特許第6832310号(P6832310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6832310前試験からの残留物質を使用してのサンプルの反射試験
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6832310
(24)【登録日】2021年2月3日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】前試験からの残留物質を使用してのサンプルの反射試験
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20210215BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20210215BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20210215BHJP
   C12Q 1/06 20060101ALI20210215BHJP
   C12Q 1/14 20060101ALI20210215BHJP
   C12N 15/31 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
   G01N35/00 E
   G01N35/02 C
   C12M1/34 C
   C12Q1/06
   C12Q1/14
   C12N15/31
【請求項の数】27
【外国語出願】
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2018-89439(P2018-89439)
(22)【出願日】2018年5月7日
(62)【分割の表示】特願2015-505731(P2015-505731)の分割
【原出願日】2013年3月13日
(65)【公開番号】特開2018-141805(P2018-141805A)
(43)【公開日】2018年9月13日
【審査請求日】2018年5月28日
(31)【優先権主張番号】61/624,198
(32)【優先日】2012年4月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ダルバート セリーヌ ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】クレイヤー ジョエル ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】スティール アダム ブルース
(72)【発明者】
【氏名】ロイ デニス
【審査官】 北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−054232(JP,A)
【文献】 特表2010−533490(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/036296(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/074265(WO,A1)
【文献】 特開2006−125868(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/116010(WO,A2)
【文献】 国際公開第2009/082747(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/039917(WO,A2)
【文献】 実開平02−141861(JP,U)
【文献】 特表2007−536500(JP,A)
【文献】 Goldmyer,J. et al.,Identification of Staphylococcus aureus and Determination of Methicillin Resistance Directly from Positive Blood Cultures by Isothermal Amplification and a Disposable Detection Device,J. Clinical Microbiology,2008年 4月,Vol.46 No.4,1534-1536
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N35/00〜35/10
G01N33/48−33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の段階を含むことを特徴とする、複数の試験標本の自動分析の実施方法:
a) 2種以上の標的分析物のために前記複数の試験標本由来の複数のサンプルを2以上のそれぞれの分析ワークフローに従って処理するように設定された自動機器を準備する段階;
b) 前記複数の試験標本を処理することにより、試験すべき単離された核酸を含む複数のサンプルを得る段階、ここで前記複数のサンプルの各々は、個々のサンプル容器に保持されている;
c) 試験すべき前記複数のサンプルの各々の第1アリコートを、前記個々のサンプル容器から、第1の標的分析物に関する第1増幅試験用の試薬を含む複数の第1容器の各々に自動的に移し、且つ前記複数のサンプルの各々の第2アリコートを前記個々のサンプル容器に残す段階、ここで、前記各サンプルについて、前記サンプル容器と前記第1容器は前記自動機器内の第1試験ストリップ上に配置されている;
d) 第1の分析ワークフローに従って、前記複数のサンプルの第1アリコートに関する前記第1増幅試験を自動的に実施して、第1の標的分析物が第1アリコート中に存在するかどうかを決定する段階;
e) 前記複数のサンプルの中から前記第1の標的分析物が検出されたサンプルを反射試験のためのサブセットサンプルとして選択する段階;
f) 段階e)からの前記選択したサブセットサンプルの第2アリコートを、前記個々のサンプル容器から、第2増幅試験用の試薬を含む第2容器に自動的に移す段階、ここで、前記各サンプルについて、前記第2容器は、自動機器内の前記第1試験ストリップとは異なる第2試験ストリップ上に配置されているか、或いは、前記サンプル容器と前記第1容器と前記第2容器又は前記第2容器用の置場は、前記第1試験ストリップ上に配置されている;および、
g) 第2分析ワークフローに従って、前記選択したサブセットサンプルの第2アリコートに関する前記第2増幅試験を自動的に実施して、第2の標的分析物が第2アリコート中に存在するかどうかを決定する段階。
【請求項2】
各サンプルについて、前記サンプル容器と、第1増幅試験用の試薬を含む前記第1容器とが、第1試験ストリップ上に配置されており;且つ
段階f)において、前記サンプルの第2アリコートが、前記第1試験ストリップとは異なる第2試験ストリップ上に配置した前記第2容器に自動的に移される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
段階e)が、さらに、下記の段階を含む、請求項2記載の方法:
e1) 前記第1の標的分析物が検出された第1試験ストリップを同定する段階;および、
e2) 前記同定された第1試験ストリップの各々について、第2の標的分析物に関する第2増幅試験用の試薬を含む容器を含む相応する第2試験ストリップを準備する段階。
【請求項4】
前記第2試験ストリップが、少なくとも1本のピペットチップを含む、請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、段階f)の前に、さらなる液体を前記サンプルに添加する段階を含む、請求項2または3記載の方法。
【請求項6】
各サンプルについて、前記サンプル容器と、前記第1容器と、前記第2容器の置場とが、前記第1試験ストリップ上に配置されている、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、段階e)の前に、下記の段階を含む、請求項6記載の方法:
d1) 前記第1標的分析物が検出された第1試験ストリップを同定する段階;および、
d2) 前記同定された第1試験ストリップの各々について、前記第2増幅試験用の試薬を含む前記第2容器を前記置場内に準備する段階。
【請求項8】
前記方法が、段階f)の前に、前記サンプルの第2アリコートを、前記第2増幅試験用の試薬を含む前記第2容器に移すように設定されたピペットチップを準備する段階を含む、請求項6又は7記載の方法。
【請求項9】
前記ピペットチップが、未使用ピペットチップである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記ピペットチップが、洗浄ピペットチップである、請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、段階f)の前に、さらなる液体を前記サンプルに添加する段階を含む、請求項6〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
複数の試験標本に関する反射試験の実施方法であって、下記の段階を含むことを特徴とする前記方法:
a) 試験すべき複数の試験標本を準備する段階;
b) 前記複数の試験標本を処理して、単離された核酸を含む複数のサンプルの各々を取得する段階、ここで、前記複数のサンプルの各々は、個々のサンプル容器に保持されている;
c) 試験すべき前記複数のサンプルの各々の第1アリコートを、前記個々のサンプル容器から、第1の標的分析物に関する第1増幅試験用の試薬を含む複数の第1容器の各々に自動的に移し、且つ前記複数のサンプルの各々の第2アリコートを前記個々のサンプル容器に残す段階、ここで、各サンプルについて、前記サンプル容器と前記第1容器は自動機器内の第1試験ストリップ上に配置されている;
d) 前記複数のサンプルの各々の第1アリコートについて、前記第1増幅試験を実施して、前記第1アリコート中に第1の標的分析物が存在するかどうかを決定する段階;
e) 前記複数のサンプルの中から前記第1の標的分析物が検出されたサンプルを反射試験のためのサブセットサンプルとして選択する段階;
f) 段階e)からの選択したサブセットサンプルの前記第2アリコートを、前記個々のサンプル容器から第2増幅試験用の試薬を含む第2容器に自動的に移す段階、ここで、各サンプルについて、前記第2容器は、自動機器内の前記第1試験ストリップとは異なる第2試験ストリップ上に配置されているか、或いは、前記サンプル容器と前記第1容器と前記第2容器又は前記第2容器用の置場は、前記第1試験ストリップ上に配置されている;および、
g) 選択したサブセットサンプルの前記第2アリコートに関する前記第2増幅試験を実施して、前記第2アリコート中に第2の標的分析物が存在するかどうかを決定する段階。
【請求項13】
試験標本に関する反射試験の実施方法であって、下記の段階を含むことを特徴とする前記方法:
a) 試験すべき試験標本を準備する段階;
b) 前記試験標本を処理して、単離された核酸を含む個々のサンプルを取得する段階、ここで、各サンプルは、個々のサンプル容器に保持されている;
c) 試験すべき前記サンプルの第1アリコートを、前記サンプル容器から、第1の標的分析物に関する第1増幅試験用の試薬を含む第1容器に自動的に移し、且つ前記サンプルの第2アリコートを前記サンプル容器に残す段階、ここで、各サンプルについて、前記サンプル容器と前記第1容器は、自動機器内の第1試験ストリップ上に配置されている;
d) 前記サンプルの第1アリコートについて、前記第1増幅試験を実施して、前記第1アリコート中に第1の標的分析物が存在するかどうかを決定する段階;
e) 前記第1の標的分析物を前記サンプルの第1アリコートにおいて検出した場合に、第2の標的分析物の存在を決定するために、前記サンプルの前記第2アリコートを、前記サンプル容器から、第2増幅試験用の試薬を含む第2容器に自動的に移す段階、ここで、各サンプルについて、前記第2容器は、自動機器内の前記第1試験ストリップとは異なる第2試験ストリップ上に配置されているか、或いは、前記サンプル容器と前記第1容器と前記第2容器又は前記第2容器用の置場は、1本の前記第1試験ストリップ上に配置されている;
f) 前記サンプルの前記第2アリコートについて、前記第2増幅試験を実施して、前記第2アリコート中に第2の標的分析物が存在するかどうかを決定する段階。
【請求項14】
前記第1増幅試験が、前記自動機器内の第1の反応カートリッジ上で実施される、請求項1、12及び13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記第2増幅試験が、前記自動機器内の前記第1の反応カートリッジとは異なる第2の反応カートリッジ上で実施される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記第1増幅試験が、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌の同時検出に関する試験を含み;前記第2増幅試験が、ムピロシン耐性に対する決定因子の検出のための試験を含む、請求項1、12及び13のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
ムピロシン耐性に対する前記決定因子が、mupA遺伝子を含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記第1の増幅試験及び第2の増幅試験が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、転写介在増幅(TMA)、オリゴヌクレオチド結紮アッセイ(OLA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、ローリングサークル増幅(RCA)、鎖置換増幅(SDA)およびハイブリッド化反応からなる群から選ばれる反応を含む、請求項1〜17のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
前記方法が、試験ストリップ上の識別標識を、前記機器に記憶された1群の分析特有の同定データと比較する段階を更に含む、請求項1〜18のいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
複数の試験標本の各々に由来する複数のサンプルに関する自動分析を実施するシステムであって、
自動機器、プロセッサ、情報記憶容量、および該自動機器を用いて自動分析を実施するためのプログラムを含み、
前記自動機器は、2種以上の標的分析物のために複数の試験標本の各々に由来する複数のサンプルを2以上の分析ワークフローの各々に従って処理するように設定されており、
前記プログラムは、下記の各段階:
a) 各サンプルの第1アリコートを、個々のサンプル容器から、第1増幅試験用の試薬を含む複数の第1容器の各々に自動的に移し、且つ前記複数のサンプルの各々の第2アリコートを前記個々のサンプル容器に残す段階、ここで、各サンプルについて、前記サンプル容器と前記第1容器は、前記自動機器内の1本の第1試験ストリップ上に配置されている;
b) 第1分析ワークフローに従って、前記複数のサンプルの第1アリコートについて前記第1増幅試験を実施して、前記第1アリコート中に第1の標的分析物が存在するかどうかを決定する段階;
c) 前記複数のサンプルの中から前記第1の標的分析物が検出されたサンプルを反射試験のためのサブセットサンプルとして選択する段階;
d) 前記c)からの選択されたサブセットサンプルの第2アリコートを、前記個々のサンプル容器から、反射試験である第2増幅試験用の試薬を含む個々の第2容器に自動的に移す段階、ここで、各サンプルについて、前記第2容器は、自動機器内の前記第1試験ストリップとは異なる第2試験ストリップ上に配置されているか、或いは、前記サンプル容器と前記第1容器と前記第2容器又は前記第2容器用の置場は、前記第1試験ストリップ上に配置されている;および、
e) 第2分析ワークフローに従って、前記サンプルの前記第2アリコートについて第2増幅試験を実施して、前記第2アリコート中に前記第1の標的分析物とは異なる第2の標的分析物が存在するかどうかを決定する段階、
に関する命令を含む、前記システム。
【請求項21】
各サンプルについて、前記サンプル容器と、前記第1増幅試験用の試薬を含む前記第1容器とが、第1試験ストリップ上に配置されており、
前記段階d)が、前記選択したサブセットサンプル中の各サンプルの前記第2アリコートを、前記第2試験ストリップ上に配置された個々の第2容器に自動的に移すことを含む、請求項20記載のシステム。
【請求項22】
各サンプルについて、前記サンプル容器と、前記第1容器と、前記第2容器の置場とが、前記第1試験ストリップ上に配置されており、
前記プログラムが、下記の各段階:
c1) 前記第1の標的分析物が検出された試験ストリップを同定する段階;および
c2) 前記同定された試験ストリップの各々について、前記第2増幅試験用の試薬を含む相応する第2容器を前記置場内に準備する段階
に関する命令を含む、請求項20記載のシステム。
【請求項23】
前記第1増幅試験が、前記自動機器内の第1の反応カートリッジ上で実施される、請求項20記載のシステム。
【請求項24】
前記第2増幅試験が、前記自動機器内の前記第1の反応カートリッジとは異なる第2の反応カートリッジ上で実施される、請求項23記載のシステム。
【請求項25】
前記第1増幅試験が、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌の同時検出に関する試験を含み;前記第2増幅試験が、ムピロシン耐性に対する決定因子の検出のための試験を含む、請求項20記載のシステム。
【請求項26】
ムピロシン耐性に対する前記決定因子が、mupA遺伝子を含む、請求項25記載のシステム。
【請求項27】
前記第1の増幅試験及び第2の増幅試験が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、転写介在増幅(TMA)、オリゴヌクレオチド結紮アッセイ(OLA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、ローリングサークル増幅(RCA)、鎖置換増幅(SDA)およびハイブリッド化反応からなる群から選ばれる反応を含む、請求項20記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
技術分野
本明細書において開示する実施態様は、核酸試験分析のような連続自動分析を実施する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
サンプルの分子試験の自動化は、1つには自動化がサンプル収集から結果の受入れまでの時間を短縮し得、実験のばらつきを最低限にし得、さらに、高度に訓練した技術者の必要性を減じ得ることから、益々一般的になってきている。診断分野における利点以外に、サンプルの処理と試験の自動化は、高処理量試験を促進している。試験標本および/またはサンプル処理の自動装置には、典型的には、ハードウェアと消耗材が挙げられる。従って、使用する消耗材の量を最低限にしながら、分子試験の自動化を最大にすることが望ましい。
【0003】
説明する各実施態様は、臨床および研究環境において有利に使用することのできる改良された試験標本およびサンプルの自動化試験を提供する。
【発明の概要】
【0004】
本発明の技術は、核酸試験分析のような連続分析を実施する方法および装置に関する。幾つかの実施態様は、自動機器において実施する1種以上の試験標本に関する連続分析に関する。本明細書において提示する技術の幾つかの実施態様においては、自動機器において複数の試験標本の分析の信頼性の改良および使用の容易性を可能にする複数のサンプルに関する自動分析の実施方法を提供する。これらの方法は、a) 1種以上の標的分析物に関連する上記複数の試験標本に由来する複数のサンプルを1以上のそれぞれの分析ワークフローに従って受入れ且つ処理するように設定された自動機器を準備する段階;b) 試験すべき複数のサンプルを準備する段階;c) 試験すべき上記複数のサンプルの各々の第1の部分を、第1の標的分析物に関する第1の試験用の試薬を含むそれぞれ複数の第1容器に自動的に移す段階;d) 上記複数のサンプルの一部に関する上記第1の試験を第1の分析ワークフローに従って自動的に実施して第1の標的分析物の存在を決定する段階;e) 上記第1の標的分析物の存在を決定した上記複数のサンプルからサブセットサンプルを選択する段階;f) 第2の標的分析物の存在を決定するため、段階e)からの選択したサンプルサブセットの第2の部分を、第2の分析ワークフローに従って第2試験用の試薬を含む第2容器に自動的に移す段階;および、g) 選択したサンプルサブセットの前記第2の部分に関する前記第2の試験を自動的に実施する段階を含み得る。
【0005】
幾つかの実施態様においては、上記複数のサンプルの各々は、複数の試験標本のそれぞれに由来する単離核酸の前処理溶液を含む。幾つかの実施態様においては、上記自動機器によって上記複数の試験標本を自動的に処理して、単離核酸を含む上記それぞれの複数のサンプルを取得する。
【0006】
幾つかの実施態様においては、各サンプルに関連して、上記サンプルと、第1の試験用の試薬を含む上記第1容器とを第1の試験ストリップ上に配置し;そして、段階f)が、上記サンプルの第2の部分を、上記第2試験用の試薬を含み第2試験ストリップ上に配置した上記第2容器に自動的に移す段階をさらに含むようにする。
【0007】
幾つかの実施態様においては、段階e)は、さらに、下記の段階を含む:
e1) 上記複数の第1試験ストリップのサブセットを上記第2試験において同定する段階;および、e2) 上記サブセットにおける各第1試験ストリップの代りに、第2分析物に関する第2試験用の試薬を含む容器を含む相応する第2試験ストリップを準備する段階。
【0008】
幾つかの実施態様においては、上記第2試験ストリップは、少なくとも1本のピペットチップを含む。幾つかの実施態様においては、上記方法は、段階f)の前に、さらなる液体を上記サンプルに添加する段階を含む。
【0009】
幾つかの実施態様においては、各サンプルに関連して、上記サンプル、上記第1容器、および上記第2容器の置場を、1本の試験ストリップ上に配置する。幾つかの実施態様においては、方法は、段階e)の前に、下記の段階を含む:
d1) 上記複数の第1試験ストリップのサブセットを上記第2分析物に関する試験において同定する段階;および、d2) 上記サブセットにおける各試験ストリップの代りに、上記第2試験用の試薬を含む上記第2容器を上記置場内に準備する段階。
【0010】
幾つかの実施態様においては、上記方法は、段階f)の前に、上記サンプルの上記第2の部分を、上記第2試験用の試薬を含む上記第2容器に移すように設定されたピペットチップを準備する段階を含む。幾つかの実施態様においては、上記ピペットチップは、例えば、未使用ピペットチップまたは洗浄ピペットチップである。幾つかの実施態様においては、上記方法は、段階f)の前に、さらなる液体を上記サンプルに添加する段階を含む。
【0011】
幾つかの実施態様においては、上記第1試験または上記試験は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、転写介在増幅(TMA)、オリゴヌクレオチド結紮アッセイ(OLA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、ローリングサークル増幅(RCA)、鎖置換増幅(SDA)およびハイブリッド化反応から選ばれる群から選ばれる反応を含む。
幾つかの実施態様においては、上記方法は、試験ストリップ上の識別標識を、上記機器に記憶された1群の分析特異性同定データと比較する段階をさらに含む。
【0012】
また、本明細書においては、それぞれ複数の試験標本に由来する複数のサンプルに関する自動分析を実施する装置も提示し、該装置は、複数のサンプルを1以上の分析ワークフローに従って受入れ且つ処理するように設定された自動機器を含む;該機器は、複数の試験ストリップ、プロセッサ、記憶容量、および自動分析を実施するためのプログラムを含み、該プログラムは、以下各段階に関する命令を含む:a) 複数のサンプルを1以上の分析ワークフローに従って受入れ且つ処理するように設定された自動機器を準備する段階(該機器は、複数の試験ストリップを含む);b) 各サンプルの第1の部分を、第1の試験用の試薬を含むそれぞれ複数の第1容器に自動的に移す段階;c) 上記第1試験を実施して第1の標的分析物の存在を決定する段階;d) 上記各サンプルの第2の部分または上記各サンプルの選択されたサブセットを、第2試験用の試薬を含むそれぞれの第2容器に自動的に移す段階;および、e) 上記各サンプルの上記第2の部分をまたは上記各サンプルの選択したサブセットに関する第2試験を実施して第2標的分析物の存在を決定する段階。
【0013】
上記装置の幾つかの実施態様においては、上記プログラムは、核酸を上記複数の試験標本から自動的に分離して、分離した核酸を含むそれぞれ複数のサンプルを取得する段階に関する命令をさらに含む。
【0014】
上記装置の幾つかの実施態様においては、各サンプルに関連して、上記サンプルと、上記第1試験用の試薬を含む上記第1容器とを第1の試験ストリップ上に配置し;そして、段階e)は、上記抽出核酸溶液の一部を、第2の試験ストリップ上に置いた第2のマスターミックス管に自動的に移す段階を含む。
【0015】
上記装置の幾つかの実施態様においては、各サンプルに関連して、上記サンプル、上記第1容器、および上記第2容器の置場を単一試験ストリップ上に配置し;上記プログラムは、d1) 上記複数の第1試験ストリップのサブセットを上記第2分析物に関する試験において同定する段階;および、d2) 上記サブセットにおける各試験ストリップの代りに、上記第2試験用の試薬を含む相応する第2容器を上記置場内に準備する段階に関する命令を含む。
【0016】
また、本明細書においては、複数の試験標本に関する反射試験(reflex testing)の実施方法も提示する;該方法は、a) 試験すべき複数の試験標本を準備する段階;b) 上記複数試験標本を処理してそれぞれ複数のサンプルを取得する段階;c) 試験すべき上記複数のサンプルの各々の第1の部分を、第1の標的分析物に関する第1の試験用の試薬を含むそれぞれ複数の第1容器に移す段階;d) 上記複数のサンプルの一部に関する上記第1試験を実施して第1の標的分析物の存在を決定する段階;e) 上記第1の標的分析物の存在を決定した上記複数のサンプルからサブセットサンプルを反射試験において選択する段階;f) 第2の標的分析物の存在を決定するため、段階e)からの選択したサンプルサブセットの第2の部分を、第2試験用の試薬を含む第2容器に移す段階;および、g) 選択したサンプルサブセットの上記第2の部分に関する上記第2の試験を実施する段階を含む。
【0017】
上記方法の幾つかの実施態様においては、上記第1試験は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)と黄色ブドウ球菌の同時検出に関する試験を含み;上記第2試験は、ムピロシン耐性に対する決定因子の検出のための試験を含む。幾つかの実施態様においては、ムピロシン耐性に対する上記決定因子はmupA遺伝子を含む。
【0018】
また、本明細書においては、1種の試験標本に関する反射試験を実施する方法も提示する;該方法は、a) 試験すべき試験標本を準備する段階;b) 上記試験標本を処理してそれぞれのサンプルを取得する段階;c) 試験すべき上記サンプルの第1の部分を、第1の標的分析物に関する第1の試験用の試薬を含む第1容器に移す段階;d) 上記サンプルの上記第1の部分に関する上記第1試験を実施して上記第1の標的分析物の存在を決定する段階;f) 上記第1標的分析物を上記サンプルの上記第1の部分において検出した場合、第2の標的分析物の存在を決定するため、上記サンプルの第2の部分を、第2試験用の試薬を含む第2容器に移す段階;および、g) 上記サンプルの上記第2の部分に関する上記第2試験を実施する段階を含む。
【0019】
上記方法の幾つかの実施態様においては、上記第1試験は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌の同時検出に関する試験を含み;上記第2試験は、ムピロシン耐性に対する決定因子の検出のための試験を含む。幾つかの実施態様においては、ムピロシン耐性に対する上記決定因子はmupA遺伝子を含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】1つの実施態様に従う試験ストリップを示す。
図2】1つの実施態様に従う試験ストリップを示す。
図3】1つの実施態様に従うストリップ担体内に配置した多数本の試験ストリップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
本明細書において使用する項目の見出しは、構成目的のみであって、説明する主題を如何なる形でも限定するものと解釈してはならない。本出願において引用した、限定するものではないが、特許、特許出願、記事、書籍、論文およびインターネットウェブ頁のような全ての文献および同様な資料は、そのような文献および同様な資料の書式にかかわらず、目的に応じて、参考としてその全体を本明細書に明確に取入れる。1以上の取入れた文献および同様な資料が、用語を、その用語が本出願におけるその用語の定義と矛盾するような形で定義または使用している場合は、本出願が規制する。本教示を種々の実施態様に関連して説明するけれども、本教示をそのような実施態様に限定するつもりはない。逆に、本教示は、当業者が承知しているような種々の代替物、修正および等価物を包含する。
【0022】
多数の試験標本および/またはサンプルを並行して処理し試験することのできる自動診断機器は、開示されている。これらの装置は、有利なことに、高処理量で使用して試験標本および/またはサンプルの調製および試験を容易にし得る。例えば、自動診断機器により、核酸増幅アッセイのような診断アッセイ用のサンプルを調製して、増幅および検出を実施し得る。
【0023】
診断試験は、本来、仮説主導性(hypothesis-driven)である。特定の分析物に関するサンプルの試験のような仮説主導試験を実施する場合、その試験の結果は、もう1つのターゲットについての試験、即ち、反射試験の必要性に至り得る。しかしながら、多くの場合、原サンプルのサブセットを試験することのみが有用であり、サンプル全てを試験するにはコスト効率性ではない。例えば、臨床環境においては、1種以上の病原体に関する試験標本を試験することが望ましくあり得る。試験によって特定の病原体の存在が明らかになった場合、さらなる試験を実施すること、例えば、抗生物質耐性決定因子の存在を決定することが望ましくあり得る。例えばその試験標本を特定の病原体の存在を指示する分析物について陽性であると試験した患者からさらなる試験用の追加の試験標本を入手することは、困難であり得、望ましいさらなる試験を遅らせ得る。試験用の複数の試験標本を入手することの潜在的な困難性に加え、複数試験標本を試験する場合、患者試験標本または試験(例えば、核酸試験)用の試験標本から調製したサンプルを新たな反応容器へ移すための手作業による処方は、間違いの元或いは非効率且つ労働集約的であり得る。さらに、試験標本を、試験する前に処理する必要がある場合、処理に関連するコスト(例えば、試薬等)を最低限にすることが望ましい。従って、反射試験を自動化した形で実施する改良された方法に関する多大な要求が存在する。
【0024】
結果として、“反射試験”とは、前試験(例えば、第1試験)において得られた結果に基づいて取組まれる後試験(例えば、第2試験)を称する。第1試験および反射試験の非限定的な例としては、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)およびメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)の第1試験がある。また、MRSAまたはMSSAに関して陽性であると試験しているサンプルにおいては、それらのサンプルがムピロシン(抗生物質)耐性に対する決定因子を含有しているかどうかを判定することも望ましくあり得る。ムピロシン耐性は典型的にMRSAまたはMSSA陽性サンプルに対してのみ関連しているので、ムピロシン耐性に関して、MRSAまたはMSSAに対して陰性のサンプルを試験することは、多くの場合、コスト効率的ではない。本明細書において開示する各実施態様において有用な各種試験および反射試験を、以下でさらに詳細に説明する。
【0025】
本明細書において提示する方法および装置は、有利なことに、患者から得られる新たな試験標本を必要とするよりもむしろ原試験からの残留物を使用する。例えば、高度に処理されており、反射試験を実施するのにさらなる労力を殆ど必要としない残留物を使用することは、特に有利であり得る。
【0026】
試験標本およびサンプル
本明細書において開示する各実施態様は、自動分子アッセイを使用して試験標本を試験するのに使用し得る。本明細書において使用するとき、用語“試験標本”とは、限定するものではないが、実質的にあらゆる生物体の、哺乳類サンプル、特に、ヒトサンプルを含む体液(限定するものではないが、血液、尿、血清、リンパ液、唾液、肛門および腟分泌物、汗、腹水(peritoneal fluid)、胸膜液、滲出液、腹水(ascites)、化膿性分泌物、洗浄液、排液、ブラシ細胞診試験標本、生検組織、移植医療装置、感染カテーテル、膿汁、生物膜および精液のような)を包含する1つまたは任意数の発生源に由来する臨床試験標本またはサンプル、並びに本発明における使用が判明している環境サンプル(限定するものではないが、空気、農業、水および土壌サンプルのような)を称し得る。さらに、サンプルは、原材料サンプル(例えば、穀物、乳または動物死体)、加工の中間工程におけるサンプルの双方、並びに消費者向けの最終食品を含み得る食品加工からも採取し得る。
【0027】
幾つかの実施態様においては、サンプルは試験標本から調製し、試験をこれらのサンプルにおいて実施する。例えば、幾つかの実施態様においては、試験標本を処理して、分子試験に適し得るサンプルを取得することができる。幾つかの実施態様においては、試験標本を直接分析することができ、試験前に前処理することはない。例えば、“直接サンプル”は、被検者から採集し、試験標本から細菌類を分離または培養することなく或いは試験標本を処理して試験前に核酸を分離することなく、本明細書において開示する方法を使用して試験する試験標本である。そのようなものとして、直接サンプルは、一般に、スクリーニング前に、ほんの最小限しか処理しない。幾つかの実施態様においては、本明細書において開示する試験標本を処理して、試験するのに適するサンプルを取得する。例えば、細胞を含有する試験標本は、細胞を溶解し、核酸、タンパク質等のような細胞成分を試験前に放出するように処理し得る。幾つかの実施態様においては、試験標本は、分離核酸を含むサンプルを生成するように処理し得る。本明細書において使用するとき、“核酸を分離する”なる語句は、1種以上の細胞成分からの核酸の精製を称する。熟練技術者であれば、処理して“核酸を分離”したサンプルが核酸以外の成分および不純物を含み得ることは承知しているであろう。分離核酸を含むサンプルは、試験標本から、当該技術において既知の任意の許容し得る方法を使用して調製し得る。例えば、細胞は既知の溶解剤を使用して溶解し得、核酸は他の細胞成分から精製または部分精製し得る。DNAおよびRNA抽出のための適切な試薬およびプロトコールは、それぞれ、米国特許出願公報US 2010−0009351号およびUS 2009−0131650号において見出し得る;これら公報の各々は、参考としてその全体を本明細書に取入れる。核酸試験(例えば、後でさらに詳述する増幅およびハイブリッド化法)においては、抽出核酸溶液を、本明細書において開示する実施態様に従う試験を実施するのに必要な試薬(例えば、後でさらに詳述するような基質に結合させた液体中または凍結乾燥形等のいずれかの)に直接添加し得る。
【0028】
幾つかの実施態様においては、上記の試験、例えば、本明細書において説明する第1試験および反射試験は、試験標本またはサンプル中の標的分析物の存在を決定する試験である。本明細書において使用するとき、用語“標的分析物”とは、例えば、標的核酸、標的タンパク質または興味ある他の標的分子のような興味ある各種タイプの分析物を称し得る。幾つかの実施態様においては、本明細書において説明する装置および方法は、標的核酸の存在を決定する反射試験を実施するのに使用する;但し、熟練技術者であれば、本明細書において開示する各実施態様は、他のタイプの標的分析物についての試験に容易に適応させ得ることは承知しているであろう。
【0029】
上記によれば、本明細書において提示する各実施態様は、有利なことに、試験標本およびサンプルを標的分析物について自動的に試験する改良された方法を提供する。複数のサンプルに関する自動分析の実施方法。幾つかの実施態様においては、上記方法は、a) 1種以上の標的分析物に関する上記複数の試験標本に由来する複数のサンプルを1以上のそれぞれの分析ワークフローに従って受入れ且つ処理するように設定された自動機器を準備すること;b) 試験すべき複数のサンプルを準備すること;c) 試験すべき上記複数のサンプルの各々の第1の部分を、第1の標的分析物に関する第1の試験用の試薬を含むそれぞれ複数の第1容器に自動的に移す段階;d) 上記複数のサンプルの一部に関する上記第1の試験を第1の分析ワークフローに従って自動的に実施して第1の標的分析物の存在を決定する段階;e) 上記第1の標的分析物の存在を決定した上記複数のサンプルからサブセットサンプルを選択すること;f) 第2の標的分析物の存在を決定するため、段階e)からの選択したサンプルサブセットの第2の部分を、第2の分析ワークフローに従って第2試験用の試薬を含む第2容器に自動的に移すこと;および、g) 選択したサンプルサブセットの上記第2の部分に関する上記第2の試験を自動的に実施することを可能にする。
【0030】
本明細書において開示する各実施態様において有用な自動機器としては、例えば、米国特許第8,133,671号、米国特許出願公報第2009−0111059号(これら全体を参考として本明細書に取入れる)に記載されている自動機器があり得る。一方、熟練技術者であれば、本明細書において開示する各実施態様は、試験標本および/またはサンプルの処理および試験用の任意の適切な自動装置に容易に適応させ得ることは承知しているであろう。望ましくは、上記自動装置は、複数のサンプルの1以上のワークフローに従う処理または試験を可能にするように設定する。本明細書において使用するとき、用語“ワークフロー”、“分析ワークフロー”、“分析(アッセイ)”、“分析プロトコール”、“試験”および同様な用語は、試験標本および/またはサンプルを処理するための手順を称する。典型的な実施態様においては、ワークフローは、細胞溶解、核酸抽出、核酸精製、核酸消化、核酸修飾、タンパク質抽出、タンパク質精製等のようなサンプル調製段階を含み得る。本明細書において開示する各実施態様において有用な核酸抽出の幾つかの方法が、当該技術において既知である。核酸抽出の典型的な論述は、例えば、米国特許出願公報第2009−0131650号、米国特許出願公報第2010−0009351号および米国特許出願公報第2006−016623311/281,247号 (これらの公報の全体を参考として本明細書に取入れる)において見出し得る。同様に、タンパク質抽出の典型的な論述は、例えば、米国特許第8,053,239号および第6,864,100号 (これら特許の全体を参考として本明細書に取入れる)において見出し得る。
【0031】
幾つかの典型的な実施態様においては、ワークフローは、核酸増幅反応も含み得る。幾つかの典型的な実施態様においては、ワークフローは、さらに、データ解析手順も含み得る。
【0032】
上述したように、幾つかの実施態様においては、アッセイまたは分析するサンプルの一部(例えば、第1の部分、および、ある場合は、第2の部分)を、試験用の試薬を含む容器に移す。本明細書において使用するとき、用語“容器”とは、サンプルを保持し得る、限定するものではないが、チューブ、マイクロタイタープレート内の容器等のような任意のタイプの物体を称する。幾つかの実施態様においては、上記容器は、試験ストリップ内に配置する。本明細書において使用するとき、用語“試験ストリップ”または“試薬ストリップ”とは、自動分析用の1種以上の消耗性成分を保持するパッケージを称する。従って、試験ストリップは、試験標本および/またはサンプル自動調製を実施する装置によって使用するように設定し得る;そのような装置は、例えば、国際特許出願公報WO 09/054870号 (その全体を参考として本明細書に取入れる)に記載されている。
【0033】
典型的な実施態様においては、試験ストリップは、前処理サンプル、即ち、試験標本から得られた分離核酸を含む溶液を保持するためのチューブまたはウェル等のような容器を含み得る。また、典型的には、上記試験ストリップは、核酸試験のような分子試験用の試薬(例えば、本明細書の他のどこかでさらに詳述しているような、核酸増幅において使用する試薬)を保持する容器も含み得る。幾つかの実施態様においては、上記試験ストリップは、ピペットチップのような、サンプル調製を実施するための、さらに、試薬および他の消耗物を保持するためのさらなる容器を含み得る。幾つかの実施態様においては、上記試験ストリップまたは試薬ストリップは、分析試薬を含む反応容器を受入れるように設定された1以上の置場または開口を含む。従って、幾つかの実施態様においては、本明細書において説明する分析において使用する試薬を含む容器は、上記試験ストリップと一体化または合体しており、一方、幾つかの実施態様においては、本明細書において説明する分析において使用する試薬を含む容器は、試験ストリップと合体してなくて、試験ストリップ内の置場または開口へのはめ込みに適用させている。本明細書において開示する各実施態様において有用な試験ストリップまたは試薬ストリップの非限定的な例は、米国特許D618820号、D637737号、および2011年9月30日に出願され、“UNITZED REAGENT STRIP”と題する米国仮特許出願第61/541,991号における図1および2に示されている;これらの特許および特許出願の各々は、その全体を参考として本明細書に取入れる。図1および図2は、本明細書において開示する各実施態様において有用である典型的な試験ストリップ/試薬ストリップを例示している。
【0034】
自動機器は、例えば、ドック内に、1以上のストリップ担体を含むかまたはこれらの担体を受入れるように設定し得、各ストリップ担体またはラックは、複数の試験ストリップと、必要に応じての管、例えば、試験標本を搬送する管を保持し得る。典型的な実施態様においては、試験ストリップは、自動機器が収容している1以上のストリップ担体またはラック内に配置する。本明細書において開示する各実施態様において有用である典型的なストリップ担体またはラックは、例えば、米国特許出願公報第2009−0136386号に記載されている;但し、熟練技術者であれば、本明細書において説明しているような自動装置と一緒に使用するのに適する種々の他の形状のストリップホルダーまたはラックも使用し得ることは承知しているであろう。幾つかの実施態様においては、試験ストリップ担体またはラックは、例えば、種々のレーン内に複数の試験ストリップまたは試薬ストリップを保持するように設定する。例えば、試験ストリップ担体は、いずれにおいても2〜24本のそれぞれの試験ストリップまたは試薬ストリップを収容するように設定した2本、3本、4本、5本、6本、7本、8本、9本、10本、11本、12本、13本、14本、15本、16本、17本、18本、19本、20本、21本、22本、23本、24本またはそれ以上のレーンを含み得る。
【0035】
本明細書において開示する方法においては、サンプルに対して実施した第1試験の結果に応じて、反射試験を実施する。第1試験の結果によって反射(後)試験を実施することが望ましいと判明した場合、本明細書において開示する方法に従い、第1試験の手順後に残して置いたサンプルの第2(または残留)の部分を、反射(後)試験用の試薬を含む第2容器に自動的に移す。サンプルの上記第2の部分の自動移送は、は、多くの方法のうちの任意の1つの方法において実施し得る。例えば、幾つかの実施態様においては、第1試験の後のサンプルの残りまたは残留分を含む容器を第2の試験ストリップに送ることができ、その後、サンプルの少なくとも一部を、第2試験用の試薬を含む容器に自動的に移す。幾つかの実施態様においては、サンプルの上記第2の部分は、第1試験ストリップから、第2試験ストリップ内に配置した第2のマスターミックス管に直接自動的に移す。幾つかの実施態様においては、サンプルの上記第2の部分は、第1試験ストリップから第1試験ストリップに配置した第2容器に直接自動的に移し得る。幾つかの実施態様を後でより詳細に説明するけれども、抽出核酸溶液を第2のマスターミックス管に自動的に移す任意の適切な方法を本明細書において提示している方法に従って実施し得ることを認識されたい。
【0036】
新たな試験ストリップへの移送
ある種の実施態様においては、各サンプルに関連して、上記サンプルと、第1試験用の試薬を含む容器または管とを単一の試験ストリップ、例えば、第1の試験ストリップ上に配置し;そして、サンプルの一部を自動的に移す段階は、サンプルの第2の部分を第2の別個の試験ストリップ上に配置した第2のマスターミックス管に自動的に移すことを含む。
【0037】
幾つかの実施態様においては、第1および第2の各試験ストリップを別々のストリップ担体またはラック内に配置する。1つの非限定的な例として、第1試験ストリップを第1のストリップ担体のレーン1〜6内に配置し得、そして、第2試験ストリップを第2のストリップ担体のレーン1〜6内に配置し得る。ストリップ担体内に配置した試験ストリップの例は、図3に示している。
【0038】
幾つかの実施態様においては、第1および第2の各試験ストリップを同じストリップ担体内に配置する。1つの非限定的な例として、第1試験ストリップをレーン1、3、5、7、9および11内に配置し、相応する第2試験ストリップを同じストリップ担体のレーン2、4、6、8、10および12内に配置し得る。もう1つの非限定的な例として、第1試験ストリップをレーン1〜6内に配置し得、相応する第2試験ストリップを同じストリップ担体のレーン7〜12内に配置し得る.第1および第2の各試験ストリップに関して任意の適切な形態の配置を使用し得ることを認識されたい。幾つかの実施態様においては、上記自動機器は、バーコードまたはRFIDコード等のような識別標識(identifying indicia)を各試験ストリップ上で使用して第1および/または第2試験ストリップの位置を識別し得る。幾つかの実施態様においては、上記方法は、試験ストリップ、試験ストリップ内の容器または試験標本管に関する識別標識を上記機器に記憶された1群の分析特異性同定データと比較する段階を含む。
【0039】
従って、幾つかの実施態様においては、使用者は、1本以上の第1試験ストリップを第2の反射試験用に選択し、1本以上の選択した試験ストリップを、第2の試験ストリップを含み第2の反射試験用の試薬を含む容器を有する新たなラックに移し得る。幾つかの実施態様においては、使用者は、1本以上の第1試験ストリップを第2の反射試験用に選択し得、そして、上記自動機器または使用者が、サンプルの第2の部分を、第2の別個の試験ストリップ担体またはラックに配置した第2の試験ストリップに移し得る。幾つかの実施態様においては、第1試験において使用した試験標本管または試験ストリップ上の識別標識は上記自動機器が受入れ、この情報を使用して、第2の即ち反射試験中に処理されるときのサンプルを追跡することができる。従って、上記方法の幾つかの実施態様においては、上記方法は、サンプルの第2の部分を第2容器に移す前に、複数の第1試験ストリップのサブセットをさらなる試験において、例えば、第2試験において同定し;そして、上記サブセット内の各第1試験ストリップに関連して、相応する第2試験ストリップを準備することを含む。上記第2試験ストリップは、第2試験用の試薬を含む第2容器を含む。ある種の実施態様においては、上記第2試験ストリップは、少なくとも1本のピペットチップも含み得る。
【0040】
同じ試験ストリップへの移送
ある種の実施態様においては、各サンプルに関連して、サンプル溶液と、第1試験用の試薬を含む第1容器とを第1試験ストリップ上に配置し、そして、上記抽出核酸溶液の一部を移す段階は、上記抽出核酸溶液の一部を、第2試験用の試薬を含みこれもまた上記第1試験ストリップ上に配置している第2容器に移すことを含む。
【0041】
上記方法の幾つかの実施態様においては、上記方法は、サンプルの第2の部分を第2容器に移す前に複数のサンプルのサブセットをさらなる試験において、例えば、第2即ち反射試験において同定し;そして、さらなる試験において同定したサンプルの各々に関連して、第2即ち反射試験用の試薬を含む相応する第2容器を上記第1試験ストリップ上に準備する段階を含み得る。典型的な実施態様においては、上記第1試験ストリップは、開放位置を有するよう、例えば、追加のマスターミックス管を上記ストリップに加えるのに適する置場または容器でもって設定される。例えば、上記試験ストリップは、図2に示しているように、4スナップストリップであり得、使用者が反射マスターミックス管を開放位置に加えるのを可能にしている。幾つかの実施態様においては、上記試験ストリップは、第2即ち反射試験を実施する前に、使用者が新たな試験ストリップホルダーまたはラック内に配置する。
【0042】
熟練技術者であれば、第1試験からの試薬と第2即ち反射試験からの試薬との交差汚染のリスクを最小限にするのが望ましいことは承知しているであろう。従って、幾つかの実施態様においては、ピペットチップのような消耗物は、交換するかおよび/または、反射試験を実施する前に、試験ストリップ内の残留緩衝液を使用して洗浄し得る。そのように、ある種の実施態様においては、上記方法は、サンプルの第2の部分を第2容器に移す前に、ピペットチップを準備する段階を含む。幾つかの実施態様においては、ピペットチップは、未使用ピペットチップである。幾つかの実施態様においては、ピペットチップは、洗浄して事前の液体移動に由来する汚染を低減または回避している使用済みチップである。ある種の実施態様においては、上記方法は、サンプルの第2の部分を第2容器に移す前に、第1試験において使用したピペットチップを洗浄する段階を含む。
【0043】
第2の反射試験前のサンプルの処理および/または試験中に、サンプルの蒸発が生じ得る。そのようなものとして、サンプル蒸発は、反射試験の性能を低下させ得る。本明細書において開示する各実施態様は、一定容量の緩衝液、例えば、洗浄緩衝液または核酸溶出緩衝液を使用して残留サンプルに添加し、残留サンプルを、例えば、第2の、即ち、反射試験においてさらに処理するのに十分な容量であることを確保することによって、蒸発に対する解決策を提供する。従って、幾つかの実施態様においては、上記方法は、第2即ち反射試験を実施する前に、さらなる液体を残留サンプルに添加する段階を含む。単なる例として、幾つかの実施態様においては、サンプルの初期容量は、1μL〜1mlの範囲であり得、好ましくは10μL〜200μL、例えば、25〜75μLである。幾つかの実施態様においては、約5μL〜25μL、例えば、10〜20μLのサンプルを第1の部分として第1試験用に取出す。例えば、幾つかの実施態様においては、初期サンプルの12.5μLを第1試験において使用する。十分な容量のサンプルが第2試験において使用可能であることを保証するには、幾つかの実施態様において、0.5μL、1μL、2μL、3μL、4μL、5μL、6μL、7μL、8μL、9μL、10μL、12μL、14μL、16μL、18μL、20μL、25μL、30μL、35μL、40μL、45μL、50μL、55μL、60μL、65μL、70μL、75μL、80μL、85μL、90μL、95μL、100μL、120μL、140μL、160μL、180μL、200μL、300μL、400μLまたは500μLの或いは500μLよりも多い追加容量の追加液体を添加して、第2の即ち反射試験用の試薬を含む容器にサンプルの第2の部分を移す前の液体容量を増大し得る。従って、残りまたは残存サンプルへの溶液の添加は、上記溶液を第2マスターミックスに移す前に生じ得る蒸発を補うことができる。幾つかの実施態様においては、第1のアリコートを第1のマスターミックスに移した後の残存抽出核酸溶液の容量に対して0.1%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、120%、140%、160%、180%、200%、250%、300%、350%、400%またはそれ以上に等しい容量を添加して、液体容量を増大させ、上記溶液を第2試験用の試薬を含む容器に移す前に生じ得る蒸発を補うことができる。
【0044】
核酸試験(NAT)アッセイおよびNAT用の試薬
上述したように、本明細書において説明する試験は、例えば、核酸試験を含み得る。幾つかの実施態様においては、上記試験は、サンプル中の標的核酸配列に関する試験を含む。限定するものではないが、核酸増幅反応を含む試験のような幾つかの形態の核酸試験が、本明細書において開示する実施態様において有用である。数通りの核酸増幅反応が既知であって、本明細書において開示する各実施態様に従って標的核酸の存在を決定するのに使用し得る。核酸増幅方法としては、限定するものではないが、以下がある:ポリメラーゼ連鎖反応(PCR);鎖置換増幅(SDA)、例えば、多置換増幅(MDA);ループ等温増幅(LAMP);リガーゼ連鎖反応(LCR);免疫増幅;および、転写介在増幅(TMA)、核酸配列増幅(NASBA)、自家持続配列複製(3SR)およびローリングサークル増幅のような種々の転写増幅手順。例えば、Mullis、"Process for Amplifying, Detecting, and/or Cloning Nucleic Acid Sequences"、米国特許第4,683,195号;Walker、"Strand Displacement Amplification"、米国特許第5,455,166号;Dean等、“Multiple displacement amplification”、米国特許第6,977,148号;Notomi等、"Process for Synthesizing Nucleic Acid"、米国特許第6,410,278号;Landegren等、米国特許第4,988,617号、"Method of detecting a nucleotide change in nucleic acids";Birkenmeyer、"Amplification of Target Nucleic Acids Using Gap Filling Ligase Chain Reaction"、米国特許第5,427,930号;Cashman、"Blocked-Polymerase Polynucleotide Immunoassay Method and Kit"、米国特許第5,849,478号;Kacian等、"Nucleic Acid Sequence Amplification Methods"、米国特許第5,399,491号;Malek等、"Enhanced Nucleic Acid Amplification Process"、米国特許第5,130,238号;Lizardi等、BioTechnology, 6:1197 (1988);Lizardi等、米国特許第5,854,033号、“Rolling circle replication reporter systems”を参照されたい。幾つかの実施態様においては、上記の核酸増幅法の2以上を、例えば、連続して実施する。
【0045】
上述したように、幾つかの実施態様においては、サンプルの一部を、試験用の試薬を含む容器に移す。例えば、幾つかの実施態様においては、サンプルを、増幅反応等のような試験または反応用の“マスターミックス(master mix)を含む容器に移す。“マスターミックス”は、限定するものではないが、酵素、オリゴヌクレオチド、プローブ、塩、デオキシヌクレオチドトリホスフェートのような反応において必要であって、ポリメラーゼ酵素および複数のヌクレオチドを含む成分の数種または全部を含み得る。幾つかの実施態様においては、上記マスターミックスは、検出可能な成分を含むハイブリッド化プローブをさらに含み得、これらのプローブは、標的核酸(および/または陽性対照標的核酸配列)に特異的にハイブリッド化する。幾つかの実施態様においては、マスターミックスは、反応において使用するよりも高濃度で調製し得る。幾つかの実施態様においては、マスターミックスは、凍結乾燥形で調製し、反応において使用するよりも高濃度で再構成する。幾つかの実施態様においては、マスターミックスは、試薬を、反応濃度の少なくとも約2×、例えば、2×、2.5×、3×、4×、5×、6×、7×、8×、9×、10×、15×、20×、25×、40×、50×、100×、200×、250×または500×の濃度で含む。
【0046】
幾つかの実施態様においては、上記マスターミックスは、試験ストリップ上の試薬管内で保存するとき、1個以上の凍結乾燥ペレットの形状であり得、上記方法は、上記試薬ペレットを液体、例えば、本明細書において上述しているようなサンプルの一部で再構成して、処理するのに、例えば、試験するのに適する反応/試薬混合物溶液を作成する段階を含み得る。
【0047】
幾つかの実施態様においては、“マスターミックス”は、容器内で調製し得、或いはマスターミックス中に含まれる試薬に関する識別情報を提供するバーコードまたはRFIDコード等のような識別標識、例えば、上記容器が特定の標的分析物の検出用の試薬を含んでいることを識別する標識を含む。
【0048】
機器および装置
また、本明細書においては、自動分析を実施するシステムも提示する;該システムは、複数の試験標本またはサンプルを上記で説明した1以上の分析ワークフローに従って受入れ且つ処理するように設定した自動機器を含む。
【0049】
また、上記システムは、プロセッサ、記憶容量、および自動分析を実施するためのプログラムを含む。例えば、上記プログラムは、複数のサンプルを本明細書において説明する1以上の分析ワークフローに従って受入れ且つ処理するように設定された自動機器に対する命令を含む。上記プログラムは、複数のサンプルを1以上のワークフローに従って受入れ且つ処理し、これらのサンプルを複数の試験ストリップ上で準備すること;各サンプルの第1の部分を、第1の試験用の試薬を含むそれぞれ複数の第1容器に自動的に移すこと;上記第1試験を実施して第1の標的分析物の存在を決定すること;上記各サンプルの第2の部分または上記各サンプルの選択されたサブセットを、第2試験用の試薬を含むそれぞれの第2容器に自動的に移すこと;および、上記各サンプルの上記第2の部分をまたは上記各サンプルの選択したサブセットについての第2試験を実施して第2標的分析物の存在を決定することに関する命令を含み得る。
【0050】
多分析プロトコールを同時に実施し得る自動機器は、当業者にとって既知であって、限定するものではないが、BD MAX (登録商標) (ニュージャージー州フランクリンレークス、Becton Dickinson and Co.社)、VIPER (登録商標) (ニュージャージー州フランクリンレークス、Becton Dickinson and Co社)、VIPER LT (登録商標) (ニュージャージー州フランクリンレークス、Becton Dickinson and Co.社)、SMARTCYLCER (登録商標) (カリフォルニア州サニーバル、Cepheid社)、ABI PRISM 7700 (登録商標) (カリフォルニア州フォースターシティ、Applied Biosystems社)、ROTOR-GENETM (オーストラリア国シドニー、Corbett Research社)、LIGHTCYCLER (登録商標) (インディアナ州インディアナポリス、Roche Diagnostics Corp.社)、ICYCLER (登録商標) (カリフォルニア州ハーキュリーズ、BioRad Laboratories社)、IMX4000 (登録商標) (カリフォルニア州ラ ホーヤ、Stratagene社)、CFX96TM Real−Time PCR System (Bio−Rad Laboratories Inc社)等がある。本明細書において提示する方法によって使用する典型的な自動機器の典型的な説明は、例えば、米国特許第8,133,671号において見出し得る;該米国特許は、その全体を参考として本明細書に取入れる。
【0051】
本明細書において説明する方法および装置は、2基、3基、4基またはそれ以上のワークステーションを含みこれらのワークステーションの少なくとも2基は共通のサービスリソースによって支援されている機器に適用し得ることを認識されたい。例えば、4基のワークステーションと1個のピペットヘッドを有する機器は、依然として、本明細書において説明する2インデックスコンセプトによって制御される両立性であり得る。
【0052】
本明細書において使用するとき、記憶容量、記憶装置、記憶等の用語は、情報の記憶の任意の媒体、装置または手段を称し得る。記憶装置としては、限定するものではないが、ハードドライブ、フロッピー(登録商標)ディスク、光または光磁気ディスクのようなディスクドライブ装置;RAMまたはROMチップのようなメモリ;およびデータを記録または記憶するのに使用する任意の他の媒体があり得る。幾つかの実施態様においては、記憶容量を、記録すべき情報を、獲得した後に、記憶容量に送るプロセッサと接続する。特定の実施態様においては、データは、装置によって獲得し、記憶容量上に記録する。他の実施態様においては、データは装置によって獲得し、情報を先ず加工し、加工した情報を記憶容量上に記録する。
【0053】
本明細書において提示するファイルおよびプログラムは、任意の適切なプログラミング言語内にあり得る。ある種の実施態様においては、ADFは、ファイルを書式設定するためのメカニズムとしてXMLを使用する。さらに、ある種の実施態様においては、ADFは、パイソン(Python)をスクリプト言語として使用して、上記機器において利用し得る共通技術を使用して結果としてのロジック(result logic)を実行するためのメカニズムを提供する。任意の適切なファイルフォーマットおよびプログラミング言語を本明細書において提示する方法および装置において使用し得ることを認識されたい。ある種の実施態様においては、ファイルを暗号化して、偽造試薬の使用から保護し且つ分析実施時の特定のパラメーター細目を制御し得る。
【0054】
本明細書において使用するとき、“インプット”は、例えば、キーボード、水性ボールペン、マウス、音性認識装置または情報を使用者からコンピュータへ送信し得る他の装置から受入れたデータであり得る。また、入力装置は、ディスプレーと関連するタッチスクリーンでもあり得、その場合、使用者は、上記スクリーンに触れることによって、ディスプレー上のプロンプトに応答する。使用者は、文字情報をキーボードまたはタッチスクリーンのような入力装置によって入力する。
【0055】
本明細書において開示する各実施態様は、多くの他の一般的目的または特定目的のコンピュータシステム環境または構造によって操作可能である。本発明によって使用するのに適し得る周知のコンピュータシステム、環境および/または構造の例としては、限定するものではないが、マイクロコントローラ、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、携帯またはラップトップ装置、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサ系システム、プログラミング可能な家庭用電化製品、ネットワークPC類、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、上記のシステムまたは装置のいずれかを含む分散コンピューティング環境がある。
【0056】
本明細書において使用するとき、“命令”とは、上記装置における処理情報についてのコンピュータ実行段階を称する。命令は、ソフトウェア、ファームウェアまたはハードウェアにおいて実行し、上記装置の諸コンポーネントによって開始された任意のタイプのプログラム段階を含む。
【0057】
“マイクロプロセッサ”または“プロセッサ”は、Pentium (登録商標) プロセッサ、Intel (登録商標) CoreTM、8051プロセッサ、MIPS (登録商標) プロセッサまたはALPHA (登録商標) プロセッサのような任意の通常の一般的目的のシングル−またはマルチコアマイクロプロセッサであり得る。さらに、上記マイクロプロセッサは、デジタルシグナルプロセッサまたはグラフィックプロセッサのような任意の通常の特定目的のマイクロプロセッサであり得る。また、“プロセッサ”は、限定するものではないが、マイクロコントローラ、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、結合プログラム可能論理回路(CPLD)、プログラマブルロジックアレー(PLA)、マイクロプロセッサまたは多の同様な処理装置を称する。
【0058】
上記装置は、本明細書において詳細に説明しているような種々のモジュールからなる。当業者であれば認識し得ているように、上記モジュールの各々は、種々の下位決定方法(sub−routines)、手順、定義命令文およびマクロ(命令)を含む。上記モジュールの各々は、典型的には、単一の実行可能プログラムに個々にコンパイルし接続している。従って、上記モジュールの各々の以下の説明を便宜上使用して好ましい装置の機能性を説明する。即ち、上記モジュールの各々によって受けているプロセスは、他のモジュールの1つに任意に再分配し、一緒に単一モジュールに組合せ、或いは、例えば、共有可能な動的リンクライブラリにおいて利用可能にし得る。
【0059】
上記装置のある種の実施態様は、SNOW LEOPARD (登録商標)、iOS (登録商標)、LINUX(登録商標)、UNIX(登録商標)またはMICROSOFT WINDOWS (登録商標)のような各種オペレーティングシステムと組合せて使用し得る。
【0060】
上記装置のある種の実施態様は、アッセンブリ、C、C++、BASIC、パスカル(Pascal)またはジャバ(Java(登録商標))のような任意の通常のプログラミング言語で書き出され、そして、通常のオペレーティングシステム下に実施され得る。
さらに、上記モジュールまたは命令は、FLASHドライブ、CD−ROM、ハードディスクおよびDVDのような1以上のプログラミング可能な記憶装置に記憶させ得る。1つの実施態様は、記憶させた命令を有するプログラミング可能な記憶装置を含む。
【0061】
上記装置の幾つかの実施態様においては、上記装置は、さらに、例えば試験ストリップ上の試薬包装物、試薬を含む容器上の識別標識並びにサンプルまたは試験標本を含む容器上に存在する識別索引を読取る装置も含み得る。識別標識を読取る任意の適切な装置を本明細書において提示する装置において使用し得ることを認識されたい。同様に、上記機器上の上記装置と適合性のある任意の適切な識別標識を使用し得る。例としては、バーコード、QRコード(登録商標)、RFIDタグ、カラーコード等がある。典型的な実施態様においては、上記装置はバーコードリーダーであり得、識別標識は、バーコードを含み得る。
【0062】
典型的な反射アッセイ
もう1つの例としては、陽性MRSAアッセイ後に、バンコマイシン耐性決定基(1以上)、パントン・バレンタイン(Panton−Valentine)ロイコシジン(PVL)決定基についての反射アッセイ、或いはspaタイピングまたはブドウ球菌カセット染色体 mec (SCCmec)タイピングの試験によるMRSAの分類は、MRSAに対して陽性と試験している試験標本において実施する。バンコマイシン耐性決定基(1以上)、パントン・バレンタインロイコシジン(PVL)決定基についての適切な試験、或いはspaタイピングまたはSCCmecの試験によるMRSAの分類は、Mak et al, J. Clin. Microbiol. (2009) 12:4136;Reischl et al. Eur. J. Clin. Microbiol. Infect. Dis. (2007) 26:131−135;Narukawa et al., Tohoku J. Exp. Med. (2009) 218:207−213;Chongtrakool et al., Antimicrob. Agents Chemother. (2006) 50:1001−1012によって実証されているように当該技術において既知である;上記文献の各々は、その全体を参考として本明細書に取入れる。
【0063】
もう1つの例としては、先ずクロストリジウム・ディフィシレ(Clostridium difficile)について試験した重篤な下痢を示す患者からの糞便試験標本を使用して、反射アッセイを実施し、陽性に対しては毒素サブタイプを判定し、陰性に対しては異なる原因生物体について試験し得る。また、腸パネルについて試験している糞便試験標本がクロストリジウム・ディフィシレ試験に対して反射していた逆も真である。クロストリジウム・ディフィシレおよび毒素サブタイプについての適切な試験は、Kvach et al. J. Clin. Microbiol. (2010) 48:109−114;およびNorthey et al., J. Med. Microbio. (2005) 54:543−547によって実証されているように当該技術において既知である;上記文献の各々は、その全体を参考として本明細書に取入れる。
【0064】
もう1つの例としては、高熱を示す患者からの脳脊髄液試験標本を使用して、この試験標本またはサンプルを、先ず、全核酸試験を使用して、ウイルス感染について試験し得、さらに、細菌標的を見出す第2の試験を陰性で実施し得る。ウイルスおよび細菌感染についての適切な試験は、Mahoney et al, J. Clin. Microbiol. (2007) 45:2965−2970およびMelendez et al. Clin. Microbiol. Infect. (2010) 16:1762−1769によって実証されているように当該技術において既知である;上記文献の各々は、その全体を参考として本明細書に取入れる。
【0065】
もう1つの例としては、喀啖試験標本を使用して、これらの試験標本およびサンプルを、先ず、結核菌群(MTBC)およびリファンピン耐性について試験し得る。陽性である場合、反射をイソニアジドおよびフルオロキノロン耐性について実施して、株がMDRまたはXDRであるかどうか判定し得る。Mtbc、リファンピン、イソニアジドおよびフルオロキノロン耐性についての適切な試験は、Somoskovi et al. J. Clin. Microbiol. (2003) 41:2822−2826;Saribas et al., J. Clin. Microbiol. (2003) 41:816−818;Rindi et al. J. Microbiol. Methods (2003) 55:797−800;Ip et al., J. Clin. Microbiol. (2006) 4:970−975によって実証されているように当該技術において既知である;上記文献の各々は、その全体を参考として本明細書に取入れる。
【0066】
もう1つの例としては、ICU患者の気管支肺胞吸引物を使用して、KPC/OXA/NDMカルバペネマーゼについての初期スクリーニングを実施し得る。陰性と判明した場合、VIM/IMPスクリーニングを実施し得る。KPC/OXA/NDM検出およびVIM/IMPスクリーニングについての適切な試験は、Nordmann et al. Clin. Microbiol. Infect. (2002) 8:321−331;およびMonteiro et al. J. Antimicrob. Chemother. (2012)によって実証されているように当該技術において既知である;上記文献の各々は、その全体を参考として本明細書に取入れる。
【0067】
もう1つの例としては、サンプルを使用して、グラム染色およびmaldi (マトリックス支援レーザー脱離イオン化)同定の後、アッセイを、耐性マーカーパネルのパネル上でグラム陽性(グラムが陽性である場合)およびグラム陰性パネル(グラムが陰性である場合)について実施し得る。この場合、反射戦略は、同定のためのもう1つの方式または試験の後である。グラム陽性およびグラム陰性スクリーニングについての適切な試験は、Carroll et al. J. Clin. Microbiol. (2000) 5:1753−1757によって実証されているように当該技術において既知である;該文献は、その全体を参考として本明細書に取入れる。
【0068】
もう1つの例としては、食品サンプルまたは環境サンプルを使用して、リステリア菌種スクリーニングを先ず実施し得る。陽性を同定した場合、リステリア モノサイトゲネス(L. monocytogenes)についての特異的反射アッセイを実施し得る。リステリア菌種およびリステリア モノサイトゲネスを検出する適切な試験は、Bubert A. App. Environ. Microbiol. (1999) 10:4688−4692;およびBorucki et al., J. Clin. Microbiol. (2003) 41:5537−5540によって実証されているように当該技術において既知である;上記文献の各々は、その全体を参考として本明細書取入れる。
【0069】
もう1つの例としては、水サンプルまたは製薬環境サンプルを使用してTVCアッセイを実施し得る。初期アッセイが陽性である場合、反射アッセイは、グラム陽性またはグラム陰性または大腸菌もしくは腸球菌もしくはバチルスに対する特異的アッセイについて実施し得る。TVCについての、さらに、グラム陽性およびグラム陰性スクリーニングについての適切な試験は、Ereveeval et al., J. Clin. Microbiol. (2003) 41:5466−5472;およびCarroll et al. J. Clin. Microbiol. (2000) 5:1753−1757によって実証されているように当該技術において既知である;上記文献の各々は、その全体を参考として本明細書に取入れる。
【0070】
もう1つの典型的な実施態様は、嚢胞性線維症を示すまたは示す疑いのある対象者からの試験標本の試験に関する。例えば、第1試験を対象者からのサンプルまたは試験標本に対して実施して、標的分析物、例えば、緑膿菌(Psuedomonas aeruginosa)および/またバークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)と関連する標的核酸配列の存在について試験する。本明細書において説明する各実施態様において有用な緑膿菌および/またはバークホルデリア・セパシアの検出のためのアッセイの非限定的な例としては、例えば、Spilker et al. (2004), J. Clin. Microbiol. 42(5):2074−2079およびVonberg et al., (2006), J. Med. Micriobiol. 55(Pt. 6):721−727に記載されているアッセイがある。いずれかの病原体について陽性として試験しているサンプルにおいては、抗生物質耐性決定基についての反射試験、例えば、テトラサイクリン、ナリジクス酸、ノルフロアシン(norfloacin)、クロラムフェニコール、シルプフロキサシン(cirpfloxacin)等を示す標的核酸を決定する試験を実施し得る。
【0071】
上記の一覧は、本明細書において提示する方法および装置の例を示すことのみを意味すること並びに任意の適切な反射分析を初期分析の結果に基づいて実施し得ることを認識されたい。
実施例
本発明を一般的に説明してきたが、さらなる理解は、単に説明目的のためのみに提示しており、限定するつもりはないある種の特定の実施例を参照することによって得ることができるであろう。
【実施例1】
【0072】
反射分析用のサンプルの同定
本実施例は、サンプル調製、処理および分析用の自動機器を使用してのPCR試験の終了時における反射分析用のサンプルの同定を説明する。各々個々のサンプル管内の12の生物学的試験標本のパネルを処理して分離核酸を含むそれぞれの溶液サンプルを得る。各試験ストリップは、図1において“反応管”として示している細胞溶解用の管を含む。また、上記試験ストリップは、図1において位置1、2および3として示す3本のさらなる管のための位置も含む。位置3には、最終抽出核酸溶液、即ち、分離核酸を含むサンプル溶液を保持するように設定された円錐管が存在する。また、図1に示しているように、上記試験ストリップは、抽出溶液を保持する上記試験ストリップ内のさらなる貯蔵容器位置、廃液を保持する廃棄室および使い捨てピペットを保持する数本のさやも含む。また、上記試験ストリップは、ストリップの一端のバーコードのような識別標識を有するように背呈されている。
【0073】
使用者は、抽出管を位置1に、また、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)および黄色ブドウ球菌(メチシリン感受性黄色ブドウ球菌を含む)の検出および/または同定用のマスターミックス、例えば、BD GENEOHMTM StaphSRTM アッセイ試薬(ニュージャージー州フランクリンレークス、Becton Dickinson社)を12本の試験ストリップの各々の位置2に置く。各試験標本を、上記反応管内で、溶解緩衝液によって自動的に処理し、得られた液体の一部を上記抽出管に自動的に移し、ビーズ系核酸抽出を、抽出溶液を使用して実施し、最終の抽出核酸溶液サンプルを位置3の円錐管に移す。各試験ストリップの円錐管内の抽出核酸溶液サンプルの総容量は25μLである。この抽出核酸溶液の12.5μLアリコートを隣接のマスターミックス管に自動的にピペット移送してStaphSRTM マスターミックスを再構成する。このマスターミックスをPCR分析用の反応カートリッジに移す。PCR後、12サンプルのうちの6サンプルをMRSAまたは黄色ブドウ球菌に対する陽性として示し、ムピロシン耐性に対する候補として同定し、従って、以下の実施例において示すようなさらなる分析用に選定する。
【実施例2】
【0074】
抽出核酸溶液の新たな試験ストリップへの手作業による移送および反射PCR分析用の新たなマスターミックス管への自動移送
MRSAおよび黄色ブドウ球菌についてのPCR分析を使用してのサンプル調製および処理を実施例1において上述したようにして実施する。ムピロシン耐性についての反射分析において同定したサンプルに相応する6本の使用試験ストリップの各々を、新たなラックのレーン1〜6に再配置する。新たな試験ストリップを、別のラックのレーン1〜6に配置する。さらなる15μLの溶出緩衝液を、上記の実施例1において実施したStaphSRTM試験からの陽性サンプルに関連する各試験ストリップ内の残りの抽出核酸溶液に添加する。上記試験標本から得られた分離核酸を含む残留または残りのサンプルの一部を新たな試験ストリップの位置3に移す。使用者は、ムピロシン耐性PCR分析用のマスターミックスを6本の新たな試験ストリップの各々の位置2に置く。抽出核酸溶液の12.5μLアリコートを、新たな試験ストリップ上に配置した新たなピペットを使用して、隣接のマスターミックス管に自動的にピペット移送してムピロシン耐性PCR分析用のマスターミックスを再構成する。
上記反射PCR分析は、反射試験用に選択したサンプルのサブセットがムピロシン耐性に対して陽性であることを示している。
【実施例3】
【0075】
抽出核酸溶液の反射PCR分析用の新たな試験ストリップ上の新たなマスターミックス管への自動移送
StaphSRTMアッセイを使用してのサンプル処理および試験を、実施例1において上述したようにして実施する。ムピロシン耐性についての反射分析において同定したサンプルに相応する6本の使用試験ストリップの各々を、新たなラックのレーン1〜6に再配置する。新たな試験ストリップを、別のラックのレーン1〜6に配置する。さらなる15μLの溶出緩衝液を、レーン1〜6の各試験ストリップ内の残りの抽出核酸溶液に添加する。抽出核酸溶液の12.5μLアリコートを、新たな試験ストリップ上に配置した新たなピペットを使用して、相応する新たな試験ストリップ上のマスターミックス管に自動的にピペット移送してムピロシン耐性PCR分析用のマスターミックスを再構成する。
上記反射PCR分析は、反射試験用に選択したサンプルのサブセットがムピロシン耐性に対して陽性であることを示している。
【実施例4】
【0076】
抽出核酸溶液の反射PCR分析用の同じ試験ストリップ上の新たなマスターミックス管への自動移送
サンプル処理およびMRSAについてのPCR分析を、4スナップストリップを図2に示すようにして使用することは除いて、実施例1において上述したようにして実施する。具体的には、上記4スナップストリップは、実施例1〜3において使用する試験ストリップと同様な形に設定されているが、該ストリップは、さらなるマスターミックス管の必要に応じての設置のための1つのさらなる位置(“位置4”)を含む。ムピロシン耐性について反射分析において同定する6サンプルの各々において、さらなる15μLの溶出緩衝液を、各試験ストリップ内の残りの抽出核酸溶液に添加する。使用者は、ムピロシン耐性PCR分析用のマスターミックスを、反射分析において同定する6本の試験ストリップの各々の位置4に置く。抽出核酸溶液の12.5μLアリコートを、新たな試験ストリップ上に配置した新たなピペットを使用して、位置4のマスターミックス管に自動的にピペット移送してムピロシン耐性PCR分析用のマスターミックスを再構成する。核酸増幅を上述のようにして実施する。
上記反射PCR分析は、反射試験用に選択したサンプルのサブセットがムピロシン耐性に対して陽性であることを示している。
【0077】
本発明は、説明した特定の実施態様に限定するものではなく、そのようなものとして、勿論、多様化し得るものと理解すべきである。また、本明細書において使用する専門用語は特定の各実施態様の説明目的のみであって、限定するつもりはないことも理解すべきである。
【0078】
他で定義しない限り、本明細書において使用する全ての技術および科学用語は、各実施態様が属する技術における通常の熟練者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。本明細書において説明する方法および材料と同様なまたは等価の任意の方法および材料も各実施態様の実施または試験において使用し得るけれども、好ましい方法および材料も説明する。
【0079】
本明細書において使用するときの用語“含む(comprising)”は、“含む(including)”、“含有する(containing)”または“特徴とする(characterized by)”と同義であり、包括的または非限定的であって、追加の、説明されていない要素または方法段階を除外しない。
【0080】
本明細書または特許請求の範囲において使用するとき、単数形の“1つ(a)”、“および(and)”および“前記、上記または該(the)”は、文脈が明白に他を説明していない限り、複数指示対象を包含することに留意しなければならない。従って、例えば、“方法(a method)”への言及は、複数のそのような方法および当業者にとって既知の等価方法等を包含する。
【0081】
限定するものではないが、公開および未公開出願、特許および文献のような本明細書において引用する全ての参照物は、それら全体を参考として本明細書に取入れ、それによって、本明細書の一部をなす。参考として取入れた刊行物および特許または特許出願が本明細書に含まれる開示と相反する限りは、本明細書が、そのようなあらゆる相反する題材に優先するおよび/または勝るものとする。
【0082】
本明細書において開示する実施態様に関連して説明した方法またはアルゴリズムの段階は、ハードウェア、プロセッサによって実行するソフトウェアモジュールまたはこれら2つの組合せにおいて直接具現化し得る。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD−ROM、または当該技術において既知の任意の他の形状の記憶媒体内に存在し得る。典型的な記憶媒体はプロセッサと接続し得、そのようなプロセッサは、情報を記憶媒体から読み取るまたは情報を記憶媒体に書入れることが可能である。選択的には、上記記憶媒体は、上記プロセッサと一体化し得る。上記プロセッサおよび記憶媒体はASIC内に存在し得る。ASICは、ユーザー端末に存在し得る。選択的に、上記プロセッサおよび記憶媒体は、ユーザー端末内の別々のコンポーネントとして存在し得る。
なお、本発明としては、以下の態様も好ましい。
〔1〕
下記の段階を含むことを特徴とする、複数の試験標本の自動分析の実施方法:
a) 1種以上の標的分析物のために前記複数の試験標本から複数のサンプルを1以上のそれぞれの分析ワークフローに従って受入れ且つ処理するように設定された自動機器を準備する段階;
b) 試験すべき複数のサンプルを準備する段階;
c) 試験すべき前記複数のサンプルの各々の第1の部分を、第1の標的分析物に関する第1試験用の試薬を含む複数の第1容器の各々に自動的に移す段階;
d) 前記複数のサンプルの一部に関する前記第1試験を第1の分析ワークフローに従って自動的に実施して第1の標的分析物の存在を決定する段階;
e) 前記第1の標的分析物の存在を決定した前記複数のサンプルからサブセットサンプルを選択する段階;
f) 第2の分析ワークフローに従って第2の標的分析物の存在を決定するため、段階e)から選択したサブセットサンプルの第2の部分を、第2試験用の試薬を含む第2容器に自動的に移す段階;および、
g) 前記選択したサブセットサンプルの前記第2の部分に関する前記第2試験を自動的に実施する段階。
〔2〕
前記複数のサンプルの各々が、複数の試験標本の各々に由来する単離核酸の前処理溶液を含む、〔1〕記載の方法。
〔3〕
前記自動機器によって前記複数の試験標本を自動的に処理して、単離核酸を含む前記複数のサンプルの各々を取得する、〔2〕記載の方法。
〔4〕
各サンプルについて、前記サンプルと、第1試験用の試薬を含む前記第1容器とが第1試験ストリップ上に配置されており;そして、段階f)が、前記サンプルの第2の部分を、前記第2試験用の試薬を含み第2試験ストリップ上に配置した前記第2容器に自動的に移す段階をさらに含む、〔1〕記載の方法。
〔5〕
段階e)が、さらに、下記の段階を含む、〔4〕記載の方法:
e1) 前記複数の第1試験ストリップのサブセットを前記第2試験のために同定する段階;および、
e2) 前記サブセットにおける各第1試験ストリップについて、第2の分析物に関する第2試験用の試薬を含む容器を含む相応する第2試験ストリップを準備する段階。
〔6〕
前記第2試験ストリップが、少なくとも1本のピペットチップを含む、〔4〕または〔5〕記載の方法。
〔7〕
前記方法が、段階f)の前に、さらなる液体を前記サンプルに添加する段階を含む、〔4〕または〔5〕記載の方法。
〔8〕
各サンプルについて、前記サンプル、前記第1容器、および前記第2容器の置場を、1本の試験ストリップ上に配置する、〔1〕記載の方法。
〔9〕
前記方法が、段階e)の前に、下記の段階を含む、〔8〕記載の方法:
d1) 前記複数の第1試験ストリップのサブセットを前記第2分析物に関する試験のために同定する段階;および、
d2) 前記サブセットにおける各試験ストリップについて、前記第2試験用の試薬を含む前記第2容器を前記置場内に準備する段階。
〔10〕
前記方法が、段階f)の前に、前記サンプルの前記第2の部分を、前記第2試験用の試薬を含む前記第2容器に移すように設定されたピペットチップを準備する段階を含む、〔8〕〜〔9〕のいずれか1項記載の方法。
〔11〕
前記ピペットチップが、未使用ピペットチップである、〔10〕記載の方法。
〔12〕
前記ピペットチップが、洗浄ピペットチップである、〔10〕記載の方法。
〔13〕
前記方法が、段階f)の前に、さらなる液体を前記サンプルに添加する段階を含む、〔8〕〜〔12〕のいずれか1項記載の方法。
〔14〕
前記第1または前記試験が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、転写介在増幅(TMA)、オリゴヌクレオチド結紮アッセイ(OLA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、ローリングサークル増幅(RCA)、鎖置換増幅(SDA)およびハイブリッド化反応から選ばれる群から選ばれる反応を含む、〔1〕〜〔13〕のいずれか1項記載の方法。
〔15〕
前記方法が、試験ストリップ上の識別標識を、前記機器に記憶された1群の分析特有の同定データと比較する段階をさらに含む、〔1〕〜〔14〕のいずれか1項記載の方法。
〔16〕
複数の試験標本の各々に由来する複数のサンプルに関する自動分析を実施するシステムであって、自動機器、プロセッサ、記憶容量、および自動分析を実施するためのプログラムを含み、
該自動機器が、複数のサンプルを1以上の分析ワークフローに従って受入れ且つ処理するように設定されており、該機器が複数の試験ストリップを含み、
該プログラムが、下記の各段階に関する命令を含むことを特徴とする前記システム:
a) 複数のサンプルを1以上の分析ワークフローに従って受入れ且つ処理するように設定された自動機器を準備する段階(該機器は、複数の試験ストリップを含む);
b) 各サンプルの第1の部分を、第1試験用の試薬を含む複数の第1容器の各々に自動的に移す段階;
c) 前記第1試験を実施して第1の標的分析物の存在を決定する段階;
d) 前記各サンプルの第2の部分または前記各サンプルの選択されたサブセットを、第2試験用の試薬を含むそれぞれの第2容器に自動的に移す段階;および、
e) 前記各サンプルの前記第2の部分または前記各サンプルの選択したサブセットに関する第2試験を実施して第2の標的分析物の存在を決定する段階。
〔17〕
前記プログラムが、核酸を前記複数の試験標本から自動的に単離して、単離した核酸を含む複数のサンプルの各々を取得するための命令をさらに含む、〔16〕記載のシステム。
〔18〕
各サンプルについて、前記サンプルと、前記第1試験用の試薬を含む前記第1容器とが第1試験ストリップ上に配置されており;そして、段階e)が、前記抽出核酸溶液の一部を、第2試験ストリップ上に配置した第2のマスターミックス管に自動的に移す段階をさらに含む、〔16〕記載のシステム。
〔19〕
各サンプルについて、前記サンプル、前記第1容器、および前記第2容器の置場を、1本の試験ストリップ上に配置し;前記プログラムが、下記の段階に関する命令を含む〔16〕記載のシステム:
d1) 前記複数の第1試験ストリップのサブセットを前記第2の分析物に関する試験のために同定する段階;および、
d2) 前記サブセットにおける各第1試験ストリップについて、前記第2試験用の試薬を含む相応する第2容器を前記置場内に準備する段階。
〔20〕
複数の試験標本に関する反射試験の実施方法であって、下記の段階を含むことを特徴とする前記方法:
a) 試験すべき複数の試験標本を準備する段階;
b) 前記複数の試験標本を処理してそれぞれ複数のサンプルを取得する段階;
c) 試験すべき前記複数のサンプルの各々の第1の部分を、第1の標的分析物に関する第1試験用の試薬を含む複数の第1容器の各々に移す段階;
d) 前記複数のサンプルの一部に関する前記第1試験を実施して第1の標的分析物の存在を決定する段階;
e) 前記第1の標的分析物の存在を決定した前記複数のサンプルからサブセットサンプルを反射試験において選択する段階;
f) 第2の標的分析物の存在を決定するため、段階e)からの選択したサブセットサンプルの第2の部分を、第2試験用の試薬を含む第2容器に移す段階;および、
g) 選択したサブセットサンプルの前記第2の部分に関する前記第2試験を実施する段階。
〔21〕
前記第1試験が、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌の同時検出に関する試験を含み;前記第2試験が、ムピロシン耐性に対する決定因子の検出のための試験を含む、〔1〕記載の方法。
〔22〕
ムピロシン耐性に対する前記決定因子が、mupA遺伝子を含む、〔21〕記載の方法。
〔23〕
1種の試験標本に関する反射試験を実施する方法であって、下記の段階を含むことを特徴とする前記方法:
a) 試験すべき試験標本を準備する段階;
b) 前記試験標本を処理してそれぞれのサンプルを取得する段階;
c) 試験すべき前記サンプルの第1の部分を、第1の標的分析物に関する第1試験用の試薬を含む第1容器に移す段階;
d) 前記サンプルの前記第1の部分に関する前記第1試験を実施して前記第1の標的分析物の存在を決定する段階;
f) 前記第1の標的分析物を前記サンプルの前記第1の部分において検出した場合、第2の標的分析物の存在を決定するため、前記サンプルの第2の部分を、第2試験用の試薬を含む第2容器に移送する段階;および、
g) 前記サンプルの前記第2の部分に関する前記第2試験を実施する段階。
〔24〕
前記第1試験が、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌の同時検出に関する試験を含み;前記第2試験が、ムピロシン耐性に対する決定因子の検出のための試験を含む、〔23〕記載の方法。
〔25〕
ムピロシン耐性に対する前記決定因子が、mupA遺伝子を含む、〔24〕記載の方法。
図1
図2
図3