【実施例1】
【0035】
  先ず、実施例1の構成について説明する。
【0036】
  図1は、実施例1の既設の化粧胴差3が設置された建物1の概略構成を示している。
【0037】
  この建物1では、1階の外壁パネル2aと2階の外壁パネル2bとの間を塞ぐように、既設の化粧胴差3が設置され、防水を行うとともに、外壁面2にアクセントを持たせ、建物1の意匠性を高めることがなされている。
【0038】
  この化粧胴差3の部分は、建物1の意匠性を高めるうえで、重要な役割を果たしているため、耐久期間が来る前であっても、この部分を好みのものに交換する改修工事をしたいとの要請がある。
【0039】
  よって、実施例1の建物の改修方法を説明しながら、実施例1の化粧胴差、及び実施例1の化粧胴差の取付構造についても説明する。
【0040】
  この実施例1の建物の改修方法では、まず、建物1の外壁面2から、既設の化粧胴差3を撤去する。
【0041】
  この化粧胴差3を撤去した状態では、化粧胴差3が設置されていた位置と、その周囲とでは、経年変化により、色ムラが有る。
【0042】
  また、途中で外壁面2の塗り替えを行っている場合には、化粧胴差3が設置されていた位置と、その周囲との間に段差も有る。
【0043】
  そこで、
図2に示したように、既設の化粧胴差3が設置されていた位置に、この既設の化粧胴差3よりも上下幅の広い実施例1の化粧胴差30を設置して交換する。
【0044】
  これにより、この実施例1の化粧胴差30により、既設の化粧胴差3を撤去したことでできる色ムラや段差は覆い隠されることとなる。
【0045】
  次に、実施例1の化粧胴差30、及び実施例1の化粧胴差の取付構造について更に詳細に説明する。
【0046】
  実施例1の化粧胴差30は、
図3に示したように、建物1の外壁面2に固定されるブラケット30Aと、ブラケット30Aに嵌め込まれて支持される胴差本体30Bとから主に構成される。
【0047】
  ここで、ブラケット30Aは、胴差本体30Bの長手方向に間隔を置いて複数個設けられるピース部材である。
【0048】
  また、胴差本体30Bは、その上端部の内側に、弾性部材4が設けられているとともに、その下端部には、下方に延設した水切部30aが設けられている。
【0049】
  さらに、ブラケット30Aの前側表面の形状と、胴差本体30Bの前側裏面の形状とは略同一の形状とされている。
【0050】
  また、ブラケット30A及び胴差本体30Bは、前側の中間部に窪みを有する縦の断面形状である。
【0051】
  さらに、ブラケット30Aに胴差本体30Bを嵌め込むと係合する係合突起51,52及び53,54が、ブラケット30Aの上部及び下部と、胴差本体30Bの上部及び下部とにそれぞれ設けられている。
【0052】
  そして、この実施例1の化粧胴差の取付構造では、
図2に示したように、1階の外壁パネル2aと2階の外壁パネル2bとの隙間Sを塞ぐように、ブラケット30Aの後側に形成した固定片30b,30bから固定部材としてのタッピングビス6,6を、1階の外壁パネル2aへねじ込むことにより、ブラケット30Aが外壁面2に固定される。
【0053】
  なお、タッピングビス6,6の先端部は、1階の外壁パネル2aの裏面にある梁7のウェブ部も貫通して強固に固定されている。
【0054】
  この固定されたブラケット30Aに、胴差本体30Bを嵌め込むと、係合突起51,52及び53,54がそれぞれ係合する。
【0055】
  同時に、弾性部材4が、胴差本体30Bの上端部と外壁面2との間で圧縮変形し、この実施例1の化粧胴差30の上側は水密状態となる。
【0056】
  また、ブラケット30Aの上側面と、胴差本体30Bの上側面とが、締結部材としてのビス8で固定される。
【0057】
  さらに、ブラケット30Aの前側面と、胴差本体30Bの前側面とが、これらの窪んだところで、固定部材としてのリベット9により固定される。
【0058】
  これにより、
図2に示したように、実施例1の化粧胴差の取付構造が完成する。
【0059】
  次に、実施例1の作用効果について説明する。
【0060】
  このような実施例1の化粧胴差は、建物1の外壁面2に設けられる化粧胴差30であって、外壁面2に固定されるブラケット30Aと、ブラケット30Aに嵌め込まれて支持される胴差本体30Bとから成り、胴差本体30Bの上端部の内側には、弾性部材4が設けられた構成とされている。
【0061】
  上記した構成なので、ブラケット30Aに胴差本体30Bを嵌め込むと、胴差本体30Bの上端部と外壁面2との間で弾性部材4が圧縮変形することにより、製造誤差や外壁面2の段差等による不具合な隙間を吸収した防水構造となるため、上端部の防水処理を簡易に行うことができる。なお、工場から施工現場へ運搬する際には、ブラケット30Aに胴差本体30Bを嵌め込んだ状態とすれば、少ない嵩の運搬量で済む。
【0062】
  ここで、胴差本体30Bの下端部には、下方に延設した水切部30aが設けられている。
【0063】
  このため、水切部30aで下端部の防水が行えるし、雨垂れにより下方の外壁面2が汚れることも防止することができる。
【0064】
  また、ブラケット30Aの前側表面の形状と、胴差本体30Bの前側裏面の形状とが略同一とされている。
【0065】
  このため、化粧胴差30の前側が二重構造となり、その分、高強度とすることができる。
【0066】
  さらに、ブラケット30A及び胴差本体30Bは、前側の中間部に窪みを有する断面形状である。
【0067】
  このため、化粧胴差30の断面二次モーメントが大きくなり、その分、より高強度とすることができる。
【0068】
  このような実施例1の化粧胴差の取付構造は、建物1の外壁面2に設けられた化粧胴差の取付構造であって、上記した実施例1の化粧胴差30が用いられており、ブラケット30Aが、外壁面2に固定され、固定されたブラケット30Aに、胴差本体30Bが嵌め込まれ、弾性部材4が胴差本体30Bの上端部と外壁面2との間で圧縮変形し、上側が水密状態となった構成とされている。
【0069】
  上記した構成なので、上記した実施例1の化粧胴差30の作用効果を奏する取付構造とすることができる。
【0070】
  ここで、ブラケット30Aの上部及び下部と、胴差本体30Bの上部及び下部とには、係合突起51,52及び53,54がそれぞれ設けられ、ブラケット30Aに胴差本体30Bが嵌め込まれ、係合突起51,52及び53,54同士が係合し、固定されている。
【0071】
  このため、ブラケット30Aに胴差本体30Bを嵌め込むだけで簡易に固定することができる。
【0072】
  また、ブラケット30Aの上側面と、胴差本体30Bの上側面とが、締結部材としてのビス8で固定されている。
【0073】
  このため、ブラケット30Aと胴差本体30Bとの固定強度をより高めることができ、締結部材としてのビス8で固定する位置は、ブラケット30A及び胴差本体30Bの上側面なので、地上から見上げてもその部分は隠れ、意匠的美観が損なわれることはない。
【0074】
  さらに、ブラケット30Aの前側面と、胴差本体30Bの前側面とが、固定部材としてのリベット9で固定されている。
【0075】
  このため、ブラケット30Aと胴差本体30Bとの固定強度を更により高めることができる。
【0076】
  また、ブラケット30Aは、胴差本体30Bの長手方向に間隔を置いて複数個設けられるピース部材である。
【0077】
  このため、ブラケット30Aの総部材量を少なくすることができ、より安価に実施することができる。
【0078】
  このような実施例1の建物の改修方法は、建物1の外壁面2に設けられた既設の化粧胴差3を交換する建物の改修方法であって、既設の化粧胴差3を建物1から撤去し、上記した実施例1の化粧胴差30に交換する構成とされている。
【0079】
  上記した構成なので、建物1の外壁面2に設けられた既設の化粧胴差3を交換する建物1の改修するにあたっても、上記した実施例1の化粧胴差30の作用効果を奏することができる。
【0080】
ここで、この実施例1の化粧胴差30には、既設の化粧胴差3よりも上下幅が広いものを用いる。
【0081】
  このため、実施例1の化粧胴差30により、既設の化粧胴差3を撤去した後の外壁面2の塗装の色ムラも覆い隠すことができる。
 
【実施例3】
【0088】
  次に、実施例3について説明する。
【0089】
  なお、実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0090】
  図5は、実施例3の化粧胴差の取付構造の概略構成を示している。
【0091】
  この実施例3では、1階の外壁パネル2aと2階の外壁パネル2bとの間の隙間Sを、化粧胴差30の下端部の水切部30aの部分で覆い隠していることが実施例1と主に異なる。
【0092】
  すなわち、防水処理については、1階の外壁パネル2aと2階の外壁パネル2bとの間の隙間Sを塞ぐガスケット10で略充分で、化粧胴差30の水切部30aの役目は補助的なものであり、特に、建物1の意匠性を高めることに重きを置いている。
【0093】
  なお、他の構成及び作用効果については、実施例1と略同様であるので説明を省略する。
【0094】
  以上、図面を参照して、本発明を実施するための形態を実施例1〜3に基づいて詳述してきたが、具体的な構成は、これら実施例1〜3に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0095】
  例えば、上記した実施例1〜3では、1階の外壁パネル2aと2階の外壁パネル2bとの間の隙間Sを塞ぐように化粧胴差30を設けて実施したが、これに限定されず、意匠性を高めることだけを目的として、この隙間Sが無い部分に化粧胴差30を設けて実施してもよい。
【0096】
  また、上記した実施例1〜3では、建物1を改修する際に、化粧胴差30を用いて実施したが、これに限定されず、新築の建物に用いて実施してもよい。