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発光光電子素子と光電流発生光電子素子との平面アレイを備えるデバイスであって、前記発光光電子素子は、発光層を備え、前記光電流発生光電子素子は、吸収層を備え、前記デバイスは、前記発光層及び前記吸収層の上であって、アノード層の外部に位置する透明アイテムを備え、前記デバイスは、前記発光光電子素子によって発せられた光が前記デバイス内の経路を介して前記光電流発生光電子素子に到達するのを阻止する不透明素子をさらに備え、前記不透明素子は、前記透明アイテムの間に位置し、前記発光光電子素子の正孔輸送層が光電流発生光電子素子の正孔輸送層から分離されていない、デバイス。
前記発光光電子素子と前記光電流発生光電子素子とは同一組成を有し、前記発光光電子素子は有効順バイアス下にあり、前記光電流発生光電子素子は有効逆バイアス下にある、請求項1に記載のデバイス。
前記発光層は、量子ドット及びナノロッドからなる群から選択された材料を含み、前記吸収層は、量子ドット及びナノロッドからなる群から選択された材料を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のデバイス。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下は、図面の簡単な説明である。
【0010】
【
図1】発光光電子素子(「LEOE」)または光電流発生光電子素子(「PGOE」)であり得る光電子素子の概略図である。
【
図3】2つの隣接する光電子素子を有するデバイスの一実施形態を示し、デバイス内にいくつかの可能な光路を示している。
【
図4】外部物体と、不透明素子及び外部物体を有するデバイスの一実施形態を示す。
【
図5】外部物体と、不透明素子を有するデバイスの別の実施形態を示す。
【
図6】光電子素子のアレイを含むデバイスに使用することができる不透明素子の実施形態の2つの視図を示す。
【
図7】光電子素子のアレイを含むデバイスに使用することができる不透明素子の実施形態の2つの視図を示す。
【
図9】コア/シェル量子ドットの概略スケッチである。
【
図10】実施例3に記載されたデバイスによって発生された光電流を示し、外部物体の検出を実証する。
【
図11】下記の実施例に記載される光電子素子の4×4アレイを構築する際に使用されるステップを示す。
【0011】
以下は、本発明の詳細な説明である。
【0012】
本明細書で使用される場合、以下の用語は、文脈上他に明確に示されていない限り、指定された定義を有する。
【0013】
「吸収層」等の用語は、電極(アノードとカソード)の間に位置する層であり、適切な波長の光に曝されると正孔及び電子を生成し、適切な有効逆バイアス電界が存在する場合には、互いに分離して電流を形成する。
【0014】
「活性層」等の用語は、電極(アノード及びカソード)の間に位置する層である。活性層は、吸収層または発光層、あるいはバイアス電圧に応じて吸収層または発光層のいずれかとして作用することができる層であってもよい。
【0015】
「アノード」は、正孔注入層、正孔輸送層、または発光層等の発光層側に位置する層に正孔を注入する。アノードは、基板上に配置される。アノードは、典型的には、金属、金属酸化物、金属ハロゲン化物、導電性ポリマー、及びそれらの組み合わせから製造される。
【0016】
各活性層はバンドギャップによって特徴付けられる。発光層のバンドギャップは、光電子素子を有効順バイアス下に置いて、発せられる光の強度を光周波数の関数として測定することによって特徴付けられる。発せられる光の最大強度に対応する光の周波数は、本明細書ではv
e呼ばれ
、v
eは発光層のバンドギャップを特徴付ける。光電流発生層のバンドギャップは、光電子素子を有効逆バイアス下に置き、光電子素子を様々な周波数の光に曝し、光電流を光周波数の関数として測定することによって特徴付けられる。最大光電流に対応する光の周波数は、本明細書では光電流発生層の特性応答周波数v
dとして知られており、v
dは、光電流発生層のバンドギャップを特徴付ける。
【0017】
「カソード」は、発光層側に位置する層(すなわち、電子注入層、電子輸送層、または発光層)に電子を注入する。カソードは、典型的には、金属、金属酸化物、金属ハロゲン化物、導電性ポリマー、またはそれらの組み合わせから製造される。
【0018】
「有効順バイアス」は、光電子素子のアノード及びカソードに印加される電圧である。「順バイアス」電圧は、アノードに印加される電圧がカソードに印加される電圧に対して正であることを意味する。順バイアスは、電圧が光電子素子を発光させるのに十分な大きさを有するとき、「有効」である。
【0019】
「有効逆バイアス」は、光電子素子のアノード及びカソードに印加される電圧である。有効逆バイアスは、光電子素子が感応する光が当たったときに光電子素子が光電流を発生することを可能にする。一般に、絶対逆バイアスとは、アノードに印加される電圧がカソードに印加される電圧に対して負であることを意味する。ほとんどの光電流発生光電子素子は、それらが逆バイアス下にあるとき、またはゼロバイアス電圧であるときに感応する光が当たったときに光電流を発生することができる。多くの光電流発生光電子素子は、それらが比較的小さい順バイアス下にあるときに感応する光が当たったときに光電流を発生することもできる。したがって、有効逆バイアスは、多くの光電子素子について、小さい電圧の順バイアスからゼロ電圧まで及び中程度の絶対逆バイアスに及ぶ範囲の電圧である。
【0020】
「電子注入層」または「EIL」等の用語は、有効順バイアス下の光電子素子において、カソードから注入された電子を電子輸送層に効率的に注入する層である。いくつかの光電子素子はEILを持ち、あるものはそうではない。
【0021】
「電子輸送層」または「ETL」等の用語は、活性層と電子注入層との間に配置される層である。有効順バイアス電界に置かれたとき、電子輸送層は、カソードから注入された電子を発光層に向かって輸送する。ETLの材料または組成は、典型的には、注入された電子を効率的に輸送するために高い電子移動度を有する。ETLはまた、典型的には、ホールの通過を阻止する傾向がある。
【0022】
「電子ボルト」または「eV」は、1ボルトの電位差を横切って移動する単一の電子の電荷によって得られる(または損失する)エネルギーの量である。
【0023】
「発光層」等の用語は、電極(アノード及びカソード)の間に位置する層であり、有効順バイアス電界に置かれると、正孔注入層を介してアノードから注入された正孔と電子輸送層を介してカソードから注入された電子との再結合によって励起され、発光層は一次発光源となる。
【0024】
本明細書で使用される場合、「外光」は、本発明の光電子デバイスの外部で発する光である。
【0025】
F4TCNQは、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノ−p−キノジメタンである。
【0026】
本明細書で使用される場合、「ヘテロ接合」は、2つの異なる半導体間の界面である表面である。
【0027】
「正孔注入層」または「HIL」等の用語は、有効逆バイアス下の光電子素子において、アノードから注入された正孔を正孔輸送層に効率的に注入する層である。いくつかの光電子素子はHILを持ち、あるものはそうではない。
【0028】
「正孔輸送層(hole transport layer)(または「HTL」)」等の用語は、正孔を輸送する材料から成る層を指す。高い正孔移動度が望ましい。HTLは、発光層によって輸送された電子の通過を阻止することを助けるために使用される。小さな電子親和力は、典型的には、電子を阻止するために必要とされる。HTLは、望ましくは、隣接するEML層からの励起子移動を阻止するためにより大きな三重項を有するべきである。
【0029】
本明細書で使用される場合、「ナノロッド」(NR)は、第1の軸を有する物品である。ナノロッドは、第1の軸の周りに回転対称性を有する。第1の軸に垂直な任意の方向におけるナノロッドの長さに対する第1の軸の方向におけるナノロッドの長さ(「軸方向長さ」)の比は2:1以上である。ナノロッドの軸方向長さは200nm以下である。ナノロッドは、2つ以上の異なる半導体を含む。「二重ヘテロ接合ナノロッド(DHNR)は、2つ以上の異なるヘテロ接合を有するナノロッドである。
【0030】
本明細書で使用する「不透明」という用語は、可視スペクトルにおける光エネルギーの1%以下を透過する物品を指す。不透明な物品は、吸収、散乱、反射、またはそれらの組み合わせを含む任意の機構による光の透過を防止し得る。
【0031】
本明細書で使用される場合、「光電子素子」は、発光光電子素子(発光ダイオード(LED)とも呼ばれる)、または光電流発生光電子素子(フォトダイオード(PD)とも呼ばれる)のいずれかの物品である。LEDは、適切な電圧(「有効順バイアス」電圧)が印加されたときに発光する物品である。PDは、適切な電圧(「有効逆バイアス」電圧)が印加されたときに、PDが感応する波長の光がPDに当たると電流を発生する物品である。一部の物品は、有効順バイアス電圧下で光を発することができ、逆電圧が印加されている間に特定の波長の光が当たると光電流を発生することもできる。すなわち、一部の物品は、印加される電圧に応じて、LEDとして、またはPDとして機能することができる。印加された有効順バイアス電圧を有し、光を発する光電子素子は、本明細書では、「発光モード」または「LEDモード」にあると言われる。印加された有効逆バイアス電圧を有し、光電子素子が感応する波長の光が当たると光電流を発生することができる光電子素子は、本明細書では、「検出モード」または「PDモード」にあると言われる。
【0032】
PEDOT:PSSは、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホネートとの混合物である。
【0033】
本明細書で使用される場合、「有機」化合物は、1つ以上の炭素原子を含む化合物である。「有機化合物」という用語には、以下のもの:水素以外の任意の元素と炭素の二成分化合物、金属シアン化物、金属カルボニル、ホスゲン、硫化カルボニル、及び金属炭酸塩は含まれない。有機でない化合物は無機である。純粋な元素は、本明細書では無機化合物とみなされる。
【0034】
本明細書で使用される場合、「量子ドット」(QD)は、1〜25nmの直径を有する物品である。量子ドットは、1つ以上の無機半導体を含む。
【0035】
「基板」は、有機発光デバイスの支持体である。基板に適した材料の非限定的な例には、石英板、ガラス板、金属板、金属箔、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、及びポリスルホン等のポリマー樹脂からのプラスチックフィルムが含まれる。
【0036】
TFBは、ポリ(9,9−ジ−n−オクチルフルオレン−alt−(1,4−フェニレン−((4−sec−ブチルフェニル)イミノ)−1,4−フェニレンである。
【0037】
図1は、光電子素子の概略図を示す。これらの層は、
図1に示すように互いに接触している。透明層1は、いかなる透明材料であってもよい。好ましい透明材料はガラスである。光電子素子を構築する好ましい方法は、ガラスの層で始まり、次に他の層を順番に適用することであるので、透明材料はしばしば「基板」と呼ばれる。アノード層2も透明であることが好ましい。アノード層2の好ましい材料は、酸化インジウムスズ(ITO)である。活性層3は、適切な「順方向」バイアス電圧を受けたときに光を発することができ、または、適切な波長の光に曝されたとき、かつ適切な「逆」バイアス電圧を受けたときに光電流を発生することができ、または、バイアス電圧に応じて光を発するか光電流を発生させることができる材料を含む。バイアス電圧は、電圧源または回路5によって印加される。カソード層4は、好ましくは金属である。光電子素子を動作させることが所望される場合、電圧源または回路5は、任選択的に、ワイヤ6を介してアノード層及びカソード層に接続される。電圧源6と光電子素子との間の接続は、スイッチまたはスイッチング回路(図示せず)によって任意選択的に確立及び/または中断されてもよい。
図1に示す電気回路は、好ましくは電流感知デバイス20を含み、それは、回路の任意の点に位置し得る。
【0038】
光電子素子に有効順バイアスを供給することが望ましい場合、電圧源または回路は、アノード2に印加される電圧がカソード4に印加される電圧に対して正であるように、アノード2及びカソード4に電圧を印加する。印加電圧の大きさは、少なくとも活性層3を発光させるのに十分な大きさである。有効順バイアスの印加電圧の典型的な大きさは、1〜10ボルトである。
【0039】
光電子素子に有効逆バイアスを供給することが望ましい場合、電圧源または回路は、アノード2に印加される電圧がカソード4に印加される電圧に対して負であるように、アノード2及びカソード4に電圧を印加する。印加電圧の大きさは、少なくとも活性層3が感応する光が活性層3に入射するときに光電流が発生するように十分に大きい。印加電圧の大きさは、活性材料の破壊及び破壊から生じる一定の電流の流れを回避するように十分に低く保たれる。有効逆バイアスの印加電圧の典型的な大きさは、−0.1〜10ボルト(すなわち、大きさ0.1ボルトの小さい順バイアスから、0ボルトを通して、大きさ10ボルトの絶対逆バイアスまで)である。光電流が発生される場合、それは好ましくは電流検出器20によって検出され、追加の処理回路(図示せず)に任意選択的に接続される。
【0040】
いくつかの実施形態では、電圧源または回路5は、有効順バイアスまたは有効逆バイアスのいずれかを光電子素子に印加することができる制御回路を含む。いくつかの実施形態では、制御回路は、バイアスを順方向から逆方向及び/または逆方向から順方向に反転させ、そのような反転は、例えば、時間シーケンスによって、または光電子デバイスの外部で発生するか、または制御回路内で発生する刺激に対する応答によって制御されてもよい。
【0041】
図2は、光電子素子の一実施形態の概略図を示す。
図2において、活性層は正孔注入層(HIL)31、正孔輸送層(HTL)32、活性層33、及び電子注入層(EIL)34を含む。任意選択的に、光電子素子は、例えば、次の1つ以上:HIL31に隣接する1つ以上の追加のHIL、及び/または発光あるいは吸収層に隣接しかつEILに隣接する1つ以上の電子輸送層(ETL)を含む追加の層を包含することもできる。
【0042】
発光または吸収層33は、任意の活性光電子材料であってもよい。例えば、発光または吸収層33は、1つ以上のヘテロ接合を形成するために2つ以上のドープされたまたはドープされていない無機半導体を含んでもよく、無機半導体は、層状または複数の粒子の形態で構成されていてもよい。好ましくは、発光または吸収層33は、それぞれが1つ以上のヘテロ接合を含む複数の無機粒子を含む。好ましくは、複数の無機粒子は、量子ドットまたはナノロッドである。別の例では、発光または吸収層33は、エレクトロルミネセンス有機分子または2つ以上の有機分子の混合物を含んでもよい。
【0043】
量子ドットの中では、第II−VI族材料、第III−V族材料、第IV族材料、第V族材料、またはそれらの組み合わせを含むものが好ましい。量子ドットは、好ましくはCdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、GaN、GaP、GaAs、InP及びInAsから選択された1つ以上を含む。好ましくは、量子ドットは、上記材料の2つ以上を含む。例えば、化合物は、単純混合状態で存在する2つ以上の量子ドット、2つ以上の化合物結晶が同一の結晶、例えばコア−シェル構造または勾配構造を有する結晶、内で部分的に分けられている混合混晶、または2つ以上のナノ結晶を含む化合物を含んでもよい。好ましくは、量子ドットは、コアと、コアを包む1つ以上のシェルとを有する包囲構造を有し、ここでコアの組成はシェルの組成とは異なる。そのような実施形態では、コアは、好ましくはCdSe、CdS、ZnS、ZnSe、CdTe、CdSeTe、CdZnS、PbSe、AgInZnS、及びZnOから選択される1つ以上の材料を含む。シェルは、好ましくはCdSe、ZnSe、ZnS、ZnTe、CdTe、PbS、TiO、SrSe、及びHgSeから選択される1つ以上の材料を含む。いくつかの実施形態では、量子ドットは、コア、コアを取り囲む第1のシェル、及び第1のシェルを取り囲む第2のシェルを含む。存在する場合、第2のシェルは、好ましくはCds、CdSe、ZnSe、ZnS、ZnTe、CdTe、PbS、TiO、SrSe、HgSe、II−IV族の合金から選択される1つ以上の材料を含み、より好ましくはCds、CdSe、ZnSe、ZnS、ZnTe、CdTe、PbS、TiO、SrSe、及びHgSeから選択される。第2のシェルが存在する場合、好ましくはコア、第1のシェル、及び第2のシェルは、3つの異なる組成を有する。いくつかの実施形態では、量子ドットは、Mn、Cu及びAgなどのドーパント元素の1つ以上の原子を含むことができる。この場合、ドーパント原子または複数の原子は、コア内または量子ドットの第1シェル内に位置することができる。
【0044】
好ましい量子ドットは、外側表面に付着した有機配位子を有する。好ましい配位子は、好ましくは8〜25個の炭素原子を有する炭化水素鎖を含む。配位子は、好ましくは、炭素及び水素以外の原子を含む化学基、例えばカルボキシル基を介して無機半導体の最も外側の表面に付着する。
【0045】
量子ドットの好適実施形態を
図9に示す。無機半導体コア902は、異なる無機半導体901によって囲まれている。最外殻半導体901の表面には、有機配位子分子903が付着している。
【0046】
ナノロッド中で、第1の軸に垂直な任意の方向におけるナノロッドの長さに対するナノロッドの軸方向長さの比は2:1以上であり、好ましくは5:1以上であり、より好ましくは10:1以上である。ナノロッドの軸方向長さは200nm以下であり、好ましくは150nm以下、より好ましくは100nm以下である。ナノロッドは、2つ以上の異なる半導体を含む。好ましいナノロッドは、各端部に、円筒形ロッドと接触する単一のエンドキャップまたは複数のエンドキャップを配置した円筒形ロッドを含む。円筒形ロッドの所定の端部のエンドキャップも互いに接触する。エンドキャップは、好ましくは、一次元ナノ粒子を不動態化する働きをする。好ましくは、円筒形ロッドの各端部において、ナノロッドは、第1のエンドキャップと、第1のエンドキャップを部分的または完全に取り囲む第2のエンドキャップとを含む。第1のエンドキャップと第2のエンドキャップは、好ましくは互いに異なる組成を有する。好ましくは、各エンドキャップは1つ以上の半導体を含む。好ましくは、円筒形ロッドは半導体を含む。好ましくは、円筒形ロッドの組成は、第1のエンドキャップの組成及び第2のエンドキャップの組成の両方とは異なる。ナノロッドは、好ましくはII−VI族(ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe等)及びIII−V族(GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlAs、AlP、A1Sb等)及びIV族(Ge、Si、Pb等)の材料、及びそれらの合金、またはそれらの混合物を含む半導体を含む。
【0047】
好ましいナノロッドを
図8に示す。ナノロッド1100は、第1の端部1104及び第2の端部1106を有する円筒形ロッド1102を含む。第1のエンドキャップ1108は、円筒形ロッドの第1の端部1104及び第2の端部1106に配置され、円筒形ロッド1102と直接接触する。第1のエンドキャップ1108と円筒形ロッドの第1の端部1104との間の界面は、第1のヘテロ接合1103を形成する。好ましくは、第1のエンドキャップ1108は、円筒形ロッド1102の端部に接触し、円筒形ロッド1102の長手方向部分に接触しない。第1のエンドキャップ1108は、円筒形のロッド1102の全体を取り囲んでいないことが好ましい。
【0048】
第2のエンドキャップ1110は、第1のエンドキャップ1108と接触し、円筒形ロッド1102の一端または両端で第1のエンドキャップ1108を取り囲んでいる。第2のエンドキャップ1110は、第1のエンドキャップ1108を部分的または完全に取り囲んでもよい。第2のエンドキャップ1110は、円筒形ロッド1102の全体を取り囲んでいないことが好ましい。
【0049】
第2のエンドキャップ1110と第1のエンドキャップ1108との間の界面は、第2のヘテロ接合1109を形成する。したがって、
図8のナノロッド1100は二重ヘテロ接合ナノ粒子である。より多くのエンドキャップが第2のエンドキャップ1110上に配置される場合、ナノ粒子1100は2つより多くのヘテロ接合を有し得る。例示的な実施形態において、ナノ粒子1100は、3つ以上のヘテロ接合、好ましくは4つ以上のヘテロ接合、または好ましくは5つ以上のヘテロ接合を有してもよい。
【0050】
好ましくは、円筒形ロッドが第1のエンドキャップと接触するヘテロ接合は、I型または準II型バンドアライメントを有する。好ましくは、第2エンドキャップが第1エンドキャップに接触する点は、I型または準II型バンドアライメントを有する。
【0051】
図3は、複数の光電子素子を含む光電子デバイスの概略断面図を示す。このようなデバイスは、任意選択的に2つより多い光電子素子を含んでもよい。好ましくは、デバイスは、複数の光電子素子の平面アレイを含む。例えば、追加の光電子素子が存在し得て、
図3の図面の平面内に一列に構成されてもよく、これらの光電子素子の各々は、
図3の図面の平面に垂直な光電子素子の列の一部であってもよい。
【0052】
図3において、1つの光電子素子は、カソード401、EIL3401、発光層3301、HTL32、HIL31、アノード201及び透明層1を含む。発光層3301は、発光層を発光させるために有効順バイアス電圧がカソード401及びアノード201に印加されたことを示すために「発光」と表示されている。有効順バイアス電圧は、
図3に示されていない回路によって供給される。
図3において、他方の光電子素子は、カソード402、EIL3402、吸収層3302、HTL32、HIL31、アノード202、及び透明層1を含む。吸収層3302は、吸収層に光を吸収させて光電流を発生させるために、有効逆バイアス電圧がカソード402及びアノード202に印加されたことを示すために「吸収」と表示される。有効逆バイアス電圧は、
図3に示されていない回路によって供給される。
【0053】
また、
図3には、予期できる、光が発光層から吸収層へ進むためにデバイス内に取り込まれる可能性のある可能な経路8及び9が示されている。光電子素子間の距離が小さい(1mm未満)ことが好ましく、したがって発光層3301と吸収層3302との間の隙間に外部物体が存在しにくいので、経路9はデバイス内にあると考えられる。3つの経路7は、デバイスから出る光を示す。
【0054】
図4は、
図4に示す実施形態において隣接する光電子素子の各対が不透明素子10によってその隣接部から分離されている点を除いて、
図3に示されたものと同様の光電子デバイスの実施形態を示す。
図4に示すように、この実施形態では、HTLは、発光光電子素子用のHTL3205と、光電流発生光電子素子用のHTL3204とに分離される。また、
図4に示すように、この実施形態では、HILは、発光光電子素子用のHIL3105と、光電流発生光電子素子用のHIL3104とに分離される。
【0055】
不透明素子10は、任意の不透明な材料で作り得る。いくつかの適切な材料は、例えば、カーボンブラックのような1種以上の充填剤を任意選択的に含むポリマーである。適切な材料には、KAPTON(商標)Bポリイミドブラックフィルム(DuPont製)がある。
【0056】
また、
図4には、発光層からデバイスの外部の大気に光がとり得る経路14が示されている。
図4は、デバイスの外部に位置する外部物体21が光を反射または散乱させ、光の一部が経路15を介してデバイスに戻り、吸収層に当たり、それに応答して光電流を発生する状況を示す。不透明素子10は、発光層から吸収層へデバイス内の経路に沿って光が進むのを阻止することを考慮に入れている。
【0057】
図5は、
図3に示すものと同様の光電子デバイスを示す。
図5に示すデバイスでは、透明層1は、それぞれ吸収層及び発光層の上に位置する透明アイテム105及び106と、透明アイテム105と106との間の不透明素子11とで置き換えられている。好ましい実施形態では、
図5は、
図3について上述したように、光電子素子の平面アレイの一部である2つの光電子素子を示す。そのような実施形態では、不透明素子11は、不透明層でアレイを覆うアイテムであることが好ましい。不透明素子11のそのような実施形態が、
図6に上面図及び
図7に斜視図で示されている。不透明素子11は、それぞれが発光層または吸収層の上に位置することが好ましいスルーホール107、108、109、及び110を有する。スルーホール107、108、109、及び110は、任意の固体材料の空の部分であってもよく、または1つ以上の透明な固体を含んでもよい。
【0058】
図5の不透明素子11に適した材料は、
図4の不透明素子10の材料と同じである。
【0059】
図5に示すデバイスのいくつかの実施形態の動作において、
図3の経路9と同様の光経路(
図5には示されていない)は、吸収層3302による有意な光電流の発生を引き起こすのに十分な強度の光を伝えないことが企図されている。そのような実施形態では、本発明の利益は、不透明素子11の存在から得られ、さらに不透明素子は必要とされないことが企図されている。
【0060】
本発明の光電子デバイスは、多種多様な目的に有用である。好ましくは、光電子素子の平面アレイが形成される。そのようなアレイは、例えばコンピュータまたはスマートフォン用の表示画面のような表示画面の一部として有用である。
【0061】
使用の際に、光電子素子は、各光電子素子にバイアスを供給する回路に接続される。いくつかの実施形態では、いくつかの光電子素子は有効順バイアス下に置かれ、他の光電子素子は有効逆バイアスのもとに置かれ、各光電子素子はデバイスが使用されるタスクの持続時間の間そのバイアスを維持する。他の実施形態では、各光電子素子はバイアス下に置かれ、1つ以上の素子のバイアスは、人間の操作者によって変更されてもよく、あるいは回路が、例えば、タイマーまたは光が有効に逆バイアスされた光電子素子上に当たって光電流を生成するなどの何らかの刺激に応答すると自動的に変更されてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、1つ以上の光電子素子は、有効順バイアスから有効逆バイアスに、及び逆に、繰り返して連続的に切り替わるバイアス下に置かれる。好ましくは、スイッチングは、人間の目が、光電子素子が交互に発光して暗いと知覚しないように、好ましくは、人間の目が、光電子素子が連続的に発光していると知覚するように、十分に頻繁に行われる。好ましいスイッチング速度は20Hz以上であり、より好ましくは50Hz以上、より好ましくは100Hz以上、より好ましくは200Hz以上、より好ましくは500Hz以上である。そのような実施形態では、単一の光電子素子が、発光している間は表示素子として、発光していない間は入射光の検出器として、両方で機能することができ、人間の観察者は、素子が両方の機能を同時に実行していたことを知覚し得る。
【0063】
本発明の光電子デバイスの1つの好ましい用途は、デバイスの外部であるがデバイスの近くにある物体の存在を検出するためのものである。このような機能は、例えば、タッチスクリーン上の特定の位置での「タッチ」を知らせるために指またはスタイラスのような他の物体の存在を検出するために有用である。
図4に示すように、タッチスクリーンは光電子素子のアレイを含むことが好ましく、その一部は発光するために有効順バイアスされ、一方他のものは有効逆バイアスされる。制御回路は、どの光電子素子を有効順バイアスにして発光させるかを選ぶ。例えば、「ボタン」の形状に構成された光電子素子は、有効順方向にバイアスされて発光することができ、したがって、見る人にはボタンとして現れる。発光光電子素子の近くで、近接して、有効逆バイアスの光電子素子があることが好ましい。
【0064】
外部物体の検出のために本発明の光電子デバイスを使用する1つの方法は、「反射」法である。反射法では、例えば、スタイラス、指、または人間の手の他の部分などの外部物体21がデバイスに近づくと、外部物体が十分に接近すると、有効順バイアス素子によって発せられた光は、外部物体から反射または散乱し、1つ以上の有効逆バイアス素子に当たるように戻ってくる。有効逆バイアス素子は、その後電流検出回路によって検出される光電流を発生し、コンピュータまたはスマートフォンは、「ボタン」上の「タッチ」に応答する。外部物体を検出する反射法では、1つ以上の有効順バイアス素子によって発せられた光は、外部物体によって反射または散乱された後に、1つ以上の有効逆バイアス素子によって、理想的には2つ以上の逆バイアス素子によって検出され得ることが企図されている。
【0065】
外部物体を検出するのに反射法を用いる場合、本発明の第1の態様で説明したように、光電素子デバイスは不透明素子を含むことが好ましい。外部物体の例には、指、人間の手の他の部分、腕、スタイラス、機械的アーム、及びステンシルが含まれる。
【0066】
外部物体を検出する反射法の利点は、外部物体が光電子デバイスと物理的に接触する必要がないことが企図されている。好ましくは、本発明のデバイスは、外部物体が0.1mm〜5mmの距離にあるときに、外部物体がデバイスからの光を散乱または反射してデバイスに戻すように構成される。
【0067】
本発明の光電子デバイスを使用する別の方法は、「シャドウ」法である。シャドウ法では、光電子デバイスは比較的明るい外部照明を有する環境で動作する。外部照明は、光電子デバイス内の光電流発生素子が感応する光の波長を含む。外光は、光電子デバイス内にあって検出モードにある光電子素子が光電流を発生するほど十分に強くあるべきである。このような条件下では、アレイ内の多くの光電子素子が検出モードにあり、光電流を連続的に検出することになる。外部物体が光電子デバイスの表面に接近すると、その物体は光電子デバイスの表面に影を投じる。影が検出モードの光電子素子上に落ちると、その光電子素子からの光電流が低下し、光電流の低下が光電子デバイスに取り付けられた回路によって検出される。このような低下が起きると、回路は応答を引き起こすことができる。例えば、「ボタン」の近くにある1つ以上の光電子素子に光電流の低下が起きた場合、コンピュータまたはスマートフォンはあたかもそのボタンに「タップ」があったかのように反応することができる。
【0068】
外部物体を検出するシャドウ法の利点は、外部物体が光電子デバイスと物理的に接触する必要がないことが企図されている。好ましくは、本発明のデバイスは、外部物体が0.1mm〜5mmの距離にあるときに、外部物体が十分に周囲光を遮断して光電子デバイスに1つ以上の光電子素子の光電流の低下を検出させるように構成される。
【0069】
外部物体の検出は、本発明の様々な実施形態によって達成し得る。例えば、同種の構成で、デバイスの発光素子と吸収素子は、バイアス電圧に唯一の差異を有して、お互いに同一であってもよい。このような同種の実施形態は、製造の単純さという利点を有する。あるいは、異種の構成で、比較的大きなバンドギャップを有するいくつかの光電子素子を発光素子として使用することができ、一方若干小さいバンドギャップの光電子素子を検出素子として使用し得る。光電子素子は、典型的には有効順バイアス下で発せられた光のピーク波長を有し、これは有効逆バイアスにおいて最も感度が高い光の波長より幾分短い。したがって、異種の構成は、発せられた光のピーク波長を検出素子の最高感度の波長と一致させるように設計することができる。
【0070】
外部物体が検出される別の実施形態は、光電子デバイスが、複数の有効順バイアスされた光電子素子及び複数の有効逆バイアスされた素子を含む複数の同一の光電子素子を包含する実施形態である。有効順バイアスされた光電子素子によって発せられた光は、外部物体によって反射または散乱され得て、反射または散乱された光は、有効逆バイアスされた1つ以上の光電子素子によって検出され得る。
【0071】
本発明のデバイスの別の好ましい使用は、例えばレーザーまたは発光ダイオード(LED)のような特定の光源の検出用である。特定の光源は、ハンドヘルド光源、例えばレーザーポインター、ハンドヘルドLED、ライトワンド、照明された先端を有するスタイラス、おもちゃライトガン、照明されたワンド、または照明された手袋、であってもよい。任意の特定の光源は、発光強度対光学周波数の発光スペクトルを有する。特定の光源によって発せられた最大光強度を与える光周波数は、特定の光源の特性周波数v
sである。
【0072】
本発明の光電子デバイスの光電子素子は、それらの組成物または検出回路のいずれかにおいて、特定の光源に応答するように構成することができる。検出光電子素子は、例えば強度、色、偏光、またはそれらの組み合わせを含む任意の手段によって、周囲光などの他の光源と弁別することができる。特定の光源が検出光電子素子に当たると、関連する回路は、例えば、特定の光源が当たった検出素子を有効逆バイアスから有効順バイアスに切り替えることができ、このためその素子を検出モードから発光モードに切り替えることができる。次に、アレイは、特定の光源に当たった特定の素子から発光する。このようにして、人は、画面を横切ってレーザーポインターを移動させることによって遠くから画面に描画することができ、その人のジェスチャーは画面に表示される画像になる。特定の光源が当たった光電子素子に近接する光電子素子を発光モードに切り替えさせる回路によって、特定の光源に当たった光電子素子も発光モードに切り替えられたか否かに関わらず、同じ効果を得ることができる。
【0073】
好ましくは、特定の光源の特性光周波数v
sは、光電子デバイス内の有効逆バイアスされた光電子素子の特性光周波数v
dよりも高い。
【0074】
以下は、本発明の実施例である。
【0075】
試験方法は以下の通りである。
【0076】
応答性は以下のように測定した。半径1mm、波長532nmのレーザーを光減衰器を介して入射させ、光強度を10μW〜100mWに変化させた。入射光の光パワーは、積分球フォトダイオードパワーセンサー(Thorlabs、S140)を使用して較正した。I−V特性は、ソースメーター(Keithley、2602)を使用して得た。
【0077】
スペクトル応答は以下のようにして測定した。モノクロメーター(Jobin Yvon Horiba、FluoroMax−3)を通過させたキセノンランプによって提供された単色照明で、デジタルロックインアンプ(スタンフォードリサーチシステムズ、SR830)によって異なる波長の光電流を測定した。ソースメーターによって0Vまたは−2VのバイアスをLR−LEDデバイスに印加し、照明を約100Hzで機械的にチョップした。各波長での照射強度を、較正されたSi光検出器(Newport 71650)を使用して較正した。
【0078】
ソースメーター(Keithley、2602)と連結した分光放射計(Spectrascan、PR−655)を使用してLED特性を記録した。EQEは、注入された電子の数に対する発せられた光子の数の比として計算された。それぞれ、駆動電流密度に対する出力輝度の比、及び駆動電力に対する光束出力の比として、電流効率及び電力効率が得られた。すべてのデバイス測定は大気中で行った。
【0079】
時間的な周波数応答は、活性材料としてDHNRを有するフォトダイオード上に、活性化レーザー光を周波数fで動作する振幅変調器を通して照射することによって測定された。DHNR−PDによって発生された光電流は、変調器と連携するロックインアンプによって検出された。光電流信号強度は変調器周波数の関数として測定した。光電流信号は、10Hz〜1000Hzの変調器周波数範囲にわたってほぼ一定であった。変調器の周波数が1000Hzを超えて増加すると、光電流信号は約5dB増加し、周波数が増加し続けると、光電流信号は急激に減少した。光電流が10Hzで得られた信号より3dB下がった(すなわち、観察された光電流が10Hzでの光電流値の0.707倍以下の値に低下した)変調器周波数をf
3dbと名付けた。PDの応答時間は1/f
3dbである。活性化レーザー光の2つの異なる波長が使用された:730nm及び400nm。
【0080】
調製例1:量子ドット合成:
反応は、N
2雰囲気下の標準シュレンクライン(Schlenk line)で行った。工業用トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)(90%)、工業用トリオクチルホスフィン(TOP)(90%)、工業用オクチルアミン(OA)(90%)、工業用トリオクチルアミン(TOA)(90%)、工業用オクタデセン(ODE)(90%)、CdO(99.5%)、酢酸亜鉛(99.99%)、S粉末(99.998%)、Se粉末(99.99%)は、シグマアルドリッチ(Sigma Aldrich)から入手した。ACSグレードのクロロホルム、及びメタノールは、フィッシャーサイエンティフィック(Fischer Scientific)から入手した。すべての化学物質は、受け取ったまま使用した。
【0081】
赤色量子ドットの合成
赤色CdSe/CdS/ZnSは、確立された方法と同様の様態で調製した。[Lim、J.他、Preparation of highly luminescent nanocrystals and their application to light−emitting diodes. Adv.Mater.19、1927−1932、2007]。200mlの三ツ口丸底フラスコ中の1.6mmolのCdO粉末(0.206g)、6.4mmolのOA及び40mLのTOAを、真空下150℃で30分間脱気した。次いで、溶液をN
2雰囲気下で300℃に加熱した。300℃で、予めグローブボックス中で調製した0.4mLの1.0M TOP:SeをCd含有反応混合物に迅速に注入した。45秒後、6mlのTOAに溶解した1.2mmolのn−オクタンチオールを1mL min
−1の速度でシリンジポンプを介してゆっくり注入した。次いで、反応混合物を300℃でさらに30分間攪拌した。同時に、TOAに溶解した16mlの0.25M 亜鉛オレイン酸溶液を酢酸亜鉛を含む別の反応フラスコ中で調製した。亜鉛オレイン酸溶液をCdSe反応フラスコ中にゆっくり注入し、続けて6mlのTOAに溶解した6.4mmolのn−オクタンチオールを1mL min
−1の速度でシリンジポンプを使用して注入した。
【0082】
緑色量子ドットの合成
緑色CdSe/ZnS(勾配組成シェル)量子ドットを、確立された方法と同様の様態で調製した。[Bae,W.他、Highly Efficient Green−Light−Emitting Diodes Based on CdSe/ZnS Quantum Dots with a Chemical−Composition Gradient,Adv. Mater.21、1690−1694、2009]0.2mmolのCdO、4mmolの酢酸亜鉛、4mmolのOA及び15mlのODEを100mlの3口丸底フラスコ内で調製し、真空下120℃で30分間脱気した。溶液をN
2雰囲気下で300℃に加熱した。300℃で、0.1mmolのSe及び2mlのTOPに溶解した3.5mmolのSeをシリンジを使用して反応フラスコに迅速に注入した。次いで、空気ジェットによって急速に冷却する前に、反応溶液を300℃でさらに10分間撹拌した。
【0083】
調製例2:双方向性スクリーンの製作
スピンコートされたQD LED/光検出器(PD)のために、デバイスはITOコートされたガラス基板(シート抵抗15〜25Ω/□)上に製作された。予めパターン化されたITO基板をアセトンとイソプロパノールで連続して洗浄し、次いでUV−オゾンで15分間処理した。PEDOT:PSS(Clevios(商標)P VP AI 4083)を4000rpmでITO上にスピンコートし、空気中120℃で5分間、グローブボックス内180℃で15分間焼成した。その後、TFB(H.W.Sands Corp.)を、3000rpmでm−キシレン(5mg/ml)を使用してスピンコートし、続いてグローブボックス内180℃で30分間焼成した。クロロホルムとメタノール混合物(体積比1:1)で2回洗浄した後、最終的にクロロホルム溶液(〜30mg/ml)内でQDを分散させ、2000rpmでTFB層の頂部上にスピンキャストし、その後引き続いて180℃で30分間アニールした。
【0084】
ZnO(ZnO用のブタノール中30mg/ml)を3000rpmでスピンコートし、100℃で30分間アニールした。ZnOナノ粒子は、文献[J.Mater.Chem.18、1889−1894(2008)]に付き従って合成された。簡潔には、メタノール(65ml)中の水酸化カリウム(1.48g)の溶液をメタノール(125ml)溶液中の酢酸亜鉛二水和物(2.95g)に加え、反応混合物を60℃で2時間撹拌した。次いで、混合物を室温に冷却し、沈殿物をメタノールで2回洗浄した。ETLスピンキャストの後、100nmの厚さのAlカソードを1Å/秒の速度で電子ビーム蒸発器により堆積させた。QD LEDとQD PDの最終製品をカーボンテープ(TED Pella、INC)を使用して一緒に結合した(
図3)。カーボンテープはQD LEDとQD PDの界面に置かれたため、緑色光を透明ガラス基板を介して緑色QD LEDから赤色QD PDに転送され得なかった。
【0085】
実施例3:実施例2の双方向性スクリーンを使用した外部物体の検出の実証。
図10に実験結果を示す。グラフは赤色QD PDの暗電流を示す。ステップ1では、赤色QD PDのみをオンにするために、有効逆バイアスが赤色QDピクセルにのみ印加されている。−2Vでは、赤色QD PDは約4マイクロアンペアの電流を有する。ステップ2では、緑色QD LEDをオンにするために、緑色QDピクセルに有効順バイアスが印加される。QDピクセルは光学的に絶縁されているため、赤色QD PDの電流はステップ1と同じ4マイクロアンペアである。ステップ3では、4インチのシリコンウェハを双方向性タッチスクリーンの5mm前に置く。この時点で、赤色PDの電流は30マイクロアンペアであり、これは8倍大きい。これは、緑色QD LEDからの緑色光がシリコンウェハの表面から反射し、赤色QD PDに当たって電流がさらに増加するためである。結論として、双方向性タッチスクリーンは、その前5mmの位置にあるシリコンウェハを検出することができた。
【0086】
不透明素子が存在しない比較デバイスも試験した。緑色のQD LEDが発光しているとき、外部の物体が存在しないときでも、赤色のQD PDが光電流を発生していた。外部物体が存在する場合、赤色QD PDからの光電流は外部物体が存在しない場合の光電流よりも大幅に大きくはなかった。比較デバイスでは、緑色QD LEDからの相当量の光が、1つ以上の直接経路(すなわち、外部物体からの反射または散乱を必要としない経路)を介して赤色QD PDに到達したと考えられる。
【0087】
外光源の影響を排除するために、デバイスの測定を暗所で行った。
【0088】
調製例4:ナノロッドの合成
CdSナノロッド(NR)種の合成:最初に50mLの三ツ口丸底フラスコ中の2.0gのトリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、0.67gのオクタデシルホスホン酸(ODPA)及び0.128gのCdOを真空下150℃で30分間脱気し、次いでAr下で370℃に加熱した。Cd−ODPA複合体が370℃で形成された後、1.5mLのトリオクチルホスフィン(TOP)に溶解した16mgのSをシリンジでフラスコに迅速に加えた。結果として、反応混合物を330℃に急冷し、CdSの成長を行った。15分後、室温まで冷却することによりCdS NRの成長を停止させた。最終溶液をクロロホルムに溶解し、2000rpmで遠心分離した。沈殿物をクロロホルムに再溶解し、次のステップのための溶液として調製した。CdS NRのこの溶液は、100倍希釈したときにCdSバンド端吸収ピークで光学濃度が0.1(1cm光路長に対して)であった。
【0089】
CdS/CdSeナノロッドヘテロ構造(NRH)種の合成。CdS NRを形成し、反応混合物を330℃から250℃に冷却した後、1.0mLのTOPに溶解した20mgのSeをシリンジポンプを介して4ml/時間の速度で250℃でゆっくりと添加した(総注入時間〜15分)。次いで、室温に急速に冷却する前に、反応混合物を250℃でさらに10分間撹拌した。最終溶液をクロロホルムに溶解し、2000rpmで遠心分離した。沈殿物をクロロホルムに再溶解し、次のステップのための溶液として調製した。CdS/CdSe NRHのこの溶液は、100倍希釈したときにCdSバンド端吸収ピークで光学濃度が0.1(1cm光路長に対して)であった。
【0090】
CdS/CdSe/ZnSeデュアルヘテロ接合ナノロッド(DHNR)の合成。CdS/CdSe/ZnSe DHNRは、ZnSeをCdS/CdSeナノロッドへテロ構造上に成長させることによって合成した。Zn前駆体として、6mLのオクタデセン、1.13g(4mmol)のオレイン酸、及び0.18g(1.0mmol)酢酸亜鉛を150℃で30分間脱気した。混合物をN
2雰囲気下で250℃に加熱し、その結果、1時間後に亜鉛−オレイン酸塩が形成された。次に、50℃に冷却した後、2mLの予め調製したCdS/CdSe原液を亜鉛−オレイン酸塩溶液に注入した。クロロホルムを真空下、70℃で30分間蒸発させた。ZnSeの成長は、1.0mlのTOPに溶解した18.5mg(0.25mmol)のSeを含むSe前駆体を、180℃から300℃に加熱しながら反応混合物にゆっくりと注入することによって開始された。CdS/CdSeナノロッドヘテロ構造上のZnSeの厚さは、注入されたSeの量によって制御された。所望の量のSe前駆体を注入した後に、加熱マントルを除去することによってZnSeの成長を終了させた。結果として得られたナノロッドは、
図8に示す構造を有していた。
【0091】
ナノロッドを含む個々の光電子素子は、次の層:ガラス、ITO、PEDOT:PSS混合物、TFB:F
4TCNQ混合物、NR層、ZnO、アルミニウム、を有して構築された。
【0092】
実施例5:光電子素子の特性
個々の光電子素子の特性を上記のようにして決定した。以下の表において、ナノロッドを含む個々の光電子素子は「NR−LED」と呼ばれ、量子ドットを含む個々の光電子素子は「QD−LED」と呼ばれる。以下の参考文献に掲載されている結果に従って、NR−LED及びQD−LEDを、吸収/発光材料が有機化合物または有機化合物の混合物である様々な発光ダイオード(LED)(有機発光ダイオード、またはOLED)と比較した。
参考文献1.Organic bifunctional devices with emission and sensing abilities,Japanese Journal of Applied Physics 46,1328(2007)
参考文献2.Integrated organic blue led and visible−blind uv photodetector,Journal of Physical Chemistry C115,2462(2011)
参考文献3.High performance organic integrated device with ultraviolet photodetective and electroluminescent properties consisting of a charge−transfer−featured naphthalimide derivative,Applied Physics Letters 105,063303(2014)
参考文献4.High performance organic ultraviolet photodetector with efficient electroluminescencerealized by a thermally activated delayed fluorescence emitter,Applied Physics Letters 107,043303(2015)
参考文献5.High Efficiency and Optical Anisotropy in Double−Heterojuntion Nanorod Light−Emitting Diodes,ACS Nano 9,878(2015)
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
上記の表において、QD及びNRの両方は、様々なOLEDと比較して、優れた吸収範囲、輝度、及び立ち上がり時間を有することに留意されたい。さらに、NRは、応答性及び立ち上がり時間においてQDよりも優れている。
【0096】
実施例6:ナノロッドで作製したデバイスの応答時間
個々のPDは、上記のNRを使用して作製した。応答時間は上記のように測定した。結果は、以下の通りであった。
【0097】
【表3】
【0098】
実施例7:光電子素子の4×4アレイ。
4×4正方形アレイ内の16個の光電子素子のアレイを以下のように製作した。
図11A〜
図11Eに示すように、デバイスを、ガラス基板上のパターン形成された酸化インジウムスズ(ITO)上に製作した。PEDOT:PSS(Clevios P VP AI 4083)導電性ポリマーをITO上に4000rpmでコートし、空気中120℃で5分間アニールした。デバイスをグローブボックスに移し、180℃で20分間アニールした。次に、m−キシレンに溶解したTFB/F4TCNQ混合物の7mg/mL溶液を3000rpmでスピンコートし、180℃で30分間アニールした。1:1の体積比のクロロホルムとメタノールで2回洗浄した後、クロロホルム中でナノロッド(上記のように合成)(60mg/mL)を2000rpmでスピンコートし、引き続き180℃で30分間アニールした。ブタノール中のZnOの30mg/mL溶液を次に3000rpmでスピンコートし、100℃で30分間アニールした。次に、100nmの厚さのAlカソードを電子ビーム蒸着技術によって堆積させた。グローブボックス内でエポキシ(NOA86)を使用して、デバイスをカバーガラスでカプセル封入した。
【0099】
市販のArduinoのUnoとMega(Arduino社)を使用して、双方向ディスプレイアプリケーション用のデバイスを制御した。ArduinoでLEDデバイスをオンするために有効順バイアスを加えることに加えて、それは光電流を測定し、外光源からトリガー信号を中継することができる。ボードは、Arduino統合開発環境(IDE)ソフトウェアでプログラミングできる。
【0100】
実施例8:4×4アレイで特定の光源の検出の実証。
特定の光源は緑色レーザーであった。最初に、すべての16の光電子素子を有効逆バイアスに入れた。関連する回路は、特定の光電子素子の電流検出器が電流を検出したときに、バイアスが有効逆バイアスから有効順バイアスに反転し、有効逆バイアスに逆戻りする前に1秒間有効順バイアスに留まるように構成された。レーザーをオンにして光電子素子の1つに狙いをつけると、その素子は黄色光で輝き始め、再び暗くなる前に1秒間光ったままで留まった。ペンが1つの光電子素子から次の光電子素子へと移動するにつれて、レーザー光が照射された光電子素子は輝き、1秒間光っていた。ペンの動きは、例えば4つの光電子素子のうちの3つの三角形のようないくつかのパターンをトレースし、光電子素子のアレイは、暗い状態に戻る前に1秒間同じパターンで発光した。