)を載せる。
その後、反応空間形成工程を実施し、蓋部4で側面部10が有する二つの開口部のうち他方の開口部を閉塞することで、反応空間を形成する。
次に、発生液通過工程を実施し、収容箱110へ収容したガス発生容器1に対し、蓋部4の上方から、堤防部50で包囲された天面部40へ、ガス発生液104を投入する。このとき、ガス発生液104は、天面部40のうち、四つの第一開口部42で形成される四角形の中心から投入することが好適である。
【0046】
第一実施形態では、堤防部50の高さを、天面部40に全てのガス発生液を瞬時に投入した場合であっても、投入したガス発生液が天面部40から堤防部50を超えて流出しない高さに設定している。
このため、ガス発生パッケージ100を用いて室内の除菌・消臭を行う作業者は、ガス発生液の流出を気にすること無く、天面部40へガス発生液104を投入することが可能となる。
また、第一実施形態では、四つに分割された領域46a〜領域46dが、それぞれ、第一開口部42に近い位置ほど底面部20までの距離が短い形状に形成されている。すなわち、領域46a〜領域46dが、それぞれ、第一開口部42から遠い位置から第一開口部42に近い位置へ向かうにつれて、下方へ傾斜する傾斜面を有している。
【0047】
このため、堤防部50で包囲された天面部40へ投入されたガス発生液104は、各領域46が有する傾斜面に沿って、第一開口部42へ向けて流れ落ちることとなる。これにより、天面部40へ投入されたガス発生液104は、第一開口部42へ円滑に供給されることとなる。
さらに、第一実施形態では、四つの第一開口部42a〜第一開口部42dが、それぞれ、閉塞状態の平面視で、天面部40の中心から等しい距離となる位置に形成されている。
このため、四つの領域46a〜領域46dへ流入したガス発生液104は、四つの第一開口部42a〜第一開口部42dを、単位時間当たりに均等な量で通過する。
【0048】
また、第一実施形態では、収容箱110へ収容したガス発生容器1の天面部40へ、ガス発生液104を投入する。
このため、ガス発生液104が作業者に接触することや、ガス発生液104が部屋の床面等に接触することを、抑制することが可能である。
なお、ガス発生液104を投入した後は、作業者は速やかに室内から退出し、ガスを発生させる部屋の扉を閉めて、室内の状態を密閉に近い状態とする。
次に、ガス発生工程を実施し、各第一開口部42を通過させたガス発生液104を、底面部20に載せたガス発生剤102(シート120)と反応させて、二酸化塩素水CDWを生成させる。そして、反応空間で、二酸化塩素水CDWから、二酸化塩素ガス(ガスG)を発生させる。
【0049】
すなわち、ガス発生容器1は、二酸化塩素ガス(ガスG)を発生させるための機能と、ガス発生パッケージ100の一部の構成物品(ガス発生液104、中和剤106)を収容する機能を備えている。
上述したように、第一実施形態では、四つの第一開口部42a〜第一開口部42dが、それぞれ、天面部40の中心から等しい距離となる位置に形成されている。さらに、各第一開口部42は、互いに等間隔となる位置に形成されている。これに加え、四つの領域46a〜領域46dへ流入したガス発生液104が、四つの第一開口部42a〜第一開口部42dを均等な量で通過する。
【0050】
このため、四つの第一開口部42a〜第一開口部42dから、ガス発生剤102(シート120)のうち間隔を空けた四箇所の部分に対して、ガス発生液104を単位時間当たりに均等な量で供給することが可能となる。
また、第一実施形態では、ガス発生剤102を、複数の粉体の亜塩素酸ナトリウムを繊維質の袋体に収容して形成したシート120としている。
このため、亜塩素酸ナトリウムをタブレット状等の塊状とした場合と比較して、ガス発生剤102がガス発生液104と接触する面積を増加させることが可能となり、ガス発生剤102とガス発生液104とを効率的に反応させることが可能となる。
【0051】
反応空間で発生した二酸化塩素ガス(ガスG)は、本体側排気部14を通過して、四つの第二開口部44a〜第二開口部44dから、ガス発生容器1の外部へ排気され、部屋の内部へ蒸散する。
また、発生液通過工程で天面部40へ投入したガス発生液104が、各第一開口部42を通過している間は、第一開口部42及び第二開口部44のうち第二開口部44のみから、二酸化塩素ガス(ガスG)が排気され、部屋の内部へ蒸散する。
そして、発生液通過工程で天面部40へ投入した全てのガス発生液104が第一開口部42を通過した後は、第一開口部42及び第二開口部44から、二酸化塩素ガス(ガスG)が排気され、部屋の内部へ蒸散する。
【0052】
第一実施形態では、事前の準備作業において、上蓋部114と収容部112との間に設けられたミシン目に沿って、上蓋部114を収容部112から分離させている。これに加え、収容箱110が備えるサイドフラップ116に形成されている排気用切欠き118は、第二開口部44と、閉塞状態の平面視で重なる位置に形成されている。
このため、サイドフラップ116が傾斜して、ガス発生容器1と重なる位置に配置されている場合であっても、第二開口部44から排気された二酸化塩素ガス(ガスG)は、排気用切欠き118を通過して部屋の内部へ蒸散する。したがって、ガス発生容器1から排気された二酸化塩素ガス(ガスG)は、収容箱110に干渉されること無く、部屋の内部へ蒸散する。
【0053】
ガス発生工程を実施した後工程は、撤収作業を行う。
撤収作業は、ガス発生工程を行ってから、予め設定した時間(例えば、2時間程度)が経過した後に行う。
撤収作業では、ガスGを発生させた部屋の窓や扉を開放し、部屋の換気を行う。さらに、収容箱110に収容され、閉塞状態のガス発生容器1に対し、蓋部4の上方から、堤防部50で包囲された天面部40へ、中和剤106を投入する。
天面部40へ投入された中和剤106は、第一開口部42を通過して二酸化塩素水と反応し、二酸化塩素水を中和する。
【0054】
部屋の換気と中和剤106の投入を行った後は、作業者は速やかに室内から退出する。そして、換気が充分に行われた後に、部屋の整頓等を行う。
なお、収容箱110及び説明書108と、中和剤106を投入したガス発生容器1は、必要に応じて廃棄する。
ここで、収容箱110は紙製であり、ガス発生容器1はプラスチック等の樹脂材料である。また、中和剤106により中和されたガス発生液104(二酸化塩素水)は、一般の下水道に廃棄することが可能である。
【0055】
したがって、室内の除菌・消臭を行った後のガス発生パッケージ100は、一般のゴミ(廃棄物)として廃棄することが可能である。
なお、上述した第一実施形態は、本発明の一例であり、本発明は、上述した第一実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0056】
(第一実施形態の効果)
第一実施形態のガス発生容器1であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)反応空間の側方を包囲する筒状の側面部10と、側面部10が有する二つの開口部のうち一方の開口部を閉塞する底面部20を有する本体部2と、側面部10が有する二つの開口部のうち他方の開口部を閉塞する蓋部4を備える。これに加え、蓋部4が有する天面部40には、反応空間と連通し、且つ底面部20に載せた固体のガス発生剤102と反応してガスが発生する液体のガス発生液104が通過可能な複数の第一開口部42が形成されている。さらに、蓋部4には、閉塞状態の平面視で天面部40よりも蓋部4の外周側に配置され、且つ反応空間でガス発生剤102とガス発生液104が反応して発生したガスGが通過可能な第二開口部44が形成されている。
【0057】
このため、反応空間に配置したガス発生剤102と、複数の第一開口部42を通過させたガス発生液104を反応させて発生させたガスGを、反応空間から第二開口部44を通過させて排気することが可能となる。
その結果、本体部2及び蓋部4により、簡素な構成で、ガスGを発生させるための容器を形成することが可能となり、構成の複雑化を抑制することが可能な、ガス発生容器1を提供することが可能となる。
また、構成の複雑化を抑制することが可能となるため、ガス発生容器1の製造コストが増加することを抑制することが可能となる。
【0058】
さらに、反応空間に配置したガス発生剤102に、複数の第一開口部42を通過させたガス発生液104を接触させることで、ガス発生剤102とガス発生液104を反応させることが可能となる。
このため、例えば、ガス発生剤102に一つのみの開口部を通過させたガス発生液104を接触させた場合と比較して、ガス発生剤102へ局所的にガス発生液104が接触することを防止することが可能となる。これにより、ガス発生剤102とガス発生液104との急激な反応が発生することを抑制することが可能となり、作業者がガスに接触する可能性を低減させることが可能となる。したがって、ガス発生剤102とガス発生液104を反応させてガスを発生させる作業の、安全性を向上させることが可能となる。
【0059】
また、例えば、ガス発生容器1に貯留したガス発生液104にガス発生剤102を投入して、ガス発生剤102とガス発生液104を反応させてガスGを発生させる場合、反応が急激に促進されるため、爆発等の可能性がある。
これに対し、本発明では、ガス発生容器1に配置したガス発生剤102の複数の位置に、ガス発生液104を接触させるため、ガス発生剤102とガス発生液104との急激な反応を抑制することが可能となり、安全性を向上させることが可能となる。
また、底面部20にガス発生剤102を載せ、反応空間を形成し、天面部40にガス発生液104を投入することで、ガスGを発生させることが可能となる。このため、ガスGを発生させるために専門的な技能を必要とせず、ガス発生剤102とガス発生液104を反応させてガスを発生させる作業に関し、人件費等のコストが増加することを抑制することが可能となる。
【0060】
(2)複数の第一開口部42は、互いに等間隔となる位置に形成されている。
このため、反応空間に配置したガス発生剤102に対し、複数の第一開口部42から、ガス発生剤102のうち間隔を空けた複数箇所の部分に対して、ガス発生液104を単位時間当たりに均等な量で供給することが可能となる。
その結果、ガス発生剤102をガス発生液104との反応を、ガス発生剤102に等間隔で設定した複数の位置で発生させることが可能となり、ガスGを効率的に発生させることが可能となる。これに加え、ガス発生剤102へ局所的にガス発生液104が接触することを防止することが可能となり、ガス発生剤102とガス発生液104との反応を、ガス発生剤102に等間隔で設定した複数の位置で、安定させて発生させることが可能となる。
【0061】
(3)天面部40が、複数の第一開口部42と同じ数の領域46に分割されている。これに加え、分割された領域46は、それぞれ、閉塞状態で、第一開口部42に近い位置ほど底面部20までの距離が短い形状に形成されている。
このため、各領域46が漏斗の機能を有することとなり、第一開口部42を狙ってガス発生液104を投入しなくとも、天面部40へ投入されたガス発生液104は、各領域46が有する傾斜面に沿って、第一開口部42へ向けて流れ落ちることとなる。
その結果、天面部40へ投入されたガス発生液104は、各第一開口部42へ円滑に供給されることとなる。これにより、反応空間に配置したガス発生剤102に対して、天面部40へ投入されたガス発生液104を円滑に供給することが可能となる。
【0062】
(4)第二開口部44の開口面積が、第一開口部42の開口面積よりも大きい。
このため、反応空間で発生したガスGを、第一開口部42よりも開口面積が大きい第二開口部44から、ガス発生容器1の外部へ排気することが可能となる。
その結果、ガス発生容器1で発生させたガスGを、ガス発生容器1の外部へ効率的に排気することが可能となり、除菌・消臭作業の作業効率を向上させることが可能となる。
また、天面部40へ投入したガス発生液104が第一開口部42を通過している間は、第一開口部42及び第二開口部44のうち第二開口部44のみから、ガスGが排気され、部屋の内部へ蒸散する。すなわち、天面部40へ投入した全てのガス発生液104が第一開口部42を通過するまでの間は、第一開口部42からはガスGが排気されないため、作業者がガスGを吸引する可能性を低減させることが可能となる。
さらに、天面部40へ投入した全てのガス発生液104が第一開口部42を通過した後は、第二開口部44に加え、第一開口部42からもガスGが排気されて部屋の内部へ蒸散するため、部屋の内部へ、効率的にガスGを蒸散させることが可能となる。
【0063】
(5)蓋部4が、平面視で天面部40よりも蓋部4の外周側に配置され、且つ閉塞状態の平面視で天面部40を包囲する堤防部50を備えている。これに加え、閉塞状態における堤防部50から底面部20までの距離は、閉塞状態における天面部40から底面部20までの距離よりも長い。
このため、天面部40にガス発生液104を投入した場合であっても、投入したガス発生液が天面部40から堤防部50を超えることが抑制される。
その結果、作業者が、ガス発生液104の流出に集中しなくとも、天面部40へガス発生液104を投入することが可能となるため、作業効率の低下を抑制することが可能となる。これに加え、ガス発生液104の流出を抑制することが可能となる。
【0064】
(6)本体部2と蓋部4とを開閉可能に連結するヒンジ部6をさらに備える。
その結果、蓋部4で本体部2を覆う作業や、本体部2を覆う蓋部4を開ける作業等が容易となる。これに加え、本体部2と蓋部4との分離を防止することが可能となり、蓋部4の紛失等を防止することが可能となる。
【0065】
(7)ガス発生剤102とガス発生液104とが反応して発生するガスGが、二酸化塩素ガスである。
その結果、除菌・消臭を行う対象(室内)に対し、ウイルスやバクテリア等に対する高い除菌効果や、タバコ臭、カビ臭、嘔吐臭、体臭、ペット臭、樹脂臭、接着剤臭等に対する高い消臭効果を発揮することが可能である。これに加え、作業後における臭いの戻り返しを防止することが可能であるとともに、長時間に亘って消臭効果を維持することが可能である。
第一実施形態のガス発生パッケージ100であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
【0066】
(8)ガス発生容器1と、ガス発生容器1を収容する収容箱110を備える。これに加え、収容箱110は、底面部20にガス発生剤102を載せた状態で複数の第一開口部42にガス発生液104が通過可能な状態のガス発生容器1を収容可能である。さらに、収容箱110は、反応空間でガス発生剤102とガス発生液104が反応して発生したガスGが第二開口部44を通過可能な状態のガス発生容器1を収容可能である。
その結果、収容箱110へ収容したガス発生容器1の天面部40へ、ガス発生液104を投入することとなり、ガス発生液104が作業者に接触することや、ガス発生液104が部屋の床面等に接触することを、抑制することが可能である。
これにより、例えば、部屋の床面に設置したトレーに載せたガス発生剤102に、ガス発生液104を投入する場合と比較して、ガス発生液104が作業者と接触することや、ガス発生液104が部屋の床面等へ接触することを、抑制することが可能である。
第一実施形態のガス発生方法であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
【0067】
(9)発生剤載置工程と、発生剤載置工程の後工程である反応空間形成工程と、反応空間形成工程の後工程である発生液通過工程と、発生液通過工程の後工程であるガス発生工程を備える。
発生剤載置工程は、底面部20に固体のガス発生剤102を載せる工程である。反応空間形成工程は、蓋部4で側面部10が有する二つの開口部のうち他方の開口部を閉塞することで反応空間を形成する工程である。発生液通過工程は、天面部40に形成され、且つ反応空間と連通する開口部である複数の第一開口部42に、ガス発生剤102と反応してガスを発生させる液体のガス発生液104を通過させる工程である。ガス発生工程は、第二開口部44に、ガス発生剤102とガス発生液104とを反応させて発生させたガスGを通過させる工程である。
【0068】
このため、反応空間形成工程で形成した空間に配置したガス発生剤102と、発生液通過工程で複数の第一開口部42を通過させたガス発生液104とをガス発生工程で反応させることで、ガスGを発生させることが可能となる。これに加え、発生させたガスGを、反応空間から第二開口部44を通過させて排気することが可能となる。
その結果、本体部2及び蓋部4により形成したガスGを発生させるための容器に対し、天面部40にガス発生液104を投入することでガスGを発生させることが可能となり、構成の複雑化を抑制することが可能な、ガス発生方法を提供することが可能となる。
【0069】
また、反応空間形成工程で形成した空間に配置したガス発生剤102に、発生液通過工程で複数の第一開口部42を通過させたガス発生液104を接触させることで、ガス発生工程で、ガス発生剤102とガス発生液104を反応させることが可能となる。
このため、ガス発生工程において、例えば、ガス発生剤102に一つのみの開口部を通過させたガス発生液104を接触させた場合と比較して、ガス発生剤102へ局所的にガス発生液104が接触することを防止することが可能となる。これにより、ガス発生工程において、ガス発生剤102とガス発生液104との急激な反応が発生することを抑制することが可能となり、作業者がガスGに接触する可能性を低減させることが可能となる。したがって、ガス発生工程において、ガス発生剤102とガス発生液104を反応させてガスGを発生させる作業の、安全性を向上させることが可能となる。
【0070】
また、例えば、ガス発生容器1に貯留したガス発生液104にガス発生剤102を投入して、ガス発生剤102とガス発生液104を反応させてガスGを発生させる場合、反応が急激に促進されるため、爆発等の可能性がある。
これに対し、本発明では、ガス発生容器1に配置したガス発生剤102の複数の位置に、ガス発生液104を接触させるため、ガス発生剤102とガス発生液104との急激な反応を抑制することが可能となり、安全性を向上させることが可能となる。
また、底面部20にガス発生剤102を載せ、反応空間を形成し、天面部40にガス発生液104を投入することで、ガスGを発生させることが可能となる。このため、ガスGを発生させるために専門的な技能を必要とせず、ガス発生剤102とガス発生液104を反応させてガスGを発生させる作業に関し、人件費等のコストが増加することを抑制することが可能となる。
【0071】
(10)ガス発生工程で発生させるガスGを、二酸化塩素ガスとする。
その結果、除菌・消臭を行う対象(室内)に対し、ウイルスやバクテリア等に対する高い除菌効果や、タバコ臭、カビ臭、嘔吐臭、体臭、ペット臭、樹脂臭、接着剤臭等に対する高い消臭効果を発揮することが可能である。これに加え、作業後における臭いの戻り返しを防止することが可能であるとともに、長時間に亘って消臭効果を維持することが可能である。
【0072】
(変形例)
(1)第一実施形態では、ガス発生容器1の形状を箱型としたが、これに限定するものではない。すなわち、ガス発生容器1の形状を、例えば、
図13から
図15中に表すように、円筒形としてもよい。
このような形状のガス発生容器1では、蓋部4の構成を、例えば、
図14及び
図15中に表すように、平面部70を、平面視で円環状に形成する。さらに、傾斜部72を、平面視で平面部70よりも内側に配置された内側傾斜部72inと、平面視で平面部70よりも外側に配置された外周傾斜部72outを備える構成とする。内側傾斜部72inは、円錐状に形成する。外周傾斜部72outは、すり鉢状に形成する。
【0073】
(2)第一実施形態では、領域46の構成を、平面部70と、四つの傾斜部72を備える構成とし、断面が角錐状となる形状としたが、これに限定するものではない。すなわち、領域46の構成を、底面に第一開口部42を有するすり鉢状の壁面を備える構成とし、断面が円錐状となる形状としてもよい。また、領域46の構成を、平面のみで形成した構成としてもよい。
【0074】
(3)第一実施形態では、ガス発生剤102とガス発生液104とが反応して発生するガスGを、二酸化塩素ガスとしたが、これに限定するものではなく、例えば、二酸化フッ素ガス等、二酸化塩素ガス以外のガスとしてもよい。この場合、ガス発生剤としては、例えば、亜フッ素酸ナトリウムを用い、ガス発生液としては、例えば、水を単体で、または、界面活性剤を添加した水を用いる。
【0075】
(4)第一実施形態では、第一開口部42の数を四つとしたが、第一開口部42の数は、複数であれば、四つに限定するものではない。
(5)第一実施形態では、ガス発生剤102を複数の粉体で形成したが、ガス発生剤102の構成は、固体であれば、粉体ではなくタブレット状としてもよい。
(6)第一実施形態では、ガス発生容器1の構成を、本体部2と蓋部4とをヒンジ部6で接続した構成としたが、ガス発生容器1の構成は、これに限定するものではない。すなわち、ガス発生容器1の構成は、ヒンジ部を備えずに、本体部2と蓋部4が分離した構成としてもよい。
【0076】
(7)第一実施形態では、第二開口部44の数を四つとしたが、第二開口部44の数は、一つ以上であればよい。
(8)第一実施形態では、天面部40に、複数の第一開口部42と、複数の第二開口部44を形成したが、これに限定するものではない。すなわち、天面部40に、一つのみの第一開口部42を形成してもよい。同様に、天面部40に、一つのみの第二開口部44を形成してもよい。