特許第6832561号(P6832561)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6832561
(24)【登録日】2021年2月4日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】カテーテル及びカテーテルシステム
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20210215BHJP
   A61B 5/01 20060101ALI20210215BHJP
   A61M 25/06 20060101ALI20210215BHJP
   A61M 25/04 20060101ALI20210215BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20210215BHJP
   A61B 18/12 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
   A61M25/00 530
   A61B5/01 250
   A61M25/06 556
   A61M25/04
   A61M25/10 520
   A61M25/10 510
   A61B18/12
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-171712(P2016-171712)
(22)【出願日】2016年9月2日
(65)【公開番号】特開2018-33831(P2018-33831A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】516259332
【氏名又は名称】レイクR&D株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160370
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 鈴
(72)【発明者】
【氏名】本間 清明
【審査官】 川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−057321(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0277319(US,A1)
【文献】 特表2011−517417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
A61B 5/01
A61B 18/12
A61M 25/04
A61M 25/06
A61M 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端側の中心軸に沿って長尺直線状に可撓性をもって延びるカテーテル本体を備えたカテーテルであって、
前記カテーテル本体の前記中心軸と平行になるように屈曲して形成された平行直線部と、
前記カテーテル本体の先端側に配置され、前記カテーテル本体の中心軸を挟んで平行直線部とは逆方向に偏心して膨張するバルーンと、
前記平行直線部の基端側とバルーンを配置した先端側との間に配置され、体内の組織の情報を検知する為の情報検知手段を含む接触部と、
を備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
請求項に記載のカテーテルであって、
前記バルーンは、前記カテーテル本体の平行直線部に配置されることを特徴とするカテーテル。
【請求項3】
基端側の中心軸に沿って長尺直線状に可撓性をもって延びるカテーテル本体を備えたカテーテルであって、
前記カテーテル本体の前記中心軸と平行になるように屈曲して形成された平行直線部に配置され、体内の組織の情報を検知する為の情報検知手段を含む接触部と、
前記カテーテル本体の長尺状の一部であって前記平行直線部より先端側に位置し、前記基端側の中心軸と同軸になるように屈曲して形成された直線延長部と、
前記カテーテル本体の先端側に配置され、前記カテーテル本体の中心軸を挟んで平行直線部とは逆方向に偏心して膨張するバルーンと、
を備えることを特徴とするカテーテル。
【請求項4】
請求項3に記載のカテーテルであって、
前記バルーンは、前記カテーテル本体の前記接触部を挟んで長手方向に2つ以上取り付けられることを特徴とするカテーテル。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のカテーテルであって、
前記情報検知手段は、温度を測定するための温度センサーであることを特徴とするカテーテル。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のカテーテルと、
前記カテーテル本体を、先端側から内部に収納及び外部に露出させることができる長尺状且つ中空のシースと、
を備えることを特徴とするカテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内の組織の情報を検知する為に用いられるカテーテル及びカテーテルシステムに関する。なお、本出願で述べるカテーテルとは、生体管腔に挿入されて患部測定に用いられる長尺状の部材をいう。
【背景技術】
【0002】
近年、心臓の頻脈性不整脈の治療や、治療抵抗性高血圧の治療などの為に、原因となる対象組織を焼灼するアブレーション治療が行われている。このアブレーションとは、一般に、高周波、超音波、ラジオ波、レーザー光、赤外線等の照射並びに発熱によって対象組織を焼灼することや、逆に低温冷却することによって対象組織の神経細胞を破壊し、神経を遮断することによって行われる。
【0003】
上述のようなアブレーション装置は、種々の臓器のアブレーション時に、隣接する他の臓器に対してアブレーションの熱が伝わり損傷を起こす可能性があるため、この臓器の温度測定を行う温度センサーを備えたカテーテルが提案されている。
この従来技術によるカテーテルは、例えば、左心房に対してアブレーション治療が行われた場合、心臓の病変組織が加熱及び治療されるが、アブレーション中に発生した熱によって心臓の左心房に隣接している食道も加熱され、食道が傷つけられる可能性がある。
この食道が傷つけられることを防止するためアブレーション治療においては、アブレーション治療を行う際に温度センサーを備えたカテーテルによって食道壁の複数箇所で温度を測定し、何れかの箇所が損傷を受ける可能性のある温度に近づいたことを温度センサーが検知したとき、アブレーションを一時的に中断し、食道の熱せられた部分を冷却することが必要である。
【0004】
このアブレーション治療における温度測定に関する技術が記載された文献としては下記の特許文献1が挙げられ、この特許文献1には、温度センサーを備えたカテーテル(温度プローブ)の先端を蛇行状、ループ状や螺旋状などに形成し、食道内に配置することにより食道内の温度を計測するカテーテル(温度プローブ)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2011−517417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の食道用センサーカテーテルは、蛇行状の凸部分や、コイル状に旋回した部分が管内で押し潰されて形状が崩れるなどする為、センサーが体腔内壁に接触した状態で保持されず、正確かつ連続的な温度測定が困難であるという課題があった。
【0007】
本発明の目的は、このような状況に鑑みてなされたものであり、カテーテルに設けたセンサー等の情報検知手段を正確かつ連続的に体腔内壁に接触した状態を保持できるカテーテル及びカテーテルシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本発明は、基端側の中心軸に沿って長尺直線状に可撓性をもって延びるカテーテル本体を備えたカテーテルであって、前記カテーテル本体の前記中心軸と平行になるように屈曲して形成された平行直線部と、前記カテーテル本体の先端側に配置され、前記カテーテル本体の屈曲方向と逆方向に偏心して膨張するバルーンと、前記平行直線部の基端側とバルーンを配置した先端側との間に配置され、体内の組織の情報を検知する為の情報検知手段を含む接触部と、を備えることを主な特徴とする。
【0009】
また、本発明は、該カテーテル本体の一部でありカテーテル本体の中心軸と平行になるように屈曲して形成された平行直線部を備え、該平行直線部にバルーンを配置してもよく、該バルーンをカテーテル本体の屈曲方向と逆方向に偏心して膨張するようにしてもよい。
【0010】
また、本発明は、カテーテル本体の前記中心軸と平行になるように屈曲して形成された平行直線部に配置され、体内の組織の情報を検知する為の情報検知手段を含む接触部と、前記カテーテル本体の長尺状の一部であって前記平行直線部より先端側に位置し、前記基端側の中心軸と同軸になるように屈曲して形成された直線延長部と、前記カテーテル本体の先端側に配置され、前記カテーテル本体の中心軸を挟んで平行直線部とは逆方向に偏心して膨張するバルーンと、を設けるように構成しても良い
【0011】
また、本発明は、前記バルーンを前記カテーテル本体の前記接触部を挟んで長手方向に2つ以上取り付けるようにしてもよく、前記情報検知手段は、温度を測定するための温度センサーであってもよい。また、前記カテーテルと、カテーテル本体を先端側から内部に収納及び外部に露出させることができる長尺状且つ中空のシースとを備えるカテーテルシステムとしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によるカテーテル及びカテーテルシステムは、中心軸に沿って長尺直線状に可撓性をもって延びるカテーテル本体を備えたカテーテルであって、該カテーテル本体の一部に配置され、体内の組織の情報を検知する為の情報検知手段を含む接触部と、該カテーテル本体の一部に配置され、前記カテーテル本体の径方向に偏心して膨張するバルーンと、を備えることにより、偏心して膨張するバルーンが体腔内壁に押し付けられるとともに、バルーンの偏心方向と逆方向に位置するカテーテル本体が体腔内壁におしつけられることにより、カテーテル本体に設けた温度センサー等の情報検知手段を正確かつ連続的に体腔内壁に接触した状態を保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施例によるカテーテル全体図。
図2】本発明の第2実施例によるカテーテルの先端部分の拡大図及びA−A拡大断面図。
図3】本発明のカテーテルの使用方法を説明するための図。
図4】本発明の第2実施例のカテーテルに適用するカテーテルガイドの全体図。
図5】本発明の参考例及び他実施例のカテーテルの先端部分の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明によるカテーテルを体腔である食道に挿入して食道の温度測定を行う温度センサーカテーテルに適用した際の実施形態を説明する。
【実施例1】
【0015】
本実施例による温度センサーカテーテル100は、食道内の温度を測定するためのカテーテルであって、食道内に挿入され、食道に隣接する左心房に対してアブレーション技法が用いられ、心臓の病変組織が加熱されたときに、食道の内壁の複数箇所で温度を測定する為のカテーテルである。
【0016】
[構成]
温度センサーカテーテル100の全体構造は、図1に示すように、生体管腔(本実施例においては、食道)の内壁に接する接触部10aが先端側に形成された長尺且つ複数の孔が長手方向に開口された中空のカテーテル本体10と、カテーテル本体10を操作するためのカテーテル操作部11と、接触部10aより先端側に取り付けられた膨縮可能なバルーン10bとを備える。
【0017】
カテーテル本体10の先端側は、図2(a)(b)に示すように、カテーテル本体10の基端側の中心軸Xから外側にずれた位置に、中心軸Xと略平行となる直線部分である平行直線部10gを形成するように屈曲部分を有する略クランク状に形成されており、この平行直線部10gに体腔内に接触するための接触部10aを形成する。
この接触部10aには、情報検知手段である温度センサー10cが複数(本実施例においては6個)設けられており、この温度センサー10cで感知された温度を、カテーテル本体10の長手方向に開口された孔10fとカテーテル操作部11とケーブル11bの内部を通る電線を介して図示しないセンサー電源に搭載されたモニターに表示させる。
【0018】
そして、接触部10aより先端側には、図2(a)のA−A断面を示す図2(c)に示す如くバルーン10bが設けられており、図示しない流体供給装置から供給された流体(例えば空気)を流体導入口11a(図1)から、カテーテル本体10の長手方向に開口された孔である流体供給路10dを介して、バルーン10bの内側に位置する流体導出口10eからバルーン10b内部に供給して膨張させ、この流体を排出することによりバルーン10bを収縮させる。
このバルーン10bは、図3に示すように、接触部10aを含む平行直線部10gの径方向に偏心して膨張するよう取り付けられたバルーン10bを膨張させることにより温度センサー10cを生体管腔である食道Dの食道内壁Eに押し付けることができる。すなわち、本実施例においては、バルーン10bは、接触部10aから中心軸Xに向かう方向に膨張するように偏心して取り付けられる。
なお、本出願における「カテーテル本体の径方向」とは円筒状カテーテルの断面径である直径から外方に向かう方向であり、「偏心して膨張」とは該径方向の一方向に偏って膨張することをいう。
【0019】
[温度センサーカテーテル100の使用]
次に、図2及び3を参照して本実施例による温度センサーカテーテル100の使用方法の一例を説明する。
まず、図2(a)に示すバルーン10bを収縮した状態とした温度センサーカテーテル100のカテーテル本体10を食道D内に挿入し、カテーテル本体10の先端を食道D内部の任意の位置に到達させる。
つぎに、図示しない流体供給装置から流体導入口11a、流体供給路10d及び流体導出口10eを介してバルーン10b内部に流体を供給して、図2(b)に示す膨張した状態とする。
【0020】
バルーン10bが膨張することにより、図3に示すように、バルーン10bが接触部10aとは逆側の食道内壁Eに押しつけられる共に、接触部10aが食道内壁Eに押し付けられる。これにより、接触部10aを食道内壁Eに密着させ、温度センサー10cを確実に食道内壁Eに接触させることができる。
【0021】
温度センサー10cが食道内壁Eに接触した後、図示しないセンサー電源からカテーテル本体10の内部に配設される電線を介してセンサー10cに電力を供給して食道内壁Eの温度を測定し、測定した温度を図示しないセンサー電源に搭載されたモニターに表示する。温度の表示方法は種々あるが、例えば、複数あるセンサー10cのうち一番高い温度を表示することにより、センサー10cのうち一つでも食道の損傷を起こす可能性のある温度に近づいた場合に、施術者が心臓へのアブレーションを中止することにより、食道の損傷を避けることができる。
【0022】
温度測定が修了した後には、バルーン10bから流体導出口10e、流体供給路10d、流体導入口11aを介して流体を排出し、図2(a)に示す収縮した状態とし、体外へ温度センサーカテーテル100を排出する。
【0023】
上記のように、カテーテル本体10の先端側に、カテーテル本体10の基端側の中心軸Xと略平行となる直線部分である平行直線部10gを形成するように屈曲部分を有する略クランク状に形成すると共にこの平行直線部10gに温度センサー10cを配置して接触部10aとし、カテーテル本体の径方向であってカテーテル本体10の接触部10aから中心軸Xに向かう方向に膨張するように偏心するバルーン10bをカテーテル本体10の先端側に取り付けたことにより、膨張したバルーンが接触部10aと反対側の食道内壁Eに押し付けられるとともに、接触部10aを食道内壁Eに押し付けることが可能となり、接触部10cを確実かつ連続的に食道内壁Eに接触させて温度を測定することができる。
【実施例2】
【0024】
なお、本実施例による温度センサーカテーテル100は、図4に示すカテーテルガイド300と組み合わせてカテーテルシステムを構成してもよい。
カテーテルガイド300は、図4に示すように、ガイド操作部34と、長手方向に延びる中空状のシース31とを備え、ガイド操作部34に設けられたガイド湾曲ダイヤル33を回すことによって、シース31の先端側の可撓部分である湾曲部31aを湾曲させることができる。
また、ガイド操作部34には、シース31と連通するように長手方向に孔34aが形成され、温度センサーカテーテル100のカテーテル本体10を挿通させることができ、シース31の先端側からカテーテル本体10の先端側を突没させることが可能となっている。
【0025】
カテーテルガイド300の湾曲部31aを湾曲させる構造は、図示しないが、例えば、シース31の長手方向に孔を形成し、その孔内にワイヤーを配設し、ワイヤー先端をシース31の先端に固定し、ワイヤーの基端を湾曲ダイヤル33と同軸に固定されたプーリに巻き付け、ガイド湾曲ダイヤル33を回動操作させてワイヤーを牽引することにより、牽引されたワイヤーが配設された側に湾曲部31aを湾曲させることができる。
【0026】
使用時には、上述のカテーテルガイド300を食道D内の任意の位置に到達させてから孔34aにカテーテル本体10を挿入するか、孔34aにカテーテル本体10を挿入した状態で食道D内の任意の位置にカテーテルガイド300を到達させ、その後、カテーテルガイド300の先端からカテーテル本体10を食道D内に突出させて温度測定を行う。
【0027】
上述のように、本実施例によるカテーテルシステムは、温度センサーカテーテル100とカテーテルガイド300を組み合わせることにより、温度センサーカテーテル100の先端側を収納した状態で食道D内に到達させることができ、カテーテル本体の先端が食道に突き当たることを防止するため安全である。
【0028】
なお、本実施例においては、温度センサーカテーテル100とカテーテルガイド300を組み合わせる例を示したが、カテーテル本体10を覆った状態で食道D内の任意の位置まで到達させることができれば良い為、これに限られず、例えば、カテーテルガイド300を使用せずに温度センサーカテーテル100に直接、カテーテル本体10を覆うように中空長尺状のシースを設け、操作部の操作によりシースとカテーテル本体との長手方向の相対位置を変化させることにより、シースからカテーテル本体の先端側が突没できるようにしても良い。すなわち、カテーテル本体10と中空長尺状のシースを組み合わせてカテーテルシステムを構成しても良い。
【実施例3】
【0029】
次に、図5(a)を参照して参考例を説明する。
上述の実施例においては、カテーテル本体10の中心軸Xから外側にずれた位置に、中心軸Xと略平行となる直線部分である平行直線部10gを形成するように屈曲部分を有する略クランク状に形成し、この平行直線部10gに体腔内に接触するための接触部10aを形成する例を示したが、これに限られず、図5(a)に示すように、屈曲部分を設けずに、直線状のカテーテル本体50の先端に、カテーテル本体の中心軸に対して偏心、すなわちカテーテル本体の径方向に偏心して膨張するバルーン50bを取り付けるようにしてもよい。
なお、バルーン50b、温度センサー50c、接触部50aの構成については、前述の実施例1と同様である。
【0030】
このように、カテーテル本体50の先端にバルーン50bを取り付けることにより、食道D内でバルーン50bを膨張させたときに、食道内壁Eにバルーンの膨張偏心部分が押し付けられ、該膨張偏心部分と向かい合う部分である直線部分に配置された接触部50aを食道内壁Eに押し付けることができる。
【実施例4】
【0031】
次に、図5(b)を参照して参考例を説明する。
この参考例においては、カテーテル本体50にバルーン50bを取り付ける例を示したが、これに限られず、例えば図5(b)に示すように、カテーテル本体51に、接触部51aを挟むように、カテーテル本体51の径方向に偏心して同じ方向に膨張するバルーン51bを二つ(またはそれ以上)取り付けるようにしてもよい。
なお、バルーン51b、温度センサー51c、接触部51aの構成については、前述の実施例1と同様である。
【0032】
このように、カテーテル本体51に、接触部51aを挟むように二つ取り付けることにより、2つのバルーン51bが接触部を配置した直線部分を内壁に押しつけるため、該バルーン51b間に配置した接触部51aを第3実施例よりもさらに確実に食道内壁Eに押し付けることが可能となる。
【実施例5】
【0033】
次に、図5(c)を参照して第実施例を説明する。
上述の第1実施例においては、カテーテル本体10の先端側を、カテーテル本体10の基端側の中心軸Xから外側にずれた位置に、中心軸Xと略平行となる直線部分である平行直線部10gを形成するように屈曲部分を有する略クランク状に形成し、先端にバルーン10bを取り付ける例を示したが、本実施例によるカテーテル及びカテーテルシステムは、図5(c)に示すように、第1実施例に示した平行直線部10gと同様の平行直線部52gに加えて、カテーテル本体52の接触部52aよりも先端側に、接触部52aよりも中心軸寄り、中心軸上もしくは中心軸を挟んで反対側(本実施例においては中心軸上)に、平行直線部52gと略平行となる直線部分である直線延長部52hを形成するように屈曲部分を有する略クランク状を形成し、この直線延長部52hの径方向に偏心するようにバルーン52bを取り付けるように構成する。すなわち、カテーテル本体52の接触部52aが径方向に凸状に出っ張るように形成されて、この出っ張る方向と逆の方向にバルーン52bが膨張するように偏心して取り付けても良い。
なお、バルーン52b、温度センサー52c、接触部52aの構成については、前述の第1実施例と同様である。
【0034】
このように、カテーテル本体52の接触部52aを径方向に凸状となるように構成してバルーンを配置することにより、さらに確実に接触部10aを食道内壁Eに押し付けることが可能となる。
【0035】
なお、図示しないが、カテーテル本体の先端側の形状およびバルーンの位置は上述したものに限られず、上述の実施例を組み合わせた形としてもよく、例えば第2実施例に記載のカテーテル本体(図2(a))に第4実施例のバルーン(図5(b))を組み合わせたり、第5実施例のカテーテル本体(図5(c))に第4実施例のバルーン(図5(b))を組み合わせる等してもよい。
【0036】
また、本発明によるカテーテルは、上述した食道センサー以外であっても適用でき、例えば、肝臓などの癌の治療にあたり、管壁の温度をモニターしながら加温媒体を流入し、癌組織をアポトーシスに至らせる温熱治療や、前立腺を加熱し治療するにあたり、温度センサーと冷却管を具備する拡張子を壁面に当て、尿道の内面を保護しながら前立腺を集中的に熱処理、組織を収縮させる前立腺治療など、幅広く適用できる。
【符号の説明】
【0037】
10カテーテル本体、10a接触部、10bバルーン、10c温度センサー、11カテーテル操作部、11a流体導入口
100温度センサーカテーテル、
図1
図2
図3
図4
図5