特許第6832006号(P6832006)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6832006
(24)【登録日】2021年2月3日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】照射ガイド付き手動式レーザー溶着装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 1/005 20060101AFI20210215BHJP
   B29C 65/16 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
   B23K1/005 A
   B29C65/16
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-35143(P2017-35143)
(22)【出願日】2017年2月27日
(65)【公開番号】特開2018-140408(P2018-140408A)
(43)【公開日】2018年9月13日
【審査請求日】2019年9月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014834
【氏名又は名称】株式会社ジャパンユニックス
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【弁理士】
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100072453
【弁理士】
【氏名又は名称】林 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】山口 真哉
(72)【発明者】
【氏名】河野 寛史
【審査官】 正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−155246(JP,A)
【文献】 特開2007−098452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 1/005
B29C 65/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
片手に持ったまま溶着作業を行うように構成されたボディに、発光素子をレーザー発振させてレーザー光を出射するレーザーモジュールが内蔵されると共に、該レーザーモジュールから出射されたレーザー光を光ファイバーを通じて溶着対象部位に照射する照射部材と、手ぶれによる誤照射を防止するための照射ガイドとが設けられ
前記照射ガイドは、前記ボディに取り付けるための取付部と、該取付部から前記光ファイバーに沿って延びるアーム部と、該アーム部の先端に前記溶着対象部位の周辺に部分的に当接するように形成された当接部とを有する、
ことを特徴とする照射ガイド付き手動式レーザー溶着装置。
【請求項2】
前記照射ガイドは、前記ボディに対して着脱自在であることを特徴とする請求項1に記載のレーザー溶着装置。
【請求項3】
前記照射ガイドは、前記アーム部の先端に照準部を有し、該照準部は枠状をしていて、該照準部の枠の内部に前記照射部材からのレーザー光が向けられていることを特徴とする請求項2に記載のレーザー溶着装置。
【請求項4】
前記照準部は前記当接部を兼ねていることを特徴とする請求項3に記載のレーザー溶着装置。
【請求項5】
前記照準部は、前記アーム部の先端から、前記ボディの上面側において該ボディの斜め前方に向けて延出し、該照準部と前記アーム部とのなす角度は鈍角であることを特徴とする請求項3又は4に記載のレーザー溶着装置。
【請求項6】
前記照射部材は、光コネクタ兼用のファイバーホルダーと、該ファイバーホルダーに基端部を保持されて先端部が該ファイバーホルダーから前方に延出する光ファイバーとを有していて、前記ボディに着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のレーザー溶着装置。
【請求項7】
片手に持ったまま溶着対象部位に光ファイバーからレーザー光を照射して溶着作業を行う手動式のレーザー溶着装置に取り付けて、レーザー光照射時の手ぶれによる誤照射を防止するための照射ガイドであって、
前記照射ガイドは、前記レーザー溶着装置に取り付けるための取付部と、該取付部から前記光ファイバーに沿うように延出するアーム部と、該アーム部の先端に前記溶着対象部位の周辺に部分的に当接するように形成された当接部とを有することを特徴とするレーザー溶着装置用照射ガイド。
【請求項8】
前記アーム部の先端に照準部を有し、該照準部は枠状をしていて、該照準部の枠の内部で前記溶着対象部位にレーザー光を照射するように形成されていることを特徴とする請求項7に記載の照射ガイド。
【請求項9】
前記照準部は前記当接部を兼ねていることを特徴とする請求項8に記載の照射ガイド。
【請求項10】
前記照準部は、前記アーム部の先端から斜め前方に向けて延出し、該照準部と前記アーム部とのなす角度は鈍角であることを特徴とする請求項8又は9に記載の照射ガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー光を照射してハンダ付けや合成樹脂の溶着等を行うレーザー溶着装置に関するものであり、更に詳しくは、片手に持って手動で溶着作業を行うことができ、極小部位の溶着にも適した、手動式のレーザー溶着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、回路基板に形成された電極部に電子部品のリードを手動でハンダ付けするような場合、一般にハンダ鏝が使用される。このハンダ鏝は、特許文献1に開示されているように、片手に持つための把手の先端に鏝先を有すると共に、該鏝先を取り囲むケースの内部にヒーターを有し、該ヒーターで前記鏝先を加熱して、加熱した鏝先で前記電極部及びリードを加熱すると共に、ハンダを溶融させ、溶融したハンダで前記リードを前記電極部に接着するものである。
一方で、近年においては、前記電子部品の小形化が進み、それに伴って電極部やリード等のハンダ付け対象部位も極小化しているため、それに合わせて前記ハンダ鏝の鏝先も、小形のものが要求されるようになっている。
【0003】
しかし、ハンダ鏝の鏝先を小形化するのは、耐久性の点で限界がある。例えば、鏝先の先端径を0.2mmに形成し、この鏝先を380度に加熱してハンダ付けした場合、ハンダの主成分である錫による浸食を受けるため、前記鏝先のライフは僅か2時間程度になってしまうことが実験で確かめられている。このため、ハンダ鏝を使用して極小部位のハンダ付けを行うのは、実用上ほぼ不可能であった。
【0004】
一方、レーザー光を使用するレーザーハンダ付け装置も知られている。このレーザーハンダ付け装置は、特許文献2に開示されているように、レーザー光を発生させるレーザー発生装置と、集光レンズを内蔵した照射ヘッドとを、光ファイバーで接続したもので、前記レーザー発生装置で発生したレーザー光を、前記光ファイバーを通じて照射ヘッドに導き、前記集光レンズで集光してハンダ付け部位に照射し、そのエネルギーでハンダを溶融させてハンダ付けするものである。
このレーザーハンダ付け装置は、ハンダ付け部位をハンダと非接触でハンダ付けすることができるため、錫による浸食の問題がなく、しかも、レーザー光の照射径を小さく絞ることができるので、極小部位のハンダ付けも行うことができる。
【0005】
しかし、従来のレーザーハンダ付け装置は、前述したような装置構成であるため、全体が非常に大形であり、このため、ハンダ付けロボットに装着して使用することしかできなかった。そこで、手動でハンダ付けを行うことができる簡便で小形化されたレーザーハンダ付け装置の出現が要望されている。また、手動でレーザー光をハンダ付け部位に照射する場合には、ハンダ付け装置の姿勢を安定させて手ぶれ等による誤照射を生じないようにすることが必要である。これらの問題は、合成樹脂の溶着を行う溶着装置においても同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭62−56272号公報
【特許文献2】特開2001−198670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、片手に持って手動で溶着作業を行うことができ、極小部位の溶着にも適し、手ぶれ等による誤照射を生じることのない、使用性に優れた手動式のレーザー溶着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明によれば、片手に持ったまま溶着作業を行うように構成されたボディに、発光素子をレーザー発振させてレーザー光を出射するレーザーモジュールが内蔵されると共に、該レーザーモジュールから出射されたレーザー光を光ファイバーを通じて溶着対象部位に照射する照射部材と、手ぶれによる誤照射を防止するための照射ガイドとが設けられ、前記照射ガイドは、前記ボディに取り付けるための取付部と、該取付部から前記光ファイバーに沿って延びるアーム部と、該アーム部の先端に前記溶着対象部位の周辺に部分的に当接するように形成された当接部とを有することを特徴とする照射ガイド付き手動式レーザー溶着装置が提供される。
【0009】
本発明において前記照射ガイドは、前記ボディに対して着脱自在である。
前記照射ガイドは、前記アーム部の先端に照準部を有し、該照準部は枠状をしていて、該照準部の枠の内部に前記照射部材からのレーザー光が向けられていることが望ましく、より望ましくは、前記照準部が前記当接部を兼ねていることである。
また、本発明において好ましくは、前記照準部が、前記アーム部の先端から、前記ボディの上面側において該ボディの斜め前方に向けて延出し、該照準部と前記アーム部とのなす角度は鈍角であることである。
【0010】
本発明の一つの具体的な構成態様によれば、前記照射部材は、光コネクタ兼用のファイバーホルダーと、該ファイバーホルダーに基端部を保持されて先端部が該ファイバーホルダーから前方に延出する光ファイバーとを有していて、前記ボディに着脱自在に取り付けられている。
【0011】
また、本発明によれば、片手に持ったまま溶着対象部位に光ファイバーからレーザー光を照射して溶着作業を行う手動式のレーザー溶着装置に取り付けて、レーザー光照射時の手ぶれによる誤照射を防止するための照射ガイドが提供される。
前記照射ガイドは、前記レーザー溶着装置に取り付けるための取付部と、該取付部から前記光ファイバーに沿うように延出するアーム部と、該アーム部の先端に前記溶着対象部位の周辺に部分的に当接するように形成された当接部とを有する。
【0012】
本発明において好ましくは、前記照射ガイドが、前記アーム部の先端に照準部を有し、該照準部は枠状をしていて、該照準部の枠の内部で前記溶着対象部位にレーザー光を照射するように形成されていることである。
この場合、前記照準部は、前記当接部を兼ねていることが望ましく、より望ましくは、前記照準部が、前記アーム部の先端から斜め前方に向けて延出し、該照準部と前記アーム部とのなす角度は鈍角であることである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のレーザー溶着装置は、片手に持って手動で溶着作業を行うことができるだけでなく、極小部位の溶着にも適しており、また、溶着作業を行う際に、照射ガイドの当接部を溶着対象部位の周辺に当接させて溶着装置の姿勢を安定させることができるので、手ぶれ等による誤照射を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るレーザー溶着装置の代表例であるハンダ付け装置の第1実施形態を示す平面図である。
図2図1の側面図である。
図3図1の断面図である。
図4図3の部分拡大図である。
図5】ハンダ付け装置の電気・光学回路の一例を示す回路図である。
図6】ハンダ付け装置の電気・光学回路の他例を示す回路図である。
図7図1の分解図である。
図8】照射部材の斜視図である。
図9】照射部材の変形例を示す分解状態での要部断面図である。
図10】照射ガイドの斜視図である。
図11】照射ガイドの異なる取付態様を示すハンダ付け装置の要部の拡大側面図である。
図12】第1実施形態のハンダ付け装置でハンダ付けを行っている状態の側面図である。
図13図12の要部平面図である。
図14】照射ガイドの第1変形例を示す斜視図である。
図15】照射ガイドの第2変形例を示す断面図である。
図16】照射ガイドの第3変形例を示すもので、(a)はその斜視図、(b)はその断面図である。
図17】照射ガイドの第4変形例を示す要部斜視図である。
図18】第4変形例の照射ガイドを使用してハンダ付けするときの状態を示す要部側面図である。
図19】照射ガイドの第5変形例を示す斜視図である。
図20】第1実施形態のハンダ付け装置の他の変形例を示す部分側面図である。
図21】レーザーモジュールの変形例を示す側面図である。
図22】レーザーモジュールの他の変形例を示す正面図である。
図23】本発明に係るハンダ付け装置の第2実施形態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図には、本発明に係る手動式レーザー溶着装置として、その代表的な例であるハンダ付け装置が示されている。このハンダ付け装置は、例えば、図12に示すように、回路基板11に形成された電極部11aに、電子部品12のリード12aを、レーザー光を照射してハンダ付けするのに使用されるものである。従って、以下の説明はこのハンダ付け装置について行う。
【0016】
第1実施形態のハンダ付け装置1Aは、図1図4に示すように、片手に持つように構成されたペン形のボディ2を有している。このボディ2は、金属あるいは合成樹脂等により中空状に形成されたもので、グリップ部を兼ねる本体部2aと、該本体部2aの先端に次第に先細りをなすように形成された円錐部2bとを有し、これら本体部2aと円錐部2bとが、軸線Lに沿ってほぼ真っ直ぐに配置されている。また、前記ボディ2の先端部には、前記レーザー光LBを照射してハンダ付けする際に、手ぶれ等による誤照射を防止するため、前記ボディ2の位置決めを行うと共にその姿勢を安定化させる、照射ガイド3が設けられている。
【0017】
図5の回路図も参照して、前記ボディ2の内部には、半導体レーザーからなるレーザーモジュール5と、該レーザーモジュール5を含むハンダ付け装置1A全体を制御する制御回路7が実装された回路基板6と、前記レーザーモジュール5及び制御回路7に電力を供給するための充電式のバッテリー8とが、該ボディ2の先端側から後端側に向けて前述した順番に配置されて内蔵され、該ボディ2の円錐部2bの先端には、前記レーザーモジュール5から出射されたレーザー光LBをハンダ付け部位10(図12参照)に向けて照射するための照射部材9が取り付けられている。
【0018】
また、前記ボディ2の外面には、前記制御回路7とバッテリー8とを結ぶ電源回路14を開閉するための電源スイッチ13と、前記制御回路7による制御モードを切り換えるためのモード切換ボタン15と、前記制御回路7とレーザーモジュール5とを結ぶ照射回路16を開閉し、前記レーザーモジュール5をオン・オフさせてレーザー光LBの照射及び停止を行う照射ボタン17と、前記レーザーモジュール5のオン・オフに連動して点灯及び消灯するインジケーターランプ18と、ハンダ付け装置1Aの動作状態を表示する表示部19とが設けられている。なお、図2においては、電気配線の記載が省略されている。
【0019】
前記レーザーモジュール5は、半導体からなる発光素子20に電流を流してこの発光素子20をレーザー発振させることにより、この発光素子20からレーザー光LBを出射させるもので、合成樹脂や金属等からなるモジュールケース21の内部に、前記発光素子20と複数の光学レンズ22a,22b,22cとを光軸即ち前記軸線Lに沿って内蔵し、該光学レンズ22a,22b,22cで集光されたレーザー光LBをモジュールケース21の先端に形成された出射口5aから照射部材9に向けて出射するように構成されている。前記レーザー光LBは、例えば、波長800−1000nm、出力3.5−5W程度に設定されている。
【0020】
また、前記レーザーモジュール5には、可視光域にある赤外光からなるガイド光GBを出射させるためのガイド光発生素子25が付設されていて、このガイド光発生素子25から前記レーザー光LBの光軸Lと直交する方向に出射されたガイド光GBを、半透鏡26で前記光軸Lの方向に屈曲させ、該光軸Lに沿って出射することができるように構成されている。前記半透鏡26は、レーザー光LBは透過させるが可視光は全反射する性質を有するものである。前記ガイド光発生素子25は、前記モジュールケース21の内部に設けても、外部に設けても良い。
【0021】
前記ガイド光GBは、前記ハンダ付け部位10にレーザー光LBを照射してハンダ付けする際に、前もってこのガイド光GBをハンダ付け部位10に照射することにより、レーザー光LBの照射位置に照準を合わせるためのもので、該レーザー光LBより低出力(5mW程度)に設定されている。
【0022】
なお、図5においては、前記半透鏡26を第1の光学レンズ22aと第2の光学レンズ22bとの間に配設し、前記ガイド光発生素子25から出射されたガイド光GBをこの半透鏡26で反射させたあと、前記第2の光学レンズ22b及び第3の光学レンズ22cを通じて出射させるようにしているが、図6に示すように、前記半透鏡26を第3の光学レンズ22cの外側(前方側)に配設し、ガイド光発生素子25から出射されたガイド光GBを、該半透鏡26で光軸L方向に反射させて照射部材9に直接入射させるようにすることもできる。
【0023】
図4図7図8から明らかなように、前記照射部材9は、光コネクタ兼用のファイバーホルダー30と、該ファイバーホルダー30に基端部を保持されて先端部が該ファイバーホルダー30から前方に延出する光ファイバー31とを有している。
前記ファイバーホルダー30は、前記ボディ2より小径の円柱状をした部品であって、その中心に前記光ファイバー31が挿入されたファイバー挿入孔32を有すると共に、先端部に前記光ファイバー31を保護するための細管状をした保護管部33を有し、基端部には取付部30aを有していて、この取付部30aを、前記ボディ2の円錐部2bの先端に開口する取付孔2d内に挿入することにより、該ボディ2に着脱自在に取り付けられている。
【0024】
また、前記取付部30aの基端部には、前記光ファイバー31の基端部が臨む入射口32aが形成され、この入射口32aがボディ2の内部で前記レーザーモジュール5の先端の出射口5aに対向することにより、前記レーザーモジュール5とファイバーホルダー30とが光学的に接続されている。
【0025】
前記照射部材9は、前記ボディ2に着脱自在に取り付けられている。この取り付けのため、前記ファイバーホルダー30の取付部30aには、円柱状をした先端部30bと、六角形等の多角形やその他の非円形状をした回転防止部30cとが形成され、これに対して前記ボディ2の取付孔2dには、前記先端部30bが嵌合する円孔部2eと、前記回転防止部30cが嵌合する非円孔部2fとが形成され、該非円孔部2fの孔底部には永久磁石34が取り付けられていて、この永久磁石34と、鉄などの磁性材で形成さた前記回転防止部30cとを磁気力で相互に吸着させることにより、前記照射部材9が、前記ボディ2対し、決められた一定の向きに、回転を規制された姿勢で安定的に取り付られている。
【0026】
しかし、その他の取付方法を用いることもできる。例えば、図9に示すように、取付部30aの一部に雄螺子部30dを形成すると共に、取付孔2dの一部に雌螺子部2gを形成し、この雌螺子部2g内に前記雄螺子部30dをねじ込む方法を用いることもできる。
【0027】
前記照射部材9はボディ2に対して着脱自在であるため、光ファイバー31の線径が異なる他の照射部材9と交換可能であり、該照射部材9の交換により、ハンダ付け部位10の態様やハンダ付けポイントの大小等に応じて前記レーザー光LBのビーム径を変更することができる。例えば、前記光ファイバー31の線径が0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.6mm、0.8mmといった6種類の照射部材9を用意しておけば、レーザー光LBのビーム径を6種類に変更することができる。
【0028】
前記モード切換ボタン15は、第1−第3の3つの切換ボタン15a−15cを有している。このうち第1の切換ボタン15aは、前記制御モードを、レーザー光LBの照射が可能な照射モードと、レーザー光LBの照射が不可能な停止モードとに切り換えるためのものであり、また、第2の切換ボタン15bと第3の切換ボタン15cとは、レーザー光LBの出力を増加及び減少させたり、前記ガイド光GBの出射及び停止を行ったり、表示部19の表示を変更したりするためのものである。
【0029】
そして、前記第1の切換ボタン15aで制御モードを照射モードに切り換えると、前記制御回路7により、前記照射回路16が電源回路14に接続されるため、前記照射ボタン17の操作が有効になって前記レーザーモジュール5をオン・オフ操作することができるようになると同時に、前記表示部19に設けられた照射モードランプ36が点灯する。また、前記第1の切換ボタン15aで制御モードを停止モードに切り換えると、前記制御回路7により、前記照射回路16が電源回路14から切り離されるため、前記照射ボタン17の操作が無効になってレーザーモジュール5をオン・オフ操作することができなくなると同時に、前記照射モードランプ36が消灯する。
【0030】
一方、前記照射ボタン17は、該照射ボタン17を押している間だけ前記照射回路16を閉じ、離すと該照射回路16を開くように構成されている。従って、前記制御モードを照射モードに切り換えた状態で該照射ボタン17を押すと、該照射ボタン17を押している間だけ前記レーザーモジュール5がオンになってレーザー光LBが出射され、前記照射ボタン17を離して押圧を解除すると、前記レーザーモジュール5がオフになってレーザー光LBの出射が停止し、それに同期して前記インジケーターランプ18が点灯したり消灯したりする。
前記制御モードが停止モードに切り換えられていると、前記照射回路16が電源から切り離されているため、前記照射ボタン17を押してもレーザーモジュール5はオンにならない。
【0031】
なお、前記レーザー光LBが照射されているとき、前記インジケーターランプ18が点灯すると同時に、ブザーが鳴ってそのことを作業者に知らせるようにすることもできる。このブザーモードのオン・オフは、前記第2の切換ボタン15bか又は第3の切換ボタン15cによって行うようにする。
【0032】
前記各スイッチ及びボタンとランプとは、操作し易く且つ見易い位置であればボディ2のどの位置に設けても良いが、図示した実施形態では、前記電源スイッチ13と表示部19と照射ボタン17とインジケーターランプ18とが、ボディ2の上面に、該ボディ2の後端側から先端側に向けて前記順番に並べて配設され、前記モード切換ボタン15はボディ2の側面に設けられている。この場合、作業者が右利きであっても左利きであっても簡単に操作できるように、前記モード切換ボタン15は、ボディ2の左右両側面に設けておくことが望ましい。
【0033】
前記照射ガイド3は、図10からも分かるように、弾性を有する金属板を折曲することにより形成されたもので、前記ボディ2の先端部に取り付けるための取付部50と、該取付部50から前記光ファイバー31に沿って延出するアーム部51と、該アーム部51の先端に設けられた枠状の照準部52と、ハンダ付け部位10の周辺の該ハンダ付け部位以外の部分に当接させるための当接部53とを有している。本実施形態においては、前記照準部52が当接部53を兼ねている。
【0034】
前記取付部50は、円筒の側面に軸線方向の切れ目50aを設けたような形をしていて、該取付部50を、前記ファイバーホルダー30の円柱状をした部分に弾力的に嵌め付けることにより、前記照射ガイド3がボディ2の先端部に着脱自在に取り付けられている。従って、該照射ガイド3は、前記取付部50を前記ファイバーホルダー30から取り外すか、又は該ファイバーホルダー30を前記ボディ2から取り外すことにより、該ボディ2から取り外すことができる。
しかし、前記照射ガイド3をボディ2に直接取り付けることもでき、この場合には、図11に示すように、該ボディ2の円錐部2bの先端に円柱状のガイド取付部4を形成し、このガイド取付部4に前記取付部50を嵌め付けるようにすれば良い。
【0035】
また、前記アーム部51は、円弧状の断面形状を有するように形成され、前記軸線Lに沿って真っ直ぐ延びている。
【0036】
更に、前記照準部52は、円周の一部に切れ目52bを有する割りリング状をなすもので、円弧状をした左右一対の枠片52a,52aを有し、該枠片52a,52aの基端部の位置で前記アーム部51の先端に連なっており、該照準部52の枠の内部、好ましくはリングの中心に、前記光ファイバー31の先端が向けられている。このとき、前記照準部52は、前記光ファイバー31の先端より前方に位置していることが望ましい。また、前記照準部52は、前記アーム部51に、前記ボディ2の上面側において該ボディ2の斜め前方に向けて延出するように、前記アーム部51に対して傾斜した状態に連なっており、該照準部52と前記アーム部51とのなす角度θは鈍角である。
【0037】
前記構成を有するハンダ付け装置1Aを使用し、例えばリフロー式のハンダ付けを行うときの操作は、次の通りである。
即ち、先ず、前記電源スイッチ13をオンにすると共に、前記モード切換ボタン15の第1の切換ボタン15aによって制御モードを照射モードに切り換える。
続いて、前記ボディ2を片手でペンを握るように持ち、図12及び図13に示すように、照射ガイド3の先端の当接部53を兼ねる照準部52を、該照準部52の枠内にハンダ付け部位10(電極部11a及びリード12a)が納まるように位置決めして、該ハンダ付け部位10の周辺部分(例えば回路基板11)に平行に押し付けることにより、前記ボディ2の姿勢をやや傾斜した状態に保つようにする。これにより、レーザー光LBの照射位置及び照射距離も定まる。このとき重要なことは、前記照準部52がハンダ付けされるのを防止するため、該照準部52の枠片52a,52aが前記ハンダ付け部位10に接触しないようにすることである。
【0038】
次に、前記照準部52をハンダ付け部位10の周辺に押し付けた状態で、前記照射ボタン17を指で押してレーザーモジュール5を起動させ、レーザー光LBを前記光ファイバー31の先端から前記ハンダ付け部位10に向けて照射する。すると、前記電極部11aに塗布されているハンダ37が該レーザー光LBの熱エネルギーにより溶融され、該電極部11aと前記リード12aとがハンダ付けされる。
【0039】
このとき、前記レーザー光LBの誤照射を防止するため、前記照準部52をハンダ付け部位10の周辺に押し付ける前に、前記第2の切換ボタン15b又は第3の切換ボタン15cの操作によって前記レーザーモジュール5から前記ガイド光GBを出射させ、このガイド光GBを予めレーザー光LBの照射位置に照射することによって該照射位置に照準を合わせ、その状態で前記照準部52をハンダ付け部位10の周辺に押し付けるようにすることが望ましい。
【0040】
一つのハンダ付け部位10のハンダ付けが終了すると、前記照射ボタン17から指を離してその押圧を解除することにより前記レーザー光LBの照射を停止し、その状態でハンダ付け装置1Aを次のハンダ付け部位10に移動させ、同様の操作で該ハンダ付け部位10のハンダ付けを行う。このとき、前記ガイド光GBは、出射させたままである。
【0041】
一方、線状ハンダを用いてハンダ付けを行うこともでき、その場合は、例えば、ハンダ供給装置からハンダ付け部位10に向けて必要量の線状ハンダを自動的に供給しながら、供給された線状ハンダをレーザー光LBで溶融させてハンダ付けすることも、あるいは、前記ハンダ付け装置1Aを持つ手と反対側の手にハンダ供給ノズルを持ち、このハンダ供給ノズルから線状ハンダを供給しながらハンダ付けすることもできる。
【0042】
図14図18には、照射ガイドの変形例が示されている。このうち、図14に示す第1変形例の照射ガイド3Aは、アーム部51が平板状をしていて、該アーム部51全体が軸線Lに対して外向きに湾曲しており、また、照準部52がU字形に形成されている。この照射ガイド3Aを使用した場合、前記アーム部51の弾性変形により、レーザー光LBの照射距離を調整することができる。しかし、前記アーム部51は、軸線Lと平行な直線であっても良い。
【0043】
また、図15に示す第2変形例の照射ガイド3Bは、取付部50とアーム部51とを、該取付部50から軸線Lと交叉する方向に延出する連結部54を介して連結することにより、前記アーム部51と軸線Lとの距離Dを、前記取付部50の半径Rより大きく保ったものである。この場合、前記アーム部51は、軸線Lと平行な直線であっても、第1変形例のように湾曲していても良い。この照射ガイド3Bは、ハンダ付け部位10が比較的大きい場合に有効である。
【0044】
更に、図16(a),(b)に示す第3変形例の照射ガイド3Cは、アーム部51が平板状をなすと共に、該アーム部51が、軸線Lに対して複数の角度に折れ曲がっている。即ち、前記アーム部51は、第1部分51aと第2部分51bと第3部分51cとからなっていて、前記第1部分51aは、取付部50から、軸線Lとの間に角度αを保って前方(照準部52方向)に延出し、前記第2部分51bは、軸線Lとの間に前記角度αより大きい角度βを保って前記第1部分51aから前方に延出し、第3部分51cは、前記第2部分51bと照準部52とを連結する部分で、外側に向けてやや湾曲している。そして、前記第3部分51bが当接部53を形成している。前記第3部分51cの軸線方向長さは最も長く、第1部分51aの軸線方向長さはその次に長く、前記第2部分51bの軸線方向長さはもっとも短い。
前記照射ガイド3Cは、主として第3部分51cが弾性変形するため、第1変形例の照射ガイド3Aより姿勢が安定する。
【0045】
また、図17に示す第4変形例の照射ガイド3Dでは、当接部53を兼ねる照準部52がU字形をなすと共に、該照準部52における一対の枠片52a,52aの先端に、電子部品12を押さえるためのL字形に折れ曲がった押さえ部52cが形成されている。
前記照射ガイド3を使用してハンダ付けするときは、図18に示すように、前記押さえ部52cで電子部品12を押さえることによりその位置ずれを防止し、その状態でハンダ付けを行うことができる。
【0046】
なお、前記実施形態では、前記照準部52がリング形又はU字形をしているが、該照準部52はY字形やその他の形状をしていても良い。
【0047】
また、前記照射ガイド3,3A−3Dにおいては、前記アーム部51の先端に枠状の照準部52を形成し、この照準部52を当接部53として兼用しているが、このような照準部52を形成することなく、前記アーム部51の先端に当接部53だけを形成することもできる。この場合、該当接部53は、前記アーム部51の先端面の形状そのままの形に形成するか、あるいは、点状や、横長又は縦長の線状等に形成することができる。更には、前記照準部52の枠片52a,52aを前記アーム部51の前方に向けて真っ直ぐ伸ばしたような形をした枠状の当接部とすることもでき、この場合には、2つの枠辺52a,52aの先端がハンダ付け部位10の周辺部分に当接することになる。
【0048】
また、図19に示す第5変形例の照射ガイド3Eのように、アーム部51の先端の当接部53を、前記照射ガイド3,3A−3Dの当接部53とは逆方向に延在するように形成することもできる。この場合、前記当接部53とアーム部51とのなす角度γは鋭角である。また、前記当接部53は、枠状をしていても板状をしていなくても良い。
【0049】
なお、前記ボディ2は、軸線Lに沿って複数の部分に分離可能なるように構成し、それらを分離することによって前記レーザーモジュール5や回路基板6あるいはバッテリー8等の各部品を点検したり交換したりすることができるように構成することも、あるいは、前記ボディ2の一部又は全部を前記軸線Lを含む面又は該軸線Lと平行な面に沿って開閉自在なるように形成し、該ボディ2を開放することによって前記各部品の点検及び交換を行うことができるように構成することもできる。
【0050】
また、前記第1実施形態の変形例として、前記レーザーモジュール5は動作時に発熱するため、その熱を外部に逃がすため、図20に示すように、ボディ2の少なくとも前記レーザーモジュール5を取り囲む部分に、複数の放熱孔40を設けることができる。この放熱孔40は、円孔であっても、軸線L方向に細長い長孔であっても良く、このような放熱孔40を、ボディ2の周方向及び軸線L方向に規則的又は不規則的に並べて形成することが望ましい。
【0051】
更に、前記放熱孔40を設けるのと同時に、前記レーザーモジュール5にも、熱を外部に逃がし易くするため、図21に示すように、アルミニウムのような熱伝導性に勝れた金属からなる1つ又は複数の放熱部材41を、モジュールケース21の外面に露出するように設けておくことが望ましい。この放熱部材41は、モジュールケース21の外面から外部に突出しないように形成しても良いが、図22に示すように、フィン状をした複数の放熱部材41を、前記ボディ2の内部においてモジュールケース21から放射状に突出するように形成しても良い。
【0052】
図23は本発明に係るレーザー溶着装置(ハンダ付け装置)の第2実施形態を示すもので、この第2実施形態のハンダ付け装置1Bは、ボディ2がピストル形をしている点で、前記第1実施形態のハンダ付け装置1Aと相違している。
即ち、この第2実施形態のハンダ付け装置1Bのボディ2は、軸線Lに沿って連なる本体部2a及び円錐部2bと、該本体部2aから軸線Lと交叉する方向に延出するグリップ部2cとを有していて、前記本体部2a及び円錐部2bに、レーザーモジュール5と、制御回路7及び回路基板6と、バッテリー8とが収容されると共に、前記電源スイッチ13とインジケーターランプ18と表示部19とモード切換ボタン15とが設けられ、前記グリップ部2cに照射ボタン17とが設けられている。しかし、前記バッテリー8は前記グリップ部2cの内部に収容しても良い。
【0053】
この第2実施形態のハンダ付け装置1Bのその他の構成や変形例及び作用は、前記第1実施形態のハンダ付け装置1Aの場合と実質的に同じであるので、両者の主要な同一構成部分に第1実施形態で用いた符号を付してその説明は省略する。
【0054】
なお、前記各実施形態において、前記照射ボタン17は、自己保持タイプのものであっても良い。即ち、該照射ボタン17は、それを一度押すか又はオンの位置に切り換えると、そのままオンの状態を維持し、前記レーザーモジュール5がオンになってレーザー光LBが出射され、前記照射ボタン17をもう一度押すか又はオフの位置に切り換えると、該照射ボタン17はオフの状態になり、前記レーザーモジュール5がオフになってレーザー光LBが停止するように構成されていても良い。
【0055】
また、前記各実施形態においては、充電式のバッテリー8を備えているが、このようなバッテリー8を備えることなく、ボディ2の後端部に受電端子を設け、この受電端子に、交流電源又は直流電源からの給電線を直接接続して使用するように構成することも可能である。
【0056】
更に、前記各実施形態のハンダ付け装置は、ハンダ付け時にハンダ付け部位の酸化を防止するため、該ハンダ付け部位に向けて不活性ガスを噴射するための機構を備えていても良い。この場合、ボディの内部にガス流路が形成されると共に、該ボディの先端にガス噴射口が形成され、該ボディの後端部には、ガス供給源からのチューブを接続するためのポートが形成される。前記不活性ガスとしては、窒素ガスやアルゴンガス等が使用される。
【0057】
なお、前記実施形態はハンダ付け装置であるが、本発明は、レーザー光で合成樹脂製の部品同士の溶着を行う溶着装置にも適用することができることは、改めて言うまでもないことである。
【符号の説明】
【0058】
1A,1B ハンダ付け装置(レーザー溶着装置)
2 ボディ
3,3A−3E 照射ガイド
5 レーザーモジュール
9 照射部材
10 ハンダ付け部位
20 発光素子
30 ファイバーホルダー
31 光ファイバー
50 取付部
51 アーム部
52 照準部
53 当接部
θ 角度
L 軸線
LB レーザー光
GB ガイド光
図1
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