(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、非接触で電力を伝送する電力伝送装置が普及してきている。非接触電力伝送装置は、電磁誘導や磁界共振(共鳴)などの電磁結合を利用して、携帯端末やタブレット端末などの受電装置に非接触で電力を伝送する装置である。非接触電力伝送装置は、電力を送電するための送電回路及び送電コイルを備え、受電装置では電力を受電するための受電コイルと、受電した電力を自機の駆動に利用するための受電回路や、自機に搭載した2次電池に充電するための充電回路などを備えている。
【0003】
非接触電力伝送装置は、受電装置に対して電力を高い効率で伝送することと同時に、放射ノイズを低く抑えることが要求される。そのため、非接触電力伝送装置の送電回路には、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)等によってスイッチング損失を小さくした、E級増幅器などの共振を利用した増幅器がしばしば使われる。ZVSとはゼロ電圧状態でMOS−FETなどのスイッチング素子のスイッチングを行うもので、ソフトスイッチングとも呼ばれ、スイッチング損失を低減でき、高効率の送電回路を実現できる効果がある。
【0004】
ソフトスイッチングでは、通常のスイッチング方式であるハードスイッチングに比べて、電圧や電流の立ち上がりが緩やかになり、ノイズの発生が少なくなるという利点があるが、それでもMOS−FET等のスイッチング素子のスイッチングによるノイズ発生は避けることができず、非接触電力伝送装置の中で、大きなノイズ源となっている。
【0005】
一方、受電装置においては、受電コイルで受電した交流電力を直流に変換するため、一般には全波整流回路等の整流回路が受電コイルの後段に接続される。全波整流回路では、整流ダイオードを4個使用し、ブリッジ型に接続したものがよく使用されるが、ダイオードの整流に伴うノイズの発生が大きい。また、一般のダイオードを使用するよりも、高速なショットキーバリアダイオードを使うとノイズの発生を小さくすることも知られているが、ショットキーバリアダイオードを使用しても、それがノイズ源となることに変わりはない。
【0006】
送電回路には電力を放射するための送電コイルが接続され、受電回路には電力を受電するための受電コイルがそれぞれ接続され、各コイルはアンテナのように機能する。そのため、送電回路及び受電回路にノイズ源があると、送電コイルや受電コイルがアンテナとなり、ノイズを放射してしまうという問題がある。この問題を解決して低ノイズを実現するため、シールドに関する技術(例えば、特許文献1、特許文献2)が開示されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、送電コイル及び受電コイル部にシールドボックスを設けただけであるため、送電コイルと受電コイルとの間の伝送路から漏洩する電磁界に対するシールド効果は低く、放射ノイズを十分に低減できないという課題がある。また特許文献2に記載の技術では、送電部及び受電部のシールドのほかに、それぞれのシールドの外側を覆う大型のシールドなどを設けるため、シールド構造が複雑で大型化するという課題がある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明を実施するための実施形態について、図面を参照して説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付す。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る非接触電力送受電装置100を示すブロック図である。非接触電力送受電装置100は、電力を伝送する送電装置10と、伝送された電力を非接触で受電する受電装置20とを含む。
【0014】
送電装置10は、送電コイル11を有し、受電装置20は受電コイル21を有している。送電装置10から出力された電力は、送電コイル11と受電コイル21との間の電磁誘導または磁界共振(共鳴)等の電磁結合を利用して、受電装置20に伝送される。
【0015】
送電装置10は、プラグ12から入力されるAC100Vを直流電圧に変換するACアダプタ13から直流電力が供給される。送電装置10は、電力伝送に必要な送電電力を生成する送電回路14と、送電回路14を制御する制御部15を備えている。制御部15は、発振回路16及びMPU(Micro Processor Unit)17を含み、発振回路16は、電力搬送波の周波数を送電回路14に供給する。MPU17は、送電回路14を必要に応じて動作させ、または停止させる駆動制御や、受電装置20との間の通信制御などを行う。
【0016】
送電回路14は、効率を重視したスイッチング回路による増幅回路、例えばD級増幅回路やE級増幅回路が用いられる。スイッチング素子としては、一般的にMOS−FETが使用される。送電回路14は、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)または、ゼロ電流スイッチング(ZCS)により、ソフトスイッチングを行う。ソフトスイッチングにより、スイッチング損失を低減し、スイッチングノイズや放射ノイズを低減することができる。
【0017】
発振回路16の発振周波数、即ち、送電回路14のスイッチング周波数は、例えば、6.78MHzの周波数を使用する。送電回路14の出力は、共振用コンデンサ18を介して送電コイル11に供給され、送電コイル11から電力を伝送する。
【0018】
一方、受電装置20は、受電コイル21と共振コンデンサ22によって構成される共振回路と、整流回路23と、電圧変換回路24及び負荷回路25を備えている。受電コイル21と共振コンデンサ22による共振回路から送られる交流電力は、整流回路23(例えばダイオード全波整流回路)によって直流電圧に変換される。変換された直流電圧は、電圧変換回路24によって負荷回路25が動作可能な適正な電圧に変換される。したがって、共振コンデンサ22、整流回路23、及び電圧変換回路24は、受電コイルで受電した交流電力を直流化する受電回路を構成する。
【0019】
負荷回路25は、例えば、携帯端末やタブレット端末等の電子機器の回路であり、制御部26、充電部27及び二次電池28を含む。受電装置20で受電した電力は、電子機器が内蔵する二次電池28の充電等に利用される。制御部26は、CPUを含むマイクロコンピュータで成り、充電部27を制御して二次電池28を適切に充電制御する。また制御部26は、送電装置10との間の通信制御などを行う。
【0020】
送電回路14で使用されるMOS−FET等のスイッチング素子は、6.78MHzの高周波でスイッチングしているため、6.78MHzとその高調波のノイズを発生する。送電回路14の出力端に、ローパスフィルタ19を設けることで、ノイズを低減することができるが、それでも十分に低減されないノイズは、送電コイル11や、プラグ12とACアダプタ13を接続するケーブル等から放射される。
【0021】
一方、受電装置20においては、整流回路23が主なノイズ源となる。整流回路23は、例えば、
図2(a)に示すような、ブリッジ型に構成した全波整流回路や、
図2(b)に示すような、半波整流回路が使われる。
【0022】
図2(a)の全波整流回路23は、ダイオード231〜234で構成し、全波整流回路23の一方の入力端31にダイオード231のアノードとダイオード233のカソードを接続し、他方の入力端32にダイオード232のアノードとダイオード234のカソードを接続する。またダイオード231とダイオード232のカソードを出力端33に接続し、ダイオード233とダイオード234のアノードを基準電位端34(アース端)に接続する。また、出力端33と基準電位端34(アース端)間に平滑コンデンサ35を接続し、平滑コンデンサ35の両端から直流電圧を得る。
【0023】
図2(b)の半波整流回路23は、入力端31にダイオード231のアノードを接続し、ダイオード231のカソードを出力端33に接続している。出力端33と基準電位端34(アース)間には、平滑コンデンサ35を接続し、平滑コンデンサ35の両端から直流電圧を得るようにしている。
【0024】
尚、6.78MHzのような高周波の整流用ダイオードとしては、順方向電圧降下が小さいショットキーバリアダイオードを使用することで整流効率を高くすることができる。また、整流回路23の出力端33に接続した平滑用のコンデンサ35は、電解コンデンサや、セラミックコンデンサ等が使われる。
【0025】
しかし、ダイオードの整流に伴うノイズは、平滑コンデンサ35だけでは除去できない場合がある。このため、整流回路23の後段にローパスフィルタ29(
図1)を接続することで、ノイズを低減することができるが、それでも、ノイズは、入力端子31に接続される受電コイル21に伝わって、受電コイル21から放射されてしまう。
【0026】
非接触電力伝送装置から放射されるノイズは、各国の電波法などによって定められた規制値を満足する必要がある。日本国内の場合には、電波法により放射ノイズの規制値が定められている。また、ISM(Industry-Science-Medical)周波数である6.78MHzを電力伝送周波数に使用する場合は、国際規格であるCISPR11や米国のFCC Part18などが規制の対象となる。また、空間に放射されるノイズの他に、電源ラインを伝導するノイズについても規制される。
【0027】
ところで、携帯端末やポータブル機器などの比較的小型の機器の場合には、送電装置と受電装置をシールドボックスに入れて電磁的に密閉し、電磁波が漏洩しないようにすれば、放射ノイズを大幅に低減できることは一般に知られている。
【0028】
例えば、携帯端末やポータブル機器などの小型機器全体をシールドボックスに入れ、シールドボックスに扉を付ける例も考えられるが、シールドボックスの扉を開閉して機器を出し入れする必要があり、非常に面倒になる。また、シールド装置自体が大きくなってしまう。
【0029】
また扉をなくして、シールドボックスの奥行を長くし、受電装置(携帯端末やポータブル機器)をシールドボックス内に十分収納できるようにすることも考えられる。しかし、奥行きを長くしたシールドケースに受電装置を収納した場合、放射ノイズの低減効果は高まるものの、受電装置をシールドケースから取り出しにくくなるという問題が発生する。
【0030】
本実施形態では、送電装置10と受電装置20をシールド効果のあるケース(シールドケース)で覆うとともに、シールドケースの開口部から受電装置20を出し入れ可能にし、かつ、シールドケースの開口面積をできるだけ小さくし、受電装置20の出し入れを容易にする形状を有する非接触電力伝送装置を提供するものである。
【0031】
図3は、実施形態に係る非接触電力伝送装置を模式的に示した構成図である。
図3の例では、送電コイル11を含む送電装置10をシールドケース40内に設けている。シールドケース40は、一端部に開口部41を有し、開口部41から受電装置20をシールドケース40内に収容可能である。尚、
図3では、送電装置10にACアダプタ13を含む例を示しているが、ACアダプタ13は個別の回路部品として構成することもできる。
【0032】
送電コイル11は、シールドケース40の開口部41から見て奥側に取り付けている。また受電装置20は、送電コイル11と対向する位置に受電コイル21を配置しており、受電装置20をシールドケース40内に収容したとき、送電コイル11と受電コイル21が近接し、電力伝送が可能となる。
【0033】
また、送電コイル11と受電コイル21との対向位置のずれが大きくなって、電力伝送の効率が悪化することのないよう、シールドケース40の内周は、受電装置20の外周のサイズに対して若干大きいサイズになっている。例えば、受電装置20の外周とシールドケース40の内周との隙間は、2〜3cm程度以内になっており、受電装置20がシールドケース40内で位置ズレしても、必要最小限のズレに止めるようにしている。
【0034】
尚、送電コイル11は、シールドケース40内に設けているが、送電コイル11以外の送電装置10を構成する回路部分については、シールドケース40に対応して、同一のシールドケース40内に配置しても良いし、シールドケース40の外側に一体に配置しても良い。また、ACアダプタ13のみをシールドケース40の外部に設ける構成にしてもよい。
【0035】
但し、送電コイル11以外の回路部分をシールドケース40の外側に配置する場合は、ノイズが放射しないように、シールドケース40とは別のシールドケースに入れる等、ノイズ対策は必要である。
【0036】
図4は、一実施形態での送電装置10と受電装置20を示す斜視図である。送電装置10は、シールドケース40内に構成される。シールドケース40は、箱型であり、開口部41から受電装置20を出し入れ可能になっている。受電装置20の挿入方向を矢印X方向とすると、開口部41と対向するシールドケース40内の奥側には、挿入方向Xと直交する方向(垂直)に送電コイル11を取り付ける。送電コイル11は、プリント基板上に形成しても良いし、巻線等で形成しても良い。また、送電コイル11と、シールドケース40の奥側の端面43との間に、送電装置10の、送電コイル11以外の回路部分を配置している。
【0037】
受電装置20は、送電コイル11と対向する位置に受電コイル21を配置している。受電装置20を、シールドケース40の開口部41から奥方向に挿入し、送電コイル11と突き当たる位置まで挿入すると、送電コイル11と受電コイル21とが2〜3cm以下の近距離で対向し、非接触電力伝送が可能となる。
【0038】
さらに、シールドケース40の側面には、開口部41の縁部から奥側に向かって切欠き44を形成し、受電装置20の取り出しが容易になるようにしている。即ち、受電装置20をシールドケース40に収容したとき、受電装置20の挿入方向の前端部は、送電コイル11と対向する。一方、挿入方向の後端部は、開口部41よりも内側に位置するが、後端部の一部が切欠き44から露出する。
【0039】
切欠き44は、受電装置20の挿入方向Xの両側、つまり、シールドケース40の底面部と天井部以外の両側面のほぼ中央部に形成している。
【0040】
図5は、シールドケース40に受電装置20を収納した状態を模式的に示す斜視図である。
図5に示すように、受電装置20をシールドケース40に挿入し、送電コイル11に突き当たる位置まで押し込むと、受電コイル21と送電コイル11が近接して対向する。したがって、送電装置10から受電装置20に非接触で電力の伝送が可能となる。また、この状態において、受電装置20の後端部は、開口部41よりも内側にあるが、後端部の一部は、切欠き44から露出する。
【0041】
したがって、受電装置20をシールドケース40から取り出すときは、切欠き44の両側から受電装置20の後端部を指で把持して取り出せば、容易に取り出すことができる。
【0042】
また、切欠き44は、シールドケース40の両側面のほぼ中央部に形成しているため、切欠き44の上側と下側には、それぞれ出っ張り部45、46が生じる。そのため、受電装置20の後端部の大部分はシールドケース40で囲まれ、開口部41から放射される電磁波を低減することができる。実際に、出っ張り部45、46を無くしてしまうと、数dB〜10dB以上、ノイズレベルが上昇してしまうことが実験により確認された。
【0043】
図6は、シールドケース40内に設けた送電装置10と、受電装置20の一例を示す断面図である。
図6(a)は、シールドケース40から受電装置20を分離した状態を示し、
図6(b)は、シールドケース40内に受電装置20を収容した状態を示している。
【0044】
図6(a)で示すように、シールドケース40は、箱型であり、開口部41から受電装置20を出し入れ可能である。開口部41と対向するシールドケース40内の奥側には、挿入方向Xと直交する方向(垂直)に送電コイル11を取り付ける。この場合、送電コイル11は、プリント基板上に形成したプリントコイルである。送電コイル11の外側、即ち、送電コイル11とシールドケース40の奥側の端面43との間に、送電装置10の送電コイル11以外の回路部分110を配置している。シールドケース40側面には、開口部41の縁部から奥側に向かって切欠き44を形成している。
【0045】
受電装置20は、シールドケース40に収納可能な形状の筐体50を有し、筐体50内の送電コイル11と対向する面に受電コイル21を取り付けている。また受電装置20の、受電コイル21以外の整流回路23等の受電回路210は、筐体50内に設けたシールドケース51の中に配置している。シールドケース51と受電回路210は、筐体50内の天井部、或いは底面部に設けている(
図6では、天井部に設けた例を示している)。
【0046】
図6(b)に示すように、受電装置20をシールドケース40の開口部41から挿入し、送電コイル11と突き当たる位置まで挿入して収容すると、送電コイル11と受電コイル21とが2〜3cm以下の近距離で対向し、非接触電力伝送が可能となる。
【0047】
また、受電装置20をシールドケース40に収容したとき、受電装置20(筐体50)の後端部52は、開口部41よりも内側に位置するが、後端部52の一部は切欠き44から露出する。したがって、受電装置20をシールドケース40から取り出すときは、切欠き44の両側から受電装置20の後端部52を指で把持して取り出せば、容易に取り出すことができる。
【0048】
尚、
図6では、送電コイル11をシールドケース40の奥側の面に沿って設ける例を説明したが、送電コイル11は、シールドケース40の奥側に設ける以外に、シールドケース40内の他の面、例えば底面部、天井部、或いは側面部に沿って設けるようにしてもよい。また2つ以上の面に設けるようにしてもよい。
【0049】
図7は、シールドケース40内に設けた送電装置10と、受電装置20の他の例を示す断面図である。
図7(a)は、シールドケース40から受電装置20を分離した状態を示し、
図7(b)は、シールドケース40内に受電装置20を収容した状態を示している。
【0050】
図7(a)で示すように、シールドケース40は、箱型であり、開口部41から受電装置20を出し入れ可能である。開口部41から見て奥側のシールドケース40内の底面部には、挿入方向Xと平行(水平)に送電コイル11を取り付けている。シールドケース40の外側には、別のシールドケース47を一体に設け、このシールドケース47内に、送電装置10の、送電コイル11以外の回路部分110を配置している。シールドケース40の側面には、開口部41の縁部から奥側に向かって切欠き44を形成している。
【0051】
受電装置20は、シールドケース40に収納可能な形状の筐体50を有し、筐体50内の送電コイル11と対向する位置(底面)に受電コイル21を取り付けている。また受電装置20の、受電コイル21以外の整流回路23等の受電回路210は、筐体50内に設けたシールドケース51の中に配置している。シールドケース51と受電回路210は、筐体50内の天井部、或いは底面部に設けている(
図7では、天井部に設けた例を示している)。
【0052】
図7(b)に示すように、受電装置20を、シールドケース40の開口部41から挿入して突き当たる位置まで挿入すると、送電コイル11と受電コイル21とが2〜3cm以下の近距離で対向し、非接触電力伝送が可能となる。
【0053】
また、受電装置20をシールドケース40に収容したとき、受電装置20の後端部52は、開口部41よりも内側に位置するが、後端部52の一部が切欠き44から露出する。したがって、受電装置20をシールドケース40から取り出すときは、切欠き44の両側から受電装置20の後端部52を指で把持して取り出せば、容易に取り出すことができる。
【0054】
図8(a)、(b)は、シールドケース40内に設けた送電装置10と、受電装置20のさらに他の例を示す断面図である。
図8(a)、(b)は、いずれもシールドケース40から受電装置20を分離した状態を示している。
【0055】
図8(a)の例では、シールドケース40は、箱型であり、開口部41から受電装置20を出し入れ可能である。開口部41と対向するシールドケース40内の奥側には、挿入方向Xと直交する方向(垂直)に送電コイル11を取り付けている。
【0056】
また、開口部41と対向するシールドケース40の奥側の底面部には、送電装置10の、送電コイル11以外の回路部分110を配置している。シールドケース40の側面には、開口部41の縁部から奥側に向かって切欠き44を形成している。
【0057】
受電装置20は、シールドケース40に収納可能な形状の筐体50を有し、筐体50内の送電コイル11と対向する面に受電コイル21を取り付けている。また受電装置20の、送電コイル以外の整流回路23等の受電回路210は、筐体50内に設けたシールドケース51の中に配置している。シールドケース51と受電回路210は、筐体50内の天井部、或いは底面部に設けている(
図8(a)では、天井部に設けた例を示している)。
【0058】
受電装置20を、シールドケース40の開口部41から挿入して突き当たる位置まで収容すると、送電コイル11と受電コイル21とが2〜3cm以下の近距離で垂直方向に対向し、非接触電力伝送が可能となる。また、受電装置20をシールドケース40に収容したとき、受電装置20の後端部52は、開口部41よりも内側に位置するが、後端部52の一部は切欠き44から露出する。
【0059】
図8(b)の例では、シールドケース40は、箱型であり、開口部41から受電装置20を出し入れ可能である。開口部41と対向するシールドケース40内の奥側の底面部には、挿入方向Xと平行(水平)に送電コイル11を取り付けている。
【0060】
また、開口部41と対向するシールドケース40の奥側の天井部には、送電装置10の、送電コイル11以外の回路部分110を配置している。シールドケース40の側面には、開口部41の縁部から奥側に向かって切欠き44を形成している。
【0061】
受電装置20は、シールドケース40に収納可能な形状の筐体50を有し、筐体50内の送電コイル11と対向する底面部に受電コイル21を取り付けている。また受電装置20の、送電コイル以外の整流回路等の受電回路210は、筐体50内に設けたシールドケース51の中に配置している。シールドケース51と受電回路210は、筐体50内の天井部、或いは底面部に設けている(
図8(b)では、天井部に設けた例を示している)。
【0062】
受電装置20を、シールドケース40の開口部41から挿入して突き当たる位置まで収容すると、送電コイル11と受電コイル21とが2〜3cm以下の近距離で水平方向に対向し、非接触電力伝送が可能となる。また、受電装置20をシールドケース40に収容したとき、受電装置20の後端部52は、開口部41よりも内側に位置するが、後端部52の一部は切欠き44から露出する。
【0063】
尚、
図8(a)、(b)において、シールドケース40の底面部や天井部には、回路部分110を設けているため、受電装置20をシールドケース40に挿入する際に、受電装置20が回路部分110に衝突しないように、シールドケース40内に受電装置20をガイドするガイド部材を設けると良い。またシールドケース40の内周の大きさは、回路部分110を内蔵することを考量して、受電装置20の外周よりも若干大きくするとよい。
【0064】
図9は、6.78MHzの周波数を使用した非接触電力伝送装置における放射ノイズの測定結果を示す図である。
図9では、本実施形態に示すシールドケース40を使用し、10Wの電力伝送を行ったときに、非接触電力伝送装置から距離3mでの放射電界強度の測定値Aを示している。
【0065】
図9の縦軸は、放射電界強度[dB(μV/m)]を示し、横軸は、周波数(30MHz〜1000MHz)を示す。また
図9の点線Bは、国内の標準的な規制値である、VCCI Class Bの限度値(QP)を示している。測定値Aは、VCCI Class Bの限度値(A)以内にあり、国内の標準的な規制値をクリアしていることが分かる。つまり、6.78MHzの高調波のノイズの発生を低減できることが分かる。
【0066】
尚、シールドケース40は、開口部41を有していため、開口部41から電磁界が若干放射されてしまう。そのため、
図1に示すように、送電装置10にフィルタ19を組み込み、受電装置20にフィルタ29を組み込み、或いはプラグ12とACアダプタ13を接続するケーブルにフェライトコアを設けるなどにより、ノイズを低減することができる。
【0067】
したがって、これらのノイズ低減手法を併用すれば、シールドケース40に切欠き44を形成しても、ノイズの低減効果は得られる。またシールドケース40に対する受電装置20の出し入れのし易さを両立させることができる。
【0068】
なお、電力伝送周波数は、6.78MHzを例に説明したが、6.78MHzに限定するものではなく、他の周波数でも構わない。
【0069】
図10は、実施形態に係る非接触電力伝送装置の変形例を示す斜視図である。
図10に示す例では、シールドケース40を縦型にして、受電装置20をシールドケース40の上方(Y方向)から挿入して収容するものである。シールドケース40を上向きにして、受電装置20をシールドケース40の上方から、又は上方に出し入れする点以外は、
図4と同じ構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0070】
図10の例でも、受電装置20を、シールドケース40の開口部41から挿入し、送電コイル11と突き当たる位置まで挿入すると、送電コイル11と受電コイル21とが2〜3cm以下の近距離で対向し、非接触電力伝送が可能となる。
【0071】
また、受電装置20をシールドケース40から取り出す場合、切欠き44を設けているので、受電装置20を容易に取り出すことができる。また、シールドケース40に形成する切欠き44の形状については、他の形状でもよく、特に限定するものではない。
【0072】
図11は、シールドケース40の変形例を示す断面図であり、特に切欠き44の他の形状を例示したものである。即ち、
図4、
図10の例では、切欠き44が直線的な形状(台形状)となっているが、
図11(a)に示すように、切欠き44は半円状などの湾状に形成してもよい。
【0073】
さらに、シールドケース40の別の形状として、
図11(b)に示すように、出っ張り部45、46は、何れか一方のみとし、他方を無くしてもよい。
図11(b)では、出っ張り部46だけとし、切欠き44を中央部から他方の端部にかけて形成している。
図11(b)に示すように、上側の出っ張り部45が無くなるので、受電装置20の出し入れがより容易になる。但し、この場合は、両端部に出っ張り部45、46がある場合に比べると、放射ノイズのレベルが多少、大きくなるためノイズの規制値に対して余裕がある場合に採用可能である。
以上述べた実施形態によれば、非接触電力伝送装置において、放射ノイズを十分に低減でき、かつ受信装置の出し入れが容易になるため、ポータブル機器に好適な装置を提供することがでる。
【0074】
尚、本発明のいくつかの実施形態を述べたが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。