特許第6832056号(P6832056)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6832056化粧胴差、化粧胴差の取付構造、及び建物の改修方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6832056
(24)【登録日】2021年2月3日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】化粧胴差、化粧胴差の取付構造、及び建物の改修方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 19/02 20060101AFI20210215BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
   E04F19/02 L
   E04F19/02 N
   E04F13/08 101R
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-62566(P2015-62566)
(22)【出願日】2015年3月25日
(65)【公開番号】特開2016-180288(P2016-180288A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2017年11月6日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島田 吾朗
【審査官】 立澤 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−325189(JP,A)
【文献】 実開平06−035495(JP,U)
【文献】 特開2005−290825(JP,A)
【文献】 実開平06−051379(JP,U)
【文献】 特開平05−239900(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103452298(CN,A)
【文献】 米国特許第05711123(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/02
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁面に設けられる化粧胴差であって、
前記外壁面に固定されるブラケットと、
前記ブラケットに嵌め込まれて支持される胴差本体とから成り、
前記胴差本体の上端部の外側面が鉛直面となる内側には、前記外壁面に向けて突出する突起縁部と前記外壁面との間で圧縮変形させる弾性部材とが隣接して設けられており、
前記ブラケットの上部及び下部には係合突起がそれぞれ設けられているとともに、前記下部及び中間部には固定片が設けられていて、
前記上部の前記係合突起は前記弾性部材に隣接して設けられていることを特徴とする化粧胴差。
【請求項2】
前記胴差本体の下端部には、下方に延設した水切部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の化粧胴差。
【請求項3】
前記ブラケットの前側表面の形状と、前記胴差本体の前側裏面の形状とが略同一とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧胴差。
【請求項4】
前記ブラケット及び前記胴差本体は、前側の中間部に窪みを有する断面形状であることを特徴とする請求項3に記載の化粧胴差。
【請求項5】
建物の外壁面に設けられた化粧胴差の取付構造であって、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の化粧胴差が用いられており、
前記ブラケットが、前記外壁面に固定され、固定された当該ブラケットに、前記胴差本体が嵌め込まれ、前記弾性部材が当該胴差本体の上端部と前記外壁面との間で圧縮変形し、上側が水密状態となっていることを特徴とする化粧胴差の取付構造。
【請求項6】
前記ブラケットの上部及び下部と、前記胴差本体の上部及び下部とには、係合突起がそれぞれ設けられ、前記ブラケットに前記胴差本体が嵌め込まれ、前記係合突起同士が係合し、固定されていることを特徴とする請求項5に記載の化粧胴差の取付構造。
【請求項7】
前記ブラケットの上側面と、前記胴差本体の上側面とが、締結部材で固定されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の化粧胴差の取付構造。
【請求項8】
前記ブラケットの前側面と、前記胴差本体の前側面とが、固定部材で固定されていることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の化粧胴差の取付構造。
【請求項9】
前記ブラケットは、前記胴差本体の長手方向に間隔を置いて複数個設けられるピース部材であることを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の化粧胴差の取付構造。
【請求項10】
建物の外壁面に設けられた既設の化粧胴差を交換する建物の改修方法であって、
前記既設の化粧胴差を前記建物から撤去し、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の化粧胴差に交換することを特徴とする建物の改修方法。
【請求項11】
前記請求項1乃至4のいずれか1項に記載の化粧胴差には、前記既設の化粧胴差よりも上下幅が広いものを用いることを特徴とする請求項10に記載の建物の改修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁面に設けられる化粧胴差、この化粧胴差の取付構造、及びこの化粧胴差を用いた建物の改修方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物の外壁面に化粧胴差を設けて、壁部材間の防水処理を行うだけでなく、建物の意匠性を高めることがなされている(例えば特許文献1〜7等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−317291号公報
【特許文献2】特開平11−141112号公報
【特許文献3】特開平05−141078号公報
【特許文献4】特開平06−240854号公報
【特許文献5】特開平08−270200号公報
【特許文献6】特開2001−98753号公報
【特許文献7】特開2003−03642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1〜7に開示された化粧胴差は、いずれも、建物の外壁面に固定されるブラケットと、このブラケットに嵌め込まれる胴差本体とから成るタイプであるが、上端部の防水処理の方法が異なる。
【0005】
特許文献1,2に開示された化粧胴差では、建物の外壁面に胴差本体の上端部を密着させて、防水性を確保するものであるが、このように密着させるには、外壁面の塗装等の厚さでさえ無視できず、この化粧胴差を構成するブラケット及び胴差本体を、かなり高精度に製造しなければならず、特に、化粧胴差を交換する改修を行う場合には、既設の化粧胴差を撤去した部分と周囲の部分とに大きな段差ができ、新規の化粧胴差を構成するブラケットと胴差本体とが、この段差によりうまく組み立てられないこともある。
【0006】
特許文献3〜7に開示された化粧胴差では、建物の外壁面に胴差本体の上端部を密着させて、防水性を確保するために、シール処理やコーキング処理を別途行わなければならない。
【0007】
そこで、本発明は、上端部の防水処理を簡易に行うことができる化粧胴差、この化粧胴差の取付構造、及びこの化粧胴差を用いた建物の改修方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の化粧胴差は、建物の外壁面に設けられる化粧胴差であって、前記外壁面に固定されるブラケットと、前記ブラケットに嵌め込まれて支持される胴差本体とから成り、前記胴差本体の上端部の内側には、弾性部材が設けられていることを特徴とする。
【0009】
ここで、前記胴差本体の下端部には、下方に延設した水切部が設けられているとよい。
【0010】
また、前記ブラケットの前側表面の形状と、前記胴差本体の前側裏面の形状とが略同一とされているとよい。
【0011】
さらに、前記ブラケット及び前記胴差本体は、前側の中間部に窪みを有する断面形状であるとよい。
【0012】
本発明の化粧胴差の取付構造は、建物の外壁面に設けられた化粧胴差の取付構造であって、上記した本発明の化粧胴差が用いられており、前記ブラケットが、前記外壁面に固定され、固定された当該ブラケットに、前記胴差本体が嵌め込まれ、前記弾性部材が当該胴差本体の上端部と前記外壁面との間で圧縮変形し、上側が水密状態となっていることを特徴とする。
【0013】
ここで、前記ブラケットの上部及び下部と、前記胴差本体の上部及び下部とには、係合突起がそれぞれ設けられ、前記ブラケットに前記胴差本体が嵌め込まれ、前記係合突起同士が係合し、固定されているとよい。
【0014】
また、前記ブラケットの上側面と、前記胴差本体の上側面とが、締結部材で固定されているとよい。
【0015】
さらに、前記ブラケットの前側面と、前記胴差本体の前側面とが、固定部材で固定されているとよい。
【0016】
また、前記ブラケットは、前記胴差本体の長手方向に間隔を置いて複数個設けられるピース部材であるとよい。
【0017】
本発明の建物の改修方法は、建物の外壁面に設けられた既設の化粧胴差を交換する建物の改修方法であって、前記既設の化粧胴差を前記建物から撤去し、上記した本発明の化粧胴差に交換することを特徴とする。
【0018】
ここで、前記本発明の化粧胴差には、前記既設の化粧胴差よりも上下幅が広いものを用いるとよい。
【発明の効果】
【0019】
このような本発明の化粧胴差は、建物の外壁面に設けられる化粧胴差であって、外壁面に固定されるブラケットと、ブラケットに嵌め込まれて支持される胴差本体とから成り、胴差本体の上端部の内側には、弾性部材が設けられた構成とされている。
【0020】
上記した構成なので、ブラケットに胴差本体を嵌め込むと、胴差本体の上端部と外壁面との間で弾性部材が圧縮変形することにより、製造誤差や外壁面の段差等による不具合な隙間を吸収した防水構造となるため、上端部の防水処理を簡易に行うことができる。
【0021】
ここで、胴差本体の下端部には、下方に延設した水切部が設けられている場合は、水切部で下端部の防水が行えるし、雨垂れにより下方の外壁面が汚れることも防止することができる。
【0022】
また、ブラケットの前側表面の形状と、胴差本体の前側裏面の形状とが略同一とされている場合は、化粧胴差の前側が二重構造となり、その分、高強度とすることができる。
【0023】
さらに、ブラケット及び胴差本体は、前側の中間部に窪みを有する断面形状である場合は、化粧胴差の断面二次モーメントが大きくなり、その分、より高強度とすることができる。
【0024】
このような本発明の化粧胴差の取付構造は、建物の外壁面に設けられた化粧胴差の取付構造であって、上記した本発明の化粧胴差が用いられており、ブラケットが、外壁面に固定され、固定されたブラケットに、胴差本体が嵌め込まれ、弾性部材が胴差本体の上端部と外壁面との間で圧縮変形し、上側が水密状態となった構成とされている。
【0025】
上記した構成なので、上記した本発明の化粧胴差の効果を奏する取付構造とすることができる。
【0026】
ここで、ブラケットの上部及び下部と、胴差本体の上部及び下部とには、係合突起がそれぞれ設けられ、ブラケットに胴差本体が嵌め込まれ、係合突起同士が係合し、固定されている場合は、ブラケットに胴差本体を嵌め込むだけで簡易に固定することができる。
【0027】
また、ブラケットの上側面と、胴差本体の上側面とが、締結部材で固定されている場合は、ブラケットと胴差本体との固定強度をより高めることができ、締結部材で固定する位置は、ブラケット及び胴差本体の上側面なので、地上から見上げてもその部分は隠れ、意匠的美観が損なわれることはない。
【0028】
さらに、ブラケットの前側面と、胴差本体の前側面とが、固定部材で固定されている場合は、ブラケットと胴差本体との固定強度を更により高めることができる。
【0029】
また、ブラケットは、胴差本体の長手方向に間隔を置いて複数個設けられるピース部材である場合は、ブラケットの総部材量を少なくすることができ、より安価に実施することができる。
【0030】
このような本発明の建物の改修方法は、建物の外壁面に設けられた既設の化粧胴差を交換する建物の改修方法であって、既設の化粧胴差を建物から撤去し、上記した本発明の化粧胴差に交換する構成とされている。
【0031】
上記した構成なので、建物の外壁面に設けられた既設の化粧胴差を交換する建物の改修するにあたっても、上記した本発明の化粧胴差の効果を奏することができる。
【0032】
ここで、本発明の化粧胴差には、既設の化粧胴差よりも上下幅が広いものを用いる場合は、本発明の化粧胴差により、既設の化粧胴差を撤去した後の外壁面の塗装の色ムラも覆い隠すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】実施例1の既設の化粧胴差が設置された建物の概略構成を示す説明図である。
図2】実施例1の建物の改修方法の完成図であって、実施例1の化粧胴差の取付構造の概略構成を示す説明図である。
図3】実施例1の化粧胴差の分解図である。
図4】実施例2の化粧胴差の取付構造の概略構成を示す説明図である。
図5】実施例3の化粧胴差の取付構造の概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に示す実施例1〜3に基づいて説明する。
【実施例1】
【0035】
先ず、実施例1の構成について説明する。
【0036】
図1は、実施例1の既設の化粧胴差3が設置された建物1の概略構成を示している。
【0037】
この建物1では、1階の外壁パネル2aと2階の外壁パネル2bとの間を塞ぐように、既設の化粧胴差3が設置され、防水を行うとともに、外壁面2にアクセントを持たせ、建物1の意匠性を高めることがなされている。
【0038】
この化粧胴差3の部分は、建物1の意匠性を高めるうえで、重要な役割を果たしているため、耐久期間が来る前であっても、この部分を好みのものに交換する改修工事をしたいとの要請がある。
【0039】
よって、実施例1の建物の改修方法を説明しながら、実施例1の化粧胴差、及び実施例1の化粧胴差の取付構造についても説明する。
【0040】
この実施例1の建物の改修方法では、まず、建物1の外壁面2から、既設の化粧胴差3を撤去する。
【0041】
この化粧胴差3を撤去した状態では、化粧胴差3が設置されていた位置と、その周囲とでは、経年変化により、色ムラが有る。
【0042】
また、途中で外壁面2の塗り替えを行っている場合には、化粧胴差3が設置されていた位置と、その周囲との間に段差も有る。
【0043】
そこで、図2に示したように、既設の化粧胴差3が設置されていた位置に、この既設の化粧胴差3よりも上下幅の広い実施例1の化粧胴差30を設置して交換する。
【0044】
これにより、この実施例1の化粧胴差30により、既設の化粧胴差3を撤去したことでできる色ムラや段差は覆い隠されることとなる。
【0045】
次に、実施例1の化粧胴差30、及び実施例1の化粧胴差の取付構造について更に詳細に説明する。
【0046】
実施例1の化粧胴差30は、図3に示したように、建物1の外壁面2に固定されるブラケット30Aと、ブラケット30Aに嵌め込まれて支持される胴差本体30Bとから主に構成される。
【0047】
ここで、ブラケット30Aは、胴差本体30Bの長手方向に間隔を置いて複数個設けられるピース部材である。
【0048】
また、胴差本体30Bは、その上端部の内側に、弾性部材4が設けられているとともに、その下端部には、下方に延設した水切部30aが設けられている。
【0049】
さらに、ブラケット30Aの前側表面の形状と、胴差本体30Bの前側裏面の形状とは略同一の形状とされている。
【0050】
また、ブラケット30A及び胴差本体30Bは、前側の中間部に窪みを有する縦の断面形状である。
【0051】
さらに、ブラケット30Aに胴差本体30Bを嵌め込むと係合する係合突起51,52及び53,54が、ブラケット30Aの上部及び下部と、胴差本体30Bの上部及び下部とにそれぞれ設けられている。
【0052】
そして、この実施例1の化粧胴差の取付構造では、図2に示したように、1階の外壁パネル2aと2階の外壁パネル2bとの隙間Sを塞ぐように、ブラケット30Aの後側に形成した固定片30b,30bから固定部材としてのタッピングビス6,6を、1階の外壁パネル2aへねじ込むことにより、ブラケット30Aが外壁面2に固定される。
【0053】
なお、タッピングビス6,6の先端部は、1階の外壁パネル2aの裏面にある梁7のウェブ部も貫通して強固に固定されている。
【0054】
この固定されたブラケット30Aに、胴差本体30Bを嵌め込むと、係合突起51,52及び53,54がそれぞれ係合する。
【0055】
同時に、弾性部材4が、胴差本体30Bの上端部と外壁面2との間で圧縮変形し、この実施例1の化粧胴差30の上側は水密状態となる。
【0056】
また、ブラケット30Aの上側面と、胴差本体30Bの上側面とが、締結部材としてのビス8で固定される。
【0057】
さらに、ブラケット30Aの前側面と、胴差本体30Bの前側面とが、これらの窪んだところで、固定部材としてのリベット9により固定される。
【0058】
これにより、図2に示したように、実施例1の化粧胴差の取付構造が完成する。
【0059】
次に、実施例1の作用効果について説明する。
【0060】
このような実施例1の化粧胴差は、建物1の外壁面2に設けられる化粧胴差30であって、外壁面2に固定されるブラケット30Aと、ブラケット30Aに嵌め込まれて支持される胴差本体30Bとから成り、胴差本体30Bの上端部の内側には、弾性部材4が設けられた構成とされている。
【0061】
上記した構成なので、ブラケット30Aに胴差本体30Bを嵌め込むと、胴差本体30Bの上端部と外壁面2との間で弾性部材4が圧縮変形することにより、製造誤差や外壁面2の段差等による不具合な隙間を吸収した防水構造となるため、上端部の防水処理を簡易に行うことができる。なお、工場から施工現場へ運搬する際には、ブラケット30Aに胴差本体30Bを嵌め込んだ状態とすれば、少ない嵩の運搬量で済む。
【0062】
ここで、胴差本体30Bの下端部には、下方に延設した水切部30aが設けられている。
【0063】
このため、水切部30aで下端部の防水が行えるし、雨垂れにより下方の外壁面2が汚れることも防止することができる。
【0064】
また、ブラケット30Aの前側表面の形状と、胴差本体30Bの前側裏面の形状とが略同一とされている。
【0065】
このため、化粧胴差30の前側が二重構造となり、その分、高強度とすることができる。
【0066】
さらに、ブラケット30A及び胴差本体30Bは、前側の中間部に窪みを有する断面形状である。
【0067】
このため、化粧胴差30の断面二次モーメントが大きくなり、その分、より高強度とすることができる。
【0068】
このような実施例1の化粧胴差の取付構造は、建物1の外壁面2に設けられた化粧胴差の取付構造であって、上記した実施例1の化粧胴差30が用いられており、ブラケット30Aが、外壁面2に固定され、固定されたブラケット30Aに、胴差本体30Bが嵌め込まれ、弾性部材4が胴差本体30Bの上端部と外壁面2との間で圧縮変形し、上側が水密状態となった構成とされている。
【0069】
上記した構成なので、上記した実施例1の化粧胴差30の作用効果を奏する取付構造とすることができる。
【0070】
ここで、ブラケット30Aの上部及び下部と、胴差本体30Bの上部及び下部とには、係合突起51,52及び53,54がそれぞれ設けられ、ブラケット30Aに胴差本体30Bが嵌め込まれ、係合突起51,52及び53,54同士が係合し、固定されている。
【0071】
このため、ブラケット30Aに胴差本体30Bを嵌め込むだけで簡易に固定することができる。
【0072】
また、ブラケット30Aの上側面と、胴差本体30Bの上側面とが、締結部材としてのビス8で固定されている。
【0073】
このため、ブラケット30Aと胴差本体30Bとの固定強度をより高めることができ、締結部材としてのビス8で固定する位置は、ブラケット30A及び胴差本体30Bの上側面なので、地上から見上げてもその部分は隠れ、意匠的美観が損なわれることはない。
【0074】
さらに、ブラケット30Aの前側面と、胴差本体30Bの前側面とが、固定部材としてのリベット9で固定されている。
【0075】
このため、ブラケット30Aと胴差本体30Bとの固定強度を更により高めることができる。
【0076】
また、ブラケット30Aは、胴差本体30Bの長手方向に間隔を置いて複数個設けられるピース部材である。
【0077】
このため、ブラケット30Aの総部材量を少なくすることができ、より安価に実施することができる。
【0078】
このような実施例1の建物の改修方法は、建物1の外壁面2に設けられた既設の化粧胴差3を交換する建物の改修方法であって、既設の化粧胴差3を建物1から撤去し、上記した実施例1の化粧胴差30に交換する構成とされている。
【0079】
上記した構成なので、建物1の外壁面2に設けられた既設の化粧胴差3を交換する建物1の改修するにあたっても、上記した実施例1の化粧胴差30の作用効果を奏することができる。
【0080】
ここで、この実施例1の化粧胴差30には、既設の化粧胴差3よりも上下幅が広いものを用いる。
【0081】
このため、実施例1の化粧胴差30により、既設の化粧胴差3を撤去した後の外壁面2の塗装の色ムラも覆い隠すことができる。
【実施例2】
【0082】
次に、実施例2について説明する。
【0083】
なお、実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0084】
図4は、実施例2の化粧胴差の取付構造の概略構成を示している。
【0085】
この実施例2では、化粧胴差30として、上下幅が更に広いものを用いたことが実施例1と主に異なる。
【0086】
これにより、実施例1の化粧胴差30よりも上下幅が広いものが合う建物1の意匠性を高めることができる。
【0087】
なお、他の構成及び作用効果については、実施例1と略同様であるので説明を省略する。
【実施例3】
【0088】
次に、実施例3について説明する。
【0089】
なお、実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0090】
図5は、実施例3の化粧胴差の取付構造の概略構成を示している。
【0091】
この実施例3では、1階の外壁パネル2aと2階の外壁パネル2bとの間の隙間Sを、化粧胴差30の下端部の水切部30aの部分で覆い隠していることが実施例1と主に異なる。
【0092】
すなわち、防水処理については、1階の外壁パネル2aと2階の外壁パネル2bとの間の隙間Sを塞ぐガスケット10で略充分で、化粧胴差30の水切部30aの役目は補助的なものであり、特に、建物1の意匠性を高めることに重きを置いている。
【0093】
なお、他の構成及び作用効果については、実施例1と略同様であるので説明を省略する。
【0094】
以上、図面を参照して、本発明を実施するための形態を実施例1〜3に基づいて詳述してきたが、具体的な構成は、これら実施例1〜3に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0095】
例えば、上記した実施例1〜3では、1階の外壁パネル2aと2階の外壁パネル2bとの間の隙間Sを塞ぐように化粧胴差30を設けて実施したが、これに限定されず、意匠性を高めることだけを目的として、この隙間Sが無い部分に化粧胴差30を設けて実施してもよい。
【0096】
また、上記した実施例1〜3では、建物1を改修する際に、化粧胴差30を用いて実施したが、これに限定されず、新築の建物に用いて実施してもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 建物
2 外壁面
2a 1階の外壁パネル
2b 2階の外壁パネル
S (1階の外壁パネルと2階の外壁パネルとの間の)隙間
3 既設の化粧胴差
30 化粧胴差
30A ブラケット
30B 胴差本体
30a 水切部
30b 固定片
4 弾性部材
51 係合突起
52 係合突起
53 係合突起
54 係合突起
6 タッピングビス(固定部材)
7 梁
8 ビス(締結部材)
9 リベット(固定部材)
10 ガスケット
図1
図2
図3
図4
図5