(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、加熱調理器本体の収容を容易にするために、加熱調理器本体の前面部が露出するキャビネット本体の前面開放部の高さも、加熱調理器本体の前面部の高さよりもやや大きく設けられている。そのため、前面開放部内における加熱調理器本体の前面部の上下位置によって、加熱調理器本体の前面部の上下端のラインが、左右に隣接する収納家具等のそれらからずれ、システムキッチンの前面の美観が損なわれるという問題がある。
【0006】
また、近年、生活様式や嗜好性の多様化から、ビルトインコンロのようにコンロとグリルやオーブンとを本体ケース内に組み込んだ複合タイプの加熱調理器以外に、コンロとグリル等とをそれぞれ独立した加熱調理器とし、必要な加熱調理器のみをキャビネットに収容したり、製造会社の異なるコンロとグリル等とを組み合わせてキャビネットに収容したりする場合がある。このような独立の加熱調理器をキャビネットに収容する場合、ビルトインコンロと異なり、加熱調理器本体をカウンタトップの開口部の周縁に係止させて固定できない場合もある。そのため、調理器収容空間を形成するキャビネットの内壁面に設けた支持部材によって加熱調理器本体を支持固定する必要がある。その結果、キャビネットの寸法誤差や支持部材の取付け誤差が生じやすく、前面部の上下端のラインと左右の隣接する収納家具等のそれらとのずれが大きくなりやすいという問題がある。また、内部における機器の配設位置によって重心が左右いずれか一方にずれていると、前面部の左右が上下に傾いたりするという問題もある。このような上下方向のずれを低減するために、加熱調理器を調理器収容空間内に収容した後、加熱調理器を上下に微調整することも考えられるが、支持部材の再取付けが必要になったり、重量のある加熱調理器を上方に移動させたりする必要があり、作業性に劣る。
【0007】
本発明は上記課題を解決するものであり、本発明の目的は、キャビネットの調理器収容空間に収容される加熱調理器の上下方向のずれを調整して、システムキッチンの前面の美観に優れるだけでなく、取付け時の作業性にも優れる加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、キャビネットの調理器収容空間内に下方から支持固定されて収容される加熱調理器であって、
加熱調理器本体と、キャビネットの調理器収容空間内に収容されたときに加熱調理器本体の上下位置を調整する上下位置調整機構とを備え
、
上下位置調整機構は、加熱調理器本体の底面に接続される接続部材と、加熱調理器本体の底面と接続部材との間に設けられ、加熱調理器本体を上方に付勢する付勢手段と、加熱調理器本体の底面と接続部材との間に付勢手段を挟んだ状態で加熱調理器本体と接続部材とを上下方向に接離させる調節手段と、を有しており、
接続部材は、加熱調理器本体の底面と所定距離、離間して、加熱調理器本体の底面と略平行に前後方向に延びる板状体を有し、
付勢手段は、板状体に接続されたばね部材を有しており、
調節手段は、板状体と加熱調理器本体とを接続する調節ボルトを有し、調節ボルトの押し込み量によって加熱調理器本体の底面と板状体との間にばね部材を挟んだ状態で加熱調理器本体と板状体とを上下方向に接離させ、
板状体は、貫通孔と、貫通孔の周縁の一部から貫通孔上方に向かって切り起こされた切り起こし片とを有し、
ばね部材は、一端が板状体の切り起こし片と固定螺子によって接続された板ばねを有する加熱調理器が提供される。
【0009】
上記加熱調理器によれば、キャビネットの調理器収容空間内に加熱調理器を収容させるにあたって、加熱調理器本体の上下位置を調整する上下位置調整機構を設けたから、加熱調理器本体を調理器収容空間内に収容させた後、上下位置調整機構により加熱調理器本体を上下動させることができる。これにより、前面部の上下端のラインを左右に隣接する収納家具等のそれらと一致させることができる。
【0011】
上記加熱調理器によれば、上下位置調整機構が、加熱調理器本体の底面に接続される接続部材と、加熱調理器本体の底面と接続部材との間に設けられ、加熱調理器本体を上方に付勢する付勢手段と、加熱調理器本体と接続部材とを付勢手段を挟んだ状態で上下方向に接離させる調節手段とを備えるから、加熱調理器本体と接続部材との間に配設される付勢手段の弾性力により加熱調理器本体が下方から支持される。そのため、加熱調理器本体の重量は付勢手段を介して接続部材にかかるから、加熱調理器本体と接続部材とを上下方向に接離させる調節手段により加熱調理器本体の上下位置を容易に調整できる。
【0013】
上記加熱調理器によれば、加熱調理器本体の底面と略平行に前後方向に延びる板状体に付勢手段のばね部材が接続されているから、略一定間隔で形成される加熱調理器本体の底面と板状体との間の隙間にばね部材が配置され、加熱調理器本体の重量がばね部材を介して板状体にかかる。それゆえ、板状体と加熱調理器本体とを接続する調節ボルトに加熱調理器本体の重量が集中しないから、調節ボルトの押し込み量を容易に変更でき、加熱調理器本体と板状体とを上下方向に接離させることができる。従って、加熱調理器本体の底面と板状体との隙間に設けられたばね部材の弾性力によって加熱調理器本体を支持しながら、調節ボルトで加熱調理器本体の上下位置を容易に調整できる。
【0015】
加熱調理器本体の前面部の上下方向のずれを低減するためや、下方に他の収納家具等の収納空間を確保するため、調理器収容空間を形成するキャビネットの上下方向の内壁面はできるだけ加熱調理器本体に近接させることが好ましい。一方、加熱調理器本体の底面と板状体との間の付勢手段として板ばねを用いるとき、一端を板状体に接続するために固定螺子を使用すると、板状体の下面に固定螺子が突出し、板状体の下方のキャビネットの内壁面に当接する虞がある。その結果、板状体が傾き、それによって加熱調理器本体が傾いたり、取付け時にキャビネットの内壁面を傷つけたりする場合がある。
しかしながら、上記加熱調理器によれば、板状体が、貫通孔と、貫通孔の周縁の一部から貫通孔上方に向かって切り起こされた切り起こし片とを有しているから、板ばねを板状体に取付けるにあたって、切り起こし片に固定螺子で板ばねの一端を接続すれば、板状体から下方に固定螺子が突出することなく板ばねを取付けることができる。従って、調理器収容空間を形成するキャビネットの内壁面を複雑な構造とする必要もないし、取付け時に別部品を使用する必要もない。
【0016】
好ましくは、上記加熱調理器において、
上下位置調整機構は、複数の付勢手段と、複数の調節手段とを有し、
複数の付勢手段は、板状体の前後方向の異なる位置に接続されており、
複数の調節手段は、板状体と加熱調理器本体とを前後方向の異なる位置で接続する。
【0017】
上記加熱調理器によれば、上下位置調整機構が、板状体の前後方向の異なる位置に接続された複数の付勢手段と、板状体と加熱調理器本体とを前後方向の異なる位置で接続する複数の調節手段とを有しているから、より容易に加熱調理器本体の上下位置を調整できる。また、前後の調節手段を調整して加熱調理器本体と板状体とを接離させることにより、前後の付勢手段の伸縮度合いを変更できるから、加熱調理器本体の前後の上下位置をそれぞれ調整できる。
【0018】
好ましくは、上記加熱調理器において、
上下位置調整機構は、加熱調理器本体の底面の左右にそれぞれ設けられる。
【0019】
上記加熱調理器によれば、上下位置調整機構が加熱調理器本体の底面の左右にそれぞれ設けられているから、内部の機器の配設位置によって加熱調理器本体の重心が左右でずれている場合でも、前面部の左右で上下の傾きを防止できる。
【0020】
好ましくは、上記加熱調理器において、
キャビネットの調理器収容空間を形成する壁面には、加熱調理器を下方から支持固定する支持部材が設けられ、
支持部材と上下位置調整機構とが接続される。
【0021】
既述したように、独立した加熱調理器をキャビネットに収容させる場合、加熱調理器を下方から支持固定する支持部材が用いられるため、支持部材の取付け誤差が生じやすく、それによって加熱調理器の前面部が上下にずれやすい。
しかしながら、上記加熱調理器によれば、加熱調理器本体に接続される上下位置調整機構が支持部材に接続されるから、支持部材に取付け誤差が生じても、加熱調理器を調理器収容空間に収容させた後、加熱調理器本体の上下位置を容易に調整できる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明によれば、キャビネットの調理器収容空間に加熱調理器を収容させるにあたって、上下位置調整機構により加熱調理器本体の上下方向の位置調整を可能としたから、システムキッチンの前面の美観に優れ、取付け時の作業性に優れる加熱調理器を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本実施の形態に係る加熱調理器を具体的に説明する。
図1は、本実施の形態の加熱調理器をキャビネットに設置する状態を示す概略分解斜視図である。システムキッチンのキャビネット1は、例えば、壁に沿って床面上に配設され、前方側に抽斗8やキャビネット扉(図示せず)を有するキャビネット本体2と、キャビネット本体2の上に設置されたカウンタトップ4とを有する。なお、本明細書では、キャビネット1に加熱調理器が収容された状態の正面側を前方とし、キャビネット1に収容される加熱調理器の奥行方向を前後方向、加熱調理器の幅方向を左右方向、加熱調理器の高さ方向を上下方向という。
【0025】
カウンタトップ4の上面には、開口部7aが開設され、カウンタトップ4下方のキャビネット本体2の前面には、前面開放部7bが開設されており、キャビネット1内の上部領域には、カウンタトップ4の開口部7aに組み込まれる2台のガスコンロ10と、前面開放部7bからガスコンロ10の下方に組み込まれるオーブン20とを収容する調理器収容空間7が形成されている。また、キャビネット1内の下部領域である調理器収容空間7の下方には、食器や調味料などを収容する収納空間9が形成されている。さらに、調理器収容空間7と収納空間9との間は、キャビネット本体2の前方から後方に向かって調理器収容空間7の奥行の略1/3程度の長さを有する仕切り部70で仕切られている。従って、キャビネット1内の調理器収容空間7は、下方の前方部分が仕切り部70で、左右がキャビネット本体2の仕切り板71,72で、後方がキャビネット本体2の後壁(図示せず)でそれぞれ区画されている。また、調理器収容空間7は、上方及び前方がそれぞれ開口部7a及び前面開放部7bで開口し、下方の後方部分が収納空間9に連通するように形成されている。そして、調理器収容空間7を形成する左右の仕切り板71,72の内壁面71a,72bには、オーブン20を下方から支持する左右一対の支持部材75a,75bが取付けられている。なお、支持部材75a,75b及び後述する上下位置調整機構40a,40bはいずれも、左右対称に形成されているため、以下ではオーブン20の左側に位置するもののみを主として説明する。
【0026】
支持部材75aは、金属板を略L字状に折り曲げて形成されている。
図2に示すように、支持部材75aは、調理器収容空間7の左方を形成する仕切り板71の内壁面71aに固定される固定片76aと、固定片76aから内方に略直角に折り曲げられた支持片77aとを有する。また、支持部材75aは、後述するオーブン20の外装ケース210の奥行と略同一長さを有している。支持部材75aは、支持片77aが仕切り部70よりも所定距離上方に配置され、前端が前面開放部7b近傍に配置され、後端が仕切り部70よりも後方に配置されるように、取付け螺子73によって仕切り板71の内壁面71aに固定されている。固定片76aは、支持部材75aを所定位置に配置させるために、仕切り板71の前面に係止される前方係止部78aと、前後方向に取付け螺子73が挿通される略均等な間隔で形成された複数(ここでは、4つ)の螺子孔(図示せず)とを有しており、支持片77aは、前後方向の略中央部に後述する上下位置調整機構40aを所定位置で固定するためのビス孔79aを有している。これらの左右の支持部材75a,75bは、オーブン20を調理器収容空間7に収容させる前に、キャビネット本体2に取付けられる。
【0027】
図1に戻って、キャビネット本体2には、その前方から前後方向にスライド自在に構成された複数の抽斗8が設けられている。抽斗8はそれぞれ、略矩形状の前板81と、図示しない底板と、左右の側板と、背板とを備えており、これらの抽斗8をキャビネット本体2内に収容すると、隣接する前板81は上下左右で略面一に形成されるように収容されている。また、左右に隣接する抽斗8は、前板81の上下端のラインが略同一高さに位置するように収容されている。
【0028】
2台のガスコンロ10及びオーブン20はそれぞれ、独立した加熱調理器から構成されている。このように各加熱調理器を独立の加熱調理器としてキャビネット1に収容することにより、必要な調理器のみを組み込んだり、高い自由度で調理器を組み合わせたりできる。なお、ガスコンロ10とオーブン20またはグリルとが本体ケースに一体に収容されたビルトインコンロを用いてもよい。
【0029】
オーブン20は、オーブン本体21と、オーブン本体21に接続された上下位置調整機構40a,40bとを備える。オーブン本体21は、複数の金属板から構成された前方に開放する略矩形状の外装ケース210と、前面開口部(図示せず)を開閉する開閉扉220とを有しており、開閉扉220は外装ケース210に着脱可能に取付けられている。図示しないが、オーブン本体21内には、オーブンバーナが配設された燃焼室と、燃焼室と連通し、被調理物を加熱調理する調理室とを有するオーブン庫が配設されており、調理室の後方には、燃焼室で発生させた燃焼排ガスの熱気を調理室に送り込んで循環させる循環ファンが配設されている。また、外装ケース210の後方には、調理室と連通し、調理室からの排気を排出する排気筒230が延設されている。
【0030】
外装ケース210は、上面211、底面212(
図2参照)、左側面213、右側面214、及び後面215(
図3参照)を有しており、各面を構成する金属板を図示しない締結部材で締結することにより形成されている。
図2及び
図3に示すように、外装ケース210の底面212の左右両端には、後述する上下位置調整機構40a,40bの調節ボルトが挿入される挿入孔(図示せず)が複数(ここでは、2つずつ)開設されている。また、挿入孔が開設されている底面212の上面には、挿入孔と連通し、調節ボルト63a,64aのボルト軸部67a,68aが上下方向に進退可能に螺合する螺子孔(図示せず)が形成された固定部217a,218aが溶接によって一体形成されている。
【0031】
外装ケース210の左右側面213,214と底面212とのコーナ部にはそれぞれ、左右の上下位置調整機構40a,40bが設けられている。具体的には、上下位置調整機構40aは、外装ケース210の左側面213に沿って添接される添接体42aと、添接体42aから内方に略直角に折り曲げられた板状体43aとを有する接続部材41aと、板状体43aの上面に固定接続された付勢手段である2つの板ばね55a,56aと、板状体43aとオーブン本体21とを上下方向に接離させる調節手段である2本の調節ボルト63a,64aとを備える。なお、付勢手段及び調節手段の数は、加熱調理器本体の大きさや形状に応じて、適宜設定される。
【0032】
接続部材41aは、金属板を略L字状に折り曲げて形成されている。また、接続部材41aの添接体42a及び板状体43aはいずれも、外装ケース210の奥行と略同一長さを有している。このため、外装ケース210の底面212に板状体43aが調節ボルト63a,64aによって取付けられると、外装ケース210の前後方向で底面212及び左側面213と所定距離、離間して略平行に延び、外装ケース210の左側面213と底面212とのコーナ部が接続部材41aで略覆われるように配置される。また、添接体42aの上下方向の高さは、支持部材75a上に接続部材41aが載置されたときに、支持部材75aの固定片76aと略同一高さとなるように設定されている。また、添接体42aの下端から内方に突出する板状体43aの左右方向の幅は、支持部材75a上に接続部材41aが載置されたとき、板状体43aの内方端が支持部材75aの支持片77aのそれよりも内方に突出し、調節ボルト63a,64aのボルト挿通孔(図示せず)が下方に露出するように設定されている。
【0033】
板状体43aには、前後の両端部近傍に複数(ここでは、2つ)の略矩形状の貫通孔45a,46aが開設されている。また、前後の貫通孔45a,46aの間及び後方の貫通孔46aと板状体43aの後端との間には調節ボルト63a,64aが挿入されるボルト挿通孔(図示せず)が開設されており、中央部のボルト挿通孔の左右方向の外方にビス孔48が開設されている。さらに、各貫通孔45a,46aの前後方向の内方側の周縁には、貫通孔45a,46aの上方に切り起こされた略矩形状の切り起こし片49a,50aが形成されており、切り起こし片49a,50aには、板ばね55a,56aの一端を固定接続するための固定孔(図示せず)が開設されている。
【0034】
板状体43aのボルト挿通孔は前後方向においていずれも、支持部材75a上に板状体43aを載置させたとき、仕切り部70よりも後方に位置するように設定されている。また、ボルト挿通孔は左右方向においていずれも、支持部材75a上に板状体43aを載置させたとき、ボルト挿通孔が下方に露出するように、支持部材75aの支持片77aの内方端よりも内方に位置している。そして、既述したように、仕切り部70の後方において、キャビネット1内の調理器収容空間7と収納空間9とは上下に連通している。このため、支持部材75a上に上下位置調整機構40aを取付けたオーブン本体21を載置させた後、仕切り部70よりも後方の下方からボルト挿通孔に挿通させた調節ボルト63a,64aを回転させることができる。また、ボルト挿通孔は、挿通される調節ボルト63a,64aのボルト軸部67a,68aの径よりもやや大きく形成されている。従って、上下位置調整機構40aが取付けられたオーブン本体21を支持部材75a上に載置させた後、ボルト挿通孔の範囲内で前後及び左右方向にオーブン本体21を移動させることができる。これにより、前面部を構成する開閉扉220の前後及び左右の位置も調整できる。従って、板状体43aのボルト挿通孔及び調節ボルト63a,64aは、オーブン20の前後及び左右調整機構としても機能する。
【0035】
板ばね55a,56aは、略矩形状の金属板を略逆U字状に屈曲形成したものであり、中央部が平面状に形成されている。板ばね55a,56aは、一端に形成された接続孔(図示せず)に切り起こし片49a,50aの上方から固定螺子57a,58aを螺合させることによって片持ち状態で板状体43aに固定接続されている。なお、板ばね55aは、溶接等によって板状体43aに固定接続されてもよい。また、板ばね55a,56aは、外装ケース210の底面212に板状体43aが接続されたとき、板ばね55a,56aの平面状の中央部が外装ケース210の底面212に当接して、板ばね55a,56aの弾性力によりオーブン本体21を上方に付勢するように設定されている。従って、支持部材75a上に上下位置調整機構40aを取付けたオーブン本体21を載置させた後、調節ボルト63a,64aの押し込み量により板ばね55a,56aの高さが上下し、それによってオーブン本体21を上下動させることができる。
【0036】
なお、固定螺子57a,58aは、螺子軸部を上方から板ばね55a,56aの接続孔及び切り起こし片49a,50aの固定孔に順に挿通させたとき、螺子軸部の先端が板状体43aの下面よりも下方に突出しないように設定されている。これにより、螺子軸部の先端が仕切り部70に当接しないから、支持部材75a上に上下位置調整機構40aを取付けたオーブン本体21を載置させたとき、螺子軸部の先端による板状体43aの傾きを防止でき、前後方向におけるオーブン20の傾きを防止できるだけでなく、仕切り部70の損傷も防止できる。
【0037】
調節ボルト63a,64aは、頭部65a,66aとボルト軸部67a,68aとを有する蝶ボルトから構成されている。ボルト軸部67a,68aは、板状体43aの下方からボルト挿通孔に挿通させたときに、外装ケース210の底面212に形成されている固定部217a,218aの螺子孔に螺合する長さに設定されている。また、板状体43aのボルト挿通孔の周縁には、調節ボルト63a,64aを固定するためのボルト固定部材として、座金付きナット91a,92aが配設されている。座金付きナット91a,92aの座金部93a,94aの外周には、座金付きナット91a,92aを回転させるための凹凸部が形成されており、座金部93a,94の径は、外周縁の一部が板状体43aの内方端よりも内方に位置するように設定されている。従って、調節ボルト63a,64aのボルト軸部67a,68aを下方から板状体43aのボルト挿通孔及び座金付きナット91a,92aの螺子孔(図示せず)に挿通させ、さらに、固定部217a,218aの螺子孔に挿通させて螺合させた後、座金部93a,94aを回転させれば、調節ボルト63a,64aが固定される。これにより、接続部材41aとオーブン本体21とが接続されて、上下位置調整機構40aがオーブン本体21に取付けられる。なお、調節手段として、蝶ボルト以外に、アイボルトや、六角ボルト、四角ボルト、タッピン螺子などを用いてもよい。
【0038】
次に、本実施の形態のオーブン20をキャビネット1内へ取付ける取付け工程について説明する。なお、支持部材75a,75bは、キャビネット1へのオーブン20の収容前に、キャビネット本体2の左右の仕切り板71,72の内壁面71a,72bの所定位置に取付けられ、上下位置調整機構40a,40bは、オーブン本体21に取付けられる。また、このとき、調節ボルト63a,64aは、ボルト軸部67a,68aの上端が固定部217a,218aの螺子孔に螺合しているが、板ばね55a,56aが圧縮されない程度の略最下端に位置し、座金付きナット91a,92aによる固定もされていない状態にある。
【0039】
上記の上下位置調整機構40a,40bが取付けられたオーブン本体21を、左側の板状体43aが支持部材75a上に、右側の板状体が支持部材75b上に載置されるように、キャビネット本体2の前面開放部7bから調理器収容空間7内に挿入させる。既述したように、支持部材75a,75bは、仕切り部70から所定距離、上方に取付けられている。また、板状体43aのボルト挿通孔が下方に露出するように、板状体43aの内方端は支持部材75aのそれよりも内方に位置している。従って、調節ボルト63a,64aの頭部65a,66aが下方に突出していても、オーブン本体21の挿入が妨げられず、オーブン本体21をスムーズに後方に押し込むことができる。さらに、オーブン本体21が調理器収容空間7に押し込まれると、調節ボルト63a,64aの頭部65a,66aは、仕切り部70よりも後方で下方に露出する。従って、調理器収容空間7内にオーブン本体21を収容させた後、下方の収納空間9から調節ボルト63a,64aを回転させることができる。
【0040】
既述したように、ボルト挿通孔は調節ボルト63a,64aのボルト軸部67a,68aの径よりもやや大きく形成されているため、オーブン20を前後及び左右に移動させることができる。従って、オーブン本体21を調理器収容空間7に収容させると、前面部が上下及び左右方向で抽斗8の前板81と同一面となるように調整される。上記のようにして、オーブン本体21の前後及び左右方向の位置が調整されると、支持部材75aの支持片77aに形成されているビス孔79a及び板状体43aのビス孔48に、下方から固定用のビス80を挿通させて、支持部材75aと接続部材41aとを接続する。
【0041】
一方、支持部材75a,76bは、キャビネット本体2に取付けられており、仕切り板71,72の寸法誤差や支持部材75a,76bの取付け誤差が生じるため、前面部を構成する開閉扉220の上下端のラインが左右の抽斗8のそれらからずれたり、開閉扉220が左右で上下に傾いたりする場合がある。
【0042】
このため、オーブン本体21の前面部を構成する開閉扉220の上下端のラインが左右の抽斗8のそれらと同一ラインに位置するように、下方の収納空間9から調節ボルト63a,64aの頭部65a,66aを把持し、回転させて、オーブン本体21と板状体43aとを接離させる。
【0043】
このとき、オーブン本体21の外郭を構成する外装ケース210の底面212は、板ばね55a,56aの中央部と当接し、板ばね55a,56aの弾性力によって上方に付勢されているから、オーブン本体21の大きな重量は調節ボルト63a,64aに集中しない。従って、オーブン本体21の姿勢を保持しながら、調節ボルト63a,64aの頭部65a,66aを容易に回転させることができる。
【0044】
また、板ばね55a,56a及び調節ボルト63a,64aはそれぞれ、板状体43aの前後方向の異なる位置に設けられているから、オーブン本体21が前後で傾いている場合でも、調節ボルト63a,64aの押し込み量を前後で調整することにより、オーブン本体21を前後方向で水平に設置できる。
【0045】
さらに、上下位置調整機構40a,40bは、オーブン本体21の左右にそれぞれ設けられているから、開閉扉220が左右で上下に傾いている場合でも、左の調節ボルト63a,64aまたは右の調節ボルト(図示せず)の押し込み量を調整することにより、左右方向で水平にオーブン本体21を設置できる。
【0046】
上記のようにして、オーブン本体21の前後、左右、並びに上下方向の位置が調整されると、板状体43a上から内方に突出している座金付きナット91a,92aを回転させて、調節ボルト63a,64aを固定する。これにより、上下位置調整機構40aが接続されているオーブン本体21が支持部材75a上に支持固定される。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態によれば、オーブン本体21に上下位置調整機構40a,40bが接続されており、オーブン本体21をキャビネット1内の調理器収容空間7に収容させた後、上下位置調整機構40a,40bによりオーブン本体21を上下動させることができるから、前面部の上下端のラインを左右で隣接する抽斗8等のそれらに一致させることができる。これにより、美観に優れるシステムキッチンを構築できる。
【0048】
また、本実施の形態によれば、上下位置調整機構40a,40bが付勢手段である板ばね55a,56aを有し、オーブン本体21を上方に付勢しているから、調節手段である調節ボルト63a,64aにオーブン本体21の重量が集中せず、調節ボルト63a,64aでオーブン本体21の上下位置を容易に調整できる。これにより、オーブン20の取付け時の作業性を向上させることができる。
【0049】
(その他の実施の形態)
(1)上記実施の形態では、仕切り板に接続固定された略L字状の支持部材が使用されているが、上下位置調整機構によって加熱調理器本体の上下方向の高さを調整できれば、異なる支持部材を用いてもよい。例えば、支持部材は、一定の強度を有する仕切り部に設けてもよい。
(2)上記実施の形態では、加熱調理器本体の側面と底面とのコーナ部を覆う略L字状の接続部材が用いられているが、接続部材と加熱調理器本体の底面との間に付勢手段を配設できる構造であれば、異なる接続部材を用いてもよい。例えば、階段状の接続部材を加熱調理器本体の底面に接続してもよい。
(3)上記実施の形態では、付勢手段として接続部材に固定された板ばねが用いられているが、加熱調理器本体を上方に付勢する付勢手段であれば特に限定されない。例えば、リングばねであってもよいし、一端が加熱調理器本体の底面に固定された板ばねであってもよい。
(4)上記実施の形態では、キャビネット本体の前面開放部から加熱調理器が挿入されているが、カウンタトップの開口部から加熱調理器が挿入されてもよい。また、ガスコンロの調理器収容空間と独立した調理器収容空間に加熱調理器を収容させる場合、前面開放部のみを有する調理器収容空間であってもよい。