特許第6832713号(P6832713)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6832713
(24)【登録日】2021年2月4日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】空調システムの制御装置および方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/62 20180101AFI20210215BHJP
【FI】
   F24F11/62
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-6853(P2017-6853)
(22)【出願日】2017年1月18日
(65)【公開番号】特開2018-115812(P2018-115812A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2019年6月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉崎 智子
(72)【発明者】
【氏名】木口 行雄
【審査官】 瀧本 絢奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−220055(JP,A)
【文献】 特開2001−227794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00−11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つまたは複数の室内機と、
室外機と
を備える空調システムの制御装置であって、
前記制御装置は、
複数日にわたる期間を前記空調システムの負荷学習期間として設定する負荷学習期間設定部と、
前記複数日のそれぞれを複数の時間帯に分割する時間帯分割部と、
前記複数日にわたる前記複数の時間帯の前記空調システムの負荷を測定する負荷測定部と、
前記複数日にわたる前記複数の時間帯のうちの、前記複数日にわたる同一の時間帯の前記空調システムの負荷に基づいて、前記同一の時間帯が、高負荷の時間帯であるか、あるいは、低負荷の時間帯であるかを判定する負荷判定部と、
前記負荷判定部の判定結果に基づいて、高負荷制御スケジュールと低負荷制御スケジュールとを構築する制御スケジュール構築部と
前記複数の時間帯のそれぞれを複数のサブ時間帯に分割するサブ時間帯分割部と、
前記複数の時間帯のうちの一つの時間帯に含まれている高負荷のサブ時間帯の数と低負荷のサブ時間帯の数とをカウントするサブ時間帯数カウント部と、
前記複数日のうちの、前記一つの時間帯に含まれている高負荷のサブ時間帯の数が第1の閾値以上の日の数と、前記一つの時間帯に含まれている低負荷のサブ時間帯の数が前記第1の閾値以上の日の数とをカウントする日数カウント部と
を備え、
前記負荷判定部は、
前記複数日のうちの、前記一つの時間帯に含まれている高負荷のサブ時間帯の数が前記第1の閾値以上の日の数が、第2の閾値以上の時間帯が高負荷の時間帯であると判定し、
前記複数日のうちの、前記一つの時間帯に含まれている低負荷のサブ時間帯の数が前記第1の閾値以上の日の数が、前記第2の閾値以上の時間帯が低負荷の時間帯であると判定する
空調システムの制御装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記高負荷制御スケジュールに従って高負荷制御を実施するか否か、および、前記低負荷制御スケジュールに従って低負荷制御を実施するか否かを、外気温度に基づいて判定する実施判定部
を備え、
前記実施判定部は、
前記複数日のそれぞれの平均外気温度を取得する平均外気温度取得部と、
高負荷のサブ時間帯の数が前記第1の閾値以上の時間帯が前記複数日のそれぞれに含まれる数である高負荷カウント数を算出する高負荷カウント数算出部と、
低負荷のサブ時間帯の数が前記第1の閾値以上の時間帯が前記複数日のそれぞれに含まれる数である低負荷カウント数を算出する低負荷カウント数算出部と、
前記複数日のそれぞれの平均外気温度と高負荷カウント数とに基づいて、前記高負荷制御スケジュールに従って高負荷制御を実施するか否かの判定に用いられる高負荷制御用外気温度閾値を設定する高負荷制御用外気温度閾値設定部と、
前記複数日のそれぞれの平均外気温度と低負荷カウント数とに基づいて、前記低負荷制御スケジュールに従って低負荷制御を実施するか否かの判定に用いられる低負荷制御用外気温度閾値を設定する低負荷制御用外気温度閾値設定部と
を備える
請求項1に記載の空調システムの制御装置。
【請求項3】
前記実施判定部は、
前記高負荷制御スケジュールに従う高負荷制御の実施が予定されている日の外気温度と、前記高負荷制御用外気温度閾値とに基づいて、前記高負荷制御スケジュールに従って高負荷制御を実施するか否かを判定し、
前記低負荷制御スケジュールに従う低負荷制御の実施が予定されている日の外気温度と、前記低負荷制御用外気温度閾値とに基づいて、前記低負荷制御スケジュールに従って高負荷制御を実施するか否かを判定する
請求項2に記載の空調システムの制御装置。
【請求項4】
一つまたは複数の室内機と、
室外機と
を備える空調システムの制御方法であって、
複数日にわたる期間を前記空調システムの負荷学習期間として設定するステップと、
前記複数日のそれぞれを複数の時間帯に分割するステップと、
前記複数日にわたる前記複数の時間帯の前記空調システムの負荷を測定するステップと、
前記複数日にわたる前記複数の時間帯のうちの、前記複数日にわたる同一の時間帯の前記空調システムの負荷に基づいて、前記同一の時間帯が、高負荷の時間帯であるか、あるいは、低負荷の時間帯であるかを判定するステップと、
負荷の判定結果に基づいて、高負荷制御スケジュールと低負荷制御スケジュールとを構築するステップと、
前記複数の時間帯のそれぞれを複数のサブ時間帯に分割するステップと、
前記複数の時間帯のうちの一つの時間帯に含まれている高負荷のサブ時間帯の数と低負荷のサブ時間帯の数とをカウントするステップと、
前記複数日のうちの、前記一つの時間帯に含まれている高負荷のサブ時間帯の数が第1の閾値以上の日の数と、前記一つの時間帯に含まれている低負荷のサブ時間帯の数が前記第1の閾値以上の日の数とをカウントするステップと
を備え、
前記同一の時間帯が、高負荷の時間帯であるか、あるいは、低負荷の時間帯であるかを判定するステップでは、
前記複数日のうちの、前記一つの時間帯に含まれている高負荷のサブ時間帯の数が前記第1の閾値以上の日の数が、第2の閾値以上の時間帯が高負荷の時間帯であると判定され、
前記複数日のうちの、前記一つの時間帯に含まれている低負荷のサブ時間帯の数が前記第1の閾値以上の日の数が、前記第2の閾値以上の時間帯が低負荷の時間帯であると判定される
空調システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空調システムの制御装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空調負荷を予測する空調システムが知られている。この空調システムでは、時刻ごとの外気温度と定格能力とから空調負荷が予測される。ところが、この空調システムでは、ピーク負荷が考慮されるものの、空調機の実運転の時間的変化が十分考慮されることなく、空調負荷が予測されるために、ピーク時以外空調負荷の予測精度が悪いという問題点がある。
また、従来、空調負荷を予測する空調機制御装置が知られている。この空調機制御装置では、空調機の実運転データに基づいて空調負荷が予測される場合、横軸に外気温度、縦軸に負荷が取られ、各外気温度と空調負荷とをプロットして、プロット点を結んだ直線をあらかじめ求め、外気温度に基づいて直線と照合することによって空調負荷が予測される。ところが、この空調機制御装置では、外気温度以外の空調負荷変化要因を考慮できないという問題点がある。
また、従来、空調機を制御する空調システム制御装置が知られている。この空調システム制御装置では、建物の時間毎の熱負荷を精度良く予測するために、複雑な方程式の計算が行われ、多くの入力項目やセンサが用いられる。そのため、この空調システム制御装置では、簡易なシステムで実現できないという問題点がある。
【0003】
例えばビル用マルチエアコンなどのような一般的な空調システムにおいては、室内温度を目標温度に一致させるために、室内温度が目標室内温度に到達するまでの間、空調システムの出力が高い状態で運転が行われ、室内温度が目標室内温度に到達した後、空調システムの出力が低い状態で運転が行われる。そのため、同じ外気温度でも、1日の中で、時間帯によって空調運転状態が異なる。
空調システムの制御においては、空調システムの実運転の運転効率や省エネルギー性を考慮した高負荷制御と低負荷制御とを行うことが好ましい。ところが、このような出力変化の大きな空調システムの運転状態に対して不適切なタイミングで、省エネルギー性を目的とした高負荷制御あるいは低負荷制御が行われると、省エネルギー効果が得られず、快適性を悪化させてしまい、逆効果となるおそれがある。
従って、空調システムの制御においては、空調システムの制御性に応じて、簡易な構成で高精度に実現することができる負荷予測が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−227794号公報
【特許文献2】特開2008−089266号公報
【特許文献3】国際公開第2014/203311号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、簡易な構成で高精度に負荷を予測することによって適切なタイミングで高負荷制御および低負荷制御を行うことができる空調システムの制御装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の空調システムは、一つまたは複数の室内機と、室外機と、制御装置とを備える。制御装置は、負荷学習期間設定部と、時間帯分割部と、負荷測定部と、負荷判定部と、制御スケジュール構築部と、サブ時間帯分割部と、サブ時間帯数カウント部と、日数カウント部とを備える。負荷学習期間設定部は、複数日にわたる期間を空調システムの負荷学習期間として設定する。時間帯分割部は、複数日のそれぞれを複数の時間帯に分割する。負荷測定部は、複数日にわたる複数の時間帯の空調システムの負荷を測定する。負荷判定部は、複数日にわたる複数の時間帯のうちの、複数日にわたる同一の時間帯の空調システムの負荷に基づいて、同一の時間帯が、高負荷の時間帯であるか、あるいは、低負荷の時間帯であるかを判定する。制御スケジュール構築部は、負荷判定部の判定結果に基づいて、高負荷制御スケジュールと低負荷制御スケジュールとを構築する。サブ時間帯分割部は、複数の時間帯のそれぞれを複数のサブ時間帯に分割する。サブ時間帯数カウント部は、複数の時間帯のうちの一つの時間帯に含まれている高負荷のサブ時間帯の数と低負荷のサブ時間帯の数とをカウントする。日数カウント部は、複数日のうちの、一つの時間帯に含まれている高負荷のサブ時間帯の数が第1の閾値以上の日の数と、一つの時間帯に含まれている低負荷のサブ時間帯の数が第1の閾値以上の日の数とをカウントする。負荷判定部は、複数日のうちの、一つの時間帯に含まれている高負荷のサブ時間帯の数が第1の閾値以上の日の数が、第2の閾値以上の時間帯が高負荷の時間帯であると判定し、複数日のうちの、一つの時間帯に含まれている低負荷のサブ時間帯の数が第1の閾値以上の日の数が、第2の閾値以上の時間帯が低負荷の時間帯であると判定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】空調システムを示す概略構成図。
図2図1に示す制御装置の一例を示す図。
図3】一つの時間帯に30個のサブ時間帯が含まれている例を説明するための図。
図4】高負荷の時間帯などを説明するための図。
図5】低負荷の時間帯などを説明するための図。
図6】高負荷制御用外気温度閾値を説明するための図。
図7】低負荷制御用外気温度閾値を説明するための図。
図8】高負荷制御が実施される温度と低負荷制御が実施される温度とを説明するための図。
図9】高負荷制御スケジュールに従う高負荷制御および低負荷制御スケジュールに従う低負荷制御が実施されるか否かの判定結果の例を示した図。
図10】高負荷制御を説明するための図。
図11】空調システムの制御装置によって実行される処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の空調システムを、図面を参照して説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1に示すように、第1の実施形態の空調システム100は、例えばビル200に適用可能に構成されている。空調システム100は、複数の室内機20、20−1、…、20−8と、室外機10と、制御装置30とを備えている。室内機は一つであってもよい。
図2に示すように、制御装置30は、複数日にわたる期間を空調システム100の負荷学習期間として設定する負荷学習期間設定部30aと、負荷学習期間を構成する複数日のそれぞれを複数の時間帯に分割する時間帯分割部30bとを備えている。
第1の実施形態の空調システム100が適用される一例では、制御装置30の負荷学習期間設定部30aが、1月1日0時00分から1月31日24時00分までの31日間を、負荷学習期間として設定する。また、制御装置30の時間帯分割部30bが、1月1日から1月31日までの各日を、0時00分〜0時30分の時間帯、0時30分〜1時00分の時間帯、…、23時00分〜23時30分の時間帯、23時30分〜24時00分の時間帯の48個の30分間の時間帯に分割する。
【0010】
図2に示すように、制御装置30は、複数日にわたる複数の時間帯の空調システム100の負荷を測定する負荷測定部30cを備えている。空調システム100の負荷は、例えば圧縮機周波数、電流値などに基づいて公知の手法によって得ることができる。
また、制御装置30は、複数の時間帯のそれぞれを複数のサブ時間帯に分割するサブ時間帯分割部30fを備えている。
第1の実施形態の空調システム100が適用される一例では、上述した30分間の時間帯を、0分〜1分のサブ時間帯、1分〜2分のサブ時間帯、…、28分〜29分のサブ時間帯、29分〜30分のサブ時間帯の30個の1分間のサブ時間帯に分割する。
図3(A)は1月1日0時00分から1月31日24時00分までの31日間のうちの1月A日22時00分〜22時30分の時間帯と、その時間帯に含まれる30個のサブ時間帯との関係を示している。図3(B)は1月1日0時00分から1月31日24時00分までの31日間のうちの1月B日5時00分〜5時30分の時間帯と、その時間帯に含まれる30個のサブ時間帯との関係を示している。図3(A)および図3(B)の縦軸は、空調システム100の負荷を部分負荷率(%)で示している。図3(A)および図3(B)に示す例では、部分負荷率0〜20(%)が空調システム100の「低負荷」に対応し、部分負荷率20〜70(%)が空調システム100の「中負荷」に対応し、部分負荷率70〜100(%)が空調システム100の「高負荷」に対応している。
【0011】
図2に示すように、制御装置30は、複数の時間帯のうちの一つの時間帯に含まれている高負荷のサブ時間帯の数と低負荷のサブ時間帯の数とをカウントするサブ時間帯数カウント部30gを備えている。
図3(A)に示す例では、制御装置30のサブ時間帯数カウント部30gが、0分〜1分のサブ時間帯、1分〜2分のサブ時間帯、…、18分〜19分のサブ時間帯、19分〜20分のサブ時間帯で、「高負荷のサブ時間帯」の数をカウントする。また、制御装置30のサブ時間帯数カウント部30gが、20分〜21分のサブ時間帯、21分〜22分のサブ時間帯、…、24分〜25分のサブ時間帯、25分〜26分のサブ時間帯で、「中負荷のサブ時間帯」の数をカウントする。また、制御装置30のサブ時間帯数カウント部30gが、26分〜27分のサブ時間帯、27分〜28分のサブ時間帯、28分〜29分のサブ時間帯、29分〜30分のサブ時間帯で、「低負荷のサブ時間帯」の数をカウントする。
その結果、図3(A)に示す30分間の時間帯では、「高負荷のサブ時間帯」の数が20になり、「中負荷のサブ時間帯」の数が6になり、「低負荷のサブ時間帯」の数が4になる。部分負荷率(%)の平均値は60になる。
つまり、負荷率の時間平均値が用いられるのではなく、サブ時間帯のカウント数が用いられる。そのため、後述するように、能力制御変動特性を考慮した、精度の良い負荷予測が可能になる。
【0012】
図3(B)に示す例では、制御装置30のサブ時間帯数カウント部30gが、0分〜1分のサブ時間帯、1分〜2分のサブ時間帯、…、28分〜29分のサブ時間帯、29分〜30分のサブ時間帯で、「中負荷のサブ時間帯」の数をカウントする。
その結果、図3(B)に示す30分間の時間帯では、「高負荷のサブ時間帯」の数がゼロになり、「中負荷のサブ時間帯」の数が30になり、「低負荷のサブ時間帯」の数がゼロになる。部分負荷率(%)の平均値は60になる。
負荷率の時間平均値では、図3(A)に示す例と図3(B)に示す例とを識別できないが、サブ時間帯数をカウントすることによって、図3(A)に示す例と図3(B)に示す例とを識別することができる。
【0013】
図2に示すように、制御装置30は、負荷学習期間を構成する複数日のうちの、一つの時間帯に含まれている高負荷のサブ時間帯の数が第1の閾値以上の日の数と、一つの時間帯に含まれている低負荷のサブ時間帯の数が第1の閾値以上の日の数とをカウントする日数カウント部30hを備えている。
図4の縦軸は、サブ時間帯数カウント部30gによってカウントされた「高負荷のサブ時間帯」の数を示している。図4の横軸は、時間帯分割部30bが1日を分割することにより得られた48個の時間帯(0時00分〜0時30分の時間帯、0時30分〜1時00分の時間帯、…、23時00分〜23時30分の時間帯、23時30分〜24時00分の時間帯)を示している。
【0014】
図4に示す例では、1月1日0時00分〜0時30分の時間帯の「高負荷のサブ時間帯」の数、1月1日0時30分〜1時00分の時間帯の「高負荷のサブ時間帯」の数、…、1月1日23時00分〜23時30分の時間帯の「高負荷のサブ時間帯」の数、1月1日23時30分〜24時00分の時間帯の「高負荷のサブ時間帯」の数がプロットされている。さらに、1月N(Nは2〜31)日0時00分〜0時30分の時間帯の「高負荷のサブ時間帯」の数、1月N日0時30分〜1時00分の時間帯の「高負荷のサブ時間帯」の数、…、1月N日23時00分〜23時30分の時間帯の「高負荷のサブ時間帯」の数、1月N日23時30分〜24時00分の時間帯の「高負荷のサブ時間帯」の数がプロットされている。
つまり、図4に示す例では、一つの時間帯に、31日分に相当する31個の「○」印がプロットされている。
【0015】
図2に示すように、制御装置30は、複数日にわたる複数の時間帯のうちの、複数日にわたる同一の時間帯の空調システム100の負荷に基づいて、同一の時間帯が、高負荷の時間帯であるか、高負荷よりも低い中負荷の時間帯であるか、あるいは、中負荷よりも低い低負荷の時間帯であるかを判定する負荷判定部30dを備えている。
第1の実施形態の空調システム100では、負荷判定部30dが、負荷学習期間を構成する複数日のうちの、一つの時間帯に含まれている高負荷のサブ時間帯の数が第1の閾値以上の日の数が、第2の閾値以上の時間帯が高負荷の時間帯であると判定する。
【0016】
図4に示す例では、上述した「第1の閾値」が「15個」に設定され、上述した「第2の閾値」が「3日」に設定されている。
図4に示す例では、7時30分〜8時00分の時間帯に含まれている「高負荷のサブ時間帯」の数が15個以上の日の数が3日以上になっている。つまり、7時30分〜8時00分の時間帯のうちの、縦軸が15以上の領域に、3個以上の「○」印がプロットされている。そのため、7時30分〜8時00分の時間帯が「高負荷の時間帯」であると、負荷判定部30dによって判定される。
同様に、図4に示す例では、8時00分〜8時30分の時間帯、8時30分〜9時00分の時間帯、9時00分〜9時30分の時間帯、9時30分〜10時00分の時間帯、10時00分〜10時30分の時間帯、および、10時30分〜11時00分の時間帯が「高負荷の時間帯」であると、負荷判定部30dによって判定される。つまり、図4に示す例では、7時30分〜11時00分の時間帯が「高負荷の時間帯」であると、負荷判定部30dによって判定される。
また、図4に示す例では、21時30分〜22時00分の時間帯、および、22時00分〜22時30分の時間帯が「高負荷の時間帯」であると、負荷判定部30dによって判定される。つまり、図4に示す例では、21時30分〜22時30分の時間帯が「高負荷の時間帯」であると、負荷判定部30dによって判定される。
すなわち、図4に示す例では、7時30分〜11時00分の時間帯と、21時30分〜22時30分の時間帯とが「高負荷の時間帯」であると、負荷判定部30dによって判定される。
【0017】
図5の縦軸は、サブ時間帯数カウント部30gによってカウントされた「低負荷のサブ時間帯」の数を示している。図5の横軸は、時間帯分割部30bが1日を分割することにより得られた48個の時間帯(0時00分〜0時30分の時間帯、0時30分〜1時00分の時間帯、…、23時00分〜23時30分の時間帯、23時30分〜24時00分の時間帯)を示している。
図5に示す例では、1月1日0時00分〜0時30分の時間帯の「低負荷のサブ時間帯」の数、1月1日0時30分〜1時00分の時間帯の「低負荷のサブ時間帯」の数、…、1月1日23時00分〜23時30分の時間帯の「低負荷のサブ時間帯」の数、1月1日23時30分〜24時00分の時間帯の「低負荷のサブ時間帯」の数がプロットされている。さらに、1月N(Nは2〜31)日0時00分〜0時30分の時間帯の「低負荷のサブ時間帯」の数、1月N日0時30分〜1時00分の時間帯の「低負荷のサブ時間帯」の数、…、1月N日23時00分〜23時30分の時間帯の「低負荷のサブ時間帯」の数、1月N日23時30分〜24時00分の時間帯の「低負荷のサブ時間帯」の数がプロットされている。
つまり、図5に示す例では、一つの時間帯に、31日分に相当する31個の「○」印がプロットされている。
【0018】
第1の実施形態の空調システム100では、負荷判定部30dが、負荷学習期間を構成する複数日のうちの、一つの時間帯に含まれている低負荷のサブ時間帯の数が第1の閾値以上の日の数が、第2の閾値以上の時間帯が低負荷の時間帯であると判定する。
図5に示す例では、上述した「第1の閾値」が「15個」に設定され、上述した「第2の閾値」が「3日」に設定されている。
図5に示す例では、13時30分〜14時00分の時間帯に含まれている「低負荷のサブ時間帯」の数が15個以上の日の数が3日以上になっている。つまり、13時30分〜14時00分の時間帯のうちの、縦軸が15以上の領域に、3個以上の「○」印がプロットされている。そのため、13時30分〜14時00分の時間帯が「低負荷の時間帯」であると、負荷判定部30dによって判定される。
同様に、図5に示す例では、14時00分〜14時30分の時間帯、14時30分〜15時00分の時間帯、および、15時00分〜15時30分の時間帯が「低負荷の時間帯」であると、負荷判定部30dによって判定される。つまり、図5に示す例では、13時30分〜15時30分の時間帯が「低負荷の時間帯」であると、負荷判定部30dによって判定される。
【0019】
図2に示すように、制御装置30は、負荷判定部30dの判定結果に基づいて高負荷制御スケジュールと低負荷制御スケジュールとを構築する制御スケジュール構築部30eを備えている。
図4および図5に示す例では、7時30分〜11時00分の時間帯と21時30分〜22時30分の時間帯とに高負荷制御を実施する高負荷制御スケジュールが、制御スケジュール構築部30eによって構築される。また、13時30分〜15時30分の時間帯に低負荷制御を実施する低負荷制御スケジュールが、制御スケジュール構築部30eによって構築される。
【0020】
第1の実施形態の空調システム100では、制御スケジュール構築部30eによって構築された高負荷制御スケジュールに従って、「高負荷の時間帯」(図4および図5に示す例では、7時30分〜11時00分の時間帯および21時30分〜22時30分の時間帯)に、後述する高負荷制御が、制御装置30によって実施される。
図10(A)および図10(B)において、縦軸は負荷を示しており、横軸は時刻を示している。
一般的な空調システムでは、図10(A)および図10(B)に「一般的な空調システム」で示すように、負荷が値L1より高い期間t1〜t2に、室内温度を目標温度に一致させるために、出力が高い状態で空調システムを運転する制御が実施される。そのため、一般的な空調システムでは、期間t1〜t2に、消費電力が大きくなり、省エネルギー性が悪化してしまう。
一方、第1の実施形態の空調システム100では、「高負荷の時間帯」(図4および図5に示す例では、7時30分〜11時00分の時間帯および21時30分〜22時30分の時間帯)に、値L1を超えないように負荷を抑制する高負荷制御が、制御装置30によって実施される。
図10(A)に示す例では、図10(A)に「第1の実施形態の空調システム」で示すように、負荷が値L1を超えない時刻t1以前および時刻t2以降に、「一般的な空調システム」と同様の制御が実施される。負荷が値L1を超えるおそれがある期間t1〜t2には、負荷が値L1に抑制された高負荷制御が実施される。
図10(B)に示す例では、図10(B)に「第1の実施形態の空調システム」で示すように、ピーク時(時刻t1−2)の負荷が値L1を超えないように、「高負荷の時間帯」(図4および図5に示す例では、7時30分〜11時00分の時間帯および21時30分〜22時30分の時間帯)の全体にわたって「一般的な空調システム」よりも負荷を抑制する高負荷制御が、制御装置30によって実施される。
【0021】
第1の実施形態の空調システム100では、高負荷よりも低い中負荷の時間帯(図4および図5に示す例では、0時00分〜24時00分の時間帯のうちの、7時30分〜11時00分の時間帯、13時30分〜15時30分の時間帯および21時30分〜22時30分の時間帯を除く時間帯)に、一般的な空調システムと同様の制御が、制御装置30によって実施される。
【0022】
第1の実施形態の空調システム100では、制御スケジュール構築部30eによって構築された低負荷制御スケジュールに従って、中負荷よりも低い「低負荷の時間帯」(図4および図5に示す例では、13時30分〜15時30分の時間帯)に、後述する低負荷制御が、制御装置30によって実施される。
具体的には、室外機10の停止後の再起動に伴う消費電力の増大を抑制するために、室外機10を低負荷で連続運転する低負荷制御(つまり、室外機10を、停止させることなく、運転し続ける制御)が、制御装置30によって実施される。
第1の実施形態の空調システム100が適用される一例では、「低負荷の時間帯」に室内機20、20−1、…、20−7、20−8の運転台数を低減することによって、室外機10を低負荷で連続運転する低負荷制御が実施される。その結果、室外機10の断続運転を抑制することができる。
【0023】
(第2の実施形態)
図2に示すように、第2の実施形態の空調システム100では、制御装置30が、例えば図4に示すような高負荷制御スケジュールに従って高負荷制御を実施するか否か、および、例えば図5に示すような低負荷制御スケジュールに従って低負荷制御を実施するか否かを、外気温度に基づいて判定する実施判定部30iを備えている。
実施判定部30iは、負荷学習期間を構成する複数日のそれぞれの平均外気温度を取得する平均外気温度取得部30i1を備えている。実施判定部30iは、高負荷のサブ時間帯の数が第1の閾値(図4に示す例では、「第1の閾値」が15)以上の時間帯が複数日のそれぞれに含まれる数である高負荷カウント数を算出する高負荷カウント数算出部30i2を備えている。
図6の縦軸は、高負荷カウント数算出部30i2によって算出された高負荷カウント数を示している。図6の横軸は、平均外気温度(℃)を示している。
図6に示す例では、1月1日の48個の時間帯のうちの「高負荷の時間帯」の数が、「高負荷カウント数」としてプロットされる。プロットされる「○」印の横軸が、1月1日の「平均外気温度(℃)」の値に設定される。さらに、1月N(Nは2〜31)日の48個の時間帯のうちの「高負荷の時間帯」の数が、「高負荷カウント数」としてプロットされる。プロットされる「○」印の横軸が、1月N(Nは2〜31)日の「平均外気温度(℃)」の値に設定される。
つまり、図6には、31日分に相当する31個の「○」印がプロットされている。図6中の曲線は、図6中の31個の「○」印の相関を示している。
【0024】
図2に示すように、第2の実施形態の空調システム100では、実施判定部30iが、例えば図6の横軸に示している、負荷学習期間を構成する複数日のそれぞれの平均外気温度と、例えば図6の縦軸に示している高負荷カウント数とに基づいて、例えば図6に縦線で示している、高負荷制御スケジュールに従って高負荷制御を実施するか否かの判定に用いられる高負荷制御用外気温度閾値を設定する高負荷制御用外気温度閾値設定部30i4を備えている。
図6に示す例では、負荷学習期間を構成する複数日のそれぞれの平均外気温度と高負荷カウント数とに基づいて、詳細には、図6中の相関曲線に基づいて、高負荷制御用外気温度閾値設定部30i4によって、高負荷制御用外気温度閾値が3℃に設定されている。
負荷積算値(絶対値)では、高負荷側の閾値を定義することが難しいが、この方法により、効果を確実に創出できる高負荷制御用外気温度閾値を決めることができる。また、高負荷の制御の効果が期待できるかどうかを、日ごとに簡単に判定することができる。
【0025】
図2に示すように、第2の実施形態の空調システム100では、実施判定部30iが、低負荷のサブ時間帯の数が第1の閾値(図5に示す例では、「第1の閾値」が15)以上の時間帯が複数日のそれぞれに含まれる数である低負荷カウント数を算出する低負荷カウント数算出部30i3を備えている。
図7の縦軸は、低負荷カウント数算出部30i3によって算出された低負荷カウント数を示している。図7の横軸は、平均外気温度(℃)を示している。
図7に示す例では、1月1日の48個の時間帯のうちの「低負荷の時間帯」の数が、「低負荷カウント数」としてプロットされる。プロットされる「○」印の横軸が、1月1日の「平均外気温度(℃)」の値に設定される。さらに、1月N(Nは2〜31)日の48個の時間帯のうちの「低負荷の時間帯」の数が、「低負荷カウント数」としてプロットされる。プロットされる「○」印の横軸が、1月N(Nは2〜31)日の「平均外気温度(℃)」の値に設定される。
つまり、図7には、31日分に相当する31個の「○」印がプロットされている。図7中の曲線は、図7中の31個の「○」印の相関を示している。
【0026】
図2に示すように、第2の実施形態の空調システム100では、実施判定部30iが、例えば図7の横軸に示している、負荷学習期間を構成する複数日のそれぞれの平均外気温度と、例えば図7の縦軸に示している低負荷カウント数とに基づいて、例えば図7に縦線で示している、低負荷制御スケジュールに従って低負荷制御を実施するか否かの判定に用いられる低負荷制御用外気温度閾値を設定する低負荷制御用外気温度閾値設定部30i5を備えている。
図7に示す例では、負荷学習期間を構成する複数日のそれぞれの平均外気温度と低負荷カウント数とに基づいて、詳細には、図7中の相関曲線に基づいて、低負荷制御用外気温度閾値設定部30i5によって、低負荷制御用外気温度閾値が1℃に設定されている。
負荷積算値(絶対値)では、低負荷側の閾値を定義することが難しいが、この方法により、効果を確実に創出できる低負荷制御用外気温度閾値を決めることができる。また、低負荷の制御の効果が期待できるかどうかを、日ごとに簡単に判定することができる。
【0027】
第2の実施形態の空調システム100では、実施判定部30iが、高負荷制御スケジュールに従う高負荷制御の実施が予定されている日の外気温度と、高負荷制御用外気温度閾値とに基づいて、高負荷制御スケジュールに従って高負荷制御を実施するか否かを判定する。
図8に示す例では、例えば図4に示すような高負荷制御スケジュールに従う高負荷制御の実施が予定されている日の外気温度の平均値が、高負荷制御用外気温度閾値の3℃以下である場合に、例えば図4に示すような高負荷制御スケジュールに従って、上述した高負荷制御が実施される。一方、例えば図4に示すような高負荷制御スケジュールに従う高負荷制御の実施が予定されている日の外気温度の平均値が、高負荷制御用外気温度閾値の3℃より高い場合には、例えば図4に示すような高負荷制御スケジュールに従って上述した高負荷制御が実施されず、上述した一般的な空調システムと同様の制御が実施される。
空調システム100の運転開始前に、その日の時刻毎の高負荷を予測することは難しいが、この方法により、時刻ごとの負荷変化を考慮した適切な高負荷制御スケジュールを、予め構築することができる。
高負荷制御スケジュールに従う高負荷制御の実施が予定されている日の外気温度の平均値としては、例えば、天気予報において予測されている温度、予め指定した時刻の外気温度を用いることができる。
【0028】
また、第2の実施形態の空調システム100では、実施判定部30iが、低負荷制御スケジュールに従う低負荷制御の実施が予定されている日の外気温度と、低負荷制御用外気温度閾値とに基づいて、低負荷制御スケジュールに従って高負荷制御を実施するか否かを判定する。
図8に示す例では、例えば図5に示すような低負荷制御スケジュールに従う低負荷制御の実施が予定されている日の外気温度の平均値が、低負荷制御用外気温度閾値の1℃以上である場合に、例えば図5に示すような低負荷制御スケジュールに従って、上述した低負荷制御が実施される。一方、例えば図5に示すような低負荷制御スケジュールに従う低負荷制御の実施が予定されている日の外気温度の平均値が、低負荷制御用外気温度閾値の1℃よりも低い場合には、例えば図5に示すような低負荷制御スケジュールに従って上述した低負荷制御が実施されず、上述した一般的な空調システムと同様の制御が実施される。
空調システム100の運転開始前に、その日の時刻毎の低負荷を予測することは難しいが、この方法により、時刻ごとの負荷変化を考慮した適切な低負荷制御スケジュールを、予め構築することができる。
低負荷制御スケジュールに従う低負荷制御の実施が予定されている日の外気温度の平均値としては、例えば、天気予報において予測されている温度、予め指定した時刻の外気温度を用いることができる。
【0029】
図11に示すように、第2の実施形態の空調システム100では、制御装置30による制御が開始されると、まず、図示しないステップにおいて、複数日にわたる期間が空調システム100の負荷学習期間として設定される。図4および図5に示す例では、1月1日0時00分から1月31日24時00分までの31日間が負荷学習期間として設定される。
次いで、図示しないステップにおいて、負荷学習期間を構成する複数日のそれぞれが複数の時間帯に分割される。図4および図5に示す例では、1月1日から1月31日までの各日が、0時00分〜0時30分の時間帯、0時30分〜1時00分の時間帯、…、23時00分〜23時30分の時間帯、23時30分〜24時00分の時間帯の48個の30分間の時間帯に分割される。
次いで、図示しないステップにおいて、負荷学習期間を構成する複数日にわたる複数の時間帯の空調システム100の負荷が測定される。図4および図5に示す例では、1月1日0時00分から1月31日24時00分まで、空調システム100の負荷が測定され続ける。
次いで、ステップS1において、測定された空調システム100の負荷のデータが制御装置30によって取得される。
【0030】
次いで、ステップS2では、取得された空調システム100の負荷のデータに基づいて、将来の空調システム100の負荷のパターン(傾向)が予測される。
詳細には、ステップS2では、図3(A)および図3(B)に示すような処理が実行され、負荷学習期間を構成する複数日のそれぞれに含まれる複数の時間帯のそれぞれが高負荷の時間帯に該当するか、低負荷の時間帯に該当するか、あるいは、中負荷の時間帯に該当するかが判定される。さらに、図4に示すような処理が実行され、1日を構成する複数の時間帯のそれぞれが高負荷の時間帯に該当するか否かが判定される。また、図5に示すような処理が実行され、1日を構成する複数の時間帯のそれぞれが低負荷の時間帯に該当するか否かが判定される。
つまり、ステップS2では、図4および図5に示すように、負荷学習期間を構成する複数日にわたる複数の時間帯のうちの、複数日にわたる同一の時間帯の空調システム100の負荷に基づいて、同一の時間帯が、高負荷の時間帯であるか、高負荷よりも低い中負荷の時間帯であるか、あるいは、中負荷よりも低い低負荷の時間帯であるかが判定される。
同じ1日の中でも、空調システム100の制御で、高負荷発生時間と低負荷発生時間が両方存在する状況があるが、複数の時間帯に分割することによって、1日内の負荷変化を考慮して精度良く負荷を予測することができる。
次いで、ステップS3では、ステップS2において予測された将来の空調システム100の負荷のパターン(傾向)に基づいて、1日の高負荷制御スケジュールと1日の低負荷制御スケジュールとが構築される。
詳細には、図4に示す例では、図4中の複数のプロットに基づいて、7時30分〜11時00分の時間帯と21時30分〜22時30分の時間帯とに高負荷制御を実施する高負荷制御スケジュールが構築される。図5に示す例では、図5中の複数のプロットに基づいて、13時30分〜15時30分の時間帯に低負荷制御を実施する低負荷制御スケジュールが構築される。
つまり、ステップS3では、ステップS2における負荷の判定結果に基づいて、高負荷制御スケジュールと低負荷制御スケジュールとが構築される。
【0031】
次いで、ステップS4では、高負荷制御用外気温度閾値と、低負荷制御用外気温度閾値とが設定される。
詳細には、図6に示す例では、図6中の複数のプロットに基づいて、3℃の高負荷制御用外気温度閾値が設定される。図7に示す例では、図7中の複数のプロットに基づいて、1℃の低負荷制御用外気温度閾値が設定される。
次いで、ステップS5では、高負荷制御スケジュールに従って高負荷制御を実施するか否かが、外気温度に基づいて判定される。高負荷制御スケジュールに従う高負荷制御の実施が予定されている日の外気温度の平均値が高負荷制御用外気温度閾値以下である場合(YESの場合)にはステップS7に進む。一方、高負荷制御スケジュールに従う高負荷制御の実施が予定されている日の外気温度の平均値が高負荷制御用外気温度閾値よりも高い場合(NOの場合)にはステップS6に進む。
ステップS6では、ステップS3において構築された高負荷制御スケジュールが変更され、高負荷になると予測された時間帯においても高負荷制御を実施しない新たな高負荷制御スケジュールが構築される。
【0032】
次いで、ステップS7では、低負荷制御スケジュールに従って低負荷制御を実施するか否かが、外気温度に基づいて判定される。低負荷制御スケジュールに従う低負荷制御の実施が予定されている日の外気温度の平均値が低負荷制御用外気温度閾値以上である場合(YESの場合)にはステップS9に進む。一方、低負荷制御スケジュールに従う低負荷制御の実施が予定されている日の外気温度の平均値が低負荷制御用外気温度閾値よりも低い場合(NOの場合)にはステップS8に進む。
ステップS8では、ステップS3において構築された低負荷制御スケジュールが変更され、低負荷になると予測された時間帯においても低負荷制御を実施しない新たな低負荷制御スケジュールが構築される。
次いで、ステップS9では、空調システム100が運転される。詳細には、ステップS3において構築された高負荷制御スケジュールまたはステップS6において新たに構築された高負荷制御スケジュールに従って高負荷制御が実施される。また、ステップS3において構築された低負荷制御スケジュールまたはステップS8において新たに構築された低負荷制御スケジュールに従って低負荷制御が実施される。
このように、実運転の負荷を考慮した制御スケジュールを、簡易な取得データで、簡単に構築することができる。また、室内快適性を悪化させることなく、空調システム100の運転効率を向上させ、省エネルギー効果を向上させることができる。
【0033】
具体的には、図8および図9(A)に「例1」で示す例では、高負荷制御スケジュールに従う高負荷制御の実施および低負荷制御スケジュールに従う低負荷制御の実施が予定されている日の外気温度の平均値が2℃である。
図11に示す制御が実行されると、ステップS5において、高負荷制御スケジュールに従う高負荷制御の実施が予定されている日の外気温度の平均値(2℃)が、高負荷制御用外気温度閾値(3℃)以下であるため、YESと判定される。その結果、ステップS6が実行されず、ステップS3において構築された高負荷制御スケジュール(詳細には、7時30分〜11時00分の時間帯と21時30分〜22時30分の時間帯とに高負荷制御を実施する高負荷制御スケジュール)が変更されない。
ステップS7では、低負荷制御スケジュールに従う低負荷制御の実施が予定されている日の外気温度の平均値(2℃)が、低負荷制御用外気温度閾値(1℃)以上であるため、YESと判定される。その結果、ステップS8が実行されず、ステップS3において構築された低負荷制御スケジュール(詳細には、13時30分〜15時30分の時間帯に低負荷制御を実施する低負荷制御スケジュール)が変更されない。
ステップS9では、7時30分〜11時00分の時間帯に高負荷制御が実施され、13時30分〜15時30分の時間帯に低負荷制御が実施され、21時30分〜22時30分の時間帯に高負荷制御が実施される。
【0034】
図8および図9(B)に「例2」で示す例では、高負荷制御スケジュールに従う高負荷制御の実施および低負荷制御スケジュールに従う低負荷制御の実施が予定されている日の外気温度の平均値が8℃である。
図11に示す制御が実行されると、ステップS5において、高負荷制御スケジュールに従う高負荷制御の実施が予定されている日の外気温度の平均値(8℃)が、高負荷制御用外気温度閾値(3℃)よりも高いため、NOと判定される。その結果、ステップS6が実行され、ステップS3において構築された高負荷制御スケジュール(詳細には、7時30分〜11時00分の時間帯と21時30分〜22時30分の時間帯とに高負荷制御を実施する高負荷制御スケジュール)が、新たな高負荷制御スケジュール(詳細には、高負荷制御を実施しない高負荷制御スケジュール)に変更される。
ステップS7では、低負荷制御スケジュールに従う低負荷制御の実施が予定されている日の外気温度の平均値(8℃)が、低負荷制御用外気温度閾値(1℃)以上であるため、YESと判定される。その結果、ステップS8が実行されず、ステップS3において構築された低負荷制御スケジュール(詳細には、13時30分〜15時30分の時間帯に低負荷制御を実施する低負荷制御スケジュール)が変更されない。
ステップS9では、13時30分〜15時30分の時間帯に低負荷制御が実施される。つまり、7時30分〜11時00分の時間帯に高負荷制御が実施されず、21時30分〜22時30分の時間帯にも高負荷制御が実施されない。
【0035】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、複数日にわたる期間を空調システム100の負荷学習期間として設定する負荷学習期間設定部30aと、複数日のそれぞれを複数の時間帯に分割する時間帯分割部30bと、複数日にわたる複数の時間帯の空調システム100の負荷を測定する負荷測定部30cと、複数日にわたる複数の時間帯のうちの、複数日にわたる同一の時間帯の空調システム100の負荷に基づいて、同一の時間帯が、高負荷の時間帯であるか、高負荷よりも低い中負荷の時間帯であるか、あるいは、中負荷よりも低い低負荷の時間帯であるかを判定する負荷判定部30dと、負荷判定部の判定結果に基づいて、高負荷制御スケジュールと低負荷制御スケジュールとを構築する制御スケジュール構築部30eとを備えることにより、簡易な構成で高精度に負荷を予測することによって適切なタイミングで高負荷制御および低負荷制御を行うことができる。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0037】
10…室外機、20、20−1、20−2、20−3、20−4、20−5、20−6、20−7、20−8…室内機、30…制御装置、30a…負荷学習期間設定部、30b…時間帯分割部、30c…負荷測定部、30d…負荷判定部、30e…制御スケジュール構築部、30f…サブ時間帯分割部、30g…サブ時間帯数カウント部、30h…日数カウント部、30i…実施判定部、30i1…平均外気温度取得部、30i2…高負荷カウント数算出部、30i3…低負荷カウント数算出部、30i4…高負荷制御用外気温度閾値設定部、30i5…低負荷制御用外気温度閾値設定部、100…空調システム、200…ビル
図1
図2
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図5
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図11