特許第6831997号(P6831997)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6831997
(24)【登録日】2021年2月3日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】ペット用玩具
(51)【国際特許分類】
   A01K 15/02 20060101AFI20210215BHJP
【FI】
   A01K15/02 A
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-224120(P2016-224120)
(22)【出願日】2016年11月17日
(65)【公開番号】特開2018-78845(P2018-78845A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】591230620
【氏名又は名称】株式会社ペッツルート
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】中西 克司
(72)【発明者】
【氏名】奥野 綾香
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−104602(JP,A)
【文献】 実開昭53−027146(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0209037(US,A1)
【文献】 実開昭55−131659(JP,U)
【文献】 特開平06−228850(JP,A)
【文献】 猫じゃらし レインボーキャットチャーマー,[online],2013年11月26日,[2020年8月7日検索],URL,http://blog.livedoor.jp/sora_and_monet/archives/52507993.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 15/00 − 15/04
A01K 29/00
A63H 1/00 − 37/00
D07B 1/00 − 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が把持する棒状とされたグリップ部と、前記グリップ部の先端に連結され、ペットを誘導する誘導体として作用する紐体とを有しており、前記紐体は、グリップ部より長尺であって、内部に長尺な内芯体と前記内芯体を外から囲う長尺な外套体とからなり、
前記外套体の長手方向に沿った伸縮率は、前記内芯体の長手方向に沿った伸縮率よりも大きいものとされ、前記外套体が前記内芯体よりも柔らかいものとされている
ことを特徴とするペット用玩具。
【請求項2】
前記内芯体は、フィルム状とされたプラスチック体からなり、前記外套体は、繊維を編むことで構成された編物体であることを特徴とする請求項に記載のペット用玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、猫などのペットを遊ばせるためのペット用玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
猫などのペットを遊ばせるためのペット用玩具として、ペットが興味を持ちそうな形状のペット誘惑体をペットの目の前でひらひら動かし、じゃれつかせる形態のものがある。特許文献1の図9は、そのようなペット用玩具を開示するものとなっている。
特許文献1にて開示されたペット用玩具は、使用者が把持するグリップ、このグリップの先端に設けられたロッド部、このロッド部の先端に設けられたペット誘惑体を有する。グリップやロッド部は合成樹脂やガラス繊維で作られ、ペット誘惑体は鳥の羽や動物の羽毛またはナイロン等の合成繊維で作られる。ペット誘惑体は、植物の猫じゃらしに似せて作られている。グリップを手に持って上下に揺すると、ロッド部は適当にしなるので、そのしなりの力も加わり、ペット誘惑体を風に揺れる如くペットの目の前で揺することができる。ペットは、興味をそそる物体が目の前で動くから、それにじゃれつくことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−299124号公報(図9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、猫(大きくはネコ科の哺乳類)の習性、特性を考えた場合、まず、猫は蛇を捕獲する習性があり、猫は、蛇に形状が似ている長尺の紐体に反応し、じゃれつく特性がある。
また、猫の五感で最も優れているのは聴覚であることが知られている。そのため、猫は「カサカサ」といったような音には敏感に反応する。これは、草むらを蛇やネズミなどの小動物が移動する際に発生する音に似ているものと思われる。
【0005】
このような特性を生かしたペット用玩具であれば、猫などの小動物は、非常に興味を示し喜んで遊ぶ(じゃれつく)ものと思われる。
しかしながら、特許文献1が開示するペット用玩具は、短尺のペット誘惑体を有するものとなっており、また音を発するものとは思えない。それ故、猫などのペットが喜んでじゃれつくものになっていないと考えられる。
【0006】
そこで、本発明は、猫などのペットが非常に興味を示し、且つペットのストレス解消と健康増進を図ることができるペット用玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明のペット用玩具は、使用者が把持する棒状とされたグリップ部と、前記グリップ部の先端に連結され、ペットを誘導する誘導体として作用する紐体とを有しており、前記紐体は、グリップ部より長尺であって、内部に長尺な内芯体と前記内芯体を外から囲う長尺な外套体とからなることを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記外套体の長手方向に沿った伸縮率は、前記内芯体の長手方向に沿った伸縮率よりも大きいものとされ、前記外套体が前記内芯体よりも柔らかいものとされているとよい。
好ましくは、前記内芯体は、フィルム状とされたプラスチック体からなり、前記外套体は、繊維を編むことで構成された編物体であるとよい。
本発明のもっとも好ましい形態は、使用者が把持する棒状とされたグリップ部と、前記グリップ部の先端に連結され、ペットを誘導する誘導体として作用する紐体とを有しており、前記紐体は、グリップ部より長尺であって、内部に長尺な内芯体と前記内芯体を外から囲う長尺な外套体とからなり、前記外套体の長手方向に沿った伸縮率は、前記内芯体の長手方向に沿った伸縮率よりも大きいものとされ、前記外套体が前記内芯体よりも柔らかいものとされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のペット用玩具によれば、猫などのペットが非常に興味を示し、好適に遊ぶことができ、ひいては、ペットのストレス解消と健康増進を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明にかかるペット用玩具の全体を示した図である。
図2】本発明にかかるペット用玩具の紐体の断面を模式的に示した図である。
図3】本発明にかかるペット用玩具の紐体の側面の拡大図である。
図4】本発明にかかるペット用玩具の使用態様を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のペット用玩具を図面に基づき説明する。また、本発明のペット用玩具を用いるペットとして「猫」を例示して説明するが、ペットは猫に限定されず、様々な動物が想定される。
図1に示すように、本発明のペット用玩具1は、所謂「猫じゃらし」といわれるものであり、使用者Mが把持する棒状のグリップ部2と、グリップ部2の先端に連結され、ペットを誘導する誘導体として作用する紐体3とを有している。
【0012】
グリップ部2は、合成樹脂やガラス繊維などから構成された可撓性のある棒状体であり、その長さは約40cmである。グリップ部2の断面形状は、直径5mm程度の断面円形であるが、使用者Mが把持しやすい形であればこれには限定されない。
グリップ部2の基端にはキャップ部材4が被せてあり、このキャップ部材4により、グリップ部2の基端が使用者Mに当たるなどしたとしても、使用者Mが怪我をするなどの不都合を回避することができる。
【0013】
グリップ部2の先端には、グリップ部2の長さの約2〜4倍とされた長尺の紐体3が取り付けられている。具体的には、紐体3が基端(一方端)が、グリップ部2の先端に結合されるものとなっている。紐体3は柔軟性を有するものとされているため、グリップ部2を左右に振った際に、紐体3も連動し左右に揺らぐようになる。
この紐体3は、内部に長尺な内芯体5とこの内芯体5を外から囲う長尺な外套体6とからなる二重構造とされている。
【0014】
内芯体5は、幅が1cm程度で長さが80cm〜160cmとされたセロハンなどのプラスチック体から構成されている。このプラスチック体は、硬質であり且つ長手方向に殆ど伸縮しないものとなっている。プラスチック体は薄膜でフィルム状とされているため、長手方向に交わる方向には折れ曲がるようになっていると共に、触ると「カサカサ」といった音を発するものとされている。より音が出やすいように、内芯体5は厚み方向に皺や凹凸が生じるような癖付けされていてもよい。
【0015】
一方で、外套体6は、内芯体5と略同じ長さを有しており、内芯体5を外から囲うものとされている。言い換えれば、図2の断面模式図に示す如く、外套体6は筒状に形成されていて、この筒の内部に内芯体5が挿入された構成となっている。内芯体5と外套体6との間には、隙間が存在するようになっており、内芯体5の幅方向両端が外套体6の内側に接するようになっている。
【0016】
紐体3の基端においては、外套体6と内芯体5とが一体となった上でグリップ部2の先端に固着されている。また、紐体3の先端(他方端であってグリップ部2とは反対側)においては、内芯体5は外套体6に挟まれる形で一体となるように接着剤で接着されている。なお、紐体3の先端における外套体6と内芯体5との接着方法は接着に限定されない。熱による溶着であってもよい。
【0017】
図3に示す如く、本実施形態の外套体6は、糸や毛糸などの繊維を編み込むことで構成された編物体からなる。編物体で構成されるが故に、外套体6は軟質で且つ長手方向に伸縮可能とされている。すなわち、外套体6の長手方向に沿った伸縮率ρは、内芯体5の長手方向に沿った伸縮率ρ’より大きいものとなっている。外套体6が内芯体5よりも柔らかく比重も大きいものとなっている。
【0018】
外套体6を構成する編物体の編み方は、筒状乃至は袋状に編まれ且つ長手方向に伸びる編み方であれば、どのようなものでもよい。例えば、「リリアン編み」などを採用することが好ましい。
以上述べた、ペット用玩具1(猫じゃらし)の使用態様の一例について述べる。
図4に示すように、まず、ペット用玩具1を使用しようとする使用者Mは、グリップ部2を把持し、このグリップ部2を上下乃至は左右に揺するようにする。すると、このグリップ部2の動きに連動して、紐体3が波打つように動く(うねるように動く)こととなる。この紐体3の動きは、蛇の動きを連想させるものであるため、猫Cは、興味をそそる物体が目の前で動くから、それにじゃれつくことになる。
【0019】
なお、蛇を連想させるため、外套体6に蛇腹模様を印刷することは好ましい。また蛇腹模様を連想させる編み方をした編物体を、外套体6として採用することは好ましい。
紐体3が波打つように動く際には、内芯体5が上下乃至は左右に動き、この動きによる内芯体5そのものの性状による音の発生に加え、外套体6と擦れることで、「カサカサ」といった音を発するようになる。「カサカサ」といった音は、草むらを蛇やネズミなどの小動物が移動する際に発生する音に似ているものであり、猫Cはこの音に敏感に反応し、より一層、本発明のペット用玩具1に反応することとなる。
【0020】
図4の如く、猫Cが、紐体3を手で押さえ、その状態で使用者Mがグリップを自分側に引き寄せることを考える。紐体3を構成する外套体6は、長手方向に伸縮率が大きく伸びることになるが、内芯体5は殆ど伸びない。この伸縮率の差により、内芯体5の表面を外套体6が大きく擦ることとなるため、大きな音(「カサカサ」といった音)が生じることになり、従来の玩具にはない興味を、猫Cは抱くこととなる。
【0021】
このように、本発明のペット用玩具1では、紐体3が蛇を連想させるように波打ったり、紐体3から小動物の移動を連想させる「カサカサ」音が発生するため、猫Cは、本発明のペット用玩具1に非常に興味を示し、それにじゃれつくことになって、好適に遊ぶことができる。ひいては、本実施形態のペット用玩具1により、猫Cのストレス解消と健康増進を図ることが可能となる。
【0022】
なお、今回開示された各実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された各実施形態において、明示的に開示されていない事項は、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
例えば、本実施形態の説明においては、ペットとして猫Cを例示しているが、他の動物、例えば犬やフェレットなどに、本発明のペット用玩具1を使用しても何ら問題はない。
【0023】
また、グリップ部2は棒状であるとして説明をしたが、グリップ部2の形状は棒状に限定されない。
【符号の説明】
【0024】
1 ペット用玩具(猫じゃらし)
2 グリップ部
3 紐体
4 キャップ部材
5 内芯体
6 外套体
C 猫
M 使用者
図1
図2
図3
図4