特許第6832940号(P6832940)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルケマ フランスの特許一覧

特許68329402−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを生成するための方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6832940
(24)【登録日】2021年2月4日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを生成するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 17/20 20060101AFI20210215BHJP
   C07C 17/25 20060101ALI20210215BHJP
   C07C 21/18 20060101ALI20210215BHJP
   B01J 27/12 20060101ALI20210215BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20210215BHJP
【FI】
   C07C17/20
   C07C17/25
   C07C21/18
   B01J27/12 Z
   !C07B61/00 300
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-539299(P2018-539299)
(86)(22)【出願日】2017年1月13日
(65)【公表番号】特表2019-504841(P2019-504841A)
(43)【公表日】2019年2月21日
(86)【国際出願番号】FR2017050079
(87)【国際公開番号】WO2017129878
(87)【国際公開日】20170803
【審査請求日】2019年12月13日
(31)【優先権主張番号】1650673
(32)【優先日】2016年1月28日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ドゥール−ベール, ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ガレ, ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ピガモ, アン
(72)【発明者】
【氏名】ベンドリンガー, ローラン
【審査官】 二星 陽帥
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−515876(JP,A)
【文献】 特表2015−522521(JP,A)
【文献】 特開昭49−133308(JP,A)
【文献】 特開平10−067693(JP,A)
【文献】 特表2012−524027(JP,A)
【文献】 特表2012−526044(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102442881(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第102614901(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 17/20
B01J 27/12
C07C 17/25
C07C 21/18
CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式CXCHClCHX又はCXCFClCHのハロプロパン又は式CClXCCl=CH又はCX=CClCHXのハロプロペン(式中、Xは、独立してフッ素又は塩素原子を表す)からなる群より選択される少なくとも一つの化合物Aから開始して2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)を製造するための方法であって、前記少なくとも一つの化合物Aを、225℃から450℃の温度で、フッ素化触媒AlF又はフッ素化アルミナの存在下、HFと気相で接触させ、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)を含むガス状の流れBを形成する工程を含み、前記少なくとも一つの化合物Aが、2,3−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロプロパン(HCFC−243db)、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)、2,3,3,3−テトラクロロプロペン(HCO−1230xf)及び/又は1,1,2,3−テトラクロロプロペン(HCO−1230xa)からなる群より選択されることを特徴とする方法。
【請求項2】
流れBがトリクロロフルオロプロペン(HCFO−1231)も含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
流れBがジクロロジフルオロプロペン(HCFO−1232)も含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
接触させる工程が、250℃から400℃の温度で実施される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
接触させる工程が、前記少なくとも一つの化合物Aに対するHFのモル比が0.5から50で実施されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
接触させる工程が、0.5から20バールの圧力で実施されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
流れBが、2,3,3,3−テトラクロロプロペン(HCO−1230xf)、1,1,2,3−テトラクロロプロペン(HCO−1230xa)、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)、1,1,2,3−テトラクロロ−1−フルオロプロパン(HCFC−241db)及び/又は1,2,3−トリクロロ−1,1−ジフルオロプロパン(HCFC−242dc)も含むことを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
流れBが分離されて、2,3,3,3−テトラクロロプロペン(HCO−1230xf)、1,1,2,3−テトラクロロプロペン(HCO−1230xa)、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)、1,1,2,3−テトラクロロ−1−フルオロプロパン(HCFC−241db)及び1,2,3−トリクロロ−1,1−ジフルオロプロパン(HCFC−242dc)を含む液相Cと、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)、トリクロロフルオロプロペン(HCFC−1231)及びジクロロジフルオロプロペン(HCFC−1232)を含むガス状の流れDとが形成されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒の存在下における少なくとも一つの気相フッ素化工程を含む、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
その低い地球温暖化係数のために、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)は、自動車の空調においてHFC−134aに代わる可能性のある候補と考えられている。
【0003】
2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)は、第1の段階で、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)を触媒の存在下、HFと反応させて1,1,1,2−テトラフルオロ−2−クロロプロパン(HCFC−244bb)を生じさせ、次いでHCFC−244bbを第2の触媒上でHFと反応させることにより得ることができる(国際公開第2007/079431号)。
【0004】
国際公開第2010/123154号には、任意選択的にフッ素化されてもよい式CrO(1.5<m<3)のクロム酸化物触媒を用いて、酸素の存在下、HCFO−1233xfをHFと反応させることにより、HFO−1234yfを製造するための方法が記載されている。
【0005】
国際公開第2009/015317号には、触媒であるCr及び安定剤であるジイソプロピルアミンの存在下、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを製造するための方法が記載されている。安定剤の非存在下では、触媒の耐用期間は限られる。
【発明の概要】
【0006】
本発明者はここに、産業使用可能で先行技術の欠点を有さない2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)の調製方法を開発した。
【0007】
具体的には、本発明は、式CXCHClCHX又はCXCFClCHのハロプロパン又は式CClXCCl=CH又はCX=CClCHXのハロプロペン(Xは独立してフッ素又は塩素原子を表す)からなる群より選択される少なくとも一つの化合物Aから開始して、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)を製造するための方法を提供する。
【0008】
本発明による方法は、フッ素化触媒の存在下、少なくとも一つの化合物AをHFと気相で接触させてガス状の流れBを形成する工程を含む。
【0009】
好ましい一実施態様によれば、フッ素化触媒は、AlF又はフッ素化アルミナ;特にAlFである。使用される触媒は、バルク又は担持触媒とすることができる。担体は、活性炭、フッ化マグネシウム又はフッ化ジルコニウムとすることができる。一実施態様によれば、フッ素化触媒はAlF又はフッ素化アルミナである。代替的に、触媒はTi、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mg、Ca、Sr、Ba、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、Cd、Sn、Sb、Te、Ta、W、P及びBi、又はこれらの混合物から選択される共触媒も含みうる。共触媒/触媒の原子比率は好ましくは0.01から1である。
【0010】
好ましくは、接触させることは安定剤の非存在下で実施される。
【0011】
好ましい一実施態様によれば、流れBは2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)と3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)を含む。特定の一実施態様によれば、流れBはトリクロロフルオロプロペン(HCFO−1231)も含む。用語「トリクロロフルオロプロペン」は、2,3,3−トリクロロ−3−フルオロプロペン(HCFO−1231xf)、1,2,3−トリクロロ−1−フルオロプロペン(Z/E−HCFO−1231xb)及び1,1,2−トリクロロ−3−フルオロプロペン(HCFO−1231xa)といったトリクロロフルオロプロペン異性体を含む。特定の一実施態様によれば、流れBはトリクロロフルオロプロペン(HCFO−1232)も含む。用語「ジクロロフルオロプロペン」は、2,3−ジクロロ−3,3−ジフルオロプロペン(HCFO−1232xf)、2,3−ジクロロ−1,1−ジフルオロプロペン(HCFO−1232xc)及び1,2−ジクロロ−1,3−ジフルオロプロペン(HCFO−1232xb)といったジクロロフルオロプロペン異性体を含む。好ましくは、流れBは2,3−ジクロロ−3,3−ジフルオロプロペン(HCFO−1232xf)も含む。
【0012】
好ましくは、接触させることは、225℃から450℃、特に250℃から400℃の温度で実施される。
【0013】
好ましくは、接触させる工程は、前記少なくとも一つの化合物Aに対するHFのモル比が0.5から50、好ましくは1から30で実施される。
【0014】
接触させる工程は、通常0.5から20バール、好ましくは1から9バールの圧力で実施される。
【0015】
接触させる工程は、1から500時間、好ましくは50から400時間の時間にわたって実施されうる。接触時間は、1から100秒、有利には1から75秒、好ましくは5から50秒とすることができる。
【0016】
一実施態様によれば、前記少なくとも一つの化合物Aは、式CXCHClCHX又はCXCFClCHの少なくとも一つのハロプロパン(Xは独立してフッ素又は塩素原子を表す);又は式CClXCCl=CH又はCX=CClCHXのハロプロペン(Xは塩素原子を表す)である。
【0017】
好ましい一実施態様によれば、前記少なくとも一つの化合物Aは、2,3−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロプロパン(HCFC−243db)、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)、2,3,3,3−テトラクロロプロペン(HCO−1230xf)及び/又は1,1,2,3−テトラクロロプロペン(HCO−1230xa)から選択される。好ましくは、前記少なくとも一つの化合物Aは、2,3−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロプロパン(HCFC−243db)、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)及び/又は1,1,2,3−テトラクロロプロペン(HCO−1230xa)から選択される。
【0018】
好ましくは、本発明は、少なくとも一つの上述の接触させる工程を含む、2,3−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロプロパン(HCFC−243db)、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)、2,3,3,3−テトラクロロプロペン(HCFO−1230xf)及び/又は1,1,2,3−テトラクロロプロペン(HCO−1230xa)から、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)を製造するための方法を提供する。
【0019】
好ましい一実施態様によれば、本発明は、2,3−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロプロパン(HCFC−243db)、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)、2,3,3,3−テトラクロロプロペン(HCFO−1230xf)及び/又は1,1,2,3−テトラクロロプロペン(HCO−1230xa)を、AlF又はフッ素化アルミナ触媒の存在下、HFと気相で接触させて、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)を含む流れB;有利には2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)を含む流れB;好ましくは2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)及びトリクロロフルオロプロペン(HCFO−1231)を含む流れB;特に2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)、トリクロロフルオロプロペン(HCFO−1231)、ジクロロジフルオロプロペン(HCFO−1232)及び任意選択的にCO及び/又はCOを含む流れBを形成することにより、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)を製造するための方法を提供する。
【0020】
特定の一実施態様によれば、本発明はまた、2,3−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロプロパン(HCFC−243db)を、AlF又はフッ素化アルミナ触媒の存在下、HFと気相で接触させて、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)を含む流れB;有利には2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)を含む流れB;好ましくは2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)及びトリクロロフルオロプロペン(HCFO−1231)を含む流れB;特に2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)、トリクロロフルオロプロペン(HCFO−1231)、ジクロロジフルオロプロペン(HCFO−1232)及び任意選択的にCO及び/又はCOを含む流れBを形成することにより、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)を製造するための方法を提供する。
【0021】
特定の一実施態様によれば、本発明はまた、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)を、AlF又はフッ素化アルミナ触媒の存在下、HFと気相で接触させて、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)を含む流れB;有利には2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)を含む流れB;好ましくは2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)及びトリクロロフルオロプロペン(HCFO−1231)を含む流れB;特に2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)、トリクロロフルオロプロペン(HCFO−1231)、ジクロロジフルオロプロペン(HCFO−1232)及び任意選択的にCO及び/又はCOを含む流れBを形成することにより、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1233xf)を製造するための方法を提供する。
【0022】
特定の一実施態様によれば、本発明はまた、2,3,3,3−テトラクロロプロペン(HCFO−1230xf)を、AlF又はフッ素化アルミナ触媒の存在下、HFと気相で接触させて、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)を含む流れB;有利には2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)を含む流れB;好ましくは2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)及びトリクロロフルオロプロペン(HCFO−1231)を含む流れB;特に2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)、トリクロロフルオロプロペン(HCFO−1231)、ジクロロジフルオロプロペン(HCFO−1232)及び任意選択的にCO及び/又はCOを含む流れBを形成することにより、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1233xf)を製造するための方法を提供する。
【0023】
特定の一実施態様によれば、本発明はまた、1,1,2,3−テトラクロロプロペン(HCO−1230xa)を、AlF又はフッ素化アルミナ触媒の存在下、HFと気相で接触させて、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)を含む流れB;有利には2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)及び3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)を含む流れB;好ましくは2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)及びトリクロロフルオロプロペン(HCFO−1231)を含む流れB;特に2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)、トリクロロフルオロプロペン(HCFO−1231)、ジクロロジフルオロプロペン(HCFO−1232)及び任意選択的にCO及び/又はCOを含む流れBを形成することにより、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1233xf)を製造するための方法を提供する。
【0024】
流れBは、以下の化合物、即ち2,3,3,3−テトラクロロプロペン(HCO−1230xf)、1,1,2,3−テトラクロロプロペン(HCO−1230xa)、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)、1,1,2,3−テトラクロロ−1−フルオロプロパン(HCFC−241db)及び/又は1,2,3−トリクロロ−1,1−ジフルオロプロパン(HCFC−242dc)の一又は複数も含みうる。
【0025】
得られた流れBは、HCFO−1233xfを含む流れを単離するために精製してもよく又は2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を製造するための方法に使用してもよい。本発明による方法は、連続モード又はバッチモードで実施することができる。
【0026】
特定の一実施態様によれば、流れBは、分離されてガス状の流れDと液相Cを形成する。液相Cは、2,3,3,3−テトラクロロプロペン(HCO−1230xf)、1,1,2,3−テトラクロロプロペン(HCO−1230xa)、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240db)及び/又は1,1,2,3−テトラクロロ−1−フルオロプロパン(HCFC−241db)を含みうる。液相Cは、1,2,3−トリクロロ−1,1−ジフルオロプロパン(HCFC−242dc)も含みうる。液相Cは、2,3,3−クロロ−3−フルオロ−プロペン(HCFO−1231xf)、1,2,3−トリクロロ−1−フルオロプロペン(Z/E−HCFO−1231xb)又は2,3−ジクロロ−3,3−ジフルオロプロペン(HCFO−1232xf)も含みうる。ガス状の流れDは、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)、トリクロロフルオロプロペン(HCFO−1231)又はジクロロジフルオロプロペン(HCFO−1232)を含みうる。
【実施例】
【0027】
フッ素化リアクターに、AlF型の触媒床を充填する。HCC−240dbのフッ素化のための反応は、275から375℃の温度及び1バールの絶対圧力で実施される。一連の四つの試験を、以下の表1に列挙した条件に従って実施した。
【0028】
【0029】
反応の最後に得られた流れは凝縮されて、液相及び気相を形成する。得られた液相はH及び19F NMRにより分析される。結果を表2に列挙する。
【0030】
【0031】
気相はGC及びGC−MSにより分析される。実施例1から4について気相において確認された化合物を以下の表3に詳細に示す。
【0032】