特許第6832922号(P6832922)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6832922選択的なホイール整合を有する外科用ロボットカート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6832922
(24)【登録日】2021年2月4日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】選択的なホイール整合を有する外科用ロボットカート
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20210215BHJP
【FI】
   A61B34/30
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-517186(P2018-517186)
(86)(22)【出願日】2016年10月5日
(65)【公表番号】特表2018-531691(P2018-531691A)
(43)【公表日】2018年11月1日
(86)【国際出願番号】US2016055393
(87)【国際公開番号】WO2017062391
(87)【国際公開日】20170413
【審査請求日】2019年10月2日
(31)【優先権主張番号】62/239,393
(32)【優先日】2015年10月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ラティモア, ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】アイスマン, ジェイソン ティー.
(72)【発明者】
【氏名】リアドン, シェーン
【審査官】 小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−150425(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3145445(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0019670(US,A1)
【文献】 米国特許第08448729(US,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0276977(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ロボットカートアセンブリであって、
ロボットアームを有するベース部分であって、前記ロボットアームは、前記ベース部分の上に操作可能に固定されている、ベース部分と、
第1のキャスタおよび第2のキャスタおよび第3のキャスタであって、前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタは、それぞれの枢動軸に沿って前記ベース部分に枢動可能に取り付けられており、前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれは、筐体ホイールホイール整合アセンブリを有し、前記ホイールは、前記筐体に回転可能に結合されており、かつホイール回転軸を画定する、第1のキャスタおよび第2のキャスタおよび第3のキャスタと
を備え、
各ホイール整合アセンブリは、
前記筐体に枢動可能に結合されている第1のペダルであって、第1の位置と第2の位置との間で移動可能な第1のペダルと、
前記筐体に枢動可能に結合されている第2のペダルであって、第1の位置と第2の位置との間で移動可能な第2のペダル
を含み、
前記第1のペダルおよび前記第2のペダルは、それらの選択的かつ独立した作動が、それらのそれぞれの枢動軸の周囲での選択された所定の配向において前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれの独立した固定をもたらし、かつ、それらのそれぞれのホイール回転軸の周囲での前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれの回転の独立した防止をもたらすように構成されており、
前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれの前記第1のペダルおよび前記第2のペダルが前記第1の位置にあるとき、前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれが、それらのそれぞれの枢動軸の周囲を自由に枢動し、かつ、それらのそれぞれのホイール回転軸の周囲を自由に回転し、
前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれの前記第1のペダルが前記第1の位置にあり、かつ、前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタの前記第2のペダルが前記第2の位置にあるとき、前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれが、それらのそれぞれの枢動軸の周囲に第1の角度を付けられた配向において固定されており、
前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれの前記第1のペダルが前記第2の位置にあり、かつ、前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタの前記第2のペダルが前記第1の位置にあるとき、前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれが、それらのそれぞれの枢動軸の周囲に第2の角度を付けられた配向において固定されており、前記第2の角度を付けられた配向は、前記第1の角度を付けられた配向とは異なり、
前記外科用ロボットカートアセンブリは、構成を含み、
前記構成において、
前記第1のキャスタの前記第1のペダルが前記第1の位置にあり、かつ、前記第1のキャスタの前記第2のペダルが前記第1の位置にあることが、前記第1のキャスタがそのホイール回転軸の周囲で回転することを可能にし、かつ、前記第1のキャスタがその枢動軸の周囲で枢動することを可能にし、
前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれの前記第1のペダルが前記第2の位置にあり、かつ、前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれの前記第2のペダルが前記第1の位置にあることが、前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれのホイール回転軸を互いに対して120度で配向し、
これにより、前記外科用ロボットカートアセンブリは、全体として、前記第1のキャスタの前記枢動軸の周囲を枢動する、外科用ロボットカートアセンブリ。
【請求項2】
前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれの前記第1のペダルおよび前記第2のペダルが前記第2の位置にあるとき、前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれが、それらのそれぞれのホイール回転軸の周囲で固定的である、請求項1に記載の外科用ロボットカートアセンブリ。
【請求項3】
前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれの前記第1のペダルおよび前記第2のペダルが前記第1の位置にあるとき、前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれが、それらのそれぞれの枢動軸およびホイール回転軸の周囲を自由に360度回転し、これにより、前記カートアセンブリがいずれの方向にも移動することを可能とする、請求項1に記載の外科用ロボットカートアセンブリ。
【請求項4】
前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれが、それらのそれぞれの枢動軸に対して角度を付けられた配向において固定されるとき、前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれのホイール回転軸が、互いに対して実質的に平行に係止され、前記カートアセンブリが並進することを可能とする、請求項2に記載の外科用ロボットカートアセンブリ。
【請求項5】
前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれが、それらのそれぞれの枢動軸に対して角度を付けられた配向において固定されるとき、前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれのホイール回転軸が、互いに対して120度で配向され、前記カートアセンブリがその中心の周囲で回転することを可能とする、請求項2に記載の外科用ロボットカートアセンブリ。
【請求項6】
前記第1の角度を付けられた配向が、事前選択されている、請求項1に記載の外科用ロボットカートアセンブリ。
【請求項7】
外科用ロボットカートアセンブリであって、
ロボットアームを有するベース部分であって、前記ロボットアームは、前記ベース部分の上に操作可能に固定されている、ベース部分と、
3つのキャスタであって、前記3つのキャスタは、それぞれの枢動軸に沿って前記ベース部分に枢動可能に取り付けられており、前記3つのキャスタのそれぞれは、筐体と、ホイール軸上で回転可能なホイールと、前記筐体および前記ホイール操作可能に接続しているホイール整合アセンブリを有する、3つのキャスタと
を備え、
各ホイール整合アセンブリは、
前記筐体に枢動可能に結合されている第1のペダルであって、第1の位置と第2の位置との間で移動可能な第1のペダルと、
前記筐体に枢動可能に結合されている第2のペダルであって、第1の位置と第2の位置との間で移動可能な第2のペダル
含み、
前記第1のペダルおよび前記第2のペダルは、それらの選択的かつ独立した作動が、それらのそれぞれの枢動軸の周囲での選択された所定の配向において前記3つのキャスタのうちの第1のキャスタおよび第2のキャスタおよび第3のキャスタのそれぞれの独立した固定をもたらし、かつ、それらのそれぞれのホイール回転軸の周囲での前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれの回転の独立した防止をもたらすように構成されており、
前記外科用ロボットカートアセンブリは、構成を含み、
前記構成において、
前記第1のキャスタの前記第1のペダルが前記第1の位置にあり、かつ、前記第1のキャスタの前記第2のペダルが前記第1の位置にあることが、前記第1のキャスタがそのホイール回転軸の周囲で回転することを可能にし、かつ、前記第1のキャスタがその枢動軸の周囲で枢動することを可能にし、
前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれの前記第1のペダルが前記第2の位置にあり、かつ、前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれの前記第2のペダルが前記第1の位置にあることが、前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれのホイール回転軸を互いに対して120度で配向し、
これにより、前記外科用ロボットカートアセンブリは、全体として、前記第1のキャスタの前記枢動軸の周囲を枢動する、外科用ロボットカートアセンブリ。
【請求項8】
前記3つのキャスタのそれぞれの前記第1のペダルおよび前記第2のペダルが前記第1の位置にあるとき、前記3つのキャスタのそれぞれが、それらのそれぞれの枢動軸の周囲を自由に枢動する、請求項に記載の外科用ロボットカートアセンブリ。
【請求項9】
前記3つのキャスタのそれぞれの前記第1のペダルおよび前記第2のペダルが前記第1の位置にあるとき、前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれが、それらのそれぞれの枢動軸およびホイール軸の周囲を自由に360度回転し、これにより、前記カートアセンブリがいずれの方向にも移動することを可能とする、請求項に記載の外科用ロボットカートアセンブリ。
【請求項10】
前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれの前記第1のペダルが前記第2の位置にあるとき、前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれは、それらのそれぞれの枢動軸に対して角度を付けられた配向において固定されている、請求項に記載の外科用ロボットカートアセンブリ。
【請求項11】
前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれの前記第1のペダルが前記第2の位置にあるとき、前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれのホイール軸が、互いに対して実質的に平行に係止され、前記カートアセンブリが並進することを可能とする、請求項10に記載の外科用ロボットカートアセンブリ。
【請求項12】
前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれの前記第1のペダルが前記第2の位置にあるとき、前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれのホイール軸が、互いに対して120度の角度で係止され、前記カートアセンブリがその中心の周囲で回転することを可能とする、請求項10に記載の外科用ロボットカートアセンブリ。
【請求項13】
前記3つのキャスタのそれぞれの前記第1のペダルおよび前記第2のペダルが前記第2の位置にあるとき、前記第1のキャスタおよび前記第2のキャスタおよび前記第3のキャスタのそれぞれが、それらのそれぞれのホイール軸の周囲で固定的である、請求項12に記載の外科用ロボットカートアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年10月9日に出願された米国仮特許出願第62/239,393号の利益及びそれに対する優先権を主張し、その内容全体が、本明細書に参照によって組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
外科用ロボットシステムは、それらの増加された正確性及び有用性により、低侵襲医療手技に使用される。外科用ロボットシステムにおいて、ロボットアームは、手首アセンブリによって、エンドエフェクタが装着された外科用器具を支持する。動作中、ロボットアームは、外科用入口または患者の自然開口を通して外科用器具を小さな切開部内に挿入し、またはその中に保持し、エンドエフェクタを患者の体内の作業部位に位置付ける。
【0003】
市場における外科用ロボットシステムの大部分は、重くかつ静止しており、再配置のためにパレットジャッキを必要とする。より現代的な外科用ロボットシステムの一部において、ロボットアームは、1組のキャスタを伴うベース部分を有する可動外科用ロボットカート上に支持される。これは、外科用ロボットシステムを、パレットジャッキを用いずに、必要に応じて種々の部屋の間で移動させることができるので、有益である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、低侵襲医療手技は、高度な正確性、精密性、及び速度を要求し、したがって、低侵襲医療手技に使用される可動外科用ロボットシステムは、動作が始まる前に高い精度で固定化することが必要である。したがって、外科用ロボットカートを精密に固定化し、かつ高度な可動性及び操作性を有する外科用ロボットカートを提供するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、改善された可動性及び操作性を提供するための新規のキャスタなどを含む外科用ロボットカートに関する。
【0006】
本開示のある実施形態に従って、外科用ロボットカートアセンブリは、ベース部分であって、その上のロボットアームを支持するように構成された、ベース部分を含む。カートアセンブリは、それぞれの枢動軸に沿ってベース部分に枢動可能に取り付けられた第1、第2、及び第3のキャスタをさらに含み、カートアセンブリがパレットジャッキを用いずに床に沿って移動することを可能とする。第1、第2、及び第3のキャスタの各々は、筐体と、そこに回転可能に結合されたホイールと、を有する。第1、第2、及び第3のキャスタの各々は、回転可能なホイール軸上で支持され、ホイール整合アセンブリを有する。各ホイール整合アセンブリは、筐体に枢動可能に結合され、第1の位置と第2の位置との間で移動可能な第1のペダルと、筐体に枢動可能に結合され、第1の位置と第2の位置との間で移動可能な第2のペダルと、を含む。第1及び第2のペダルは、ある配向において第1、第2、または第3のキャスタを固定するように構成される。第1、第2、及び第3のキャスタの各々の第1及び第2のペダルが第1の位置にあるとき、第1、第2、及び第3のキャスタの各々は、そのそれぞれの枢動軸の周囲を自由に枢動する。第1、第2、及び第3のキャスタの各々の第1のペダルが第2の位置にあるとき、第1、第2、及び第3のキャスタの各々は、そのそれぞれの枢動軸に対して角度のある配向において固定される。
【0007】
カートアセンブリは、第1、第2、及び第3のキャスタの各々の第1及び第2のペダルが第2の位置にあるとき、第1、第2、及び第3のキャスタの各々が、そのそれぞれのホイール軸の周囲で固定的であり得るようにさらに構成され得る。
【0008】
カートアセンブリは、第1、第2、及び第3のキャスタの各々の第1及び第2のペダルが第1の位置にあるとき、それぞれの第1、第2、及び第3のキャスタ各々は、そのそれぞれの枢動軸及びホイール軸の周囲を自由に360度回転し、それによってカートアセンブリがいずれの方向にも移動することを可能とするようにさらに構成され得る。
【0009】
カートアセンブリは、第1、第2、及び第3のキャスタの各々が、そのそれぞれの枢動軸に対して角度のある配向において固定されるとき、第1、第2、及び第3のキャスタのそれぞれのホイール軸の各々が、互いに対して実質的に平行に係止され得、カートアセンブリが並進することを可能とするようにさらに構成され得る。
【0010】
カートアセンブリは、第1、第2、及び第3のキャスタの各々が、そのそれぞれの枢動軸に対して角度のある配向において固定されるとき、第1、第2、及び第3のキャスタのそれぞれのホイール軸の各々が、互いに対して120度で配向され得、カートアセンブリがその中心の周囲で回転することを可能とするようにさらに構成され得る。
【0011】
カートアセンブリは、第1のキャスタの第1及び第2のペダルが第2の位置にあるとき、ならびに、第2及び第3のキャスタの第1及び第2のペダルの各々が第2の位置にあるとき、カートアセンブリが、第1のキャスタの周囲で枢動可能であり得るようにさらに構成され得る。
【0012】
カートアセンブリは、第1、第2、及び第3のキャスタの各々の角度のある配向が事前選択されているということをさらに含み得る。
【0013】
本開示の別の実施形態に従って、外科用ロボットカートアセンブリは、ベース部分であって、そこに操作可能に固設されたロボットアームを有する、ベース部分と、枢動軸に沿ってベース部分に枢動可能に取り付けられた3つのキャスタと、を含む。3つのキャスタの各々は、筐体と、ホイール軸上で回転可能なホイールと、筐体及びホイールに操作可能に接続しているホイール整合アセンブリと、を有する。各ホイール整合アセンブリは、筐体に枢動可能に結合され、第1の位置と第2の位置との間で移動可能な第1のペダルと、筐体に枢動可能に結合され、第1の位置と第2の位置との間で移動可能な第2のペダルと、を含む。第1及び第2のペダルは、ある配向においてそれぞれの3つのキャスタを固定するように構成される。
【0014】
カートアセンブリは、3つのキャスタの各々の第1及び第2のペダルが第1の位置にあるとき、3つのキャスタの各々が、そのそれぞれの枢動軸の周囲を自由に枢動し得るようにさらに構成され得る。
【0015】
カートアセンブリは、3つのキャスタの各々の第1及び第2のペダルが第1の位置にあるとき、それぞれ第1、第2、及び第3のキャスタが、そのそれぞれの枢動軸及びホイール軸の周囲を自由に360度回転し、それによってカートアセンブリがいずれの方向にも移動することを可能とするようにさらに構成され得る。
【0016】
カートアセンブリは、第1、第2、及び第3のキャスタの各々の第1のペダルが第2の位置にあるとき、第1、第2、及び第3のキャスタの各々が、そのそれぞれの枢動軸に対して角度のある配向において固定され得るようにさらに構成され得る。
【0017】
カートアセンブリは、第1、第2、及び第3のキャスタの各々の第1のペダルが第2の位置にあるとき、第1、第2、及び第3のキャスタのそれぞれのホイール軸の各々が、互いに対して実質的に平行に係止され得、カートアセンブリが並進することを可能とするようにさらに構成され得る。
【0018】
カートアセンブリは、第1、第2、及び第3のキャスタの各々の第1のペダルが第2の位置にあるとき、第1、第2、及び第3のキャスタのそれぞれのホイール軸の各々が、互いに対して120度で係止され得、カートアセンブリがその中心の周囲で回転することを可能とするようにさらに構成され得る。
【0019】
カートアセンブリは、3つのキャスタの各々の第1及び第2のペダルが第2の位置にあるとき、第1、第2、及び第3のキャスタの各々が、そのそれぞれのホイール軸の周囲で固定的であり得るようにさらに構成され得る。
【0020】
カートアセンブリは、第1のキャスタの第1及び第2のペダルが第2の位置にあるとき、ならびに、第2及び第3のキャスタの第1及び第2のペダルの各々が第2の位置にあるとき、カートアセンブリが、第1のキャスタの周囲で枢動可能であり得るようにさらに構成され得る。
【0021】
本開示の例示的な実施形態の更なる詳細及び態様は、添付図面を参照して以下により詳細に説明される。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
外科用ロボットカートアセンブリであって、
ベース部分であって、その上に操作可能に固設されたロボットアームを有する、ベース部分と、
枢動軸に沿って前記ベース部分に枢動可能に取り付けられた第1、第2、及び第3のキャスタと、を備え、前記第1、第2、及び第3のキャスタの各々が、筐体、前記筐体に回転可能に結合され、かつホイール回転軸を画定する、ホイール、及びホイール整合アセンブリを有し、各ホイール整合アセンブリが、
前記筐体に枢動可能に結合され、第1の位置と第2の位置との間で移動可能な第1のペダル、及び
前記筐体に枢動可能に結合され、第1の位置と第2の位置との間で移動可能な第2のペダルを備え、前記第1及び第2のペダルが、ある配向において、それぞれの第1、第2、または第3のキャスタを固定するように構成されており、
前記第1、第2、及び第3のキャスタの各々の前記第1及び第2のペダルが前記第1の位置にあるとき、前記第1、第2、及び第3のキャスタの各々が、そのそれぞれの枢動軸の周囲を自由に枢動し、
前記第1、第2、及び第3のキャスタの各々の前記第1のペダルが前記第2の位置にあるとき、前記第1、第2、及び第3のキャスタの各々が、そのそれぞれの枢動軸に対して角度のある配向において固定されている、外科用ロボットカートアセンブリ。
(項目2)
前記第1、第2、及び第3のキャスタの各々の前記第1及び第2のペダルが前記第2の位置にあるとき、前記第1、第2、及び第3のキャスタの各々が、そのそれぞれのホイール回転軸の周囲で固定的である、項目1に記載の外科用ロボットカートアセンブリ。
(項目3)
前記第1、第2、及び第3のキャスタの各々の前記第1及び第2のペダルが前記第1の位置にあるとき、前記それぞれの第1、第2、及び第3のキャスタ各々が、そのそれぞれの枢動軸及びホイール回転軸の周囲を自由に360度回転し、それによって前記カートアセンブリがいずれの方向にも移動することを可能とする、項目1に記載の外科用ロボットカートアセンブリ。
(項目4)
前記第1、第2、及び第3のキャスタの各々が、そのそれぞれの枢動軸に対して角度のある配向において固定されるとき、前記第1、第2、及び第3のキャスタ各々のそれぞれのホイール回転軸が、互いに対して実質的に平行に係止され、前記カートアセンブリが並進することを可能とする、項目2に記載の外科用ロボットカートアセンブリ。
(項目5)
前記第1、第2、及び第3のキャスタの各々が、そのそれぞれの枢動軸に対して角度のある配向において固定されるとき、前記第1、第2、及び第3のキャスタ各々のそれぞれのホイール回転軸が、互いに対して120度で配向され、前記カートアセンブリがその中心の周囲で回転することを可能とする、項目2に記載の外科用ロボットカートアセンブリ。
(項目6)
前記第1のキャスタの前記第1及び第2のペダルが前記第2の位置にあるとき、ならびに、前記第2及び第3のキャスタの前記第1及び第2のペダルの各々が、前記第2の位置にあるとき、前記カートアセンブリが、前記第1のキャスタの周囲を枢動可能である、項目5に記載の外科用ロボットカートアセンブリ。
(項目7)
前記角度のある配向が、事前選択されている、項目1に記載の外科用ロボットカートアセンブリ。
(項目8)
外科用ロボットカートアセンブリであって、
ベース部分であって、その上に操作可能に固設されたロボットアームを有する、ベース部分と、
枢動軸に沿って前記ベース部分に枢動可能に取り付けられた3つのキャスタと、を備え、前記3つのキャスタの各々が、筐体、ホイール軸上で回転可能なホイール、ならびに前記筐体及び前記ホイールに操作可能に接続しているホイール整合アセンブリを有し、各ホイール整合アセンブリが、
前記筐体に枢動可能に結合され、第1の位置と第2の位置との間で移動可能な第1のペダル、及び
前記筐体に枢動可能に結合され、第1の位置と第2の位置との間で移動可能な第2のペダルを備え、前記第1及び第2のペダルが、ある配向において、前記それぞれの3つのキャスタを固定するように構成されている、外科用ロボットカートアセンブリ。
(項目9)
前記3つのキャスタの各々の前記第1及び第2のペダルが前記第1の位置にあるとき、前記3つのキャスタの各々が、そのそれぞれの枢動軸の周囲を自由に枢動する、項目8に記載の外科用ロボットカートアセンブリ。
(項目10)
前記3つのキャスタの各々の前記第1及び第2のペダルが前記第1の位置にあるとき、前記それぞれ第1、第2、及び第3のキャスタが、そのそれぞれの枢動軸及びホイール軸の周囲を自由に360度回転し、それによって前記カートアセンブリがいずれの方向にも移動することを可能とする、項目9に記載の外科用ロボットカートアセンブリ。
(項目11)
前記第1、第2、及び第3のキャスタの各々の前記第1のペダルが前記第2の位置にあるとき、前記第1、第2、及び第3のキャスタの各々は、そのそれぞれの枢動軸に対して角度のある配向において固定されている、項目9に記載の外科用ロボットカートアセンブリ。
(項目12)
前記第1、第2、及び第3のキャスタの各々の前記第1のペダルが前記第2の位置にあるとき、前記第1、第2、及び第3のキャスタのそれぞれのホイール軸の各々が、互いに対して実質的に平行に係止され、前記カートアセンブリが並進することを可能とする、項目11に記載の外科用ロボットカートアセンブリ。
(項目13)
前記第1、第2、及び第3のキャスタの各々の前記第1のペダルが前記第2の位置にあるとき、前記第1、第2、及び第3のキャスタのそれぞれのホイール軸の各々が、互いに対して120度の角度で係止され、前記カートアセンブリがその中心の周囲で回転することを可能とする、項目11に記載の外科用ロボットカートアセンブリ。
(項目14)
前記3つのキャスタの各々の前記第1及び第2のペダルが前記第2の位置にあるとき、前記第1、第2、及び第3のキャスタの各々が、そのそれぞれのホイール軸の周囲で固定的である、項目13に記載の外科用ロボットカートアセンブリ。
(項目15)
前記第1のキャスタの前記第1及び第2のペダルが前記第2の位置にあるとき、ならびに、前記第2及び第3のキャスタの前記第1及び第2のペダルの各々が、前記第2の位置にあるとき、前記カートアセンブリが、前記第1のキャスタの周囲を枢動可能である、項目14に記載の外科用ロボットカートアセンブリ。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本開示の実施形態を例示し、上記で与えられた開示の一般的な説明、及び下記に与えられる例示的な実施形態(複数可)の詳細な説明と共に、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0023】
図1】本開示に従う外科用ロボットカートアセンブリの概略図である。
図2】ベース部分及び各々が固定化アセンブリを有する複数のキャスタを示す図1の外科用ロボットカートアセンブリの正面立面図である。
図3】係止解除位置にある複数のキャスタの各々の固定化アセンブリを示す、図1の外科用ロボットカートアセンブリの底部平面図である。
図4】第1の配向において係止された複数のキャスタの各々の固定化アセンブリを示す、図1の外科用ロボットカートアセンブリの底部平面図である。
図5】第2の配向において係止された複数のキャスタの各々の固定化アセンブリを示す、図1の外科用ロボットカートアセンブリの底部平面図である。
図6】第3の配向において係止された複数のキャスタの各々の固定化アセンブリを示す、図1の外科用ロボットカートアセンブリの底部平面図である。
図7】第3の配向において係止された複数のキャスタの3つの固定化アセンブリのうちの2つを示す、図1の外科用ロボットカートアセンブリの底部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の実施形態は、図面を参照して詳細に説明され、図面中、同じ参照番号は、いくつかの図面の各々において同一または対応する要素を示す。
【0025】
図1及び図2を参照すると、本開示に従って使用するように構成された外科用ロボットカートアセンブリの1つの例示的な実施形態が、概して100として識別されるが、本開示の態様及び特徴は、任意の好適な外科用ロボットカートアセンブリに同様に組み込まれることもまた想定される。外科用ロボットカートアセンブリ100は、概して、ロボットアーム102と、垂直支柱200と、ベース部分300と、を含む。ベース部分300は、そこに結合された複数のキャスタ400、500、及び600を含む。キャスタ400、500、及び600の各々は、それぞれの枢動軸の周囲を旋回するように構成され、外科用ロボットカートアセンブリ100が移動することを可能にするように、または外科用ロボットカートアセンブリ100の移動を抑制するように構成される。キャスタ400、500、及び600の各々は、それぞれの筐体410、510、及び610を含み、それぞれの筐体410、510、及び610の各々は、ベース部分300に枢動可能に取り付けられ、それぞれの枢動または旋回軸「PA4」、「PA5」、及び「PA6」を画定する。
【0026】
キャスタ400、500、及び600は、それぞれの筐体420、520、及び620の各々に回転可能に結合された1組のホイール430、530、及び630をさらに含む。1組のホイールが述べられているが、任意の好適な数のホイールが使用され得る。ホイール430、530、及び630各々は、「WA4」、「WA5」、及び「WA6」として示された、その中心を通るそれぞれのホイール軸を画定する。
【0027】
キャスタ400、500、及び600の各々は、それぞれの第1のペダル440、540、及び640、ならびにそれぞれの第2のペダル450、550、及び650を有する固定化システムをさらに含む。第1及び第2のペダル440、540、640、450、550、及び650は、それぞれの筐体420、520、及び620に枢動可能に結合され、それぞれのホイール430、530、及び630に操作可能に接続される。各それぞれの第1のペダル440、540、及び640、ならびに第2のペダル450、550、及び650は、第1の位置と第2の位置との間を移動するように構成される。
【0028】
第1のペダル440、540、及び640の各々は、それぞれのキャスタ400、500、及び600を、それぞれの第1のペダル440、540、及び640が第1の位置にあるときの係止解除配向と、それぞれの第1のペダルが第2の位置にあるときの第1の係止配向との間で移動させる。第2のペダル450、550、及び650の各々は、それぞれのキャスタ400、500、及び600を、それぞれの第2のペダル440、540、及び640が第1の位置にあるときの係止解除配向と、それぞれの第2のペダル440、540、640が第2の位置にあるときの第2の係止配向との間で移動させる。
【0029】
図2を参照すると、キャスタ400、500の第1のペダル440及び540は、第1の位置に配置されて示され、一方でキャスタ600のペダル640は、第2の位置に配置される。
【0030】
続けて図2を参照すると、第2のペダル450は第1の位置において示され、一方で第2のペダル550及び650は、第2の位置にある。
【0031】
動作中、それぞれのキャスタ400、500及び600の各々は、下記に挙げられる4つの異なる可能な配向のうちの1つとなり得る。
【0032】
配向I。第1のペダルが第1の位置にあり、第2のペダルが第1の位置にあるとき、キャスタのホイールが自由に回転する。
【0033】
配向II。第1のペダルが第1の位置にあり、第2のペダルが第2の位置にあるとき、キャスタが第1の角度のある配向において固定される。
【0034】
配向III。第1のペダルが第2の位置にあり、第2のペダルが第1の位置にあるとき、キャスタは第1の角度のある配向とは異なる第2の角度のある配向において固定される。
【0035】
配向IV。第1のペダルが第2の位置にあり、第2のペダルが第2の位置にあるとき、キャスタのホイールはそのいかなる回転に対しても係止される。
【0036】
キャスタの第1及び第2の角度のある配向は、事前決定され得る。例えば、図2を参照すると、キャスタ400は配向Iにあり、キャスタ500は配向IIにあり、キャスタ600は配向IVにある。操作者は、外科用ロボットカートアセンブリ100の移動モードを変更するために、それぞれのキャスタ400、500、及び600各々の配向を選択し得る。
【0037】
図3〜5を参照すると、キャスタ400、500、及び600の各々は、選択された配向にある。図3に示されるように、キャスタ400、500、及び600の各々は、配向Iにあり、それによって外科用ロボットカートアセンブリ100が、例えば、その中心の周囲を回転する、長手方向に並進する、横方向に並進する、または任意のそれらの組み合わせといった操作性を完了することを可能とする。図4に示されるように、キャスタ400、500、及び600の各々は、配向IIにある。配向IIにおいて、互いに対して平行であるそれぞれのホイール軸「WA4」、「WA5」、及び「WA6」の各々を有して、外科用ロボットカートアセンブリ100は、単一の横方向に並進し得る。この構成において、外科用ロボットカートアセンブリ100は、外科手術台の側面に沿って移動され得ると考えられる。代替的に、図5に示されるように、キャスタ400、500、及び600の各々が配向IIにあり、それぞれのホイール軸「WA4」、「WA5」、及び「WA6」が互いに対して平行である(2つのホイール軸が共通軸上に配置される)とき、外科用ロボットカートアセンブリ100は、長手方向に並進し得る。この構成において、外科用ロボットカートアセンブリ100は、外科手術台に向かってまたは外科手術台から離れて移動され得ると考えられる。
【0038】
図6を参照すると、キャスタ400、500、及び600の各々は、配向IIIにある。配向IIIにおいて、それぞれのホイール軸「WA4」、「WA5」、及び「WA6」の各々は、互いに対して120度の角度で配置され、外科用ロボットカートアセンブリ100がその中心「C」の周囲を回転することを可能とする。
【0039】
次に図7を参照すると、外科用ロボットカートアセンブリ100は、配向IIIにあるキャスタ400及び600を有し、一方でキャスタ500が、配向Iにある。キャスタ400及び600は、それぞれのホイール軸「WA4」及び「WA6」が互いに対して120度の角度で位置付けられ、係止解除されたキャスタ500が自由に回転するように固定された配向にある。使用中、そのように構成される際、外科用ロボットカートアセンブリ100は、係止解除されたキャスタ500の枢動軸「PA5」の周囲を自由に枢動する。
【0040】
本開示に従い、外科用ロボットカートアセンブリ100が、本明細書において3つのキャスタ、すなわち400、500、及び600を有するとして図示及び説明される一方で、本開示の範囲内で、任意の数のキャスタ、例えば、4つのキャスタなどが、ベース部分300を支持するために使用され得ると考えられる。4つのキャスタが提供される場合、キャスタは、互いに対して任意の数の配向において係止され得、本明細書に記載された外科用ロボットカートアセンブリ100の移動モードのいずれも可能となる。
【0041】
また本開示に従い、各キャスタ400、500、及び600が、それぞれの及び独立した係止ペダルを含む一方で、本開示の範囲内で、外科用ロボットカートアセンブリ100は、各キャスタに操作可能に接続される単一の集中係止機構または類似品(図示せず)を備え得ることが考えられ、集中係止機構の単一の作動が、全てのキャスタの同時係止/係止解除をもたらし得る。集中係止機構は、複数の個別の設定、例えば、全てのキャスタが自由に移動する、少なくとも1つのキャスタが係止される、少なくとも1つのキャスタが第1の角度で係止される、少なくとも1つのキャスタが第1の角度とは異なる第2の角度で係止される、またはその任意の組み合わせを有するように構成され得る。集中係止機構は、完全機械式機構または電気機械式機構(係止/係止解除及び/または角度付けを達成するための電子機器及びモータを含む)となり得る。
【0042】
本開示のいくつかの実施形態が図面に示されたが、本開示は当該技術分野が認めるような範囲の広さであること、及び本明細書が同様に読まれることが意図されることから、本開示はそれに限定されないことが意図される。上記実施形態の任意の組み合わせもまた、想定され、特許請求された発明の範囲内にある。したがって、上記説明は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単に特定の実施形態の例示として解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付された特許請求の範囲及び趣旨内の他の修正を想定する。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7