特許第6832100号(P6832100)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6832100セロハン用水性印刷処理剤及び印刷セロハンテープ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6832100
(24)【登録日】2021年2月3日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】セロハン用水性印刷処理剤及び印刷セロハンテープ
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/107 20140101AFI20210215BHJP
   C09J 7/20 20180101ALI20210215BHJP
   B32B 23/08 20060101ALI20210215BHJP
   B32B 25/08 20060101ALI20210215BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20210215BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
   C09D11/107
   C09J7/20
   B32B23/08
   B32B25/08
   B32B27/00 M
   B32B27/30 A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-177524(P2016-177524)
(22)【出願日】2016年9月12日
(65)【公開番号】特開2018-44033(P2018-44033A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2019年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004020
【氏名又は名称】ニチバン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000143880
【氏名又は名称】株式会社細川洋行
(73)【特許権者】
【識別番号】516274416
【氏名又は名称】昭和インク工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】516274427
【氏名又は名称】株式会社飯洋化工
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(72)【発明者】
【氏名】王 墨非
(72)【発明者】
【氏名】中村 和幸
(72)【発明者】
【氏名】中野 博夫
(72)【発明者】
【氏名】大沢 潤一
(72)【発明者】
【氏名】増川 育弘
【審査官】 川嶋 宏毅
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭47−011599(JP,B1)
【文献】 特開2004−210861(JP,A)
【文献】 特開平08−104848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D
C09J
B32B 23/08,25/08,27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)メチルメタクリレート及び炭素数3〜9のアルキル基を有するアルキルアクリレートを主モノマーとするアクリル共重合体、(b)天然ゴムを幹ポリマーとするメチルメタクリレートグラフト共重合体を含有し、
(a)重量に対する(b)重量の比率(b/a)が0.7〜7.8であるセロハン用水性印刷処理剤組成物。
【請求項2】
(a)+(b)重量に対して、2.5倍以下の重量で顔料を含むことを特徴とする請求項1記載の処理剤組成物。
【請求項3】
(a)アクリル共重合体の全モノマー重量に対して、メチルメタクリレートが60〜80重量%、n−ブチルアクリレートが10〜30重量%、(メタ)アクリル酸が0〜30重量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の処理剤組成物。
【請求項4】
白インキで且つ顔料が酸化チタンである場合、(a)重量に対する(b)重量が130〜250%の範囲内であり、(a)+(b)重量に対して、150〜250%の重量で当該顔料を含むことを特徴とする請求項2又は3記載の処理剤組成物。
【請求項5】
請求項1乃至4記載のセロハン用水性印刷処理剤組成物に対して、水/アルコールを分散媒とし、固形分濃度が10〜60重量%である処理剤液。
【請求項6】
セロハンのウレタン系樹脂処理面上に、請求項5記載の処理剤液での処理層を有し、更に当該処理層上にゴム系粘着剤層を有することを特徴とする、印刷セロハンテープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色印刷を施したセロハンフィルムを支持体とする粘着テープすなわち印刷セロハンテープに関する。特に、セロハンフィルムと粘着剤層との間に介在し、着色層としての働きと同時に両層を結着させるプライマーとしての働きを持つ印刷層に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷セロハンテープは、透明なセロハンに様々な色のインキで会社名や商品名の文字、図柄を印刷したものや、全面に一又は複数の色を印刷したものがある。いずれもその識別性や美観から主に商店、スーパー、デパート等で商品の軽包装封緘用、仮止め用等に使用されている。
【0003】
ここで、フィルムに施されるインキや処理剤は、着色材となる顔料や染料、ビヒクルとなるポリマー等の固形分組成物をトルエン等の有機溶剤又は水に分散或いは溶解させたものが多く用いられている。近年大気汚染防止の観点から有機溶剤系よりも水溶液やエマルジョン(乳化重合)等の水系が好んで使用される傾向にあり、種々の試みがなされている(特許文献1等)。ところがセロハンフィルムの場合、そうした水系の処理剤を塗工した場合ではセロハンの吸水性から処理剤乾燥後セロハンにシワが残る傾向があり、また、セロハン及び粘着剤両方に対して投錨性が十分な水系の処理剤が未だ開発されていない。そうしたことから、有機溶剤系のインキ液や処理剤が用いられているのが一般的な状況である。尚、セロハンに予めアクリル系樹脂やウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂のコート層を設けていて、その上に水系インキ処理液を塗布する場合も、コート層が完全に防水機能を果たすものでは無いので基本的には同様の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-146274号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、有機溶剤系の場合は、その処理液をセロハンへ塗工する塗工機周辺の作業現場では、揮発した有機溶剤吸引による作業者への健康上の問題や、周辺で発生した静電気による引火による火災の問題があり、できるだけ有機溶剤を使用せずに水系に切替えることが望まれていた。
【0006】
従って、本発明の目的は、水系の印刷処理剤であっても、セロハンにシワの発生、印刷のムラなく良好に塗工でき、セロハン、及びセロハンテープに汎用に使用されるゴム系の粘着剤、の両方に対して接着力(投錨力)が高い水性印刷処理剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る水性印刷処理剤組成物は、(a)炭素数3〜9のアルキル基を有するアルキルアクリレート及びメチルメタクリレートを主モノマーとするアクリル共重合体、(b)天然ゴムを幹ポリマーとするメチルメタクリレートグラフト共重合体を含有する組成物からなることを特徴とする。
本発明に係る水性印刷処理剤組成物は、(a)+(b)重量に対して、2.5倍以下の重量で顔料を含むことを特徴とする。
本発明に係る水性印刷処理剤組成物は、(a)アクリル共重合体の全モノマー重量に対して、メチルメタクリレートが60〜80重量%、n−ブチルアクリレートが10〜30重量%、(メタ)アクリル酸が0〜30重量%であることを特徴とする。
本発明に係る水性印刷処理剤組成物は、白インキで且つ顔料が酸化チタンである場合、 (a)重量に対する(b)重量が130〜250%の範囲内であり、(a)+(b)重量に対して、150〜250%の重量で当該顔料を含むことを特徴とする。
本発明に係る処理剤液は、前記のセロハン用水性印刷処理剤組成物に対して、水/アルコールを分散媒とし、固形分濃度が10〜60重量%であることを特徴とする。
本発明に係る印刷セロハンテープは、セロハンのウレタン系樹脂処理面を前記の処理剤液で処理し、当該処理面(前記の処理液で処理された面)上にゴム系粘着剤を積層したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、引火等の問題がある有機溶剤に換えて、その危険性が低い水/アルコール系であって、セロハンにシワ等の発生が無くきれいに印刷処理できる処理剤を提供できる。またセロハン上ウレタン系樹脂処理面へ当該印刷処理剤を塗布することにより、ゴム系粘着剤の投錨性の良好な印刷セロハンテープを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るセロハン用水性印刷処理剤組成物、処理剤液及び印刷セロハンテープを順に説明する。
【0010】
≪1.セロハン用水性印刷処理剤組成物≫
本発明に係るセロハン用水性印刷処理剤組成物は、(a)メチルメタクリレート及び炭素数3〜9のアルキル基を有するアルキルアクリレートを主モノマーとするアクリル共重合体、(b)天然ゴムを幹ポリマーとするメチルメタクリレートグラフト共重合体を必須的に含有し、顔料を任意で含有する。以下、当該組成物を構成する各種成分について詳述し、次いで、配合(組成)について詳述する。
【0011】
<1−1.成分>
{1−1−1.成分/アクリル系共重合体}
本発明で使用される、成分(a)であるアクリル系共重合体は、(a−1)メチルメタクリレート及び(a−2)炭素数3〜9のアルキル基を有するアルキルアクリレートを主モノマーとする共重合体で、乳化重合により製造する水系エマルジョンの状態で使用することもできるが、共重合体固形分を水溶液とし使用することもできる。ここで、特許請求の範囲及び明細書における「主モノマー」とは、アクリル系共重合体(a)の全モノマーの合計重量に対し、(a−1)と(a−2)との合計重量が、50重量%以上であることを意味する。以下、構成モノマー(原料モノマー)について詳述する。
【0012】
(1−1−1−1.成分/アクリル系共重合体/(a−1)モノマー)
アクリル系共重合体の全モノマーに対する(a−1)の重量比率は、好適には60〜80重量%である。
【0013】
(1−1−1−2.成分/アクリル系共重合体/(a−2)モノマー)
(a−2)の具体例としては、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、イソノニルアクリレートであり、これらの群の中から、1又は2以上のモノマーが用いられる。中でもn−ブチルアクリレートが好適に使用される。アクリル系共重合体の全モノマーに対する(a−2)の重量比率は、好適には10〜30重量%である。
【0014】
(1−1−1−3.成分/アクリル系共重合体/その他のモノマー)
その他の共重合可能なモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和結合モノマーや、メチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート等の前記以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド及びその誘導体、酢酸ビニル、スチレン等のビニルエステル、アクリルニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル等を挙げることができる。中でも、(メタ)アクリル酸が好適に使用されるが、アクリル酸が特に好ましい。アクリル系共重合体の全モノマーに対するその他の共重合可能なモノマー{例えば、(メタ)アクリル酸}の重量比率は、好適には0〜30重量%である。本発明で使用されるアクリル系共重合体は、当業者が周知の通常の乳化重合で得られるが、水溶液等市販品も使用することができる。
【0015】
{1−1−2.成分/メチルメタクリレートグラフト化天然ゴム}
成分(b)であるメチルメタクリレートグラフト化天然ゴム(メチルメタクリレートグラフト共重合体)は、天然ゴムを幹ポリマーとしメチルメタクリレートをグラフトすることにより得られる共重合体である。本発明では、当該共重合体の水系ラテックスが用いられる。グラフト共重合方法としては、従来からの公知の方法を用いることができる。例えば、天然ゴムのラテックスにメチルメタクリレートモノマーを添加して、ラジカル重合開始剤にてグラフト重合する方法を挙げることができる。本共重合体中のメチルメタクリレートの重量比率は、20〜70重量%であることが好ましく、25〜40重量%であることがより好ましい。市販品も使用することができ、レヂテックスMG−20、MG−40S、MG−67等がある(以上、株式会社レヂテックス製)。
【0016】
{1−1−3.成分/顔料}
印刷用の一般的な顔料が使用できる。例えば白色顔料としては、一般的な二酸化チタン粒子が使用される。隠蔽性の高いものが好ましく、ルチル型、アナターゼ型のいずれでもよい。粒子径は、0.1〜0.3μmのものが好適に用いられる。黄色顔料はアゾ顔料、赤色顔料はアゾ顔料、青色顔料はフタロシアニンブルー、緑色顔料はフタロシアニングリーン、黒色顔料はカーボンブラックが好適に用いられる。尚、顔料は使用されない場合、つまり処理液に配合されない場合もある。その場合は透明(クリア)のプライマーとなり、その表面に施される文字、図柄等の部分着色印刷の背景を構成する。
【0017】
{1−1−4.成分/その他添加剤}
その他添加剤としては、消泡剤、顔料分散剤、造膜助剤等を挙げることができる。
【0018】
<1−2.配合(組成)>
次に、セロハン用水性印刷処理剤組成物における各成分の配合量や配合比について詳述する。
【0019】
本発明に係るセロハン用水性印刷処理剤組成物における、(a)アクリル系共重合体と(b)メチルメタクリレートグラフト化天然ゴム、(c)顔料の重量比は、(c)/{(a)+(b)}が2.5以下であることが好適である。
【0020】
但し、顔料により好適な範囲が異なる。具体的には、(c)顔料が酸化チタンのみの場合(白インキの場合)は、(a)100重量部に対して、(b)は130〜250重量部{即ち、(b)/(a)が1.3〜2.5}であることが好ましく、(a)+(b)100重量部に対して、(c)は150〜250重量部であること{即ち、(c)/{(a)+(b)}が1.5〜2.5}が好ましい。また、(c)顔料がピグメントイエローを含有する場合(黄インキの場合)は、(a)100重量部に対して、(b)は750〜850重量部{即ち、(b)/(a)が7.5〜8.5}が好ましく、(a)+(b)100重量部に対して、(c)は50〜80重量部{即ち、(c)/{(a)+(b)}が0.5〜0.8}であることが好ましい。顔料を含まない場合(クリアインキの場合)は、(a)100重量部に対して、(b)は150〜250重量部{即ち、(b)/(a)が1.5〜2.5}であることが好ましい。
【0021】
≪2. 水性印刷処理液≫
本発明に係る水性印刷処理液(処理剤液)は、前述のセロハン用水性印刷処理剤組成物に対して、水/アルコールを分散媒とし、固形分濃度を調整した液である。尚、当該処理液における各成分{成分(a)、成分(b)、成分(c)}の配合比は、上述したセロハン用水性印刷処理剤組成物におけるそれと同一である。
【0022】
{2−1.分散媒}
水とアルコールの混合溶媒が用いられる。混合比率は、最終的に水/アルコール=70/30〜90/10重量比となるように調整することが好ましい。アルコールは、乾燥性等を考慮して、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等が好適に用いられる。
【0023】
<2−2.濃度>
処理液中の固形分全体の濃度は、10〜60重量%が好ましい。
【0024】
<2−3.物性>
液粘度は、10〜40秒(ザーンカップNo.3、25℃)が好ましい。
【0025】
製造方法は、典型的には、所定の固形分濃度、水/アルコール比率(好適には上記の比率)に調整するように、水/アルコール混液中に他の成分を混合し、ミキサー等で均一に溶解、分散するまで攪拌することがある。
【0026】
≪3.粘着テープ≫
本発明に係る粘着テープ(印刷セロハンテープ)は、セロハンのウレタン系樹脂処理面に前記処理剤液を処理し、当該処理面上にゴム系粘着剤を積層したものである。以下、各構成要素を詳述する。尚、ウレタン系樹脂については、後述の製造方法の項目にて詳述する。
【0027】
<3−1.セロハンフィルム>
厚さは20〜50μmの範囲内の、通常のセロハンテープ用の透明セロハンフィルムが好適に使用される。
【0028】
<3−2.ゴム系粘着剤>
天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、スチレン−イソプレンブロツクポリマー、ポリイソブチレンゴム等のエラストマーに粘着付与剤であるロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフエルール系樹脂又は/及び石油系樹脂等の樹脂及び老化防止剤を添加したもので、必要に応じて充填剤、軟化剤、架橋剤等を加えることができる。
【0029】
≪4.粘着テープの製造方法≫
本発明に係る粘着テープ(印刷セロハンテープ)は、(工程1)セロハンフィルムの片面にウレタン樹脂処理剤液を塗布乾燥後、(工程2)更にその上に印刷処理液を、そして他方の面に剥離剤(ポリビニルアルコールのオクタデシルイソシアネート付加物のような、側鎖の鎖長がC14以上の長鎖アルキル基含有ポリマーが挙げられる)をいずれもグラビアコータ等にて所定量塗工し、(工程3)次に水性印刷処理側の面に粘着剤をn−ヘキサンやトルエンで溶解した粘着剤液を、バーコータ、グラビアコータ、ロールコータ、ナイフコータ等の公知の塗工手段により所定の厚さとなるように均一に塗工し、(工程4)溶剤を乾燥し、ロール状に巻き取り、所定の幅に裁断すること、により得られる。以下、工程1において、ウレタン系樹脂を形成させるために使用されるウレタン樹脂処理剤液を詳述する。
【0030】
<4−1.ウレタン樹脂処理剤液>
ウレタン樹脂は、ポリエステル又はポリエーテルとジイソシアネートとの重合物で、グラビア印刷のメジウム、フィルムコート剤等に一般的に用いられるものを使用する。処理剤液は、ウレタン樹脂2〜5質量部を有機溶剤95〜98質量部に溶解させた粘度が10〜40秒(ザーンカップNo.3、25℃)の処理剤液で、通常グラビアコータで処理するものである。市販品では、 ラミックSR(大日精化工業株式会社)、ファインスター(東洋インキ株式会社)等がある。
【実施例】
【0031】
≪1.製造例≫
[白インキ]
透明セロハン(坪量50g/m)の片面に、グラビアロールコータで均一に剥離剤(ポリビニルアルコールのオクタデシルイソシアネート付加物)を塗布・乾燥し、他面にウレタン系樹脂処理液(大日精化工業株式会社製 ラミックSR Rメジウム)を塗布・乾燥(乾燥塗布量0.1g/m)した後、ウレタン系樹脂処理面に、表1にある配合の白インキ処理剤をグラビアロールコータ処理(乾燥塗布量3.0g/m)し、熱風乾燥した。次に白インキ処理面に粘着剤(天然ゴム/ポリテルペン樹脂/石油系樹脂/老化防止剤=100/35/35/1重量比)のヘキサン溶液をコンマコータで乾燥後の厚さが15μmになるように塗工し、熱風乾燥し長さ50mのロール状に巻き取り、丸刃型コアカッターで18mm幅に裁断して、印刷セロハンテープを作製した。
【表1】
【0032】
ここで、表中、配合表の数値は、重量部である。(a)は、メチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸=70/20/10重量比の共重合体(乳化重合、固形分濃度26%)で、数値は固形分重量である。(b)は、レジテックスMG−40S(株式会社レヂテックス製、固形分濃度51%)で、数値は固形分重量である。二酸化珪素は、ブロッキング防止剤、ジエチレングリコールモノエチルエーテルは造膜助剤である。以下の表2,3も、同様である。
【0033】
[黄インキ]
透明セロハン(坪量50g/m)の片面に、グラビアロールコータで均一に剥離剤(ポリビニルアルコールのオクタデシルイソシアネート付加物)を塗布・乾燥し、他面にウレタン系樹脂処理液(大日精化工業株式会社製 ラミックSR Rメジウム)を塗布・乾燥(乾燥塗布量0.1g/m)した後、ウレタン系樹脂処理面に、表2にある配合の黄インキ処理剤をグラビアロールコータ処理(乾燥塗布量3.0g/m)し、熱風乾燥した。次に黄インキ処理面に粘着剤(天然ゴム/ポリテルペン樹脂/石油系樹脂/老化防止剤=100/35/35/1重量比)のヘキサン溶液をコンマコータで乾燥後の厚さが15μmになるように塗工し、熱風乾燥し長さ50mのロール状に巻き取り、丸刃型コアカッターで18mm幅に裁断して、印刷セロハンテープを作製した。
【表2】
【0034】
[透明インキ]
透明セロハン(坪量50g/m)の片面に、グラビアロールコータで均一に剥離剤(ポリビニルアルコールのオクタデシルイソシアネート付加物)を塗布・乾燥し、他面にウレタン系樹脂処理液(大日精化工業株式会社製 ラミックSR Rメジウム)を塗布・乾燥(乾燥塗布量0.1g/m)した後、ウレタン系樹脂処理面に、CTSインキ(昭和インキ工業株式会社)を印刷、更に、表3にある配合の透明インキ処理剤をグラビアロールコータ処理(乾燥塗布量1.0g/m)し、熱風乾燥した。次に透明インキ処理面に粘着剤(天然ゴム/ポリテルペン樹脂/石油系樹脂/老化防止剤=100/35/35/1重量比)のヘキサン溶液をコンマコータで乾燥後の厚さが15μmになるように塗工し、熱風乾燥し長さ50mのロール状に巻き取り、丸刃型コアカッターで18mm幅に裁断して、印刷セロハンテープを作製した。
【表3】
【0035】
≪2.評価方法≫
以下、上記製造例で製造した印刷セロハンテープの評価項目と評価方法を説明する。尚、処理液の粘度の測定方法も併せて記載する。
【0036】
[粘度の測定方法]
ザーンカップ法で測定。No.3、25℃での流出秒数である。
【0037】
[印刷状態の評価方法]
白印刷処理液乾燥後の状態を目視にて観察し、○(良い)、△(まずまず良い)、×(シワや色むらがあり、悪い)の三段階で判定した。
【0038】
[投錨性の評価方法]
まず、ニチバン株式会社製「電気テープNo.13セパ付」と投錨力測定試験片の粘着面どうしを貼り合わせ、次に試験片を上側にして、傷つけないように十分に圧着した後に測定する。電気テープNo.13と試験片の端部を引張試験機のチャック部に固定する。毎分300mm/minの速度で試験片と電気テープNo.13とが180度方向となる様に引き剥がし、100mm間隔引き剥がすまで途中5点での荷重(平均値を求めた)と剥離した状態を記録する。得られた値と剥離した状態を総合的に判断し、投錨性がとてもよい「○」、投錨性がよい「△」、投錨性が悪い「×」の3段階評価を行う。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によれば、塗工作業時に引火等の危険性が低く、美麗で、セロハンへのゴム系粘着剤の投錨性が良好な印刷セロハンテープを提供することができるので、産業上の利用可能性が高い。