特許第6832336号(P6832336)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6832336アルコール乱用の治療におけるγ−ヒドロキシ酪酸の選択されたアミドおよびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6832336
(24)【登録日】2021年2月3日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】アルコール乱用の治療におけるγ−ヒドロキシ酪酸の選択されたアミドおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07C 235/06 20060101AFI20210215BHJP
   C07C 231/02 20060101ALI20210215BHJP
   A61K 31/165 20060101ALI20210215BHJP
   A61P 25/30 20060101ALI20210215BHJP
   A61P 25/32 20060101ALI20210215BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20210215BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20210215BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20210215BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20210215BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20210215BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20210215BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20210215BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20210215BHJP
【FI】
   C07C235/06CSP
   C07C231/02
   A61K31/165
   A61P25/30
   A61P25/32
   A61P25/00
   A61P25/20
   A61P11/00
   A61P25/24
   A61P25/22
   A61P25/18
   A61P25/00 101
   A61P25/14
   !C07B61/00 300
【請求項の数】13
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-502356(P2018-502356)
(86)(22)【出願日】2016年8月3日
(65)【公表番号】特表2018-523644(P2018-523644A)
(43)【公表日】2018年8月23日
(86)【国際出願番号】EP2016068517
(87)【国際公開番号】WO2017021438
(87)【国際公開日】20170209
【審査請求日】2019年7月5日
(31)【優先権主張番号】102015000041820
(32)【優先日】2015年8月4日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】510129185
【氏名又は名称】ラボラトリオ ファルマセウティコ シー.ティ.ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100152054
【弁理士】
【氏名又は名称】仲野 孝雅
(72)【発明者】
【氏名】カチャグリア ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ロシェ アントネッラ
【審査官】 三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特表2000−516225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 235/06
C07C 231/02
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】
またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
式(I)の化合物を調製する方法であって、以下の反応スキーム
【化2】
に従って、式R1の化合物を、式R2の4−メトキシ酪酸メチルと反応させる工程を含む、方法。
【請求項3】
前記反応がNHClに基づいた触媒の存在下で実施される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
NHClが試薬Rの重量に対して8〜12重量%の量で加えられる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
試薬RおよびRが等モルである、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記反応が120〜170℃の温度で実施される、請求項2〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
試薬4−メトキシ酪酸メチルR2が、以下の反応スキーム:
【化3】
に従って、酸性環境中でγ−ブチロラクトンR3を、オルトギ酸メチルR4と反応させることによって調製される、請求項2〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記酸性環境が硫酸によるものであり、溶媒がメタノールである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
薬物依存症の予防および/または治療用の医薬を製造するための式(I)を有する化合物
【化4】
またはその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項10】
強硬症、睡眠発作、不眠症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、鬱病、不安症、統合失調症に関連する不眠症、過剰な鎮静作用、本態性振戦、慢性疲労症候群、慢性的な不眠症または有害物質からの神経防護作用から選択される障害の予防または治療用の医薬を製造するための請求項1に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項11】
アルコール乱用、アルコール依存症、アルコール使用障害の予防または治療用の医薬を製造するための請求項1に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項12】
求項1に記載の式(I)の化合物と、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物。
【請求項13】
前記式(I)の化合物を50〜500mgの量で含む請求項12に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、γ−ヒドロキシ酪酸の選択されたアミド、その製造方法および使用に関する。
【0002】
本発明は、抗依存症薬の分野、特にアルコール使用障害(AUD)を治療するための薬物の分野に属する。
【背景技術】
【0003】
γ−ヒドロキシ酪酸、すなわちGHBは、哺乳動物の脳の内因性(andogenous)成分であり、それは神経伝達物質および神経修飾物質としての役割を果たす。GHBは、現在、特にアルコール離脱の症状および再発率を低減または予防するためにアルコール依存症の治療に使用されている。典型的に、薬理学的使用に関して、GHBはナトリウムオキシベートとして知られている、そのナトリウム塩の形態で投与される。
【0004】
ナトリウムオキシベートの薬物動態プロファイルは、低いバイオアベイラビリティ(約30%)および迅速な排出を含む、いくつかの満たされていない態様によって特徴付けられる。実際に、ナトリウムオキシベートは経口投与後に迅速に吸収され、30〜45分以内にピーク血漿濃度に達するが、それはまた、非常に短い半減期(約30分)で迅速に排出される。この後者の薬物動態特性は、満たされた治療結果を得るために1日3回に対応する投与頻度を必要とする。
【0005】
この薬物の短い半減期は重大な欠点となる。なぜならそれは患者の服薬順守をかなり低減させ、その結果として治療結果をかなり低減させるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、AUD治療を標的とするさらなる薬物について、およびナトリウムオキシベートより有益な薬物動態プロファイルを有する薬物についての一般的必要性が存在している。
【0007】
本発明の全体的な目的の1つは、AUD治療のための新規の安全かつ有効な薬物を提供することである。
【0008】
本発明の特定の目的は、国際公開第98/06690 A1号に開示されている化合物4−メトキシ−N−[[4−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]−ブタンアミドより改善された活性を有する、アルコール依存症またはアルコール乱用を治療するための化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はここで、γ−ヒドロキシ酪酸の選択されたアミドが、アルコールおよび/または薬物依存症の予防および治療において、公知の化合物より予想外の高い効果を提供することを発見した。
【0010】
また、本発明の選択された化合物が、GHBおよびその塩より長い作用持続期間を有することが見出された。
【0011】
本発明の化合物は、医療分野、特に向精神剤に対する依存の治療、ならびに/またはアルコール依存症およびアルコール離脱症候群の治療に応用される。
【0012】
第1の態様によれば、本発明は、以下の式(I)
【化1】
を有する選択された化合物を提供する。
【0013】
別の態様によれば、本発明は、上記の式(I)の化合物を調製する方法であって、以下の反応スキーム
【化2】
に従って、式R1の化合物を、式R2の4−メトキシ酪酸メチルと反応させる工程を含む、方法に関する。
【0014】
さらなる態様によれば、本発明は、概して、CNSの障害および/もしくはエタノールへの依存の治療またはアルコール依存症の治療における上記に例示した式(I)の化合物の使用に関する。
【0015】
なおさらなる態様によれば、本発明は、上記に例示した式(I)の化合物と、少なくとも1つの生理学的に許容可能な担体とを含む組成物に関する。
【0016】
本発明の特徴および利点は、以下の詳細な説明および例示として提供した実施例および非限定的なプロセスおよび添付の図1〜7から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1-1】2つのボトルの自由選択レジメンに曝露されたsPラットにおけるアルコール摂取に対するACGET61として特定した式(I)の化合物の効果を例示する棒グラフを示す。
図1-2】2つのボトルの自由選択レジメンに曝露されたsPラットにおけるアルコール摂取に対するACGET61として特定した式(I)の化合物の効果を例示する棒グラフを示す。
図2】sPラットにおけるアルコールのFR4オペラント自己投与に対するACGET61の効果を例示する棒グラフを示す。
図3】sPラットにおけるアルコールのPRオペラント自己投与に対するACGET61の効果を例示する棒グラフを示す。
図4】海馬スライスにおけるK+誘発性グルタミン酸流出を例示する棒グラフを示す。
図5】海馬スライスにおけるK+誘発性グルタミン酸流出を例示する棒グラフを示す。
図6】エタノール(EtOH;75mM、4日)に曝露した海馬細胞培養物における細胞生存率に対するACGET61の効果を示す。
図7】エタノール(EtOH;75mM、4日)に曝露した海馬細胞培養物におけるROS生成に対するACGET61の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明者らは、本明細書以下に例示される式(I)を有するγ−ヒドロキシ酪酸の選択されたアミドが、代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ5(mGluR5)の有効な負のモジュレーターとして作用し、アルコール使用障害の治療に特に有用であることを見出した。
【0019】
さらに、出願人は、予想外に、本発明の式(I)の化合物が、GET73などのその位置異性体と比べて改善された抗アルコールプロファイルを有することを見出した。
【0020】
本発明の式(I)の化合物の作用機構は、グループIの代謝型グルタミン酸受容体、サブタイプ5(mGluR5)を標的とした複合体調節に基づく。これは薬理学的関連性のCNS受容体のクラスである。実験的証拠により、所与の化合物の非常に小さな構造的変化が、有効性、および上記の受容体の調節の種類の両方に劇的に影響を与え得ることが示される(Melanconら、2012)。
【0021】
実験的証拠により、本発明の式(I)の化合物は、グループIの受容体、サブタイプ5(mGluR5)に対して高い特異性を有することが示される。この特異性は、異なる前臨床モデルにおいてアルコール消費/摂取を低減させる能力およびmGluR5の調節を介してグルタミン酸神経伝達に影響を与える能力などの、その神経薬理学的特性に基づく。さらに、本発明の化合物は神経保護効果を与える。
【0022】
したがって、第1の態様によれば、本発明は、以下の式(I)を有する化合物
【化3】
を提供する。
【0023】
公知のγ−ヒドロキシ酪酸のアミドGET73と比較して式(I)の化合物は、アルコール消費を低減させる際に、より長く持続する活性(24時間対3時間)、アルコール自己投与のいくつかのオペラントモデルにおける有効性(表1を参照のこと)、および海馬スライスにおけるCHPGにより誘発されるグルタミン酸塩の増加を阻害する際のより大きな効力(300pM対500nM)を示す。さらに、本発明の化合物は、公知のγ−ヒドロキシ酪酸のアミドと比較してアルコールへの慢性曝露によって誘導される損傷から海馬ニューロンを保護する際に、より大きな効力(0.1対1μM)を有する。
【0024】
これらの改善された効果および本発明の化合物の活性は、標的化されたグループIの代謝型グルタミン酸受容体、サブタイプ5(mGluR5)の調節に基づく。これらの受容体はGタンパク質共役受容体(GPCR)のファミリーCに属する。それらは、大きな二葉細胞外アミノ末端ドメインに結合した7回膜貫通(7TM)α−螺旋ドメインによって特徴付けられる。オルソステリックの結合部位は細胞外ドメイン内に含まれるが、現在公知のアロステリック結合部位は7TMドメイン内に存在する。
【0025】
mGluRファミリーは、8個の受容体型を含み、それらの構造、好ましいシグナル伝達機構、および薬理学に基づいて3つのグループに分けられる(グループI、IIおよびIII)(Schoeppら、1999)。
【0026】
グループI受容体(mGluR1およびmGluR5)はGαqに結合し、ホスホリパーゼCの刺激ならびに細胞内カルシウムおよびイノシトールリン酸レベルの増加を導く。mGluR5は、依存症を含む、広範囲の神経学的および/または精神疾患に関与している。
【0027】
CNSにおいて、mGluR5は、感情および動機付け応答、記憶ならびに認知機能に関与することが知られている脳領域である、主に皮質、海馬、側坐核および尾状核被殻において発現されることが実証されている。
【0028】
アルコール依存症に関して、実験的証拠により、アルコール促進および動機付け特性ならびにアルコール探索行動の回復におけるmGlu5受容体の重要性が示される。さらに、MPEM、およびMTEPなどのmGlu5受容体のネガティブアロステリックモジュレーター(NAM)は、アルコール探索および再発様行動を低減させるのに有効であることが実証された。
【0029】
これらの見解に基づいて、mGluR5受容体は、アルコール使用障害を治療することを目的とする新規薬物を開発するための広く認められた有益な標的である(Olive、2009)。最終的に、MPEPおよびMTEPは神経防護作用であることが証明され、CNSの機能および完全性に対してアルコールによって与えられる有害作用に対抗できる可能性のある薬物の開発に対してさらなる支持を提供する。
【0030】
式(I)の化合物の抗アルコールプロファイルは、アルコール摂取、乱用および依存の異なる態様の評価のために使用される十分に確立された動物モデルで実施されている実施例2において報告される実験によって証明される。
【0031】
その別の態様において、本発明は、以下の反応スキーム
【化4】
に従って式R1の化合物を、式R2の4−メトキシ酪酸メチルと反応させる工程を含む、式(I)の化合物を調製する方法に関する。
【0032】
特定の実施形態において、上記の反応は、R1の量に対して典型的に1:5〜1:20の量で触媒、特にNHClの存在下で実施される。好ましくは、触媒、特にNHClは試薬R1の重量に対して8〜12重量%の量で加えられる。
【0033】
本方法のいくつかの実施形態において、試薬R1およびR2は等モルである。
【0034】
特定の実施形態において、反応は、例えば120〜170℃、好ましくは140℃〜160℃の温度範囲の加熱下で実施される。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、4−メトキシ酪酸メチルR2は、以下の反応スキーム:8.7に従って、溶媒として好ましくは硫酸およびメタノールを使用して、典型的に酸性環境中でγ−ブチロラクトンR3を、オルトギ酸メチルR4と反応させることによって調製される。
【化5】
【0036】
さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能もしくは食用の塩と、薬学的に許容可能または食用の担体および/または賦形剤とを含む医薬組成物に関する。本明細書に使用される場合、「塩」という用語は、無機もしくは有機酸または無機もしくは有機塩基および内部で形成される塩から調製される本発明による化合物の任意の塩を指す。典型的に、このような塩は生理学的に許容可能なアニオンまたはカチオンを有する。
【0037】
式(I)の化合物は結晶形態であってもよい。特定の実施形態において、式(I)の化合物の結晶形態は多型である。
【0038】
さらなる態様によれば、本発明は、上記の例示した式(I)の化合物と、少なくとも1種の生理学的に許容可能な担体とを含む組成物に関する。
【0039】
典型的に、組成物は、式(I)の化合物が治療有効量で存在する医薬組成物である。
【0040】
式(I)の化合物は、特に薬物依存症もしくはアルコール依存症の治療において、または慢性的なアルコール欲求およびアルコール飲料を消費する習慣もしくは離脱症候群を低減させるのに使用するために、単独で、またはγ−ヒドロキシ酪酸のさらなるアミドなどの1つもしくは複数の有効成分と組み合わせて投与されてもよい。
【0041】
本発明の医薬組成物は、本発明の化合物および薬学的に許容可能な担体を混合することによって作製される任意の組成物を包含する。このような組成物は動物またはヒトにおける薬学的用途に適している。
【0042】
医薬組成物は任意に他の有効成分を含有してもよい。「担体」という用語は、治療または有効成分と一緒に投与されるビヒクル、賦形剤、希釈剤、またはアジュバントを指す。投与に望まれる調製物の形態に適した任意の担体および/または賦形剤は、本明細書に開示される化合物との使用を意図する。
【0043】
担体は、投与、例えば経口または非経口(静脈内を含む)に望まれる調製物の形態に応じて多種多様の形態をとってもよい。
【0044】
経口剤形用の組成物を調製する際に、例えば、懸濁剤、エリキシル剤および液剤などの経口液体調製物の場合、水、グリコール、油、アルコール、矯味矯臭剤、防腐剤、着色剤および同種のもの;または例えば、粉剤、硬質および軟質カプセル剤ならびに錠剤などの経口固体調製物の場合、デンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤および同種のものなどの担体などの有用な薬学的媒体のいずれかが利用されてもよく、固体経口調製物が液体調製物より好ましい。
【0045】
特定の実施形態において、本発明の化合物は、従来の薬学的配合技術に従って、有効成分として適合性の混合物中で適切な薬学的担体および/または賦形剤と混合されてもよい。
【0046】
組成物は、皮下、筋肉内、および静脈内、鼻腔、直腸、局所または経口投与を含む、非経口に適した組成物を含む。
【0047】
任意の所与の場合、適切な投与経路は、治療される状態の性質および重症度ならびに有効成分の性質に部分的に依存する。例示的な投与経路は経口経路である。組成物は、簡便には、単位剤形で提示され、製剤分野において周知の方法のいずれかによって調製されてもよい。好ましい組成物は経口投与に適した組成物を含む。経口組成物は製剤分野において周知の方法のいずれかによって調製されてもよい。
【0048】
固体形態の医薬組成物は、錠剤、丸薬、カプセル剤、粉剤、坐剤の形態であってもよく、持続放出製剤としてでもよい。
【0049】
所望の場合、錠剤は標準的な水性または非水性技術によってコーティングされてもよい。特定の実施形態において、そのような組成物および調製物は、少なくとも0,5または1%の活性化合物を含有してもよい。これらの組成物中の活性化合物のパーセンテージは、勿論、変化させてもよく、簡便には、1〜60重量%、5〜50重量%、10〜30重量%の単位であってもよい。このような治療的に有用な組成物中の活性化合物の量は、治療活性投薬量が得られるような量である。活性化合物はまた、例えば、液滴またはスプレーのように鼻腔内に投与されてもよい。
【0050】
錠剤、丸薬、カプセル剤、および同種のものはまた、トラガカントガム、アカシア、コーンスターチまたはゼラチンなどの結合剤;リン酸二カルシウムなどの賦形剤;コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;およびスクロース、ラクトースまたはサッカリンなどの甘味剤を含有してもよい。単位剤形がカプセルである場合、それは、上記の種類の物質に加えて、脂肪油などの液体担体を含有してもよい。種々の他の物質が、コーティングとして存在してもよく、または剤形の物理的形態を修飾するために存在してもよい。例えば、錠剤はシェラック、糖またはその両方でコーティングされてもよい。シロップまたはエリキシル剤は、有効成分に加えて、甘味剤としてスクロース、防腐剤としてメチルおよびプロピルパラベン、染料ならびにチェリーまたはオレンジ風味などの香味剤を含有してもよい。胃腸管の上部を通る通過中の分解を防ぐために、組成物は腸溶製剤であってもよい。
【0051】
局所投与用の組成物としては、限定されないが、軟膏、クリーム、ローション、液剤、ペースト、ゲル、スティック、リポソーム、ナノ粒子、パッチ、包帯および創傷被覆材が挙げられる。特定の実施形態において、局所製剤は浸透促進剤を含む。
【0052】
組成物の投与は、薬物またはアルコール摂取の依存を低減させるのに十分なプロトコルおよび投薬量の下で実施される。
【0053】
特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、組成物の全重量に対して5重量%〜50重量%、好ましくは10〜30重量%の式(I)の化合物を含有する。
【0054】
いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物、有効成分(複数も含む)は一般に投薬単位で製剤化される。投薬単位は、連日投与のための投薬単位当たり1〜2000mg、10〜1000mg、特に50〜500mgの式(I)の化合物を含有してもよい。任意の様々な投与経路に対する製剤に関して、薬物を投与するための方法および製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第17版、Gennaroら Eds.、Mack Publishing Co.、1985、およびRemington’s Pharmaceutical Sciences、Gennaro AR ed.第20版、2000、Williams & Wilkins PA、USA、およびRemington:The Science and Practice of Pharmacy、第21版、Lippincott Williams & Wilkins Eds.、2005;およびAnsel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、第8版、Lippincott Williams & Wilkins Eds.、2005に開示されおり、それらは本明細書に参照として組み込まれる。
【0055】
1つ以上の他の有効成分と組み合わせて使用される場合、本発明の化合物および他の有効成分は、各々が単独で使用される場合より低い用量で使用され得る。
【0056】
好ましい医薬組成物は、典型的に1日1回または特定の状況において1日2回もしくはそれ以上に投与される薬学的に許容可能な担体との混合物中の本発明による活性化合物の1日の経口投与用の形態の製剤である。
【0057】
その別の態様によれば、本発明は医薬として使用するための式(I)の化合物を提供する。
【0058】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、薬物またはアルコール依存に関連する疾患または障害を治療するのに使用するための式(I)の化合物を提供する。
【0059】
いくつかの実施形態によれば、式(I)の化合物は、CNS疾患の治療および/または薬物、アルコール依存の治療に使用される。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、強硬症、睡眠発作、不眠症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、鬱病、不安症、統合失調症に関連する不眠症、過剰な鎮静作用、本態性振戦、慢性疲労症候群、慢性的な不眠症および有害物質からの神経防護作用から選択されるCNSの1つまたは複数の疾患または障害の治療に使用される。
【0060】
好ましい実施形態によれば、式(I)の化合物または有効成分としてこのような化合物(I)を含有する医薬組成物は、アルコール依存症、アルコールの依存の形態、アルコール乱用(alcohol misuse)、アルコール乱用(alcohol abuse)の予防または治療、禁酒における使用のためである。
【0061】
典型的に、式(I)の化合物または有効成分としてこのような化合物(I)の有効量を含有する医薬組成物は、アルコール依存症の対象における再発を予防するため、アルコール摂取からの禁酒期間を乗り越えるため、対象によって摂取されるアルコールの量を制限するため、および、またはアルコール摂取に対する対象の行動を変化させるために使用され得る。
【0062】
本発明の誘導体について好ましく、有益であると特定される全ての態様は、製造プロセス、医薬組成物および関連用途について同様に好ましく、有益であるとみなされるはずであることが理解される。
【0063】
さらなる態様によれば、本発明は、本明細書上記の薬物依存症、アルコール乱用、アルコール使用障害を予防または治療するための方法であって、式(I)の化合物またはそのような化合物(I)を含有する医薬組成物の有効量の投与を含む、方法を提供する。
【0064】
さらなる態様では、本発明はまた、式(I)の化合物またはそれを含有する医薬組成物との併用療法または治療に関する。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物およびそれらの医薬組成物ならびにそれらを投与する方法は、他の薬剤または有効成分と組み合わせて投与される場合、薬物乱用またはアルコール依存症を治療するのに有用である。
【0065】
以下の実施例は例示のために提供され、限定目的ではない。
【実施例】
【0066】
実施例1
式(I)の化合物の調製(ACGET61と称する)
【化6】
効率的な凝縮器およびマグネチックスターラーを備えた丸底フラスコ中に、R(MW:175.088;4.43g)およびR(MW:132.16;3.347g)を1:1のモル比で加える。次いでNHCl(443mg)を触媒(Rに対して10重量%)として加える。混合物を150℃にて45時間加熱し、それは濃緑色/濃紫色になる。試薬の消失を、検出剤(200mgのニンヒドリンを150mlのEtOHに溶解して調製した)としてニンヒドリンを使用してTLC(AcOEt:ヘキサン 1:2)によってモニターする。
【0067】
試薬が完全に消失すると、反応混合物を冷やし、残渣をDCMに溶解し、HCl 3Nで3回洗浄し、次いで中性pHになるまで水で洗浄する。
【0068】
このように得られた粗生成物を、AcOEt:ヘキサン(1:10〜1:1)の勾配で溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製する。
【0069】
純粋な生成物(ACGET61、MW275.11)を、64%の収率で白色/薄いピンクの固体として得る。
【0070】
4−メトキシ酪酸メチル(R試薬)合成
【化7】
効率的な凝縮器およびマグネチックスターラーを備えた丸底フラスコ中に、γ−ブチロラクトンR(MW:86.06;1eq;d=1.12)、オルトギ酸トリメチルR(MW:106.12;1.9eq;d=097)および濃硫酸(10mlのγ−ブチロラクトンRにつき1ml)をMeOH(1gのγ−ブチロラクトンRにつき4ml)中で混合する。混合物を撹拌下で60℃にて26時間加熱する。試薬の消失を、検出剤(25gのモリブデン酸アンモニウムおよび5gの硫酸セリウムを450mlのHOおよび50mlの濃硫酸に溶解して調製した)としてPancaldi溶液を使用してTLC(AcOEt:ヘキサン 1:1)によってモニターする。
【0071】
反応の終わりに、溶媒を減圧下で蒸発させる。残渣をAcOEtに溶解し、pH=8になるまで飽和NaHCO溶液で洗浄する。
【0072】
粗製物の淡黄色油を真空下で蒸留する(BP:163〜164℃、p:760Torr)。純粋な生成物(P、MW:132.16)を80%の収率で無色の油として得る。
【0073】
実施例2
サルデーニャ(Sardinian)のアルコール嗜好(sP)ラットにおける式(I)の化合物(ACGET61と称する)の抗アルコールプロファイル
サルデーニャのアルコール嗜好(sP)ラットにおけるACGET61の抗アルコールプロファイル
サルデーニャのアルコール嗜好(sP)ラットは、高いエタノール嗜好および消費に関して世界中で選択的に交配された少数のラット系統のうちの1つを表し(Colomboら、2006)、異なる種のアルコール飲料の評価について検証される多くの実験手順において利用されている。これらの実験手順はアルコール摂取の維持、およびアルコールのオペラント自己投与を含む。
【0074】
アルコール摂取の維持
この手順において、sPラットを、アルコール(10%v/v)と水との間の2つのボトルの自由選択のレジメンに曝露した。この条件下で、アルコール溶液を含有するボトルと水を含有するボトルとの間で、約6g/kg/日のアルコールを自発的に消費し、約90%のアルコールを嗜好する動物を選択できる。この手順はヒトアルコール依存症の能動的な飲料段階の有益な実験モデルを構成し;このモデルに曝露したsPラットのアルコール摂取は、ヒトアルコール依存症におけるアルコールの欲求および消費を低減させる、GHB、ナルトレキソンおよびバクロフェンなどの薬物によって低減されることが見出され、このモデルの予測妥当性が実証された。
【0075】
全体として、実験結果により、25〜100mg/kgの範囲の用量でのACGET61の実際の経口投与は、水および食物摂取に影響を与えずにアルコール消費を長期間減少させたことが実証された。特に、ACGET61により誘導される低減は、少なくとも3回の独立した実験において繰り返し観測されるように24時間でさえも持続した。アルコール、水および食物の蓄積消費として表されるこれらの実験のうちの1つの結果を図1に報告する。
【0076】
結論として、その位置異性体GET73と比較したACGET61の抗アルコール活性の主要な改善は活性の持続期間にあった:GET73はアルコール消費を低減させる際にほぼ同じ効力(10、25、50mg/kg)を示したが、その効果は3時間のみしか継続しなかった(比較について表1を参照のこと;Locheら、2012)。
【0077】
アルコールのオペラント自己投与
これらの手順において、sPラットに、レバーを押すことによってアルコールまたはスクロースを自己投与する訓練をし、アルコールを得るのに必要とされる仕事の量(レバーを押すこと)を、強化、一定比率(FR)または累進比率(PR)の単一のスケジュールの目的に応じて変化させた。
【0078】
試験化合物がアルコール溶液(15%v/v)自己投与に対して選択的効果を与えるかどうかを評価するために、スクロース溶液(3%w/v)を代替の強化因子としてこれらの実験において系統的に利用した。
【0079】
FRにおいて、ラットは4回の連続したレバー押し(FR4)に応答してアルコールまたはスクロースを得、一方でPRにおいて、アルコールまたはスクロースを得るのに必要なレバー押しの回数は、ラットがレバーを押すのを停止する(ブレークポイント;BP)まで徐々に増加させた。各FR4またはPR/BP期間は30分継続した。
【0080】
これらの実験条件下で、sPラットは長く持続するレバー押し行動を示し、このラット系統においてアルコールが強力な強化および動機付け特性を有することが実証される(Colomboら、2006)。
【0081】
FR4
ACGET61 100mg/kgは、図2に示されるように、強化のFR4スケジュールに曝露したsPラットにおけるアルコールの強化特性に対する選択的な低減効果を与え、30分の時間におけるレバー応答の総数ならびにアルコール摂取(g/kg)およびスクロース摂取(ml/kg)の量を報告する。具体的には、図2は、sPラットにおけるアルコールのFR4オペラント自己投与に対するACGET61の効果を示す。レバー押しの数およびアルコールまたはスクロース摂取の量を報告した。ビヒクル処置群に対してp<0.05。
【0082】
PR/BP
ACGET61 50および100mg/kgは、PRに曝露したsPラットにおいてレバー押しの数、およびアルコールに対するブレークポイントの両方を低減させ、効果がアルコールに特異的でなかった場合でさえ、化合物は図3に証明されるようにスクロースに対する応答も低減させることができる。具体的には、図3は、aPラットにおけるアルコールのPRオペラント自己投与に対するACGET61の効果を示す。アルコールまたはスクロースに対するレバー押しおよびブレークポイントの数を報告した。ビヒクル処置群に対してp<0.05および**ビヒクル処置群に対してp<0.01。
【0083】

特に、GET73は、PRに曝露し、50mg/kgで投与したsPラットにおけるスクロース摂取の有意な低減を除いて、同じモデルにおいていずれの効果も実証しなかった(比較のために本明細書以下の表1を参照のこと)。
【0084】
【表1】
【0085】
インビトロでのACGET61の神経化学プロファイル
おそらく、代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ5(mGluR5)の複雑な調節によりラット海馬においてアミノ酸作動性(aminoacidergic)神経伝達に影響を及ぼす、GET73について得られた以前の結果に基づいて(Beggiatoら、2013;Ferraroら、2011、2013)、位置異性体ACGET61を、異なる実験条件においてGABAおよびグルタミン酸レベルを測定することによって海馬スライスにおいてインビトロで評価した。
【0086】
基礎GABAおよびグルタミン酸流出に対するACGET61の効果
GABAおよびグルタミン酸の基礎放出に対する効果は、ACGET61(10および100μM)によって与えられなかった。
【0087】
誘発性GABAおよびグルタミン酸流出に対するACGET61の効果
KCl刺激性海馬スライスにおけるACGET61(10pM〜10μM)の効果を調べることを目的としたさらなる研究を実施した。
【0088】
10nM〜10μMの濃度にてACGET61は、最も高い濃度によって誘発されたGABAの有意な減少(データは示さず)を除いて、明白な効果を与えなかった。10nM未満のACGET61の濃度、具体的には100、300および500pMは、図4に例示したようにK誘発性グルタミン酸流出のわずかな有意ではない低減を誘発した。具体的には、図4は、KCl刺激性海馬スライスを示す。K誘発性グルタミン酸流出に対するpM濃度におけるACGET61の効果。
【0089】
誘発性グルタミン酸流出の増加に対するACGET61の効果はmGluR5受容体アゴニストCHPGによって誘導された
mGluR5アゴニストCHPGとのACGET61の相互作用をKCl刺激性海馬スライスにおいて調べた。ACGET61 300pM(それ自体で効果がない濃度)の灌流媒体への添加は、図5に示されるようにCHPGによって与えられるK誘発性グルタミン酸流出の増加に少なくとも部分的に対抗できた。具体的には、図5は、KCl刺激性海馬スライス−K誘発性グルタミン酸流出である。グルタミン酸流出の増加に対するACGET61 300pMの効果はCHPG 100μMによって誘導された。**対照に対してp<0.01;ACGET61+CHPGに対してp<0.05。
【0090】
この予備結果により、ACGET61が、mGluR5における負の調節を示唆する神経化学プロファイルを有することが示された。特に、異なるpM濃度を調べることを目的とするさらなる研究が実施されるべきであるが、ACGET61の効力は、同じモデルにおいて500nmにてGET73によって与えられるものと比較して大きいように見える。
【0091】
インビトロでのACGET61の神経保護プロファイル
アルコールの神経毒作用は動物およびヒトの両方において十分に確立されており、海馬は特にアルコールの有害作用に感受性がある脳領域を表す。異なる前臨床モデルがアルコールの神経毒作用を研究するために利用されている。これらのモデルの1つは、器官型海馬培養物をアルコールに曝露することで構成され、それは、細胞生存率の低減、および活性酸素種(ROS)の増加を含む、様々な効果を与える。
【0092】
アルコールに曝露した海馬培養物において興味深い神経保護プロファイルを実証した、GET73について得られた以前の結果に基づいて、ACGET61を同じモデルにおいて評価した。
【0093】
簡潔に述べると、ラット海馬ニューロンの初代培養物をエタノール(75mM;4日)に慢性的に曝露し、ACGET61の神経保護効果を、細胞生存率(MTTアッセイ)および活性酸素種生成(ローダミン123蛍光)を求めることによって評価した。
【0094】
0.01〜10μMの範囲の異なる濃度にてACGET61を評価すると、エタノールに曝露した海馬培養物において細胞生存率の増加、およびROS生成の減少の両方の実験パラメーターに対して正の効果を及ぼした。
【0095】
MTTアッセイ
エタノールへの曝露は、対照細胞培養値に対する吸光度値の有意な減少(p<0.01)によって示されるように細胞生存率の減少を誘導した。慢性エタノール曝露の1時間前および間に加えたACGET61 0.1、1および10μMはエタノール誘導性損傷を阻止し、細胞生存率は対照群に対して有意に異ならなかったが、エタノール群に対して有意に異なった(p<0.05)。ACGET61(0.01〜10μM)はそれ自体でエタノールに曝露しなかった海馬細胞培養物において細胞生存率に影響を与えなかった。対照培養物中で測定したニューロン生存率のパーセンテージとして表した結果を図6に示す。具体的には、図6は、エタノール(EtOH;75mM、4日)に曝露した海馬細胞培養物における細胞生存率に対するACGET61の効果を示す。**対照に対してp<0.01;EtOH 75mMに対してp<0.05。
【0096】
ROS生成
エタノール曝露は、ローダミン123の蛍光発光によって測定して、ROS生成の有意な増加を誘導した(p<0.001)。
【0097】
慢性エタノール曝露の1時間前および間のACGET61 0.1、1および10μMの添加はROS生成のエタノール誘導性増加を阻止し、ROS生成は対照群に対して有意に異ならなかったが、エタノール群に対して有意に異なった(p<0.01;p<0.001)。
【0098】
ACGET61(0.01〜10μM)それ自体はエタノールに曝露していない海馬細胞培養物においてROS生成に影響を与えなかった。対照培養物において測定したROS生成のパーセンテージとして表した結果を図7に示す。具体的には、図7は、エタノール(EtOH;75mM、4日)に曝露した海馬細胞培養物におけるROS生成に対するACGET61の効果を示す。**対照に対してp<0.01、***対照に対してp<0.001;○○EtOH 75mMに対してp<0.01、○○○EtOH 75mMに対してp<0.001。
【0099】
特に、これらの神経保護効果は、0.1、1および10μMにてACGET61によって与えられ、その位置異性体GET73と比べて大きな効力を示唆しており:実際に、ACGET61についての最小有効濃度は、GET73の1μMに対して0.1μMであった。
【0100】
実施例3
医薬組成物
N−[(2−トリフルオロメチル)ベンジル]−4−メトキシブチルアミド(ACGET61) 50mg
微結晶性セルロース(適切な崩壊剤として) 60mg
タルク(潤滑剤として) 10mg
ラウリル硫酸ナトリウム(界面活性剤として) 5mg
リン酸カルシウム(凝集剤−希釈剤として) 200mg
炭酸マグネシウム(希釈剤−結合剤として) 100mg
【0101】
実施例4
医薬組成物
N−[(2−トリフルオロメチル)ベンジル]−4−メトキシブチルアミド(ACGET61) 150mg
トウモロコシデンプン(適切な崩壊剤として) 100mg
ベヘン酸グリセリル(潤滑剤として) 10mg
ポリソルベート(界面活性剤として) 10mg
炭酸マグネシウム(希釈剤−結合剤として) 150mg
ラクトース(希釈剤として) 150mg
【0102】
実施例5
フィルムコーティング/修飾放出を有する医薬組成物
N−[(2−トリフルオロメチル)ベンジル]−4−メトキシブチルアミド(ACGET61) 500mg
微結晶性セルロース(適切な崩壊剤として) 200mg
クロスポビドン(抗凝集剤として) 50mg
デンプン(希釈剤−崩壊剤として) 50mg
コロイド状シリカ(乾燥剤として) 10mg
ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤として) 10mg
ヒプロメロース(コーティング剤として) 50mg
マクロゴール(可塑剤として) 10mg
二酸化チタン(染料として) 10mg
図1-1】
図1-2】
図2
図3
図4
図5
図6
図7