特許第6832344号(P6832344)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6832344マルチチャネル撮像装置を備える装置およびその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6832344
(24)【登録日】2021年2月3日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】マルチチャネル撮像装置を備える装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 19/07 20210101AFI20210215BHJP
   G02B 13/06 20060101ALI20210215BHJP
   G02B 7/00 20210101ALI20210215BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20210215BHJP
   G03B 17/17 20210101ALI20210215BHJP
   G03B 9/02 20210101ALI20210215BHJP
   G03B 11/04 20210101ALI20210215BHJP
   G03B 5/00 20210101ALI20210215BHJP
   G03B 35/10 20210101ALI20210215BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20210215BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20210215BHJP
   H04N 13/239 20180101ALI20210215BHJP
   G02B 7/198 20210101ALI20210215BHJP
   G02B 7/182 20210101ALI20210215BHJP
【FI】
   G03B19/07
   G02B13/06
   G02B7/00 D
   G03B15/00 W
   G03B17/17
   G03B9/02 E
   G03B11/04 B
   G03B5/00 J
   G03B35/10
   H04N5/225 400
   H04N5/225 900
   H04N5/225 100
   H04N5/232 480
   H04N5/225 300
   H04N13/239
   G02B7/198
   G02B7/182
【請求項の数】20
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-509610(P2018-509610)
(86)(22)【出願日】2016年8月18日
(65)【公表番号】特表2018-533038(P2018-533038A)
(43)【公表日】2018年11月8日
(86)【国際出願番号】EP2016069644
(87)【国際公開番号】WO2017029375
(87)【国際公開日】20170223
【審査請求日】2018年3月29日
(31)【優先権主張番号】102015215841.1
(32)【優先日】2015年8月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500341779
【氏名又は名称】フラウンホーファー−ゲゼルシャフト・ツール・フェルデルング・デル・アンゲヴァンテン・フォルシュング・アインゲトラーゲネル・フェライン
(74)【代理人】
【識別番号】100205981
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】フランク・ヴィッペルマン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・ブリュックナー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・ブラエウアー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・オベルデルシュター
【審査官】 登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許発明第102014213371(DE,B3)
【文献】 特開2006−215350(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/030644(WO,A1)
【文献】 米国特許第06992699(US,B1)
【文献】 特開2008−180773(JP,A)
【文献】 特開2011−239207(JP,A)
【文献】 特開2010−268078(JP,A)
【文献】 特開2002−171430(JP,A)
【文献】 特開2001−268416(JP,A)
【文献】 特開2014−052335(JP,A)
【文献】 特開2007−116361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 19/07
G02B 7/00
G02B 7/182
G02B 7/198
G02B 13/06
G03B 5/00
G03B 9/02
G03B 11/04
G03B 15/00
G03B 17/17
G03B 35/10
H04N 5/225
H04N 5/232
H04N 13/239
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置(10,20,30)であって、
第1の透明領域(14a)と第2の透明領域(14b)とを有するハウジング(12)と、
前記ハウジング(12)の内部に配置され、ビーム偏向手段(18)を含む多開口撮像装置(16,16a〜16b)と、
第1の絞り(24a)および第2の絞り(24b)と、
第1の動作状態と第2の動作状態とを有するポータブル装置(10,20)とを備え、
前記第1の動作状態において、前記ビーム偏向手段(18)は、光路が前記第1の透明領域(14a)を通過し、前記第2の絞り(24b)が前記第2の透明領域(14b)を光学的に少なくとも部分的に閉じるように、前記多開口撮像装置(16,16a〜16b)の光路(22)を偏向させ、
前記第2の動作状態において、前記ビーム偏向手段(18)は、前記光路が前記第2の透明領域(14b)を通過し、前記第1の絞り(24a)が前記第1の透明領域(14a)を光学的に少なくとも部分的に閉じるように、前記多開口撮像装置(16,16a〜16b)の前記光路(22)を偏向させ、
前記ビーム偏向手段(18)は、回転軸(54)を中心とした回転運動(52’)に基づいて、前記第1の動作状態の第1の位置(Pos1)と前記第2の動作状態の第2の位置(Pos2)との間で動くことができ、
前記多開口撮像装置の光学チャネルは、変動する全視野に向かう設定視野方向に基づいて前記ビーム偏向手段(18)によって方向付けられ、視野方向内で互いに対して角度を有し、前記光学チャネルは、多くても部分的にしか重なり合わない全視野のうちの部分視野に方向付けられ、
光学チャネルは各々、前記多開口撮像装置の光路を変更するための1つまたは複数の光学素子および画像センサ領域を備え、前記ビーム偏向手段によって偏向される、装置。
【請求項2】
前記ビーム偏向手段は、両面において反射性であるように形成され、前記第1の位置(Pos1)で第1の主面(35a)によって前記光路を偏向させ、前記第2の位置(Pos2)で第2の主面(35b)によって前記光路を偏向させる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の絞り(24a)および/または前記第2の絞り(24b)は、エレクトロクロミック絞りとして形成されている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の絞りおよび前記第2の絞りは、前記多開口撮像装置の少なくとも2つの光学チャネルに対して有効である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
ポータブル装置として構成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記装置はディスプレイ(33)を含み、前記第1の絞り(24a)または前記第2の絞り(24b)が前記ディスプレイ(33)の領域に配置されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ディスプレイ(33)の情報は、前記第1の絞り(24a)または前記第2の絞り(24b)が配置される前記ディスプレイ(33)の領域に少なくとも周期的に提示され得る、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ハウジング(12)は平坦に形成され、少なくとも第1のハウジング方向(x)に沿った第1の延伸部および第2のハウジング方向(y)に沿った第2の延伸部は、第3ハウジング方向(z)に沿った第3の延伸部の寸法の少なくとも3倍である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の透明領域(14a)と前記第2の透明領域(14b)とが対向して配置されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の透明領域(14a)および前記第2の透明領域(14b)は、前記ハウジング(12)の少なくとも1つの主面(13a,13b)内に配置されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記多開口撮像装置(16,16a〜16b)は、隣接して配置された光学チャネル(42a〜42d)の1ラインアレイ(38)を備える、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記ビーム偏向手段(18)は、第1の位置と第2の位置とを備え、前記位置の間で、前記ビーム偏向手段(18)が前記1ラインアレイ(38)のライン延伸方向(56)に沿って並進可動であり、前記ビーム偏向手段(18)は、各光学チャネル(42a〜42d)の前記光路(22−1〜22−4)を、前記第1の位置に位置するかまたは前記第2の位置に位置するかに応じて、互いに異なる方向に偏向させるように構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記多開口撮像装置(16,16a〜16b)は、前記ビーム偏向手段(18)の回転運動(52)を生成することによって、画像軸(58)に沿って画像を安定化させるための光学画像安定化装置(46)をさらに備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
全視野を少なくとも立体視的に捕捉するように構成された、少なくとも1つの更なる多開口撮像装置(16b)を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記多開口撮像装置(16,16a〜16b)は、焦点を変更するための合焦手段を備え、前記合焦手段は、前記多開口撮像装置(16,16a〜16b)の光学チャネル(42a〜42d)の光学素子(41a〜41d)と前記多開口撮像装置の画像センサ(36)との間の相対運動を提供するためのアクチュエータ(48a〜48b)を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記合焦手段は、前記相対運動と同時に前記ビーム偏向手段(18)の運動を行いながら、前記相対運動を行うように構成されている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記多開口撮像装置(16,16a〜16b)は、透明キャリア(39)を含み、前記光学チャネルの複数の光学素子(41a〜41d)は前記透明キャリア(39)の主面に配置され、前記透明キャリア(39)は複数の前記光学素子(41a〜41d)の間の相対位置を安定に維持するように構成されており、前記多開口撮像装置の光学チャネルは、前記多開口撮像装置(16,16a〜16b)のビーム偏向手段(18)と画像センサ(36)との間で前記透明キャリア(39)を横切る、請求項1〜16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
装置(10,20,30)であって、
第1の透明領域(14a)と第2の透明領域(14b)とを有するハウジング(12)と、
前記ハウジング(12)の内部に配置され、ビーム偏向手段(18)を含む多開口撮像装置(16,16a〜16b)と、
第1の絞り(24a)および第2の絞り(24b)と、
第1の動作状態と第2の動作状態とを有するポータブル装置(10,20)であって、
前記第1の動作状態において、前記ビーム偏向手段(18)は、光路が前記第1の透明領域(14a)を通過し、前記第2の絞り(24b)が前記第2の透明領域(14b)を光学的に少なくとも部分的に閉じるように、前記多開口撮像装置(16,16a〜16b)の光路(22)を偏向させ、
前記第2の動作状態において、前記ビーム偏向手段(18)は、前記光路が前記第2の透明領域(14b)を通過し、前記第1の絞り(24a)が前記第1の透明領域(14a)を光学的に少なくとも部分的に閉じるように、前記多開口撮像装置(16,16a〜16b)の前記光路(22)を偏向させる、ポータブル装置と、
全視野を少なくとも立体視的に捕捉するように構成された少なくとも1つのさらなる多開口撮像装置(16b)と、を備える装置。
【請求項19】
装置を提供する方法であって、
第1の透明領域と第2の透明領域とを有するハウジングを提供することと、
ビーム偏向手段を含む多開口撮像装置を前記ハウジングの内部に配置することと、
第1の絞りおよび第2の絞りを配置することと、を備え、
ポータブル装置が第1の動作状態と第2の動作状態とを有し、
前記第1の動作状態において、前記ビーム偏向手段は、光路が前記第1の透明領域を通過し、前記第2の絞りが、前記第2の透明領域を光学的に少なくとも部分的に閉じるように、前記多開口撮像装置の光路を偏向させ、
前記第2の動作状態において、前記ビーム偏向手段は、前記光路が前記第2の透明領域を通過し、前記第1の絞りが前記第1の透明領域を光学的に少なくとも部分的に閉じるように、前記多開口撮像装置の前記光路を偏向させ、
前記ビーム偏向手段(18)は、回転軸(54)を中心とした回転運動(52’)に基づいて、前記第1の動作状態の第1の位置(Pos1)と前記第2の動作状態の第2の位置(Pos2)との間で動くことができ、
前記多開口撮像装置の光学チャネルは、変動する全視野に向かう設定視野方向に基づいて前記ビーム偏向手段(18)によって方向付けられ、視野方向内で互いに対して角度を有し、前記光学チャネルは、多くても部分的にしか重なり合わない全視野のうちの部分視野に方向付けられ、
光学チャネルは各々、前記多開口撮像装置の光路を変更するための1つまたは複数の光学素子および画像センサ領域を備え、前記ビーム偏向手段によって偏向される、方法。
【請求項20】
装置を提供する方法であって、
第1の透明領域と第2の透明領域とを有するハウジングを提供することと、
ビーム偏向手段を含む多開口撮像装置を前記ハウジングの内部に配置することと、
全視野を少なくとも立体視的に捕捉するように構成されるように、少なくとも1つのさらなる多開口撮像装置(16b)を配置することと、
第1の絞りおよび第2の絞りを配置することと、を備え、
ポータブル装置は、第1の動作状態と第2の動作状態とを有し、
前記第1の動作状態において、前記ビーム偏向手段は、光路が前記第1の透明領域を通過し、前記第2の絞りが、前記第2の透明領域を光学的に少なくとも部分的に閉じるように、前記多開口撮像装置の光路を偏向させ、
前記第2の動作状態において、前記ビーム偏向手段は、前記光路が前記第2の透明領域を通過し、前記第1の絞りが前記第1の透明領域を光学的に少なくとも部分的に閉じるように、前記多開口撮像装置の前記光路を偏向させる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチチャネル撮像装置を備える装置およびその製造方法に関する。本発明は、さらに、多開口撮像装置を備えるポータブル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカメラは、1つのチャネル内で全視野を伝送し、その小型化には限界がある。例えば、スマートフォンのようなモバイル装置では、ディスプレイの表面法線の方向に向いているカメラと、その反対方向に向いているカメラの2つのカメラが利用されている。
【0003】
したがって、高画質を確保しつつ、小型化された装置で全視野を捕捉することが可能な概念が望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、装置の小型化を実現し、高品質の画像を得ることが可能な装置およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、独立請求項の主題によって達成される。
【0006】
本発明の中核的な着想は、光学チャネルの光路の偏向が、小型化を可能にする多開口撮像装置によって様々な視野を捕捉することを可能にするという点、および、迷光の入射を減少させ、高品質の画像を得ることができるように、絞りによって未使用透明領域を光路の未使用方向に対して閉じることができるという点において、上記の目的を達成することができることを見出したことにある。
【0007】
一実施形態によれば、装置は、第1の透明領域および第2の透明領域を有するハウジングと、ハウジング内に配置され、ビーム偏向手段を含む撮像装置とを含む。この装置は、第1の絞りと第2の絞りとを含む。この装置は、第1の動作状態と第2の動作状態とを有する。第1の動作状態では、ビーム偏向手段は、光路が第1の透明領域を通過し、第2の絞りが第2の透明領域を光学的に少なくとも部分的に閉じるように、撮像装置の光路を偏向させる。第2の動作状態では、ビーム偏向手段は、光路が第2の透明領域を通過し、第1の絞りが第1の透明領域を光学的に少なくとも部分的に閉じるように、撮像装置の光路を偏向させる。
【0008】
さらなる実施形態によれば、装置を提供する方法は、第1の透明領域および第2の透明領域を有するハウジングを提供することと、ビーム偏向手段を含む撮像装置をハウジング内に配置することと、第1の絞りおよび第2の絞りを配置することとを含む。第1の絞りおよび第2の絞りは、装置が第1の動作状態および第2の動作状態を有し、第1の動作状態において、ビーム偏向手段は、光路が第1の透明領域を通過し、第2の絞りが第2の透明領域を光学的に少なくとも部分的に閉じるように、撮像装置の光路を偏向させるように配置される。これらの絞りは、第2の動作状態において、ビーム偏向手段は、光路が第2の透明領域を通過し、第1の絞りが第1の透明領域を光学的に少なくとも部分的に閉じるように、撮像装置の光路を偏向させるように配置される。
【0009】
光路が向けられる透明領域とは異なる透明領域を閉じることで、ハウジング内部への迷光の入射を低減または防止することができる。これにより、高い画像品質を実現することが可能である。
【0010】
さらなる有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0011】
本発明の好適な実施形態について、添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態による装置の概略斜視図である。
図2】さらなる実施形態による装置の主面の概略図である。
図3a】一実施形態による、第1の動作状態におけるビーム偏向手段および絞りの状態を示す図である。
図3b】第2の動作状態におけるビーム偏向手段および絞りを示す図である。
図4a】複数のビーム偏向領域を含む、一実施形態によるビーム偏向手段の概略図である。
図4b】一実施形態による、図4aの代替形態である構成によるビーム偏向手段の概略図である。
図4c】一実施形態による撮像装置のビーム偏向手段の有利な実施態様を示す図である。
図4d】一実施形態による撮像装置のビーム偏向手段の有利な実施態様を示す図である。
図4e】一実施形態による撮像装置のビーム偏向手段の有利な実施態様を示す図である。
図4f】一実施形態による撮像装置のビーム偏向手段の有利な実施態様を示す図である。
図4g】一実施形態による撮像装置のビーム偏向手段の有利な実施態様を示す図である。
図5a】一実施形態による撮像装置の概略斜視図である。
図5b】ビーム偏向手段を第1の動作状態の第1の位置と第2の位置との間で回転可能に切り換えることができる、改変された撮像装置の概略側断面図である。
図6】互いに重なり合う4つの部分視野を含む全視野の概略図である。
図7】一実施形態による2つの多開口撮像装置を含む装置の概略斜視図である。
図8】共通の画像センサを備える第1の多開口撮像装置および第2の多開口撮像装置を含む概略構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照して本発明の実施形態を以下に詳細に説明する前に、同一であり、同一の機能または作用を有する要素、物体および/または構造には、様々な図面において同一の参照番号を付し、それによって、異なる実施形態において示される上記要素の説明は、置き換え可能であり、かつ/または相互に適用可能であることが留意されるべきである。
【0014】
以下に説明する実施形態では、装置の主面および副面を参照する。装置の主面は、ここで説明する実施形態では、他の面と比較して大きいまたは最大の寸法を有するハウジングまたは装置の面であると理解され得る。例えば、第1の主面は前面を指すことができ、第2の主面は後面を指すことができるが、これは限定するものではない。副面は、主面を互いに接続する面または表面を意味すると理解され得る。
【0015】
以下に説明される実施形態は、ポータブル装置に関するものであるが、記載される態様は、他のモバイル装置または固定装置に容易に転換され得る。記載されるポータブル装置は、他の装置、例えば車両に取り付けることができることが理解される。さらに、装置のハウジングは、持ち運びできないように構成されてもよい。このため、以下に説明される実施形態は、ポータブル装置に限定されることを意図するものではなく、装置の任意の実施態様を参照してもよい。
【0016】
図1は、一実施形態によるポータブル装置10の概略斜視図を示す。ポータブル装置10は、第1の透明領域14aおよび第2の透明領域14bを備えるハウジング12を含む。例えば、ハウジング12は、不透明なプラスチック、金属等で形成されていてもよい。透明領域14aおよび/または14bは、ハウジング12と一体的に形成されていてもよいし、複数の部分に形成されていてもよい。透明領域14aおよび/または14bは、例えば、ハウジング12内の凹部であってもよい。代替的に、透明材料が、凹部または透明領域14aおよび/もしくは14bの領域に配置されてもよい。透明領域14aおよび/または14bの透明材料は、少なくとも撮像装置16またはその画像センサが受容する電磁放射線の波長範囲内で透明であってもよい。これは、透明領域14aおよび/または14bが、前者とは異なる波長範囲において部分的にまたは完全に不透明になるように構成され得ることを意味する。例えば、撮像装置16は、可視波長範囲を捕捉するように構成されてもよい。透明領域14aおよび/または14bは、紫外線範囲および/または赤外線範囲内で、部分的または完全に不透明または不透明になるように構成されてもよい。
【0017】
撮像装置10は、ハウジング12の内部に配置されている。撮像装置16は、ビーム偏向手段18と画像取込手段19とを含む。画像取込手段19は、各々が、撮像装置16の光路を変更(例えば、集束、合焦または散乱)するための1つまたは複数の光学素子と画像センサとを備える2つ以上の光学チャネルを含んでもよい。例えば、画像取込手段19は、光路が1つまたは複数の光学チャネルを通ってビーム偏向手段18に向けられ、ビーム偏向手段18によって偏向される1つまたは複数の画像センサを備えてもよい。図6に関して説明するように、少なくとも2つの光学チャネルは、全視野(全体の物体領域)の互いに重なり合う部分視野(部分物体領域)を捕捉するように偏向されてもよい。撮像装置16は、多開口撮像装置と呼んでもよい。
【0018】
ポータブル装置10は、第1の動作状態と第2の動作状態とを有する。動作状態は、ビーム偏向手段18の場所、位置または向きと相関させてもよい。第1の動作状態において、ビーム偏向手段は、光路22aによって示されるように、光路22が第1の透明領域14aを通過するように、撮像装置16の光路22を偏向させてもよい。第2の動作状態において、ビーム偏向手段18は、光路22bによって示されるように、光路22が第2の透明領域14bを通過するように、撮像装置16の光路22を偏向させるように構成されてもよい。これは、ビーム偏向手段18が、ある時点において、動作状態に基づいて、透明領域14aおよび/または14bのうちの1つを通じて光路22を方向付けることを意味すると理解され得る。動作状態に基づいて、撮像装置16によって捕捉される視野(物体領域)の位置を空間的に変化させて配置してもよい。
【0019】
ポータブル装置10は、第1の絞り24aと第2の絞り24bとを含む。絞り24aは、透明領域14aの領域に配置され、絞り24aが閉状態にあるときに透明領域14aを光学的に少なくとも部分的に閉じるように構成される。一実施形態によれば、絞り24aは、絞り24aが閉状態にあるとき、透明領域14aの表面積の少なくとも50%、90%または少なくとも99%を閉じるように構成される。絞り24bは、透明領域14aと関連して絞り24aについて説明したのと同様または類似の方法で、透明領域14bを閉じるように構成される。ビーム偏向手段18が光路22を光路22aに向けて偏向させる第1の動作状態において、絞り24bは、迷光が透明領域14bを通じてハウジング12にわずかに入射するか、または可能であればまったく入射しないように、透明領域14bを光学的に少なくとも部分的に閉じてもよい。これにより、迷光が絞り14bに入射することによる、第1の動作状態における視野の捕捉に与える影響を小さくすることができる。例えば光路22bがハウジング12を出る第2の動作状態において、絞り24aは、透明領域14aを光学的に少なくとも部分的に閉じてもよい。簡単に言えば、絞り24aおよび/または24bは、迷光が望ましくない方向(例えば、捕捉される視野が位置しない方向)からそれらを通ってわずかに入射するか、またはまったく入射しないように、透明領域14aおよび/または14bを閉じるように構成してもよい。絞り24aおよび/または24bは、連続的に構成されてもよく、いずれの場合においても、撮像装置16のすべての光学チャネルに関連付けて配置されてもよい。これは、それぞれの動作状態に基づいて、絞り24aおよび24bが、多開口撮像装置の任意の光学チャネルによって使用されてもよいことを意味する。一実施形態によれば、個々の円形絞りが各光学チャネルに対して配置されるのではなく、すべての光学チャネルによって使用される1つの絞り24aまたは24bが配置される。絞り24aおよび/または24bは、多角形チェーンに一致する、例えば、長方形、長円形、円形または楕円形の形状を有してもよい。
【0020】
第1の動作状態と第2の動作状態との間の切り替えは、例えば、並進運動26および/または回転運動28に基づくビーム偏向手段18の運動を含んでもよい。
【0021】
絞り24aおよび/または24bは、例えば、機械的絞りとして構成してもよい。代替的に、絞り24aおよび/または24bは、エレクトロクロミック絞りとして構成されてもよい。これにより、使用される機械的可動部品を少なくすることが可能になる。さらに、絞り24aおよび/または24bをエレクトロクロミック絞りとして構成することにより、透明領域14aおよび/または14bの静かな開閉、ならびに、ポータブル装置10の光学素子に容易に組み込むことができる実施態様が可能になる。例えば、絞り24aおよび/または24bは、ハウジング12と比較して光学的な差が少ないため、閉状態にあるときに、ユーザによってほとんどまたはまったく知覚されないように構成されてもよい。
【0022】
ハウジング12は平坦に構成されてもよい。例えば、主面13aおよび/または13bは、x/y平面またはそれに平行な平面内に空間的に配置されてもよい。主面13aおよび13bの間に位置する副面または副表面15aおよび/または15bは、主面13aおよび13bに対して、斜めにまたは垂直になるように空間的に配置されてもよく、主面13aおよび/または13bならびに/もしくは副面15aおよび/または15bが湾曲してまたは平坦に構成されることが可能である。例えば、ポータブル機器10のディスプレイの表面法線に平行または逆平行であるような、主面13aおよび13bの間の第1のハウジング方向zに沿ったハウジング12の延伸は、さらなる延伸に沿った、すなわち主面13aおよび/または13bの延伸方向に沿ったハウジング12のさらなる寸法と比較して小さくしてもよい。副面15aおよび15bは、ディスプレイの表面法線に対して平行または逆平行であってもよい。主面13aおよび/または13bは、空間的に、ポータブル装置10のディスプレイの表面法線に対して垂直に配置されてもよい。したがって、例えば、x方向および/またはy方向に沿ったハウジングの延伸は、第1の延伸zに沿ったハウジング12の延伸の少なくとも3倍、少なくとも5倍または少なくとも7倍であってもよい。しかしながら、簡単に言えば、限定するものではないが、ハウジングの延伸zは、ハウジング12の厚さまたは深さであると理解されてもよい。
【0023】
図2は、一実施形態によるポータブル装置20の主面の概略図を示す。ポータブル装置は、装置10を含んでもよい。ポータブル装置20は、例えば、スクリーンなどのディスプレイ33を含んでもよい。例えば、装置20は、撮像装置16を備える、携帯電話(スマートフォン)、タブレットコンピュータ、携帯音楽プレーヤ、モニタ、または視覚表示装置などのポータブル通信装置であってもよい。透明領域14aおよび/または透明領域14bは、ハウジング12の、ディスプレイ33が配置される領域に配置されてもよい。これは、絞り24aおよび/または24bがディスプレイ33の領域に配置されてもよいことを意味する。例えば、透明領域14aおよび/または14bならびに/もしくは絞り24aおよび/または24bは、ディスプレイ33によって隠されてもよい。絞り24aおよび/または24bが配置されているディスプレイ33の領域には、少なくとも定期的にディスプレイの情報を提供可能であってもよい。上記情報の提供は、ポータブル装置20の任意の動作であってもよい。例えば、ビューファインダ機能をディスプレイ33上に提供可能として、ハウジング12内の撮像装置によって走査または捕捉される視野が提示されてもよい。代替的または付加的に、すでに捕捉されている画像または任意の他の情報が提示されてもよい。単純に言えば、透明領域14aおよび/または絞り24aはディスプレイ33によって隠されてもよく、その結果、透明領域14aおよび/または絞り24aは、ポータブル装置20の動作中に知覚されにくいか、または知覚できない。
【0024】
透明領域14aおよび14bは各々、ハウジング12の少なくとも1つの主面13aおよび/または反対側の主面に配置されてもよい。簡単に言えば、ハウジング12は、前方の透明領域および後方の透明領域を有してもよい。これに関連して、前方および後方という用語は、例えば、ここに記載された実施形態のいずれをも限定することなく、左および右、上および下などの他の用語によって無作為に置き換えられてもよいことに留意されたい。さらなる実施形態によれば、透明領域14aおよび/または14bは、副面内に配置されてもよい。透明領域の配置は任意であってもよく、かつ/または光学チャネルの光路が偏向可能な方向に依存してもよい。
【0025】
透明領域14aまたは絞り24aの領域において、ディスプレイ33は、例えば、画像が撮像装置によって捕捉されている間に定期的に停止されるように、またはハウジング12を超えてディスプレイ33の透明度を増大させるように構成されてもよい。代替的に、例えば、ディスプレイ33が、ポータブル装置20および/またはハウジング12の内部へ、または、撮像装置16に向かって、関連する波長範囲の任意の電磁放射を全くまたはほとんど放射しない場合、ディスプレイ33は、この領域内で動作したままであってもよい。
【0026】
図3aは、第1の動作状態におけるビーム偏向手段18、ならびに、第1の絞り24aおよび第2の絞り24bの状態を示す。例えば、ビーム偏向手段18は、光路22を光路22aとして、透明領域14aを通過するように偏向させる。絞り24bは、透明領域14bを通じてポータブル機器のハウジングの内部に迷光がまったく入射しないか、またはわずかに入射するように、透明領域14bを周期的に少なくとも部分的に閉じてもよい。
【0027】
図3bは、第2の動作状態におけるビーム偏向手段18、絞り24aおよび絞り24bを示す。ビーム偏向手段18は、光路22が光路22bとして透過領域14bを通過し、一方、絞り24aが光学的に少なくとも部分的に透明領域14aを閉じるように、光路22を偏向させてもよい。第2の動作状態において、絞り24bは、少なくとも部分的にまたは完全に開いた状態を呈してもよい。開状態は、絞りの透明性に関連してもよい。例えば、エレクトロクロミック絞りは、機械的構成要素が動かされることなく、制御状態に応じて開閉されるものとして参照されてもよい。第2の動作状態の間、エレクトロクロミック絞りとして構成された絞り24bは、少なくとも周期的に部分的または完全に、撮像素子によって検出される波長範囲に対して透明であってもよい。図3aに示す第1の動作状態では、絞り24bは、この波長範囲に対して部分的または完全に非透過性または不透明であってもよい。図3aの第1の動作状態と図3bの第2の動作状態との間の切り換えは、図4aおよび図4bと関連して説明されるような、偏向手段18の回転運動28および/または並進運動に基づいて得てもよく、または、上記運動の少なくとも1つを含んでもよい。
【0028】
図4aは、複数のビーム偏向領域32a〜32hを含むビーム偏向手段18の概略図である。例えば、撮像装置は、複数または多数、例えば、2つ、4つ、またはより多い数の光学チャネルを含んでもよい。例えば、撮像装置が4つの光学チャネルを含む場合、ビーム偏向手段18は、光学チャネルの数に、その間でビーム偏向手段18またはポータブル装置を切り替えることができる動作状態の数を乗算した数にしたがって、複数のビーム偏向領域またはビーム偏向要素32a〜32hを含むことができる。例えば、ビーム偏向領域32aおよび32eは、第1の光学チャネルに関連付けてもよく、ビーム偏向領域32aは第1の動作状態において第1の光学チャネルの光路を偏向させ、ビーム偏向領域32eは第1の動作状態において第1の光学チャネルの光路を偏向させる。同様に、ビーム偏向領域32bおよび32f、32cおよび32g、ならびに32dおよび32hは、それぞれさらなる光学チャネルに関連付けてもよい。
【0029】
ビーム偏向手段は、第1の動作状態と第2の動作状態との間で変化するように、並進運動方向26に沿って並進可動であってもよく、かつ/または、撮像装置の光学チャネルに対してビーム偏向手段18の第1の位置と第2の位置との間で前後に可動であってもよい。ビーム偏向手段18が第1の位置と第2の位置との間を動く距離34は、少なくとも撮像装置の4つの光学チャネル間の距離に対応してもよい。ビーム偏向手段18は、ビーム偏向要素32a〜32hのブロックごとの並べ替えを含んでもよい。例えば、ビーム偏向要素32a〜32dは、撮像装置の光路を第1の視野に向かって第1の視野方向に偏向させるように構成されてもよく、各光学チャネルが、全視野のうちの部分視野に関連付けられることが可能である。ビーム偏向要素32e〜32hは、撮像装置の光路を第2の視野に向かって第2の視野方向に偏向させるように構成されてもよく、各光学チャネルが、全視野のうちの部分視野に関連付けられることが可能である。さらなる実施形態によれば、少なくとも2つの光路の光路がビーム偏向要素によって偏向されることが可能であり、それによって、ビーム偏向手段18のビーム偏向要素の数をより少なくすることができる。
【0030】
ビーム偏向要素32a〜32hは、互いに異なる曲率を有するビーム偏向手段18の領域であってもよく、またはファセットミラーの平面ファセットであってもよい。例えば、ビーム偏向手段18は、互いに異なる傾斜を示すファセットおよび/または偏向領域32a〜32hのアレイであると理解してもよく、それによって、ビーム偏向手段18に当たる光学チャネルの光路は、第1の動作状態の視野のうちの相互に異なる部分視野へと方向付けられ、偏向領域32e〜hに当たる光路は、第2の動作状態の視野のうちの相互に異なる部分視野へと方向付けられる。
【0031】
図4bは、図4aの構成とは異なる構成によるビーム偏向手段18の概略図である。図4aの構成は、動作状態に基づくビーム偏向領域32a〜32hのブロックごとの並べ替えであると理解してもよく、図4bの構成は、撮像素子の光学チャネルの配列に基づくビーム偏向領域32a〜32hのチャネルごとの並べ替えであると理解してもよい。第1の光学チャネルに関連付けられるビーム偏向領域32aおよび32eを、互いに隣接して配置してもよい。同様に、それぞれ光学チャネル2,3および4に関連付けられるビーム偏向領域32bおよび32f、32cおよび32gならびに32dおよび32hを、それぞれ互いに隣接して配置してもよい。例えば、撮像装置の光学チャネルが互いに十分に大きな距離を有する場合、ビーム偏向手段18が第1の位置と第2の位置との間で前後に移動するように動かされる距離34’は、距離34よりも小さくてもよく、例えば、その1/4またはその半分であってもよい。これにより、撮像装置および/またはポータブル装置の構造設計をさらに縮小することができる。
【0032】
図4c〜図4gを参照して、ビーム偏向手段18の有利な実施態様を説明する。説明は、個々にまたは任意の組み合わせで実施することができるいくつかの利点を説明するが、限定することを意図するものではない。
【0033】
図4cは、本明細書で説明するビーム偏向手段、例えば、図4aまたは4bのビーム偏向手段18に用いることができるビーム偏向要素32の概略側断面図である。ビーム偏向要素32は、多角形チェーンのような断面を有していてもよい。三角形の断面が示されているが、他の多角形も可能である。代替的または付加的に、断面はまた、少なくとも1つの曲面を含んでもよい。特に反射面を有する場合には、収差を回避するために、少なくとも部分的に平面である構成が有利であり得る。
【0034】
例えば、ビーム偏向要素32は、第1の面35aと、第2の面35bと、第3の面35cとを備える。少なくとも2つの面、例えば、面35aおよび35bは、反射性であるように構成され、それによって、ビーム偏向要素32は、両面で反射性であるように構成される。面35aおよび35bは、ビーム偏向要素32の主面、すなわち面35cよりも表面積が大きい面であってもよい。
【0035】
換言すれば、ビーム偏向要素32は、くさび形状を有し、両側で反射性であるように形成されてもよい。しかし、面35cよりも相当に小さいさらなる面を表面35cに対向して、すなわち表面35aと表面35bとの間に配置してもよい。換言すれば、そのような場合、表面35a、35b、35cによって形成されるくさびは、任意に先細りするのではなく、尖った面状に表面を設けられ、それゆえ、切頭される。
【0036】
図4dは、ビーム偏向要素32の概略側断面図であり、ビーム偏向要素32の懸架または変位軸37が記載されている。ビーム偏向要素32がそれを中心としてビーム偏向手段18内で回転および/または並進可動である変位軸37は、断面の重心43に対して偏心的に変位してもよい。代替的に、重心はまた、厚さ方向45に沿った、かつ、これに垂直な方向47に沿ったビーム偏向要素32の寸法の半分を表す点であってもよい。
【0037】
変位軸は、例えば、厚さ方向45に沿って不変であってもよく、それに垂直な方向において任意のオフセットを有してもよい。代替的に、厚さ方向45に沿ったオフセットも考えられる。変位は、例えば、変位軸37の周りのビーム偏向要素32の回転を受けて、重心43を中心とした回転を受けて得られる運動範囲よりも大きな運動範囲が得られるように行われてもよい。したがって、回転の際に面35aと35bとの間のエッジが運動する運動は、同じ回転角を所与として、重心43を中心とした回転と比較して変位軸37の変位により増加してもよい。好ましくは、ビーム偏向要素32は、エッジ、すなわち、面35aと35bとの間に位置するくさび形断面の尖った辺が画像センサに面するように配置される。したがって、それぞれの他の面35aまたは35bは、小さい回転運動によって光学チャネルの光路を偏向させてもよい。これは、主面が画像センサに対して垂直となるようなビーム偏向要素32の運動が必要とされないため、厚さ方向45に沿ったビーム偏向手段の所要スペースが小さくなるように回転が行われ得ることを示している。
【0038】
面35cは、副面または後面とも呼ばれる。接続要素が面35cに配置されるか、または、例えば、変位軸37の領域内でビーム偏向要素の断面を通じて延伸する、すなわち、ビーム偏向要素の内部に配置されるように、いくつかのビーム偏向要素が互いに接続されてもよい。特に、保持要素は、方向45に沿った全体的な設計の延伸を増加または決定しないように、方向45に沿ってビーム偏向要素32を越えて突出しないか、またはわずかしか、すなわち、最大50%、最大30%または最大10%しか突出しないように配置してもよい。代替的に、厚さ方向45の延伸は、光学チャネルのレンズによって決定されてもよく、すなわち、上記レンズは最小の厚さを規定する寸法を有する。
【0039】
ビーム偏向要素32は、ガラス、セラミック、ガラスセラミック、プラスチック、金属、または上記材料および/またはさらなる材料の任意の組み合わせから形成されてもよい。
【0040】
言い換えれば、ビーム偏向要素32は、先端、すなわち主面35aと35bとの間に位置する端が画像センサの方を向くように配置されてもよい。ビーム偏向要素の保持は、ビーム偏向要素の後面または内側でのみ行われるように、すなわち主面が隠されないように行われてもよい。共有の保持または接続要素が、後面35cを横切って延伸してもよい。ビーム偏向要素22の回転軸は、偏心して配置されてもよい。
【0041】
図4eは、画像センサ36と、隣接して配置された光学チャネル42a〜42dの1ラインアレイ38とを含む多開口撮像装置40の概略斜視図である。ビーム偏向手段18は、光学チャネルの数に対応し得る複数のビーム偏向要素32a〜32dを含む。代替的に、例えば、少なくとも1つのビーム偏向要素が2つの光学チャネルによって使用される場合、より少ない数のビーム偏向要素が配置されてもよい。代替的に、図4aおよび図4bに関連して説明したように、ビーム偏向手段18の偏向方向が並進運動によって切り換えられる場合など、より多い数が配置されてもよい。各ビーム偏向要素32a〜32dは、光学チャネル42a〜42dと関連付けられてもよい。ビーム偏向要素32a〜32dは、図4cおよび図4dに従った複数の要素32として構成されてもよい。代替的に、ビーム偏向要素32a〜32dの少なくとも2つ、いくつか、またはすべてを互いに一体的に形成してもよい。
【0042】
図4fは、ビーム偏向要素32の概略側断面図であり、その断面が自由曲面として形成されている。したがって、面35cは、保持要素の取り付けを可能にする凹部49を備えてもよく、凹部49はまた、スロットキーシステムのキーのような突出要素として形成されてもよい。断面は、主面35aおよび35bよりも小さい表面積を有し、それらを互いに接続する第4の面35dをさらに備える。
【0043】
図4gは、第1のビーム偏向要素32aおよび第2のビーム偏向要素32bの概略側断面図であり、第2のビーム偏向要素32bは、図示の方向に見て、第1のビーム偏向要素32aの後方に配置される。凹部49aおよび49bは、本質的に一致するように配置されてもよく、その結果、凹部内に接続要素を配置することが可能である。
【0044】
図4hは、例えば、接続要素51に接続されている4つのビーム偏向要素32a〜32dを含むビーム偏向手段18の概略斜視図である。接続要素は、アクチュエータによって並進可動および/または回転可動であるように使用されてもよい。接続要素51は、一体的に形成されてもよく、ビーム偏向要素32a〜32d上またはビーム偏向要素32a〜32d内で、延伸方向、例えば、図4eにおけるy方向にわたって延伸してもよい。代替的に、例えばビーム偏向要素32a〜32dが一体的に形成されている場合には、接続要素51はビーム偏向手段18の少なくとも一方の側にのみ結合されていてもよい。代替的に、アクチュエータへの接続および/またはビーム偏向要素32a〜32dの接続はまた、例えば接着、絞りまたははんだ付けなどの任意の他の方法で行われてもよい。
【0045】
図5aは、撮像装置16の概略斜視図である。撮像装置16は、ビーム偏向手段18と、画像センサ36と、隣接して配置された光学チャネル42a〜42dの1ラインアレイ38とを含む。各光学チャネル42a〜42dは、撮像装置16の光路22−1〜22−4に光学的に影響を及ぼすように構成された光学素子を備えてもよい。画像センサ36は、画像センサ領域44a〜44dを含んでもよく、光学チャネル22a〜22dの光路22−1〜22−4は各々、画像センサ領域44a〜44dに衝突してもよい。単純に言えば、各画像センサ領域44a〜44dは、光学チャネル22a〜22dおよび/またはそれに関連付けられる光路22−1〜22−4を有してもよい。ビーム偏向手段18は、例えば、図1図2図3a、図3b、図4a〜図4hに関連して説明したように、ポータブル装置の相互に異なる動作状態に基づいて光路22−1〜22−4を互いに異なる方向に偏向させるように構成されてもよい。これは、撮像装置16が、多開口撮像装置40として形成されるか、または多開口撮像装置40を含んでもよいことを意味する。
【0046】
画像センサ領域44a〜44dは各々、例えば、対応する画素アレイを含むチップから形成されてもよく、画像センサ領域は、共通の基板および/または共通の回路基板上に実装されてもよい。代替的に、無論、画像センサ領域44a〜44dが各々、画像センサ領域44a〜44dにわたって連続的に延伸する共通のピクセルアレイの一部から形成されることも可能であり、共通のピクセルアレイは例えば、個々のチップ上に形成される。例えば、共通の画素アレイの画素値のみがその後、画像センサ領域44a〜44dにおいて読み出される。無論、2つ以上のチャネルに対して1つのチップが存在する、また他のチャネルに対してさらなるチップが存在するなど、上記代替形態の様々な組み合わせも可能である。画像センサ36の複数のチップの場合、例えば、1つまたは複数の回路基板上に、例えば、すべてともに、またはグループにしてなどで、上記チップを実装してもよい。
【0047】
1ラインアレイ38は、光学チャネルの光学素子41a〜41dが配置されるキャリア39を備えてもよい。キャリア39は、個々の光学チャネル内で撮像するために使用される光路22−1〜22−4を通過してもよい。多開口撮像装置の光学チャネルは、ビーム偏向手段18と画像センサ36との間でキャリア39を横切ってもよい。キャリア39は、光学素子41a〜41dの間の相対位置を安定して維持してもよい。キャリア39は、透明に形成されてもよく、例えば、ガラス材料および/またはポリマー材料を含んでもよい。光学素子41a〜41dは、キャリア39の少なくとも1つの表面上に配置されてもよい。これにより、光学素子41a〜41dを円周領域内で囲むことを省くことができるため、画像センサ36に平行でかつライン延伸方向56に垂直な方向に沿って、キャリア39の、つまり1ラインアレイ38の小さな寸法が可能になる。実施形態によれば、キャリア39は、画像センサ36の主面に平行で、かつ、ライン延伸方向56に垂直な方向に沿った光学素子41a〜41dの対応する寸法より大きくは構成されないか、または、対応する寸法よりわずかに、すなわち最大20%、最大10%または最大5%だけ大きくなるように構成されている。
【0048】
ビーム偏向手段は、第1の位置および第2の位置において、各光学チャネル42a〜42dの光路22−1〜22−4を互いに異なる方向に偏向するように構成されてもよい。これは、偏向された光路22−1〜22−4が、図6に関連して説明するように、相互に角度を有してもよいことを意味する。光学チャネル16a〜16dは、ライン延伸方向56に沿って少なくとも1つのラインに配置されてもよい。アレイ38は、少なくとも2本のラインを含むマルチラインアレイとして、または(厳密に)1本のラインの光学チャネルを含む1ラインアレイとして形成されてもよい。光路は、様々な視野に向けて設定された視野方向に基づいてビーム偏向手段18によって方向付けられてもよい。光学チャネルは、光学チャネルが完全に重なり合っている場合に、部分的にのみ重なり合う、全視野のうちの部分視野へと方向付けられるように、視野方向内で互いに対して角度を有してもよい。光学チャネルの異なる角度は、光学チャネルの光学素子に基づいて、および/または、ビーム偏向手段18における光学チャネルの互いに異なる偏向に基づいて得てもよい。
【0049】
撮像装置16は、画像センサ36によって捕捉される画像の光学画像安定化を可能にするように構成された光学画像安定化装置46を含んでもよい。この目的のために、光学画像安定化装置46は、ビーム偏向手段18の回転運動52を生成するように構成されたアクチュエータ48aを含んでもよい。回転運動52は、回転軸54の周りに生じてもよく、ビーム偏向手段18の回転軸54は、ビーム偏向手段18の中央領域に、またはビーム偏向手段18から離れて配置されてもよい。回転運動52は、第1の位置または動作状態と第2の位置または動作状態との間でビーム偏向手段を切り替えるために、回転運動28および/または並進運動26に重ね合わせてもよい。ビーム偏向手段18が並進可動である場合、並進運動26は、空間的に1ラインアレイ38のライン延伸方向56と平行に配置されてもよい。ライン延伸方向56は、光学チャネル42a〜42dが隣接して配置される方向に関連してもよい。回転運動52に基づいて、第1の画像軸58に沿って、場合によってはライン延伸方向56に垂直に、光学画像安定化を図ってもよい。
【0050】
代替的または付加的に、光学画像安定化装置46は、ライン延伸方向56に沿って1ラインアレイ38を並進運動させるように構成されたアクチュエータ48bを含んでもよい。ライン延伸方向56に沿った1ラインアレイ38の並進運動に基づいて、第2の画像軸62に沿って、場合によってはライン延伸方向56と平行に、および/または1ラインアレイ38の運動方向と平行に光学画像安定化を図ってもよい。アクチュエータ48aおよび48bは、例えば、圧電アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、液圧アクチュエータ、DCモータ、ステッパモータ、熱アクチュエータ、静電アクチュエータ、電歪アクチュエータ、および/または磁歪アクチュエータとして形成してもよい。アクチュエータ48aおよび48bは、互いに同一にまたは別様に形成されてもよい。代替的に、ビーム偏向手段18を回転運動させ、1ラインアレイ38を並進運動させるアクチュエータが配置されることも可能である。例えば、回転軸54は、ライン延伸方向56と平行であってもよい。回転軸54を中心とする回転運動52は、結果として、画像軸58に平行な方向に沿って撮像装置16が必要とする設置スペースを少なくしてもよく、それによって、ハウジング内で撮像装置16を含むポータブル装置の寸法も小さくしてもよい。単純に言えば、ポータブル装置は、平坦なハウジングを備えてもよい。
【0051】
並進運動26は、例えば、装置10の主面13aおよび/または13bの延伸と平行にまたは本質的に平行に実施可能であってもよく、それによって、動作状態間でビームの偏向を切り替えるために必要とされ得る追加の設置スペースを、ライン延伸方向56に沿って配置されてもよく、および/または、装置の厚さ方向に沿って設置スペースを設けることを省いてもよい。アクチュエータ48aおよび/または48bは、装置のハウジングの主面の延伸方向と平行に、ライン延伸方向にそって、および/またはそれに垂直に配置されてもよい。単純に言えば、これは、動作状態を切り替えるためのアクチュエータおよび/または光学画像安定化装置のアクチュエータを、画像センサ、1ラインアレイ38およびビーム偏向手段18の間の延伸に隣接して、その前に、またはその後ろに配置されてもよいと説明することができ、撮像装置16の設置高さを小さく維持するために、その上および/またはその下の構成が省かれる。これは、動作状態を切り替えるためのアクチュエータおよび/または光学画像安定化装置が、画像センサ36、1ラインアレイ38およびビーム偏向手段18が配置される平面内に配置されてもよいことを意味する。
【0052】
さらなる実施形態によれば、アクチュエータ48bおよび/または他のアクチュエータは、画像センサ36および1ラインアレイ38および/または光学チャネルの光学素子の間の距離を変化させるように構成されてもよい。この目的のために、例えば、アクチュエータ48bは、視野の結像の焦点を変化させるように、および/または、オートフォーカス機能を得るために、光路22−1〜22−4の光路に沿って、および/または、ライン延伸方向56に対して垂直に、1ラインアレイ38および/または画像センサ36を相互に関連して移動させるように構成されてもよい。撮像装置16は、撮像装置の焦点を変更するように構成された合焦手段を備えてもよい。合焦手段は、1ラインアレイ38と画像センサ36との間に相対運動を提供するように構成されてもよい。合焦手段は、相対運動と同時にビーム偏向手段18の運動を行いながら、相対運動を行うように構成されてもよい。例えば、アクチュエータ48bまたはさらなるアクチュエータは、1ラインアレイ38とビーム偏向手段18との間の距離を少なくとも本質的に一定に保つように、または、追加のアクチュエータが使用されない場合には、少なくとも本質的に一定に保つように、可能性として精密に一定に保つように、すなわちビーム偏向手段18を1ラインアレイ38が移動するのと同程度に動かすように構成されてもよい。ビーム偏向手段を備えないカメラでは、合焦機能を実装することによって、装置の寸法(厚さ)が増加する場合がある。ビーム偏向手段に基づいて、これは、画像センサ36の主面に平行であり、多開口撮像装置のライン延伸方向56(例えば、厚さ)に垂直な寸法に沿って生じる任意の追加の寸法なしに起こってもよい。これは、上記運動を可能にする設置スペースをそれに垂直に配置することができるためである。1ラインアレイ38とビーム偏向手段18との間の一定の距離に基づいて、ビーム偏向は調整された(場合によっては最適な)状態に維持されてもよい。単純に言えば、撮像装置16は、焦点を変更するための合焦手段を備えてもよい。合焦手段は、多開口撮像装置16の光学チャネルの少なくとも1つの光学素子41a〜41dと画像センサ36との間の相対運動(合焦運動)を提供するように構成されてもよい。合焦手段は、例えばアクチュエータ48bおよび/または48aのような相対運動を提供するためのアクチュエータを備えてもよい。ビーム偏向手段18は、場合によっては別のアクチュエータを使用しながら、合焦運動と同時に、対応する構造的な構成または利用のために、そのまま動かされてもよい。これは、1ラインアレイ38とビーム偏向手段との間の距離が変化しないこと、および/または、合焦運動が行われるのと同時にもしくは時間差をつけて、合焦運動と同じもしくは同程度の範囲までビーム偏向手段18が動かされ、それによって、この距離が、少なくとも多開口撮像装置によって視野が捕捉される時には、焦点の変更前の距離に比べて変化しないことを意味する。
【0053】
図1に関連して説明したように、光学チャネルの偏向された光路は、装置のハウジングの透明領域を通過してもよく、透明領域には絞りが配置されてもよい。装置の少なくとも1つの動作状態において、透明領域のある領域に配置された絞りが、2つの、複数のまたはすべての光学チャネルに対して有効であるように、すなわち、少なくとも部分的に閉じた状態であるように、上記領域を光学的に少なくとも部分的に閉じてもよい。異なる動作状態では、絞りは、2つの、複数のまたはすべての光学チャネルに対して開かれた状態であってもよい。これは、絞りが、多開口撮像装置の少なくとも2つの光学チャネルに対して有効であってもよいことを意味する。第1の動作状態では、絞り24bは、2つの、複数のまたはすべての光学チャネルの透明領域14bを光学的に少なくとも部分的に閉じてもよい。第2の動作状態では、絞り24aは、2つの、複数のまたはすべての光学チャネルの透明領域14aを光学的に少なくとも部分的に閉じてもよい。
【0054】
図5bは、変形された撮像装置16’の概略側断面図であり、回転軸54を中心とする回転運動52’に基づいて、ビーム偏向手段18を、第1の動作状態の第1の位置Pos1と第2の動作状態の第2の位置Pos2との間で動かすことができる。第1の動作状態では、撮像装置16’は第1の視野方向57aを含んでもよい。第2の動作状態では、撮像装置16’は第2の視野方向57bを含んでもよい。ビーム偏向手段18の主面59aおよび59bは、ミラーおよび/またはファセット要素として反射性であるように形成してもよい。動作状態間の切り替えの間、ビーム偏向手段18は中心位置61の間で切り換えてもよく、その結果、その距離が平面63aおよび63bの法線方向に沿った撮像装置16’の最小寸法を説明し得る、平行な平面63aと63bとの間の差は、ビーム偏向手段18の運動ではなく、画像センサ36、アレイ38の寸法に影響される。回転運動52は、回転運動28によって重ね合わされてもよい。単純に言えば、切り換えおよび光学画像安定化の重ね合わせを行ってもよい。
【0055】
多開口撮像装置のアクチュエータは、直方体の辺が及ぶ(辺によって画定される)2つの平面63aと63bとの間に少なくとも部分的に配置されてもよい。直方体の辺は互いに平行に配置されてもよく、かつ、アレイ、および、画像センサとビーム偏向手段との間の光学チャネルの光路の一部分のライン延伸方向に平行に配置されてもよい。直方体の容積は最小限であるが、画像センサ、アレイ、およびビーム偏向手段ならびにそれらの動作に関連する動きを含む。
【0056】
多開口撮像装置の厚さ方向は、平面63aおよび/または平面63bに対して垂直に配置されてもよい。アクチュエータは、厚さ方向に平行な寸法または延伸を有してもよい。平面63aと63bとの間に位置する領域から出発して、寸法の最大50%、最大30%、または最大10%の割合が、平面63aおよび/または63bを越えてまたは上記領域を越えて突出してもよい。したがって、アクチュエータは、例えば、平面63aおよび/または63bを越えて、ほんのわずかな範囲まで突出する。実施形態によれば、アクチュエータは、平面63aおよび/または63bを越えて突出しない。このことの有利な点は、多開口撮像装置の厚さ方向に沿った延伸がアクチュエータによって拡大されないことである。
【0057】
多開口撮像装置の体積は、平面63aと63bとの間に小さいまたは最小の設置スペースを含んでもよい。平面63aおよび/または63bの側辺または延伸方向に沿って、多開口撮像装置の設置スペースが大きくても、または任意の所望される大きさであってもよい。仮想直方体の体積は、例えば、画像センサ36、アレイ38、およびビーム偏向手段の配置によって影響される。これらの構成要素は、本明細書に記載された実施形態によれば、平面に垂直な方向に沿ったこれらの構成要素の設置スペース、したがって、平面63aと63bとの間の相互距離が、小さくまたは最小になるように配置されてもよい。構成要素の他の構成と比較して、仮想直方体の体積および/または他の辺の距離が拡大されてもよい。
【0058】
図6は、互いに重なり合う4つの部分視野62a〜62dを含む全視野60の概略図である。図5を参照すると、例えば、光路22−1は部分視野62aに向けてもよく、光路22−2は部分視野62bに向けてもよく、光路22−3は部分視野62cに向けてもよく、および/または光路22−4は部分視野62dに向けてもよい。光路22−1〜22−4と部分視野62a〜62dとの対応付けは任意であるが、ビーム偏向手段18から始まって、光路22−1〜22−4は、相互に異なる方向に向けられることが明らかである。
【0059】
図7は、第1の多開口撮像装置16aと第2の多開口撮像装置16bとを含み、多開口撮像装置を用いて全視野60を立体的に捕捉するように構成された装置70の概略斜視図である。全視野60は、例えば、主面13aから外方に面する主面13b上に配置される。例えば、多開口撮像装置16aおよび16bは、透明領域14aおよび/または14cによって全視野60を捕捉することができ、主面13b内に配置された絞り24aおよび24cは、少なくとも部分的に透明である。主面13a内に配置された絞り24bおよび24dは、光学的に少なくとも部分的に透明領域14bおよび/または14dを閉じることができ、それによって、多開口撮像装置16aおよび/または16bによって捕捉される画像を改変する場合がある主面13aに面する側から入射した迷光の程度が、少なくとも低減される。多開口撮像装置16aおよび16bは互いに離間して配置されているように図示しているが、多開口撮像装置16aおよび16bはまた、空間的に隣接してまたは組み合わされて配置されてもよい。例えば、撮像装置16aおよび16bの1ラインアレイは、互いに隣接して、または互いに平行に配置されてもよい。1ラインアレイは、互いにラインを形成してもよく、各多開口撮像装置16aおよび16bは、1ラインアレイを含む。撮像装置16aおよび16bは、共通のビーム偏向手段および/または共通のキャリア39および/または共通の画像センサ36を備えてもよい。
【0060】
透明領域14a〜14dは、使用されていない場合に光学構造を覆う切り替え可能な絞り24a〜24dを付加的に備えてもよい。絞り24a〜24dは、機械的可動部分を含んでもよい。機械的可動部分の運動は、例えばアクチュエータ48aおよび48bについて記載されているように、アクチュエータを使用しながら行ってもよい。代替的または付加的に、絞りは電気的に制御可能であってもよく、エレクトロクロミック層または一連のエレクトロクロミック層を含んでもよい。
【0061】
図8は、例えば、撮像システム70内に配置され得るような、第1の多開口撮像装置16aおよび第2の多開口撮像装置16bを含む概略構造を示す。1ラインアレイ38aおよび38bは共通のラインを形成する。画像センサ36aおよび36bは、共通の回路基板または共通のフレックスボードのような共通の基板および/または共通の回路キャリア上に実装されてもよい。代替的に、画像センサ36aおよび36bはまた、互いに異なる基板を含んでもよい。無論、共通の画像センサ、共通のアレイ、および/または共通のビーム偏向手段18を含む多開口撮像装置、ならびに、別々の構成要素を備えるさらなる多開口撮像装置のような、上記代替形態の様々な組み合わせも可能である。共通の画像センサ、共通の1ラインアレイ、および/または共通のビーム偏向手段について有利な点は、少数のアクチュエータを制御することによってそれぞれの構成要素の運動を高精度で達成することができること、および、アクチュエータ間の同期を減少または防止することができることである。さらに、高いレベルの熱安定性を実現してもよい。代替的または付加的に、さらなる多開口撮像装置は、共通のアレイ、共通の画像センサおよび/または共通のビーム偏向手段を備えてもよい。
【0062】
ビーム偏向手段から出発して、光路および/または光軸を互いに異なる方向に向けてもよいことは、すでに上で指摘されている。これは、光路が、ビーム偏向手段での偏向の間および/または互いに平行な状態からずれている光学素子による偏向の間に互いに平行に向けられるという点で達成されてもよい。光路および/または光軸は、ビーム偏向の前に、または一切のビーム偏向なしに、平行からずれてもよい。この状況は、チャネルに何らかの種類の事前発散が起こり得るという事実によって以下に説明される。光軸の上記事前発散によって、例えばビーム偏向手段のファセットのファセット傾斜のすべてが互いに異なるわけではないが、チャネルのいくつかのグループが、例えば等しい傾斜を有するファセットを含むか、またはこれに向けられることが可能である。この場合、後者は、言わば、ライン延伸方向に隣接する上記チャネルグループに関連付けられるファセットとして、一体化されるか、または連続的に互いに融合するように形成されてもよい。これらのチャネルの光軸の発散はこのとき、光学チャネルの光学素子の光学中心とチャネルの画像センサ領域との間の横方向オフセットによって得られる、これらの光軸の発散に起因し得る。事前発散は、例えば、1つの平面に限定され得る。光軸は、例えば、ビーム偏向に先立って、または、一切のビーム偏向なしに、共通の平面内に延伸し得るが、上記平面内で発散的に延伸し、ファセットは、他の横断面内の追加の発散のみを引き起こす。すなわち、ファセットは、すべてライン延伸方向と平行に傾斜し、光軸の上記共通の平面とは異なるようにのみ互いに傾斜している。ここでもまた、いくつかのファセットは、例えば、ビーム偏向に先立って、または、一切のビーム偏向なしに、すでに上述した共通の平面内にある、光軸が対ごとに異なるチャネルのグループと同じ傾斜を有してもよく、かつ/または、共通に関連付けられてもよい。簡単に言えば、光学素子は第1の(画像)方向に沿った光路の(事前)発散を可能にすることができ、ビーム偏向手段は第2の(画像)方向に沿った光路の発散を可能にすることができてもよい。
【0063】
例えば、存在し得る、上述した事前発散は、例えば、光学素子の光学中心が、ライン延伸方向に沿った直線状に存在し、一方で、画像センサ領域の中心が、画像センサ領域の平面の法線に沿った光学中心の、画像センサ平面内の直線上に存在する点への投影から、例えば、画像センサ平面内の上述した直線上に存在する点から逸脱している点において、ライン延伸方向に沿っておよび/またはライン延伸方向と画像センサ法線の両方に垂直な方向に沿ってチャネル特異的に逸脱するように配置されるように達成されてもよい。代替的に、事前発散は、光学素子の中心が、ライン延伸方向に沿った直線状に存在し、一方で、光学素子の中心が、光学素子の光学中心の平面の法線に沿った画像センサの光学中心の、光学中心平面内の直線上に存在する点への投影から、例えば、光学中心平面内の上述した直線上に存在する点から逸脱している点において、ライン延伸方向に沿っておよび/またはライン延伸方向と光学中心法線の両方に垂直な方向に沿ってチャネル特異的に逸脱するように配置されるという点において達成されてもよい。上述したそれぞれ投影からのチャネル特有の逸脱がライン延伸方向においてのみ行われること、すなわち、共通の平面内にのみ位置する光軸に事前発散が起こることが好ましい。光学中心と画像センサ領域中心は、各々がライン延伸方向に平行であるが、中間間隙が異なる直線上に位置する。したがって、ライン延伸方向に垂直な横方向における、レンズと画像センサとの間の横方向オフセットは、設置高さの増加をもたらす。ライン延伸方向の単なる面内オフセットだけでは構造高さを変えることはないが、ファセットをより少なくすることは可能であり得、および/または、ファセットが、ある角度方向でのみ傾斜するようになり得、これによって設計が単純化される。例えば、各事例において隣接する光学チャネルは、共通の平面内に延伸し、互いに対し斜めになっている、すなわち、事前発散が起こる光軸を含む。ファセットは、光学チャネルグループに対して、一方向のみに傾けられ、ライン延伸方向に平行であるように配置されてもよい。
【0064】
さらに、例えば、超解像を実現するため、および/または、対応する部分視野が上記チャネルによって走査される解像度を高めるためにいくつかの光学チャネルが同じ部分視野に関連付けられるようにしてもよい。そのようなグループ内の光学チャネルは、ビームの偏向の前に平行に延伸し、1つのファセットによって部分視野へと偏向される。有利には、1つのグループのチャネルの画像センサのピクセル画像が、このグループの別のチャネルの画像センサのピクセルの画像間の中間位置に配置される。
【0065】
例えば、超解像の目的がなくても、立体視目的のためだけに、直接隣接するチャネルからなるグループが、ライン延伸方向内の部分視野で全視野を完全にカバーし、相互に直接的に隣接するチャネルの更なるグループが、それらに関する限り、全視野を完全にカバーする実施形態も実現可能である。
【0066】
したがって、上記の実施形態はまた、特に1ラインチャネル構成を有する多開口撮像装置、および/または、そのような多開口撮像装置を含む装置の形態で実施されてもよい。各チャネルは、全視野のうちの部分視野を伝達し、部分視野は部分的に重複している。ステレオ、トリオ、クワトロなどの設計のような、3D撮像用の複数のそのような多開口撮像装置を含む設計が可能である。これに関し、ほとんどのモジュールは、1つの連続したラインとして実装されてもよい。隣接するラインは、同一のアクチュエータおよび共通のビーム偏向要素から利益を得てもよい。光路内に存在する可能性がある1つまたは複数の増幅基板は、ライン全体に延伸してもよく、これによってステレオ、トリオ、クワトロ設計を形成してもよい。いくつかのチャネルが同じ部分画像領域を撮像する超解像度方法を使用してもよい。光軸は、既にビーム偏向装置を備えていない発散的な方法で延伸してもよく、それによってビーム偏向ユニット上のファセットが少なくて済む。ファセットは有利には1つの角度成分のみを示す。画像センサは、1つの部分内にあってもよく、1つの連続画素マトリクスのみまたは複数の断続的な画素マトリクスを備えてもよい。画像センサは、例えばプリント回路基板上に互いに隣接して配置された多数の部分センサから構成されてもよい。自動焦点駆動装置を、ビーム偏向要素が光学素子と同期して動かされるかまたはアイドルであるように構成してもよい。
【0067】
原則として、画像センサ(複数可)、結像光学素子(複数可)およびミラーアレイ(複数可)を含む任意の数のサブモジュールを配置してもよい。サブモジュールは、システムとして構成されてもよい。サブモジュールまたはシステムは、例えば、スマートフォンのようなハウジング内に設置されてもよい。システムは、1つまたは複数のラインおよび/または行にして、任意の所望の位置に配置されてもよい。例えば、視野の立体的な捕捉を可能にするために、ハウジング12内に2つの撮像装置16を配置してもよい。
【0068】
さらなる実施形態によれば、装置70は、多開口撮像装置16をさらに含み、それによって、全視野60を3つ以上の多開口撮像装置によって走査してもよい。これは、視野方向がチャネルごとに適合されるため、全視野を補足する、部分的に重複する複数のチャネルを可能にする。立体的に、または、より高い次数を含むように全視野を捕捉するために、本明細書に記載された実施形態に従って、および/または、チャネルの記載された配置に従って、少なくとも1つのさらなるチャネル配置を構成してもよく、これは、正確に1つのラインとして、または別個のモジュールとしての形状をとってもよい。これは、1ラインを、さらなるラインを有するマルチライン形式で配置してもよいことを意味し、上記さらなる光学チャネルラインは、さらなる多開口撮像装置と関連付けることができる。さらなる光学チャネルラインはまた、それぞれ重複数部分領域を捕捉し、共に全視野をカバーすることができる。これにより、サブグループ内の全視野を部分的に重複してカバーするチャネルからなるステレオ、トリオ、クワトロなどの構造のアレイカメラを得ることが可能になる。
【0069】
換言すれば、線形チャネル構成を含む多開口カメラは、互いに隣接して配置され、全視野の一部をそれぞれ伝送するいくつかの光学チャネルを含んでもよい。実施形態によれば、ミラー(ビーム偏向手段)を、有利には結像レンズの前に配置してもよく、ミラーはビーム偏向のために使用されてもよく、設置高さの低減に寄与してもよい。例えば、ファセットが平面であるか、または任意のタイプの曲率を示すか、または自由形状の表面を備えていてもよい、ファセットミラーのようなチャネルごとに適合されたミラーと組み合わせて、チャネルの撮像光学素子を基本的に同一に構築し、一方で、チャネルの視野方向が、ミラーアレイの個々のファセットによって影響されるか、または予め規定されることが有利であり得る。平面ミラー(平坦に構成されたミラー)と組み合わせて、チャネルの撮像光学素子は、異なる視野方向が生じるように、別様に構成または実装されてもよい。偏向ミラー(ビーム偏向装置)を枢動させてもよく、回転軸は光学チャネルに垂直に、すなわちチャネルのライン延伸方向に平行に延伸してもよい。偏向ミラーは、両面で反射性であってもよい。金属層または誘電体層または一連の層は、反射性を得るように配置されてもよい。ミラーの回転変位または並進変位は、2つまたは複数の方向に沿って類似していても安定していてもよい。安定とは、予測された方向に沿った運動を達成するために力が加えられることを意味すると理解され得る。上記力が下降すると、この結果としてビーム偏向手段の凍結または後方への動きが生じる可能性がある。
【0070】
類似の回転(回転運動52)は、画像の位置の1次元適応のために使用されてもよく、これは光学画像安定化として理解され得る。例えば、ここではほんの数度だけの動き、例えば15°以上、10°以上または1°以上で十分であり得る。2つまたは複数の方向に沿って安定なミラーの回転は、カメラの視野方向を切り替えるために使用されてもよい。例えば、ディスプレイの前、ディスプレイの横および後ろの間で視野方向を切り替えてもよい。類似の動きまたは位置および2つの/複数の方向に沿って安定しているおよび動きまたは位置は、組み合わせ可能であり、すなわち重ね合わせてもよい。例えば、前方および後方に向かう異なる視野方向を有する2つのカメラを使用する、例えばスマートフォンのようなポータブル装置に見られる解決策は、本明細書に記載された実施形態によって、1つの撮像装置のみを含む構造によって置き換えてもよい。既知の解決策とは異なり、構造は、例えば、観察窓が、同じ位置に、すなわち上側または下側のハウジングカバー内で反対に、前後の視野方向を有するカメラ用のハウジング内に配置されることを特徴としてもよい。ビーム通過のために配置された上記ハウジングカバーの領域は、透明であってもよく、可視光が使用される場合には、ガラスおよび/またはポリマーから構成され、または、それを含んでもよい。
【0071】
上記の実施形態は、装置が第1の動作状態および第2の動作状態を有するという意味で説明されているが、さらなる実施形態によれば、さらなる視野、すなわち、少なくとも第3の視野をキャプチャするためのさらなる動作状態が構成されてもよい。
【0072】
いくつかの態様は、装置の文脈内で説明されているが、上記態様は、対応する方法の説明も表しているので、装置のブロックまたは構成要素は、対応する方法ステップまたは方法ステップの特徴としても理解されるべきであることは理解されたい。それと同様に、方法ステップに関連してまたは方法ステップとして記載されている態様は、対応する装置の特徴の対応するブロックまたは詳細の記述をも表す。
【0073】
上述の実施形態は、本発明の原理の例示を表しているに過ぎない。当業者は、本明細書に記載された構成および詳細の任意の変更および変形を諒解するであろうことは理解されたい。このため、本発明は、本明細書および実施形態の議論によってここに提示された特定の詳細ではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図されている。
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図4f
図4g
図4h
図5a
図5b
図6
図7
図8