(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記血液流入室内の前記第1ハウジングの内壁と前記内側濾過部との間に配置され、一端部及び他端部で前記第1ハウジングに固定された略管状の流入室スペーサをさらに備える請求項1または2に記載の血液処理器。
【背景技術】
【0002】
出願人は、特許文献1、2に可撓性ハウジング内に血液処理部材(血液フィルタ)として不織布を装填した血液処理器(白血球除去用ロ過器)の発明を開示した。
【0003】
また特許文献3は、血液処理部材(白血球除去用フィルター部材)の流出側血液室の面と向かい合う可撓性ハウジング(軟質樹脂製袋状ハウジング)の内面に、高低差0.2〜2mmの凹凸(具体的には一端側より他端側( 言い換えれば、血液の流れ方向) にほぼ平行に延びる複数のリブ23(段落[0028]から[0033])を形成することにより、血液濾過速度の低下が少ない、かつ、ハウジングの接着不良を起こすこともない血液処理器(白血球除去器)の発明を開示している。
また特許文献3は、血液処理部材としてスポンジ状のポリウレタン多孔質体を使用し、当該多孔質体の重ね枚数を6枚(最大でも10枚)として、血液処理部材の最外縁部を外枠フレーム(シート)を介して、可撓性ハウジングに固定している。これにより当該外枠シートと可撓性ハウジングの内面との間の血液流路を可撓性ハウジング内の周縁部に形成し、可撓性ハウジング内部の周縁部での血液の流通を良好とし周縁部における残血を防止している。
【0004】
特許文献4は、前記外枠フレーム(シート)を使用しないで、不織布を可撓性ハウジングに内側シール部(第1シール部)と外側シール部(第2シール部)とで固定し、内側シール部よりも内側に血液入口(上側)と血液出口(下側)を装着した発明を開示している。
また
図8から
図10に挙げた特許文献5(※)に記載の発明は特許文献3と同様に、血液処理部材105を可撓性ハウジング102(第1ハウジング102/U、第2ハウジング102/D)内に配置している。[(※)本願発明の各部材との対比が理解しやすいように、本願発明の各部材の符号にあわせて、+100の符号を記載した。]
血液処理部材105の外縁と第2ハウジング102の内縁内周との間のスペースを余裕をもって十分に広く形成しているので、第2ハウジング102/Dの内壁は、血液処理部材105の表面(外側濾過部)に貼りつきやすい。
当該貼りつきを防止するためにスペーサTとして第2ハウジング102/Dの内壁と血液処理部材105の表面(外側濾過部)との間に二本の軟質チューブを配置している。具体的には二本の軟質チューブは第2ハウジング102/Dの内壁に溶着により固定している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
以下、本発明の血液処理器1を明確に説明するため、図の配置を基準にして次の定義をおく。
基端PE側(または方向ともいう、以下同じ)とは、例えば
図1に示すように、血液入口7I側を意味する。
末端DE側とは、例えば
図1に示すように、血液出口7O側を意味する。
第1側部S1側とは、例えば
図1に示すように、血液入口7Iと血液出口7Oを直列に結んだライン(略中心線CL)の右側の方向を意味する。
第2側部S2側とは、例えば
図1に示すように、第1側部S1側と反対の方向、すなわち血液入口7Iと血液出口7Oを直列に結んだラインの左側の方向を意味する。
【0014】
上部U側とは、紙面の上側の方向を意味する。
図1では紙面の表側の方向を意味する。
下部D側とは、紙面の下側の方向を意味する。
図1では紙面の裏側の方向を意味する。
基端PE側、末端DE側、第1側部S1、第2側部S2、上部U、下部Uは、側部の一方向という場合がある。
例えば側部の一方向の基端PE側に対して反対側の末端DE側は、他の側部の一方向という場合がある。第1側部S1と第2側部S2、上部Uと下部Uの場合も同じ。
【0015】
図3から
図4に示すように、例えばハウジング2のように上部Uと下部Dの部材が存在する場合、例えば血液処理部材2/Uのように、符号「2」の次に「/U」と記載して、「2/U」と記載する場合は、上部U側の血液処理部材2/Uを意味する。外枠シート3の場合も同様である。
上部U側のハウジング2/Uは第1ハウジング2/U、下部D側のハウジング2/Dは第2ハウジング2/Dと記載する場合がある。外枠シート3の場合も同様である。
またハウジング2、外枠シート3のように上部Uと下部Dの部材が存在する場合、図面中に現れる場合は、「2/U、2/D」、「3/U、3/D」のように二種類の符号を記載する。
【0016】
本発明の血液処理器1は、
図1から
図6に示すように可撓性シートからなる可撓性ハウジング2(以下、単にハウジング2と記載する)と当該ハウジング2内に装填される血液処理部材5とを有する。
前記ハウジング2は、上部U側のハウジング2/Uと下部D側のハウジング2/Dからなる。
【0017】
ハウジング2の基端PE側で、かつ上部U側の一端部に、管状の血液入口7Iを装着している。
ハウジング2の末端DE側で、かつ下部D側の一端部に、管状の血液出口7Oを装着している。血液出口7Oは基端PE側を血液流出室2OR内部まで深く差し込んでいる。当該差込部の符号を以下「7OI」と記載する。
差込部7OIは後述するように、スペーサTと同様に機能する。
血液出口7Oの外径は、後述するスペーサTと同様に形成する。
差込部7OIの長さ(
図4参照)は20mmから50mmに形成する。
管状の血液入口7Iと血液出口7Oは、前記可撓性ハウジング2よりも硬質樹脂からなる。
血液処理部材5は、複数枚の不織布を積層して形成している。
【0018】
さらに下部側ハウジング2/Dの内壁と外側濾過部5Oとの間には略管状(またはチューブ状)のスペーサTを配置している。スペーサTは、下部側ハウジング2/D(上部側ハウジング2/U)の内壁と外側濾過部5FO(内側濾過部5FI)との間の間隔を空ける部材を意味する。
スペーサTの外径は3mmから10mmに形成する。
3mm未満では血液流出室2ORが陰圧になった時に下部側ハウジング2/Dの内壁が外側濾過部5FOに密着するのを阻止する効果が十分ではない。
10mmを超えると大き過ぎて、スペーサTの基端PE側と末端DE側の両端部をハウジング2に(後述するハウジングシール部2S、外枠シール部3Sとして)固定するのが困難となる。
【0019】
スペーサTの形状は、下部D(または上部U)方向から見て、
図2に例示するように略直線状の他に、
図7(B)に示すように、略カーブ形状等に形成しても良い。
図2において、スペーサTは若干湾曲しているように記載している。
これは血液処理部材5が前記のように積層しているので内部が縁部に比べて立体的に隆起しているためである。スペーサTをハウジング2に固定した後は、
図2のように若干湾曲した状態となる。
これに対して
図7(B)のスペーサは、意図的に湾曲させて略カーブ形状に形成している。
【0020】
各スペーサTの配列は、
図2に示すように、第1側部S1と第2側部S2に、略中心線CLを対称にして、基端PEから末端DE側に沿うように配置する。略中心線CLを対称にして、配置したほうが第1側部S1側と第2側部S2側で血液を均一に流すことができ、ひいては濾過時間を短縮することができる。
また前記各スペーサTと同様のスペーサTは、前記と同様にして上部側ハウジング2/Uの内壁と内側濾過部5FI側との間にも配置することができる。これにより血液流入室2IR内の血液流路は基端PE側から末端DE側にわたって広く確保することができるので、血液入口7Iから血液流入室2IR内に流入した血液は速やかに血液処理部材5で濾過することができる。このためより一層濾過時間を短縮することができる。
【0021】
スペーサTの配置数は少なくとも2個から最大10個配置する。
1個では下部側ハウジング2/Dの内壁が外側濾過部5Oに密着するのを阻止する効果が十分ではない。
10個を超えると、スペーサT同士の間隔が狭くなりすぎて、血液流路を妨げることになる。
図2では第1側部S1と第2側部S2方向にそれぞれ1個、全体で2個配置しているが、これらに限定しない。第1側部S1と第2側部S2方向にそれぞれ、略中心線CL対称にそれぞれ2個[
図7(A)参照]から5個配置してもよい。
【0022】
以下、血液処理器1の一実施例の形態について、製造工程の一実施例とともに説明する。
図3に示すように血液処理部材5と外枠シート3を固定する。
さらに詳述すれば、血液処理部材5は、外縁を上部外枠シート3/Uと下部側外枠シート3/Dの内縁の間に固定する。
これらの固定は、ヒートシールによる外部加熱、高周波、超音波による内部加熱等による溶着により行うことができる。
前記した血液処理部材5と外枠シート3の固定部は、以下「シール部5S」と称する場合がある。血液処理部材5と外枠シート3の内側の非固定部は、濾過部5Fと称する場合がある。血液流入室2IR側の面を内側濾過部5FI、血液流出口2OR側の面を外側濾過部5FOと称する場合がある。
また上部側外枠シート3/Uと下部D側の外枠シート3/Dの外縁も固定している。
これらの固定部は、以下「外枠シール部3S(3S/U、3S/D)」と称する場合がある。
【0023】
また上部側外枠シート3/Uの基端PE側に上部側延長部3L/Uを形成し、下部側外枠シート3/Uの末端DE側に下部側延長部3L/Dを形成している。
血液処理部材5と外枠シート3との固定部(シール部5S)は、当該シール部5Sの内側の非固定部(濾過部5F)と比較して、血液処理部材5が圧縮された状態となる。
【0024】
外枠シート3に固定した血液処理部材5を(上部U側のハウジング2/Uと下部D側のハウジング2/Dとなる)一対の上下のシートSH/U、SH/Dで覆う。
すなわち上部U側から下部D側に向けて、以下のように配置する。
基端PE側では、上部側シートSH/U、血液入口7I、上部側延長部3L/U、(外枠シート3/U、3/Dに固定した血液処理部材5)、スペーサT及び下部側シートSH/Dの順に配置する。
末端DE側では、上部側シートSH/U、(外枠シート3/U、3/Dに固定した血液処理部材5)、下部側延長部3L/D、血液出口7O、スペーサT及び下部側シートSH/Dの順に配置する。
【0025】
続いて第1側部S1側と第2側部S2側のコーナーCR/S1、CR/S2をヒートシールにより固定する。当該固定部は以下「コーナーシール部SCR」と称する場合がある。
【0026】
続いて基端PE側では、上部側シートSH/U、血液入口7I、上部側延長部3L/U、(外枠シート3/U、3/Dに固定した血液処理部材5)及び下部側シートSH/D、末端DE側では、上部側シートSH/U、(外枠シート3/U、3/Dに固定した血液処理部材5)、下部側延長部3L/D、血液出口7O及び下部側シートSH/U、さらにこれらの周囲(縁部、近傍)を、ヒートシールにより固定する。
当該固定部は以下「基端側シール部2SPE、末端側シール部2SDE」と称する場合がある。
前記基端PE側と前記末端DE側は同時に固定しても良いし、前記基端PE側を先に固定した後、前記末端DE側を固定しても良いし、前記末端DE側を先に固定した後、前記基端PE側を固定しても良い
【0027】
続いて、血液処理部材5の4つの辺(斜辺)の外縁の外枠シール部3S/U、3S/Dを上部側シートSH/Uと下部側シートSH/Dにヒートシールによりに固定する。
当該固定部は以下「シール部2S」と称する場合がある。この時に前記スペーサTの基端PE側と末端DE側はハウジングシール部2S、外枠シール部3Sに固定される。当該固定部は「スペーサ固定部(またはシール部)2TS」と称する場合がある。
不要な外縁のシートSH/U、SH/Dは、前記各シール部2S、SCR、から除去(切断)して、以上のようにして
図1の血液処理器1を完成する。
【0028】
さらに血液処理器1の形態について説明する。
例えば
図4に示すように、基端PE側においては、血液入口7Iを装着した箇所は、上部U側から下部D側に向けて、上部側ハウジング2/U⇒血液入口7I⇒上部側延長部3L/U⇒下部側ハウジング2/Dの順で固定している。
血液処理部材5の基端PE側は、上部側の外枠シート3/Uの外枠シール部3S/Uを介して上部側延長部3L/Uで固定している。
スペーサTの基端PE側は、外枠シール部3Sと下部側ハウジング2/Dとの間に固定している。
【0029】
末端DE側においては、血液出口7Oを装着した箇所は、上部U側から下部D側に向けて、上部側ハウジング2/U⇒下部側延長部3L/D⇒血液出口7O⇒下部側ハウジング2/Dの順で固定している。
血液処理部材5の末端DE側は、下部側外枠シート3/Dの外枠シール部3S/Dを介して下部側延長部3L/Dと固定している。
スペーサTの末端DE側は、外枠シール部3Sと下部側ハウジング2/Dとの間に固定している。
なお血液流入室2IR内にスペーサTを配置する場合は、スペーサTの基端PE側は、外枠シール部3Sと上部側ハウジング2/Uとの間に前記と同様に配置して固定し、スペーサTの末端DE側は、外枠シール部3Sと上部側ハウジング2/Uとの間に前記と同様に配置して固定する。
【0030】
血液出口7Oの基端PE側は、ハウジング2の血液流出室2ORの内部まで差し込んでいる。血液出口7Oは、固定部(末端側シール部2SDE側)の近傍に側孔8を形成している。側孔8は二箇所でもよいが三箇所ないし四箇所形成しても良い。血液流出室2ORの末端DE側から速やかに血液を流出させることができる。
【0031】
さらにハウジング2の内部構造について詳述する。
上部側ハウジング2/Uの内周と血液処理部材5の内側濾過部5FIとの間の空間は血液流入室2IRとなっている。
下部側ハウジング2/Dの内周と血液処理部材5の外側濾過部5FOとの間の空間は血液流出室2ORとなっている。
血液入口7Iは血液流入室2IRと連通し、血液出口7Oは血液流出室2ORと連通している。
血液流出室2ORの内部には、前記した二個のスペーサTを配置している。
【0032】
次に血液処理器1の血液の流れについて説明する。
図5、
図6に例示するように、血液は血液入口7Iの基端PE側から末端DE側の開口7IOを経て血液流入室2IR内に流入する。
血液流入室2IR内の血液は、内側濾過部5FIから外側濾過部5FOを通過して、血液流出室2OR内に移動する。
血液流出室2OR内が陰圧になって、下部側ハウジング2/Dの内壁が、血液処理部材5の外側濾過部5OF側に接触する方向に変形しようとしても、第2ハウジング2/Dの内壁と外側濾過部5OF側との間に配置したスペーサTにより、外側濾過部5OF側への接触を妨げられる。
【0033】
また血液出口7Oの基端PE側を、血液流出室2ORの内部まで深く差し込んでいるので、当該差込部7OIは、スペーサTと同様に機能を有する。
血液流出口7の開口7OOは、スペーサTの末端DE側の固定部2TSよりも基端PE側に配置している。
このため血液出口7Oの開口7OO近傍の領域Aは、下部側ハウジング2/Dの内壁により血液流路を狭められることがない。
スペーサTは特許文献5のようにハウジング2/Dの内壁に固定していないので、特許文献5のように血液の流れの滞留、残血等は回避することができる。
以上のように血液流出室2OR内の血液流路を十分に確保することができるので、血液の排出を速やかに行うことができ、濾過時間を大幅に短縮することができる。
さらに血液流出口7Oの側孔8(末端側シール部2SDE近傍に形成)により血液の流出をさらに促進することができ、より一層濾過時間を短縮することができる。
【0034】
[血液処理部材]
血液処理部材5の構成材料は、前記のように不織布を使用する。
不織布の材質は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンフタレート、ポリブチレンフタレート等のポリエステル、ナイロン、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66等のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル、スチレン系エラストマー等が使用される。
【0035】
血液処理部材5は、同一の繊維径の不織布を複数枚重ねて所定の厚みにしても良いし、繊維径の異なる不織布を複数枚重ねて所定の厚みにしても良い。
後者の場合、例えば特許第3710384号(特許請求の範囲、段落[0015])に記載のように、平均繊維直径Dが5.0μm以上から10.0μm以下のプレフィルター(A) と、平均繊維直径Dが1.0μmを越えかつ5.0μm以下の第一の本フィルター(B) 及び平均繊維直径Dが1 .5μm以下の第二の本フィルター(C)の三種類のフィルターを含む。
【0036】
前記各フィルター(A) 、(B) 、(C)は、血液入口から血液出口に向けて、上部U側から下部D側に向けて(A) 、(B)及び(C)の順に積層して、
図4のように、血液入口と血液出口を有するハウジング2内に配置することができる。
例えば、前記プレフィルター(A)は、重ね枚数が15枚から25枚でかつ厚さが2.1から4 .2mm 、前記第一の本フィルター(B)は、重ね枚数が20枚から35枚でかつ厚さが2.0から5 .1mm 及び前記第二の本フィルター(C)は、重ね枚数が5枚から15枚でかつ厚さが0 .5から1.5 mm等である。
【0037】
[ハウジング2、外枠シート3の材質]
ハウジング2と外枠シート3の材質は、熱可塑性樹脂製軟質部材で、例えば軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体及びこれらを主成分とする熱可塑剤エラストマー、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体の水添物、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体またはその水添物等の熱可塑性エラストマー、熱可塑性エラストマーとポリオレフィン、エチレン−エチルアクリレート等の軟化剤との混合物、エチレン−酢酸ビニル共重合体が掲げられる。
[血液入口7I、血液出口7O、スペーサTの材質]
前記ハウジング2、外枠シート3とヒートシールにより固定可能な材質が好ましく、例えば前記ハウジング2、外枠シート3の材質が軟質ポリ塩化ビニルの場合、血液入口7I、血液出口7O、スペーサTの材質は半硬質ないし硬質ポリ塩化ビニルが好ましい。
【実施例】
【0038】
実施例1の血液処理器として、前記段落[0022]から[0027]に記載したように製造したものを使用した。
血液処理部材5は、ポリエチレンテレフタレート製の不織布(厚さ130μm 、繊維径1.8μm 、一辺の長さ66mm×66mm)を60枚重ねたものを使用した。
スペーサTは、略直線状で外径5mmのものを使用し、
図2、
図6のように下部側ハウジング2/Dの内壁と外部濾過部5/Oとの間に二個配置した。
各部材のヒートシールによる固定は、高周波溶着機を使用した。
実施例2の血液処理器として、実施例1の略直線状のスペーサT(二個)の代わりに、
図7(B)のように略カーブ形状のスペーサ(二個)配置したものを使用した。
【0039】
比較例の血液処理器は、血液処理部材としてポリエチレンテレフタレート製の不織布(厚さ130μm 、繊維径1.8μm 、一辺の長さ72mm×72mm)を60枚重ねたものを使用した。
血液処理部器は、以下のように作製した。血液処理部材を外枠シートに固定し、当該外枠シートを可撓性ハウジングに固定した。血液処理部材を挟んで、可撓性ハウジング内を血液流入室と血液流出室とに区画し、血液入口は血液流入室の基端側に装着し、血液出口は血液流出室の末端側に装着した。
各部材のヒートシールによる固定は、高周波溶着機を使用した。
【0040】
牛血液入りバッグ[牛血液(400ml)に抗凝固剤としてACD液(60ml)を添加]と空のバッグを用意した。
実施例1、実施例2と比較例の血液処理器のハウジングの血液入口と血液出口にそれぞれチューブを接続し、血液入口側のチューブの上端に牛血液入りバッグ、血液出口側のチューブの下端に空のバッグを接続し、牛血液入りバッグの上部から空のバッグの上部(血液入口)までの落差を140cmに設定した。
牛血液入りバッグから牛血液を自然落下させて、前記血液処理部材で濾過した。
【0041】
実施例1と実施例2は異なる日に作成して、異なる日に比較例との濾過性能(血液の濾過時間)の比較試験を行った。
2016年7月7日付けで実施した「実施例1と比較例」の血液の濾過時間は、比較例は45分かかったが実施例1は34分で血液の濾過が終了した。
2016年6月23日付けで実施した「実施例2と比較例」の血液の濾過時間は、比較例は40分かかったが実施例1は36分で血液の濾過が終了した。あった。
なお比較例の濾過時間が「実施例1と比較例」、「実施例2と比較例」で異なっているのは、牛血液は採血日により(特に気温と湿度の高い夏季は)性状が異なり、一定しないためである。
【0042】
以上により実施例1、実施例2は血液流出室2ROが血液濾過時に陰圧になっても、血液流出室2RO内の血液流路が比較例よりも広く確保でき、血液濾過時間を短縮できることが確認できた。
実施例1が実施例2よりも相対的に比較例よりも濾過時間が短いのは、実施例1は実施例2よりも、スペーサTの末端DE側を、血液出口7Oの固定部(末端側シール部2SDE)に近い位置で固定しているため(固定部2TS)、
または血液流出口(7)の開口(7OO)を、スペーサ(T)の末端(DE)側の固定部(2TS)よりも基端(PE)側により深く配置しているため、血液出口7Oの開口7OO近傍の領域Aで、血液流路を広く確保できているためと考えられる。