(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように、作業走行及び旋回を繰り返す作業車において、作業車を運転する運転者の負担を軽減するという点で改善の余地がある。
本発明は、前述のような作業車において、運転者の負担を軽減することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
【0006】
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
本発明の作業車は、
圃場に対して作業を行う作業装置と、走行機体の位置を検出する測位部と、
前記走行機体が走行する作業走行ラインを取得する作業走行ライン取得部と、
前記作業走行ラインの端部と次の前記作業走行ラインの端部とを接続する旋回ラインを取得する旋回ライン取得部とが備えられ、
前記走行機体の位置に基づいて、前記走行機体が前記作業走行ラインに沿って走行するように、前記走行機体の自動操縦を行う自動走行制御部と、
前記走行機体の位置に基づいて、前記走行機体が前記旋回ラインに沿って走行するように、前記走行機体の自動操縦を行う自動旋回制御部とが備えられて、
前記自動走行制御部が作動する作業モードと、前記自動旋回制御部が作動する旋回モードとに切り換える制御部が備えられ、
右及び左の走行装置に動力を伝動及び遮断自在な右及び左のサイドクラッチと、
直進時に右及び左の前記サイドクラッチの両方を伝動状態に操作し、旋回時に旋回中心側の前記サイドクラッチを遮断状態に操作するサイドクラッチ操作部とが備えられて、
前記制御部は、
前記走行機体の位置に基づいて、前記走行機体の前記作業走行ラインから前記旋回ラインへの移行により、前記旋回モードに切り換え、右及び左の両方の前記サイドクラッチの伝動状態への移行により、前記作業モードに切り換える。
【0024】
本発明によると、作業装置により圃場に対して作業を行いながら走行機体が走行する作業走行ライン、並びに、作業走行ラインの端部と次の作業走行ラインの端部とを接続する旋回ラインが設定される。
これにより、作業モードに切り換えられた状態において、測位部により走行機体の位置が検出されながら、走行機体が作業走行ラインに沿って自動的に走行するのであり、作業装置により圃場に対して作業を行うことができる。
旋回モードに切り換えられた状態において、測位部により走行機体の位置が検出されながら、走行機体が旋回ラインに沿って自動的に走行する。
以上のように、作業モードへの切り換え及び旋回モードへの切り換えが行われながら、走行機体が作業走行ライン及び旋回ラインに沿って自動的に走行するのであり、作業走行及び旋回を繰り返しが、運転者の負担を少なくして行えるようになって、作業性の向上を図ることができる。
圃場で作業を行う作業車では一般に、作業走行は、直進又は緩やかに向きを変える程度の略直進状態となることが多い。これに対して旋回は、180度旋回のような小さな旋回半径での小回り旋回となることが多い。
これにより、作業走行ラインに沿っての走行機体の自動操縦と、旋回ラインに沿っての走行機体の自動操縦とにおいて、走行機体の自動操縦の制御状態が大きく異なっており、一つの制御部によって、作業走行ラインに沿っての走行機体の自動操縦と、旋回ラインに沿っての走行機体の自動操縦との両方を行うことは、制御負荷が大きなものとなる。
本発明によると、作業走行ラインに沿って走行機体の自動操縦を行う自動走行制御部、及び、旋回ラインに沿って走行機体の自動操縦を行う自動旋回制御部を備えることによって、自動走行制御部を作業走行ラインに沿っての走行機体の自動操縦を適切に行うことができるものに構成することが容易に行えるのであり、自動旋回制御部を旋回ラインに沿っての走行機体の自動操縦を適切に行うことができるものに構成することが容易に行える。
本発明によると、以上のような自動走行制御部及び自動旋回制御部を備えることによって、走行機体が作業走行ライン及び旋回ラインに沿って精度良く走行するようになるのであり、作業車の走行性能の向上を図ることができる。
本発明によると、作業走行ライン及び旋回ラインが位置データとして認識され、走行機体の位置が測位データとして認識されるので、作業走行ライン及び旋回ラインと走行機体の位置関係を容易に認識することができる。
【0025】
乗用型田植機や乗用型直播機、コンバイン等の作業車では、右及び左の走行装置に動力を伝動及び遮断自在な右及び左のサイドクラッチが備えられて、直進時に右及び左のサイドクラッチの両方が伝動状態に操作され、旋回時に旋回中心側のサイドクラッチが遮断状態に操作される作業車がある。旋回時に、旋回中心側のサイドクラッチを遮断状態に操作して、旋回中心側の走行装置を自由回転状態とすることにより、旋回中心側の走行装置により圃場が荒らされる状態を抑えることができる。
前述の状態において、右及び左のサイドクラッチの両方が伝動状態に操作されると、走行機体が作業走行の状態であると判断でき、旋回中心側のサイドクラッチが遮断状態に操作されると、走行機体が旋回の状態であると判断できる。
【0026】
これにより、走行機体の位置によって、作業モードから旋回モードに切り換えるべき状態を適切に認識することができ、右及び左のサイドクラッチにより、旋回モードから作業モードに切り換えるべき状態を適切に認識することができて、作業モードへの切り換え及び旋回モードへの切り換えが適切に行われるようになる。
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
本発明の作業車は、
圃場に対して作業を行う作業装置と、走行機体の位置を検出する測位部と、
前記走行機体が走行する作業走行ラインを取得する作業走行ライン取得部と、
前記作業走行ラインの端部と次の前記作業走行ラインの端部とを接続する旋回ラインを取得する旋回ライン取得部とが備えられ、
前記走行機体の位置に基づいて、前記走行機体が前記作業走行ラインに沿って走行するように、前記走行機体の自動操縦を行う自動走行制御部と、
前記走行機体の位置に基づいて、前記走行機体が前記旋回ラインに沿って走行するように、前記走行機体の自動操縦を行う自動旋回制御部とが備えられて、
前記自動走行制御部が作動する作業モードと、前記自動旋回制御部が作動する旋回モードとに切り換える制御部が備えられ、
右及び左の走行装置に動力を伝動及び遮断自在な右及び左のサイドクラッチと、
直進時に右及び左の前記サイドクラッチの両方を伝動状態に操作し、旋回時に旋回中心側の前記サイドクラッチを遮断状態に操作するサイドクラッチ操作部とが備えられて、
前記制御部は、
旋回中心側の前記サイドクラッチの遮断状態への移行により、前記旋回モードに切り換え、右及び左の両方の前記サイドクラッチの伝動状態への移行により、前記作業モードに切り換える。
【0032】
本発明によると、作業装置により圃場に対して作業を行いながら走行機体が走行する作業走行ライン、並びに、作業走行ラインの端部と次の作業走行ラインの端部とを接続する旋回ラインが設定される。
これにより、作業モードに切り換えられた状態において、測位部により走行機体の位置が検出されながら、走行機体が作業走行ラインに沿って自動的に走行するのであり、作業装置により圃場に対して作業を行うことができる。
旋回モードに切り換えられた状態において、測位部により走行機体の位置が検出されながら、走行機体が旋回ラインに沿って自動的に走行する。
以上のように、作業モードへの切り換え及び旋回モードへの切り換えが行われながら、走行機体が作業走行ライン及び旋回ラインに沿って自動的に走行するのであり、作業走行及び旋回を繰り返しが、運転者の負担を少なくして行えるようになって、作業性の向上を図ることができる。
圃場で作業を行う作業車では一般に、作業走行は、直進又は緩やかに向きを変える程度の略直進状態となることが多い。これに対して旋回は、180度旋回のような小さな旋回半径での小回り旋回となることが多い。
これにより、作業走行ラインに沿っての走行機体の自動操縦と、旋回ラインに沿っての走行機体の自動操縦とにおいて、走行機体の自動操縦の制御状態が大きく異なっており、一つの制御部によって、作業走行ラインに沿っての走行機体の自動操縦と、旋回ラインに沿っての走行機体の自動操縦との両方を行うことは、制御負荷が大きなものとなる。
本発明によると、作業走行ラインに沿って走行機体の自動操縦を行う自動走行制御部、及び、旋回ラインに沿って走行機体の自動操縦を行う自動旋回制御部を備えることによって、自動走行制御部を作業走行ラインに沿っての走行機体の自動操縦を適切に行うことができるものに構成することが容易に行えるのであり、自動旋回制御部を旋回ラインに沿っての走行機体の自動操縦を適切に行うことができるものに構成することが容易に行える。
本発明によると、以上のような自動走行制御部及び自動旋回制御部を備えることによって、走行機体が作業走行ライン及び旋回ラインに沿って精度良く走行するようになるのであり、作業車の走行性能の向上を図ることができる。
乗用型田植機や乗用型直播機、コンバイン等の作業車では、右及び左の走行装置に動力を伝動及び遮断自在な右及び左のサイドクラッチが備えられて、直進時に右及び左のサイドクラッチの両方が伝動状態に操作され、旋回時に旋回中心側のサイドクラッチが遮断状態に操作される作業車がある。旋回時に、旋回中心側のサイドクラッチを遮断状態に操作して、旋回中心側の走行装置を自由回転状態とすることにより、旋回中心側の走行装置により圃場が荒らされる状態を抑えることができる。
前述の状態において、右及び左のサイドクラッチの両方が伝動状態に操作されると、走行機体が作業走行の状態であると判断でき、旋回中心側のサイドクラッチが遮断状態に操作されると、走行機体が旋回の状態であると判断できる。
【0033】
これにより、本発明によると、右及び左のサイドクラッチにより、作業モードから旋回モードに切り換えるべき状態を適切に認識することができ、旋回モードから作業モードに切り換えるべき状態を適切に認識することができて、作業モードへの切り換え及び旋回モードへの切り換えが適切に行われるようになる。
【0034】
本発明において、
前記制御部は、
前記作業モードに切り換えられると、前記作業装置を圃場に対して作業を行う作業状態とし、前記旋回モードに切り換えられると、前記作業装置を圃場に対して作業を行わない非作業状態とすると好適である。
【0035】
本発明によれば、旋回モードに切り換えられると作業装置が自働的に非作業状態に操作され、作業モードに切り換えられると作業装置が自働的に作業状態に操作されるので、作業車の操作性の向上を図ることができる。
【0036】
圃場で作業を行う作業車として、乗用型田植機や乗用型直播機、コンバイン、トラクタ等がある。
乗用型田植機及び乗用型直播機において、作業装置の作業状態とは、苗植付装置(作業装置に相当)及び直播装置(作業装置に相当)が圃場に下降操作されて、苗植付装置及び直播装置が作動した状態と考えられる。作業装置の非作業状態とは、苗植付装置及び直播装置が停止した状態で、苗植付装置及び直播装置が圃場から上昇操作された状態(又は圃場に下降操作された状態)と考えられる。
【0037】
コンバインにおいて、作業装置の作業状態とは、刈取部(作業装置に相当)が圃場に下降操作されて、刈取部が作動した状態と考えられる。作業装置の非作業状態とは、刈取部が作動した状態(又は停止した状態)で、刈取部が圃場から上昇操作された状態と考えられる。
【0038】
トラクタにおいて、作業装置の作業状態とは、ロータリ耕耘装置(作業装置に相当)が圃場に下降操作されて、ロータリ耕耘装置が作動した状態と考えられる。作業装置の非作業状態とは、ロータリ耕耘装置が停止した状態(又は作動した状態)で、ロータリ耕耘装置が圃場から上昇操作された状態と考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の実施形態において、圃場(水田)で植付作業を行う作業車の一例である6条植え型式の乗用型田植機が示されている。
本発明の実施形態における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、以下のように記載している。走行機体50の走行時における前進側の進行方向が「前」であり、後進側の進行方向が「後」である。前後方向での前向き姿勢を基準として右側に相当する方向が「右」であり、左側に相当する方向が「左」である。
【0041】
以下、本発明を明確にする為の第1参考形態〜
第16参考形態を
図1〜
図17に基づいて説明している。
(第1参考形態)
(乗用型田植機の全体構成)
図1及び
図2に示すように、乗用型田植機は、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2(走行装置に相当)を備えた走行機体50の後部に、リンク機構3及びリンク機構3を昇降駆動する油圧シリンダ4が備えられ、リンク機構3の後部に苗植付装置5(作業装置に相当)が支持されている。
【0042】
図1及び
図2に示すように、苗植付装置5は、左右方向に所定間隔を置いて配置された植付伝動ケース6、植付伝動ケース6の後部の右及び左側部に回転自在に支持された回転ケース7、回転ケース7の両端に備えられた一対の植付アーム8、フロート9及び苗のせ台10等を備えている。
【0043】
図1及び
図4に示すように、右及び左のマーカー19が苗植付装置5の右及び左側部に備えられており、圃場に接地する作用姿勢(
図1参照)、及び圃場から上方に離れた格納姿勢(
図4参照)に変更自在である。右及び左のマーカー19は上下に揺動自在に苗植付装置5に支持されたアーム部19aと、アーム部19aの先端部に自由回転自在に支持された回転体19bとを備えており、右及び左のマーカー19を作用姿勢及び格納姿勢に操作する電動モータ21が備えられている。
【0044】
(前輪及び後輪への伝動系)
図1及び
図3に示すように、走行機体50の前部に備えられたエンジン31の動力が、伝動ベルト32を介して静油圧式の無段変速装置33及びミッションケース34に伝達され、ミッションケース34の内部の副変速装置(図示せず)から、前輪デフ機構(図示せず)及び前車軸ケース35の内部の伝動軸(図示せず)を介して、右及び左の前輪1に伝達される。
【0045】
図1及び
図3に示すように、副変速装置の動力が伝動軸36、後車軸ケース37の入力軸38、入力軸38に固定されたベベルギヤ38a、ベベルギヤ38aに咬合するベベルギヤ39a、ベベルギヤ39aが固定された伝動軸39、右及び左のサイドクラッチ40を介して、右及び左の後輪2に伝達される。
【0046】
図1,2,4に示すように、操縦ハンドル20の左の横側に変速レバー45が備えられており、変速レバー45により無段変速装置33が操作される。変速レバー45により、無段変速装置33を中立位置Nから前進側F及び後進側Rに無段階に操作することができる。
【0047】
図3に示すように、ミッションケース34の下部の縦軸芯P2周りに、操向部材41が揺動自在に支持され、
図1及び
図2に示すように、運転座席13の前側に操縦ハンドル20が備えられている。操縦ハンドル20により操向部材41が揺動操作されるのであり、操向部材41と右及び左の前輪1とに亘ってタイロッド42が接続されている。操縦ハンドル20を操作することによって、右及び左の前輪1を直進位置A1から、右及び左の操向限度A3に亘って操向操作することができる。
【0048】
図3に示すように、右及び左のサイドクラッチ40は摩擦多板式であり、バネ(図示せず)により伝動状態に付勢されている。右及び左のサイドクラッチ40をバネに抗して遮断状態に操作する右及び左の操作軸43(サイドクラッチ操作部に相当)が、後車軸ケース37に下向きに支持されて、操向部材41と右及び左の操作軸43とに亘って、右及び左の操作ロッド44(サイドクラッチ操作部に相当)が接続されている。右及び左の操作ロッド44において右及び左の操作軸43との接続部分に、融通としての長孔44aが備えられている。
【0049】
図3に示すように、右及び左の前輪1が直進位置A1、右及び左の設定角度A2の範囲に操向操作されていると、右及び左の操作ロッド44の長孔44aの融通によって、右及び左のサイドクラッチ40は伝動状態に操作されている。これにより右及び左の前輪1、右及び左の後輪2(右及び左のサイドクラッチ40の伝動状態)に動力が伝達された状態で、走行機体50は前進(後進)する。
【0050】
図3に示すように、右及び左の前輪1が右の設定角度A2を越えて右の操向限度A3側に操向操作されると、右の操作ロッド44の長孔44aの範囲を越えて右の操作ロッド44が引き操作されることになり、右の操作軸43により右のサイドクラッチ40が遮断状態に操作される。
これにより、右及び左の前輪1、左の後輪2(旋回外側)(左のサイドクラッチ40の伝動状態)に動力が伝達され、右の後輪2(旋回中心側)(右のサイドクラッチ40の遮断状態)が自由回転する状態で、走行機体50は右に旋回する。
【0051】
図3に示すように、右及び左の前輪1が左の設定角度A2を越えて左の操向限度A3側に操向操作されると、左の操作ロッド44の長孔44aの範囲を越えて左の操作ロッド44が引き操作されることになり、左の操作軸43により左のサイドクラッチ40が遮断状態に操作される。
これにより、右及び左の前輪1、右の後輪2(旋回外側)(右のサイドクラッチ40の伝動状態)に動力が伝達され、左の後輪2(旋回中心側)(左のサイドクラッチ40の遮断状態)が自由回転する状態で、走行機体50は左に旋回する。
【0052】
図3に示すように、右及び左の前輪1が右(左)の操向限度A3側から右(左)の設定角度A2を越えて直進位置A1側に操向操作されると、遮断状態に操作されていた右(左)のサイドクラッチ40が伝動状態に操作されて、右及び左のサイドクラッチ40が伝動状態に操作された状態に復帰する。
【0053】
(苗植付装置への伝動系)
図1及び
図4に示すように、ミッションケース34において、副変速装置の直前から分岐した動力が、植付クラッチ26及びPTO軸25を介して苗植付装置5に伝達されており、植付クラッチ26を伝動及び遮断状態に操作する電動モータ28が備えられている。
【0054】
図1及び
図2に示すように、植付クラッチ26が伝動状態に操作されると、苗のせ台10が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、回転ケース7が
図1の紙面反時計方向に回転駆動され、苗のせ台10の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して圃場に植え付ける。植付クラッチ26が遮断状態に操作されると、苗のせ台10及び回転ケース7が停止する。
【0055】
(苗植付装置の自動昇降制御)
図4に示すように、苗植付装置5の横軸芯P1周りに、中央のフロート9の後部が上下に揺動自在に支持されて、苗植付装置5に対する中央のフロート9の高さを検出するポテンショメータ型式の高さセンサー22が備えられており、高さセンサー22の検出値が制御装置23に入力されている。走行機体50の進行に伴って中央のフロート9が圃場に接地追従するのであり、高さセンサー22の検出値により、圃場(中央のフロート9)から苗植付装置5までの高さを検出することができる。
【0056】
図4に示すように、昇降操作部57がソフトウェアとして制御装置23に備えられており、油圧シリンダ4に作動油を給排操作する制御弁24が、昇降操作部57により操作される。制御弁24が上昇位置に操作されると、油圧シリンダ4に作動油が供給され、油圧シリンダ4が収縮作動して、苗植付装置5が上昇する。制御弁24が下降位置に操作されると、油圧シリンダ4から作動油が排出され、油圧シリンダ4が伸長作動して、苗植付装置5が下降する。
【0057】
図4に示すように、自動昇降制御の作動状態において、圃場から苗植付装置5までの高さに基づいて、苗植付装置5が圃場から設定高さに維持されるように、昇降操作部57により制御弁24が操作されて、油圧シリンダ4が伸縮作動し、苗植付装置5が自動的に昇降する。これにより、苗の植付深さが設定深さに維持される。
【0058】
図4に示すように、クラッチ操作部58及びマーカー操作部59が、ソフトウェアとして制御装置23に備えられている。後述するように、クラッチ操作部58により電動モータ28が作動して、植付クラッチ26が伝動及び遮断状態に操作されるのであり、マーカー操作部59により電動モータ21が作動して、右及び左のマーカー19が作用及び格納姿勢に操作される。
【0059】
(走行機体の位置及び走行機体の方位の検出の構成)
図1及び
図2に示すように、走行機体50の前部の右部及び左部に右及び左の支持フレーム16が備えられており、支持フレーム16に予備苗のせ台15が支持されている。右及び左の支持フレーム16の上部に亘って、支持フレーム17が連結されている。
【0060】
図1及び
図2に示すように、支持フレーム17において、平面視で走行機体50の左右中央CLに位置する部分に、計測装置30(測位部に相当)が取り付けられている。計測装置30には、衛星測位システムにより位置情報を取得する受信装置(図示せず)、走行機体50の傾き(ピッチ角、ロール角)を検出する慣性計測装置(図示せず)が備えられており、計測装置30は走行機体50の位置を示す測位データを出力する。
【0061】
図1及び
図2に示すように、後車軸ケース37において平面視で走行機体50の左右中央CLに位置する部分に、慣性情報を計測する慣性計測装置48が取り付けられている。
慣性計測装置48及び計測装置30の慣性計測は、IMU(Inertial Measurement Unit)により構成されている。
【0062】
前述の衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)には、代表的なものとしてGPS(Global Positioning System)が挙げられる。GPSは、地球の上空を周回する複数のGPS衛星や、GPS衛星の追跡と管制を行う管制局や、測位を行う対象(走行機体50)が備える受信装置を使用して、計測装置30の受信装置の位置を計測するものである。
【0063】
慣性計測装置48は、走行機体50のヨー角度(走行機体50の旋回角度)の角速度を検出可能なジャイロセンサー(図示せず)、及び、互いに直交する3軸方向の加速度を検出する加速度センサー(図示せず)を備えている。慣性計測装置48により計測される慣性情報には、ジャイロセンサーにより検出される方位変化情報と、加速度センサーにより検出される位置変化情報とが含まれている。
これにより、計測装置30及び慣性計測装置48によって、走行機体50の位置及び走行機体50の方位が検出される。
【0064】
(走行機体の自動走行に関する構成)
図1,2,4に示すように、変速レバー45の操作位置が制御装置23に入力されている。走行機体50の前部において平面視で走行機体50の左右中央CLの位置に、センターマスコット14が備えられている。操縦ハンドル20(操向部材41)を操作する操向モータ51が備えられ、変速レバー45を操作する変速モータ53が備えられている。
【0065】
図4に示すように、運転者が携帯するスマートフォン46(携帯情報端末)に対応するWi−Fiユニット47が走行機体50に備えられている。スマートフォン46とWi−Fiユニット47とはWi−Fi規格により相互に無線通信するのであり、Wi−Fiユニット47と制御装置23とはCANにより接続されている。スマートフォン46と外部のコンピュータ49とは、インターネットを介した無線のデータ通信により相互に通信することができる。
【0066】
図4に示すように、障害物位置取得部52、自動減速部54、作業走行ライン取得部55、旋回ライン取得部56、制御部60、作業走行ライン設定部61、自動走行制御部62、旋回ライン設定部63、自動旋回制御部64、表示制御部65が、ソフトウェアとして制御装置23に備えられている。
【0067】
図2及び
図4に示すように、自動走行制御部62及び自動旋回制御部64を作動状態及び停止状態に人為的に操作する押しボタン型式の操作部18が、変速レバー45の握り部に備えられており、操作部18の操作信号が制御装置23に入力される。操縦ハンドル20の前側に、液晶ディスプレイ等により構成された表示装置27が備えられている。
【0068】
(畦際ラインの位置データの取得)
図5に示すように、例えば畦B1,B2,B3,B4を備えた圃場において、畦B1〜B4の畦際ラインB11,B21,B31,B41の位置データ、及び、圃場の出口B23の位置データを、例えば以下の(1)〜(5)に示す方法のうちのいずれか一つ(又は複数)によって事前に得て、コンピュータ49に記憶しておく。
【0069】
(1)
図1及び
図2に示す計測装置30を走行機体50から取り外して、計測装置30を持った作業者が畦際ラインB11〜B41に沿って歩行することにより、計測装置30による作業者の位置を示す測位データを、畦際ラインB11〜B41の位置データ及び圃場の出口B23の位置データとして得る。
【0070】
(2)
図1及び
図2に示す乗用型田植機(計測装置30が取り付けられた状態)を、畦際ラインB11〜B41に沿って走行させることにより、計測装置30による走行機体50の位置を示す測位データを、畦際ラインB11〜B41の位置データ及び圃場の出口B23の位置データとして得る。
【0071】
この場合、走行機体50の左右中央CLに位置する部分に、計測装置30が取り付けられており、走行機体50(苗植付装置5)の外端部が、畦際ラインB11〜B41に位置するので、計測装置30による走行機体50の位置を示す測位データから、走行機体50(苗植付装置5)の横幅の1/2だけ外側の位置が、畦際ラインB11〜B41の位置データ及び圃場の出口B23の位置データとなるように、補正が行われる。
【0072】
(3)同じ乗用型田植機(又は計測装置30を備えた別の乗用型田植機や乗用型播種機)が、過去に圃場を走行(作業)して、圃場を走行した走行機体50の位置を示す測位データを得ていた場合、この測位データを、畦際ラインB11〜B41の位置データ及び圃場の出口B23の位置データとして利用する。この場合、前項(2)に記載の補正を行っておく。
【0073】
(4)計測装置30を備えたコンバインやトラクタ等の各種の作業車が、過去(又は現在)に圃場を走行(作業)して、圃場を走行した作業車の位置を示す測位データを得ていた場合、この測位データを、畦際ラインB11〜B41の位置データ及び圃場の出口B23の位置データとして利用する。
【0074】
(5)畦際ラインB11〜B41の位置データ及び圃場の出口B23の位置データを記録した市販の記憶媒体が存在すれば、この記憶媒体を利用する。
【0075】
(作業走行ライン及び旋回ラインの設定)(その1)
図5に示すように、乗用型田植機が圃場の近傍に到着すると(走行機体50の位置K1)、畦際ラインB11〜B41の位置データ及び圃場の出口B23の位置データがコンピュータ49からスマートフォン46に送信される。畦際ラインB11〜B41の位置データ及び圃場の出口B23の位置データが、スマートフォン46からWi−Fiユニット47に送信されて、Wi−Fiユニット47から制御装置23に送られる。
【0076】
図5に示す状態は、乗用型田植機が圃場の入口B22に位置した状態である。この場合に、乗用型田植機が圃場の入口B22に位置しなくても、乗用型田植機が圃場の入口B22以外の圃場の近傍に到着すれば、畦際ラインB11〜B41の位置データ及び圃場の出口B23の位置データがコンピュータ49からスマートフォン46に送信される。
【0077】
これにより、畦際ラインB11〜B41が、畦B1〜B4(障害物位置)の位置データとして、障害物位置取得部52に取得されて記憶され、圃場の出口B23が、位置データとして、障害物位置取得部52に取得されて記憶される。
【0078】
この場合、スマートフォン46と無線通信するWi−Fiユニット47を走行機体50に備えずに、畦際ラインB11〜B41の位置データ及び圃場の出口B23の位置データが、コンピュータ49から制御装置23に直接に送られ、障害物位置取得部52に取得されて記憶されるようにしてもよい。
【0079】
作業走行ライン設定部61及び旋回ライン設定部63により、畦際ラインB11〜B41の位置データ及び圃場の出口B23の位置データに基づいて、後述する(作業走行ライン及び旋回ラインの設定)(その2)、及び
図5,6,7に示すように、作業走行ラインL01〜L07及び旋回ラインLL1〜LL6の設定が行われる。圃場は、畦際ラインB11,B21が平行で、畦際ラインB31,B41が平行となるような、平面視で長方形状の圃場を想定している。
【0080】
この場合、
図11に示すように、後述する回り作業走行LD1〜LD4において、最後の回り作業走行LD4を終了すると、走行機体50の向きを変更せずに、乗用型田植機が圃場の出口B23から出て行くことができるように、作業走行ラインL01〜L07及び旋回ラインLL1〜LL6の設定が行われる。
【0081】
(作業走行ライン及び旋回ラインの設定)(その2)
図5に示すように、畦際ラインB11,B21から走行機体50(苗植付装置5)の横幅だけ圃場の中央側の位置に、畦際ラインB11,B21に沿って枕地ラインLA1,LA2が設定される。畦際ラインB31,B41から走行機体50(苗植付装置5)の横幅だけ圃場の中央側の位置に、畦際ラインB31,B41に沿って枕地ラインLB1,LB2が設定される。
【0082】
図6に示すように、作業走行ライン設定部61により、枕地ラインLA1,LA2との間において、複数の作業走行ラインLが、枕地ラインLB1,LB2と平行となり且つ互いに平行となるように所定間隔W1(走行機体50(苗植付装置5)の横幅)を置いて、枕地ラインLA1,LA2に亘って設定される。
【0083】
図7に示すように、作業走行ラインL01,L02,L03,L04,L05,L06,L07が設定され、作業走行ラインL01〜L07の向き(
図7に示す作業走行ラインL01〜L07の矢印参照)が設定される。
【0084】
図7に示すように、作業走行ラインL01〜L07の始端部(一方の端部)が、作業開始位置C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7となる。作業走行ラインL01〜L07の終端部(他方の端部)が、作業終了位置D1,D2,D3,D4,D5,D6,D7となる。最初に作業を開始する作業スタート位置は、位置K2となる。
【0085】
図7に示すように、作業終了位置D1と作業開始位置C2とを接続するように、平面視で円状の旋回ラインLL1が圃場に設定される。同様に、作業終了位置D2と作業開始位置C3、作業終了位置D3と作業開始位置C4、作業終了位置D4と作業開始位置C5、作業終了位置D5と作業開始位置C6、作業終了位置D6と作業開始位置C7とを接続するように、平面視で円状の旋回ラインLL2,LL3,LL4,LL5,LL6が設定される。
【0086】
これにより、作業開始位置C1〜C7及び作業終了位置D1〜D7、作業走行ラインL01〜L07、旋回ラインLL1〜LL6、計測装置30による走行機体50の位置が、表示制御部65により表示装置27(
図4参照)に表示される。
【0087】
表示装置27に表示された作業走行ラインL01〜L07及び旋回ラインLL1〜LL6等について、運転者が問題は無いと判断すると、運転者は承認ボタン(図示せず)を押し操作する。これにより、作業走行ラインL01〜L07、作業開始位置C1〜C7及び作業終了位置D1〜D7の位置データが、位置データとして作業走行ライン取得部55に取得されて記憶される。同時に旋回ラインLL1〜LL6が、位置データとして旋回ライン取得部56に取得されて記憶される。
【0088】
図12に示すように、圃場に一つの出入口B24が存在する場合、後述する回り作業走行LD1〜LD4において、最後の回り作業走行LD4を終了すると、走行機体50の向きを変更せずに、乗用型田植機が圃場の出入口B24から出て行くことができるように、作業走行ラインL01〜L07及び旋回ラインLL1〜LL6の設定が行われる。最初に作業を開始する作業スタート位置は、位置K10となる。
【0089】
(作業走行ライン及び旋回ラインに沿った走行機体の走行)(その1)
図7に示すように、作業開始位置C1〜C7及び作業終了位置D1〜D7、作業走行ラインL01〜L07、旋回ラインLL1〜LL6が設定された状態において、運転者が操作部18を操作することにより、自動走行制御部62によって、以下に示す操作が行われる。
【0090】
図8に示すように、走行機体50が位置K1に位置した状態において、運転者が操作部18を操作すると、計測装置30による走行機体50の位置及び慣性計測装置48による慣性情報により、変速モータ53(変速レバー45)及び操向モータ51(操縦ハンドル20)が操作される。
これにより、
図8に示すように、走行機体50が位置K1を発進し、経路LC1に沿って走行して、最初に作業を開始する作業スタート位置としての位置K2で停止する。
【0091】
図8に示すように、走行機体50が位置K2に位置した状態において、運転者が操作部18を操作すると、後述するように、昇降操作部57により制御弁24が操作され、クラッチ操作部58により植付クラッチ26(電動モータ28)が操作され、マーカー操作部59により右及び左のマーカー19(電動モータ21)が操作され、表示制御部65により表示装置27が操作される。
【0092】
後述する(作業走行ライン及び旋回ラインに沿った走行機体の走行)(その2)に記載のように、計測装置30による走行機体50の位置及び慣性計測装置48による慣性情報に基づいて、制御部60、自動走行制御部62、自動旋回制御部64、自動減速部54により、変速レバー45(変速モータ53)及び操縦ハンドル20(操向モータ51)が操作される。
【0093】
自動走行制御部62は、変速レバー45(変速モータ53)を所定の変速位置に操作して、走行機体50が作業走行ラインL01〜L07に沿って走行するように(計測装置30の位置が作業走行ラインL01〜L07に位置するように)、操縦ハンドル20(操向モータ51)を操作する。
【0094】
自動旋回制御部64は、変速レバー45(変速モータ53)を所定の低速位置に操作して、走行機体50が旋回ラインLL1〜LL6に沿って走行するように(計測装置30の位置が旋回ラインLL1〜LL6に位置するように)、操縦ハンドル20(操向モータ51)を操作する。
【0095】
自動走行制御部62が作動(自動旋回制御部64が停止)する作業モード、自動旋回制御部64が作動(自動走行制御部62が停止)する旋回モードが設定されている。制御部60は、作業モードへの切り換え、及び、旋回モードへの切り換えを行う。
【0096】
作業モードでは、走行機体50の走行速度が比較的高速で、前輪1の操向操作が直進位置A1付近の比較的小さな範囲で行われ、前輪1の操向操作の速度が比較的低速の状態が想定されている。
自動走行制御部62は、変速レバー45(変速モータ53)及び操縦ハンドル20(操向モータ51)を操作するのにあたり、前述の状態に適した制御機能が備えられている。
【0097】
旋回モードでは、走行機体50の走行速度が比較的低速で、前輪1の操向操作が右及び左の操向限度A3に亘る大きな範囲で行われ、前輪1の操向操作の速度が比較的高速の状態が想定されている。
自動旋回制御部64は、変速レバー45(変速モータ53)及び操縦ハンドル20(操向モータ51)を操作するのにあたり、前述の状態に適した制御機能が備えられている。
【0098】
(作業走行ライン及び旋回ラインに沿った走行機体の走行)(その2)
図8に示すように、走行機体50が位置K2に位置した状態において、運転者が操作部18を操作すると、作業モードに切り換えられる。
【0099】
これにより、変速レバー45(変速モータ53)が所定の変速位置に操作されて走行機体50が発進し、操縦ハンドル20(操向モータ51)が操作されて走行機体50が作業走行ラインL01に沿って走行するのであり、走行機体50の走行が開始されたことが、表示装置27に表示される。
【0100】
この場合、苗植付装置5(植付アーム8)が作業開始位置C1に達する少し前の位置から、苗植付装置5が圃場に下降操作され、苗植付装置5の自動昇降制御の作動状態となり(植付クラッチ26の遮断状態)、右のマーカー19が作用姿勢に操作される(左のマーカー19は格納姿勢)。苗植付装置5が圃場に下降操作されたこと、及び、右のマーカー19が作用姿勢に操作されたことが、表示装置27に表示される。
【0101】
図8から
図9に示すように、苗植付装置5(植付アーム8)が作業開始位置C1に達すると、植付クラッチ26が伝動状態に操作されて、作業開始位置C1から苗の植え付けが開始される。苗の植え付けが開始されたことが、表示装置27に表示される。
【0102】
これにより
図9に示すように、走行機体50が作業走行ラインL01に沿って走行しながら、苗の植え付けが行われるのであり、右のマーカー19により、作業走行ラインL02に対応する圃場の位置に指標が形成される(走行機体50の位置K3参照)。
【0103】
図9に示すように、苗植付装置5(植付アーム8)が作業終了位置D1に達すると、植付クラッチ26が遮断状態に操作され(苗の植え付けの停止)、苗植付装置5の自動昇降制御が停止状態となり、苗植付装置5が圃場から上昇操作されて、右のマーカー19が格納姿勢に操作される。
【0104】
これと並行して、走行機体50の作業走行ラインL01から旋回ラインLL1への移行により、作業モードから旋回モードへの切り換えが行われて、走行機体50が旋回ラインLL1に沿って走行(旋回)する(走行機体50の位置K4参照)。
苗の植え付けが停止して苗植付装置5が上昇操作されたこと、右のマーカー19が格納姿勢に操作されたこと、及び、右方向への旋回が開始されたことが、表示装置27に表示される。
【0105】
図9に示すように、旋回ラインLL1において(走行機体50の位置K4参照)、走行機体50が作業開始位置C2に達する少し前の位置から、苗植付装置5が圃場に下降操作され、苗植付装置5の自動昇降制御が作動状態となり(植付クラッチ26の遮断状態)、左のマーカー19が作用姿勢に操作される(右のマーカー19は格納姿勢)。苗植付装置5が圃場に下降操作されたこと、及び、左のマーカー19が作用姿勢に操作されたことが表示装置27に表示される。
【0106】
図9から
図10に示すように、苗植付装置5(植付アーム8)が作業開始位置C2に達すると、植付クラッチ26が伝動状態に操作されて、作業開始位置C2から苗の植え付けが開始されるのであり、変速レバー45(変速モータ53)が所定の変速位置に操作される。苗の植え付けが開始されたことが、表示装置27に表示される。
【0107】
これと並行して、走行機体50の旋回ラインLL1から作業走行ラインL02への移行により、旋回モードから作業モードへの切り換えが行われて、走行機体50が作業走行ラインL02に沿って走行しながら、苗の植え付けが行われるのであり、左のマーカー19により、作業走行ラインL03に対応する圃場の位置に指標が形成される(走行機体50の位置K5参照)。
【0108】
以上の状態において、枕地ラインLA1,LA2,LB1,LB2、作業開始位置C1〜C7及び作業終了位置D1〜D7、作業走行ラインL01〜L07、旋回ラインLL1〜LL6、計測装置30により検出される走行機体50の位置が、表示装置27に表示されているのであり、表示装置27において、走行機体50が作業走行ラインL01,L02及び旋回ラインLL1に沿って移動する。
【0109】
前述のように、走行機体50が作業走行ラインL02に沿って走行する場合、前回の走行機体50の作業走行ラインL01に沿っての走行状態において、右のマーカー19により、作業走行ラインL02に対応する圃場の位置に指標が形成されている(
図9の走行機体50の位置K3参照)。
これにより、運転者は、表示装置27を目視する同時に、センターマスコット14と、前述の作業走行ラインL02に対応する圃場の位置の指標とを目視することによって、走行機体50が作業走行ラインL02に沿って走行することを確認することができる。
【0110】
以上のようにして、
図9及び
図10に示すように、作業モードでの走行機体50の作業走行ラインL01〜L07に沿っての走行、及び旋回モードでの走行機体50の旋回ラインLL1〜LL6に沿っての走行(旋回)が行われる。
【0111】
この場合、センターマスコット14、右及び左のマーカー19を廃止して、右及び左のマーカー19による作業走行ラインL02〜L07に対応する圃場の位置の指標の形成が行われないようにしてもよい。この構成において運転者は、表示装置27を目視することで、走行機体50が作業走行ラインL02〜L07に沿って走行することを確認する。
【0112】
(畦際ライン及び枕地ラインに沿った走行機体の走行)
図11に示すように、走行機体50が作業走行ラインL07から作業終了位置D7に達して、作業走行ラインL01〜L07に沿っての走行を終了すると、走行機体50は作業終了位置D7で停止する。
【0113】
図11に示すように、走行機体50が作業終了位置D7で停止した状態において、運転者が操作部18を操作すると、計測装置30による走行機体50の位置及び慣性計測装置48による慣性情報により、変速レバー45(変速モータ53)及び操縦ハンドル20(操向モータ51)が操作されて、走行機体50が経路LC2に沿って走行し、走行機体50の向きの修正及び前後進が行われて、走行機体50が位置K6で停止する。
この後、走行機体50が位置K6に位置した状態において、回り作業を開始する為に、運転者が操作部18を操作する。
【0114】
図11に示すように、走行機体50が位置K6に位置した状態において、運転者が操作部18を操作すると、苗植付装置5が圃場に下降操作され、苗植付装置5の自動昇降制御が作動状態となり(植付クラッチ26の遮断状態)、右及び左のマーカー19は作用姿勢に操作されずに格納姿勢に保持される。苗植付装置5が圃場に下降操作されたことが、表示装置27に表示される。
【0115】
この後に、
図11に示すように、作業モードにより、変速レバー45(変速モータ53)が所定の変速位置に操作されて、走行機体50が発進し、操縦ハンドル20(操向モータ51)が操作されて、走行機体50が畦際ラインB41及び枕地ラインLB2に沿って走行する。走行機体50が発進するのと同時に、植付クラッチ26が伝動状態に操作されて、位置K6から苗の植え付けが開始される。苗の植え付けが開始されたことが、表示装置27に表示される。
これにより、
図11に示すように、走行機体50が畦際ラインB41及び枕地ラインLB2に沿って走行しながら、苗の植え付けが行われる(回り作業走行LD1)。
【0116】
図11に示すように、回り作業走行LD1が終了して、走行機体50の前部が畦際ラインB21に達すると、植付クラッチ26が遮断状態に操作され(苗の植え付けの停止)、苗植付装置5の自動昇降制御が停止状態となり、苗植付装置5が圃場から上昇操作されるのであり、変速レバー45が中立位置Nに操作されて、走行機体50が停止する。
次に運転者が操作部18を操作すると、旋回モードにより、走行機体50の向きの修正及び前後進が行われて、走行機体50が位置K7で停止する。
【0117】
図11に示すように、走行機体50が位置K7に位置した状態において、運転者が操作部18を操作すると、前述の回り作業走行LD1と同様に苗植付装置5が圃場に下降操作され、苗植付装置5の自動昇降制御が作動状態となり(植付クラッチ26の遮断状態)、右及び左のマーカー19は作用姿勢に操作されずに格納姿勢に保持される。苗植付装置5が圃場に下降操作されたことが、表示装置27に表示される。
【0118】
この後、作業モードにより、変速レバー45(変速モータ53)が所定の変速位置に操作されて、走行機体50が発進し、操縦ハンドル20(操向モータ51)が操作されて、走行機体50が畦際ラインB21及び枕地ラインLA2に沿って走行するのであり、走行機体50が発進するのと同時に、植付クラッチ26が伝動状態に操作されて、位置K7から苗の植え付けが開始される。苗の植え付けが開始されたことが、表示装置27に表示される。
これにより、
図11に示すように、走行機体50が畦際ラインB21及び枕地ラインLA2に沿って走行しながら、苗の植え付けが行われる(回り作業走行LD2)。
【0119】
この後、
図11に示すように、前述の回り作業走行LD1,LD2と同様に、作業モードにより、位置K8からの畦際ラインB31及び枕地ラインLB1に沿っての回り作業走行LD3、及び、位置K9からの畦際ラインB11及び枕地ラインLA1に沿っての回り作業走行LD4が行われるのであり、回り作業走行LD4が終了すると、走行機体50は圃場から出て行く。以上のようにして、一つの圃場の苗の植え付けを終了する。
【0120】
この場合、前述の(作業走行ライン及び旋回ラインの設定)(その1)(その2)に記載のように、作業走行ラインL01〜L07及び旋回ラインLL1〜LL6の設定が行われている。これにより、最後の回り作業走行LD4を終了した際に、走行機体50の前方に圃場の出口B23が位置している状態となっており、最後の回り作業走行LD4から走行機体50の向きを変更せずに、乗用型田植機は圃場の出口B23から出て行くことができる。
【0121】
本項の(畦際ライン及び枕地ラインに沿った走行機体の走行)において、
図11に示すように、走行機体50が作業走行ラインL01〜L07に沿っての走行を終了して、作業終了位置D7に達した場合、走行機体50が作業終了位置D7で停止せずに、この後の経路LC2に沿っての走行、回り作業走行LD1〜LD4、位置K6〜K9での走行機体50の向きの修正及び苗植付装置5(植付クラッチ26)の操作が、連続して自動的に行われて、圃場の出口B23の手前位置で走行機体50が停止するようにしてもよい。
【0122】
(走行機体の作業走行ラインから旋回ラインへの移行の詳細)
前述の(作業走行ライン及び旋回ラインに沿った走行機体の走行)(その2)において走行機体50が作業走行ラインL01〜L06から旋回ラインLL1〜LL6に移行する場合、各部が以下の説明のように作動している。
この各部の作動の状態について、
図13に示すように、走行機体50の作業走行ラインL01から旋回ラインLL1への移行を例として説明する。
【0123】
作業モードにより、走行機体50が作業走行ラインL01に沿って走行している状態において、計測装置30により検出される走行機体50(計測装置30)の位置と畦際ラインB11の位置データとが認識されて、走行機体50(計測装置30)の位置から畦際ラインB11までの距離が検出されている。
【0124】
畦際ラインB11から第1設定距離E1の位置を越えて、走行機体50(計測装置30)の位置が畦際ラインB11に接近すると、作業モードから旋回モードに切り換えられるのであり、自動減速部54により、変速レバー45(変速モータ53)が所定の変速位置から低速側に操作され始めて、走行機体50の走行速度が減速され始める。
【0125】
前述の状態で走行機体50は、旋回モードで作業走行ラインL01に沿って走行するのであり、走行機体50(計測装置30)の位置が畦際ラインB11に接近するほど、自動減速部54により変速レバー45(変速モータ53)が低速側に操作されて、走行機体50の走行速度が大きく減速される。
【0126】
走行機体50(計測装置30)の位置が認識されると、計測装置30から苗植付装置5(植付アーム8)までの長さ、及び、走行機体50の方位に基づいて、走行機体50(計測装置30)の位置を補正することによって、苗植付装置5(植付アーム8)の位置を認識することができる。
【0127】
これにより、苗植付装置5(植付アーム8)の位置が作業終了位置D1に達すると、変速レバー45(変速モータ53)の低速側への操作が終了し、変速レバー45(変速モータ53)が所定の低速位置に保持されて、走行機体50が旋回ラインLL1に沿って走行(旋回)するように、操縦ハンドル20(操向モータ51)が操作される。
【0128】
この場合、右及び左の前輪1が右の設定角度A2を越えて右の操向限度A3側に操向操作されることにより、右のサイドクラッチ40が遮断状態に操作されて、右及び左の前輪1、左の後輪2に動力が伝達され、右の後輪2が自由回転する状態で、走行機体50が旋回ラインLL1に沿って走行(旋回)する(前述の(前輪及び後輪への伝動系)参照)。
【0129】
これと同時に苗植付装置5(植付アーム8)の位置が作業終了位置D1に達すると、植付クラッチ26が遮断状態に操作され(苗の植え付けの停止)、苗植付装置5の自動昇降制御が停止状態となり、苗植付装置5が圃場から上昇操作されて、右のマーカー19が格納姿勢に操作される(苗植付装置5の非作業状態への操作に相当)。
【0130】
前述のように、苗植付装置5(植付アーム8)の位置が作業終了位置D1に達して、操縦ハンドル20(操向モータ51)が操作されても、圃場での前輪1の滑り等により、走行機体50が向きを変えずに畦際ラインB11に接近し続けたとする。
この場合、畦際ラインB11から第2設定距離E2(第1設定距離E1よりも小さい距離)の位置を越えて、走行機体50(計測装置30)の位置が畦際ラインB11に接近すると、変速レバー45(変速モータ53)が中立位置Nに操作されて、走行機体50が停止する。
【0131】
走行機体50(計測装置30)の位置が認識されると、計測装置30から走行機体50の前端部までの長さ、及び、走行機体50の方位に基づいて、走行機体50(計測装置30)の位置を補正することによって、走行機体50の前端部の位置を認識することができる。第2設定距離E2は、前述のように走行機体50が向きを変えずに畦際ラインB11に接近し続けた際に、走行機体50の前端部の位置が畦際ラインB11に達しない距離に設定されている。
【0132】
(走行機体の旋回ラインから作業走行ラインへの移行の詳細)
前述の(作業走行ライン及び旋回ラインに沿った走行機体の走行)(その2)において走行機体50が旋回ラインLL1〜LL6から作業走行ラインL02〜L07に移行する場合、各部が以下の説明のように作動している。
この各部の作動の状態について、
図13に示すように、走行機体50の旋回ラインLL1から作業走行ラインL02への移行を例として説明する。
【0133】
旋回モードにより、走行機体50が旋回ラインLL1に沿って走行(旋回)している状態において、苗植付装置5(植付アーム8)の位置が、作業開始位置C2よりも少し畦際ラインB11側の位置K13に達すると、苗植付装置5が圃場に下降操作され、苗植付装置5の自動昇降制御が作動状態となり(植付クラッチ26の遮断状態)、左のマーカー19が作用姿勢に操作される(右のマーカー19は格納姿勢)。
【0134】
苗植付装置5(植付アーム8)が位置K13に達すると、旋回モードから作業モードに切り換えられる。右及び左の前輪1が右の設定角度A2を越えて直進位置A1側に操向操作され、右のサイドクラッチ40が伝動状態に操作されて、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2に動力が伝達されており、走行機体50は略直進状態となっている。これにより走行機体50は、作業モードで旋回ラインLL1に沿って走行(旋回)する。
【0135】
苗植付装置5(植付アーム8)が作業開始位置C2に達すると、植付クラッチ26が伝動状態に操作されて、作業開始位置C2から苗の植え付けが開始される(苗植付装置5の作業状態への操作に相当)。
これと同時に、変速レバー45(変速モータ53)が所定の低速位置から高速側に操作され始め、走行機体50の走行速度が増速され始めるのであり、変速レバー45(変速モータ53)が作業走行ラインL01での所定の変速位置に戻し操作される。
【0136】
(第2参考形態)
前述の(第1参考形態)において、
図7〜
図13に示す旋回ラインLL1〜LL6は平面視で円状であるが、以下に示すような平面視の形状を備えた旋回ラインLL1〜LL6を設定してもよい。
【0137】
旋回ラインLL1を代表として説明する。
図14に示すように、作業走行ラインL01において、走行機体50の前端部が畦際ラインB11に達するまで直進すると、植付クラッチ26が遮断状態に操作され(苗の植え付けの停止)、苗植付装置5が圃場から上昇操作されるのであり、変速レバー45が中立位置Nに操作されて、走行機体50が停止する。この状態において、苗植付装置5(植付アーム8)が作業終了位置D1に位置する。
【0138】
図14に示すように、走行機体50が停止してから、旋回ラインLL1において、後進部分LL11、前進部分LL12、旋回部分LL13、前進部分LL14、旋回部分LL15、前進部分LL16が行われて、苗植付装置5(植付アーム8)が作業開始位置C2に位置する。
【0139】
(第3参考形態)
前述の(第1参考形態)において、
図7〜
図12に示す旋回ラインLL1〜LL6は平面視で円状であるが、以下に示すような平面視の形状を備えた旋回ラインLL1〜LL6を設定してもよい。
【0140】
旋回ラインLL1を代表として説明する。
図15に示すように、作業走行ラインL01において、走行機体50の前端部が畦際ラインB11の少し手前の位置に達すると、植付クラッチ26が遮断状態に操作され(苗の植え付けの停止)、苗植付装置5が圃場から上昇操作されるのであり、変速レバー45が中立位置Nに操作されて、走行機体50が停止する。この状態において、苗植付装置5(植付アーム8)が作業終了位置D1に位置する。
【0141】
図15に示すように、走行機体50が停止してから、旋回ラインLL1において、旋回部分LL17、前進部分LL18、旋回部分LL19が行われて、苗植付装置5(植付アーム8)が作業開始位置C2に位置する。
【0142】
(第4参考形態)
前述の(第1参考形態)(第2参考形態)(第3参考形態)において、以下に示すように構成してもよい。
【0143】
図5に示す一方の枕地ラインLB1と反対側の枕地ラインLB2との間において、複数の作業走行ラインL(L01〜L07)を、枕地ラインLA1,LA2(畦際ラインB11,B21)と平行となり、且つ、互いに平行となるように所定間隔W1(走行機体50(苗植付装置5)の横幅)を置いて、枕地ラインLB1,LB2に亘って設定する。
【0144】
前述の(第1参考形態)(第2参考形態)(第3参考形態)、本項(第4参考形態)に記載の作業走行ラインL01〜L07及び旋回ラインLL1〜LL6は、走行機体50の後部にロータリ耕耘装置(作業装置に相当)(図示せず)を昇降自在に支持したトラクタ(作業車の一例)(図示せず)においても適用できる。
【0145】
(第5参考形態)
圃場の作物を刈り取るコンバイン(図示せず)において、作業走行ラインL01〜L07及び旋回ラインLL1〜LL6を、
図16に示すように設定してもよい。
【0146】
図16に示すように、圃場において、走行機体50を畦際ラインB11〜B41に沿って平行に走行させて、畦B1〜B4の畦際の作物(
図11の回り作業走行LD1〜LD4の部分の作物)を、事前に刈り取っておく。これにより、畦際ラインB11〜B41の位置データに基づいて、圃場に残る作物の外周部を示す外周部ラインLE1,LE2,LE3,LE4が生成される。
【0147】
図16に示すように、次に運転者が表示装置27において、最初に刈取作業を開始する作業スタート位置を指定する。
図16に示すように、例えば位置K11を作業スタート位置として指定すると、外周部ラインLE1〜LE4の位置データ及び走行機体50の横幅に基づいて、作業開始位置C1〜C9が設定されて、作業終了位置D1〜D9が設定される。作業開始位置C1〜C9及び作業終了位置D1〜D9に基づいて、作業走行ラインL01〜L09が設定され、作業走行ラインL01〜L09の向き(
図16に示す作業走行ラインL01〜L09の矢印参照)が設定される。
【0148】
図16に示すように、作業開始位置C1〜C9及び作業終了位置D1〜D9が設定されると、畦際ラインB11〜B41(外周部ラインLE1〜LE4)の位置データに基づいて、作業開始位置C1〜C9と作業終了位置D1〜D9とに亘って旋回ラインLL1が設定される。
【0149】
図16に示すように、作業終了位置D1と作業開始位置C2とに亘る旋回ラインLL1を代表として説明すると、旋回ラインLL1において、前進での旋回部分LL20、後進での旋回部分LL21、前進部分LL22が行われて、作業開始位置C2に位置する。
【0150】
(第6参考形態)
圃場の作物を刈り取るコンバイン(図示せず)において、作業走行ラインL01〜L07及び旋回ラインLL1〜LL6を、
図17に示すように設定してもよい。
【0151】
図17に示すように、圃場において、走行機体50を畦際ラインB11〜B41に沿って平行に走行させて、畦B1〜B4の畦際の作物(
図11の回り作業走行LD1〜LD4の部分の作物)を、事前に刈り取っておく。これにより、畦際ラインB11〜B41の位置データに基づいて、圃場に残る作物の外周部を示す外周部ラインLE1,LE2,LE3,LE4が生成される。
【0152】
図17に示すように、次に運転者が表示装置27において、最初に刈取作業を開始する作業スタート位置を指定する。例えば位置K12を作業スタート位置として指定すると、外周部ラインLE1〜LE4の位置データ及び走行機体50の横幅に基づいて、作業開始位置C1〜C7が設定されて、作業終了位置D1〜D7が設定される。作業開始位置C1〜C7及び作業終了位置D1〜D7に基づいて、作業走行ラインL01〜L07が設定され、作業走行ラインL01〜L07の向き(
図17に示す作業走行ラインL01〜L07の矢印参照)が設定される。
【0153】
図17に示すように、作業開始位置C1〜C7及び作業終了位置D1〜D7が設定されると、畦際ラインB11〜B41(外周部ラインLE1〜LE4)の位置データに基づいて、作業開始位置C1〜C7と作業終了位置D1〜D7とに亘って旋回ラインLL1〜LL6が設定される。
【0154】
(第7参考形態)
前輪1及び後輪2を備えた乗用型田植機や乗用型直播機、トラクタでは、前輪1を操向操作する操向操作具(操向モータ、操縦ハンドルや操向部材等)(図示せず)が備えられている。
右及び左のクローラ走行装置(走行装置に相当)(図示せず)を備えたコンバインにおいては、右及び左のクローラ走行装置に駆動速度差を与えて、走行機体(図示せず)の操向操作を行う操向操作具(駆動速度差を与える制御弁、操縦ハンドルや操向レバー等)(図示せず)が備えられている。
【0155】
これによって、操向操作具が旋回位置に移行することにより、作業モードから旋回モードへの切り換えが行われ、操向操作具が直進位置に移行することにより、旋回モードから作業モードへの切り換えが行われてもよい。
【0156】
(第8参考形態)
走行機体50の位置に基づいて、走行機体50が作業走行ラインL01〜L07から旋回ラインLL1〜LL6に移行することにより、作業モードから旋回モードへの切り換えが行われ、操向操作具が直進位置に移行することにより、旋回モードから作業モードへの切り換えが行われてもよい。
【0157】
(第9参考形態)
操向操作具が旋回位置に移行することにより、作業モードから旋回モードへの切り換えが行われ、走行機体50の位置に基づいて、走行機体50が旋回ラインLL1〜LL6から作業走行ラインL01〜L07に移行することにより、旋回モードから作業モードへの切り換えが行われてもよい。
【0158】
以下、本発明の実施形態について説明する。この場合、本発明の実施形態において第1参考形態〜
第16参考形態と異なる部分について説明しており、その他の部分は第1参考形態〜第
16参考形態と同様である。
(本発明の実施形態)
コンバインでは、右及び左のクローラ走行装置に動力を伝動及び遮断自在な右及び左のサイドクラッチ(図示せず)に加えて、右及び左のクローラ走行装置を制動可能な右及び左のサイドブレーキ(図示せず)を備えることがある。
トラクタでは、右及び左の後輪(図示せず)に動力を伝動及び遮断自在なサイドクラッチを備えずに、右及び左の後輪を制動可能な右及び左のサイドブレーキ(図示せず)を備えることがある。
【0159】
これによって、旋回中心側のサイドクラッチが遮断状態に移行することにより、作業モードから旋回モードへの切り換えが行われ、遮断状態に操作されていた旋回中心側のサイドクラッチが伝動状態に操作されて、右及び左の両方のサイドクラッチが伝動状態に移行することにより、旋回モードから作業モードへの切り換えが行われてもよい。
【0160】
以下、本発明の実施形態について説明する。この場合、本発明の実施形態において第1参考形態〜
第16参考形態と異なる部分について説明しており、その他の部分は第1参考形態〜
第16参考形態と同様である。
(本発明の実施形態)
走行機体50の位置に基づいて、走行機体50が作業走行ラインL01〜L07から旋回ラインLL1〜LL6に移行することにより、作業モードから旋回モードへの切り換えが行われ、遮断状態に操作されていた旋回中心側のサイドクラッチが伝動状態に操作されて、右及び左の両方のサイドクラッチが伝動状態に移行することにより、旋回モードから作業モードへの切り換えが行われてもよい。
【0161】
(第10参考形態)
旋回中心側のサイドクラッチが遮断状態に移行することにより、作業モードから旋回モードへの切り換えが行われ、走行機体50の位置に基づいて、走行機体50が旋回ラインLL1〜LL6から作業走行ラインL01〜L07に移行することにより、旋回モードから作業モードへの切り換えが行われてもよい。
【0162】
旋回中心側のサイドブレーキが制動状態に移行することにより、作業モードから旋回モードへの切り換えが行われ、制動状態に操作されていた旋回中心側のサイドブレーキが解除状態に操作されて、右及び左の両方のサイドブレーキが解除状態に移行することによって、旋回モードから作業モードへの切り換えが行われてもよい。
【0163】
走行機体50の位置に基づいて、走行機体50が作業走行ラインL01〜L07から旋回ラインLL1〜LL6に移行することにより、作業モードから旋回モードへの切り換えが行われ、制動状態に操作されていた旋回中心側のサイドブレーキが解除状態に操作されて、右及び左の両方のサイドブレーキが解除状態に移行することによって、旋回モードから作業モードへの切り換えが行われてもよい。
【0164】
旋回中心側のサイドブレーキが制動状態に移行することにより、作業モードから旋回モードへの切り換えが行われ、走行機体50の位置に基づいて、走行機体50が旋回ラインLL1〜LL6から作業走行ラインL01〜L07に移行することにより、旋回モードから作業モードへの切り換えが行われてもよい。
【0165】
(第11参考形態)
以下の(8−1)〜(8−6)のうちの一つの項目が成立した場合、又は(8−1)〜(8−6)のうちの複数の項目が成立した場合に、作業モードから旋回モードへの切り換えが行われるようにしてもよい。
【0166】
(8−1)走行機体50の位置に基づく走行機体50の作業走行ラインL01〜L07(L01〜L09)から旋回ラインLL1〜LL6への移行。
【0167】
(8−2)走行機体50の方位が、旋回ラインLL1〜LL6に入る前の作業走行ラインL01〜L07(L01〜L09)での走行機体50の方位から大きく変化(例えば90度以上)したことへの移行。
【0168】
(8−3)操向操作具の旋回位置への移行。
【0169】
(8−4)旋回中心側のサイドクラッチの遮断状態への移行。
【0170】
(8−5)旋回中心側のサイドブレーキの制動状態への移行。
【0171】
(8−6)光や超音波、棒状の接触子等を使用して走行機体50から畦B1〜B4までの距離を検出する距離センサー(図示せず)を備えて、距離センサーの検出値が所定距離よりも小さくなることへの移行。
【0172】
(第12参考形態)
以下の(9−1)〜(9−7)のうちの一つの項目が成立した場合、又は(9−1)〜(9−7)のうちの複数の項目が成立した場合に、旋回モードから作業モードへの切り換えが行われるようにしてもよい。
【0173】
(9−1)走行機体50の位置に基づく走行機体50の旋回ラインLL1〜LL6から作業走行ラインL01〜L07(L01〜L09)への移行。
【0174】
(9−2)走行機体50の方位が、作業走行ラインL01〜L07(L01〜L09)に入る前の旋回ラインLL1〜LL6での走行機体50の方位から大きく変化(例えば90度以上)したことへの移行。
【0175】
(9−3)操向操作具の直進位置への移行。
【0176】
(9−4)遮断状態に操作されていた旋回中心側のサイドクラッチが伝動状態に操作されることによる右及び左の両方のサイドクラッチの伝動状態への移行。
【0177】
(9−5)制動状態に操作されていた旋回中心側のサイドブレーキが解除状態に操作されることによる右及び左の両方のサイドブレーキの解除状態への移行。
【0178】
(9−6)前輪1や後輪2、クローラ走行装置の回転数により走行機体50の走行距離を検出する走行距離センサー(図示せず)を備えて、旋回モードに切り換えられてからの走行距離(又は走行機体50が旋回ラインLL1〜LL6に入ってからの走行距離)が、所定距離よりも大きくなることへの移行。
【0179】
(9−7)旋回モードに切り換えられてからの経過時間(又は走行機体50が旋回ラインLL1〜LL6に入ってからの経過時間)を検出するタイマー(図示せず)を備えて、タイマーの検出時間が所定時間よりも大きくなることへの移行。
【0180】
(第13参考形態)
前項
(第12参考形態)において、(9−1)〜(9−5)のうちの一つの項目、又は(9−1)〜(9−5)のうちの複数の項目が成立すると、旋回モードから作業モードへの切り換えが行われるようにした場合、以下の(10−1)〜(10−4)に示す状態となると、走行機体50の異常と判断して、異常を運転者に報知し、走行機体50を自動的に停止させる異常検出機能を備えてもよい。
【0181】
(10−1)前項(9−6)の走行距離センサーを備えて、旋回モードに切り換えられてから(又は走行機体50が旋回ラインLL1〜LL6に入ってから)、走行機体50が所定距離だけ走行しても、旋回モードから作業モードへの切り換えが行われない状態。
【0182】
(10−2)前項(9−6)の走行距離センサーを備えて、旋回モードに切り換えられてから(又は走行機体50が旋回ラインLL1〜LL6に入ってから)、走行機体50が所定距離を走行していないのに、旋回モードから作業モードへの切り換えが行われた状態。
【0183】
(10−3)前項(9−7)のタイマーを備えて、旋回モードに切り換えられてから(又は走行機体50が旋回ラインLL1〜LL6に入ってから)、所定時間が経過しても、旋回モードから作業モードへの切り換えが行われない状態。
【0184】
(10−4)前項(9−7)のタイマーを備えて、旋回モードに切り換えられてから(又は走行機体50が旋回ラインLL1〜LL6に入ってから)、所定時間が経過していないのに、旋回モードから作業モードへの切り換えが行われた状態。
【0185】
(第14参考形態)
作業装置を含む作業車の全体において、任意の位置を特定位置(走行機体50の位置に相当)として設定したとする。例えば乗用型田植機では、苗植付装置5(植付アーム8)の位置や、走行機体50の前端部の位置、運転座席13の位置、これら以外の位置等がある。
【0186】
これにより、作業モードから旋回モードへの切り換えが行われる状態となった場合、作業車の特定位置が以下の(11−1)(11−2)(11−3)に示す位置に達すると、作業モードから旋回モードへの切り換えが行われてもよい。
【0187】
(11−1)作業終了位置D1〜D7から少し作業走行ラインL01〜L07(L01〜L09)に戻った位置。
【0188】
(11−2)作業終了位置D1〜D7(D1〜D9)。
【0189】
(11−3)作業終了位置D1〜D7(D1〜D9)から少し旋回ラインLL1〜LL6に入った位置。
この場合、作業終了位置D1〜D7(D1〜D9)から旋回ラインLL1〜LL6に入ってから少しの間だけ、走行機体50は作業モードで旋回ラインLL1〜LL6に沿って走行(旋回)する。
【0190】
旋回モードから作業モードへの切り換えが行われる状態となった場合、作業車の特定位置が以下の(11−4)(11−5)(11−6)に示す位置に達すると、旋回モードから作業モードへの切り換えが行われてもよい。
【0191】
(11−4)作業開始位置C1〜C7(C1〜C9)から少し旋回ラインLL1〜LL6に戻った位置。
【0192】
(11−5)作業開始位置C1〜C7(C1〜C9)。
【0193】
(11−6)作業開始位置C1〜C7(C1〜C9)から少し作業走行ラインL01〜L07(L01〜L09)に入った位置。
この場合、作業開始位置C1〜C7(C1〜C9)から作業走行ラインL01〜L07(L01〜L09)に入ってから少しの間だけ、走行機体50は旋回モードで作業走行ラインL01〜L07(L01〜L09)に沿って走行する。
【0194】
(第15参考形態)
作業走行ライン設定部61及び旋回ライン設定部63を、制御装置23に備えなくてもよい。
この場合、作業走行ライン設定部61及び旋回ライン設定部63を、ソフトウェアとして、走行機体50とは別に設置されるコンピュータ等(例えば
図4に示すコンピュータ49等)に備える。
【0195】
これにより、作業走行ライン設定部61及び旋回ライン設定部63により設定された作業走行ラインL01〜L07(L01〜L09)及び旋回ラインLL1〜LL6が、前述のコンピュータからスマートフォン46や制御装置23に送信されて、又は記憶媒体を介して、作業走行ライン取得部55及び旋回ライン取得部56に取得されて記憶される。
【0196】
作業モードにおいて、自動走行制御部62により変速レバー45(変速モータ53)及び操縦ハンドル20(操向モータ51)が操作されるのではなく、運転者が変速レバー45を手動で操作して、走行機体50の走行速度を任意に設定し、自動走行制御部62により操縦ハンドル20(操向モータ51)が操作されるようにしてもよい。
【0197】
旋回モードにおいて、自動旋回制御部64により変速レバー45(変速モータ53)及び操縦ハンドル20(操向モータ51)が操作されるのではなく、運転者が変速レバー45を手動で操作して、走行機体50の走行速度を任意に設定し、自動旋回制御部64により操縦ハンドル20(操向モータ51)が操作されるようにしてもよい。
【0198】
(第16参考形態)
走行機体50が作業走行ラインL01〜L07(L01〜L09)に沿って走行している状態、走行機体50が旋回ラインLL1〜LL6に沿って走行(旋回)している状態において、以下の(13−1)〜(13−5)に示す状態となると、走行機体50の異常と判断して、異常を運転者に報知し、走行機体50を自動的に停止させる異常検出機能を備えてもよい。
【0199】
(13−1)走行機体50の位置が作業走行ラインL01〜L07(L01〜L09)や旋回ラインLL1〜LL6から大きく離れた状態。
【0200】
(13−2)走行機体50の方位が作業走行ラインL01〜L07(L01〜L09)の向きや旋回ラインLL1〜LL6の向きから大きく離れた状態。
【0201】
(13−3)操縦ハンドル20(操向モータ51)の操作が異常な状態。
操縦ハンドル20(操向モータ51)の操作の異常としては、例えば、操縦ハンドル20(操向モータ51)の操作速度が高速すぎたり、低速すぎたりする状態や、走行機体50が旋回すべきなのに、操縦ハンドル20(操向モータ51)が直進位置A1の付近に操作されている状態等がある。
【0202】
(13−4)走行機体50が作業走行ラインL01〜L07(L01〜L09)に沿って走行している状態において、右又は左のサイドクラッチが遮断状態に操作された状態。
【0203】
(13−5)走行機体50が作業走行ラインL01〜L07(L01〜L09)に沿って走行している状態において、右又は左のサイドブレーキが制動状態に操作された状態。