(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ベッド上にて使用するエアマット装置であって、前記エアマット装置は、ベースシートと、当該ベースシート上面側に載置するエアマットと、前記エアマットの内圧の変化を検出する内圧検出手段と、前記エアマットの内圧を調整する内圧調整手段と、を備え、前記内圧検出手段が、前記ベッドの背上げ動作又は背下げ動作に起因する前記エアマットの内圧の所定時間間隔における所定の変化量を検出した際には、前記内圧調整手段が、前記エアマットの内圧を予め定められた値に調整する制御を行うことを特徴とするエアマット装置。
ベッド上にて使用するエアマット装置であって、前記エアマット装置は、ベースシートと、当該ベースシート上面側に載置する第1エアマットと、当該第1エアマットに重ねて配置される第2エアマットと、前記第1エアマットの内圧の変化を検出する内圧検出手段と、前記第2エアマットの内圧を調整する内圧調整手段と、を備え、前記内圧検出手段が、前記ベッドの背上げ動作又は背下げ動作に起因する前記第1エアマットの内圧の所定時間間隔における所定の変化量を検出した際には、前記内圧調整手段が、前記第2エアマットの内圧を予め定められた値に調整する制御を行うことを特徴とするエアマット装置。
ベッド上にて使用するエアマット装置であって、前記エアマット装置は、ベースシートと、当該ベースシート上面側に載置する第3エアマットと、当該第3エアマットに重ねて配置される第4エアマットと、前記第3エアマットの下面側に配置される第5エアマットと、前記第4エアマットの内圧の変化を検出する内圧検出手段と、前記第5エアマットの内圧を調整する内圧調整手段と、を具備し、前記内圧検出手段が、前記ベッドの背上げ動作又は背下げ動作に起因する前記第4エアマットの内圧の所定時間間隔における所定の変化量を検出した際には、前記内圧調整手段が、前記第5エアマットの内圧を予め定められた値に調整する制御を行うことを特徴とするエアマット装置。
【背景技術】
【0002】
寝返りを打てない病人等が長期に渡って床に伏していると、床ずれが体に生じる場合がある。床ずれの原因としては、寝返りを打てないことにより寝具からの圧が身体の一定箇所に集中して血行不良が生じることや、体力の衰えや栄養状態の悪化、あるいは汗等による過湿によって細菌の繁殖等が原因といわれている。
【0003】
また、ベッドの背上げを行う場合、病人等の被介護者の上半身の体重が、腰部から臀部にかけて集中して加わってしまうため、その部分のエアマット内の空気が周辺に逃げることにより、エアマットの底づきを引き起こしてしまうという問題がある。
【0004】
ここで、例えば、特許文献1には、細長い袋状のエアセルをベッドの長手方向と直交する向きに寝かせた状態でベッドの長手方向に沿って複数本並設したエアマットと、前記エアマットに設けられた前記エアマットの水平面に対する傾斜を感知する傾斜感知手段と、前記傾斜感知手段に連結され、前記傾斜感知手段によって前記エアマットの水平面に対する傾斜角が予め定めた所定角度に達したことが感知されたときに、前記エアセルを所定内圧に制御する内圧制御手段とを具備することを特徴とするエアマット装置が開示されている。
【0005】
そして、この技術によれば、介護者が、ベッドの背上げを行った時に、エアマットが所定の角度まで傾斜したことが自動的に検知され、それとともに、エアセルの内圧が調整されるため、介護者が常に意識していなくても、被介護者の安全を担保することが可能となり、また、介護者の作業の繁雑さが解消されるとしている。
【0006】
また、特許文献2には、独立した複数のセルが患者の寝姿勢時の身長方向に並設されてなるエアマット本体と、上記各セルに作用する圧力分布を検出する圧力センサと、上記各セルに接続され、該各セルに空気をそれぞれ供給する空気給排装置と、上記圧力センサと上記空気給排装置に接続され、上記各セルにそれぞれ供給される空気供給量を調整して内圧を制御する制御装置とを備えており、少なくとも背ボトムが揺動するベッドフレームの上に載置されるエアマット装置であって、上記背ボトムの揺動を検出する揺動検出部を備え、上記制御装置は、該揺動検出部によって背ボトムの揺動が検出された際には、上記セルのうち背ボトムに対応する位置にあるセル群に供給する空気を時間の経過に伴って増減させて内圧を制御し、この位置の各セルを膨脹・収縮させる圧力コントロール部を備えることを特徴とするエアマット装置が開示されている。
【0007】
そして、この技術によれば、背ボトムに対応する位置にある各セルに供給される空気供給量を増減することで、背上げ時や背下げ時等の背ボトムの揺動時に、エアマット本体と患者との密着感や圧迫感を低減することができ、エアマットと患者とのベッド長手方向へのずれを確実に防止することができ、それとともに、背下げが完了して仰臥した状態になっても、各セルのエアを完全に抜いてしまうのでなく、寝ている患者のクッション性を維持させるようにしているので、患者が寝ているときの快適性が損なわれないとされている。
【0008】
さらに、特許文献3には、ベッドのボトム上に載置されるエアマットレスにおいて、夫々複数個の袋状セルから構成されエアマットレスの長手方向に並ぶ複数個のエアセル群と、給排気ポンプと、前記エアセル群のうち2以上のエアセル群について、各エアセル群毎に独立した系統で前記エアセル群と前記給排気ポンプとを連結するエアチューブと、前記ベッドの制御に必要な情報を検出する外部センサから前記情報のうち少なくとも一部の情報を受信し、この受信情報に基づいて前記各エアセル群に対する給排気ポンプの給排気を制御する制御部とを有し、前記ベッドは、少なくとも起き上がり可能な背ボトムを含む複数個のボトムを有し、前記外部センサからの情報は、前記背ボトムの起き上がり角度の情報であることを特徴とするエアマットレスが開示されている。
【0009】
この技術によれば、制御部がベッドの制御に必要な情報を検出する外部センサから背ボトムの起き上がり角度の情報を受信し、この受信情報に基づいて各エアセル群に対する給排気ポンプの給排気を制御する。これにより、エアマットレスの内部圧力をベッドの動作に連動させて制御することができ、底突き等が発生することを防止し、効果的に体圧分散することができるとしている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係るエアマット装置の第1の実施形態について
図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係るエアマット装置の第1の実施形態を示した斜視図で、
図2は、本発明に係るエアマット装置の第1の実施形態を示した図で、(a)は側面概略図、(b)はエアチューブの構成を追加した側面概略図である。符号については、10がエアマット装置、12がベッド、14がベースシート、16がエアマット、18がエアセル、20が内圧検出手段、22が内圧調整手段、24がエアポンプ、26がエアチューブを示している。
【0021】
本実施形態におけるエアマット装置10は、ベッド12上にて使用するもので、ベースシート14と、ベースシート14の上面側に載置するエアマット16と、エアマット16の内圧の変化を検出する内圧検出手段20と、エアマット16の内圧を調整する内圧調整手段22を備え、内圧検出手段20が、ベッド12の背上げ動作又は背下げ動作に起因するエアマット16の内圧の所定時間間隔における所定の変化量を検出した際には、内圧調整手段22が、エアマット16の内圧を予め定められた値に調整する制御を行うものである。
【0022】
続いて、本実施形態におけるエアマット装置10について、詳細に説明する。まず、エアマット装置10は、
図1及び2に示すように、背上げや背下げ動作ができるベッド12上にて使用することができるもので、エアマット16にエアチューブ26を介して接続されている内圧検出手段20は、エアマット16の内圧の変化を検出するものである。なお、
図2(b)中、エアチューブ26は、細線と太線の2パターンで表しているが、これは、細線側が、内圧検出手段20による内圧検出、太線側が、内圧調整手段22によるエアの給排気であることを便宜的に示したものであって、必ずしも2系統あるといった意味ではない。また、図中、エアチューブ26が、エアマット16の一部のエアセル18に接続されているよう表現されているが、この位置は、本発明を限定するものではない。以下、各実施形態においても同様である。
【0023】
ここで、本実施形態においては、エアマット16は、患者等が横たわる方向と直行する向き、つまり、ベッド12の長手方向と直行する向きに寝かせた状態で、ベッド12の長手方向に沿って、複数本並設させたエアセル18によって構成されているものである。なお、エアセル18は、例えば、ポリウレタンシート等からなる気密性シートを溶着することにより細長い袋状としたものを用いている。
【0024】
そして、本実施形態では、エアセル18は、複数のグループに分けて連通されるとともに、エアポンプ24と、エアチューブ26を介して接続されており、エアチューブ26を通じたエアポンプ24及び分配器(図示せず)によるエアの制御によって、そのグループ毎の内圧が調整(膨張・収縮)され、エアセル18を波動させる仕組みとしている。ただし、これは、本発明を限定するものではない。
【0025】
そして、ベッド12の背上げ動作に起因してエアマット16の内圧が変化(増加)していくと、その変化量を、エアマット16にエアチューブ26を介して接続されている内圧検出手段20が検出する。ここで、所定の変化量が検出された際には、エアマット16にエアチューブ26を介して接続されている内圧調整手段22が、エアポンプ24と分配器を操作して、各エアセル18に向かって所定量のエアを給気させ、各エアセル18から構成されているエアマット16の内圧を予め定められた値に調整(増加調整)するようになっている。
【0026】
ここで、内圧検出手段20が検出する所定の変化量とは、所定の時間間隔における内圧の所定の変化量を意味している(例えば、15秒のスパンで、内圧が2mmHg上昇)。これは、例えば、人が、エアマット16に座ったことにより、内圧が急激に変化する場合などを除外するためである。
【0027】
また、例えば、角度の大きい背上げ動作が行われると、所定の時間間隔における内圧の変化量が大きくなるため、それに的確に対応して、内圧調整手段22が、エアマット16の内圧を調整(増加調整)することができるようになっている。このように、エアマット16の内圧を制御することによって(例えば、エアマット16の内圧を上げることにより)、背上げ動作によって引き起こされるおそれがある患者等(被介護者等)の底づき等を防止することが可能となるわけである。
【0028】
逆に、ベッド12の背下げ動作に起因してエアマット16の内圧が変化(減少)していくと、その変化量についても、内圧検出手段20が検出する。所定の変化量が検出された際には、内圧調整手段22が、エアポンプ24と分配器を操作して、各エアセル18から所定量のエアを排気させ、各エアセル18から構成されているエアマット16の内圧を予め定められた値に調整(減少調整)するようになっている。
【0029】
ここでも、例えば、角度の大きい背下げ動作が行われると、所定の時間間隔における内圧の変化量が大きくなるため、それに的確に対応して内圧調整手段22が、エアマット16の内圧を調整(減少調整)することができ、背上げ動作時において内圧調整手段22が増加させた状態のままとなっているエアマット16の内圧を減少させることができる。そのため、例えば、エアマット16の床ずれ防止効果の低減を抑えるようになっている。
【0030】
続いて、本発明に係るエアマット装置の第2の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図3は、本発明に係るエアマット装置の第2の実施形態を示した斜視図で、
図4は、本発明に係るエアマット装置の第2の実施形態を示したもので、(a)は側面概略図、(b)はエアチューブの構成を追加した側面概略図である。符号については、第1エアマットが28、第2エアマットが30である以外は、
図1と同様である。
【0031】
本実施形態におけるエアマット装置10は、
図3に示すように、ベッド12上にて使用するもので、ベースシート14と、ベースシート14の上面側に載置する第1エアマット28と、第1エアマット28の下面側に重ねて配置される第2エアマット30と、第1エアマット28の内圧の変化を検出する内圧検出手段20と、第2エアマット30の内圧を調整する内圧調整手段22とを備え、内圧検出手段20が、ベッド12の背上げ動作又は背下げ動作に起因する第1エアマット28の内圧の所定時間間隔における所定の変化量を検出した際には、内圧調整手段22が、第2エアマット30の内圧を予め定められた値に調整する制御を行う。
【0032】
ここで、本実施形態においては、第1エアマット28は、患者等が横たわる方向と直行する向き、つまり、ベッド12の長手方向と直行する向きに寝かせた状態で、ベッド12の長手方向に沿って、複数本並設させたエアセル18によって構成されているものである。なお、エアセル18は、例えば、ポリウレタンシート等からなる気密性シートを溶着することにより細長い袋状としたものを用いている。
【0033】
そして、本実施形態では、エアセル18は、複数のグループに分けて連通されるとともに、エアポンプ24と、エアチューブ26(
図4(b)において、細線)を介して接続されており、エアチューブ26を通じてエアポンプ24及び分配器(図示せず)によるエアの制御によって、そのグループ毎の内圧が調整(膨張・収縮)され、エアセル18を波動させる仕組みとしているが、これは、本発明を限定するものではない。
【0034】
また、本実施形態では、第2エアマット30も、エアポンプ24と、エアチューブ26(
図4(b)において、太線)を介して接続されており、エアチューブ26を通じてエアポンプ24によるエアの制御によって、内圧が調整(膨張・収縮)される仕組みとなっている。なお、第1エアマット28と、第2エアマット30は、それぞれ独立しており、相互にエアの流通はされない構造となっている。
【0035】
そして、ベッド12の背上げ動作に起因して第1エアマット28の内圧が変化(増加)していくと、その変化量を、第1エアマット28にエアチューブ26(
図4(b)において、細線)を介して接続されている内圧検出手段20が検出する。ここで、所定の変化量が検出された際には、第2エアマット30にエアチューブ26(
図4(b)において、太線)を介して接続されている内圧調整手段22が、エアポンプ24を操作して、第2エアマット30に向かって所定量のエアを給気させ、第2エアマット30の内圧を予め定められた値に調整(増加調整)するようになっている。
【0036】
ここで、内圧検出手段20が検出する所定の変化量とは、所定の時間間隔における内圧の変化量を意味している(例えば、15秒のスパンで、内圧が2mmHg上昇)。これは、例えば、人が、第1エアマット28に座ったことにより、内圧が急激に変化する場合などを除外するためである。
【0037】
また、例えば、角度の大きい背上げ動作が行われると、所定の時間間隔における内圧の変化量が大きくなるため、それに的確に対応して内圧調整手段22が、第2エアマット30の内圧を調整(増加調整)することができるようになっている。このように、第2エアマット30の内圧を制御することによって(例えば、第2エアマット30の内圧を上げることにより)、背上げ動作によって引き起こされるおそれがある患者等(被介護者等)の底づき等を防止することが可能となるわけである。
【0038】
逆に、ベッド12の背下げ動作に起因して第1エアマット28の内圧が変化(減少)していくと、その変化量についても、内圧検出手段20が検出する。所定の変化量が検出された際には、内圧調整手段22が、エアポンプ24を操作して、第2エアマット30から所定量のエアを排気させ、第2エアマット30の内圧を予め定められた値に調整(減少調整)するようになっている。
【0039】
ここでも、例えば、角度の大きい背下げ動作が行われると、所定の時間間隔における内圧の変動値が大きくなるため、それに的確に対応して内圧調整手段20が、エアポンプ24を操作して、第2エアマット30の内圧を調整(減少調整)することができ、背上げ動作において内圧調整手段22が増加させたままとなっている第2エアマット30の内圧を減少させることができる。そのため、例えば、エアマット装置10の、床ずれ防止効果の低減を抑えるようになっている。
【0040】
ここで、本実施形態では、
図4(b)に示すように、第2エアマット30は、第1エアマット28に横たわる患者等の腰部近辺に位置するよう配置されている。これは、ベッド12の背上げ動作により最も底づきが起きやすいのは、患者等の腰部付近だからである。ただし、この位置は、例えば、患者等の背中位置に配置しても良いし、本発明を限定するものではない。
【0041】
続いて、本発明に係るエアマット装置の第3の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図5は、本発明に係るエアマット装置の第3の実施形態を示した斜視図で、
図6は、本発明に係るエアマット装置の第3の実施形態を示したエアチューブの構成を追加した側面概略図である。符号については、
図3と同様である。
【0042】
本実施形態におけるエアマット装置10は、
図5に示すように、ベッド12上にて使用するもので、ベースシート14と、ベースシート14の上面側に載置する第1エアマット28と、第1エアマット28の上面側に重ねて配置される第2エアマット30と、第1エアマット28の内圧の変化を検出する内圧検出手段20と、第2エアマット30の内圧を調整する内圧調整手段22とを備え、内圧検出手段20が、ベッド12の背上げ動作又は背下げ動作に起因する第1エアマット28の内圧の所定時間間隔における所定の変化量を検出した際には、内圧調整手段22が、第2エアマット30の内圧を予め定められた値に調整する制御を行う。
【0043】
ここで、本実施形態においては、第2エアマット30は、
図5に示すように、患者等が横たわる方向と直行する向き、つまり、ベッド12の長手方向と直行する向きに寝かせた状態で、ベッド12の長手方向に沿って、複数本並設させたエアセル18によって構成されているものである。なお、エアセル18は、例えば、ポリウレタンシート等からなる気密性シートを溶着することにより細長い袋状としたものを用いている。
【0044】
そして、本実施形態では、エアセル18は、複数のグループに分けて連通されるとともに、エアポンプ24と、エアチューブ26(
図6において、太線)を介して接続されており、エアチューブ26を通じてエアポンプ24及び分配器(図示せず)によるエアの制御によって、そのグループ毎の内圧が調整(膨張・収縮)され、エアセル18を波動させる仕組みとしているが、これは、本発明を限定するものではない。なお、第1エアマット28と、第2エアマット30は、それぞれ独立しており、相互にエアの流通はされない構造となっている。
【0045】
そして、ベッド12の背上げ動作に起因して第1エアマット28の内圧が変化(増加)していくと、その変化量を、第1エアマット28にエアチューブ26(
図6において、細線)を介して接続されている内圧検出手段20が検出する。ここで、所定の変化量が検出された際には、第2エアマット30にエアチューブ26(
図6において、太線)を介して接続されている内圧調整手段22が、エアポンプ24を操作して、第2エアマット30に向かって所定量のエアを給気させ、第2エアマット30の内圧を予め定められた値に調整(増加調整)するようになっている。
【0046】
ここで、内圧検出手段20が検出する所定の変化量とは、所定の時間間隔における内圧の変化量を意味している(例えば、15秒のスパンで、内圧が2mmHg上昇)。これは、例えば、人が、第2エアマット30に座ったことにより、その下面側に重なる第1エアマット28の内圧が急激に変化する場合などを除外するためである。
【0047】
また、例えば、角度の大きい背上げ動作が行われると、所定の時間間隔における内圧の変化量が大きくなるため、それに的確に対応して内圧調整手段22が、第2エアマット30の内圧を調整(増加調整)することができるようになっている。このように、第2エアマット30の内圧を制御することによって(例えば、第2エアマット30の内圧を上げることにより)、背上げ動作によって引き起こされるおそれがある患者等(被介護者等)の底づき等を防止することが可能となるわけである。
【0048】
逆に、ベッド12の背下げ動作に起因して第1エアマット28の内圧が変化(減少)していくと、その変化量についても、内圧検出手段20が検出する。所定の変化量が検出された際には、内圧調整手段22が、エアポンプ24を操作して、第2エアマット30から所定量のエアを排気させ、第2エアマット30の内圧を予め定められた値に調整(減少調整)するようになっている。
【0049】
ここでも、例えば、角度の大きい背下げ動作が行われると、所定の時間間隔における内圧の変動値が大きくなるため、それに的確に対応して内圧調整手段20が、エアポンプ24を操作して、第2エアマット30の内圧を調整(減少調整)することができ、背上げ動作において内圧調整手段22が増加させたままとなっている第2エアマット30の内圧を減少させることができる。そのため、例えば、エアマット装置10の、床ずれ防止効果の低減を抑えるようになっている。
【0050】
ここで、本実施形態では、
図6に示すように、第1エアマット28は、第2エアマット30に横たわる患者等の腰部近辺に位置するよう配置されている。これは、内圧の変化量を検出しやすいのは、患者等の腰部付近だからである。ただし、この位置は、例えば、患者等の背中位置に配置しても良いし、本発明を限定するものではない。
【0051】
しかし、この位置関係は、患者等の状態からフレキシブルに対応することが必要で、本発明においては、様々なものが適用されるものである。例えば、
図11(a)に示すように、第1エアマット28が、第2エアマット30の下側(足方向)に偏った位置に配置されているものや、
図11(b)に示すように、第1エアマット28が、第2エアマット30の上側(背中方向)に偏った位置に配置されている状態とすることも可能である。
【0052】
さらに、
図11(c)に示すように、第1エアマット28が、第2エアマット30と、長手方向に同程度の長さであるものや、
図11(d)に示すように、第1エアマット28が、第2エアマット30に比べて非常に小さいものを用いて配置させるといったものでも構わない。
【0053】
また、第1エアマット28と、第2エアマット3の上下方向における位置関係も同様に、様々なものが適用されるもので、例えば、
図12(a)に示すように、第1エアマット28が、第2エアマット30の上面側に配置されているものや、
図12(b)に示すように、第1エアマット28が、上層・下層に分けられた第2エアマット30の間に挟まれるように配置されている状態とすることも可能である。
【0054】
さらに、
図12(c)に示すように、第1エアマット28が、第2エアマット30の下面側に一体となって溶着されて配置されている状態や、
図12(d)に示すように、第2エアマット30の一部(例えば、患者等の腰部付近)において、第1エアマット28が、第2エアマット30と、上下に独立した2層となった状態で、第2エアマット30の下面側に溶着されて配置するようにしても良い。
【0055】
ここで、本実施形態において、ベッドの背上げと背下げ動作を行う際の第1エアマット28と、第2エアマット30の内圧の変化を計測した結果を
図13に示す。
図13は、それぞれ、(a)は背上げ角度が30度、(b)は背上げ角度が45度、(c)は背上げ角度が60度とした際のものである。なお、本実験は、第1エアマット28の初期内圧を23mmHg、第2エアマット30の初期内圧を20mmHgとし、その上に横たわる被験者は、男性で、体重が86kg、身長が177cmである。また、グラフ中、時間が0の際に上にある線が、第1エアマット28の内圧の変動を表し、下にある線が、第2エアマット30の内圧の変動を表している。
【0056】
図13に示すように、ベッド12を水平状態から、所定の角度(30度、45度、60度)まで背上げ動作を行うよう制御すると、所定の時間間隔において、第1エアマット28の内圧が上昇していることが読み取れる。つまり、第1エアマット28の内圧の変化を検出するように構成しておけば、特別なセンサ等を用いることなく、ベッド12の背上げ動作を認識することができるわけである。
【0057】
また、各グラフにあるように、背上げ動作に起因する第1エアマット28の内圧の変化は、所定の時間の間隔で上がっていくものであり、本実施形態では、それを検出するものであることから、例えば、第2エアマット30に人が座った際に生じる第1エアマット28の急激な内圧の変化があったとしても、それを背上げ動作と認識することがない。
【0058】
続いて、本発明に係るエアマット装置の第4の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図7は、本発明に係るエアマット装置の第4の実施形態を示した斜視図で、
図8は、本発明に係るエアマット装置の第4の実施形態を示したエアチューブの構成を追加した側面概略図である。符号については、第3エアマットが32、第4エアマットが34である以外は、
図3と同様である。
【0059】
本実施形態におけるエアマット装置10は、
図7に示すように、ベッド12上にて使用するもので、ベースシート14と、ベースシート14の上面側に載置するエアマット16と、エアマット16の上面側に重ねて配置されるマットレス38と、エアマット16の内圧の変化を検出する内圧検出手段20と、エアマット16の内圧を調整する内圧調整手段22とを備え、内圧検出手段20が、ベッド12の背上げ動作又は背下げ動作に起因するエアマット16の内圧の所定時間間隔における所定の変化量を検出した際には、内圧調整手段22が、エアマット16の内圧を予め定められた値に調整する制御を行う。
【0060】
ここで、本実施形態においては、マットレス38は、
図7に示すように、患者等が横たわる方向と直行する向き、つまり、ベッド12の長手方向と直行する向きに寝かせた状態で、ベッド12の長手方向に沿って、複数本並設させたエアセル18によって構成されているものである。なお、エアセル18は、例えば、ポリウレタンシート等からなる気密性シートを溶着することにより細長い袋状としたものを用いている。
【0061】
そして、本実施形態では、エアセル18は、複数のグループに分けて連通されるとともに、エアポンプ24と、エアチューブ26を介して接続されており、エアチューブ26を通じてエアポンプ24及び分配器(図示せず)によるエアの制御によって、そのグループ毎の内圧が調整(膨張・収縮)され、エアセル18を波動させる仕組みとしているが、これは、本発明を限定するものではない。
【0062】
また、本実施形態では、マットレス38も、エアポンプ24と、エアチューブ26(
図8において、太線)を介して接続されており、エアチューブ26を通じてエアポンプ24によるエアの制御によって、内圧が調整(膨張・収縮)される仕組みとなっている。なお、エアマット16と、マットレス38は、それぞれ独立しており、相互にエアの流通はされない構造となっている。
【0063】
そして、ベッド12の背上げ動作に起因してエアマット16の内圧が変化(増加)していくと、その変化量を、エアマット16にエアチューブ26(
図8において、細線)を介して接続されている内圧検出手段20が検出する。ここで、所定の変化量が検出された際には、エアマット16にエアチューブ26(
図8において、太線)を介して接続されている内圧調整手段22が、エアポンプ24を操作して、エアマット16に向かって所定量のエアを給気させ、エアマット16の内圧を予め定められた値に調整(増加調整)するようになっている。
【0064】
ここで、内圧検出手段20が検出する所定の変化量とは、所定の時間間隔における内圧の変化量を意味している(例えば、15秒のスパンで、内圧が2mmHg上昇)。これは、例えば、人が、マットレス38に座ったことにより、その下面側に重なるエアマット16の内圧が急激に変化する場合などを除外するためである。
【0065】
また、例えば、角度の大きい背上げ動作が行われると、所定の時間間隔における内圧の変化量が大きくなるため、それに的確に対応して内圧調整手段22が、エアマット16の内圧を調整(増加調整)することができるようになっている。このように、エアマット16の内圧を制御することによって(例えば、エアマット16の内圧を上げることにより)、背上げ動作によって引き起こされるおそれがある患者等(被介護者等)の底づき等を防止することが可能となるわけである。
【0066】
逆に、ベッド12の背下げ動作に起因してエアマット16の内圧が変化(減少)していくと、その変化量についても、内圧検出手段20が検出する。所定の変化量が検出された際には、内圧調整手段22が、エアポンプ24を操作して、エアマット16から所定量のエアを排気させ、エアマット16の内圧を予め定められた値に調整(減少調整)するようになっている。
【0067】
ここでも、例えば、角度の大きい背下げ動作が行われると、所定の時間間隔における内圧の変動値が大きくなるため、それに的確に対応して内圧調整手段20が、エアポンプ24を操作して、エアマット16の内圧を調整(減少調整)することができ、背上げ動作において内圧調整手段22が増加させたままとなっているエアマット16の内圧を減少させることができる。そのため、例えば、エアマット装置10の、床ずれ防止効果の低減を抑えるようになっている。
【0068】
ここで、本実施形態では、
図8に示すように、エアマット16は、マットレス38に横たわる患者等の腰部近辺に位置するよう配置されている。これは、内圧の変化量を検出しやすいのは、患者等の腰部付近だからである。ただし、この位置は、例えば、患者等の背中位置に配置しても良いし、本発明を限定するものではない。
【0069】
なお、本実施形態では、エアマット16は、マットレス38の下面側に重ねて配置されているが、エアマット16をマットレス38の上面側に重ねて配置させても良い。さらに、本実施形態においては、マットレス38は、複数本並設させたエアセル18によって構成されているが、例えば、ウレタンフォームのマットや、3次元網状構造体のような非エアータイプのものを用いても構わない。
【0070】
続いて、本発明に係るエアマット装置の第5の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図9は、本発明に係るエアマット装置の第5の実施形態を示した斜視図で、
図10は、本発明に係るエアマット装置の第5の実施形態を示したエアチューブの構成を追加した側面概略図である。符号については、第3エアマットが32、第4エアマットが34、第5エアマットが36である以外は、
図3と同様である。
【0071】
本実施形態におけるエアマット装置10は、
図9示すように、ベッド12上にて使用するもので、ベースシート14と、ベースシート14の上面側に載置する第3エアマット32と、第3エアマット32の下面側に重ねて配置される第4エアマット34と、同様に、第3エアマット32の下面側に配置される第5エアマット36と、第4エアマット34の内圧の変化を検出する内圧検出手段20と、第5エアマット36の内圧を調整する内圧調整手段22とを備え、内圧検出手段20が、ベッド12の背上げ動作又は背下げ動作に起因する第4エアマット34の内圧の所定時間間隔における所定の変化量を検出した際には、内圧調整手段22が、第5エアマット36の内圧を予め定められた値に調整する制御を行う。
【0072】
ここで、本実施形態においては、第3エアマット32は、
図9に示すように、患者等が横たわる方向と直行する向き、つまり、ベッド12の長手方向と直行する向きに寝かせた状態で、ベッド12の長手方向に沿って、複数本並設させたエアセル18によって構成されているものである。なお、エアセル18は、例えば、ポリウレタンシート等からなる気密性シートを溶着することにより細長い袋状としたものを用いている。
【0073】
そして、本実施形態では、エアセル18は、複数のグループに分けて連通されるとともに、エアポンプ24と、エアチューブ26を介して接続されており、エアチューブ26を通じてエアポンプ24及び分配器(図示せず)によるエアの制御によって、そのグループ毎の内圧が調整(膨張・収縮)され、エアセル18を波動させる仕組みとしているが、これは、本発明を限定するものではない。
【0074】
また、本実施形態では、第5エアマット36も、エアポンプ24と、エアチューブ26(
図10において、太線)を介して接続されており、エアチューブ26を通じてエアポンプ24によるエアの制御によって、内圧が調整(膨張・収縮)される仕組みとなっている。なお、第3エアマット32と、第4エアマット34、そして、第5エアマット36は、それぞれ独立しており、相互にエアの流通はされない構造となっている。
【0075】
そして、ベッド12の背上げ動作に起因して第4エアマット34の内圧が変化(増加)していくと、その変化量を、第4エアマット34にエアチューブ26(
図10において、細線)を介して接続されている内圧検出手段20が検出する。ここで、所定の変化量が検出された際には、第5エアマット36にエアチューブ26(
図10において、太線)を介して接続されている内圧調整手段22が、エアポンプ24を操作して、第5エアマット36に向かって所定量のエアを給気させ、第5エアマット36の内圧を予め定められた値に調整(増加調整)するようになっている。
【0076】
ここで、内圧検出手段20が検出する所定の変化量とは、所定の時間間隔における内圧の変化量を意味している(例えば、15秒のスパンで、内圧が2mmHg上昇)。これは、例えば、人が、第3エアマット32に座ったことにより、その下面側に重なる第4エアマット34の内圧が急激に変化する場合などを除外するためである。
【0077】
また、例えば、角度の大きい背上げ動作が行われると、所定の時間間隔における内圧の変化量が大きくなるため、それに的確に対応して内圧調整手段22が、第5エアマット36の内圧を調整(増加調整)することができるようになっている。このように、第5エアマット36の内圧を制御することによって(例えば、第5エアマット36の内圧を上げることにより)、背上げ動作によって引き起こされるおそれがある患者等(被介護者等)の底づき等を防止することが可能となるわけである。
【0078】
逆に、ベッド12の背下げ動作に起因して第4エアマット34の内圧が変化(減少)していくと、その変化量についても、内圧検出手段20が検出する。所定の変化量が検出された際には、内圧調整手段22が、エアポンプ24を操作して、第5エアマット36から所定量のエアを排気させ、第5エアマット36の内圧を予め定められた値に調整(減少調整)するようになっている。
【0079】
ここでも、例えば、角度の大きい背下げ動作が行われると、所定の時間間隔における内圧の変動値が大きくなるため、それに的確に対応して内圧調整手段20が、エアポンプ24を操作して、第5エアマット36の内圧を調整(減少調整)することができ、背上げ動作において内圧調整手段22が増加させたままとなっている第5エアマット36の内圧を減少させることができる。そのため、例えば、エアマット装置10の、床ずれ防止効果の低減を抑えるようになっている。
【0080】
ここで、本実施形態では、
図10に示すように、第4エアマット34は、第3エアマット32に横たわる患者等の背中近辺に位置するよう配置されている。これは、内圧の変化量を検出しやすいためである。ただし、この位置は、本発明を限定するものではない。
【0081】
なお、本実施形態では、第4エアマット34は、第3エアマット32の下面側に重ねて配置されているが、第4エアマット34を第3エアマット32の上面側に重ねて配置させても良い。