特許第6832693号(P6832693)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6832693放射線治療方法、コンピュータプログラムおよびコンピュータシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6832693
(24)【登録日】2021年2月4日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】放射線治療方法、コンピュータプログラムおよびコンピュータシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20210215BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20210215BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20210215BHJP
   A61N 5/10 20060101ALN20210215BHJP
【FI】
   A61B6/03 360J
   A61B6/03 377
   A61B6/00ZDM
   A61B5/055 380
   !A61N5/10 P
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-243655(P2016-243655)
(22)【出願日】2016年12月15日
(65)【公開番号】特開2017-109099(P2017-109099A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2019年11月26日
(31)【優先権主張番号】15201272.0
(32)【優先日】2015年12月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516027694
【氏名又は名称】レイサーチ ラボラトリーズ,エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】スティナ スベンソン
【審査官】 伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−529658(JP,A)
【文献】 特開2007−143954(JP,A)
【文献】 国際公開第02/073519(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 − 6/14
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体の少なくとも第1の部分の3D複合画像を得る方法であって、
・前記患者の体の前記第1の部分に対応し、かつ第1の視野を有する3D計画画像を得る工程と、
・前記第1の視野と比較して少なくとも1つの次元において限られた第2の視野を有する、前記患者の体の前記第1の部分の3D分割画像を得る工程と、
・前記第1の視野に含まれるが前記第2の視野には含まれない前記患者の体の少なくとも1つの領域を含むモデルアウトラインを生成する工程と、
・少なくとも前記モデルアウトラインの一部を前記分割画像内に含めつつ前記第2の視野外にある前記モデルアウトラインを変更するように前記モデルアウトラインを前記分割画像に付加して中間画像を得る工程と、
・前記計画画像のアウトラインと前記分割画像のアウトラインとの変形レジストレーションを行う工程と、
・前記変形レジストレーションの結果を用いて、前記計画画像内の領域からの物質情報を前記中間画像内の前記アウトライン化部分の中に含めて複合画像を得る工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記計画画像に基づく統計学的形状モデルアウトラインを前記モデルアウトラインとして使用し、前記モデルアウトラインを前記分割画像に適応する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モデルアウトラインを前記分割画像に適応するために距離変換に基づくコスト関数を使用する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記モデルアウトラインを前記分割画像に適応する前に、前記計画画像と前記分割画像との剛体レジストレーションを行って前記モデルアウトラインと前記分割画像との最初の重なりを決定する工程を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記複合画像の視野を前記第1の視野に対応させるように前記アウトライン化部分を選択する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記計画画像は前記分割画像よりも早い時点で撮影した前記患者の画像である、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記3D計画画像はCT画像であり、かつ前記分割画像はCTまたはCBCT画像である、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記計画画像はMRI画像であり、かつ前記分割画像はMRI画像である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記物質情報は、密度情報、原子組成および/または解剖学的情報を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
コンピュータに前記請求項のいずれか1項に記載の方法を実行させるように構成されたコンピュータ可読コードを含む、コンピュータを制御するためのコンピュータプログラム製品。
【請求項11】
担体上の請求項10に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項12】
プロセッサ(33)、データメモリ(34)およびプログラムメモリ(35)を備えたコンピュータシステム(31)であって、前記データメモリは少なくとも1つの計画画像および/または少なくとも1つの分割画像を保持するように構成されており、かつ前記プログラムメモリは、前記コンピュータプログラム製品を使用して前記プロセッサを制御することができるように、請求項10または11に記載のコンピュータプログラム製品を保持するように構成されているコンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像誘導放射線治療に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線治療は一般に複数回のセッションで、すなわち分割して患者に与えられる。治療開始前に患者の計画画像を得る。計画画像により、患者に与えられる治療を定める治療計画への入力データが得られる。各セッションの前に分割画像を得て、放射線の照射前に治療装置に対する患者の位置決めを支援する。分割画像を使用してセッション中に実際に患者に照射される線量を評価することもでき、計画画像の入手以後に生じた患者の形状における変化を調べることもできる。そのような変化は治療評価にとって重要であり、評価の結果により、治療計画の修正が必要か否かの決定を行うことができる。本説明の文脈では、計画画像および分割画像はどちらも患者の体の投影像を構成する多くの2D画像から構築された3D画像である。
【0003】
線量計画は、各種臓器の位置に関する情報を必要とし、密度および/または原子組成などのそれらの物質特性に関する情報も必要とする。密度情報は線量計画のために使用される。光子放射線治療を使用する場合、密度および原子組成により放射線の減衰が決まる。陽子放射線治療などのイオン放射線治療を使用する場合、密度および原子組成によりイオンが患者の体内を移動する距離に影響を与える阻止能が決まる。最初の計画のために、この情報を計画画像から取り出す。放射線ビームを正確に向けるために、典型的に分割画像を使用して関心領域の新しい境界を決定する。
【0004】
従って、計画画像は輪郭に関する情報だけでなく、各関心領域の物質特性に関する情報も含んでいなければならない。治療の過程で腫瘍や他の組織の形状が変化した際に、分割画像を使用して最新の輪郭情報を得る。但し、分割画像は計画画像よりもかなり少ない情報を有する場合がある。例えば、計画画像のためにファンビームCTスキャン(本明細書ではCTと呼ぶ)を使用してもよく、分割画像のためにコーンビームCT(CBCT)スキャンを使用する。CT画像は線量計画に必要な全ての情報を含むが比較的高価であり、CBCTよりも患者に対してより高い放射線線量を必要とする。他方、CBCTは患者により少ない放射線線量を与えると共に、あまり高価でない画像診断システムであるという利点を有するが、物質特性に関して信頼できる情報を常に提供するものではなく、特に画像のエッジ近くで画像の強度が誤って表示された場合にカップ状変形などの歪みを生じやすい。他の画像診断技術は、さらに少ない放射線を必要とするか放射線を全く必要としないが、適切な治療計画に必要な全ての情報を提供するものではない。
【0005】
典型的に、CBCT画像の視野は患者のアウトライン全体に及ばない。これは、分割画像に基づいて線量を計算する場合に、視野外にある部分の密度を線量の計算のために推定しなければならないことを意味している。1つの解決法は、計画画像の患者のアウトラインを分割画像に重ね合わせ、それが水と同じ特性を有すると仮定することである。水は体の大部分と良好な近似性を有するため合理的な妥協案であるが、この解決法は線量の計算においてなお誤差を生じさせる。
【0006】
Ruchala、Olivera、Kapatoes、ReckwerdtおよびMackie(「Methods for improving limited field-of-view radiotherapy reconstruction using imperfect a priori images(不完全な推測的画像を用いた限られた視野での放射線治療の再構築を改善するための方法)」, Medical Physics 29, 2590 (2002); doi: 10.1118/1.1513163)は、後で3D画像を構築するために使用される2D画像で直接作業することによりこの問題に対処する方法を開示している。この文献で提案されている方法は、3D画像を直接用いて作業する場合には適用可能ではない。典型的に、この治療計画システムは2D画像にアクセスできないため、これらのシステムを通してなされたあらゆる変化を3D画像において再現しなければならない。
【発明の概要】
【0007】
従って、本発明の目的は、分割画像が患者のアウトライン全体に及ばない場合の3D画像における線量計算作業の正確さを改善することにある。
【0008】
この目的は、患者の体の少なくとも第1の部分の3D複合画像を得る方法による本発明に従って達成され、本本法は、
・患者の体の第1の部分に対応し、かつ第1の視野を有する3D計画画像を得る工程と、
・第1の視野と比較して少なくとも1つの次元において限られた第2の視野を有する、患者の体の第1の部分の3D分割画像を得る工程と、
・第1の視野に含まれるが第2の視野には含まれない患者の体の少なくとも1つの領域を含むモデルアウトラインを生成する工程と、
・少なくとも前記モデルアウトラインの一部を前記分割画像内に含めつつ前記第2の視野外にある前記モデルアウトラインを変更するように前記モデルアウトラインを前記分割画像に付加して中間画像を得る工程と、
・計画画像のアウトラインと分割画像のアウトラインとの変形レジストレーションを行う工程と、
・変形レジストレーションの結果を用いて、計画画像内の領域からの物質情報を中間画像内の第2の視野外にあるアウトライン化部分の中に含めて複合画像を得る工程と
を含む。
【0009】
このようにして、そのような情報が入手可能な領域内に分割画像からの最新情報と、第2の視野外の領域内に計画画像に基づいているが分割画像に適応された解剖学的情報とを含む複合画像を得る。
【0010】
本発明に係る方法およびコンピュータプログラムを用いて、分割画像の視野外にある患者の体の部分に関する計画画像からの情報を分割画像の実際の形状に適応させて分割画像に付加する。これは分割画像と計画画像との弾性レジストレーションによって達成される。弾性レジストレーションは変形レジストレーションともいう。
【0011】
好ましい実施形態では、計画画像に基づく統計学的形状モデルアウトラインをモデルアウトラインとして使用し、本方法はモデルアウトラインを分割画像に適応する工程を含む。モデルアウトラインを分割画像に適応するために、距離変換に基づくコスト関数を使用してもよい。
【0012】
モデルアウトラインを分割画像に適応する前に、モデルアウトラインと分割画像との最初の重なりを決定することが好ましい。これは、計画画像と分割画像との自動剛体レジストレーションアルゴリズムを用いて達成してもよい。最初の重なりの目視評価に基づいて、あるいは任意の他の好適な方法で、これらの画像を重ね合わせてもよい。
【0013】
計画画像からのデータを最大可能な程度まで使用するために、複合画像の視野を第1の視野に対応させるようにアウトライン化部分を選択することが好ましい。
【0014】
計画画像が分割画像よりも早い時点で撮影された患者の画像である場合、本方法により最良の結果が得られる。また、計画画像はアトラス画像などの別の好適な画像であってもよい。
【0015】
計画画像から取り出された物質情報は典型的に、特定の用途に有用なものに応じて、密度情報、原子組成および/または解剖学的情報を含む。
【0016】
本発明は、コンピュータに前記請求項のいずれか1項に係る方法を実行させるように構成されたコンピュータ可読コードを含む、コンピュータを制御するための好ましくは担体上のコンピュータプログラム製品にも関する。
【0017】
本方法は、放射線治療装置に接続させて使用するためのものである。本発明は、プロセッサ、データメモリおよびプログラムメモリを含むコンピュータシステムにも関する。データメモリは、少なくとも1つの計画画像および/または少なくとも1つの分割画像を保持するように構成されており、プログラムメモリは、コンピュータプログラム製品を使用してプロセッサを制御することができるように上に定義したコンピュータプログラム製品を保持するように構成されている。当然のことながら、本発明の方法それ自体を、必要なソフトウェアがインストールされているあらゆるコンピュータにおいて実行することができる。
【0018】
計画画像および分割画像は、CTまたはMRI画像などの解剖学的画像でなければならない。さらに、計画画像および分割画像は同じ種類のデータを含むことが好ましい。これは、計画画像がCT画像であれば、分割画像はCTまたはCBCT画像でなければならないことを意味する。計画画像がMRI画像であれば、分割画像はMRI画像でなければならない。MRI画像から合成CT画像、すなわちCT画像と同じ種類のデータを含む画像を生成することもできる。計画画像または分割画像としての他のCTまたはCBCT画像と共に、そのような合成CT画像を計画画像または分割画像として使用することができる。
【0019】
以下では、添付の図面を参照しながら本発明についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1a、図1bおよび図1cは患者の計画画像の3つの異なる図を示す。図1dは計画画像のモデルアウトラインを示す。
図2図2aおよび図2bは患者の分割画像および分割画像の分割アウトラインをそれぞれ示す。
図3】モデルアウトラインへの適応のための分割アウトラインからのコストマップ関数を示す。
図4】コストマップ関数に対するモデルアウトラインの最初の位置を示す。
図5】分割アウトラインに適応されたモデルアウトラインを示す。
図6】モデルアウトラインと改良された分割画像アウトラインとの輪郭誘導変形レジストレーションを示す。
図7図7a〜図7cは、分割画像からの視野内の値および計画画像から変形可能にマップされた視野外の値を有する改良された分割画像を示す。
図8】本発明に係る方法のフローチャートである。
図9】本発明に従って使用することができるコンピュータシステムを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1a、図1bおよび図1cは、第1の視野を有する3D計画画像の冠状方向、矢状方向および横断方向スライスをそれぞれ示す。計画画像は、患者に関する解剖学的情報を含む。画像1a〜1cのそれぞれにおいて、分割画像の対応する投影像の視野は、実線の矩形a、bおよびcとしてそれぞれ示されている。図1dは、計画画像上の患者アウトラインの横断方向スライスを示し、これをモデルアウトラインとして使用する。
【0022】
図2aは、図1aに矩形によって示されている計画画像と同じ種類のデータを含むが第1の視野と比較して限られた第2の視野を有する3D分割画像の冠状方向スライスを示す。特に、患者の頭の上部および肩から下への領域は含まれていない。典型的に、分割画像は計画画像と同じ患者のものであるが、後の時点で撮影されたものである。図2bは分割画像の患者アウトラインを示す。このアウトラインは公知の方法を用いて得たものであり、本明細書では分割アウトラインと呼ぶ。
【0023】
本目的は、分割画像からの全てのデータを有するが第2の視野よりも大きな視野を有する画像を得ることにある。第2の視野外の領域では、計画画像からの輪郭および解剖学的データを使用して分割画像を補完する。分割画像の視野外にある患者の体の部分のおおよそのアウトラインで補完されたそのような分割画像を、本明細書では改良された分割画像と呼ぶ。計画画像からの情報に基づいて分割画像の視野外に物質情報が追加されている改良された分割画像を複合画像と呼ぶ。
【0024】
図3は、モデルアウトラインを分割アウトラインに適応するための分割アウトラインの距離変換に基づくコストマップを示す。実線の輪郭は分割アウトラインに対応している。実線の輪郭の両側にある破線の輪郭は分割アウトラインからの第1の距離を示し、第1のコストレベルに対応している。破線の輪郭の両側にある点線の輪郭は分割アウトラインからの第2の距離を示し、第2のコストレベルに対応している。コストレベルは分割アウトラインからの距離の増加に伴って増加する。
【0025】
図4は、図1dのモデルアウトラインの図3のコストマップ上への最初の重ね合わせを示す。これは、例えば、それ自体公知である計画画像と分割画像との剛体レジストレーション、目視による近似または別の好適な方法に基づいていてもよい。
【0026】
図5は、変更されたモデルアウトラインを破線として示し、これは第2の視野内の部分のために分割アウトラインに適応されており、これにより第2の視野外でも変化が生じている。これは、図3に示すコストマップに基づいて適応された、改良された分割画像のアウトラインである。第2の視野は、ここでも「a」が付された実線の矩形によって示されている。
【0027】
図6は、実線で示されている図1dのモデルアウトラインと破線で示されている図5の改良された分割アウトラインとの輪郭誘導変形レジストレーションを示す。輪郭誘導変形レジストレーションを行う方法は当業者に知られている。
【0028】
図7は、計画画像、分割画像および複合画像、すなわち上で述べた改良された分割画像を示す。「7a」という番号が付された左側には、「a」が付された実線の矩形として分割画像の視野が重ね合わせられた状態で図1aの計画画像が示されている。「7b」という番号が付された右側には、図2aの分割画像が示されている。「7c」という番号が付された中央には、複合画像が示されている。実線の矩形「a」によって示されている分割画像の視野内では、複合画像は分割画像と同じ解剖学的データを有する。分割画像の視野外では、複合画像は、計画画像から変形可能にマップされた解剖学的データを含む。
【0029】
図8は、治療セッションの前に実行される本発明の方法の一実施形態のフローチャートである。この前に、3D計画画像、典型的にはCT画像を得ており、治療計画が開発されている。
【0030】
第1の工程S1では、3D計画画像を得る。典型的には、計画画像は患者の解剖学的3D画像である。計画画像としてアトラス画像を使用することもできる。計画画像に基づいて、統計学的形状モデルアウトラインを生成する。
【0031】
第2の工程S2では、治療セッションを準備するために3D分割画像を得る。分割画像は計画画像と同じ種類のデータを有していなければならず、典型的に計画画像よりも限られた視野を有する。分割画像中の患者アウトライン表示を得る。
【0032】
第3の工程S3では、分割アウトラインからコストマップを得る。
【0033】
第4の工程S4では、計画画像と分割画像との剛体レジストレーションを行う。これは、分割画像に含まれていない部分における患者のアウトラインの最初の近似を与え、モデルアウトラインを分割画像に重ね合わせる最良の方法である。このようにして、改良された分割画像内の患者アウトラインの始点を生成する。工程S3およびS4の順序は重要ではない。
【0034】
第5の工程S5では、モデルアウトラインを分割アウトラインのエッジ、すなわち厳密に工程S2で得られた分割画像の視野内にある輪郭に適応する。典型的に、これは工程S3で決定されたコストマップを用いて行う。始点は工程S4で決定された重ね合わせである。モデル形状が保存されるという制約下でモデルアウトライン内の各個々の点をより低いコストに向かって移動させることができる。この結果が、図5に示す改良された分割画像の患者アウトラインである。
【0035】
第6の工程S6では、分割アウトラインおよび計画画像のアウトラインを用いて、輪郭誘導変形レジストレーションを行う。
【0036】
第7の工程S7では、変形レジストレーションの結果を使用して、データまたは標準的なデータを有しない改良された分割画像のアウトライン化部分、すなわち第2の視野外の部分を埋める。この結果が図7cという番号が付された複合画像であり、ここでは、改良された分割アウトライン内にあるが視野外にある情報は、変形レジストレーションを用いた計画画像からのデータに基づいている。
【0037】
図9は、本発明の方法を実行することができるコンピュータシステムの概略図である。コンピュータ31は、プロセッサ33、データメモリ34およびプログラムメモリ35を備える。データメモリ34は、少なくとも計画画像として使用される第1の画像および分割画像として使用される第2の画像を保持するように構成されている。これらの画像を、CTまたはMRI画像診断システム37あるいは任意の公知の通信方法によりいくつかの他の装置から受け取ってもよい。図9には画像診断システムが1つのみ示されているが、典型的には、これらの画像を異なる画像診断システムから受け取る。キーボード、マウス、ジョイスティック、声認識手段または任意の他の入手可能なユーザ入力手段の形態のユーザ入力手段38も存在することが好ましい。
【0038】
データメモリ34は、治療計画および治療に関連する他のデータなどの他のデータも保持していてもよい。コンピュータ31において治療計画を生成してもよく、当該技術分野で知られている任意の方法で別の格納手段から受け取ってもよい。
【0039】
当然のことながら、データメモリ34は概略的にのみ示されている。それぞれが1つ以上の異なる種類のデータを保持しているいくつかのデータメモリ装置、例えば、治療計画のための1つのデータメモリ、CTスキャンのための1つデータメモリなどが存在してもよい。
【0040】
プログラムメモリ35は、プロセッサを制御して図8に定められている方法を実行するように構成されたコンピュータプログラムを保持する。当然のことながら、コンピュータ31において図8の方法の工程を必ずしも全て実行するわけではない。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9