特許第6832918号(P6832918)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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▶ ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6832918
(24)【登録日】2021年2月4日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】立体選択的方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 269/04 20060101AFI20210215BHJP
   C07C 271/22 20060101ALI20210215BHJP
   C07B 53/00 20060101ALI20210215BHJP
   C07C 323/63 20060101ALI20210215BHJP
   C07C 319/20 20060101ALI20210215BHJP
   C07C 317/48 20060101ALI20210215BHJP
   C07C 315/04 20060101ALI20210215BHJP
   C07F 9/12 20060101ALI20210215BHJP
   C07C 39/38 20060101ALI20210215BHJP
   C07C 37/18 20060101ALI20210215BHJP
   B01J 31/02 20060101ALI20210215BHJP
   B01J 31/04 20060101ALI20210215BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20210215BHJP
   C07D 307/66 20060101ALI20210215BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20210215BHJP
【FI】
   C07C269/04
   C07C271/22
   C07B53/00 B
   C07C323/63
   C07C319/20
   C07C317/48
   C07C315/04
   C07F9/12
   C07C39/38
   C07C37/18
   B01J31/02 Z
   B01J31/04 Z
   B01J37/04 102
   C07D307/66
   !C07B61/00 300
【請求項の数】11
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2018-514330(P2018-514330)
(86)(22)【出願日】2016年9月16日
(65)【公表番号】特表2018-534248(P2018-534248A)
(43)【公表日】2018年11月22日
(86)【国際出願番号】EP2016072019
(87)【国際公開番号】WO2017046355
(87)【国際公開日】20170323
【審査請求日】2019年9月12日
(31)【優先権主張番号】62/220,434
(32)【優先日】2015年9月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503385923
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】リース ウーヴェ ヨルク
(72)【発明者】
【氏名】ハッダード ニザール
(72)【発明者】
【氏名】チュ ボ
【審査官】 東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/122160(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/070875(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/135414(WO,A1)
【文献】 HUSMANN, Ralph et al,Organic Letters,2011年,13(5),1044-1047
【文献】 RUEPING, Magnus et al,Synlett,2011年,(3),323-326
【文献】 LI, Guilong et al,Organic Letters,2010年,12(9),1960-1963
【文献】 QU, Bo et al,Journal of Organic Chemistry,2016年,81(3),745-750
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07F
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式 (IV),
【化1】
(IV)
[式中、
R1a はNC- であり、
R1b はH、CH3S- 、Br、又はCH3SO2- であり、
AはNC- であり、
BはCH3 であり、又は
A及びBはそれらが結合されている炭素原子と一緒にシクロペンテノン、シクロヘキセノン及びフラノンからなる群から選ばれた環を形成し、
R2はF3C-であり、
R4
【化2】
である]
の化合物の調製方法であって、
その方法が工程 (C)を含み、この場合、工程 (C)が式 (I)
【化3】
(I)
の化合物と式 (III)
【化4】
(III)
(式中、A、B、R1a 、R1b 、R2及びR4 は先に定義された意味を有する)
の化合物の立体選択的反応であり、式 (X)
【化5】
(X)
(式中、
R3
【化6】
からなる群から選ばれる)
の有機触媒の存在下で行なわれることを特徴とする前記調製方法。
【請求項2】
式 (IV-A)
【化7】
(IV-A)
の化合物の調製のための、請求項1記載の方法であって、
式 (I-A)
【化8】
(I-A)
の化合物を式 (X)の有機触媒(式中、R1a 、R1b 、R2及びR4は先に定義された意味を有する)の存在下で式 (III)の化合物と反応させることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
式 (X)の有機触媒のR3
【化9】
である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
工程 (C)を0℃から-70 ℃までの温度で行なう、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
工程 (C)を酢酸エチル、Me-THF、THF 、ジクロロメタン、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、トルエン及びDMF からなる群から選ばれた溶媒中で行なう、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
工程 (C)を0.3 モル%から10モル%までの式 (X)の有機触媒を使用して行なう、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
工程 (C)を1.0 モル当量から1.5 モル当量までの式 (I)の化合物を使用して行なう、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
工程 (C)を1.0 モル当量の式 (III)の化合物を使用して行なう、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
式 (X),
【化10】
(X)
(式中、R3
【化11】
である)
の有機触媒の調製方法であって、
その方法が二酢酸パラジウム及び式 (Y)
【化12】
(Y)
の配位子の存在下の未保護3,3´-ジブロモ-1,1-ビ -2-ナフトール と3,5-ビス-(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸のスズキ−ミヤウラカップリングを含むことを特徴とする前記方法。
【請求項10】
好中球エラスターゼ活性の阻害薬として使用するための置換二環式ジヒドロピリミジノンの製造のための、下記式(IV)の化合物の使用
式 (IV),
【化13】
(IV)
[式中、
R1a はNC- であり、
R1b はH、CH3S- 、Br、又はCH3SO2- であり、
AはNC- であり、
BはCH3 であり、又は
A及びBはそれらが結合されている炭素原子と一緒にシクロペンテノン、シクロヘキセノン及びフラノンからなる群から選ばれた環を形成し、
R2はF3C-であり、
R4
【化14】
である]。
【請求項11】
下記式(IV)の化合物を用いて、好中球エラスターゼ活性の阻害薬として使用するための置換二環式ジヒドロピリミジノンを製造する方法
式 (IV),
【化15】
(IV)
[式中、
R1a はNC- であり、
R1b はH、CH3S- 、Br、又はCH3SO2- であり、
AはNC- であり、
BはCH3 であり、又は
A及びBはそれらが結合されている炭素原子と一緒にシクロペンテノン、シクロヘキセノン及びフラノンからなる群から選ばれた環を形成し、
R2はF3C-であり、
R4
【化16】
である]
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は式(IV)の化合物の立体選択的調製方法に関する。
【化1】
(IV)
【背景技術】
【0002】
WO2014/122160 号は置換二環式ジヒドロピリミジノン及び好中球エラスターゼ活性の阻害薬としてのそれらの使用を記載している。その中に記載された中間体は式(IV)の型のものである。その中に記載された化合物の単一鏡像体はキラル相の分取クロマトグラフィーにより得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は式(IV)の化合物の立体選択的調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
使用される用語及び定義
本明細書に詳しく定義されない用語は開示及び状況に鑑みて当業者によりそれらに与えられる意味を与えられるべきである。しかしながら、明細書に使用される下記の用語は、その逆に明記されない限り、示される意味を有し、下記の通例に従われる。
以下に定義される基又は部分中で、炭素原子の数が基に先行してしばしば明記され、例えば、C1-6-アルキルは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。
一般に、HO、H2N 、S(O)、S(O)2 、NC(シアノ)、HOOC、F3C 等のような単一の基において、当業者は基それ自体の自由原子価から分子への一つ以上の基結合位置を知ることができる。二つ以上のサブグループ、最初又は最後に挙げられるサブグループ(この場合、自由原子価が示されている)を含む組み合わされた基について、例えば、置換基“アリール-C1-3-アルキル- ”はC1-3-アルキル-基(これはコアー又はその置換基が結合されている基に結合されている)に結合されているアリール基を意味する。
本発明の化合物が化学名の形態で、また式として示されている場合、不一致の場合には式が優先すべきである。アステリスク又は破線が特定されたコアー分子に連結されている結合を示すために下位の式中に使用されてもよい。
例えば、“3-カルボキシプロピル- 基”という用語は下記の置換基を表す。
【0005】
【化2】
【0006】
式中、カルボキシ基はプロピル基の3番目の炭素原子に結合されている。“1-メチルプロピル- ”、“2,2-ジメチルプロピル- ”又は“シクロプロピルメチル- ”基という用語は下記の基を表す。
【化3】
【0007】
アステリスクが特定されたコアー分子に連結されている結合を示すために下位の式中に使用されてもよい。
下記の用語の多くが式又は基の定義に繰り返して使用されてもよく、それぞれの場合に、互いに独立に、先に示された意味の一つを有する。
本明細書に使用される“置換された”という用語は、指定された原子にあるいずれか一つ以上の水素が示された基からの選択で置換されていることを意味し、但し、指定された原子の通常の原子価が超えられないこと、及びその置換が安定な化合物をもたらすことを条件とする。
特別な異性体形態が明示されない限り、本発明の化合物の全ての異性体形態(特に全ての立体異性体形態、例えば、全てのキラル形態、鏡像体形態、ジアステレオマー形態及びラセミ形態、全ての互変異性体形態及び全ての幾何異性体形態)が本発明により意図されている。明らかに、薬理学上一層強力であり、かつ/又は一層有効である異性体が好ましい。
本発明の化合物は少なくとも一つの非対称に置換された炭素原子を含み、それ故、純粋な鏡像体として、又は両方の鏡像体のラセミ混合物もしくは非ラセミ混合物として単離し得ることが認められるであろう。本発明の化合物の幾つかは一つより多いステレオジェン中心、即ち、一つよりも多い非対称に置換された炭素原子もしくは硫黄原子を含み、それ故、純粋なジアステレオマーとして、又はジアステレオマー混合物(両方とも光学活性形態又はラセミ形態)として単離し得ることが認められるであろう。
本発明は全ての考えられる立体異性体、特に本明細書に挙げられたジアステレオマー及び鏡像体、例えば、実質的に純粋な形態、濃縮形態(例えば、いずれかもしくはあらゆるその他の望ましくない鏡像体及び/又はジアステレオマーを実質的に含まない)かつ/又はあらゆる混合比のもの(ラセミ形態を含む)だけでなく、これらの塩を意図している。
一般に、実質的に純粋な立体異性体は当業者に知られている合成原理に従って、例えば、相当する混合物の分離により、立体化学上純粋な出発物質を使用することにより、かつ/又は立体選択的合成により得られる。光学活性形態を、例えば、ラセミ形態の分割により、又は、例えば、光学活性出発物質から出発する、合成により、かつ/又はキラル試薬を使用することにより調製する方法が当業界で知られている。
本発明の鏡像体上純粋な化合物又は中間体は不斉合成により、例えば、既知の方法(例えば、クロマトグラフィー分離又は結晶化)により分離し得る適当なジアステレオマー化合物又は中間体の調製及びその後の分離により、かつ/又はキラル試薬、例えば、キラル出発物質、キラル触媒又はキラル助剤を使用することにより調製し得る。
更に、鏡像体上純粋な化合物を相当するラセミ混合物から、例えば、キラル静止相による相当するラセミ混合物のクロマトグラフィー分離により、又は適当な分割剤を使用するラセミ混合物の分割により、例えば、光学活性の酸又は塩基とのラセミ化合物のジアステレオマー塩生成、その後の塩の分割及び塩からの所望の化合物の放出により、又は光学活性キラル助剤試薬による相当するラセミ化合物の誘導体化、その後のジアステレオマー分離及びキラル助剤基の除去により、又はラセミ体の動的分割(例えば、酵素分割)により、好適な条件下のエナンチオモルファス結晶の凝集物からのエナンチオ選択的結晶化により、又は光学活性キラル助剤の存在下の好適な溶媒からの(分別)結晶化により調製する方法が当業者に知られている。
【0008】
本明細書に使用される“塩”は親化合物がその酸塩又は塩基塩をつくることにより変性されている開示された化合物の誘導体を表す。塩の例として、塩基性残基、例えば、アミンの鉱酸塩又は有機酸塩、酸性残基、例えば、カルボン酸のアルカリ塩又は有機塩等が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、このような塩として、アンモニア、L-アルギニン、ベタイン、ベネタミン、ベンザシン、水酸化カルシウム、コリン、デアノール、ジエタノールアミン(2,2’-イミノビス(エタノール))、ジエチルアミン、2-(ジエチルアミノ)-エタノール、2-アミノエタノール、エチレンジアミン、N-エチル-グルカミン、ヒドラバミン、1H-イミダゾール、リシン、水酸化マグネシウム、4-(2-ヒドロキシエチル)-モルホリン、ピペラジン、水酸化カリウム、1-(2-ヒドロキシエチル)-ピロリジン、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン(2,2’,2”-ニトリロトリス(エタノール))、トロメタミン、水酸化亜鉛、酢酸、2,2-ジクロロ-酢酸、アジピン酸、アルギニン酸、アスコルビン酸塩、L-アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、2,5-ジヒドロキシ安息香酸、4-アセトアミド-安息香酸、(+)-ショウノウ酸、(+)-ショウノウ-10-スルホン酸、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、デカン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、D-グルコヘプトン酸、D-グルコン酸、D-グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2-オキソ-グルタル酸、グリセロリン酸、グリシン、グリコール酸、ヘキサン酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イソ酪酸、DL-乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、リシン、マレイン酸、(-)-L-リンゴ酸、マロン酸、DL-マンデル酸、メタンスルホン酸、ガラクタル酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オクタン酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸(エンボン酸)、リン酸塩、プロピオン酸、(-)-L-ピログルタミン酸、サリチル酸、4-アミノ-サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)-L-酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸及びウンデシレン酸からの塩が挙げられる。更なる塩がアルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛等のような金属からのカチオンで生成し得る(またPharmaceutical salts, Birge, S.M. ら著, J. Pharm. Sci., (1977), 66, 1-19を参照のこと)。
本発明の塩は塩基性部分又は酸性部分を含む親化合物から通常の化学方法により合成し得る。一般に、このような塩はこれらの化合物の遊離酸形態又は塩基形態を水又はエーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、もしくはアセトニトリルのような有機希釈剤、或いはこれらの混合物中で充分な量の適当な塩基又は酸と反応させることにより調製し得る。
例えば、本発明の化合物を精製又は単離するのに有益である上記酸以外の酸の塩(例えば、トリフルオロ酢酸塩)がまた本発明の一部を構成する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は以下に記載される合成の方法により上記課題を解決する。
本発明は式(IV)の化合物の立体選択的調製方法(スキーム1を参照のこと)に関するものであり、
【化4】
(IV)
【0010】
[式中、
R1a はNC- であり、
R1b はH、CH3S- 、Br、又はCH3SO2- であり、
AはNC- であり、
BはCH3 であり、又は
A及びBはそれらが結合されている炭素原子と一緒にシクロペンテノン、シクロヘキセノン及びフラノンからなる群から選ばれた環を形成し、
R2はF3C-であり、
R4
【化5】
である]
その方法が工程 (C)を含み、この場合、工程 (C)が式 (I)
【化6】
(I)
の化合物と式 (III)
【化7】
(III)
【0011】
(式中、A、B、R1a 、R1b 、R2及びR4は先に定義された意味を有する)
の化合物との立体選択的反応であり、式 (X)
【化8】
(X)
(式中、
R3
【化9】
からなる群から選ばれる)
の有機触媒の存在下で行なわれることを特徴とする。
【0012】
本発明の実施態様は式 (IV-A)
【化10】
(IV-A)
の化合物の調製のための上記方法(スキーム1を参照のこと)に関するものであり、
【0013】
この場合、式 (I-A)
【化11】
(I-A)
の化合物が式 (X)の有機触媒の存在下で式 (III)の化合物と反応させられ、式中、R1a 、R1b 、R2、R3及びR4 は先に定義された意味を有する。
【0014】
本発明の別の実施態様は式(IV)のR4が下記の基である、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
【化12】
【0015】
本発明の別の実施態様は式 (X)の有機触媒のR3が下記の基である、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
【化13】
【0016】
本発明の別の実施態様は工程 (C)が0℃から-70 ℃までの温度で行なわれる、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
本発明の別の実施態様は工程 (C)が-20 ℃から-70 ℃までの温度で行なわれる、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
本発明の別の実施態様は工程 (C)が-50 ℃から-60 ℃までの温度で行なわれる、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
本発明の別の実施態様は工程 (C)が酢酸エチル、Me-THF、THF 、ジクロロメタン、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、トルエン及びDMF からなる群から選ばれた溶媒中で行なわれる、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
本発明の別の実施態様は工程 (C)が酢酸エチル、Me-THF、THF 、ジクロロメタン及びトルエンからなる群から選ばれた溶媒中で行なわれる、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
本発明の別の実施態様は工程 (C)が酢酸エチル、Me-THF、THF 及びジクロロメタンからなる群から選ばれた溶媒中で行なわれる、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
【0017】
本発明の別の実施態様は工程 (C)が0.3 モル%から10モル%までの式 (X)の有機触媒を使用して行なわれる、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
本発明の別の実施態様は工程 (C)が0.5 モル%から5モル%までの式 (X)の有機触媒を使用して行なわれる、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
本発明の別の実施態様は工程 (C)が0.6 モル%から1モル%までの式 (X)の有機触媒を使用して行なわれる、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
本発明の別の実施態様は工程 (C)が1.0 モル当量から1.5 モル当量までの式 (I)の化合物を使用して行なわれる、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
本発明の別の実施態様は工程 (C)が1.0 モル当量から1.2 モル当量までの式 (I)の化合物を使用して行なわれる、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
本発明の別の実施態様は工程 (C)が1.1 モル当量の式 (I)の化合物を使用して行なわれる、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
本発明の別の実施態様は工程 (C)が1.0 モル当量の式 (III)の化合物を使用して行なわれる、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
本発明の別の実施態様は工程 (C)が工程 (B)により先行される、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関するものであり、工程 (B)では、式 (II)
【化14】
(II)
の化合物が無機塩と反応させられて式 (III)
【化15】
(III)
(式中、R1a 、R1及びR4は先に定義された意味を有する)
の化合物を得る。
【0018】
本発明の別の実施態様は工程 (B)が20℃から120 ℃までの温度で行なわれる、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
本発明の別の実施態様は工程 (B)が20℃から80℃までの温度で行なわれる、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
本発明の別の実施態様は工程 (B)が25℃から60℃までの温度で行なわれる、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
本発明の別の実施態様は工程 (B)がNa2SO4、K2CO3 、Na2CO3、Cs2CO3、CsF 、KF及び K3PO4 からなる群から選ばれた無機塩を使用して行なわれる、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
本発明の別の実施態様は工程 (B)がNa2SO4、K2CO3 、Na2CO3及びCs2CO3からなる群から選ばれた無機塩を使用して行なわれる、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
本発明の別の実施態様は工程 (B)がNa2SO4及びK2CO3 からなる群から選ばれた無機塩を使用して行なわれる、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
本発明の別の実施態様は工程 (B)が水並びにジクロロメタン、THF 、Me-THF、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル及びトルエンからなる群から選ばれた有機溶媒中で行なわれる、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
本発明の別の実施態様は工程 (B)が水並びにジクロロメタン、THF 、Me-THF及び酢酸エチルからなる群から選ばれた有機溶媒中で行なわれる、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
【0019】
本発明の別の実施態様は工程 (B)が工程 (A´)により先行される上記方法(スキーム1を参照のこと)に関するものであり、工程 (A´)では、式 (I)
【化16】
(I)
の化合物が式 (I´)
【化17】
(I´)
の置換アニリンを式 (I´´)
【化18】
(I´´)
の化合物と反応させることにより調製される。
【0020】
本発明の別の実施態様は工程 (A´)が25℃から125 ℃までの温度で行なわれる、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
本発明の別の実施態様は工程 (A´)が50℃から120 ℃までの温度で行なわれる、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
本発明の別の実施態様は工程 (A´)が70℃から100 ℃までの温度で行なわれる、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
本発明の別の実施態様は工程 (A´)がトルエン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル及びジオキサンからなる群から選ばれた溶媒中で行なわれる、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
本発明の別の実施態様は工程 (A´)がトルエン、酢酸イソプロピル及び酢酸n-ブチルからなる群から選ばれた溶媒中で行なわれる、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
本発明の別の実施態様は工程 (A´)がトルエン及び酢酸イソプロピルからなる群から選ばれた溶媒中で行なわれる、上記方法(スキーム1を参照のこと)に関する。
本発明の別の実施態様は好中球エラスターゼ活性の阻害薬としての使用のための置換二環式ジヒドロピリミジノンの製造のための、上記式(IV)の化合物の使用に関する。
本発明の別の実施態様は好中球エラスターゼ活性の阻害薬としての使用のための置換二環式ジヒドロピリミジノンの製造のための、上記式(IV)の化合物に関する。
工程 (A´)、(B) 及び(C) についての上記特定のそれぞれ及びいずれかは互いに組み合わされてもよい。
【0021】
本発明の別の実施態様は式 (X)の有機触媒の調製方法(スキーム2を参照のこと)に関するものであり、
【化19】
(X)
(式中、
R3
【化20】
である)
その方法が二酢酸パラジウム及び下記の式 (Y)
【化21】
(Y)
の配位子の存在下の3,5-ビス -(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸との未保護3,3´-ジブロモ-1,1-ビ-2-ナフトールのスズキ−ミヤウラカップリングを含むことを特徴とする。
【0022】
本発明の別の実施態様は式 (X)の有機触媒の調製方法(スキーム2を参照のこと)に関するものであり、
【化22】
(X)
(式中、
R3
【化23】
である)、
その方法が二酢酸パラジウム及び下記の式 (Y)
【化24】
(Y)
の配位子の存在下の3,5-ビス -(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸との未保護3,3´-ジブロモ-1,1-ビ-2-ナフトールのスズキ−ミヤウラカップリングを含むことを特徴とする。
【0023】
本発明の別の実施態様は式 (X)の有機触媒の調製方法(スキーム2を参照のこと)に関するものであり、
【化25】
(X)
(式中、R3
【化26】
である)、
その方法が二酢酸パラジウム及び下記の式 (Y)
【化27】
(Y)
の配位子の存在下の3,5-ビス -(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸との未保護3,3´-ジブロモ-1,1-ビ-2-ナフトールのスズキ−ミヤウラカップリングを含むことを特徴とする。
【0024】
本発明の別の実施態様は式 (X) の有機触媒の調製方法(スキーム2を参照のこと)に関するものであり、
【化28】
(X)
(式中、R3
【化29】
である)、
その方法が二酢酸パラジウム及び下記の式 (Y)
【化30】
(Y)
の配位子の存在下の3,5-ビス -(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸との未保護3,3´-ジブロモ-1,1-ビ-2-ナフトールのスズキ−ミヤウラカップリングを含むことを特徴とする。
【0025】
調製
出発物質は市販されており、又は文献もしくは本明細書に記載されている方法により調製されてもよく、或いは類似もしくは同様様式で調製されてもよい。出発物質又は中間体中のいずれかの官能基は通常の保護基を使用して保護されてもよい。これらの保護基は当業者に良く知られている方法を使用して反応順序内の好適な段階で再度開裂されてもよい。
下記の略号が実験部分に使用される。
THF −テトラヒドロフラン
DMF −ジメチルホルムアミド
Me-THF−2-メチル-テトラヒドロフラン
HPLC−高性能液体クロマトグラフィー
ee−鏡像体過剰
ESI −電子噴霧イオン化
MS−質量分析法
CAS −化学アブストラクトサービス
NMR −核磁気共鳴分析法
MPLC−中間圧液体クロマトグラフィー
HCl −塩酸
本発明の合成がスキーム1及び2に示される。
【0026】
【化31】
【0027】
スキーム 1: 式 (IV)の化合物の合成、式中、A、B、R1a 、R1b 、R2及びR4は先に定義された意味を与えられる。
【化32】
スキーム 2: 式 (X)の有機触媒の合成、式中、R3は先に定義された意味を与えられる。
【実施例】
【0028】
実施例1
カルバミン酸, (R)-N-[(4-シアノフェニル)[5-オキソ-2-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]-1-シクロペンテン-1-イル]メチル]-, 1,1-ジメチルエチルエステル
【化33】
【0029】
周囲温度で3-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]-2-シクロペンテン-1-オン(2.45 g, 10.1 ミリモル) を酢酸エチル47 ml 中で懸濁させる。(R)-3,3'-ビス [3,5-ビス (トリフルオロメチル)フェニル]-1,1'-ビナフチル-2,2'-二水素-ホスフェート 196 mg (0.25 ミリモル) の添加後に、その混合物を-70 ℃に冷却する。続いて酢酸エチル9 ml中のカルバミン酸, N-[(4-シアノフェニル)メチレン]-1,1-ジメチルエチルエステル 3.08 g (12.69 ミリモル) の溶液をその温度が-64 ℃を超えない間に添加する。-64 ℃で3時間後に、冷却を除き、その反応混合物を15時間撹拌する。HPLCコントロールが副生物の生成のないほぼ完全な反応を示す。溶媒を真空で除去し、残渣を温かい酢酸エチル4.9 mlに溶解する。n-ヘプタン6.5 mlの添加後に、その混合物に所望の生成物を接種する。続いてn-ヘプタン6.5 mlを添加する。得られる黄色の懸濁液を周囲温度で2.5 時間撹拌し、濾過する。残渣を酢酸エチル/ヘプタン3:8 5 ml で洗浄し、50℃で乾燥させる。
収量: 3.58 g (7,59 ミリモル = 75%)
保持時間HPLC (方法 A): 3.49 分
HPLC 純度: 99,4 面積%
ee: 93,2% (方法 B)
ESI-MS: (M-H)- = 470, (M + Na)+ = 494, (M + H)+ = 472
【0030】
実施例2
実施例1と同様にして、触媒として(R)-3,3'-ビス [3,5-ビス (トリフルオロメチル)フェニル]-1,1'-ビナフチル 2,2'-二水素ホスフェートに代えてその他のキラル亜リン酸を使用してこの反応を行なうことができる。
表1: 収量及びエナンチオ選択性についてのキラル亜リン酸の影響
【表1】
【0031】
実施例3
カルバミン酸, (R)-N-[(4-シアノ-2-メチルチオフェニル)[5-オキソ-2-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]-1-シクロペンテン-1-イル]メチル]-, 1,1-ジメチルエチルエステル
【化34】
【0032】
周囲温度で3-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]-2-シクロペンテン-1-オン0,2 g (0.83 ミリモル) 及び(R)-3,3'-ビス [3,5-ビス (トリフルオロメチル)フェニル]-1,1'-ビナフチル-2,2'-二水素ホスフェート23 mg (0.03 ミリモル)をトルエン5 ml中で懸濁させる。その混合物を-41 ℃に冷却し、トルエン5 ml中のカルバミン酸, N-[(2-メチルチオ-4-シアノ-フェニル)メチレン]-1,1-ジメチルエチルエステル0.296 g (0.91 ミリモル) の溶液を、その温度が-37 ℃を超えない間に添加する。-50 ℃で1時間後に、その反応混合物を-33 ℃で16時間撹拌する。続いてその温度を6時間以内に8℃に上昇させる。周囲温度で3日後にHPLCが不完全な変換を示す。溶媒を真空で除去し、その生の物質のサンプルをメタノール、水及び酢酸に溶解し、分取HPLCにより精製する。
収量: 測定せず
保持時間 HPLC (方法 C): 5.5分
ee: 45% (方法 D)
この反応をジクロロメタン中で行なう場合、不完全な変換が観察される。しかしながら、eeが65%に増大する。
【0033】
実施例4
カルバミン酸, (R)-N-[(2-ブロモ-4-シアノフェニル)[5-オキソ-2-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]-1-シクロペンテン-1-イル]メチル]-, 1,1-ジメチルエチルエステル
【化35】
【0034】
周囲温度で3-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]-2-シクロペンテン-1-オン 7.5 g (31.1 ミリモル) 及び(R)-3,3'-ビス [3,5-ビス (トリフルオロメチル)フェニル]-1,1'-ビナフチル-2,2'-二水素ホスフェート600 mg (0.78 ミリモル) を酢酸エチル150 ml中で懸濁させる。その混合物を-75 ℃に冷却し、酢酸エチル50 ml 中のカルバミン酸,N-[(2-ブロモ-4-シアノフェニル)メチレン]-1,1-ジメチルエチルエステル12.4 g(34.2 ミリモル) の溶液を、その温度が-72 ℃を超えない間に添加する。その反応混合物を15時間撹拌し、その間にその温度が-20 ℃に徐々に上昇する。続いてその混合物を0℃で1時間撹拌し、周囲温度に温める。溶媒を真空で除去し、残渣をMPLC (ジクロロメタン/メタノール 99:1)により精製する。
収量: 14.85 g (27 ミリモル = 87%)
保持時間 HPLC (方法 E): 0.74 分
純度 (NMR): 90-95%
ee: 98.5% (方法 F)
ESI-MS: (M-H)- = 548, (M + H)+ = 550
【0035】
実施例4.1
周囲温度で3-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]-2-シクロペンテン-1-オン7.5 g (31.1 ミリモル) 及び(R)-3,3'-ビス [3,5-ビス (トリフルオロメチル)フェニル]-1,1'-ビナフチル-2,2'-二水素ホスフェート600 mg (0.78 ミリモル) を酢酸エチル150 ml中で懸濁させる。その混合物を-30 ℃に冷却し、酢酸エチル50 ml 中のカルバミン酸,N-[(2-ブロモ-4-シアノフェニル)メチレン]-1,1-ジメチルエチルエステル12.4 g (34.2 ミリモル) の溶液を、その温度が-30 ℃を超えない間に添加する。その反応混合物を-30 ℃で15時間撹拌する。続いてその混合物を周囲温度に温める。溶媒の約90%を真空で除去し、結晶化した固体を濾過により単離する。
収率: 82-87%, ee = 99-100% (方法 F).
【0036】
実施例5
カルバミン酸, N-[(S)-(2-ブロモ-4-シアノフェニル)[2,5-ジヒドロ -2-オキソ -4-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]-3-フラニル]メチル]-, 1,1-ジメチルエチルエステル
【化36】
【0037】
周囲温度で4-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]-2(5H)-フラノン 8.6 g (35.3 ミリモル) 及び(R)-3,3'-ビス [3,5-ビス (トリフルオロメチル)フェニル]-1,1'-ビナフチル-2,2'-二水素ホスフェート682 mg (0.88 ミリモル) を酢酸エチル150 ml 中で懸濁させる。その混合物を-75 ℃に冷却し、酢酸エチル50 ml 中のカルバミン酸, N-[(2-ブロモ-4-シアノフェニル)メチレン]-1,1-ジメチルエチルエステル14.1 g (38.8 ミリモル) の溶液を、その温度が-72 ℃を超えない間に添加する。その反応混合物を17時間撹拌し、その間に温度が-20 ℃に徐々に上昇する。続いてその混合物を0℃で2時間撹拌し、周囲温度に温める。溶媒を真空で除去し、残渣をMPLC (ジクロロメタン/メタノール 99:1)により精製する。
収量: 14.85 g (26.9 ミリモル = 76%)
保持時間 HPLC (方法 G): 1.29 分
純度 (NMR): 約95%
ee: 88% (方法 H)
ESI-MS: (M-H)- = 550, (M + H)+ = 552, (M + NH4)+ = 569
【0038】
実施例6
カルバミン酸, N-[(S)-(2-ブロモ-4-シアノフェニル)[6-オキソ-2-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]-1-シクロヘキセン -1-イル]メチル]-, 1,1-ジメチルエチルエステル
【化37】
【0039】
-25 ℃〜-34 ℃で酢酸エチル中で3-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]- 2-シクロヘキセン-1-オン (1.31 g = 5.13 ミリモル) 、カルバミン酸, N-[(2-ブロモ-4-シアノフェニル)メチレン]-1,1-ジメチルエチルエステル (2.38 g = 7.7 ミリモル) 及び(R)-3,3'-ビス [3,5-ビス (トリフルオロメチル)フェニル]-1,1'-ビナフチル-2,2'-二水素ホスフェート97 mg (0.13 ミリモル) を使用しての実施例1と同様の合成。
収量: 1.12 g (2.0 ミリモル = 39%)
保持時間 HPLC (方法 N): 1.57 分
純度 (NMR): 80 - 90%
ee: 98% (方法 I)
ESI-MS: (M-H)- = 562, (M + H)+ = 564
【0040】
実施例7
カルバミン酸, N-[(1R,2E)-2-シアノ-1-(4-シアノフェニル)-3-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]-2-ブテン -1-イル]-, 1,1-ジメチルエチルエステル
【化38】
【0041】
-55 ℃〜-53 ℃で酢酸エチル中で(2E)-3-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]-2-ブテンニトリル (0.5 g = 2.21 ミリモル) 、カルバミン酸, N-[(4-シアノフェニル)メチレン]-1,1-ジメチルエチルエステル (0.56 g = 2.0 ミリモル) 及び(R)-3,3'-ビス [3,5-ビス (トリフルオロメチル)フェニル]-1,1'-ビナフチル-2,2'-ニ水素ホスフェート17 mg (0.022 ミリモル) を使用しての実施例1と同様の合成。生の物質を分取HPLCにより精製する。
収量: 0.28 g (0.55 ミリモル = 25%)
保持時間 HPLC (方法 N): 1.56分
純度 (NMR): 80 - 90%
ee: 87.9% (方法 K)
ESI-MS: (M-H)- = 455, (M + H)+ = 457, (M + NH4)+ = 474
【0042】
実施例8
カルバミン酸, N-[(1R,2E)-2-シアノ-1-(4-シアノ-2-メチルスルホニルフェニル)-3-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]-2-ブテン -1-イル]-, 1,1-ジメチルエチルエステル
【化39】
【0043】
-55 ℃〜-53 ℃で酢酸エチル中で(2E)-3-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]-2-ブテンニトリル (0.5 g = 2.21 ミリモル) 、カルバミン酸, N-[(4-シアノ-2-メチルスルホニルフェニル)メチレン]-1,1-ジメチルエチルエステル (0.75 g = 2.43 ミリモル) 及び(R)-3,3'-ビス [3,5-ビス (トリフルオロメチル)フェニル]-1,1'-ビナフチル-2,2'-二水素ホスフェート17 mg (0.022 ミリモル) を使用しての実施例1と同様の合成。生の物質を分取HPLCにより精製する。
収量: 0.48 g (0.9 ミリモル = 41%)
保持時間 HPLC (方法 N): 1.49分
純度 (NMR): 95%
ee: 90.6% (方法 L)
ESI-MS: (M-H)- = 533, (M + H)+ = 535, (M + NH4)+ = 552
【0044】
実施例9
カルバミン酸, (R)-N-[(4-シアノ-2-メチルスルホニルフェニル)[5-オキソ-2-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]-1-シクロペンテン-1-イル]メチル]-, 1,1-ジメチルエチルエステル
【化40】
【0045】
-29 ℃〜-27 ℃でジクロロメタン中で3-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]-2-シクロペンテン-1-オン (1.3 g = 5.24 ミリモル) 、カルバミン酸, N-[(4-シアノ-2-メチルスルホニルフェニル)メチレン]-1,1-ジメチルエチルエステル (2.0 g = 6.49 ミリモル) 及び(R)-3,3'-ビス [3,5-ビス (トリフルオロメチル)フェニル]-1,1'-ビナフチル-2,2'-二水素ホスフェート96 mg (0.12 ミリモル) を使用しての実施例1と同様の合成。生の物質を分取HPLCにより精製した。
収量: 2.89 g (4.15 ミリモル = 77%)
保持時間 HPLC (方法 N): 1.54 分
純度 (NMR): 80%
ee: 96.3% (方法 M)
ESI-MS: (M-H)- = 548, (M + H)+ = 550
【0046】
出発物質の合成
1. N-[(4-シアノフェニル)メチレン]-1,1-ジメチルエチルエステル
この化合物をA.S.Tsai ら (J Am Soc Chem 133 (5/2011) , 1248-50) により記載されたようにtert.ブチルカルバメート、ナトリウムフェニルスルフィネート及び4-シアノベンズアルデヒドをギ酸/水中で反応させ、続いて得られる中間体を水/ジクロロメタン中で炭酸カリウムで処理することにより合成した。両方の化合物の分析データは文献データと良く合致した。
【化41】
【0047】
カルバミン酸, N-[(2-メチルチオ 4-シアノ-フェニル)メチレン]-1,1-ジメチルエチルエステル、カルバミン酸, N-[(2-ブロモ-4-シアノフェニル)メチレン]-1,1-ジメチルエチルエステル、カルバミン酸, N-[(2-ブロモ-4-シアノフェニル)メチレン]-1,1-ジメチルエチルエステル及びカルバミン酸, N-[(4-シアノ-2-メチルスルホニルフェニル)メチレン]-1,1-ジメチルエチルエステルを同様の様式で調製した。
2. 3-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]-2-シクロペンテン-1-オン
この化合物をA.A.Abdelselam ら (Austr J Chem 58 (12/2005), 870-6) により記載されたようにシクロペンタン-1,3-ジオンを3-トリフルオロメチルアニリンと反応させることにより合成した。分析データは文献データと良く合致した。
【0048】
【化42】
【0049】
3. 4-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]-2(5H)-フラノン
この化合物をWO 2000053581 に記載されたように2,4(3H,5H)-フランジオンを3-トリフルオロメチルアニリンと反応させることにより合成した。分析データは文献データと良く合致した。
【0050】
【化43】
【0051】
4. 3-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]-2- シクロヘキセン-1-オン
この化合物をA.A.Abdelselam ら (Austr J Chem 58 (12/2005), 870-6)により記載されたようにシクロヘキサン-1,3-ジオンを3-トリフルオロメチルアニリンと反応させることにより合成した。分析データは文献データと良く合致した。
【化44】
【0052】
5. (2E)-3-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]-2-ブテンニトリル
この化合物をWO 2004020412 に記載されたように3-アミノ-2-ブテンニトリルを3-トリフルオロメチルアニリンと反応させることにより合成した。分析データは文献データと良く合致した。
【化45】
【0053】
(R)-3,3'-ビス [3,5-ビス (トリフルオロメチル)フェニル]-1,1'-ビナフチル-2,2'-二水素ホスフェートの合成
(R)-3,3'-ビス (3,5-ビス (トリフルオロメチル)フェニル)-[1,1'-ビナフタレン]-2,2'-ジオール (1)
【化46】
【0054】
(R)-ジブロモ-BINOL (6.0 g, 12.5 ミリモル) 、(3,5-ビス (トリフルオロメチル)フェニル)ボロン酸 (8.067 g, 31.3 ミリモル) 、Na2CO3 (3.98 g, 38.0 ミリモル) 、MeTHF (45 mL) 及びH2O (15 mL) を250-mLの反応器に仕込む。その混合物を20分間にわたってN2でパージし、次いでPd(OAc)2 (14.6 mg, 0.065 ミリモル) 及びラセミ体の4-(2,6- ジメトキシフェニル)-3-(1,1-ジメチルエチル)-2,3-ジヒドロ -1,3-ベンゾオキサホスホール (Angew Chem Int Ed 49 (2010), 5879-83, 24.7 mg, 0.075 ミリモル) を添加する。その反応液を2時間にわたって70℃に加熱し、20℃に冷却し、次いでH2O 15 mLを添加する。層を分離し、次いで有機部分を水 (20 mL)で洗浄する。有機部分をDarco 60 で処理し(0.3時間) 、濾過し、次いで溶媒をMeOH (45 mL)に切り換える。その溶液を60℃に加熱し、次いで水(45 mL) の徐々の添加により生成物を結晶化する。20℃に冷却し、生成物を濾過し、次いで減圧下で70℃で20時間にわたって乾燥させる。
収量: 8.57 g (91%)
ee >99.5% (方法 O)
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.23 (s, 4H), 8.11 (s, 2H), 7.99 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.91 (s, 2H), 7.47 (dt, J = 7.2, 1.0 Hz, 2H), 7.41 (dt, J = 8.0, 1.4 Hz, 2H), 7.22 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 5.46 (s, 2H)
【0055】
(R)-3,3'-ビス [3,5-ビス (トリフルオロメチル)フェニル]-1,1'-ビナフチル-2,2'-二水素ホスフェート
【化47】
【0056】
(R)-3,3'-ビス (3,5-ビス (トリフルオロメチル)フェニル)-[1,1'-ビナフタレン]-2,2'-ジオール(1) (5.5 g, 7.40 ミリモル) 、及びピリジン (15 mL)を250-mLの反応器に仕込む。反応温度を30℃より下に維持する間にピリジン(7.5 mL)中のオキシ塩化リン (1.71 g, 11.152 ミリモル) の溶液を徐々に添加する。その反応混合物を80℃で1.5 時間撹拌し、40℃に冷却し、次いで水 (7.5 mL) を添加し、続いて10分後にHCl (6N)溶液 (37 mL)を添加する。その反応液を1時間にわたって100 ℃に加熱し、20℃に冷却し、次いで固体を濾過する。固体を水 (15 mL)で洗浄し、次いでそれらを反応器に戻す。トルエン (60 mL)及びHCl (6N) (15 mL) を添加する。その混合物を20分間にわたって40℃に加熱し、次いで水部分を分離する。有機部分を30-40 ℃で2 x 15 mLの6N HCl 次いで (20 mL)で洗浄する。トルエンを蒸留して生成物溶液17 mL に達する。60℃に加熱し、次いでヘプタン (60 mL)を添加して生成物を結晶化する。20℃に冷却し、次いで濾過し、ヘプタンで洗浄し、次いで減圧下で20時間にわたって70℃で乾燥させる。
収量: 3.82 g (66.4 %)
ee >99.5% (方法 P)
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.01 (m, 8H), 7.57 (m, 4H), 7.42 (m, 4H), 6.28 (s, 1H).
【0057】
HPLC方法
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】
【0061】
【表6】
【0062】
【表7】
【0063】
【表8】
【0064】
【表9】
【0065】
【表10】
【0066】
【表11】
【0067】
【表12】
【0068】
【表13】
【0069】
【表14】
【0070】
【表15】
【0071】
【表16】