特許第6832236号(P6832236)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6832236
(24)【登録日】2021年2月3日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】設計支援システムおよび設計支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/20 20180101AFI20210215BHJP
【FI】
   G06F8/20
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-100972(P2017-100972)
(22)【出願日】2017年5月22日
(65)【公開番号】特開2018-195257(P2018-195257A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233538
【氏名又は名称】株式会社日立ソリューションズ東日本
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高梨 勝敏
(72)【発明者】
【氏名】塚原 朋哉
【審査官】 坂庭 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−147152(JP,A)
【文献】 特開平06−214768(JP,A)
【文献】 特開2008−083912(JP,A)
【文献】 特開平09−212353(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0259987(US,A1)
【文献】 特開2004−220459(JP,A)
【文献】 特開平07−271569(JP,A)
【文献】 特開平07−064780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
業務クライアント端末と、設計書を管理する設計書管理サーバと、設計書の要素を管理する要素管理サーバと、を有する設計支援システムであって、
前記業務クライアント端末は、
要求仕様書ファイルと設計書ファイルとを構成する各要素を抽出して前記要素管理サーバが管理する要素データベース内に格納し、
前記要素管理サーバは、前記要素データベース内に格納された要素のうち、設計作業において同時出現する要素の組を取得し、前記要素の組を要素間対応データベースに格納し、
前記業務クライアント端末の要求に応じて、前記要素管理サーバは、設計作業に対応した要素の集合を前記要素間対応データベースから検索し、対応関係にある要素の組、要素のネットワーク構造のうち少なくともいずれか一方を前記業務クライアント端末の画面に表示することを特徴とする設計支援システム。
【請求項2】
前記要素管理サーバは、
前記対応関係にある要素の組、前記要素のネットワーク構造の出現頻度を業務クライアント端末の画面に表示する請求項1に記載の設計支援システム。
【請求項3】
前記同時出現と見なす範囲を変更して任意の範囲とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の設計支援システム。
【請求項4】
新たに用いた要素の対応関係及び出現頻度を、前記要素間対応データベースに格納する
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の設計支援システム。
【請求項5】
業務クライアント端末と、設計書を管理する設計書管理サーバと、設計書の要素を管理する要素管理サーバと、を有する設計支援システムにおける設計支援方法であって、
前記業務クライアント端末は、
要求仕様書ファイルと設計書ファイルとを構成する各要素を抽出して前記要素管理サーバが管理する要素データベース内に格納し、
前記要素管理サーバは、前記要素データベース内に格納された要素のうち、設計作業において同時出現する要素の組を取得し、前記要素の組を要素間対応データベースに格納し、
前記業務クライアント端末の要求に応じて、前記要素管理サーバは、設計作業に対応した要素の集合を前記要素間対応データベースから検索し、対応関係にある要素の組、要素のネットワーク構造のうち少なくともいずれか一方を前記業務クライアント端末の画面に表示することを特徴とする設計支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計支援技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プログラム等の設計作業を支援するシステムが提案されている。例えば、特許文献1に記載の設計書データ作成支援プログラム,設計書データ作成支援方法および情報処理装置では、第一の設計書の項目と複数の設計書の項目が一致しない場合に、後者を前者で修正することにより、設計書間の整合性を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−222414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
要求仕様書を入力としてフローチャートやソースコード等を作成する設計作業では、要求者と設計者の解釈の違いから、要求仕様書での要求と設計書でのロジックのずれが生じる場合がある。また、複数の設計者が設計作業を行う場合、設計者によって異なるロジックで設計したり、ロジックが不足していたり、不要なロジックを加えたりする場合がある。
【0005】
このような整合性のない設計作業の結果、作成したプログラムが要求仕様に合わないものになるという問題がある。また、設計後にプログラムに不具合が生じそれを修正する場合や性能向上を図るための再設計を行う場合、類似箇所や修正の影響範囲等の見直し作業が難しくなるという問題や修正が不十分になったり、修正前の機能に不具合(デグレード)が発生したりする問題がある。
【0006】
本発明は、設計作業のゆれの発生を防止する支援を行うことを目的とする。また、異なる設計者や異なる時期における設計作業の整合性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点によれば、業務クライアント端末と、設計書を管理する設計書管理サーバと、設計書の要素を管理する要素管理サーバと、を有する設計支援システムであって、前記業務クライアント端末は、要求仕様書ファイルと設計書ファイルとを構成する各要素を抽出して前記要素管理サーバが管理する要素データベース内に格納し、前記要素管理サーバは、前記要素データベース内に格納された要素のうち、要求仕様書内又は設計書内の文、段落、ソフトウェアの処理単位、関数、モジュールにおいて同時出現する要素の組、または要求仕様書と設計書の対応箇所で同時出現する要素の組を取得し、前記要素の組を要素間対応データベースに格納し、前記業務クライアント端末の要求に応じて、前記要素管理サーバは、設計作業に対応した要素の集合を前記要素間対応データベースから検索し、対応関係にある要素の組、要素のネットワーク構造のうち少なくともいずれか一方を前記業務クライアント端末の画面に表示することを特徴とする設計支援システムが提供される。取得する要素は、記述されている文そのものでなく、表記を統一し数式で表現した、条件分岐やループなどのロジックであることが望ましい。
【0008】
提示の仕方は、例えば、要素同士を線で結んで画面に表示する方法が好ましい。
【0009】
前記要素管理サーバは、前記対応関係にある要素の組、前記要素のネットワーク構造の出現頻度を業務クライアント端末の画面に表示することが好ましい。
【0010】
前記同時出現と見なす範囲を変更して任意の範囲とすることを特徴とする。
【0011】
前記要素管理サーバは、前記業務クライアント端末に対して同一の要素を多く含む過去の類似する設計作業、他者の類似する設計作業を提示することを特徴とする。
【0012】
新たに用いた要素の対応関係及び出現頻度を、前記要素間対応データベースに格納することを特徴とする。
【0013】
本発明の他の観点によれば、業務クライアント端末と、設計書を管理する設計書管理サーバと、設計書の要素を管理する要素管理サーバと、を有する設計支援システムにおける設計支援方法であって、前記業務クライアント端末は、要求仕様書ファイルと設計書ファイルとを構成する各要素を抽出して前記要素管理サーバが管理する要素データベース内に格納し、前記要素管理サーバは、前記要素データベース内に格納された要素のうち、設計作業において同時出現する要素の組を取得し、前記要素の組を要素間対応データベースに格納し、前記業務クライアント端末の要求に応じて、前記要素管理サーバは、設計作業に対応した要素の集合を前記要素間対応データベースから検索し、対応関係にある要素の組、要素のネットワーク構造のうち少なくともいずれか一方を前記業務クライアント端末の画面に表示することを特徴とする設計支援方法が提供される。
【0014】
本発明は、上記設計支援方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであっても良く、当該プログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であっても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、設計作業のゆれの発生を防止することができる。また設計作業の整合性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施の形態による設計支援システムの一構成例を示す機能ブロック図である。
図2A】設計書・要求仕様書データベース内に設計書(フローチャートなど)を登録する設計書登録処理の流れの一例を示すフローチャート図である。
図2B】設計書・要求仕様書データベース内に要求仕様書を登録する要求仕様書登録処理の流れの一例を示すフローチャート図である。
図3】要素間の関係抽出処理の流れを示すフローチャート図である。
図4】設計者が設計したフローチャートの整合性チェック処理の流れの一例を示すフローチャート図である。
図5A】要求仕様書をベースとした整合性チェック処理の流れの一例を示す図である。
図5B】(a)はフローチャートをベースとした整合性チェック処理の流れの一例を示すフローチャート図であり、(b)は、フローチャートのデータのファイルに格納されているデータの一例を示す図である。
図6】要素の対応関係を示し、同時に出現することの多い要素間を線で結んだ図である。
図7】要素の対応関係に基づいて修正した図5Bのフローチャートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の一実施の形態による設計支援システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態による設計支援システムの一構成例を示す機能ブロック図である。図1に示すように、設計支援システムAは、例えば、パーソナルコンピュータなどの業務クライアント端末1と、業務クライアント端末1とそれぞれネットワーク接続される、設計書管理サーバ3と要素管理サーバ5とを有する。
【0019】
業務クライアント端末1は、例えば、一般的なパーソナルコンピュータ(PC)やスマートフォンなどであり、設計作業の整合性をチェックする整合性チェック処理部1−1を有する。
【0020】
尚、業務クライアント端末1の利用者は、設計者、設計作業の発注者および発注・設計業務を管理・チェックする者である。
【0021】
設計書管理サーバ3は、設計書、例えば、設計書や要求仕様書を格納する設計書・要求仕様書データベース11と関連付けされている。設計書・要求仕様書データベース11には、例えば、設計の依頼者が作成した設計処理の概要等を記載した設計依頼書等の要求仕様書と、要求仕様書に基づいて実際の設計者が作成したフローチャートやソースコードなどの実際の設計書と、が格納されている。
【0022】
要素管理サーバ5は、要求仕様書と設計書とのそれぞれの処理の要素(以下、「要素」と称する。「処理単位」、「処理要素」と呼んでも良い。)を格納する要素データベース15と、要求仕様書と設計書とのそれぞれの要素間の対応関係を格納する要素間対応データベース17とに関連付けされている。設計書管理サーバ3及び要素管理サーバ5には、処理部3a、5aがそれぞれ設けられている。
【0023】
尚、図1の構成は例示であり、例えば、全ての構成を、業務クライアント端末1内に設けても良い。
【0024】
図2Aは、設計書・要求仕様書データベース11内に設計書(フローチャートなど)を登録する設計書登録処理の流れの一例を示すフローチャート図である。
【0025】
処理が開始されると(Start)、業務クライアント端末1の要求に応じて、設計書管理サーバ3の処理部3aは、ステップS1において、例えば、設計者が作成した設計書(フローチャートA)を設計書・要求仕様書データベース11から取得し、業務クライアント端末1に送る。
【0026】
ステップS2において、業務クライアント端末1の整合性チェック処理部1−1は、フローチャートAを構成する各要素、例えば、「通常の処理」、「分岐処理」、「ループ処理」などに要素分解して要素を抽出する。
【0027】
ステップS3において、業務クライアント端末1は、ステップS2で抽出した各要素を、要素管理サーバ5に送る。要素管理サーバ5の処理部5aは、要素データベース15内にフローチャートのID(例えば、「A」)と対応付けて、抽出された各要素を格納する。
【0028】
上記の処理(S2−S3)を、処理が終了するまで(ステップS4でNo)継続する。処理が終了すると(ステップS4でYes)、設計書登録処理を終了する。
【0029】
要素とは、例えば、図2Aに示すフローチャートであれば、Start、ステップS1、ステップS2,ステップS3のそれぞれの処理、ステップS4の条件文、ステップS4からステップS2に至るループ処理、Endなどを含む。
【0030】
図2Bは、設計書・要求仕様書データベース11内に要求仕様書を登録する要求仕様書登録処理の流れの一例を示すフローチャート図である。
【0031】
処理が開始されると(Start)、業務クライアント端末1の要求に応じて、設計書管理サーバ3の処理部3aは、ステップS1aにおいて、例えば、設計作業の発注者が作成した1個の要求仕様書(要求仕様書B)を設計書・要求仕様書データベース11から取得し、業務クライアント端末1に送る。
【0032】
実際には、設計書・要求仕様書に基づいてフローチャート等が設計されるのが一般的な作業の流れである。
【0033】
ステップS2aにおいて、業務クライアント端末1の整合性チェック処理部1−1は、要求仕様書Bを構成する各要素、例えば、「通常の処理」、「イフ文による条件処理」、「繰り返し処理」などに分解して要素を抽出する。
【0034】
例えば図2Aのフローチャートを要素分解の対象例とする。また図2Aのフローチャートに対応する要求仕様書は、例えば以下の通りである。
処理1)処理開始
処理2)設計者が作成した1個の設計書(フローチャートA)を設計書・要求仕様書データベース11から取得し、業務クライアント端末1に送る。
処理3)業務クライアント端末1の整合性チェック処理部1−1は、フローチャートAを構成する各要素、例えば、「通常の処理」、「分岐処理」、「ループ処理」などに要素分解して要素を抽出する。
処理4)上記の処理(2−3)を、処理が終了するまで(ステップS4でNo)継続する。
処理5)処理が終了すると(ステップS4でYes)、設計書登録処理を終了する。
【0035】
このように、要求仕様書の各要素は、例えば、処理1)、処理2)、処理3)、処理4)、処理5)である。
【0036】
尚、処理4)に関しては、処理が終了するかどうかを判定する処理と、処理が終了するまで上記の処理(2−3)を行う処理とを抽出することもできる。
【0037】
ステップS3aにおいて、業務クライアント端末1は、ステップS2aで抽出した各要素を、要素管理サーバ5に送る。要素管理サーバ5の処理部5aは、要素データベース15内に要求仕様書のID(例えば、B)と対応付けて、抽出された各要素を格納する。
【0038】
上記の処理(S2a−S3a)を、処理が終了するまで(ステップS4aでNo)継続する。処理が終了すると(ステップS4aでYes)、要求仕様書登録処理を終了する。
【0039】
図3は、要素間の関係抽出処理の流れを示すフローチャート図である。要素データベース15内に保存されている各要素をループする。
【0040】
処理が開始されると(Start)、要素データベース15内に保存されている各要素について、以下の処理を行う。
【0041】
まず、ステップS11において、要素管理サーバ5の処理部5aは、同時出現する要素の組を取得する。同時出現する要素の組とは、例えば、要求仕様書と要求仕様書に基づくフローチャートの作成作業とにおいて同時出現するという意味で有り、同様の処理の要素と見なせる対応関係にある要素などである。また、同時出現する要素の組には、例示的であるが、要求仕様書内又は設計書内の文、段落、ソフトウェアの処理単位、関数、複数の関数を一つの部品にまとめたモジュールにおいて同時出現する要素の組が存在する。
【0042】
次いで、ステップS12において、1個の要素の組を要素間対応データベース17に保存する。
【0043】
上記の処理(S11−S12)を、処理が終了するまで(ステップS13でNo)継続する。処理が終了すると(ステップS13でYes)、全データでの関係抽出処理を終了する。
【0044】
図4は、設計者が設計したフローチャートの整合性チェック処理の流れの一例を示すフローチャート図である。設計者が作成したフローチャートとその基になる要求仕様書について整合性をチェックする。
【0045】
処理が開始されると(Start)、ステップS21において、業務クライアント端末1の要求に応じて、設計者が設計中のフローチャートのチェック処理を開始する。
【0046】
ステップS22において、設計中のフローチャートに対応した要素の集合(ステップS3,S3aで保存したもの)を要素データベース15において検索、抽出する。ステップS23において、要素管理サーバ5の処理部5aは、1個の設計作業に対応した要素の組(集合)(ステップS12で保存したもの)を要素間対応データベース17から検索する。
【0047】
ステップS24において、要素の組、要素のネットワーク構造および出現頻度を業務クライアント端末1に提示する。提示方法としては、処理の要素のネットワーク構造等をクライアント端末の画面に表示するようにすれば良い。
【0048】
ステップS25において、処理が終了しない場合には(No)、ステップS21に戻る。処理が終了すると(Yes)、整合性チェック処理を終了する。
【0049】
例えば、設計者が新しい設計作業をしたとき、同一の要素を多く含む過去の類似するフローチャート、他者の類似するフローチャートを提示するようにすると良い。
【0050】
さらに、要求仕様書と設計書の対応関係を提示するとよい。
【0051】
まず、要求仕様書の要素(通常の処理、分岐処理、ループ処理など)で関連性が高い要素同士を線で結ぶ。このとき、要素を処理順に並べると関連と処理順がわかるので便利である。
【0052】
次に、フローチャートの要素で関連性が高い要素同士も処理順に線で結ぶ。
【0053】
最後に、要求仕様書の要素とフローチャートの要素で関連性が高い要素同士を線で結ぶ。
【0054】
以上の処理に基づいて、線で結んだ要素集合を表示画面に表示する。
【0055】
さらに、同時出現する頻度も算出し利用者に提示するようにすると、線で結ばれた要素間の関連性の強さもわかる。
【0056】
これにより、要求仕様書を見ながらフローチャートを作成する設計作業の支援を受けることができるため設計作業を正確に行うことができる。また、設計作業のゆれの発生を防止することができる。
【0057】
以下において、設計支援処理の内容をより具体的な例について説明する。
【0058】
[実施例1]
図5Aから図7までは、本実施例1による処理の概要を示す具体例である。
例えば、要求仕様書の記述が、図5A(a)に示すように、以下の通りであったとする。
「画面初期化処理では以下を処理する。」
「データクリア、データベース接続、データ取得、画面表示」
【0059】
一方、図5A(b)に示すように、過去の設計作業において、以下のような例があったとする。
(a)「画面初期化」に関する現在の設計以前の設計書から「サブ画面から遷移した場合」について以下の提示がなされる。
提示例:「1)サブ画面から遷移、2)データクリア、3)サブ画面からデータ取得、4)画面表示」
【0060】
図5B(a)は、整合性チェック処理の流れの一例を示すフローチャートの画面表示の一例を示す図である。図5B(b)はフローチャートの属性情報に格納されているデータの一例を示す図である。属性情報には、画面に表示されない内部形式が格納されている。文書作成用のソフトウェアでフローチャートを作成すると、当該属性情報がテキスト形式でファイルに格納される場合もある。文書作成ソフトウェアがフローチャートをテキスト形式でファイルに保存していない場合は、画面表示されているフローチャート図などを図5B(b)のようなデータに変換するために、既存の公知技術である図形認識技術や文字認識技術を用いれば良い。
【0061】
尚、図2BのステップS2aでは図5B(a)ではなく図5B(b)を処理対象とすることもできる。従って、図形認識処理をする必要がなく、図5Aと同様にテキストを解析して要素を抽出することができる。
・start
処理1)データクリア
処理2)データベース接続
処理3)データ取得
処理4)データを画面表示
・end
【0062】
図6は、要素間対応データベース17に格納される要素間の関係に基づいて設計者に提示される画面表示の一例を示す図である。
【0063】
図6に示すように、データクリア、データベース接続、データ取得、データを画面表示という一連の処理において、「1)サブ画面から遷移、2)データクリア、3)サブ画面からデータ取得、4)画面表示」が関連性の高い要素として要素間対応データベース17から抽出され、図6のように処理要素間が線で結ばれた画面が表示される。
【0064】
設計者は、図6に示す要素間の関係を参照することで、図5Bに示すような未完成のフローチャートを図7に示すようなフローチャート図として完成することができる。
【0065】
図7に示すように、まず処理が開始され(Start)、ステップS31においてデータクリアされる。ステップS32において、サブ画面から遷移された場合の条件文を、図6に示す関係図に基づいてステップS32に当てはめることができる。
【0066】
そして、ステップS32の判定結果がYesの場合とNoの場合とで、図6の要素間の関係に基づいて、Yesの場合には、ステップS36に進み、サブ画面からデータを取得し、ステップS35に進み、データを画面表示する。
【0067】
一方、ステップS32でNoの場合、すなわち、サブ画面から遷移したのでなければ、図6の関係図を参照して、ステップS33に進み、データベース接続を行い、ステップS34において、データベースからデータを取得する。次いで、ステップS35において、データを画面表示し、処理を終了する(End)。このように、図5Aに示すような要求仕様書に合った整合性のあるフローチャートを作成することができる。
【0068】
以上のように、業務クライアント端末1の利用者は、正しい設計作業の支援を受けることができる。また、業務クライアント端末1の利用者は、過去の作業・同種作業と整合性があるように設計作業を修正できる。複数の設計者の作業においても整合性を良くすることができる。
【0069】
尚、同時出現と見なす範囲は、任意の範囲を用いていれば良い。例えば、作業の範囲は、設計作業では、1つの処理単位、1つの条件処理単位、複数の連続処理単位などを用いることもできる。異なるいくつかの範囲で同時出現する場合には、より高い頻度を付与するようにすると良い。また、要求仕様書や過去の設計書に存在しなかった要素も、対応関係及び出現頻度を、前記要素間対応データベースに格納するようにすると良い。
【0070】
本実施の形態によれば、設計・開発作業において、以下のような効果を得ることができる。
1)設計、実装の各工程間で仕様がより正確に伝わる。
2)顧客要件(要求仕様書)から基本設計書(フローチャートなど)を書きやすい。
3)基本設計書から詳細設計書(機械言語)を書きやすい。
4)詳細設計書から、フローチャート等に間違いがないかどうかを確認するためのチェックリストを作成しやすい。
5)詳細設計書とチェックリストとから実装のための指示書を書きやすい。
【0071】
画面単位・機能単位に開発を分担しても、各開発者に共通仕様が伝わりやすい。従って、個人毎のゆれがより少ない均質の設計ができる。また、個人毎のゆれがより少ない,均質の開発の実施を支援できる。
【0072】
処理および制御は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)によるソフトウェア処理、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)によるハードウェア処理によって実現することができる。
【0073】
また、上記の実施の形態において、添付図面に図示されている構成等については、これらに限定されるものではなく、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0074】
また、本発明の各構成要素は、任意に取捨選択することができ、取捨選択した構成を具備する発明も本発明に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、設計支援システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0076】
A…設計支援システム、1…業務クライアント端末、3…設計書管理サーバ、3a、5a…処理部、5…要素管理サーバ、11…設計書・要求仕様書データベース、15…要素データベース、17…要素間対応データベース。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7