特許第6832406号(P6832406)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6832406
(24)【登録日】2021年2月3日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】検査装置および検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/24 20060101AFI20210215BHJP
   G01H 17/00 20060101ALI20210215BHJP
   G01N 29/00 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
   G01M3/24 G
   G01H17/00 Z
   G01N29/00
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-173937(P2019-173937)
(22)【出願日】2019年9月25日
【審査請求日】2019年9月25日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 東日本電信電話株式会社は、1.展示日平成30年10月25日、26日(1)つくばフォーラム2018、(2)NTTアクセスサービスシステム研究所にて、 2.展示日平成30年11月27日、28日(1)NTT西日本グループKAIZEN推進大会2018in福岡、(2)マリンメッセ福岡にて、 3.展示日平成31年1月16日、17日(1)第12回現場力向上フォーラム、(2)NTT中央研修センタにて、「打音による地下光クロージャ浸水判定装置」を公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】399040405
【氏名又は名称】東日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】白根澤 大樹
(72)【発明者】
【氏名】吉田 慶太郎
(72)【発明者】
【氏名】天坂 竜一
(72)【発明者】
【氏名】野阪 茂聖
(72)【発明者】
【氏名】林 裕昭
(72)【発明者】
【氏名】垂口 昭博
(72)【発明者】
【氏名】岡田 康
【審査官】 福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−236950(JP,A)
【文献】 実開昭56−164130(JP,U)
【文献】 特開2000−131289(JP,A)
【文献】 特開2010−169969(JP,A)
【文献】 特開2009−085846(JP,A)
【文献】 特開2010−019814(JP,A)
【文献】 特開2019−152630(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 17/00
G01M 3/00〜3/40
G01N 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の信号線の線端を接続する接続部を収容する内部への浸水を防ぐ防水構造を備えた組立分解可能な中空容器への浸水の有無を検査する検査装置であって、
組立状態の前記中空容器を打撃したときの打音を検出する検出部と、
前記打音を周波数解析し、前記中空容器内の液体の有無に応じて周波数特性が異なる周波数帯の各部分における前記打音の信号レベルを比較して特徴量を求め、求めた特徴量に基づいて前記中空容器内への浸水の有無を判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を出力する出力部と、を備える
検査装置。
【請求項2】
前記中空容器の種類に応じて前記周波数帯を選択する選択部を備える
請求項に記載の検査装置。
【請求項3】
前記検出部は、指向性マイクにより前記打音を検出する
請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記中空容器は、
前記複数の信号線および前記接続部を支持する下部筐体と、
前記複数の信号線および前記接続部の上部を離間して覆う上部筐体と、を備え
請求項1ないし3のいずれかに記載の検査装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の検査装置及び鉄製で球面形状の打撃部を備えるハンマーを備えた検査システムであって、
前記検出部は、鉄製で球面形状の打撃部を備えるハンマーにより前記中空容器を打撃したときの打音を検出する
検査システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空容器の内部の液体の有無を検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光アクセスサービスの拡大に伴い、信号を伝送する信号伝送路として光ケーブルの設備量が増加している。光ケーブルは、地下に布設されることが多く、地下には、雨水などの液体が侵入しやすい。光ケーブル自体は、ポリエチレン製の外被によりシールドされているが、光ケーブル同士を接続する接続点では、光ケーブルから心線が引き出されて、心線同士が接続されている。接続点および心線が長時間浸水すると破断確率が増大し、信号伝送路の切断を招くおそれがある。ユーザの新規利用や廃止、配線ルートの変更などにより、心線の接続を変更する作業が発生するため、接続点をコーティングやテープ等により直接シールド密閉することはできない。そのため、地下に布設された光ケーブルの接続点は、組立分解可能な水密性の高いクロージャに収容され、マンホール内に設置される。マンホール内への浸水に備えて、クロージャは、ある程度の水圧に耐えて、内部への浸水を食い止めるための防水構造を備えている。クロージャは防水構造を備えているが、施工不良や経年劣化により、内部への浸水を完全に防ぐことはできない。
【0003】
クロージャ内への浸水を検知するため、クロージャ内の保守用心線に浸水検知モジュールが取り付けられる。クロージャ内に浸水が発生すると、浸水検知モジュール内の膨張材が水に反応して膨張し、保守用心線が圧迫されて曲げが加えられる。管理者は、光パルス試験により、定期的に保守用心線の曲げ損失の有無を測定することで、各接続点の浸水を検知できる。
【0004】
接続点の浸水が検知されると、作業者は浸水が検知された接続点に出向き、接続点を改修する。現地では、クロージャを開けて接続点を改修し、クロージャを再度閉じる作業を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4719767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、実設備の保守用心線と設備管理データの不一致、図面上でのケーブル長と実長との差などから、改修指示した接続点が実際には浸水しておらず、不要なクロージャの開閉作業が発生するという問題があった。地下設備内に設置されたクロージャは高い水密性が要求されるため、クロージャの開閉は手間のかかる作業である。
【0007】
クロージャを開けずにクロージャ内部に浸水があるか否かを判定する方法として、特許文献1では、マイクロ波帯域においては水分子の運動が電波に干渉して電波を吸収する特性を利用し、クロージャ外部の近傍においてマイクロ波帯域の電波を用いて無線通信を行い、無線通信の成否に基づいて周囲に液体が存在するか否かを判定していた。
【0008】
ところが、特許文献1の方法では、クロージャ内の乾燥剤の影響により、クロージャの浸水を誤検知するという問題があった。クロージャ内に乾燥剤を入れることを標準としていることから、乾燥剤の影響を受けずにクロージャ内の浸水を検査する方法が望まれていた。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、光ケーブルの接続点を収容する中空容器を開けずに、より精度良く中空容器内の液体の存在の有無を検査することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様の検査装置は、複数の信号線の線端を接続する接続部を収容する内部への浸水を防ぐ防水構造を備えた組立分解可能な中空容器への浸水の有無を検査する検査装置であって、組立状態の前記中空容器を打撃したときの打音を検出する検出部と、前記打音を周波数解析し、前記中空容器内の液体の有無に応じて周波数特性が異なる周波数帯の各部分における前記打音の信号レベルを比較して特徴量を求め、求めた特徴量に基づいて前記中空容器内への浸水の有無を判定する判定部と、前記判定部の判定結果を出力する出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光ケーブルの接続点を収容する中空容器を開けずに、より精度良く中空容器内の液体の存在の有無を検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態の検査装置を用いてクロージャ内への浸水の有無を検査する様子を示す図である。
図2図2は、検査に用いる検査装置とハンマーの外観を示す図である。
図3図3は、検査装置の構成を示す機能ブロック図である。
図4図4は、浸水があるクロージャの打音と浸水がないクロージャの打音の周波数特性を示す図である。
図5図5は、種類が異なるクロージャの周波数特性を示す図である。
図6図6は、浸水の有無に応じて周波数特性が異なる周波数帯における周波数特性の一例を示す図である。
図7図7は、打音から求めた特徴量のプロット結果を示す図である。
図8図8は、検査の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0014】
図1は、本実施形態の検査装置10を用いてクロージャ50内への浸水の有無を検査する様子を示す図である。クロージャ50内への浸水の有無を検査する際、作業者は、ハンマー20などの打撃器具でクロージャ50の表面を打撃する。検査装置10は、クロージャ50を打撃したときの打音を検出して周波数解析し、クロージャ50内に水が存在する場合と存在しない場合の打音の周波数特性の違いからクロージャ50内への浸水を判定する。
【0015】
本検査装置10の検査対象であるクロージャ50は、地下に布設された光ケーブル100A,100Bの線端および接続点を内部に収容して保護し、マンホール内に設置される地下クロージャである。クロージャ50は、現地(マンホール内)で組み立ておよび分解が可能で、内部への浸水を防ぐ防水構造を備えた中空容器である。
【0016】
例えば、クロージャ50は、光ケーブル100A,100Bを貫通させて保持する端面板、光ケーブル100A,100Bと接続部を支持する下部筐体、および光ケーブル100A,100Bと接続部の上部を離間して覆う上部筐体を備える。下部筐体には、光パルス試験により浸水を検知するための浸水検知モジュールや乾燥剤が配置されてもよい。上部筐体は、心線の余長を収納する空間を備えてもよい。クロージャ50の筐体の材料は主にポリエチレンである。クロージャ50を現地で組み立てる際には、光ケーブル100A,100Bを端面板で挟んで保持し、端面板のそれぞれを下部筐体が両端に備える溝のそれぞれにあてがい、上部筐体を下部筐体に被せて、バックル等により上部筐体と下部筐体とを密着させる。上部筐体がクロージャ50の上面、下部筐体がクロージャ50の下面、および端面板がクロージャ50の両側面となる。上部筐体と下部筐体の合わせ目にはスリーブガスケットが配置され、光ケーブル100A,100Bが保持される部分にはエアタイトテープが巻かれて水密性が確保される。ケーブルの挿入部には、エアタイトテープの代わりに水密性を確保する機構を備えたポートアダプタが用いられることもある。なお、本検査装置10の検査対象のクロージャ50はこれに限るものではない。組み立て方や構造が異なるクロージャを検査対象としてもよい。
【0017】
図2に示すように、検査装置10は、入出力機能として、マイク15とタッチパネル16を備える。マイク15は、打音を収音する指向性マイクである。作業者は、打撃する位置にマイク15を向けて打音を収音する。タッチパネル16は、画面に情報を表示する機能および画面上の接触位置を検出する機能を備える。作業者は、タッチパネル16により、各種設定を行ったり、検査開始を指示したり、検査結果を確認したりする。
【0018】
ハンマー20は、一般的なハンマーを用いることができる。ハンマー20は、鉄製で球面形状の打撃部21を備えるハンマーがよい。打撃部21の材質には、鉄のほかにも、ゴム、樹脂、または木などがある。打撃部21の形状には、平面形状のものもある。同一条件のクロージャを打撃したときの打音はばらつきが小さいほうがよく、浸水の有無による打音の差異は大きい方がよい。いくつかの種類のハンマーを調査した結果、鉄製で球面形状の打撃部を備えるハンマーが、同一条件のクロージャを打撃したときの打音のばらつきが小さく、浸水の有無による打音の差異が大きい結果となった。
【0019】
また、打撃位置について、クロージャの中央、中央〜端、または端など様々な位置があるが、クロージャの中央を打撃したときが、同一条件のクロージャを打撃したときの打音のばらつきが小さく、浸水の有無による打音の差異が大きい結果となった。作業性を考慮すると、クロージャの上面中央部を打撃すると、より精度よく検査できる。
【0020】
図3を参照し、検査装置10の備える機能について説明する。検査装置10は、検出部11、選択部12、判定部13、および出力部14を備える。タッチパネルを備える携帯端末などのコンピュータにソフトウェアをインストールして検査装置10を構成してもよい。
【0021】
検出部11は、マイク15を接続し、組立状態のクロージャ50を打撃したときの打音を検出する。例えば、検出部11は、マイク15で受信した打音の音声信号をデジタル信号に変換し、検査装置10の備えるメモリに保存する。
【0022】
選択部12は、判定部13が判定に用いる打音の周波数帯を選択する。打撃器具の種類やクロージャの種類により浸水の有無による周波数特性の差異が顕著となる周波数帯が異なることがある。本実施形態では、選択部12を備えて、クロージャの種類に応じた周波数帯を選択する。必要であれば、打撃器具の種類に応じて周波数帯を選択してもよい。
【0023】
図4に示すように、浸水の有無によって打音の周波数特性に差異が生じる。図4では、浸水がないときの打音の周波数特性を実線で示し、浸水があるときの打音の周波数特性を破線で示した。浸水がない場合、200Hz〜300Hz帯および400Hz〜600Hz付近の音量(信号)レベルが300Hz付近の音量レベルよりも相対的に小さくなる傾向にある。浸水がある場合、200Hz〜300Hz帯および400Hz〜600Hz付近の音量レベルが小さくなり、相対的に300Hz付近の音量レベルが大きくなる傾向にある。図4に示す周波数特性が得られるクロージャ50について、選択部12は、クロージャ50内の液体の有無に応じて周波数特性が異なる周波数帯として、200Hz〜600Hzを選択する。
【0024】
図5に、種類の異なるクロージャの、浸水があるときの打音と浸水がないときの打音の周波数特性を示す。図5(a)は、図4の周波数特性を示すクロージャと形状は同じでサイズが小さいクロージャの打音の周波数特性である。図5(b)は、図4の周波数特性を示すクロージャとは形状が異なるクロージャの打音の周波数特性である。図5に示すように、クロージャのサイズや形状が異なっていても、浸水の有無により打音の周波数特性に差異がある周波数帯は存在している。検査精度をより高めるためには、クロージャの種類に応じて判定に用いる周波数帯を選択するとよい。
【0025】
例えば、作業者がクロージャの種類を入力し、選択部12は、クロージャの種類に応じた周波数帯を選択してもよいし、作業者がクロージャに応じた周波数帯を入力してもよい。
【0026】
判定部13は、打音を周波数解析し、浸水の有無に応じて周波数特性が異なる周波数帯における打音の音量に基づいてクロージャ50内への浸水の有無を判定する。周波数特性が異なる周波数帯における打音の音量の大きさを所定の閾値と比較して浸水の有無を判定してもよいが、打撃の状況によっては正確に判定できないこともある。本実施形態では、周波数特性が異なる周波数帯の各部分における打音の音量の違いを比較することで浸水の有無を判定する。以下、判定方法について具体的に説明する。
【0027】
図6に、浸水の有無に応じて周波数特性が異なる周波数帯における周波数特性の一例を示す。図6では、200Hz〜560Hzの周波数帯における、浸水がないときの打音の周波数特性を実線で示し、浸水があるときの打音の周波数特性を破線で示した。
【0028】
図6に示した浸水がないときの打音の周波数特性は、200Hz〜300Hzに比べて300Hz〜400Hzのほうが音量が小さい傾向にあり、300Hz〜400Hzに比べて400Hz〜560Hzのほうが音量が大きい傾向にある。また、浸水があるときの打音の周波数特性は、200Hz〜300Hzに比べて300Hz〜400Hzのほうが音量が大きい傾向にあり、300Hz〜400Hzに比べて400Hz〜560Hzのほうが音量が若干大きい傾向にある。
【0029】
判定部13は、200Hz〜560Hzの周波数帯を200Hz〜300Hz、300Hz〜400Hz、および400Hz〜560Hzの3つの部分に分けて、各部分の平均音量レベルを算出し、各部分の平均音量レベルを比較した特徴量を求めて、求めた特徴量に基づいて浸水の有無を判定する。具体的には、判定部13は、200Hz〜300Hz、300Hz〜400Hz、400Hz〜560Hzそれぞれの平均音量レベルPow1,Pow2,Pow3を算出し、特徴量P1=Pow1/Pow2および特徴量P2=Pow2/Pow3を求めて、求めた特徴量P1,P2に基づいて浸水の有無を判定する。
【0030】
図7に、水を入れていないクロージャと水を入れたクロージャについての特徴量P1,P2のプロット結果を示す。図7では、横軸に特徴量P1をとり、縦軸に特徴量P2をとった。水を入れていないクロージャの打音から求めた打音データを×で示し、水を入れたクロージャの打音から求めた打音データを○で示している。打音データを求める際、浸水の有無に加えて、設置形態および打撃位置も異ならせている。設置形態の例としては、クロージャ内の乾燥剤の有無、クロージャが固定されているか否か、ケーブルの分岐の有無、およびケーブルの挿入部の差異がある。これらの設置形態の差異は、浸水の有無による周波数特性の差異に大きく影響しないことを確認している。
【0031】
図7から、水を入れていないクロージャの打音データの分布と水を入れたクロージャの打音データの分布が分かれることが確認できる。具体的には、水を入れていないクロージャの打音データは、特徴量P1が0.944より大きく、かつ、特徴量P2が1.036より小さい領域に存在する。したがって、判定部13は、打音の特徴量P1,P2がこの領域内に存在するか否かに応じて、クロージャ内への浸水の有無を判定できる。
【0032】
なお、判定部13は、特徴量を1つだけ用いて浸水の有無を判定してもよいし、3つ以上の特徴量を用いて浸水の有無を判定してもよい。クロージャの種類に応じて特徴量の求め方を変えてもよい。
【0033】
また、判定部13は、水を入れていないクロージャの打音データと水を入れたクロージャの打音データを機械学習して、クロージャ内への浸水の有無を分類する分類器を作成し、分類器を用いて浸水の有無を判定してもよい。例えば、判定部13は、2つの特徴量P1,P2を持つ多数の打音データを機械学習し、浸水の有無に応じて打音データを最も適切に分割する直線を求めて、検査対象の打音データが求めた直線のどちらの領域に存在するかを判定し、クロージャ内への浸水の有無を分類する。
【0034】
また、選択部12が複数の周波数帯を選択した場合、判定部13は、それぞれの周波数帯において上記の判定を行い、周波数帯のそれぞれにおける判定結果を統合し、クロージャ内への浸水の有無を決定してもよい。
【0035】
出力部14は、判定部13の判定結果を出力する。例えば、出力部14は、タッチパネル16に浸水の有無を表示してもよいし、LEDランプで浸水の有無を表してもよい。また、出力部14は、ブザーなどの音で判定結果を出力してもよい。あるいは、出力部14が通信機能を備えて、作業者の保持する携帯端末にメッセージを送信してもよいし、電波により判定結果を送信してもよい。
【0036】
図8を参照し、本検査装置10を用いた検査の流れについて説明する。
【0037】
ステップS11にて、作業者は、検査対象のクロージャ50の種類を検査装置10に入力する。例えば、作業者は、クロージャ50の型番やサイズなどのクロージャ50の種類を特定できる情報を検査装置10に入力する。作業者は、クロージャ50の種類に応じた周波数帯を検査装置10に入力してもよい。
【0038】
ステップS12にて、作業者は、組立状態のクロージャ50をハンマー20で打撃する。打撃の強さについては、例えば5cmの高さから落とす程度などと決めておくとよい。作業者は、打撃の前に、マイク15を打撃位置に向けておく。
【0039】
ステップS13にて、検出部11が打音を検出する。例えば、検出部11は、所定以上の音量の音声信号を受信したときに、その音声信号を打音として検出する。
【0040】
ステップS14にて、判定部13は、打音を周波数解析する。例えば、判定部13は、検出部11の検出した打音を周波数領域の信号に変換する。
【0041】
ステップS15にて、判定部13は、選択部12の選択した周波数帯における打音の音量レベルに基づいて浸水の有無を判定する。選択部12は、ステップS11で入力された情報に基づいて周波数帯を選択する。
【0042】
ステップS16にて、出力部14は、判定部13の判定結果を出力する。
【0043】
なお、ステップS12からステップS15までの処理を複数回繰り返し、複数回の判定結果のうち過半数を占める判定結果を最終的な判定結果としてもよい。
【0044】
判定結果が浸水ありの場合、作業者は、クロージャ50を分解し、必要な補修工事を行い、再びクロージャ50を組み立てて接続点を保護する。判定結果が浸水なしの場合、別のクロージャが浸水していると考えられるので、次の現場において、浸水が疑われる別のクロージャの浸水の有無を検査する。
【0045】
以上説明したように、本実施形態の検査装置10は、検出部11が、光ケーブル100A,100Bの接続点を収容するクロージャ50を打撃したときの打音を検出し、判定部13が、打音を周波数解析し、クロージャ50内の浸水の有無に応じて周波数特性が異なる周波数帯における打音の音量レベルに基づいてクロージャ50内への浸水の有無を判定する。これにより、クロージャ50を分解することなく、クロージャ50内への浸水の有無を検査できる。その結果、分解組立作業を必要とするクロージャの数を抑えることができるので、通信伝送設備の改修に関して大幅な効率化を期待できる。
【0046】
本実施形態の検査装置10は、検査対象のクロージャ50の種類に応じて判定に用いる周波数帯を選択することで、精度よく浸水の有無を検査できる。
【符号の説明】
【0047】
10…検査装置
11…検出部
12…選択部
13…判定部
14…出力部
15…マイク
16…タッチパネル
20…ハンマー
21…打撃部
【要約】
【課題】光ケーブルの接続点を収容する中空容器を開けずに、より精度良く中空容器内の液体の存在の有無を検査する。
【解決手段】本実施形態の検査装置10は、複数の光ケーブル100A,100Bの接続部を収容する内部への浸水を防ぐ防水構造を備えた組立分解可能なクロージャ50への浸水の有無を検査する装置である。検査装置10は、組立状態のクロージャ50を打撃したときの打音を検出する検出部11と、打音を周波数解析し、クロージャ50内の液体の有無に応じて周波数特性が異なる周波数帯における打音の音量レベルに基づいてクロージャ50内への浸水の有無を判定する判定部13と、判定部13の判定結果を出力する出力部14を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8