(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記腸溶性化合物が、ポリ(メチルアクリレート−コ−メチルメタクリレート−コ−メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸−コ−メチルメタクリレート)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、シェラック、ゼイン、及びこれらの混合物から成る群より選択される、請求項7に記載の製剤。
製剤が、最小治療有効濃度よりも高く、TIDまたはBIDのIR製剤としてのビロキサジンの投与によって生じる最大血漿中濃度に対して80%〜125%の範囲内にあるビロキサジンの最大定常状態血漿中濃度(Cmax)を提供する、請求項1に記載の製剤。
製剤が、TIDまたはBIDの即放性製剤として投与されるビロキサジンと比較して80%〜125%の範囲内にある、24時間の投与間隔についての相対定常状態ビロキサジン血漿中濃度−時間プロファイル下面積(AUCtau)を提供する、請求項1に記載の製剤。
錠剤、浸透圧錠剤、カプセル剤、ビーズ、顆粒剤、散剤、カプレット剤、トローチ剤、サシェ、カシェ、ポーチ、及びスプリンクルから選択される剤形中の請求項1に記載の製剤。
【発明を実施するための形態】
【0021】
定義
特に断りのない限り、「1つの(a)」または「1つの(an)」は、本願において「1以上」を意味する。
【0022】
特に断りのない限り、用語「ビロキサジン」は、「(RS)−2−[(2−エトキシフ
ェノキシ)メチル]モルホリンまたはその薬学的に許容される塩もしくはエステル、任意
のその多形体、ならびにRおよびS鏡像異性体の様々な混合物または実質的に純粋な形態のRもしくはS鏡像異性体のいずれか一方を意味する。
【0023】
「即放性製剤」とは、1時間以内に活性薬剤の80重量%以上を放出する製剤を指す。
【0024】
用語「緩和放出」は、即放とは異なる放出の任意のモードを包含する。
【0025】
本願において、用語「腸溶性化合物」は、pH依存性の溶解度を有する化合物を意味するために使用される。
【0026】
本明細書で使用する用語「粒子」には、その性質およびサイズに制限なく、任意の粒子、スフェア、ビーズ、顆粒、ペレット、ミニ錠、微粒子が含まれる。
【0027】
用語「徐放」は、溶解試験などのインビトロまたは薬物含有実体の経口摂取後のインビボのいずれかで少なくとも2時間にわたって、薬物物質の少なくとも80%が製剤から放出されることを指す。
【0028】
用語「遅延放出」は、4.5未満のpHでの薬物物質の放出は実質的にないが、製剤が4.5以上のpHに曝された時に薬物物質が放出される製剤を指す。
【0029】
用語「コア」は、薬物の有無に関わらず、構造単位(例えば、ビーズ)の内部基盤を指す。
【0030】
用語「薬学的に許容される賦形剤」は、USP−NF、食品用公定化学品集、連邦規則(CFR)、FDA不活性成分ガイドなどの概要に発表されている研究論文に記載のものならびに一般的に安全な(GRAS)食品成分とみなされる物質を一覧表にしている21CFRパート182および184に記載のものなどの、業界および規制当局によって十分に受け入れられている物質を指す。
【0031】
本願において薬物物質についての用語「高薬物負荷」は、組成物中の薬物物質が少なくとも25%(w/w)に相当する製剤に適用される。
【0032】
「可溶性薬物物質」は、可溶性物質のためのUSP定義に従って定義される−物質1部は、溶剤10〜30部に溶解できる。
【0033】
本願の目的のために、用語「篩サイズ」または「メッシュサイズ」は互換的に使用され、米国標準篩の指定に従う。
【0034】
本発明の製剤は、ビロキサジン、少なくとも1つの放出速度制御化合物もしくは腸溶性化合物、またはそれらの組み合わせ、および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含むビロキサジンの緩和放出組成物を提供する。さらに、本発明は、高薬物負荷でビロキサジンの緩和放出製剤を提供する。
【0035】
ビロキサジンの緩和放出製剤は、XRプロファイル、またはDRプロファイル、またはXRプロファイルとDRプロファイルの組み合わせ、またはIRプロファイルとのこれらの任意の組み合わせを示す。いくつかの実施形態において、この製剤は、パルス放出プロファイルを示すことができる。これらの具体的な放出プロファイルは、様々な独創的な製剤中でビロキサジンを少なくとも1つの放出速度制御化合物および/または腸溶性化合物と、ならびに少なくとも1つの賦形剤と製剤化することによって達成される。
【0036】
本発明の放出速度制御化合物は、親水性速度制御化合物および疎水性速度制御化合物から選択できる。このような化合物の非限定的な例を以下に提供する。
【0037】
親水性化合物:ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、アカシア、アクリル酸誘導体、アルギン酸(ならびにそれらの塩および誘導体)、ヒドロキシエチルセルロース、ポビドン、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、トラガカント、ポリビニルアルコール、キサンタンガムおよびそれらの組み合わせ。
【0038】
疎水性化合物:エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ワックス(例えば、カルナバワックス、マイクロクリスタリンワックス)、水素化植物油、Compritol 888 ATO(ベヘン酸グリセリル)、プレシロールATO 5(パルミトステアリン酸グリセリル)、Gelucire50/1などのPEG
グリセリルエステル、EUDRAGIT(登録商標)NE 30 DまたはEUDRAGIT(登録商標)NM 30 D(ポリ(エチルアクリレート−コ−メチルメタクリレート)エチルアクリレートメチルメタクリレート共重合体)、EUDRAGIT(登録商標)RSおよびEUDRAGIT(登録商標)RL(ポリ(エチルアクリレート−コ−メチルメタクリレート−コトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド))、ポリビニルアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ならびにこれらの組み合わせ。
【0039】
本発明の腸溶性化合物は、以下の非限定的リストの化合物から選択されてもよい。
【0040】
腸溶性化合物:EUDRAGIT(登録商標)FS 30 D(ポリ(メチルアクリレート−コ−メチルメタクリレート−コ−メタクリル酸))、EUDRAGIT(登録商標)L 30 D−55、EUDRAGIT(登録商標)LおよびEUDRAGIT(登録商
標)S(ポリ(メタクリル酸−コ−メチルメタクリレート))、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸フタル酸セルロース、シェラック、ゼイン、ならびにこれらの組み合わせ。
【0041】
放出速度制御化合物、腸溶性化合物またはそれらの組み合わせは、製剤の5重量%〜65重量%の量で、好ましくは5重量%〜55重量%の量で、最も好ましくは5重量%〜50重量%の量で製剤中に含まれ得る。
【0042】
放出速度制御コーティングとして使用できる化合物としては、セルロースエステル、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、エチルセルロース、EUDRAGIT(登録商標)RSおよびEUDRAGIT(登録商標)RL(ポリ(エチルアクリレート−コ−メチルメタクリレート−コトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド))、EUDRAGIT(登録商標)NE 30 DまたはEUDRAGIT(登録商標)NM 30 D(ポリ(エチルアクリレート−コ−メチルメタクリレート))、エチルアクリレートメチルメタクリレート共重合体、ポリ酢酸ビニルならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0043】
さらに、以下の腸溶性化合物は、放出プロファイルの遅延を提供するためのコーティングに使用できる:EUDRAGIT(登録商標)FS 30 D(ポリ(メチルアクリレート−コ−メチルメタクリレート−コ−メタクリル酸))、EUDRAGIT(登録商標)L 30 D−55(メタクリル酸−エチルアクリレート共重合体分散液)、EUDRAGIT(登録商標)LおよびEUDRAGIT(登録商標)S(ポリ(メタクリル酸−コ−メチルメタクリレート))、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸フタル酸セルロース、シェラック、ゼイン、ならびにこれらの組み合わせ。
【0044】
放出速度制御化合物コーティングまたは腸溶性化合物コーティングの適用は、スプレーコーティング、ディップコーティング、キャスティングコーティング、溶媒蒸発コーティング、成形コーティングまたは圧縮コーティングなどの標準的なコーティング技術を使用して達成される。
【0045】
上記の放出速度制御化合物および腸溶性化合物を用いて、様々な緩和放出システムを調製できる:
【0046】
A)医薬品有効成分(ビロキサジン、またはビロキサジンと追加の活性成分)、少なくとも1つの放出速度制御化合物および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を均一に混合してマトリックスを形成する
マトリックスシステム。上記の親水性および疎水性化合物を用いて、これらのビロキサジン含有マトリックスを調製できる。これらのマトリックスは、マトリックス錠、マトリックス多粒子の形態で、または基材上にコーティングされた層の形態で提供されてもよい。
【0047】
マトリックス錠は、多層錠(例えば、二層錠または三層錠)、錠剤内錠剤(tablet within a tablet)、カプセル化されたミニ錠剤または圧縮された緩和
放出粒子の錠剤の形態であってもよい。これらのマトリックスシステムは、製剤の徐放プロファイルに追加の放出速度制御特性または遅延放出特性を追加するために、放出速度制御化合物および/または腸溶性化合物でコーティングされてもよい。
【0048】
B)不活性コアおよびこのコア上にコーティングされる少なくとも1つの薬物含有層を含む
薬物レイヤードシステム。薬物含有層(複数可)は、さらに、上に列挙したものから選択される放出速度制御化合物の層でコーティングされてもよい。薬物レイヤ
ードシステムの薬物含有層がいかなる放出速度制御化合物も含まず、かつ即放性である場合、本発明の緩和プロファイルを達成するのに放出速度制御コーティングを必要とする。
【0049】
薬物含有層が上記の徐放性マトリックス層である場合には、放出速度制御コーティング
は任意選択であり、放出プロファイルのさらなる調節を可能にする。例えば、このコーティングを用いて、放出を調節する(最初は遅くて、後に速くするか、または最初は速く、後に遅くする)か、または放出の遅延をもたらすことができる。特に、放出速度制御コーティングには、セルロースエステル、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、エチルセルロース、EUDRAGIT(登録商標)RSおよびEUDRAGIT(登録商標)RL(ポリ(エチルアクリレート−コ−メチルメタクリレート−コトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド))、EUDRAGIT(登録商標)NE 30 DまたはEUDRAGIT(登録商標)NM 30 D(ポリ(エチルアクリレート
−コ−メチルメタクリレート))、エチルアクリレートメチルメタクリレート共重合体、ポリ酢酸ビニル、セルロースアセテートプロピオネート、ならびにこれらの組み合わせが含まれ得る。
【0050】
さらに、以下の腸溶性化合物は、放出プロファイルの遅延を提供するためのコーティングに使用できる:EUDRAGIT(登録商標)FS 30 D(ポリ(メチルアクリレート−コ−メチルメタクリレート−コ−メタクリル酸))、EUDRAGIT(登録商標)L 30 D−55(メタクリル酸−エチルアクリレート共重合体分散液)、EUDRAGIT(登録商標)LおよびEUDRAGIT(登録商標)S(ポリ(メタクリル酸−コ−メチルメタクリレート))、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸フタル酸セルロース、シェラック、ゼイン、ならびにこれらの組み合わせ。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態において、コアは不活性でなくてもよいが、組成的に純粋な薬物物質または薬物物質とIRコアを生成する1つ以上の薬学的に許容される賦形剤との混合物であり得る。このような場合、これらのコアは、所望の徐放製剤を生成するため不活性コアのための上記のようなさらなる処理を受けることができる。
【0052】
薬物含有コアを含む本実施形態の製剤を生成するために使用できるプロセスとしては、溶液または乾燥粉末薬物レイヤリング、圧縮コーティング、ホットメルトコーティング、超臨界流体コーティング、静電スプレーコーティング、凝集、顆粒化、ペレット化、ローラー圧縮、錠剤圧縮、押し出しおよび球形化による湿式造粒、ホットメルト押し出し、ならびに射出成形が挙げられる。ローラー圧縮、錠剤圧縮、および球形化プロセスによる押し出しは、高薬物負荷を有する製剤を製造するのに特に有用である。
【0053】
限定されないが、種々の調節されたビロキサジンの薬物動態(PK)プロファイルを有する本発明の代表的な製剤は以下のとおりである:
−カプセル、圧縮錠または任意の他の剤形中の混合IRおよびXR粒子(IR/XR混合粒子)。IR粒子は治療薬の最初の放出を提供し、XR粒子からの徐放がそれに続く(IR/XR混合集団の粒子)。
−カプセル、圧縮錠もしくは任意の他の剤形中の単一集団の粒子であり、粒子はマトリックスXR粒子、またはさらにXRコーティングを含むIRコアのいずれかである。
−カプセル、圧縮錠または任意の他の剤形中の混合粒子であって、薬物放出特性が異なるXR粒子が組み合わされる混合粒子。
−カプセル、圧縮錠または任意の他の剤形中の混合粒子であって、薬物放出特性が異なるDR粒子が組み合わされ、任意選択でパルスプロファイルをもたらす混合粒子。
−カプセル、圧縮錠または任意の他の剤形中の混合粒子であって、IR粒子がDR粒子と混合されている混合粒子(IR/DR混合粒子)。IR粒子は治療薬の最初の放出を提供し、DR粒子からの放出がそれに続きパルスPKプロファイルをもたらす(IR/DR混合集団の粒子)。
−カプセル、圧縮錠または任意の他の剤形中の単一集団の粒子であって、ペレットがDRコートでコーティングされるIRコアを組み込み、さらにIR薬物層でコーティングされ
る粒子。外側のIR薬物層は治療薬の即放を提供し、DRコアからの遅延放出がそれに続きパルスPKプロファイルをもたらす(IR/DR単一集団の粒子)。
−カプセル、圧縮錠または任意の他の剤形中の混合粒子であって、IR粒子がDRでコートされたXR粒子と混合されている混合粒子(IR/DR−XR)。IR粒子は治療薬の最初の放出を提供し、DRでコートされたXR粒子からの遅延放出および徐放がそれに続く(IR/DR−XR混合集団の粒子)。
−カプセル、圧縮錠または任意の他の剤形中の単一集団の粒子であって、ペレットがXRコートでコーティングされるIRコアを組み込み、DRコートでコーティングされ、その後に薬物がレイヤリングされる粒子。外側の薬物層は治療薬の最初の即放を提供し、ペレットの残りの部分からの遅延放出および徐放がそれに続く(IR/DR−XR単一集団の粒子)。
−カプセル、圧縮錠または任意の他の剤形中の混合粒子であって、XR粒子がDR粒子と混合されている混合粒子。XRは治療薬の最初の放出および継続的な放出を提供し、DR粒子からの放出がそれに続く(XR/DR混合集団の粒子)。
−カプセル、圧縮錠または、任意の他の剤形中の単一集団の粒子であって、ペレットがDRコートでコーティングされるIRコアを組み込み、次いで薬物層でコーティングされ、それから急速XR層を生成するためにXRコートでコーティングされる粒子。急速XR外層は治療薬の最初の放出を提供し、DRコアからの遅延放出がそれに続く(XR−f/DR単一集団の粒子)。
−マトリックス錠またはXRコーティング錠のいずれかであるXR錠。
−IR薬物層でコーティングされたDR錠。
−カプセル内で1つ以上のIR錠と混合された1つまたは2つ以上のDR錠。
−DRコートでコーティングされ、次いでIR薬物層でコーティングされたXR錠。
−1つの層がXR形態の薬物を含有し、第2の層がIR形態の薬物を含有している2層錠。
−1つの層がXR形態の薬物を含有し、第2の層がDR形態の薬物を含有している2層錠。
−DR/XRプロファイルを提供する、DRでコートされたマトリックス錠。
【0054】
(C)
浸透放出システム。さらなる実施形態において、本発明は、薬物放出速度が半透膜のコーティングを通過する錠剤コアへの水の浸透速度によって決定される、浸透性錠剤形態の徐放性ビロキサジン調製物を提供する。
【0055】
浸透性錠剤の調製のために、ビロキサジンを、浸透剤(複数可)、希釈剤および潤滑剤などの錠剤化助剤、ならびに他の一般的に使用される賦形剤と混合してもよい。この混合物は、直接圧縮または造粒後の圧縮のいずれかによって錠剤化される。その後、錠剤は、各錠剤を取り囲む半透膜を形成する少なくとも1つの放出速度制御化合物でコーティングされる。
【0056】
薬物含有コアを取り囲む半透膜は、以下のセルロースエステル、セルロースエーテルおよびセルロースエステルエーテルから選択される少なくとも1つの放出速度制御化合物を含む。このような化合物の非限定的な例としては、セルロースアシレート、セルロースエチルエーテル、セルロースジアシレート、セルローストリアシレート、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、モノセルロースアルキル、ジセルロースアルキルおよびトリセルロースアルキル、モノセルロースアロイル、ジセルロースアロイルおよびトリセルロースアロイル、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。さらなる放出速度制御化合物としては、エチルセルロース、EUDRAGIT(登録商標)RSおよびEUDRAGIT(登録商標)RL(ポリ(エチルアクリレート−コ−メチルメタクリレート−コトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド)、およびEUDRAGIT(登録商標)NE 30 DまたはEUDRAGIT(登録商標)NM
30 Dポリ(エチルアクリレート−コ−メチルメタクリレート)、エチルアクリレートメチルメタクリレート共重合体が挙げられる。
【0057】
半透膜は、スプレーコーティング、ディップコーティング、キャスティングコーティング、溶媒蒸発コーティング、成形コーティングまたは圧縮コーティングなどの標準的なコーティング技術を使用して錠剤に適用してもよい。オリフィスがその後、コアからの薬物放出を可能にするために、レーザーによる錠剤穿孔システムまたは他の機械的手段を用いて錠剤コートに穿孔される。
【0058】
本発明の実施のために使用される浸透剤は、当技術分野で公知であり、限定されないが、ポリオール類、炭水化物類(単糖類、オリゴ糖類、多糖類および糖アルコールを含む)、酸類、塩類および親水性化合物類によって代表される非膨潤性化合物を含む。例えば、浸透剤は、マンニトール、マルトリン、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、ソルビトール、アラビトール、エリスリトール、リビトール、イノシトール、トレハロース、ラクトース、グルコース、スクロース、ラフィノース、フルクトース、デキストラン、グリシン、尿素、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、アスパルテーム、リンゴ酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、マルトデキストリン、シクロデキストリンおよびその誘導体、非膨潤性ブロックポリマーのPEOおよびPPO、ポリエチレングリコール、セルロースエーテル、ならびにそれらの組み合わせから選択され得る。
【0059】
浸透性錠剤は、単層または複数の層のコアとして製剤化できる。一実施形態において、浸透性錠剤は2層コアを含み、1つの層が可溶化剤などの、徐放により放出される薬物放出調節のための薬剤を含み、第2の層が薬物および薬物放出調節のための潜在的な他の薬剤を含む。
【0060】
剤形に即放性成分を提供するために、薬物のオーバーコートを機能性コーティング後の錠剤に適用できる。あるいは、浸透性錠剤は、半透膜の上を腸溶性化合物でコートされてDR/XRプロファイルを提供してもよい。
【0061】
放出速度制御化合物に加えて、いくつかの薬学的に許容される賦形剤を、上に開示したような本発明の製剤に使用してもよい。これらの賦形剤は、当技術分野で公知であり、ポビドン、デンプン、ゼラチン、マルトデキストリン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スクロース、デキストロース、アカシア、トラガカントおよびローカストビーンガム、微結晶性セルロース、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、セルロース、ならびにタルクなどの結合剤および希釈剤;ステアリルフマル酸ナトリウムなどの潤滑剤およびステアリン酸マグネシウムなどのステアリン酸金属塩;ドキュセートナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、レシチン、ポロキサマー、ポリソルベート、ポリオキシエチレンエーテルおよびソルビタンエステルなどの湿潤剤および可溶化剤;架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウムおよびクロスポビドンなどの崩壊剤;水酸化アルミニウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、アルギニン、酢酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酢酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、二塩基性リン酸カリウム、酒石酸カリウムナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、三塩基性リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、アルギニン酸、グルタミン酸
、ソルビン酸、およびコハク酸などの緩衝剤および/またはpH調節剤;タルク、デンプンおよびコロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;ポビドン、ヒプロメロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、他の賦形剤の中の有機酸および塩などの半透過性速度制御膜の透過性を調節する気孔形成剤を含む。
【0062】
(D)
胃滞留システム。さらなる実施形態において、本発明は、胃滞留性錠剤の形態、特に胃滞留性徐放性錠剤の形態の徐放性ビロキサジン調製物を提供する。胃滞留性錠剤は、摂取後6時間まで胃の中で保持されるように設計されており、その後、残りの剤形および原則的に全ての未溶解薬物は十二指腸に放出されて胃腸管を通過する。GR−ER錠剤に使用されるインビトロ溶解プロファイルは、約10時間以内に剤形に含まれる薬物の用量の80%を放出する。
【0063】
本発明の製剤は、消化不良、吐き気および嘔吐などの胃腸の副作用、ならびに不眠および異常な夢などの睡眠障害を含む神経学的副作用の発生率が低いことを特徴とする。
【0064】
さらに予想外にも、ビロキサジン塩の水溶解度および溶解速度は、製剤への一般的なイオンの添加によって影響され得ることが本発明の製剤の開発中に発見された。例えば、ビロキサジン塩酸塩の溶解速度および溶解度は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムもしくは塩化マグネシウム、または他の塩化物塩などの塩化物含有物質の添加によって影響される(実施例12)。
【0065】
本発明の別の態様は、本明細書に記載のビロキサジンの緩和放出製剤を用いた、ADHD、ADHD関連障害および抑うつ障害の治療を含むがこれらに限定されない哺乳動物対象におけるCNS障害の治療である。1つの治療計画は、10mg〜800mgの範囲のビロキサジン(塩基)の一日あたりの総用量を提供するために、対象に本発明のビロキサジン製剤を1日1回または1日2回投与することを含む。
【0066】
また、さらなる実施形態において、本発明は、4〜24時間、または8〜20時間、または12〜16時間にわたって、治療レベルの薬物を提供できるビロキサジン製剤も開示する。
【0067】
本発明の製剤はビロキサジンの最大定常状態血漿中濃度(C
max)によって特徴付けられ、この濃度は最小治療有効濃度よりも高く、1日3回(TID)または1日2回(BID)のIR製剤として100mg〜600mg、特に、150mg〜300mg、300mg〜450mg、450mg〜600mgのビロキサジンを投与することによって生じる最大血漿中濃度に対して50%〜125%の範囲にある。一実施形態において、新規製剤は、TIDまたはBIDのIR製剤として投与されるビロキサジンと比較して、80%〜125%の範囲内の相対的C
maxを提供する。他の実施形態において、本発明は、TIDまたはBIDのIR製剤として投与されるビロキサジンによって生じる最大血漿中濃度よりも低いC
maxを提供する。
【0068】
さらに、本発明の製剤は、1.5μg/mL〜11μg/mL、特に1.5μg/mL〜3μg/mL、または3μg/mL〜6μg/mL、または6μg/mL〜9μg/mL、または9μg/mL〜11μg/mLの範囲のビロキサジンの最大定常状態血漿中濃度(C
max)によって特徴付けられる。
【0069】
本発明の製剤は、TIDまたはBIDのIR製剤として投与されるビロキサジンと比較して80%〜125%の範囲にある、24時間の投与間隔についての相対定常状態ビロキサジン血漿中濃度−時間プロファイル下面積(AUC
tau)も提供する。さらに、本発明の製剤は、選択されるIR投薬計画によって達成されるAUCの80%〜125%の範
囲のAUC
tauによって特徴付けられる。
【0070】
さらに、本発明は、本研究で投与される即放性製剤と比較して、健常なヒト対象における実施例15の徐放製剤の臨床パイロットPK試験で観察されるように、驚くべき低い平均相対的バイオアベイラビリティーを克服する徐放剤形を提供する。この効果は以下のように、送達されるべきビロキサジン用量および徐放性剤形のインビトロ溶解プロファイルを注意深く選択して徐放剤形を構築することによって達成された。投与間隔24時間のビロキサジン血漿中濃度−時間プロファイル(AUC
tau)によって測定されるように、徐放剤形の定常状態で達成される相対的なビロキサジン全身インビボ曝露は、1日3回(TID)または1日2回(BID)の即放性製剤として投与されるビロキサジンによって達成される暴露の80%〜125%である。
【0071】
さらなる実施形態において、本発明は、緩和放出を示すビロキサジンの高薬物負荷製剤を用いた、上記のようなCNS障害の治療方法を開示する。これらの製剤は、完成薬物製品中のビロキサジン量が約25%(w/w)〜約75%(w/w)、または約30%(w/w)〜約60%(w/w)、または約40%(w/w)〜約50%(w/w)のであることにより特徴付けられる。
【0072】
本方法は、投与頻度の減少および患者が摂取すべき単位数の減少、ならびにより良いコンプライアンスおよび治療結果をもたらす。
【0073】
本発明を以下の実施例によってさらに説明するが、これらに限定されるものではない。
【0074】
実施例
実施例1
ビロキサジンの徐放マトリックス錠(PD0348−005)
マトリックス錠の製造プロセスには、造粒媒体として低分子量のヒプロメロース(METHOCEL(商標)E5)溶液および水を用いる、ビロキサジン塩酸塩、ヒプロメロース(METHOCEL(商標)K15M)および微結晶性セルロース(Avicel(登録商標)PH101)の湿式造粒(Glatt社のテーブルトップ造粒機−1Lボウル)の調製が含まれていた。湿式造粒を水分レベル1%(w/w)未満まで40℃でオーブン乾燥させた後、18メッシュの篩を通過させることによってサイズを合わせた。その後、篩い分けした材料を、追加の微結晶性セルロース(Avicel(登録商標)PH102)、コロイド状二酸化ケイ素(国民医薬品集)、タルク(米国薬局方)およびステアリン酸マグネシウム(国民医薬品集)とブレンドし、最終錠剤ブレンド製剤PD0348−005を生成した(表1)。最終錠剤ブレンドを、(ビロキサジン塩基として)50mgおよび200mgの用量強度で徐放錠に圧縮した。
【0076】
200mg用量強度錠剤製剤を、溶解について評価した(
図1)。これらの圧縮錠は、一貫した含量均一性を示した。PD0348−005の溶解プロファイルはpH非依存性であり、t
80(ラベルクレームの80%を放出するまでの時間)が14時間である徐放を示した。
【0077】
実施例2
薬物放出に対する高薬物負荷の影響
マトリックスからの薬物放出に対する高薬物負荷の影響を調べるために、錠剤PD0348−005を再製剤化した。Avicel(登録商標)の量は減少させるがMETHOCEL(商標)K15Mは同量を維持しながら、ビロキサジン塩酸塩の含有量を、製剤PD0348−069では40%(w/w)および製剤PD0348−071では45%(w/w)まで増加させた。これらの錠剤を、PD0348−005と同様に製造した。
【0080】
製剤PD0348−069およびPD0348−071を、pH6.8での溶解試験(n=3)に供し、プロファイル(
図2)を、以下の式を用いる類似度試験(f
2)を用いてPD0348−005と比較した(工業SUPAC−MRのガイダンス:緩和放出固形経口剤形、CDER 1997年9月(Guidance for Industry SUPAC−MR:Modifies Release Solid Oral Dosage
Forms,CDER September 1997)):
【0081】
【数1】
式中、nは時点の数(n=8)であり、
Rは、参照製剤(PD0348−005)であり、
Tは、試験製剤(PD0348−069またはPD0348−071)である。
【0082】
PD0348−069およびPD0348−071について計算されたf
2値は、それぞれ74と67であった。f
2値50〜100は、試験製剤の溶解プロファイルが参照製剤のものと類似していることを示唆する。
【0083】
さらなるマトリックス錠の用量強度が可能であり、例えば、PD0348−071は、100mg、300mg、400mgまたは600mgの用量強度の合理的なサイズの錠剤に圧縮することができる。
【0086】
PD0348−015の最終錠剤ブレンドの製造は、PD0348−005の製造と同様であった。PD0348−015を、50mgおよび200mgの用量強度錠剤に圧縮した。200mgの用量強度錠剤を、pH1.1およびpH6.8の両方における溶解試験(n=3)によって薬物放出について評価した(
図3)。PD0348−015の溶解プロファイルはpH非依存性であり、t
80が14時間である徐放を示した。
【0087】
実施例4
ビロキサジンの徐放マトリクス錠剤(PD0348−041)
【0089】
PD0348−041の製造工程は、METHOCEL(商標)E5がビロキサジン塩酸塩、ヒプロメロース(METHOCEL(商標)K15M)および微結晶セルロース(Avicel(登録商標)PH101)と乾燥ブレンドされ、またEUDRAGIT(登録商標)NE 30が造粒溶液として噴霧されるという点でPD0348−005と異な
っていた。
【0090】
製剤PD0348−041を、pH1.1およびpH6.8の両方における溶解試験(n=3)により薬物放出について評価した(
図4)。PD0348−041の溶解プロファイルは、t
80が約14時間である徐放を示した。
【0091】
実施例5
ビロキサジンのペレット(PD0348−108;PD0348−114A)
ペレットを、高薬物負荷のペレットを生成するための押し出し/球形化プロセスを用いて製造した。最初に、造粒媒体として水中のMETHOCEL(商標)E5溶液を用いて、ビロキサジン塩酸塩、微結晶性セルロース(Avicel(登録商標)PH101)、イソマルト(galenIQ(商標)810)およびタルクを含む湿式造粒を生成した(Glatt社のVG−10Lボウル)。表6は造粒製剤を提供する。
【0093】
生じた顆粒を、LCI−Fuji Paudal Dome Granulator(0
.7Φ/1.0Τスクリーンを備えたモデルDG−L2)を用いて押し出した後、LCI−Fuji Paudalマルメライザー(モデルQJ−400G)を使用して球形化し
、IRペレットを生成した。次いで、ペレットを45℃で一晩オーブン乾燥させた。乾燥ペレットを篩にかけた(40メッシュの篩の上に18メッシュを積み重ねた)後に、ウルスター(Wurster)法(GPCG−1)を使用して、Opadry(登録商標)IIホワイト(33G28523)(PVA系コーティングシステム)で5%の重量増加までシールコーティングした。シールコートしたIRペレットのロットPD0348−108を、pH1.1における溶解について評価した(表7)。完全溶解が15分以内に観察された。
【0095】
シールコートしたIRペレットを、ウルスター法(GPCG−1)を用いて、10%(w/w)の重量増加までSurelease(登録商標)E−7−19010でコーティングし、コートしたペレット中のビロキサジン塩酸塩含有量が64%(w/w)であるロットPD0348−114Aを得た。このコートしたペレットを50℃で72時間、オーブンで硬化させた後、薬物放出について評価した(
図5)。放出プロファイルは、2時間〜20時間にわたりほとんど0次放出(線形回帰分析により0.997のR
2値)を示し、t
80は24時間であった。PD0348−114Aは、より速い放出プロファイルを
有する1つ以上のペレット組成物と組み合わせることができる遅いインビトロ放出プロファイルを示すペレット組成物の例である。
【0096】
実施例6
ビロキサジンの多粒子(PD0354−004C)
徐放性ペレットロットPD0354−004CのIRペレットを生成するために使用される造粒製剤(PD0348−134A/B)を表8に示す。
【0098】
PD0348−134A/Bの造粒プロセスはPD0348−099と同様に行い、追加ステップとしてポビドン(米国薬局方)をMETHOCEL(商標)E5と共に造粒水に溶解したを有した。造粒を、0.6Φ/0.6Τスクリーンを備えたモデルDG−L2ドーム造粒機で押し出し、その後モデルQJ−400Gマルメライザーで球形化した。球形化生成物を、45℃で24時間、オーブン乾燥した。乾燥ペレットを篩にかけた(40メッシュの篩の上に20メッシュを積み重ねた)後、ウルスター法(GPCG−1)を使用して、Opadry(登録商標)II White(33G28523)で5%の重量増加までシールコーティングした。シールコートの適用後、これらのペレットを、ポビドン(米国薬局方)を含有するEUDRAGIT(登録商標)NE 30 D(EUDRAGIT(登録商標)NE 30 D固体:ポビドン(米国薬局方)固体の比が9:1)で14%(w/w)の重量増加までコーティングし、45℃で24時間オーブン硬化した後、篩にかけた(40メッシュの篩の上に20メッシュを積み重ねた)。次いで、篩にかけたペレットを、9%(w/w)の重量増加までSurelease(登録商標)E−7−19010でGPCG−1によりコーティングし、最終的なビロキサジン塩酸塩含有量42%(w/w)を得た。コートしたペレットを、50℃で24時間オーブン硬化した後、薬物放出について評価した(
図6)。放出プロファイルは、1〜2時間の遅延および4時間〜14時間にわたりほとんど0次放出(線形回帰分析による0.990のR
2値)を示し、t
80は12時間であった。
【0099】
実施例7、8および9
徐放性ペレット製剤
ペレット組成物を用いて達成できる徐放プロファイルの範囲を示すために、シールコートされたIRペレット(実施例6の製剤)を細孔形成剤METHOCEL(商標)E5プレミアムLV(E5)を含有するSurelease(登録商標)E−7−19010でコーティングすることによって、一連の徐放性ペレット製剤を調製した。試験した比(Surelease(登録商標):E5)には19:1、9:1および8.5:1.5が含まれた。これらのシステムの代表的な薬物放出プロファイルを、8%(w/w)および1
3%(w/w)のコーティングについては
図7(19:1)に、5%(w/w)、7.5%(w/w)および10%(w/w)のコーティングについては
図8(9:1)に、ならびに14%(w/w)および18%(w/w)のコーティングについては
図9(8.5:1.5)に示す。
【0100】
実施例10
薬物放出に対する粒径の影響
篩サイジングにより単離した異なる粒径画分のペレットからの薬物放出を評価するために、ロットPD0377−006Bの徐放コーティングプロセス後に試験を行った。シールコートされたIRペレット(実施例6の製剤)を9:1の比で細孔形成剤METHOCEL(商標)E5プレミアムLVを含有するSurelease(登録商標)E−7−19010で12%(w/w)のレベルまでコーティングすることによって、徐放性ペレットロットPD0377−006Bを調製した。このペレットロットを、以下の手篩の積み重ね構成:20メッシュ上に18メッシュ、25メッシュ上に20メッシュ、および30メッシュ上に25メッシュ、を使用して異なるサイズの画分に分離した。これらの画分の試料を、pH6.8における薬物放出について評価した(
図10)。
図10のプロファイルは、IRペレットのサイズが、ペレット製剤の薬物放出プロファイルの制御パラメータとして利用できることを示している。また、プロットは、IRペレットのサイズ分布の制御が、堅実な徐放コーティングプロセスに必要とされることを示している。本発明のIRペレットのサイズ範囲は、5メッシュ(4000μm)〜200メッシュ(75μm)である。理想的には、ペレットのサイズ範囲は、10メッシュ(2000μm)〜100メッシュ(150μm)である。
【0101】
実施例11
カプセル化ペレットの調製(PD0380−191、PD0380−192およびPD0383−035)
シールコートされたIRペレット(実施例6の製剤)を9:1の比で細孔形成剤METHOCEL(商標)E5プレミアムLVを含有するSurelease(登録商標)E−7−19040で10%(w/w)のレベルまでコーティングすることによって、2つの徐放性ペレットロットを調製した。徐放性ペレットロットPD0380−147Bは、20メッシュ篩〜25メッシュ篩のサイズ画分のシールコートされたIRペレットを用いて調製した。徐放性ペレットロットPD0383−009Cは、16メッシュ篩〜20メッシュ篩のサイズ画分のシールコートされたIRペレットを用いて調製した。徐放性ペレットロットを、150mgビロキサジン塩基の用量強度で、サイズ0の白色不透明硬ゼラチンカプセルに封入した。徐放性カプセルロットPD0380−191は、100%のペレットロットPD0380−147Bを含んでおり、徐放性カプセルロットPD0380−192は100%のペレットロットPD0383−009Cを含んでおり、徐放性カプセルロットPD0383−035は、ロットPD0380−147BとロットPD0383−009C各50%の混合物であった。封入された薬物製品を、pH6.8における薬物放出について評価した(
図11)。
【0102】
実施例12
ビロキサジン塩酸塩の溶解度に対する塩化物イオンの影響
室温および37℃におけるビロキサジン塩酸塩の水溶性は、塩化ナトリウム濃度の関数として有意に減少したことが実験的に明らかになった(
図12)。ビロキサジン塩酸塩の溶解度の減少の理由は、一般的な塩化物イオン効果であると考えられた。この効果を、pH6.8のリン酸緩衝液に2種類の塩化物イオン源(NaClおよびKCI)を添加し、200mgのビロキサジン塩基(231mgのビロキサジン塩酸塩)の用量でペレット製剤PD0354−076Cの薬物放出を評価することによって、さらに評価した(
図13)。薬物放出速度は、添加された塩化物塩を含有する両方の媒体で抑えられた。
【0103】
実施例13
臨床研究のためのビロキサジンのIRカプセル製剤
ビロキサジンのIRカプセル製剤を、フェーズIおよびフェーズIIa臨床研究で使用するために開発した(表9および表10)。
【0106】
実施例14
臨床研究のためのビロキサジンの徐放性カプセル製剤
ビロキサジン塩基150mgを送達するために製剤化された3種類のビロキサジン徐放性カプセル製剤を、健常者におけるフェーズIのPK研究用に開発した。異なるインビトロ徐放薬物放出プロファイルを提供するように、製剤を処方した(すなわち、ER−1と命名した急速徐放性製剤、ER−2と命名した中程度の徐放性製剤およびER−3と命名した遅い徐放性製剤)。さらに、150mgのビロキサジン塩基を含有する即放性カプセル製剤を、比較薬物製品として臨床研究用に開発した。
【0107】
徐放性製剤の製造を、高剪断造粒プロセスを利用して生成した湿式造粒から開始した。湿式造粒を押し出し、球形化してペレットを形成し、その後、流動層により乾燥させてビロキサジンnIRペレットを得た(表11)。
【0109】
乾燥後、ビロキサジンnIRペレットを、篩メッシュサイズ:25メッシュ/35メッシュカット、20メッシュ/25メッシュカットおよび16メッシュ/20メッシュカット、に基づくサイズ範囲の3種類の特定のペレットを生成するために篩にかけた。個々のメッシュカットのビロキサジンnIRペレットを流動層を使用してフィルムコーティング(Opadry(登録商標)II White)し、ビロキサジンsIR即放性ペレット(ビロキサジンsIR2525、ビロキサジンsIR2025およびビロキサジンsIR1620ペレット)を得た。この3種類のビロキサジンsIRペレット生成物を使用して、Surelease(登録商標)E−7−19040、ヒプロメロース(米国薬局方)および注射用無菌水(米国薬局方)を含む徐放コーティングシステムで流動層を用いビロキサジンsIRペレットをコーティングすることにより、4種類の徐放バルクペレット製剤(ビロキサジンER−Sペレット、ビロキサジンER−Fペレット、ビロキサジンER−F2ペレットおよびビロキサジンER−F3ペレット)を生成した。この4種類の徐放バルクペレット製剤用の組成物を、表12〜15に提供する。
【0114】
即放性比較用製剤(バッチB11016A)を生成するために、ビロキサジンsIR2535ペレットを150mgのビロキサジン塩基の用量強度でサイズ0の白色不透明硬ゼラチンカプセルに封入した。ビロキサジンER−1カプセル(バッチB11030A)を生成するために、ビロキサジンER−F2ペレットおよびビロキサジンER−F3ペレットを、150mgのビロキサジン塩基の用量強度でサイズ0の白色不透明硬ゼラチンカプセルに封入した。ビロキサジンER−2カプセル(バッチB11028A)を生成するために、ビロキサジンER−Fペレットを150mgのビロキサジン塩基の用量強度でサイ
ズ0の白色不透明硬ゼラチンカプセルに封入した。ビロキサジンER−3カプセル(バッチB11026A)を生成するために、ビロキサジンER−Sペレットを150mgのビロキサジン塩基の用量強度でサイズ0の白色不透明硬ゼラチンカプセルに封入した。封入した製剤を、pH6.8における薬物放出について評価した(
図14)。
【0115】
3種類の徐放性ビロキサジンカプセル製剤ER−1、ER−2およびER−3ならびに即放性カプセル製剤の薬物動態プロファイルを、健常な成人ボランティアにおける単回用量(150mgのビロキサジン塩基)、4回の治療、4回のシーケンス、クロスオーバー研究で試験した。21人の対象は全て4つの治療群を完了した。この研究からの平均PKプロファイルを
図15に提供する。
【0116】
実施例15
徐放性
製剤の薬物動態分析
実施例14の平均血漿プロファイルについてWinNonlinプロフェッショナルバージョン5.3(WinNonlin(登録商標)著作権1998−2009、トライポスL.P.)を用いたノンコンパートメント薬物動態解析を行い、ビロキサジン塩基投与量150mgの即放性カプセル製剤で達成されるパーセントバイオアベイラビリティーに対する、ビロキサジン塩基投与量150mgの3種類の徐放性製剤(ER−1、ER−2およびER−3)のパーセントバイオアベイラビリティーを決定した。。決定された相対的パーセントバイオアベイラビリティー値は、ER−1について78%で、ER−2について68%、およびER−3について57%であった。3種類の徐放性製剤の相対的バイオアベイラビリティー値は驚くほど低かった。相対的バイオアベイラビリティー値の傾向は、ビロキサジンの吸収が胃腸管の遠位領域において減少することを示唆し、また異なるプロファイルを有するいくつかの成分を含む複合製剤がバイオアベイラビリティーを最大限にするのに有利であり得ることを示唆している。
【0117】
実施例16
R−製剤およびS−製剤の血漿プロファイル
実施例14の徐放性製剤ER−2およびIRカプセル製剤について得られた血漿試料を、R−ビロキサジンおよびS−ビロキサジンを分離できる生物学的分析方法を用いて評価した。IRカプセル製剤の個々の異性体についての平均血漿プロファイルを
図16に提供し、ER−2の個々の異性体についての平均血漿プロファイルを
図17に示す。S異性体に対するR異性体の比は、実際の製剤中ならびに製剤を製造するのに用いた薬物物質ロット中で50:50であると決定された。驚くべきことに、平均血漿プロファイルのS異性体に対するR異性体の比はIRカプセル製剤(70:30)とER−2(60:40)とで異なっていた。この知見は、RおよびS異性体がIRおよびER製剤から異なって代謝されることを示唆しており、また異性体のうちの一方の優先的な代謝は、戦略的に開発された製剤を介して誘導され得ることを示唆している。
【0118】
実施例17
定常状態のビロキサジン全身インビボ曝露のインシリコモデリング(ER1、ER2およびER3)
GastroPlus(商標)(著作権2001〜2010 Simulations
Plus Inc.)ならびに実施例14の平均薬物放出および血漿中濃度プロファイルを用いてインシリコモデリングを行い、即放性製剤投与計画のプロファイルと類似した定常状態のビロキサジン全身インビボ暴露を呈する徐放性製剤のコンセプトについてシミュレートした血漿中濃度プロファイルを開発した。使用した全ての製剤の用量はビロキサジン塩基であった。
【0119】
(a)
図18は、8時間ごとに(TID)投与した即放性ビロキサジン剤形50mgに
ついてシミュレートした定常状態の血漿プロファイルと、1日1回(qd)投与の2つの徐放性ビロキサジン製剤組成物のプロファイルとの比較を示す。第1の徐放性組成物は250mgのER−3ペレットを含み、第2の徐放性組成物は30mgのIRペレットおよび200mgのER−3ペレットを含む。24時間の投与サイクルについてシミュレートしたプロファイルの薬物動態分析(AUC
tau)により、250mgのER−3ペレットの徐放性組成物の全身インビボ曝露は、この特定のIR投与計画で達成される全身曝露の86%であり、30mgのIRペレットおよび200mgのER−3ペレット組成物の全身インビボ曝露は89%と推定された。
【0120】
(b)
図19は、1回目の投与が午前8時で2回目の投与が8時間後(午後4時)である1日2回(BID)投与の即放性ビロキサジン剤形75mgについてシミュレートした定常状態血漿プロファイルと、1日1回(qd)投与の2つの徐放性ビロキサジン製剤組成物のプロファイルとの比較を示す。第1の徐放性組成物は180mgのER−1ペレットを含み、第2の徐放性組成物は30mgのIRペレットおよび150mgのER−1ペレットを含む。24時間の投与サイクルについてシミュレートしたプロファイルの薬物動態分析(AUC
tau)により、180mgのER−1ペレットの徐放性組成物の全身インビボ曝露は、このIR投与計画で達成される全身曝露の93%であり、30mgのIRペレットおよび150mgのER−1ペレット組成物の全身インビボ曝露は98%と推定された。
図20は同じ徐放性組成物を示すが、1回目の投与が午前6時で2回目の投与が午後4時(10時間後)であるIRのBID投与計画との比較である。第1の徐放性組成物は180mgのER−1ペレットを含み、第2の徐放性組成物は30mgのIRペレットおよび150mgのER−1ペレットを含む。
【0121】
(c)
図21は、1回目の投与が午前8時で2回目の投与が8時間後(午後4時)である1日2回(BID)投与の即放性ビロキサジン剤形75mgについてシミュレートした定常状態血漿プロファイルと、1日1回(qd)投与の2つの徐放性ビロキサジン製剤組成物のプロファイルとの比較を示す。第1の徐放性組成物は90mgのER−1ペレットおよび90mgのER−2ペレットを含む。第2の徐放性組成物は20mgのIRペレット、90mgのER−1ペレットおよび90mgのER−2ペレットを含む。24時間の投与サイクルについてシミュレートしたプロファイルの薬物動態分析(AUC
tau)により、90mgのER−1ペレットおよび90mgのER−2ペレットの徐放性組成物の全身インビボ曝露は、このIR投与計画で達成される全身曝露の85%であり、20mgの即放性、90mgのER−1ペレットおよび90mgのER−2ペレット組成物の全身インビボ曝露は98%と推定された。
【0122】
実施例18
ERカプセル組成物の定常状態のビロキサジン全身インビボ暴露のインシリコモデリング
GastroPlus(商標)(著作権2001〜2010 Simulations
Plus Inc.)を用いてインシリコモデリングを行い、3つのペレット徐放性カプセル組成物のコンセプトについてシミュレートした血漿中濃度プロファイルを開発した。使用した全ての製剤の用量はビロキサジン塩基であった。
【0123】
図22は、8時間毎に投与(TID)される50mgの即放性ビロキサジン剤形についてシミュレートした定常状態の血漿プロファイルと、1日1回投与の徐放性ビロキサジン製剤組成物のプロファイルとの比較を示す。ER組成物は25mgのIRペレット、75mgのDR2−ER−1(仮定上のER1ペレットの遅延放出組成物)および90mgのER−2ペレットを含む。24時間の投与サイクルについてシミュレートしたプロファイルの薬物動態分析(AUC
tau)により、この徐放性組成物の全身インビボ曝露は、このIR投与計画で達成される全身曝露の88%であると推定された。
【0124】
実施例19
胃滞留性徐放(GR−ER)錠の製剤のインシリコモデリング
GastroPlus(商標)(著作権2001〜2010 Simulations
Plus Inc.)を用いてインシリコモデリングを行い、仮定上の胃滞留性徐放(GR−ER)錠の製剤のコンセプトについてシミュレートした血漿中濃度プロファイルを開発した。使用した全ての製剤の用量はビロキサジン塩基であった。
【0125】
GR−ER錠剤(用量強度150mg)は、摂取後4時間まで胃の中で保持されるように設計されており、その後、残りの剤形および全ての未溶解の薬物は十二指腸に放出されて、胃腸管を通過する。GR−ER錠剤に使用されるインビトロ溶解プロファイルは、約10時間以内に剤形に含まれる薬物用量の80%を放出する。
【0126】
図23は、8時間毎に投与(TID)される50mgの即放性ビロキサジン剤形についてシミュレートした定常状態の血漿プロファイルと、1日1回投与のGR−ER錠剤組成物のプロファイルとの比較を示す。24時間の投与サイクルについてシミュレートしたプロファイルの薬物動態分析(AUC
tau)により、このGR−ER錠剤組成物の全身インビボ曝露は、このIR投与計画で達成される全身曝露の98%であると推定された。
【0127】
実施例20
徐放性ペレットを含むビロキサジンカプセル
実施例14のビロキサジンER−Fペレット(表13)は、300mgのビロキサジン用量強度カプセルを生成するためにサイズ00カプセルに充填するか、または400mgのビロキサジン用量強度カプセル(ビロキサジン塩基としてビロキサジン用量)を生成するためにサイズ000カプセルに充填することができる。
【0128】
実施例21
追加のマトリックス錠の製剤
最終錠剤ブレンドPD0348−075(表16)を、50mgの用量強度の錠剤(ビロキサジン塩基としての用量)に圧縮した。錠剤を、平均ビロキサジン含量量(n=2)ならびにpH1.1およびpH6.8における薬物放出試験について評価した。平均含有量値は99.2%のラベルクレームであった。pH1.1およびpH6.8における薬物放出プロファイルは、t
80値が約8時間であることを示した。
【0130】
表16の製剤は、薬物放出プロファイルt
80値が8時間超に延長するよう、表17に記載のように変更できる。
【0132】
実施例24
高薬物負荷徐放性ペレット製剤
より高い薬物負荷徐放性ペレット製剤は、実施例5の表6に記載の造粒により生成した即放性ペレット製剤をSurelease(登録商標)E−7−19010で5%(w/w)までコーティングすることにより生成できる。得られたペレット剤形は、71%(w/w)のビロキサジン塩酸塩薬物負荷を有するであろう。
【0133】
実施例25
徐放性ペレット製剤
5%重量増加までOpadry(登録商標)II White(33G28523)でシールコートされた即放性ペレットを、その後ポビドン(米国薬局方)を含有するEUDRAGIT(登録商標)NE 30 D(EUDRAGIT(登録商標)NE 30 D固体:ポビドン(米国薬局方)固体の比が9:1)で10%(w/w)重量増加までコーティングして、t
80値が3時間〜4時間を示す徐放性ペレット製剤を生成した(
図24)。
【0134】
実施例26
ADHDの成人におけるビロキサジンの有効性を評価するための臨床研究
無作為化二重盲検、多施設、プラセボ対照臨床試験を実施し、ADHDの成人におけるビロキサジンの有効性を評価した。5週間の治療段階中、ビロキサジン塩基の総1日量が300mgとなるよう、対象に2つの50mgビロキサジンカプセル(実施例13の製剤、表9)をTID投与した。300mg/日の用量を許容できない対象には、治療段階の任意の時点で、ビロキサジン塩基の総1日量が150mgとなるよう1カプセルTIDに用量を減少させた。試験を完了する対象は試験のPK部分に登録する選択権を有しており、その際次の投与日の最初の用量である50mgのビロキサジン(4人の対象)または100mgのビロキサジン(14人の対象)いずれかの投与前および投与後の血漿試料を最後の来院時に各対象から得た。血漿試料は、投与後6時間までに採取した。
【0135】
本試験の結果は、総一日用量150mgと300mgのいずれにおいても達した定常状態のビロキサジン血漿レベルが臨床効果を実証したことを示した。最後の来院時に50m
gのビロキサジンを投与される4人の対象について観察された平均血漿中濃度は、6時間のサンプリング期間にわたって0.5μg/mL〜1.6μg/mLの範囲であった。最後の来院時に100mgのビロキサジンを投与される14人の対象について観察された平均血漿中濃度は、6時間のサンプリング期間にわたって0.5μg/mL〜2.1μg/mLの範囲であった。
【0136】
実施例27
押し出し/球形化ペレットを調製するためのビロキサジン造粒製剤
造粒製剤(表18)を、実施例5の製剤PD348−099に使用したプロセスと同様のプロセスを用いて製造した。その後、造粒を、押し出しおよび球形化によりペレットロットPD0385−010に加工した。Opadry(登録商標)II White(33G28523)のシールコートを、GPCG−1のウルスター法を使用してペレットに適用した。9:1の比で細孔形成剤のMETHOCEL(商標)E5プレミアムLVを含むSurelease(登録商標)E−7−19010のXRコーティングシステムをGPCG−1のウルスター法を使用して適用することにより、シールコートされたペレットロットPD0385−030を徐放性ペレット(ロットPD0385−033)に加工した。
【0138】
実施例28
薬物レイヤリングによるビロキサジンの多粒子−低力価ペレット
ビロキサジンの多粒子ペレットを、薬物レイヤリング技術を用いて調製した。薬物レイヤリング分散製剤(表19)を、最初にプロペラミキサーを用いて、METHOCEL(商標)E5プレミアムLV2.18gを水1436.92gに溶解することにより調製した。次いで、ビロキサジン塩酸塩(311.53g)をMETHOCEL(商標)E5プレミアムLV溶液に加え、約1時間混合した。
【0140】
混合後、分散液を80メッシュの篩を通して篩にかけ、次いで、GPCG−1のウルスター法を用いて、分散液を球状糖(30/35メッシュ)1000gに適用し、薬物レイヤードペレットロットPD0387−085を生成した。完成した薬物レイヤードペレットロットは、20%(w/w)の薬物含量値を有していた。次いで、この薬物レイヤードペレットロットを、GPCG−1のウルスター法を用いて5%(w/w)のコーティングレベルまでOpadry(登録商標)II White(33G28523)でシールコートし、18.7%(w/w)の薬物含有量値を得た。9:1の比で細孔形成剤のMETHOCEL(商標)E5プレミアムLVを含むSurelease(登録商標)E−7−19010のXRコーティングシステムをGPCG−1のウルスター法を用いて14%(w/w)のレベルまで適用することにより、シールコートされたペレットロット(PD0387−094)を徐放性ペレットロットPD0387−096に加工した。この徐放性ペレットを、48時間70℃で、オーブンで硬化させた。この徐放性ペレットロットの薬物含有量値は16%(w/w)と決定された。また、この徐放性ペレットロットを薬物放出について評価した(
図25)。薬物放出プロファイルは、0時間〜6時間にわたりほとんど0次放出であり、t
80値は6時間であった。
【0141】
実施例29
薬物レイヤリングによるビロキサジンの多粒子−高力価ペレット
薬物レイヤードペレットロットPD0387−113を、GPCG−1のウルスター法を使用して、表19に記載の薬物分散製剤を41%(w/w)の薬物含量値まで30/35メッシュの球状糖上に薬物レイヤリングすることにより生成した。次いで、この薬物レイヤードペレットロットを、GPCG−1のウルスター法を用いて5%(w/w)のコーティングレベルまでOpadry(登録商標)II White(33G28523)でシールコートし、39%(w/w)の薬物含有量値を得た。9:1の比で細孔形成剤のMETHOCEL(商標)E5プレミアムLVを含むSurelease(登録商標)E−7−19010のXRコーティングシステムをGPCG−1のウルスター法を用いて16%(w/w)のレベルまで適用することにより、シールコートされたペレットロット(PD0387−117)を徐放性ペレットロットPD0387−119に加工した。この徐放性ペレットを48時間60℃にてオーブンで硬化させ、薬物含有量値および薬物放出プロファイルを決定した。薬物含有量値は33%(w/w)と決定された。薬物放出プロファイル(
図26)は24時間のt
80値を示した。
【0142】
上記は特定の好ましい実施形態について言及しているが、本発明はそのように限定されないことが理解されるであろう。開示した実施形態に対して様々な改良がなされ、そのような改良は本発明の範囲内であると意図されることは、当業者なら思い浮かぶであろう。
【0143】
本明細書で引用した刊行物、特許出願および特許の全ては、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0144】
好ましい実施形態
1.ビロキサジンまたはその薬学的に許容される塩を含む製剤であって、前記製剤が徐放性成分および遅延放出成分のうちの少なくとも1つを含み、前記遅延放出成分が腸溶性化合物を含む製剤。
2.徐放性成分を含み、前記徐放性成分がビロキサジン、放出速度制御化合物、および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む、項目1に記載の製剤。
3.放出速度制御化合物が親水性化合物または疎水性化合物である、項目2に記載の製剤。
4.親水性化合物がヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、アカシア、アクリル酸誘導体、アルギ
ン酸、その塩およびその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、ポビドン、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、トラガカント、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目3に記載の製剤。
5.疎水性化合物がエチルセルロース、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、ワックス、水素化植物油、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、PEGグリセリルエステル、ポリ(エチルアクリレート−コ−メチルメタクリレート)、エチルアクリレートメチルメタクリレート共重合体、ポリ(エチルアクリレート−コ−メチルメタクリレート−コトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド)、ポリ酢酸ビニル、セルロースアセテートプロピオネート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目3に記載の製剤。
6.5%(w/w)〜65%(w/w)の放出速度制御化合物を含む、項目2に記載の製剤。
7.マトリックスコアを含み、マトリックスコアがビロキサジンおよび放出速度制御化合物の混合物を含む、項目2に記載の製剤。
8.ビロキサジンを含むコアおよびコア上に放出速度制御化合物のコーティングを含む、項目2に記載の製剤。
9.ビロキサジンを含むコアおよびコア上に腸溶性化合物のコーティングを含む、項目7に記載の製剤。
10.前記遅延放出成分が、ビロキサジンを含むコアおよび腸溶性化合物を含む遅延放出コーティングを含む、項目1に記載の製剤。
11.腸溶性化合物を含む遅延放出コーティングをさらに含む、項目8に記載の製剤。
12.即放性成分、徐放性成分および腸溶性化合物を含む遅延放出成分から選択される少なくとも1つの追加のビロキサジン含有成分をさらに含む、項目1に記載の製剤。
13.各成分が層の形態である、項目12に記載の製剤。
14.各成分が複数の粒子の形態である、項目12に記載の製剤。
15.遅延放出成分がビロキサジンを含む少なくとも1つのコアおよびコア(複数可)上に腸溶性化合物のコーティングを含む、項目1に記載の製剤。
16.徐放性成分、即放性成分および遅延放出成分を含む、項目12に記載の製剤。
17.腸溶性化合物がポリ(メチルアクリレート−コ−メチルメタクリレート−コ−メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸−コ−メチルメタクリレート)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸フタル酸セルロース、シェラック、ゼインからなる群から選択される、項目10に記載の製剤。
18.5%(w/w)〜40%(w/w)の腸溶性化合物を含む、項目10に記載の製剤。
19.1日1回投与のための項目1に記載の製剤。
20.1日2回投与のための項目1に記載の製剤。
21.10mg〜800mgのビロキサジンを含む、項目1に記載の製剤。
22.ビロキサジン塩酸塩を含む、項目1に記載の製剤。
23.製剤が25%(w/w)〜75%(w/w)のビロキサジンを含む、項目1に記載の製剤。
24.BIDまたはTIDの即放性製剤として投与される同量のビロキサジンと比較して、少なくとも1つの望ましくない副作用のレベルの減少を有する、項目1に記載の製剤。
25.望ましくない副作用が胃腸の副作用および神経学的副作用から選択される、項目24に記載の製剤。
26.望ましくない胃腸の副作用が消化不良、吐き気および嘔吐を含む、項目25に記載の製剤。
27.望ましくない神経学的副作用が睡眠障害を含む、項目24に記載の製剤。
28.睡眠障害が不眠症および/または異常な夢から選択される、項目27に記載の製
剤。
29.製剤が、最小治療有効濃度よりも高く、TIDまたはBIDのIR製剤としてのビロキサジンの投与によって生じる最大血漿中濃度に対して50%〜125%の範囲内にあるビロキサジンの最大定常状態血漿中濃度(C
max)を提供する、項目1に記載の製剤。
30.製剤が、TIDまたはBIDの即放性製剤として投与されるビロキサジンと比較して80%〜125%の範囲内にある、24時間の投薬間隔についての相対定常状態ビロキサジン血漿中濃度−時間プロファイル下面積(AUC
tau)を提供する、項目1に記載の製剤。
31.錠剤、カプセル剤、ビーズ、顆粒剤、散剤、カプレット剤、トローチ剤、サシェ、カシェ、ポーチ、ガム、スプリンクル、液剤および懸濁剤から選択される剤形中の項目1に記載の製剤。
32.少なくとも2つの徐放性成分を含み、各徐放性成分が独自の放出速度を有する、項目1に記載の製剤。
33.その必要のある哺乳動物対象におけるCNS障害を治療する方法であって、徐放性成分および遅延放出成分のうちの少なくとも1つを含む製剤を対象に投与することを含み、前記遅延放出成分が腸溶性化合物を含む方法。
34.CNS障害がADHD、ADHD関連障害および大うつ病性障害から選択される、項目33に記載の方法。
35.製剤が1日1回投与される、項目33に記載の方法。
36.製剤が1日2回投与される、項目33に記載の方法。
37.投与が、BIDまたはTIDの即放性製剤として投与される同量のビロキサジンと比較して、少なくとも1つの望ましくない副作用のレベルの減少をもたらす、項目33に記載の方法。
38.望ましくない副作用が胃腸の副作用および神経学的副作用から選択される、項目37に記載の方法。
39.望ましくない胃腸の副作用が消化不良、悪心および嘔吐を含む、項目38に記載の方法。
40.望ましくない神経学的副作用が睡眠障害を含む、項目38に記載の方法。
41.睡眠障害が不眠症および/または異常な夢から選択される、項目40に記載の方法。
42.対象がヒトの子供である、項目33に記載の方法。
43.対象がヒト成人である、項目33に記載の方法。
44.製剤が10mg〜800mgの1日用量で投与される、項目33に記載の方法。
45.投与が、最小治療有効濃度よりも高く、TIDまたはBIDのIR製剤としてのビロキサジンの投与によって生じる最大血漿中濃度に対して50%〜125%の範囲内にあるビロキサジンの最大定常状態血漿中濃度(C
max)を提供する、項目33に記載の方法。
46.投与が、TIDまたはBIDの即放性製剤として投与されるビロキサジンと比較して80%〜125%の範囲内にある、24時間の投与間隔についての相対定常状態ビロキサジン血漿中濃度−時間プロファイル下面積(AUC
tau)を提供する、項目33に記載の方法。
47.その必要のある哺乳動物対象におけるCNS障害を治療する方法であって、ビロキサジンまたはその薬学的に許容される塩および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含むビロキサジンの緩和放出製剤を前記対象に投与することを含み、製剤中のビロキサジンの量が25%(w/w)〜75%(w/w)である方法。
48.前記製剤がビロキサジン塩酸塩を含む、項目47に記載の方法。