(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記風洞の前記第2方向の断面積と前記通気口の開口面積の比が、1:0.7〜1:1.4に設定されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光照射装置。
前記筐体の前記第1方向の他端面に設けられ、前記第1方向と相反する方向に流れる前記冷却風を生成する第2の冷却ファンを備えることを特徴とする請求項8に記載の光照射装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2に記載の光照射装置のように、光源としてLEDを用いる場合、投入した電力の大半が熱となることから、LED自身が発熱する熱によって発光効率と寿命が低下するといった問題が発生する。また、LEDの発熱によって、光照射装置自身(つまり、筐体)も熱くなるため、光照射装置の周辺の部品を近接して配置することができず、装置全体が大型化してしまうといった問題もある。
【0007】
かかる問題は、特許文献2の光照射装置のように、複数のLEDが搭載された装置の場合、熱源となるLEDが増えることから、さらに深刻なものとなる。また、特許文献1、2の光照射装置のように、光源としてUVLEDを用いる場合にも、LED自身の発熱量が大きくなるため、同様に深刻なものとなる。このため、LEDを光源として用いる光照射装置においては、一般に、ヒートシンク等の放熱部材を用い、LEDの発熱を抑える構成を採っている。
【0008】
このように、LEDの発熱を抑えるためには、ヒートシンク等の放熱部材を用いるのが効果的である。しかしながら、特許文献2の光照射装置のように、複数のLEDが並んで配置される構成においては、各LEDを均一に冷却しないと(つまり、温度を略均一にしないと)、各LED間の温度差によって光量にばらつきが生じ、照射対象物上の紫外線硬化型インクの硬化にもばらつきが発生することとなる。本明細書において温度が略均一である状態とは、本発明の光照射装置の実使用上の問題が生じない程度の温度差が存在する状態をいい、例えば温度差が10℃以下である状態をいう。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、筐体の発熱を抑えつつも、複数のLEDを均一に冷却することが可能な構成を有する、小型の光照射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の光照射装置は、照射面上に、第1方向に延び、かつ、第1方向と直交する第2方向に所定の線幅を有するライン状の光を照射する光照射装置であって、第1方向に延びる基板と、基板の表面に第1方向に沿って並べて配置された複数の光源と、を有する光源部と、第1方向に沿って所定の間隔をおいて立設された複数の放熱フィンを有し、基板の裏面側に熱的に結合された放熱部と、放熱部を収容すると共に、放熱フィンを冷却する冷却風が流れる風洞を形成する筐体と、風洞内に、第1方向に流れる冷却風を生成する第1の冷却ファンと、を備え、筐体の第2方向に対向する側面の少なくとも一方は、冷却風が複数の放熱フィン間を通って外部に排気される、又は外部から複数の放熱フィン間を通って吸気されるように形成された通気口を有し、風洞は、冷却風によって正圧又は負圧状態となる圧力室として機能することを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、各放熱フィンの間を通って流れる空気の量が略等しくなるため、放熱部が均一に冷却される。従って、複数の光源の温度も略等しくなり、光量のばらつきが抑制される。
【0012】
また、筐体の第2方向に対向する側面の少なくとも一方は、複数の放熱フィンに当接していることが望ましい。
【0013】
また、通気口は、複数の放熱フィンの基端部が外部に露出するように形成されていることが望ましい。
【0014】
また、風洞の第2方向の断面積と通気口の開口面積の比が、1:0.7〜1:1.4に設定されていることが望ましい。また、この場合、通気口の
第1方向及び第2方向
に直交する第3方向の長さをL1、各放熱フィンの第
3方向の長さをhとしたときに、以下の条件式(1)を満たすことが望ましい。
0.1・h≦L1≦0.5・h ・・・(1)
【0015】
また、筐体は、風洞と、複数の放熱フィンが配置される領域とを仕切る仕切板を有し、仕切板は、風洞と複数の放熱フィンが配置される領域とを連通するように形成された連通口を有し、風洞の第2方向の断面積と連通口の開口面積の比が、1:0.7〜1:1.4に設定されていることが望ましい。また、この場合、通気口の開口面積が、連通口の開口面積よりも大きいことが望ましい。
【0016】
また、冷却ファンが、筐体の第1方向の一端面に設けられていることが望ましい。また、この場合、筐体の第1方向の他端面に設けられ、第1方向と相反する方向に流れる冷却風を生成する第2の冷却ファンを備えることができる。
【0017】
また、光が、紫外線硬化型樹脂に作用する波長を含む光であることが望ましい。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、筐体の発熱を抑えつつも、複数のLEDを均一に冷却することが可能な小型の光照射装置が実現される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光照射装置1の外観図であり、
図1(a)は、光照射装置1の正面図である。また、
図1(b)は、光照射装置1の上面図であり、
図1(c)は、光照射装置1の底面図であり、
図1(d)は、光照射装置1の右側面図である。本実施形態の光照射装置1は、印刷装置等に搭載されて、紫外線硬化型インキや紫外線硬化樹脂を硬化させる光源装置であり、例えば、照射対象物の上方に配置され、照射対象物に対してライン状の紫外光を出射する。なお、本明細書においては、
図1の座標に示すように、後述するLED(Light Emitting Diode)素子210が紫外光を出射する方向をZ軸方向、LED素子210の配列方向をX軸方向、ならびにZ軸方向及びX軸方向に直交する方向をY軸方向と定義して説明する。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の光照射装置1は、内部に光源ユニット200や放熱部材400等を収容するX軸方向に長い箱形の筐体100を備えている。筐体100は、正面に紫外光が出射されるガラス製の窓部105を備えている。また、筐体100のY軸方向に対向する側面(つまり、上面及び底面)には、筐体100内の空気を排気する通気口101が形成され、右側面には、筐体100内に空気を供給する冷却ファン103が配置されている。また、筐体100の背面には、光照射装置1に電源を供給するためのコネクタ(不図示)が設けられており、コネクタ(不図示)と電源装置(不図示)とが電気的に接続され、光照射装置1に電源が供給されるようになっている。
【0023】
図2は、本発明の実施形態に係る光照射装置1の内部構成を説明する図であり、
図2(a)は、
図1のA−A断面の端面図であり、
図2(b)は、
図1のB−B断面図である。なお、
図2においては、図面を見易くするために、光照射装置1の内部の配線ケーブル等、一部構成を省略して示している。
【0024】
図2に示すように、本実施形態の光照射装置1は、X軸方向に並べて配置された4つの光源ユニット200と、X軸方向に並べて配置された4つの放熱部材400と、LED駆動回路(
図2において不図示)等を筐体100内部に備えている。なお、各光源ユニット200、各放熱部材400は、それぞれ全く同一の構成となっている。なお、
図2(b)に示すように、本実施形態においては、光源ユニット200と放熱部材400は、筐体100内において、X軸方向と相反する方向側に寄せて配置されている。
【0025】
図3は、本実施形態の光源ユニット200と放熱部材400の構成を説明する概略図であり、
図3(a)は、Z軸方向から見た正面図であり、
図3(b)はY軸方向から見た平面図である。
図3に示すように、光源ユニット200は、X軸方向及びY軸方向に平行な矩形板状の基板205と、同じ特性を有する複数(例えば、10個)のLED素子210とを備えており、放熱部材400の放熱板410の一端面(Z軸方向の端面)上に固定されている。
【0026】
複数のLED素子210は、Z軸方向に光軸が揃えられた状態で、X軸方向に所定の間隔をおいて基板205の表面に一列に配置され、基板205と電気的に接続されている。また、基板205は、LED駆動回路(不図示)から延びる配線ケーブル(不図示)によって互いに電気的に接続されており、各LED素子210には、LED駆動回路から駆動電流が供給されるようになっている。各LED素子210に駆動電流が供給されると、各LED素子210からは駆動電流に応じた光量の紫外光(例えば、波長365nm)が出射され、光源ユニット200からはX軸方向に延び、かつ、X軸方向と直
交するY軸方向に所定の線幅を有するライン状の紫外光が出射される。
図3に示すように、本実施形態においては、4つの光源ユニット200がX軸方向に並べて配置されており、各光源ユニット200から出射されたライン状の紫外光は、X軸方向に連続するようになっている。
【0027】
放熱部材400は、光源ユニット200から発せられた熱を放熱する部材である。本実施形態の放熱部材400は、矩形板状の金属製(例えば、銅、アルミニウム)の放熱板410と、放熱板410の他端面(光源ユニット200が載置される面とは反対側の面)にロウ付けされた複数の放熱フィン420とで構成されている(
図2(a)、
図3(b))。放熱フィン420は、放熱板410からZ軸方向と相反する方向に突出するように立設し、放熱板410に伝わった熱を空気中に放熱する、矩形板状の金属(例えば、銅、アルミニウム、鉄、マグネシウム等の金属やこれらを含む合金等)の部材である。なお、詳細は後述するが、本実施形態においては、冷却ファン103によって筐体100内に外部から空気が取り込まれ、取り込まれた空気が冷却風として各放熱フィン420の表面を流れ、放熱フィン420によって加熱された空気が、通気口101を通って速やかに排気されるようになっている。
【0028】
なお、
図2(a)に示すように、本実施形態の光源ユニット200と放熱部材400は、筐体100内において、前側に(Z軸方向側に)配置されて固定されるようになっている。そして、光源ユニット200と放熱部材400が筐体100内に固定されたとき、各LED素子210が窓部105と対向する位置に配置され、各放熱フィン420が筐体100のY軸方向に対向する側面(つまり、上面及び底面)に当接し、各放熱フィン420の基端部が通気口101から外部に露出するようになっている。また、
図2(a)、(b)に示すように、放熱部材400の後側(Z軸方向と相反する方向)には、放熱フィン420を冷却するための冷却風が流れる風洞αが形成されている。
【0029】
本実施形態の各LED素子210は、略一様な光量の紫外光を出射するように各LED素子210に供給される駆動電流が調整されており、光源ユニット200から出射されるライン状の紫外光は、X軸方向において略均一な光量分布を有している。
【0030】
各LED素子210に駆動電流が流れ、各LED素子210から紫外光が出射されると、LED素子210の自己発熱により温度が上昇するが、各LED素子210で発生した熱は、基板205及び放熱板410を介して、放熱フィン420に速やかに伝導(移動)し、各放熱フィン420から周辺の空気中に放熱される。そして、放熱フィン420によって加熱された空気は、各放熱フィン420の表面を流れる冷却風によって通気口101を通って速やかに排気されるようになっている。
【0031】
ここで、本実施形態の構成においては、4つの光源ユニット200と放熱部材400がX軸方向に並べて配置されているところ、各光源ユニット200のLED素子210の温度が異なると、光量にばらつきが生じてしまうため、光量を均一にするためには、冷却ファン103からの距離が異なる4つの放熱部材400を均一に冷却しなければならないという課題があった。そこで、かかる課題を解決するため、本実施形態においては、放熱部材400が配置される風洞αが一種の圧力室として機能し、放熱部材400が配置される領域の空気の圧力が略一定となるように構成した。そして、これによって各放熱フィン420間を流れる空気の量を略等しくし、4つの放熱部材400の均一な冷却を可能にしている。
【0032】
以下、本発明の特徴部分である、放熱部材400の冷却作用について説明する。
図4は、放熱部材400と筐体100内に発生する気流との関係を説明する模式図である。なお、
図4(a)は、
図2(a)に気流の向きを示す矢印を追加した図であり、
図4(b)は、
図2(b)に気流の向きを示す矢印を追加した図である。
【0033】
図4(b)に示すように、本実施形態の光照射装置1は、筐体100の右側面に冷却ファン103を備え、筐体100の上面及び底面には、通気口101が形成されている。従って、冷却ファン103が回ると、筐体100の外側の空気が冷却ファン103から取り込まれて、筐体100内は正圧となるため、通気口101からは筐体100の内部の空気が排気される。より具体的には、筐体100内には、
図4(b)中、実線の矢印で示す気流が発生し、冷却ファン103から筐体100内に取り込まれた空気は、風洞α内をX軸方向と相反する方向に流れるが、筐体100の左側面(
図4(b)において左側の端面)は開口していないので、風洞αが正圧状態となる。また、風洞αの空気は、各放熱フィン420間に流入しようとするが、気流の向きが90度曲がることとなるため、風洞α内の空気圧は高められると共に、風速は小さくなる。このため、風洞αから各放熱フィン420間に流入する空気の量は、略均一となり、各放熱部材400の放熱フィン420の表面にはそれぞれ、略均一な量の空気が流れて、通気口101から排出される。このため、各放熱部材400が略均一に冷却されることとなる。
【0034】
このように、本実施形態においては、冷却ファン103によって生成される冷却風の向き(X軸方向と相反する方向)と放熱フィン420の延設方向(Z軸方向と相反する方向)とが90度異なり、また放熱フィン420の延設方向と通気口101の配置方向(Y軸方向)とが90度異なり、風洞αが一種の圧力室として機能するようになっている。そして、放熱フィン420が配置される領域の空気の圧力が略一定となるように、風洞αのYZ平面における断面積、及び通気口101の開口面積が設定されている。具体的には、風洞αのYZ平面における断面積に対する通気口101の開口面積の比は、1:0.7〜1:1.4に設定されている。なお、本明細書においては、通気口101から露出する放熱フィン420の隙間(開口)の面積の総和(つまり、放熱フィン420の厚みを考慮した実質的な開口面積)を、「通気口101の開口面積」と表現している。また、風洞α内の圧力を高めるためには、通気口101のZ軸方向の長さを、放熱フィン420のZ軸方向の長さに対して小さく設定する(つまり、通気口101の開口面積を小さくする)のが好ましいが、通気口101を小さくし過ぎると、冷却風の流れが悪くなり、放熱フィン420の温度が上昇するため、本実施形態においては、通気口101のZ軸方向の長さをL1、放熱フィン420のZ軸方向の長さをhとしたときに、以下の条件式(1)を満たすように構成している(
図2(a))。
0.1・h≦L1≦0.5・h ・・・(1)
【0035】
表1は、風洞αのYZ平面における断面積と通気口101の開口面積の関係について、放熱部材400の温度の観点から、シミュレーションした結果を説明する表である。
【0037】
表1は、風洞αのYZ平面における断面積に対する通気口101の開口面積の比を、実施例1〜実施例5および比較例1、2のように変更しながら、シミュレーションしたものである。なお、表1において、「最大温度(℃)」は、4つの放熱部材400の温度の最大値を示し、「平均温度(℃)」は、4つの放熱部材400の温度の平均値を示し、「最小温度(℃)」は、4つの放熱部材400の温度の最小値を示し、「温度差(℃)」は、最大温度(℃)と最小温度(℃)の差を示している。また、実施例1、3、5、比較例1、2においては、筐体100のY軸方向に対向する側面(つまり、上面及び底面)に通気口101が形成されるものとし、実施例2、4においては、筐体100のY軸方向に対向する側面のいずれか一方(つまり、上面又は底面)に通気口101が形成されるものとし、発熱量は250Wとしてシミュレーションを行った。
【0038】
その結果、表1に示すように、風洞αのYZ平面における断面積に対する通気口101の開口面積の比を、1:0.7〜1:1.4に設定し、かつ上記の条件式(1)を満たすように構成すると、放熱部材400の温度差が、10℃以内になる(つまり、実使用上の問題が生じ得ないように、複数のLED素子210を冷却することができる)ことが分かった。
【0039】
なお、本実施形態においては、各放熱フィン420は筐体100のY軸方向に対向する側面(つまり、上面及び底面)に当接するように設計されており、
図4(a)に示されるように、Y軸方向において筐体100とフィン420の間に隙間がなくなっている。このため、
図4(a)、(b)に示されているように、フィン420の先端部側(Z軸方向と相反する方向の端部側)からのフィン420間への空気の流入を効果的に実現する事ができる。
【0040】
なお、上述したように、本実施形態においては、放熱部材400に伝導された光源ユニット200からの熱が、筐体100内を通って供給される冷却風によって冷却されるため、筐体100自体は熱くならない。従って、光照射装置1の周辺に他の部品を近接して配置することができるため、光照射装置1が組み込まれる装置全体を小型化することが可能となる。
【0041】
以上が本実施形態の説明であるが、本発明は、上記の構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内において様々な変形が可能である。
【0042】
例えば、本実施形態の光照射装置1は、紫外光を照射する装置としたが、このような構成に限定されるものではなく、他の波長域の照射光(例えば白色光などの可視光、赤外光等)を照射する装置にも本発明を適用することができる。
【0043】
また、本実施形態においては、各放熱フィン420と筐体100とは当接するものとしたが、放熱フィン420の先端部側(Z軸方向と相反する方向の端部側)から放熱フィン420間へ確実に空気が流入すればよい。例えば、Y軸方向における筐体100と放熱フィン420との間の隙間をAとし、放熱フィン420のX軸方向の間隔をBとしたときに、A<Bとなるように設定すればよく、好ましくはA:B=0.5:1.0であり、より好ましくは、0.1:1.0である。
【0044】
また、本実施形態においては、各放熱フィン420の基端部が通気口101から外部に露出するものとしたが、各放熱フィン420が確実に冷却されれば、放熱フィン420のどの部分が外部に露出してもよい。
【0045】
また、本実施形態においては、冷却ファン103が吸気ファンであり、筐体100内が正圧となり、通気口101からは筐体100の内部の空気が排気されるとしたが、このような構成に限定されるものではなく、冷却ファン103が排気ファンであってもよい。この場合、通気口101から外部の空気が取り込まれ、筐体100内が負圧となるが、各放熱フィン420間に流入する空気の量は、略均一となり、各放熱部材400が略均一に冷却される。
【0046】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係る光照射装置2の内部構成を説明する断面図である。
図5に示すように、本実施形態の光照射装置2は、筐体100の内部に、風洞αと放熱フィン420が配置される空間βとを仕切る、仕切板150を備えている点で、第1の実施形態の光照射装置1と異なる。そして、仕切板150には、風洞αと空間βとを連通する複数の連通口151が形成されており、
図5において矢印で示すように、各放熱フィン420間に流入する冷却風が、風洞αから連通口151を通って供給されるようになっている。
【0047】
具体的には、冷却ファン103が回り、筐体100の外側の空気が冷却ファン103から取り込まれると、筐体100内に取り込まれた空気は、風洞α内をX軸方向と相反する方向に流れるが、筐体100の左側面(
図5(b)において左側の端面)は開口していないので、風洞αが正圧状態となる。風洞αの空気は、連通口151を通って各放熱フィン420間に流入しようとするが、気流の向きが90度曲がることとなるため、風洞α内の空気圧は高められると共に、風速は小さくなる。このため、風洞αから連通口151(つまり、各放熱フィン420間)に流入する空気の量は、略均一となり、各放熱部材400の放熱フィン420の表面にはそれぞれ、略均一な量の空気が流れて、通気口101から排出される。このため、各放熱部材400が略均一に冷却されることとなる。
【0048】
このように、本実施形態においては、冷却ファン103によって生成される冷却風の向き(X軸方向と相反する方向)と連通口151の開口方向(Z軸方向)とが90度異なり、また放熱フィン420の延設方向(Z軸方向と相反する方向)と通気口101の配置方向(Y軸方向)とが90度異なり、風洞αが一種の圧力室として機能するようになっている。そして、連通口151が配置される領域の空気の圧力が略一定となるように、風洞αのYZ平面における断面積、及び連通口151の開口面積が設定されている。具体的には、風洞αのYZ平面における断面積に対する連通口151の開口面積の比は、1:0.7〜1:1.4に設定されており、通気口101の開口面積をS1、連通口151の開口面積をS2としたときに、以下の条件式(2)を満たすように構成している。
S1≦S2 ・・・ (2)
なお、本明細書においては、連通口151から露出する放熱フィン420の隙間(開口)の面積の総和(つまり、放熱フィン420の厚みを考慮した実質的な開口面積)を、「連通口151の開口面積」と表現している。
【0049】
表2は、風洞αのYZ平面における断面積と連通口151の開口面積の関係について、放熱部材400の温度の観点から、シミュレーションした結果を説明する表である。
【0051】
表2は、風洞αのYZ平面における断面積に対する連通口151の開口面積の比を、実施例6〜実施例9のように変更しながらシミュレーションしたものである。なお、表2において、「最大温度(℃)」は、4つの放熱部材400の温度の最大値を示し、「平均温度(℃)」は、4つの放熱部材400の温度の平均値を示し、「最小温度(℃)」は、4つの放熱部材400の温度の最小値を示し、「温度差(℃)」は、最大温度(℃)と最小温度(℃)の差を示している。また、実施例6〜9においては、筐体100のY軸方向に対向する側面(つまり、上面及び底面)に通気口101が形成されるものとし、発熱量は250Wとしてシミュレーションを行った。
【0052】
シミュレーションの結果、表2に示すように、風洞αのYZ平面における断面積に対する連通口151の開口面積の比を、1:0.7〜1:1.4に設定し、かつ上記の条件式(2)を満たすように構成すると、放熱部材400の温度差が、10℃以内になる(つまり、実使用上の問題が生じ得ないように、複数のLED素子210を冷却することができる)ことが分かった。
【0053】
(第3の実施形態)
図6は、本発明の第3の実施形態に係る光照射装置3の内部構成を説明する断面図である。
図6に示すように、本実施形態の光照射装置3は、冷却ファン103に加えて、筐体100の左側面に冷却ファン104を備えている点で、第1の実施形態の光照射装置1と異なる。そして、
図5において矢印で示すように、風洞αには、冷却ファン103によって生成されるX軸方向と相反する方向の冷却風と、冷却ファン104によって生成されるX軸方向の冷却風が流れるように構成されている。なお、本実施形態においては、冷却ファン103と冷却ファン104は同一のものである。
【0054】
冷却ファン103、104が回り、筐体100の外側の空気が冷却ファン103、104から取り込まれると、X軸方向と相反する方向の冷却風と、X軸方向の冷却風が風洞α内を流れるが、筐体100の略中央部で両者が衝突して、風洞αが正圧状態となる。風洞αの空気は、各放熱フィン420間に流入しようとするが、気流の向きが90度曲がることとなるため、風洞α内の空気圧は高められると共に、風速は小さくなる。このため、風洞αから各放熱フィン420間に流入する空気の量は、略均一となり、各放熱部材400の放熱フィン420の表面にはそれぞれ、略均一な量の空気が流れて、通気口101から排出される。このため、各放熱部材400が略均一に冷却されることとなる。
【0055】
このように、本実施形態においては、冷却ファン103によって生成される冷却風の向き(X軸方向と相反する方向)及び冷却ファン104によって生成される冷却風の向き(X軸方向)と放熱フィン420の延設方向(Z軸方向と相反する方向)とが90度異なり、また放熱フィン420の延設方向と通気口101の配置方向(Y軸方向)とが90度異なり、風洞αが一種の圧力室として機能するようになっている。そして、放熱フィン420が配置される領域の空気の圧力が略一定となるように、風洞αのYZ平面における断面積、及び通気口101の開口面積が設定されている。具体的には、第1の実施形態と同様、風洞αのYZ平面における断面積に対する通気口101の開口面積の比は、1:0.7〜1:1.4に設定されており、通気口101のZ軸方向の長さをL1、放熱フィン420のZ軸方向の長さをhとしたときに、上記条件式(1)を満たすように構成している。
【0056】
表3は、風洞αのYZ平面における断面積と通気口101の開口面積の関係について、放熱部材400の温度の観点から、シミュレーションした結果を説明する表である。
【0058】
表3に示すように、シミュレーションの結果、風洞αのYZ平面における断面積に対する通気口101の開口面積の比を、1:0.7〜1:1.4に設定し、かつ上記の条件式(1)を満たすように構成すると、放熱部材400の温度差が、10℃以内になる(つまり、実使用上の問題が生じ得ないように、複数のLED素子210を冷却することができる)ことが分かった。
【0059】
(第4の実施形態)
図7は、本発明の第4の実施形態に係る光照射装置4の内部構成を説明する断面図である。
図7に示すように、本実施形態の光照射装置4は、第3の実施形態と同様、冷却ファン103に加えて、筐体100の左側面に冷却ファン104を備えている点で、第2の実施形態の光照射装置2と異なる。そして、
図7において矢印で示すように、風洞αには、冷却ファン103によって生成されるX軸方向と相反する方向の冷却風と、冷却ファン104によって生成されるX軸方向の冷却風が流れるように構成されている。なお、本実施形態においても、冷却ファン103と冷却ファン104は同一のものである。
【0060】
冷却ファン103、104が回り、筐体100の外側の空気が冷却ファン103、104から取り込まれると、X軸方向と相反する方向の冷却風と、X軸方向の冷却風が風洞α内を流れるが、筐体100の略中央部で両者が衝突して、風洞αが正圧状態となる。風洞αの空気は、連通口151を通って各放熱フィン420間に流入しようとするが、気流の向きが90度曲がることとなるため、風洞α内の空気圧は高められると共に、風速は小さくなる。このため、風洞αから連通口151(つまり、各放熱フィン420間)に流入する空気の量は、略均一となり、各放熱部材400の放熱フィン420の表面にはそれぞれ、略均一な量の空気が流れて、通気口101から排出される。このため、各放熱部材400が略均一に冷却されることとなる。
【0061】
このように、本実施形態においては、冷却ファン103によって生成される冷却風の向き(X軸方向と相反する方向)及び冷却ファン104によって生成される冷却風の向き(X軸方向)と連通口151の開口方向(Z軸方向)とが90度異なり、また放熱フィン420の延設方向と通気口101の配置方向(Y軸方向)とが90度異なり、風洞αが一種の圧力室として機能するようになっている。そして、連通口151が配置される領域の空気の圧力が略一定となるように、風洞αのYZ平面における断面積、及び通気口101の開口面積が設定されている。具体的には、第2の実施形態と同様、風洞αのYZ平面における断面積に対する連通口151の開口面積の比は、1:0.7〜1:1.4に設定されており、通気口101の開口面積をS1、連通口151の開口面積をS2としたときに、上記の条件式(2)を満たすように構成している。
【0062】
表4は、風洞αのYZ平面における断面積と連通口151の開口面積の関係について、放熱部材400の温度の観点から、シミュレーションした結果を説明する表である。
【0064】
表4に示すように、シミュレーションの結果、風洞αのYZ平面における断面積に対する連通口151の開口面積の比を、1:0.7〜1:1.4に設定し、かつ上記の条件式(2)を満たすように構成すると、放熱部材400の温度差が、10℃以内になる(つまり、実使用上の問題が生じ得ないように、複数のLED素子210を冷却することができる)ことが分かった。
【0065】
なお、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。