特許第6832301号(P6832301)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6832301
(24)【登録日】2021年2月3日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】タンブルシート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/30 20060101AFI20210215BHJP
【FI】
   B60N2/30
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-10308(P2018-10308)
(22)【出願日】2018年1月25日
(65)【公開番号】特開2019-127168(P2019-127168A)
(43)【公開日】2019年8月1日
【審査請求日】2020年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】590001164
【氏名又は名称】シロキ工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神野 匡史
(72)【発明者】
【氏名】熊本 致知
(72)【発明者】
【氏名】迫田 享大
【審査官】 井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2005−0042853(KR,A)
【文献】 特開2005−053242(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0049925(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102014209167(DE,A1)
【文献】 特表2017−503718(JP,A)
【文献】 実開平06−018060(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 − B60N 2/90
A47C 7/56 − A47C 7/60
F16C 11/00 − F16C 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートのシートクッションとフロアとの間に設けられたヒンジ機構により、前記フロアに対して、前記シートが着座位置と跳ね上げ位置との間で回転可能に設けられたタンブルシートであって、
前記ヒンジ機構は、
前記シートの下面に設けられ、フロア方向に立設され、対向する一対の第1側壁部を有するアッパタンブルと、
前記フロアに設けられ、シート方向に立設され、対向する一対の第2側壁部を有するロアタンブルと、
前記第1側壁部に形成された第1穴に嵌合する第1ブッシュと、
前記第2側壁部に形成された第2穴に嵌合する第2ブッシュと、
前記第1ブッシュ、前記第2ブッシュを挿通し、前記ロアタンブルと前記アッパタンブルとを回転可能に連結するシャフトと、
該シャフトの一端側に取り付けられ、前記アッパタンブルの回転速度を減速させるロータリダンパと、
を有し、
前記一対の第2側壁部の少なくとも一方に、前記シャフトに係合し、前記シャフトの回転を禁止する回転止め部材を取り付けた
ことを特徴とするタンブルシート。
【請求項2】
前記回転止め部材は、前記シャフトの他端と係合していることを特徴とする請求項1記載のタンブルシート。
【請求項3】
前記回転止め部材は、前記ロアタンブルの第2側壁部の外部に露出した面に設けられることを特徴とする請求項1または2記載のタンブルシート。
【請求項4】
前記回転止め部材は、
前記シャフトと係合する係合部と、
該係合部から径方向に延びる第1アーム部と、
該第1アーム部と異なる方向で前記係合部から径方向に延びる第2アーム部と、
を有し、
前記回転止め部材は、前記第1アーム部と前記第2アーム部とによって前記第2側壁部に取り付けられる
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のタンブルシート。
【請求項5】
前記ロアタンブルの前記第2穴に嵌合した前記ブッシュの端面と、前記回転止め部材との間には、隙間が設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のタンブルシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートのシートクッションとフロアとの間に設けられたヒンジ機構により、前記フロアに対して、前記シートが着座位置と跳ね上げ位置との間で回転可能に設けられたタンブルシートに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなタンブルシートの一例を図を用いて説明する。図3に示すように、シートSは、着座者の臀部を支持するシートクッションSCと着座者の背部を支持するシートバックSBとからなっている。
シートクッションSCの下面の前部には、シートSをフロアFに対して回転可能とするヒンジ機構1が設けられている。シートクッションSCの下面の後部には、フロアFのストライカ等の部材に係脱可能なロック機構Lが設けられ、ロック機構Lがフロアのストライカに係合することにより、着座位置にあるシートSの移動を禁止している。
【0003】
図4に示すように、ヒンジ機構1はシートクッションSCの下面に設けられた第1基部2a及びフロアF方向に立設された一対の第1側壁部2bを有するアッパタンブル2と、フロアFに設けられた第2基部3a及びシートS方向に立設され第1側壁部2bと対向する一対の第2側壁部3bを有するロアタンブル3と、第1側壁部2b、第2側壁部3bを挿通し、アッパタンブル2、ロアタンブル3を回転可能に連結するシャフト4とを有している。
【0004】
シャフト4は、一方の端(図においては左端)から、周面におねじが刻設された第1ねじ部4aと、第1ねじ部4aに連設され、第1ねじ部4aより大きな径で、断面形状が小判形(非円形)の小判部4bと、小判部4bより大きな径で、断面形状が円形の円形部4cと、円形部4cに連設され、断面形状が略矩形(非円形)の矩形部4dと、矩形部4dに連設され、周面におねじが形成された第2ねじ部4eとからなっている。
【0005】
シャフト4の小判部4bの周面を空間を介して覆うように円筒形のスリーブ5が設けられる。
トーションスプリング6の中間部6aはスリーブ5に巻回されている。トーションスプリング6の一方の端部側の第1脚部6bはアッパタンブル2の第1基部2aに押接し、他方の端部側の第2脚部6cは、ロアタンブル3の第2基部3aに押接している。このトーションスプリング6は、シートクッションSCが着座位置(図3の実線位置)では、アッパタンブル2の第1基部2aを押して、シートクッションSCを跳ね上げ位置方向(図3の実線位置から二点鎖線位置方向)へ付勢している。
【0006】
ロアタンブル3の一対の第2側壁部3b、アッパタンブル2の一対の第1側壁部2bには、シャフト4の小判部4bが挿通する穴3c、穴2cがそれぞれ形成されている。そして、穴3cはシャフト4の小判部4bの断面形状より若干大きな小判形で、シャフト4の回転禁止する形状である。また、穴2cはシャフト4の小判部4bが回転可能な円形である。
【0007】
更に、ロアタンブル3の第2側壁部3bの穴3cの周囲には、アッパタンブル2の第1側壁部2bに線当たりするビード3dが形成されている。
アッパタンブル2の穴2cには、穴2cの内側(一対の第1側壁部2b間の空間)から軟質材でなるブッシュ7が嵌合している。また、ロアタンブル3の穴3cには、穴3cの内側(一対の第2側壁部3b間の空間)から軟質材でなるブッシュ8が嵌合している。
【0008】
シャフト4の他方の端部に位置する円形部4cと矩形部4dは、ロータリダンパ9を挿通している。ロータリダンパ9は、固定部であるステータ9aとステータ9aに対して回転可能なロータ9bとからなり、回転運動を行うロータ9bにブレーキをかけ、回転を減速させる装置である。構造としては、回転面同士の摩擦によって回転数を落とす方式や、オイルの抵抗によってブレーキをかける方式があるが限定するものではない。
【0009】
固定部であるステータ9aにはシャフト4の矩形部4dが嵌合し、回転部であるロータ9bにはシャフト4の円形部4cが嵌合している。更に、ロータ9bにはアーム部9cが設けられ、アーム部9cの回転端部に形成された突部9dは、アッパタンブル2の第1側壁部2bに設けられた有底円筒状のピン10の天面に形成された開口10aに嵌合している。
【0010】
よって、ロータリダンパ9は、トーションスプリング6により跳ね上げ方向に付勢されるシートクッションSCの跳ね上げ速度を低下させている。
ロアタンブル3の穴3cを挿通したシャフト4の一方の端部側の第1ねじ部4aには、ナット11が螺合している。ロータリダンパ9を挿通したシャフト4の他方の端部側の第2ねじ部4eにも、ナット11が螺合している(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第4904569号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、このようなタンブルシートの、特にロアタンブル3に設けられる小判形の穴3cにおいては、シャフト4の小判部4bの部品のバラツキの考慮と、ロアタンブル3が複数のプレス加工(せん断加工、曲げ加工、ビード3dの成形等)をして製造される関係上、小判部4bに対して大きなクリアランスを持った穴となってしまう。
【0012】
よって、このクリアランスを原因とした、穴3cの内壁面と、小判部4bの周面との金属接触による大きな異音の発生を防止するために、穴3cにブッシュ8を嵌合させているが、ブッシュ8にはシャフト4の回転を禁止するための荷重も加わるため、小判部4bの周面に形成される軸方向に伸びるエッジにより、ブッシュ8が切れやすいという問題点があった。
【0013】
本発明は、異音防止とブッシュの製品安定性を両立したタンブルシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映したタンブルシートは、
シートのシートクッションとフロアとの間に設けられたヒンジ機構により、前記フロアに対して、前記シートが着座位置と跳ね上げ位置との間で回転可能に設けられたタンブルシートであって、
前記ヒンジ機構は、
前記シートの下面に設けられ、フロア方向に立設され、対向する一対の第1側壁部を有するアッパタンブルと、
前記フロアに設けられ、シート方向に立設され、対向する一対の第2側壁部を有するロアタンブルと、
前記第1側壁部に形成された第1穴に嵌合する第1ブッシュと、
前記第2側壁部に形成された第2穴に嵌合する第2ブッシュと、
前記第1ブッシュ、前記第2ブッシュを挿通し、前記ロアタンブルと前記アッパタンブルとを回転可能に連結するシャフトと、
該シャフトの一端側に取り付けられ、前記アッパタンブルの回転速度を減速させるロータリダンパと、
を有し、
前記一対の第2側壁部の少なくとも一方に、前記シャフトに係合し、前記シャフトの回転を禁止する回転止め部材を取り付けた
ことを特徴とする。
【0015】
本発明の他の特徴は、以下に述べる発明を実施するための形態並びに添付の図面から一層明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0016】
本発明のタンブルシートによれば、
前記ヒンジ機構は、
前記シートの下面に設けられ、フロア方向に立設され、対向する一対の第1側壁部を有するアッパタンブルと、
前記フロアに設けられ、シート方向に立設され、対向する一対の第2側壁部を有するロアタンブルと、
前記第1側壁部に形成された第1穴に嵌合する第1ブッシュと、
前記第2側壁部に形成された第2穴に嵌合する第2ブッシュと、
前記第1ブッシュ、前記第2ブッシュを挿通し、前記ロアタンブルと前記アッパタンブルとを回転可能に連結するシャフトと、
該シャフトの一端側に取り付けられ、前記アッパタンブルの回転速度を減速させるロータリダンパと、
を有し、
前記一対の第2側壁部の少なくとも一方に、前記シャフトに係合し、前記シャフトの回転を禁止する回転止め部材を取り付けた
ことにより、ロアタンブルの第2穴を非円形にして、シャフトの回転を禁止する必要がなくなる。
【0017】
よって、第2穴の形状と、シャフトの第2穴の内壁面と対向する部分の断面形状を円形とすることができ、第2穴に嵌合するブッシュがシャフトの断面非円形部分の周面に形成されたエッジで切れることがなくなるため、異音防止とブッシュの製品安定性を両立できる。
【0018】
本発明の他の効果は、以下に述べる発明を実施するための形態並びに添付の図面から一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態のタンブルシートのヒンジ機構の分解斜視図である。
図2図1を組み立てた際の矢視II方向から見たヒンジピンの軸を通る垂直断面図である。
図3】タンブルシートの全体構成を説明する図である。
図4図3のヒンジ機構の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面を用いて実施形態を説明する。
本実施形態のタンブルシートの全体構成は図3に示すタンブルシートと同じで、相違点はヒンジ機構である。よって本実施形態では、ヒンジ機構を説明し、タンブルシートの全体構成の説明は省略する。
【0021】
図1は本実施形態のタンブルシートのヒンジ機構の分解斜視図、図2図1を組み立てた際の矢視II方向から見たヒンジピンの軸を通る垂直断面図である。
図1に示すように、ヒンジ機構51はシートクッションSCの下面に設けられた第1基部52a及びフロアF方向に立設された一対の第1側壁部52b、第1’側壁部52cを有するアッパタンブル52と、フロアFに設けられた第2基部53a及びシートS方向に立設され第1側壁部52bと対向する第2側壁部53b、第1’側壁部52cと対向する第2’側壁部53cを有するロアタンブル53と、第1側壁部52b、第1’側壁部52c、第2側壁部53b、第2’側壁部53cを挿通し、アッパタンブル52、ロアタンブル53を回転可能に連結するシャフト54とを有している。
【0022】
シャフト54は、一方の端(図1においては左端)から、周面におねじが刻設された第1ねじ部54aと、第1ねじ部54aに連設され、第1ねじ部54aより大きな径で断面形状が小判形(非円形)の小判形部54fと、小判径部54fに連設され、断面形状が円形の第1円形部54bと、第1円形部54bより大きな径で、断面形状が円形の第2円形部54cと、第2円形部54cに連設され、断面形状が略矩形(非円形)の矩形部54dと、矩形部54dに連設され、周面におねじが形成された第2ねじ部54eとからなっている。
【0023】
シャフト54の第1円形部54bの周面を空間を介して覆うように円筒形のスリーブ55が設けられる。
トーションスプリング56の中間部56aはスリーブ55に巻回されている。トーションスプリング56の一方の端部側の第1脚部56bはアッパタンブル52の第1基部52aに押接し、他方の端部側の第2脚部56cは、ロアタンブル53の第2基部53aに押接している。このトーションスプリング56は、シートクッションSCが着座位置(図3の実線位置)では、アッパタンブル52の第1基部52aを押して、シートクッションSCを跳ね上げ位置方向(図3の実線位置から二点鎖線位置方向)へ付勢している。
【0024】
アッパタンブル52の一対の第1側壁部52b、第1’側壁部52cには、シャフト54の第1円形部54bが挿通する円形の第1穴52d、第1’穴52e(図2参照、図1には図示されていない)がそれぞれ形成されている。
ロアタンブル53の一対の第2側壁部53b、第2’側壁部53cには、シャフト54の第1円形部54bが挿通する円形の第2穴53d、第2’穴53eがそれぞれ形成されている。
【0025】
本実施形態では、第2穴53d,第2’穴53eの周囲には、アッパタンブル52の第1側壁部52b、第1’側壁部52cに線当たりするビード53f、ビード53gが形成されている。
そして、第1穴52d、第1’穴52e、第2穴53d、第2’穴53eはシャフト54の第1円形部54bの断面形状より若干大きな径で、シャフト54の第1円形部54bが回転可能な円形である。
【0026】
アッパタンブル52の第1穴52d、第1’穴52eには、第1穴52d、第1’穴52eの内側(第1側壁部52b、第1’側壁部52c間の空間)から軟質材でなるブッシュ57が嵌合している。また、ロアタンブル53の第2穴53d、第2’穴53eには、第2穴53d,第2’穴53eの内側(第2側壁部53b、第2’側壁部53c間の空間)から軟質材でなるブッシュ58が嵌合している。
【0027】
シャフト54の他方の端部側に位置する第2円形部54cと矩形部54dは、ロータリダンパ59を挿通している。ロータリダンパ59は、固定部であるステータ59aとステータ59aに対して回転可能なロータ59bとからなり、回転運動を行うロータ59bにブレーキをかけ、回転を減速させる装置である。構造としては、回転面同士の摩擦によって回転数を落とす方式や、オイルの抵抗によってブレーキをかける方式等があるが限定するものではない。
【0028】
固定部であるステータ59aにはシャフト54の矩形部54dが嵌合し、回転部であるロータ59bにはシャフト54の第2円形部54cが嵌合している。更に、ロータ59bにはアーム部59cが設けられ、アーム部59cの回転端部に形成された突部59dは、アッパタンブル52の第1側壁部52bに設けられた有底円筒状のピン60の天面に形成された開口60aに嵌合している。
【0029】
よって、ロータリダンパ59は、トーションスプリング56により跳ね上げ方向に付勢されるシートクッションSCの跳ね上げ速度を低下させている。
ロアタンブル53の第2’側壁部53cの外部に露出した面には、シャフト54の回転を禁止する回転止め部材65が取り付けられている。
【0030】
この回転止め部材65は、平板(金属鋼板)をプレス加工して製造される。
また、回転止め部材65は、先端部がロアタンブル53の第2’側壁部53cに取り付けられる第1アーム部65aと第2アーム部65bとからなる略L字形である。
回転止め部材65の中央部には、シャフト54の小判径部54fが嵌合する小判穴65cが形成されている。シャフト54の小判径部54fと、ロアタンブル53に取り付けられた回転止め部材65の小判穴65cとの嵌合により、シャフト54の回転は禁止されている。
【0031】
また、第1アーム部65aには、ロアタンブル53の第2’側壁部53cに形成された穴53hに挿入し、回転止め部材65の位置決めを行う突部65dが形成されている。同様に、第2アーム部65bには、ロアタンブル53の第2’側壁部53cに形成された穴53iに挿入し、回転止め部材65の位置決めを行う突部65eが形成されている。
【0032】
そして、小判穴65cの周囲の平面H1は、ロアタンブル53の第2’側壁部53cに当接する第1アーム部65aの突部65dの周囲の平面H2、第2アーム部65bの突部65eの周囲の平面H3よりロアタンブル53の第2’側壁部53cから離反する方向に凹み、ロアタンブル53の第2’穴53eに嵌合したブッシュ57の端面と、回転止め部材65との間には、隙間が形成されている。
【0033】
回転止め部材65の小判穴65cを挿通したシャフト54の一方の端部側の第1ねじ部54aには、ナット61が螺合している。よって、ナット61により回転止め部材65がロアタンブル53から外れるのを防止している。ロータリダンパ59を挿通したシャフト54の他方の端部側の第2ねじ部54eには、ナット62が螺合している。
【0034】
上記構成によれば、以下のような効果が得られる。
(1) ロアタンブル53の第2’側壁部53cに、シャフト54に嵌合し、シャフト54の回転を禁止する回転止め部材65を取り付けたことにより、ロアタンブル53の穴53d、穴53eを非円形にして、シャフトの回転を禁止する必要がなくなる。
【0035】
よって、第2穴53d、第2’穴53eの形状と、シャフト54の第2穴53d、第2’穴53eの内壁面と対向する部分(第1円形部54bに相当する)の断面形状を円形とすることができ、第2穴53d、第2’穴53eに嵌合するブッシュ57がシャフト54の断面非円形部分の周面に形成されたエッジで切れることがなくなり、異音防止とブッシュの製品安定性を両立できる。
【0036】
(2) 回転止め部材65は、ロアタンブル53の第2’側壁部53cの外部に露出した面に取り付けられるので、組付けが容易である。
(3) 回転止め部材65は、第1アーム部65aと第2アーム部65bとからなる略L字形であるので、アーム部が1つの場合に比べ剛性が高く、変形しにくい。
【0037】
(4) 回転止め部材65は、平板(金属鋼板)をプレス加工して製造されるので、精度がよい。
(5) ロアタンブル53の第2’穴53eに嵌合したブッシュ57の端面と、回転止め部材65との間には、隙間が形成されているので、ブッシュ57の端面と回転止め部材とが摺接しないので、ブッシュ57が摩耗したり、破損したりしない。
【0038】
本発明は、上記実施形態に限定するものではない。上記実施形態では、回転止め部材65はロアタンブル53の第2’側壁部53cに設けたが、第2側壁部53bに設けても良いし、両方の側壁部に設けても良い。
また、回転止め部材65は、平板(金属鋼板)をプレス加工して製造したが、寸法精度がよい焼結金属で製造しても良い。
【0039】
更に、回転止め部材65は突部65dが穴53hに、突部65eが穴53iに挿入されることで、ロアタンブル53に取り付けられているが、溶接等によって取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0040】
51 ヒンジ機構
52 アッパタンブル
53 ロアタンブル
53b 第2側壁部
53c 第2’側壁部
54 シャフト
65 回転止め部材
図1
図2
図3
図4