【実施例】
【0019】
以下本発明の一実施例による消火器について説明する。
図1は本実施例による消火器及び耐圧容器の構成図である。
図1(a)は本実施例による消火器の一部を断面とした正面図である。
図1(a)に示すように、本実施例による消火器は、消火薬剤を収容する耐圧容器10と、耐圧容器10の内部に配置されるサイフォン管1と、耐圧容器10内の圧力を表示する圧力計2と、サイフォン管1の上端に配置される弁棒3と、弁棒3を動作させるレバー4と、レバー4の操作によって消火薬剤を噴出するホース5と、ホース5の先端に設けたノズル6と、耐圧容器10の下部を覆う袴7とを備えている。
サイフォン管1は、耐圧容器10の仮想容器軸心Xに配置している。
耐圧容器10は、アルミニウム合金製材料で形成され、耐圧容器10の内面には、アルミ防腐樹脂層11を形成している。アルミ防腐樹脂層11は樹脂成形により形成するが、塗装により形成してもよい。耐圧容器10の内部には、粉末薬剤又は液体薬剤が封入されている。
【0020】
図1(b)は本実施例による消火器の耐圧容器の正面図である。
図1(b)に示すように、耐圧容器10は、円筒状に形成された胴部12と、胴部12から開口部13までの肩部14と、胴部12の下部を形成する底部15とで形成されている。肩部14及び底部15は、円錐台状に形成されている。従って、耐圧容器10の胴部12、肩部14、及び底部15は、曲面部で構成されている。
【0021】
図2は同消火器における固定材の溶接接合を示す説明図である。
図2(a)は固定材の溶接接合位置を、
図2(b)は当接工程を、
図2(c)は溶融工程を、
図2(d)は押圧工程を示している。
図2(b)、
図2(c)、及び
図2(d)は消火器を上方から見た上面図である。
図2(a)に示すように、固定材20は、耐圧容器10の胴部12に接合する。
図2(b)に示すように、固定材20は、柱状部21と、柱状部21の一端に形成された突起部22とで構成される。また、図示のように、突起部22が形成される柱状部21の一端は、柱状部21より大径とした拡大部23を形成していることが好ましい。
固定材20の胴部12への溶接接合は、当接工程、溶融工程、及び押圧工程の順に行われる。
【0022】
図2(b)に示すように、当接工程では、固定材20を耐圧容器10に当接させる。
固定材20は、固定材20の固定材軸心Yを、耐圧容器10の仮想容器軸心X(
図1参照)に向けて配置する。
その後、
図2(c)に示すように、溶融工程では、固定材20に通電することで固定材20の端部に形成した突起部22でアークを発生させ、主に突起部22を溶融する。
そして、
図2(d)に示すように、押圧工程では、固定材20を耐圧容器10に押しつける。固定材20は、耐圧容器10の仮想容器軸心Xに向けて押圧される。この押圧工程は、当接工程、又は当接工程及び溶融工程で行うが、溶融工程における通電終了後も若干継続することが好ましい。このような溶接には、CD(Capacitor Discharge)方式スタッド溶接方法を用いることができる。
図2(d)に示すように、柱状部21の一端と耐圧容器10との間には、突起部22の溶融を主とした接合部30が形成される。接合部30は、突起部22以外に、拡大部23の一部及び耐圧容器10の一部が溶融して形成されるが、耐圧容器10の内面には、接合部30による痕を生じない。
本実施例によれば、曲面部に対する固定材20の溶接接合を確実に安定して行うことができるため、耐圧容器10と接合部30とが過度に強固な接合となることを防止できる。
【0023】
なお、
図2(b)に示す当接工程の前に、耐圧容器10の内面にアルミ防腐樹脂層11を形成する樹脂層形成工程を有することで、あらかじめ耐圧容器10の内面にアルミ防腐樹脂層11を形成できる。
また、
図2(b)に示す当接工程の前に、少なくとも固定材20を当接する位置の耐圧容器10の外面の汚れや錆を除去する異物除去工程を有する。異物除去工程を有することにより、固定材20の溶接接合を確実に安定して行うことができ、耐圧容器10と接合部30とが過度に強固な接合となることや不完全な接合となることを防止できる。
また、
図2(d)に示す押圧工程の後に、耐圧容器10の外面に塗装を行う塗装工程を有することで、塗装による溶融工程への影響がなく、固定材20に対する塗装をあわせて行える。
【0024】
図3は同消火器における複数の固定材の溶接接合を示す説明図である。
図3(a)及び
図3(b)は第1固定材の接合を、
図3(c)及び
図3(d)は第2固定材の接合を示している。また、
図3(a)及び
図3(c)は耐圧容器の上面図、
図3(b)及び
図3(d)は耐圧容器の要部正面図である。
図3(a)及び
図3(b)に示すように、第1固定材20Aに対して、当接工程、溶融工程、及び押圧工程を行った後に、耐圧容器10を所定角度回転させる。
耐圧容器10を所定角度回転させた後に、
図3(c)及び
図3(d)に示すように、第2固定材20Bに対して、当接工程、溶融工程、及び押圧工程を行う。
当接工程では、固定材20の固定材軸心Yを耐圧容器10の仮想容器軸心Xに向けて配置し、押圧工程では、固定材20を耐圧容器10の仮想容器軸心Xに向けて押圧するため、耐圧容器10を回転させることで位置決めが容易であり、複数の固定材20の溶接接合を短時間で行わせることができる。
【0025】
図4は2つの固定材を接合した同消火器を示す要部斜視図である。
胴部12の上部には、第1固定材20Aと第2固定材20Bとを、同一高さで接合している。固定材20は、本実施例のように胴部12に設けることが好ましいが、
図1(b)に示す、肩部14や底部15に設けることもできる。また、第1固定材20Aと第2固定材20Bとを設ける場合には、同一高さに設けることが好ましいが、同一鉛直線上に配置することもできる。
【0026】
図5は、同消火器における固定具に過重が加わった場合を示す説明図である。
図5(a)は、固定材20に過重が加わった場合に、耐圧容器10から柱状部21が剥離する状態を示している。
本実施例による消火器では、固定材20に過重が加わった場合に、
図5(c)に示すように耐圧容器10の一部が接合部30とともに剥離する前に、
図5(a)に示すように耐圧容器10から柱状部21が剥離する。
このように、柱状部21が耐圧容器10から剥離しやすく、耐圧容器10が接合部30とともに剥離することを防止するためには、固定材20を、耐圧容器10と異なる材質とする。固定材20と耐圧容器10との材質を異ならせることで、接合部30での接合強度を、同一材質である場合と比較して低くすることができる。
また、柱状部21が耐圧容器10から剥離しやすく、耐圧容器10が接合部30とともに剥離することを防止するためには、固定材20を、耐圧容器10より軟質の材質とする。固定材20を、耐圧容器10より軟質の材質とすることで、柱状部21で破断しやすくなる。
例えば、耐圧容器10を、アルミニウム3000系(Al−Mn系:アルミマンガン合金)とし、固定材20を、アルミニウム1000系(純アルミニウム系)とすることで、固定材20と耐圧容器10との材質を異ならせ、又は固定材20を耐圧容器10より軟質の材質とすることができる。
【0027】
図5(b)は、固定材20に過重が加わった場合に、柱状部21が破断する状態を示している。
本実施例による消火器では、固定材20に過重が加わった場合に、
図5(c)に示すように耐圧容器10の一部が接合部30とともに剥離する前に、
図5(b)に示すように柱状部21が破断する。
このように、柱状部21で破断しやすく、耐圧容器10が接合部30とともに剥離することを防止するためには、柱状部21に、溝又は切り欠きを形成する。柱状部21に、溝又は切り欠きを形成することで、溝又は切り欠きに応力集中が生じて破断を生じやすい。溝は螺旋溝とすることが好ましい。螺旋溝とすることで、柱状部21をねじ材として利用することができ、固定材20に取付具を取り付けやすい。
【0028】
図6は取付具として掛け具を固定材に取り付けた同消火器を示す要部斜視図である。
本実施例の消火器は、胴部12の上部に接合した第1固定材20Aと第2固定材20Bとを用いて、設置場所での固定のための掛け具40を取り付けている。
掛け具40は、一対の脚部41A、41Bと、一対の脚部41A、41Bを接続する連接部42とを有している。
一対の脚部41A、41Bは、それぞれ耐圧容器10に当接し、連接部42と耐圧容器10との間には空間部43が形成される。
この空間部43に、壁面や収容容器に設けた突出片を挿通することで、消火器は設置場所に固定される。
【0029】
図7は同消火器に取り付ける取付具としての掛け具を示す構成図である。
図7(a)は掛け具本体を示す上面断面図、
図7(b)は同掛け具本体の正面図、
図7(c)は同掛け具に用いるナットの正面図、
図7(d)は同ナットの底面図、
図7(e)は同掛け具の上面断面図、
図7(f)は同掛け具の正面図である。
掛け具40は、
図7(a)及び
図7(b)に示す掛け具本体と、
図7(c)及び
図7(d)に示すナット44と、
図7(e)及び
図7(f)に示すキャップ45とからなる。
掛け具本体は、第1挿通孔46Aを形成する第1脚部41Aと、第2挿通孔46Bを形成する第2脚部41Bと、第1脚部41Aと第2脚部41Bとを接続する連接部42とを形成している。
第1挿通孔46A及び第2挿通孔46Bは長孔としている。
ナット44は、プッシュナットを用いることが好ましい。第1ナット44A及び第2ナット44Bをプッシュナットとすることで、第1固定材20A及び第2固定材20Bを挿通しやすく、挿通後の抜けを確実に防止できる。
【0030】
第1挿通孔46Aと第1キャップ45Aとの間には、第1ナット44Aが変位できる第1ナット空間47Aを形成し、第2挿通孔46Bと第2キャップ45Bとの間には、第2ナット44Bが変位できる第2ナット空間47Bを形成している。
このように、第1キャップ45A及び第2キャップ45Bによって第1ナット空間47A及び第2ナット空間47Bを形成することで、第1キャップ45A及び第2キャップ45Bを取り外すことで、掛け具40の耐圧容器10からの取り外しを容易に行える。
第1ナット44Aは第1挿通孔46Aに対向して配置し、第2ナット44Bは第2挿通孔46Bに対向して配置する。
掛け具40は、樹脂材とすることが好ましい。掛け具40を樹脂材とすることで連接部42を容易に弾性変形させることができる。
【0031】
図8は同消火器における固定材への取付具の取付方法を示す説明図である。
図8(a)から
図8(d)までは、取り付けの段階を順に示す上面要部断面図、
図8(e)は
図8(a)の状態での掛け具の正面図、
図8(f)は
図8(d)の状態での掛け具の正面図である。なお、
図8では
図7で説明した第1キャップ45A及び第2キャップ45Bの図示を省略している。
図8(a)に示すように、第1挿通孔46A及び第1ナット44Aには第1固定材20Aを挿通し、第2挿通孔46B及び第2ナット44Bには第2固定材20Bを挿通する。
第1固定材20Aの第1接合端部20AXと第2固定材20Bの第2接合端部20BXとの根元間隔LXより、第1固定材20Aの第1先端部20AYと第2固定材20Bの第2先端部20BYとの先端間隔LYの方が広い。
従って、第1ナット44Aは、第1挿通孔46Aに対する第1固定材20Aの挿通状態によって、第1挿通孔46Aに対して矢印a1の方向に変位し、第2ナット44Bは、第2挿通孔46Bに対する第2固定材20Bの挿通状態によって、第2挿通孔46Bに対して矢印a2の方向に変位する。
【0032】
図8(b)は、掛け具40が耐圧容器10に当接した状態を示している。
連接部42は弾性変形することができ、第1脚部41Aと第2脚部41Bとの間隔を変更できる。
図8(b)の状態では、第1脚部41Aの外方と第2脚部41Bの外方とは耐圧容器10に接触しているが、第1脚部41Aの内方と第2脚部41Bの内方とは耐圧容器10との間に隙間を有する。
すなわち、第1脚部41Aと第2脚部41Bとが耐圧容器10と接触する接触面における仮想曲率を、耐圧容器10の容器曲率よりも大きくしている。仮想曲率を容器曲率よりも大きくすることで、掛け具40を耐圧容器10に押しつけやすく、掛け具40を耐圧容器10から引き離す方向への反力が働く状態では第1脚部41Aと第2脚部41Bとの接触面を耐圧容器10に隙間無く密着させることができる。
【0033】
図8(b)の状態で、矢印b1の方向に連接部42を押圧して、掛け具40を耐圧容器10に押しつけることで、第1脚部41Aと第2脚部41Bとの間隔が広がる方向に力が加わり、第1脚部41Aの内方と第2脚部41Bの内方とは耐圧容器10に接触する(
図8(c))。
第1脚部41Aの内方と第2脚部41Bの内方とが耐圧容器10に接触することで、第1固定材20Aは第1ナット44Aに更に押し込まれ、第2固定材20Bは第2ナット44Bに更に押し込まれる(
図8(d))。
図8(b)に示す矢印b1の方向への押圧を解除すると、第1脚部41Aと第2脚部41Bとの間隔が狭まる方向の力が、掛け具40を耐圧容器10から引き離す方向(
図8(c)に示す矢印b1の方向)への反力として働く。
【0034】
図8(d)は、掛け具40の耐圧容器10への取り付けを完了した状態を示している。この状態では、
図8(c)に示す矢印b1の方向への反力が常に加わっているため、掛け具40はがたつくことがない。
【0035】
図8(e)及び
図8(f)に示すように、第1ナット44Aは、第1挿通孔46Aに対する第1固定材20Aの挿通状態によって、第1挿通孔46Aに対して変位し、第2ナット44Bは、第2挿通孔46Bに対する第2固定材20Bの挿通状態によって、第2挿通孔46Bに対して変位している。
図8(e)では、矢印e1は第1ナット44Aの変位方向を、矢印e2は第2ナット44Bの変位方向を示している。
【0036】
このように、第1ナット44A及び第2ナット44Bが変位することで、第1接合端部20AXと第2接合端部20BXとの根元間隔LXより、第1先端部20AYと第2先端部20BYとの先端間隔LYを広くしている第1固定材20Aと第2固定材20Bに対して、掛け具40をスムーズに取り付けることができる。
第1固定材20A及び第2固定材20Bには、溝又は切り欠きを形成することで、第1ナット44A及び第2ナット44Bとの係合を確実に行わせることができる。
図8では、第1固定材20A及び第2固定材20Bには螺旋溝を形成しており、螺旋溝を形成することで、第1固定材20A及び第2固定材20Bをねじ材として利用することができ、第1ナット44A及び第2ナット44Bとの係合を確実に行わせることができる。
なお、
図3で説明したように、固定材20は、固定材軸心Yを耐圧容器10の仮想容器軸心Xに向けて接合しているため、第1接合端部20AXと第2接合端部20BXとの根元間隔LXより、第1先端部20AYと第2先端部20BYとの先端間隔LYの方が広い。
【0037】
図9は、同消火器における取付具に過重が加わった場合を示す説明図である。
図9(a)は、取付具としての掛け具40に過重が加わった場合に、耐圧容器10から柱状部21が剥離する状態を示している。
本実施例による消火器では、掛け具40に過重が加わった場合に、耐圧容器10の一部が接合部30とともに剥離する前に、
図9(a)に示すように耐圧容器10から第1固定材20A及び第2固定材20Bの柱状部21が剥離する。
このように、柱状部21が耐圧容器10から剥離しやすく、耐圧容器10が接合部30とともに剥離することを防止するためには、柱状部21を、耐圧容器10と異なる材質とする。柱状部21と耐圧容器10との材質を異ならせることで、接合部30での接合強度を、同一材質である場合と比較して低くすることができる。
また、柱状部21が耐圧容器10から剥離しやすく、耐圧容器10が接合部30とともに剥離することを防止するためには、柱状部21を、耐圧容器10より軟質の材質とする。柱状部21を、耐圧容器10より軟質の材質とすることで、柱状部21で破断しやすくなる。
例えば、耐圧容器10を、アルミニウム3000系(Al−Mn系:アルミマンガン合金)とし、柱状部21を、アルミニウム1000系(純アルミニウム系)とすることで、柱状部21と耐圧容器10との材質を異ならせ、又は柱状部21を耐圧容器10より軟質の材質とすることができる。
【0038】
図9(b)は、取付具としての掛け具40に過重が加わった場合に、柱状部21が破断する状態を示している。
本実施例による消火器では、取付具としての掛け具40に過重が加わった場合に、耐圧容器10の一部が接合部30とともに剥離する前に、
図9(b)に示すように柱状部21が破断する。
このように、柱状部21で破断しやすく、耐圧容器10が接合部30とともに剥離することを防止するためには、柱状部21に、溝又は切り欠きを形成する。柱状部21に、溝又は切り欠きを形成することで、溝又は切り欠きに応力集中が生じて破断を生じやすい。溝は螺旋溝とすることが好ましい。螺旋溝とすることで、柱状部21をねじ材として利用することができ、柱状部21に取付具を取り付けやすい。
【0039】
図9(c)は、取付具としての掛け具40に過重が加わった場合に、第1固定材20A及び第2固定材20Bが第1ナット44A及び第2ナット44Bから離脱する状態を示している。
本実施例による消火器では、取付具としての掛け具40に過重が加わった場合に、耐圧容器10の一部が接合部30とともに剥離する前に、
図9(c)に示すように第1固定材20A及び第2固定材20Bが第1ナット44A及び第2ナット44Bから離脱する。
このように、第1固定材20A及び第2固定材20Bが第1ナット44A及び第2ナット44Bから離脱しやすく、耐圧容器10が接合部30とともに剥離することを防止するためには、第1固定材20A及び第2固定材20Bへの溝又は切り欠きを浅く形成する。
【0040】
図9(d)は、取付具としての掛け具40に過重が加わった場合に、掛け具40が破壊する状態を示している。
本実施例による消火器では、取付具としての掛け具40に過重が加わった場合に、耐圧容器10の一部が接合部30とともに剥離する前に、
図9(d)に示すように掛け具40が破壊する。
このように、掛け具40が破壊しやすく、耐圧容器10が接合部30とともに剥離することを防止するためには、掛け具40を樹脂材とする。
なお、取付具としての掛け具40に過重が加わった場合に、耐圧容器10が接合部30とともに剥離する前に、耐圧容器10からの柱状部21の剥離、柱状部21での破断、及び掛け具40の破壊、の内の少なくともいずれかを生じるものであればよいが、2つ以上を生じるようにすることで使用時の安全性を高めることができる。
また、本実施例では、取付具を掛け具40として説明したが、
図1に示したホース5又はノズル6を固定するホース受け具や袴7を取付具とすることができ、固定材20を用いることで、ホース受け具や袴7の取り付けを容易に行うことができる。
【0041】
図10は他の実施例による取付具としての掛け具を示す構成図である。
図10(a)は掛け具の上面断面図、
図10(b)は同掛け具の正面図、
図10(c)は
図10(a)の要部拡大断面図である。なお、
図7で説明した部材と同一機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
本実施例による掛け具40は、
図7に示す第1キャップ45A及び第2キャップ45Bは備えてなく、第1キャップ45A及び第2キャップ45Bの位置は塞がれており、それぞれ第1脚部41A及び第2脚部41Bとなっている。
本実施例による掛け具40は、第1ナット空間47Aには、第1ナット44Aを挿入できる第1開口部48Aを形成し、第2ナット空間47Bには、第2ナット44Bを挿入できる第2開口部48Bを形成している。
第1開口部48Aは第1脚部41Aの外方側面に形成し、第2開口部48Bは第2脚部41Bの外方側面に形成している。
第1開口部48Aと第1ナット空間47Aとの間には段差部49Aを形成し、第2開口部48Bと第2ナット空間47Bとの間には段差部49Bを形成している。
本実施例によれば、第1ナット44A及び第2ナット44Bを、第1開口部48A及び第2開口部48Bから第1ナット空間47A及び第2ナット空間47Bに挿入できる。
また、本実施例によれば、第1ナット空間47Aに挿入された第1ナット44A及び第2ナット空間47Bに挿入された第2ナット44Bは、段差部49A及び段差部49Bによって第1開口部48A及び第2開口部48Bから抜けにくい。
【0042】
図11は更に他の実施例による取付具としての掛け具を示す構成図である。なお、
図7及び
図10で説明した部材と同一機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
図11に示すように、第1開口部48Aを第1脚部41Aの上方面、下方面、又は内方側面に形成し、第2開口部48Bを第2脚部41Bの上方面、下方面、又は内方側面に形成してもよい。
また、
図11では図示を省略しているが、
図10で説明したように、第1開口部48Aと第1ナット空間47Aとの間には段差部49Aを形成し、第2開口部48Bと第2ナット空間47Bとの間には段差部49Bを形成する。