【実施例】
【0014】
図1は、本発明によるパチンコ台の固定装置100を示す構造図である。
図1は透視図で示している。本実施例では、固定装置100が上部取付け装置21として使用される。すなわち、固定装置100によって島枠1の上部枠1aに台枠2が固定できる。一点鎖線で示す
図1の左側のパチンコ台50は、「前」で示す方向が正面で、例として正面の高さが約80cm、横幅が約50cm、奥行きが約35cm、重量は約30kgである。パチンコ台50は、後側に約10cm幅の木製の台枠2が、ヒンジ20を介して取り付けられる。
【0015】
図1に示すように、固定装置100は、L型の取付金具5で島枠1の上部枠1aの後面にビスで固定される。取付金具5はスライドボルト3が取り付けられ、スライドボルト3はスライドタップ4を貫通している。スライドタップ4の下端に、本発明の要部となる機構が吊り下げられる。スライドボルト3を回転させると回転方向に従ってスライドタップ4が前後にスライドするので、パチンコ台50の上部が前後動することになり、パチンコ台50の傾斜角度を調節することが可能になる。スライドボルト3やスライドタップ4は、従来の上部取付け装置に使用される構造と同じである。
【0016】
図1に示すように、本体金具19が本体部分で、上面にスライドタップ4の下端が連結される。押圧部材6は、ノコギリ歯を有し、台枠2を噛み込む。押圧部材6は、滑らずに押圧できればよいので、ノコギリ歯ではなく洗濯板のような凹凸でもよい。押え歯7は本体金具19の上部に固定される。押圧部材6は、本体金具19に設けられた第1支持軸11に回動可能に装着される。
図1の例では、台枠2と島枠1の間には若干の隙間があり、本実施例では、台枠2の上面は押え歯7には接触しない。
【0017】
受け金具10は、本体金具19の前側に設けられ、長孔10b(
図6参照)を有し、長孔10bに本体金具19に設けられた第1支持軸11が通されて軸支され、ばね(戻しばね24、
図19参照)で軽く付勢されて前方に突き出している。台枠2が後方向に押し込まれると、台枠2が受け金具10の前面に当接し、受け金具10は長孔10bの長さだけ後方にスライドする。一方、押圧部材6は、前上側部分の孔に第1支持軸11が通され、後下側部分の孔に第2支持軸12が通される。押圧部材6が、第1支持軸11を中心にして、第2支持軸12を時計回りに回動すると、押圧部材6が台枠2を押圧する。これにより台枠2が島枠1に固定される。
【0018】
連結ロッド17の先端は、押圧部材6の第2支持軸12に通される。連結ロッド17の後端は、本体金具19の後側に設けられ第3支持軸13に通される。ばね14は、連結ロッド17に巻き付けるように装着される。ばね14は、後端が本体金具19に取り付けた固定板(
図4の符号16c参照)によってブロックされて、前端が押圧部材6の後端を押すように設けられる。ばね14は連結ロッド17が後方向にスライドすると、後端が固定板でブロックされているので圧縮される。ばね14を圧縮するため、連結ロッド17を後方向にスライドすると、第2支持軸12が第1支持軸11を中心に反時計回りに回動し、つまり押圧しない方向に回動し、押圧部材6を略水平の開いた状態にする。逆に、ばね14を圧縮した状態から伸長させると、連結ロッド17が前方向にスライドして、第2支持軸12が第1支持軸11を中心に時計回りに回動し、押圧部材6が傾いて台枠2を押圧し、台枠固定状態になる。本体金具19に設けられ第3支持軸13は、長孔に挿入されるので、連結ロッド17は、長孔の長さ分だけ前後方向に動くことができる。
【0019】
ばね14が圧縮された状態は、第1ロック金具15が、第2ロック金具16に係合することで保持される。
図1では、第1ロック金具15が第2ロック金具16に係合している状態を示している。第1ロック金具15と第2ロック金具16の係合解除は、受け金具10が台枠2によって押し込まれ、後方向にスライドすることで行なう。第1ロック金具15は、第2支持軸12に軸支され、第2ロック金具16は、本体金具19の所定の位置に固定して設けられる。レバー8は、一端が第3支持軸13に回動可能に装着され、時計回り方向にばねで軽く付勢される。レバー8にはカム9が取り付けられ、レバー8が第3支持軸13を中心に反時計回りに回動されると、カム9が本体金具19の固定板に当接して、連結ロッド17を後方向に引っ張り上げ、スライドさせる。つまりばね14の圧縮は、レバー8を回動することで行なう。
【0020】
図2は、
図1の取付金具5を示す部品図である。(A)は左側面図、(B)は正面図、(C)は右側面図、(D)は平面図である。取付金具5は、取付孔5aにビスが打ち込まれて、島枠1の上部後面に固定(
図1参照)される。
図2(D)の開口部18は、スライドタップ4が突き抜けるためのもので、スライドタップ4の下端に本体金具19が連結される。取付金具5は、固定装置100が、上部取付装置21として使用される場合に備えられる。固定装置100が、下部取付装置22(
図21参照)として使用される場合には、取付金具5はなく、固定装置100の本体金具19が、島枠1にビスで固定される。
【0021】
図3は、
図1の本体金具19を示す部品図で、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は右側面である。本体金具19は、下側に開口するコ字形の部品で、固定装置100の本体部分を形成する。第1支持軸用孔19aには、第1支持軸11が通される。第3支持軸用長孔19bには、第3支持軸13が通される。切り欠き溝19cには、第2ロック金具16が嵌め込まれ、本実施例では、溶接で固定される。
【0022】
図4は、
図1の第2ロック金具16を示す部品図で、(A)は正面図、(B)は右側面図である。第2ロック金具16は、本体金具19の切り欠き溝19cに嵌め込まれ固定される。通し孔16aには、連結ロッド17が通される。爪16bは、第1ロック金具15の爪15bと係合する。両側の爪16b、16bを連結する固定板16cにカム9を当接させて、カム9で連結ロッド17を動かす。
【0023】
図5は、
図3の本体金具19に
図4の第2ロック金具16を組み込んだ図で、(A)は正面図、(B)は右側面図である。本体金具19は、上面にスライドタップ4が連結され、第2ロック金具16は本体金具19に固定して取り付ける。
【0024】
図6は、
図1の受け金具10を示す部品図で、(A)は平面図、(B)は正面図である。受け金具10は、後側に開口するコ字形の部品で、両側に爪10a、10aを有する。長孔10bには、第1支持軸11が通される。前側を連結する板の部分に台枠2が当接する。
【0025】
図7は、
図1の第1ロック金具15を示す部品図で、(A)は正面図、(B)は右側面図である。第1ロック金具15は、上側に開口するコ字形の部品である。第2支持軸用孔15cには、第2支持軸12が通される。両側の爪15a、15aは、受け金具10の爪10a、10aに係合する。両側の爪15b、15bは、第2ロック金具16の爪16b、16bに係合する。
【0026】
図8は、
図1の連結ロッド17を示す部品図で、(A)は平面図、(B)は正面図である。第2支持軸用孔17aには、第2支持軸12が通され、第3支持軸用孔17bには、第3支持軸13が通される。
【0027】
図9は、
図1のカム8を示す部品図で、(A)は正面図、(B)は右側面図である。カム8は、2枚の板で形成している。
【0028】
図10は、
図1のレバー8を示す斜視図である。レバー8は、本体金具19の右側(
図21参照)に設けている。
【0029】
図11は、
図1の押圧部材6を示す斜視図である。第1支持軸用孔6aには、第1支持軸11が通され、第2支持軸用孔6bには、第2支持軸12が通される。
【0030】
図12は、
図1のばね14と、止め板23と、連結ロッド17と、を示す図である。ばね14は、連結ロッド17に装着される。ばね14は、一端が止め板23に係止され、他端が第2ロック金具(16)の固定板(16c)に当接される。ばね14は、押圧部材6の後端に当接される。第2支持軸用孔17aには、第2支持軸12が通されるので、連結ロッド17を後方向に引けば第2支持軸12が後方向に動く。その場合、ばね14は、後端が本体金具19の固定板16cでブロックされているので圧縮される。連結ロッド17を後方向に引くことを止めて、解除すると、ばね14が伸長して、第2支持軸12が前方向に押し出され、押圧部材6が、第1支持軸11を中心に回動して台枠2を押圧する。
【0031】
図13〜15は、パチンコ台50を島枠1に取り付ける場合の固定装置100の動作説明図(1/3〜3/3)である。各図は透視図のため、図の下側に、ばね14を省略し、第1ロック金具15の動きがわかる図を付記した。
【0032】
図13は、島枠1にパチンコ台50を載せ、押し込んで、台枠2の上板2aが固定装置100に接触する位置まで来たことを示す図である。押圧部材6は、略水平に開かれて、押圧は解除されており、待ち受け状態にある。待ち受け状態は、ばね14が圧縮され、第2支持軸12が第1支持軸11を中心に反時計回りに回動し、係脱可能な第1ロック金具15が第2ロック金具16に係合して、ばね14が伸長しないようロックしている。台枠2の上板2aが、受け金具10の手前まで来ているが、押圧部材6は略水平で開いているので、さらにパチンコ台50を押し込めば、台枠2の先端が押圧部材6の内側に入り込む。
【0033】
図14、15は、島枠1にパチンコ台50がさらに押し込まれ、台枠2の上板2aが台枠押圧状態に至るまでの状態を示す。
図14に示すように、受け金具10が、後方向に台枠2の上板2aで押し込まれると、受け金具10の爪10aが、第1ロック金具15の前爪15aを押し、第1ロック金具15の後爪15bと第2ロック金具16の爪16bの係合を解除する。このため、ばね14が伸長する。ばね14が伸長すると、第2支持軸12が前方下方向に押され、第1支持軸11を中心に時計回りに回動して、押圧部材6が台枠2の上板2aを押圧する。
【0034】
図16〜19は、パチンコ台50を島枠1から取り外す場合の固定装置100の動作説明図(1/4〜4/4)である。
図16に示すように、まず、レバー8を回動すると、カム9が本体金具19の固定板(第2ロック金具の背面)に当接し、連結ロッド17を後方向に引っ張り上げる。連結ロッド17を後方に引っ張り上げると、第2支持軸12が第1支持軸11を中心に反時計回りに回動し、その結果、押圧部材6は、押圧をしない方向に回動し、略水平の開かれた状態となる。次に、
図17に示すように、連結ロッド17を後方に引っ張り上げると、ばね14が圧縮され、第1ロック金具15と第2ロック金具16の爪が係合してロック状態となる。この状態では、押圧部材6が開いて略水平になり、パチンコ台50を前方向に引き出せる、あるいは、島枠1に新しくパチンコ台50を押し込むことができる待ち受け状態になる。次に
図18に示すように、パチンコ台50を前方に引き出すと、台枠2が前方に移動する。その場合、受け金具10は、戻しばね24の付勢力により第1ロック15を乗り越えるようにかわして元の位置に戻る。
図19に示すように、レバー8は、ばねで付勢されているので、手を離せば元の位置に戻る。
【0035】
図20は、本発明による台枠押圧方法を示す状態遷移図である。押圧部材6が台枠2を押圧せず、台枠2から離れた待ち受け状態S1と、押圧部材6が台枠2を押圧して、台枠2を島枠1に固定している台枠固定状態S2の2つの状態を備える。待ち受け状態S1で、パチンコ台50が島枠1に押し込まれると、押圧部材6が台枠2を押圧し、台枠固定状態S2に遷移T1する。台枠固定状態S2で、レバー8が操作されると、押圧部材6が台枠2から離れ、待ち受け状態S1に遷移T2し、パチンコ台50が島枠1から取り外し可能となる。待ち受け状態S1でパチンコ台50が島枠1から取り外しても、待ち受け状態S1は変化しない。遷移T3で示すように待ち受け状態S1のままである。
【0036】
図21は、島枠1の背面斜視図である。台枠2は、上板2a、下板2b、側板2c、2cからなる枠体である。台枠2の正面から見た左側にはヒンジ20が設けられており、パチンコ台50を回動して、島枠1の正面を開くことができる。
図20では、固定装置100が上部取付装置21として組み込まれている。下部取付装置22は従来のものを示す。この構成ではパチンコ台50を島枠1に取り付ける場合、下部枠1bに取り付けた下部取付装置22のレバー操作が必要になるが、上部取付装置21には台枠2を押し込むだけなので、手間が半分に軽減される。引き出し円の中に示すように、下部取付装置22を従来のものに換えて、固定装置100が適用された下部取付装置を使用すると、パチンコ台50を島枠1に取り付ける際のレバー操作をすべてなくすことができる。