(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記断熱材が、独立気泡材、独立気泡プラスチック材、エアロゲル、真空断熱材、シリコーン発泡体、ゴム材、綿、フリース、不織布材料、不織布フリース、織物材料、編物材料、ナイロン、発泡体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエステルフィラメント、ポリプロピレン、ポリエステルとポリプロピレンとの混紡、酢酸セルロース、紙、厚紙、及び波形の材料からなる群から選択された1つ以上の断熱材を備える、請求項8に記載の装置。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様は、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置を提供し、本装置は、
喫煙材を備える物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱領域と、
変動磁場を発生させるための磁場発生器と、
加熱領域の周りに少なくとも部分的に延在し、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備えて加熱領域を加熱する細長い加熱素子と
を備える。
【0004】
例示的な実施形態では、加熱領域は加熱素子によって画定される。
【0005】
例示的な実施形態では、加熱領域には、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材がない。
【0006】
例示的な実施形態では、加熱素子は、加熱領域を取り囲む管状の加熱素子である。
【0007】
例示的な実施形態では、本装置は、加熱素子を取り囲む断熱材の塊を備える。
【0008】
例示的な実施形態では、磁場発生器は、コイルと、コイルに変動電流を流すための装置とを備える。変動電流は交流電流とすることができる。
【0009】
例示的な実施形態では、コイルは加熱素子を取り囲む。
【0010】
例示的な実施形態では、本装置は、コイルと加熱素子との間に断熱材の塊を備える。
【0011】
例示的な実施形態では、断熱材は、独立気泡材、独立気泡プラスチック材、エアロゲル、真空断熱材、シリコーン発泡体、ゴム材、綿、フリース、不織布材料、不織布フリース、織物材料、編物材料、ナイロン、発泡体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエステルフィラメント、ポリプロピレン、ポリエステルとポリプロピレンとの混紡、酢酸セルロース、紙又は厚紙、及び波形の紙又は厚紙などの波形の材料からなる群から選択された1つ以上の断熱材を含む。
【0012】
例示的な実施形態では、本装置は、コイルを取り囲む断熱材の塊を備える。
【0013】
例示的な実施形態では、断熱材は、独立気泡材、独立気泡プラスチック材、エアロゲル、真空断熱材、シリコーン発泡体、ゴム材、綿、フリース、不織布材料、不織布フリース、織物材料、編物材料、ナイロン、発泡体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエステルフィラメント、ポリプロピレン、ポリエステルとポリプロピレンとの混紡、酢酸セルロース、紙又は厚紙、及び波形の紙又は厚紙などの波形の材料からなる群から選択された1つ以上の断熱材を含む。
【0014】
例示的な実施形態では、本装置は、加熱素子の最も外側の面とコイルの最も内側の面との間に約1ミリメートルから約3ミリメートルの隙間を備える。例示的な実施形態では、隙間は、約1.5ミリメートルから約2.5ミリメートルである。
【0015】
例示的な実施形態では、コイルは、細長い加熱素子の長手方向軸と実質的に揃えられた長手方向軸に沿って延在している。例示的な実施形態では、これらの軸は一致する。
【0016】
例示的な実施形態では、コイルのインピーダンスは、加熱素子のインピーダンスと等しい又は実質的に等しい。
【0017】
例示的な実施形態では、加熱素子の外面の熱放射率は0.1以下である。例示的な実施形態では、熱放射率は0.05以下である。
【0018】
例示的な実施形態では、加熱素子は、加熱領域の周りに少なくとも部分的に延在して全体又は実質的に全体が加熱材からなる細長い加熱部材を備える。
【0019】
それぞれの例示的な実施形態では、加熱材は、導電性材料、磁性材料、及び非磁性材料からなる群から選択された1つ以上の材料を含む。それぞれの例示的な実施形態では、加熱材は、金属又は金属合金を含む。それぞれの例示的な実施形態では、加熱材は、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライトステンレス鋼、銅、及び青銅からなる群から選択された1つ以上の材料を含む。
【0020】
例示的な実施形態では、加熱材は、変動磁場によって侵入されるときに加熱材に誘導される渦電流の影響を受けやすい。
【0021】
例示的な実施形態では、加熱素子の第1の部分は、加熱素子の第2の部分よりも、変動磁場の侵入によってその中に誘導される渦電流の影響を受けやすい。
【0022】
例示的な実施形態では、加熱素子は、加熱材を備える細長い加熱部材と、加熱部材の内面のコーティングとを備え、コーティングは、加熱部材の内面よりも滑らか又は硬い。コーティングは、ガラス又はセラミック材料を含むことができる。
【0023】
例示的な実施形態では、本装置は、加熱領域又は加熱素子の温度を検知するための温度センサを備える。例示的な実施形態では、磁場発生器は、温度センサの出力に基づいて作動するように構成される。
【0024】
例示的な実施形態では、磁場発生器は、加熱素子の異なる各部分に侵入するための複数の変動磁場を発生させるためのものである。
【0025】
例示的な実施形態では、本装置は、
磁場発生器を備える本体と、
加熱領域と流体連通する通路を画定する吸い口と
を備え、吸い口は、加熱領域にアクセスすることができるように本体に対して移動可能であり、細長い加熱素子を備える。
【0026】
例示的な実施形態では、吸い口は加熱領域を備える。
【0027】
例示的な実施形態では、本体は加熱領域を備える。
【0028】
本発明の第2の態様は、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置を提供し、本装置は、
喫煙材を備える物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱領域と、
変動磁場を発生させるための磁場発生器を備える本体と、
加熱領域と流体連通する通路を画定し、加熱領域にアクセスすることができるように本体に対して移動可能であり、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備えて加熱領域を加熱する加熱素子を備える吸い口と
を備える。
【0029】
それぞれの例示的な実施形態では、本発明の第2の態様の装置は、上記の本発明の第1の態様の装置の例示的な実施形態の特徴のいずれかを有することができる。
【0030】
本発明の第3の態様はシステムを提供し、本システムは、
喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置であって、喫煙材を備えた物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱領域と、変動磁場を発生させるための磁場発生器と、加熱領域の周りに少なくとも部分的に延在し、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備えて加熱領域を加熱する細長い加熱素子とを備える装置と、
本装置とともに使用するための物品であって、喫煙材を備える物品と
を備える。
【0031】
それぞれの例示的な実施形態では、本システムの装置は、上記の本発明の第1の態様又は本発明の第2の態様の装置の例示的な実施形態の特徴のいずれかを有することができる。
【0032】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態を単なる例として説明する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本書では、用語「喫煙材」は、加熱されると揮発成分を、典型的には蒸気又はエアロゾルの形態で供する材料を含む。「喫煙材」は非タバコ含有材料であってもよいし、タバコ含有材料であってもよい。「喫煙材」は、例えば、タバコ自体、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、タバコ抽出物、均質化タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ以上を含んでいてもよい。喫煙材は、挽きタバコ、刻みラグタバコ、押出タバコ、液体、ゲル、ゲル化シート、粉末、又は塊の形態とすることが可能である。「喫煙材」は、他に非タバコ製品を含んでいてもよい。この非タバコ製品は、製品によってニコチンを含んでもよいし、含まないでもよい。「喫煙材」は、1つ以上の保湿剤、例えばグリセロール又はプロピレングリコール、を含んでいてもよい。
【0035】
本書では、用語「加熱材」は、変動磁場の侵入によって加熱可能な材料を指す。
【0036】
本書では、用語「香料」及び「香味料」は、成人消費者用の製品において所望の味又は香りを生成するために(現地の規制によって許可される場合に)使用することができる材料を指す。これらの材料は、抽出物(例えば、カンゾウ、アジサイ、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メンソール、ニホンハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ウィンターグリーン、サクランボ、ベリー、モモ、リンゴ、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、はちみつエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ピーマン、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、又はハッカ属の任意の種からのハッカ油など)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性化剤若しくは感覚受容体部位刺激剤、糖及び/又は代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びに他の添加物(例えば、チャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性物質、又は息清涼剤)を含んでいてもよい。これらは、模造品、合成材料又は天然材料、あるいはこれらの混合物であってもよい。これらは、油、液体、ゲル、粉末など、任意の適切な形態をとることができる。
【0037】
誘導加熱は、導電性物体に変動磁場を侵入させることによってその物体を加熱するプロセスである。このプロセスは、ファラデーの電磁誘導の法則及びオームの法則によって説明される。誘導ヒーターは、電磁石と、この電磁石に交流電流などの変動電流を流すための装置を備えることができる。加熱しようとする物体と電磁石が、電磁石によって生じた変動磁場がこの物体に侵入するような適切な相対位置に配置されると、この物体内に1つ以上の渦電流が発生する。この物体は電流の流れに対する抵抗を有する。したがって、この物体内にこのような渦電流が発生すると、渦電流が物体の電気抵抗に抗して流れ、それによってこの物体が加熱される。このプロセスは、ジュール加熱、オーム加熱、又は抵抗加熱と呼ばれる。誘導加熱することができる物体は、サセプタとして知られている。
【0038】
サセプタが閉回路の形態のときは、使用時におけるサセプタと電磁石との磁気結合が強くなり、その結果、ジュール加熱が増大し、又は改善されることが分かっている。
【0039】
磁気ヒステリシス加熱は、磁性材料からなる物体に変動磁場が侵入することによって物体を加熱するプロセスである。磁性材料は、原子スケールの磁石すなわち磁気双極子を多く含んでいると考えることができる。磁場がこのような材料に侵入すると、磁気双極子は磁場に沿って整列する。したがって、交流磁場(例えば、電磁石によって生じたもの)などの変動磁場が磁性材料に侵入すると、磁気双極子の向きは、印加された変動磁場に応じて変化する。このような磁気双極子の再配向によって、磁性材料内に熱が発生する。
【0040】
物体が導電性及び磁性の両方を有するときは、その物体に変動磁場を侵入させると、物体にジュール加熱及び磁気ヒステリシス加熱の両方を生じさせることができる。さらに、磁性材料を使用すると、変動磁場を強めることができ、それによりジュール加熱を強めることができる。
【0041】
上記のプロセスのそれぞれにおいて、熱は、外部熱源によって熱伝導により発生するのではなく、物体自体の内部で発生するので、物体内の急速な温度上昇と、より均一な熱分布を達成することができる。これは、特に、物体の材料及び幾何形状を適切に選び、その物体に対して変動磁場の大きさ及び向きを適切に選ぶことによって達成することができる。さらに、誘導加熱及び磁気ヒステリシス加熱では、変動磁場の源と物体との間に物理的な接続部を設ける必要がないので、設計自由度及び加熱プロファイルの制御性を高めるとともに、コストを抑えることができる。
【0042】
図2及び
図1を参照すると、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための、本発明の実施形態による装置の例の概略断面図、及びその装置の一部分の概略斜視図をそれぞれ示している。概して、装置100は、喫煙材を備える物品の少なくとも一部分を受け入れるヒーター領域又は加熱領域113と、変動磁場を発生させるための磁場発生器120と、加熱領域113の周りに延在して、変動磁場の侵入によって加熱可能なヒーター材又は加熱材を備えて加熱領域113を加熱する細長い加熱素子110とを備える。
【0043】
この実施形態では、加熱素子110は、加熱領域113を取り囲む管状の加熱素子110である。この実施形態では、加熱領域113は空洞を含む。しかしながら、他の実施形態では、加熱素子110は完全な管状でないものにすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、ヒーター素子又は加熱素子110は、加熱素子110に形成された軸方向に延在する隙間又は切れ目以外を管状とすることができる。この実施形態では、加熱素子110は実質的に円形の断面を有する。しかしながら、他の実施形態では、加熱素子は、方形、矩形、多角形、又は楕円形などの円形以外の断面を有することができる。
【0044】
この実施形態では、加熱領域113は、加熱素子110によって画定されている。すなわち、加熱素子110は、加熱領域113の輪郭又は範囲を定めている。さらに、この実施形態では、加熱領域113自体には、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材がない。したがって、下記のように磁場発生器120によって変動磁場を発生させるとき、より多くの変動磁場のエネルギーが加熱素子110を加熱するために利用することができる。他の実施形態では、加熱領域113には、加熱材を備えるさらなる加熱素子が存在することができる。
【0045】
この実施形態の加熱素子110は、加熱領域113の周りに延在して全体又は実質的に全体が加熱材からなる細長い管状の加熱部材114を備える。したがって、加熱部材114は、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材の閉回路を備える。さらに、この実施形態では、加熱素子110は、加熱部材114の内面にコーティング115を備える。コーティング115は、加熱部材114自体の内面よりも滑らか又は硬い。このようなより滑らか又は硬いコーティング115によって、装置100の使用後に加熱素子110を容易に清掃することができる。コーティング115は、例えば、ガラス又はセラミック材料で作ることができる。他の実施形態では、コーティング115を省略することができる。いくつかの実施形態では、使用時、加熱素子110が加熱領域113に挿入された物品又は喫煙材と接触することができる表面積を増大するように、コーティングは加熱部材114自体の外面よりも粗くすることができる。
【0046】
加熱材は、導電性材料、磁性材料、及び非磁性材料からなる群から選択された1つ以上の材料を含むことができる。加熱材は、金属又は金属合金を含むことができる。加熱材は、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライトステンレス鋼、銅、及び青銅からなる群から選択された1つ以上の材料を含むことができる。他の(1つ以上の)材料を他の実施形態の加熱材として使用することができる。この実施形態では、加熱素子110の加熱材は導電性材料を含む。したがって、この加熱材は、変動磁場を侵入させたときに加熱材内に誘導される渦電流の影響を受けやすい。したがって、加熱素子110は、変動磁場を受けたとき、サセプタとして働くことができる。また、加熱材として磁性導電材を用いると、使用時、加熱素子110と、下記で説明する磁場発生器120のコイル122との間の磁気結合を強くすることができることも分かっている。これは、磁気ヒステリシス加熱を潜在的に可能にすることに加えて、加熱素子110のジュール加熱を増大させる、又は改善することができ、したがって、加熱領域113の加熱を増大させる、又は改善することができる。
【0047】
加熱素子110の厚さは、加熱素子110の他の寸法に比べて薄いことが好ましい。サセプタは、誘導電流のほとんどが生じる外側の領域である表皮深さを有することができる。加熱素子110の厚さを比較的薄くすることによって、加熱素子110の他の寸法に比べて比較的長い奥行き又は厚さを有する加熱素子110と比べると、所与の変動磁場によって加熱素子110のより大きな割合を加熱可能にすることができる。したがって、材料をより効率的に使用することになる。それはコストを削減する。
【0048】
いくつかの実施形態では、加熱素子110の第1の部分は、加熱素子110の第2の部分よりも、変動磁場の侵入によってその中に誘導される渦電流の影響を受けやすい。例えば、いくつかの実施形態では、
図2の装置100の加熱素子110は、
図4に示す加熱素子110によって置き換えることができる。
【0049】
図4の加熱素子110では、加熱素子110の第1の部分111は、加熱素子110の第2の部分112よりも、変動磁場の侵入によってその中に誘導される渦電流の影響を受けやすい。加熱素子110の第1の部分111が第1の材料で作られ、加熱素子110の第2の部分112が異なる第2の材料で作られ、第1の材料が第2の材料よりも影響の受けやすさが高い結果、加熱素子110の第1の部分111は影響をより受けやすくすることができる。例えば、第1の部分111及び第2の部分112のうちの一方を鉄で作り、第1の部分111及び第2の部分112のうちの他方をグラファイトで作ることができる。これに代えて又はこれに加えて、加熱素子110の第1の部分111が加熱素子110の第2の部分112と異なる厚さ及び/又は材料密度を有する結果、加熱素子110の第1の部分111は影響をより受けやすくすることができる。
【0050】
影響の受けやすさが高い部分111を、装置100の吸い口端にしようとする部分の近くに配置することができる、又は、影響の受けやすさが低い部分112を、装置100の吸い口端にしようとする部分の近くに配置することができる。後者の場合、影響の受けやすさが低い部分112は、影響の受けやすさが高い部分112よりも加熱領域113内に位置する物品の喫煙材を加熱する度合いを低くすることができ、したがって、加熱された度合いのより低い喫煙材は、喫煙材の加熱中に発生した蒸気の温度を下げるため、又は物品内で発生した蒸気の刺激を弱くするために、フィルタとして働くことができる。
【0051】
図4では、第1の部分111と第2の部分112とは、加熱素子110の長手方向に互いに隣接して配置されているが、他の実施形態ではこのようにする必要はない。例えば、いくつかの実施形態では、第1の部分111と第2の部分112とは、加熱素子110の長手方向に垂直な方向に互いに隣接して配置することができる。
【0052】
加熱素子110の、その中に誘導される渦電流の影響の受けやすさをこのように変えることは、加熱領域113に挿入された物品内の喫煙材を漸進的に加熱し、以て、蒸気を漸進的に生成する助けとなり得る。例えば、影響の受けやすさが高い部分111は、喫煙材の第1の領域を比較的急速に加熱して、喫煙材の第1の領域で、喫煙材の少なくとも1つの成分の揮発及び蒸気の形成を開始させることができる。影響の受けやすさが低い部分112は、喫煙材の第2の領域を比較的ゆっくり加熱して、喫煙材の第2の領域で、喫煙材の少なくとも1つの成分の揮発及び蒸気の形成を開始させることができる。したがって、蒸気は、使用者が吸入するために比較的迅速に形成されることができ、喫煙材の第1の領域が蒸気の生成を終えた後でさえ、使用者が引き続き吸入するためにその後も蒸気が形成され続けることができる。喫煙材の揮発可能な成分を使い尽くすと、喫煙材の第1の領域は蒸気の生成を終えることができる。
【0053】
他の実施形態では、加熱素子110のすべてが、変動磁場の侵入によって加熱素子110内に誘導される渦電流の影響を等しく又は実質的に等しく受けやすくすることができる。いくつかの実施形態では、加熱素子110はこのような渦電流の影響を受けやすくすることができない。そのような実施形態では、加熱材は非導電性の磁性材料の場合があり、したがって、上記の磁気ヒステリシスプロセスによって加熱可能とすることができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、本装置は、加熱素子110の内面110aの少なくとも一部分に触媒材料を備えることができる。触媒材料は、加熱素子110の内面110aのすべてに、又は加熱素子110の内面110aのいくつかの部分だけに設けることができる。触媒材料は、コーティングの形態を採ることができる。このような触媒材料を設けることは、使用時、装置100が、加熱された化学的に活性な表面を有することができることを意味する。使用時、触媒材料は、潜在的な刺激物を刺激性のより少ないものに変換する、又はその変換率を上げるように働くことができる。使用時、触媒材料は、例えば、ギ酸をメタノールに変換する、又はその変換率を上げるように働くことができる。他の実施形態では、触媒材料は、他の化学物質を変換する、例えば、水素化によってアセチレンをエタンに変換する、又はアンモニアを窒素と水素に変換する、あるいはその変換率を上げるように働くことができる。これに加えて又はこれに代えて、触媒物質は、一酸化炭素と水蒸気とを反応させて二酸化炭素と水素とを形成する(水性ガスシフト反応すなわちWGSR:water−gas shift reaction)、又はその反応速度を上げるように働くことができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、加熱素子110の外面110bの熱放射率は、0.1以下とすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、加熱素子110の外面110bの熱放射率は、0.03又は0.02など、0.05以下とすることができる。このような低い放射率は、熱を加熱素子110内、及び加熱領域113内に保持するのに役立ち、下記の断熱の他の熱的利点のいくつか、又はすべてを提供する。この熱放射率は、加熱素子110の外面110bを銀又はアルミニウムなどの低放射率材料から作ることによって達成することができる。
【0056】
この実施形態の磁場発生器120は、電源121と、コイル122と、コイル122に交流電流などの変動電流を流すためのデバイス123と、制御器124と、制御器124を使用者が操作するためのユーザインターフェース125とを備える。
【0057】
この実施形態では、電源121は充電式電池である。他の実施形態では、電源121は、例えば、非充電式電池、キャパシタ、又は商用電源への接続部など、充電式電池以外とすることができる。
【0058】
コイル122は任意の適切な形態を採ることができる。この実施形態では、コイル122は、銅などの導電性材料の螺旋コイルである。いくつかの実施形態では、磁場発生器120は、コイル122が巻かれた透磁性コアを備えることができる。このような透磁性コアは、使用時、コイル122によって生成される磁束を集中させ、磁場をより強力にする。透磁性コアは、例えば鉄で作ることができる。いくつかの実施形態では、透磁性コアは、コイル122の長さに沿って部分的にだけ延在して、特定の領域のみに磁束を集中させることができる。
【0059】
この実施形態では、コイル122は円形螺旋である。すなわち、コイル122はその長さに沿って実質的に一定の半径を有する。他の実施形態では、コイル122の半径は、その長さに沿って変えることができる。例えば、いくつかの実施形態では、コイル122は円錐螺旋又は楕円螺旋を含むことができる。この実施形態では、コイル122はその長さに沿って実質的に一定のピッチを有する。すなわち、コイル122の長手方向軸に平行に測ると、コイル122の隣接する任意の2つの巻きの間の隙間の幅は、コイル122の隣接する他の任意の2つの巻きの間の隙間の幅と実質的に同じである。他の実施形態では、このようにしないことができる。ピッチを変えることによって、コイル122によって生成される変動磁場の強度をコイル122の異なる部分で異なるようにすることができ、これは、加熱素子110及び加熱領域113を、したがって、加熱領域113内に配置された任意の物品を、上記と同様な態様で漸進的に加熱する助けとなり得る。
【0060】
この実施形態では、コイル122は、加熱素子110及び加熱領域113に対して固定位置にある。この実施形態では、コイル122は、加熱素子110及び加熱領域113を取り囲んでいる。この実施形態では、コイル122は、加熱領域113の長手方向軸A−Aと実質的に揃えられた長手方向軸に沿って延在している。この実施形態では、これらの揃えられた軸は一致する。この実施形態の変形例では、揃えられた軸は互いに平行とすることができる。しかしながら、他の実施形態では、軸は互いに傾けることができる。さらに、この実施形態では、コイル122は、加熱素子110の長手方向軸と実質的に一致する長手方向軸に沿って延在している。これは、使用時に加熱素子110をより均一に加熱する助けとなり得、また、装置100の製造性にも助けになり得る。他の実施形態では、コイル122及び加熱素子110の長手方向軸は、互いに平行にすることによって互いに揃えることができる、又は、互いに傾けることができる。
【0061】
この実施形態の磁場発生器120のコイル122のインピーダンスは、加熱素子110のインピーダンスと等しい又は実質的に等しい。もしも、その代わりに加熱素子110のインピーダンスが磁場発生器120のコイル122のインピーダンスよりも低い場合、使用時の加熱素子110の両端に発生する電圧は、インピーダンスを一致させたときに加熱素子110の両端に生成することができる電圧よりも低くなる可能性がある。あるいは、その代わりに、加熱素子110のインピーダンスが磁場発生器120のコイル122のインピーダンスよりも高い場合、使用時の加熱素子110に発生する電流は、インピーダンスを一致させたときに加熱素子110に生成することができる電流よりも低くなる可能性がある。インピーダンスを一致させると、使用中の加熱時に、加熱素子110に生成される加熱電力を最大にするために電圧と電流とのバランスをとる助けとなり得る。いくつかの他の実施形態では、インピーダンスを一致させないことがある。
【0062】
この実施形態では、コイル122に変動電流を流すためのデバイス123は、電源121とコイル122との間に電気的に接続される。この実施形態では、制御器124もまた、電源121に電気的に接続され、デバイス123に通信可能に接続される。制御器124は、加熱素子110を加熱させ、且つ、その加熱を制御するためのものである。より詳細には、この実施形態では、制御器124はデバイス123を制御して、電源121からコイル122への電力の供給を制御するためのものである。この実施形態では、制御器124は、プリント回路基板(PCB:printed circuit board)上の集積回路(IC:integrated circuit)などのICを備える。他の実施形態では、制御器124は異なる形態を採ることができる。いくつかの実施形態では、本装置は、デバイス123及び制御器124を備える単一の電気又は電子構成部品を有することができる。この実施形態では、制御器124は、ユーザインターフェース125を使用者が操作することによって動作する。ユーザインターフェース125は、装置100の外側に配置される。ユーザインターフェース125は、押しボタン、トグルスイッチ、ダイヤル、タッチスクリーンなどを備えることができる。
【0063】
この実施形態では、使用者がユーザインターフェース125を操作すると、制御器124は、デバイス123に、コイル122に交流電流を流してコイル122に交流磁場を発生させる。コイル122及び加熱素子110は、コイル122によって生成された交流磁場が加熱素子110の加熱材に侵入するように適切な相対位置に配置される。加熱素子110の加熱材が導電性材料のとき、加熱材内に1つ以上の渦電流を発生させることができる。渦電流が加熱材の電気抵抗に抗して加熱材内を流れると、加熱材はジュール加熱によって加熱される。上記のように、加熱材が磁性材料で作られているとき、加熱材内の磁気双極子の向きは印加された磁場の変化に応じて変化し、それによって、加熱材内に熱が生成される。
【0064】
この実施形態の装置100は、加熱領域113の温度を検知するための温度センサ126を備える。温度センサ126は、制御器124に通信可能に接続され、その結果、制御器124は加熱領域113の温度を監視することができる。いくつかの実施形態では、温度センサ126は、加熱領域113又は加熱領域113に配置された物品を光学的に温度測定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、加熱領域113に配置される物品は、物品の温度を検出するために抵抗温度検出器(RTD:resistance temperature detector)などの温度検出器を備えることができる。物品は、温度検出器に電気接続などで接続された1つ以上の端子をさらに備えることができる。(1つ以上の)端子は、物品が加熱領域113内にあるときに、装置100の温度モニタ(図示せず)との電気接続などの接続のためのものとすることができる。制御器124は温度モニタを備えることができる。したがって、装置100の温度モニタは、装置100とともに使用中の物品の温度を測定することができる。
【0065】
制御器124は、加熱領域113の温度を所定の温度範囲内に確実に維持するために、温度センサ126(及び/又は、温度検出器を設ける場合は温度検出器)から受信された1つ以上の信号に基づいて、必要に応じてコイル122に流す変動電流又は交流電流の特性をデバイス123に調節させることができる。この特性は、例えば、振幅又は周波数とすることができる。使用時、加熱領域113内に配置された物品内の喫煙材は、所定の温度範囲で、喫煙材を燃焼させることなく喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるのに十分な加熱がなされる。したがって、制御器124、及び装置100は全体として、喫煙材を加熱して、喫煙材を燃焼させることなく喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるように構成される。いくつかの実施形態では、温度範囲は、約50℃〜約250℃、例えば、約50℃と約150℃との間、約50℃と約120℃との間、約50℃と約100℃との間、約50℃と約80℃との間、又は約60℃と約70℃との間である。いくつかの実施形態では、温度範囲は約170℃と約220℃との間である。他の実施形態では、温度範囲は、これらの範囲以外のことがある。
【0066】
いくつかの実施形態では、装置100は、吸い口(図示せず)を備えることができる。吸い口は、装置100の残りの部分に吸い口を接続するように、装置100の残りの部分と取外し可能に係合可能にすることができる。他の実施形態では、吸い口は、蝶番又は可撓性部材などによって、装置100の残りの部分と永続的に接続することができる。
【0067】
吸い口は、物品が中を通って加熱領域113内に挿入可能となる、加熱領域113内への開口を覆うように、加熱素子110に対して配置可能にすることができる。吸い口を加熱素子110に対してこのように配置すると、吸い口を貫通する通路は、加熱領域113と流体連通することができる。使用時、この通路は、揮発材が加熱領域113から装置100の外部に流れることを可能にする通路として働く。
【0068】
加熱領域113、したがって加熱領域113内の任意の物品が加熱されると、使用者は、物品の吸い口を設ける場合には物品の吸い口、又は装置100の吸い口を設ける場合には装置100の吸い口を通して(1つ以上の)揮発成分を引き込むことによって喫煙材の(1つ以上の)揮発成分を吸入することができる。空気は、物品と加熱素子110との間の隙間を通って物品に入ることができ、又は、いくつかの実施形態では、装置100は、加熱領域113を装置100の外部と流体接続する空気入口を有することができる。(1つ以上の)揮発成分が物品から出ると、空気は、装置100の空気入口を経て加熱領域113内に引き込まれることができる。
【0069】
この実施形態では、装置100は、コイル122と加熱素子110との間に第1の断熱材の塊130を備える。第1の断熱材の塊130は加熱素子110を取り囲む。この実施形態では、第1の断熱材の塊130は独立気泡プラスチック材を含む。しかしながら、他の実施形態では、第1の断熱材の塊130は、例えば、独立気泡材、独立気泡プラスチック材、エアロゲル、真空断熱材、シリコーン発泡体、ゴム材、綿、フリース、不織布材料、不織布フリース、織物材料、編物材料、ナイロン、発泡体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエステルフィラメント、ポリプロピレン、ポリエステルとポリプロピレンとの混紡、酢酸セルロース、紙又は厚紙、及び波形の紙又は厚紙などの波形の材料からなる群から選択された1つ以上の断熱材を含むことができる。断熱材は、これに加えて又はこれに代えて、空隙を含むことができる。このような第1の断熱材の塊130は、加熱素子110から加熱領域113以外の装置100の構成部品への熱損失を防ぐ助けとなり得、加熱領域113の加熱効率を高める助けとなり得、及び/又は、加熱エネルギーが加熱素子110から装置100の外面に伝達することを低減する助けとなり得る。これによって、使用者はより快適に装置100を持つことができる。
【0070】
この実施形態では、装置100は、コイル122を取り囲む第2の断熱材の塊140もまた備える。この実施形態では、第2の断熱材の塊140は綿又はフリースを含む。しかしながら、他の実施形態では、第2の断熱材の塊140は、例えば、エアロゲル、真空断熱材、綿、フリース、不織布材料、不織布フリース、織物材料、編物材料、ナイロン、発泡体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエステルフィラメント、ポリプロピレン、ポリエステルとポリプロピレンとの混紡、酢酸セルロース、紙又は厚紙、波形の紙又は厚紙などの波形の材料、独立気泡材、独立気泡プラスチック材、エアロゲル、真空断熱材、シリコーン発泡体、ゴム材からなる群から選択された1つ以上の材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の断熱材の塊140は、第1の断熱材の塊130に対する上記の材料のうちの1つ以上を含むことができる。断熱材は、これに加えて又はこれに代えて、空隙を含むことができる。このような第2の断熱材の塊140は、加熱エネルギーが加熱素子110から装置100の外面に伝達することを低減する助けとなり得、これに加えて又はこれに代えて、加熱領域113の加熱効率を高める助けとなり得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、第1の断熱材の塊130及び第2の断熱材の塊140のうちの一方又は両方を省略することができる。いくつかの実施形態では、コイル122は断熱材の本体内に埋め込むことができる。このような断熱材の本体は、加熱素子110に当接する又は加熱素子110を包むことができる。断熱材の本体は、例えば、コイル122を包むことに加えて、
図1及び
図2の装置100の第1及び第2の断熱材の塊130、140によって占められた空間を占めることができる。断熱材の本体は、例えば、独立気泡材、独立気泡プラスチック材、エアロゲル、真空断熱材、シリコーン発泡体、及びゴム材からなる群から選択された1つ以上の断熱材を含むことができる。上記の熱的利点に加えて、このような断熱材の本体は、例えば、コイル122と加熱素子110との相対的位置を維持するのに役立つことによって、装置100をより頑強にする助けとなり得る。断熱材の本体は、コイル122の周りに、且つ、加熱素子110に接触して又は加熱素子110の周りに断熱材の本体の材料を注ぎ、コイル122及び加熱素子110をポッティングすることによって製造することができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、装置100は、加熱素子110の最も外側の面110bとコイル122の最も内側の面との間に隙間を備える。いくつかのこのような実施形態では、第1の断熱材の塊130を省略することができる。このような実施形態の例を
図3に示す。
図3を参照すると、本発明の実施形態による、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための別の装置の例の概略断面図が示されている。この実施形態の装置200は、第1の断熱材の塊130が省略されていることを除けば、
図1及び
図2の装置100と同一である。
図1及び
図2の装置100に対する上記の可能な変形例のいずれも、
図3の装置200に対して行って、個別の各実施形態を形成することができる。
【0073】
図3の寸法は、明瞭にするために強調されているが、装置200は、加熱素子110の最も外側の面110bとコイル122の最も内側の面との間に約2ミリメートルの隙間Gを備える。この実施形態の変形では、隙間Gを、約1ミリメートル〜約3ミリメートル、又は約1.5ミリメートル〜約2.5ミリメートルなど、2ミリメートル以外とすることができる。このような隙間Gはそれ自体、断熱材として働いて上記の熱的利点のいくつか又はすべてを与える助けとなり得る。例えば
図3に示したような実施形態では、加熱素子110をコイル122内に浮かせることができる。加熱素子110は、温度センサ126が取り付けられた壁に取り付けることによって支持することができる。
【0074】
装置100のいくつかの実施形態は、加熱素子110を「自己清掃」するように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、以前に使い切った物品からの加熱素子110に残った残渣物を焼却することができるレベルまで加熱素子110の温度を上昇させるために、制御器124は、例えば、ユーザインターフェース125を使用者が適切に操作して、必要に応じてコイル122に流れる変動電流又は交流電流の特性をデバイス123に調節させるように構成することができる。この特性は、例えば、振幅又は周波数とすることができる。この温度は、例えば、摂氏500度を超える場合がある。
【0075】
装置100のいくつかの実施形態は、使用者に触覚フィードバックを与えるように構成することができる。このフィードバックは、加熱していることを示すことができる、又は、加熱領域113内の物品の喫煙材の揮発可能な(1つ以上の)成分が、元の量の所定の割合より多く消費されたことなどを示すようにタイマによってフィードバックを生じさせることができる。この触覚フィードバックは、コイル122と加熱素子110との相互作用(すなわち、磁気的な応答)によって、導電性素子とコイル122との相互作用によって、不平衡モータの回転によって、圧電素子に繰り返し電流を印加及び除去することによって、などで生じさせることができる。これに加えて又はこれに代えて、装置100のいくつかの実施形態は、このような触覚を利用して、加熱素子110を振動清掃することによって上記の「自己清掃」プロセスを補助することができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、磁場発生器120は、加熱素子110の異なる各部分に侵入するための複数の変動磁場を発生させるためのものとすることができる。例えば、装置100はコイルを2つ以上備えることができる。装置100の複数のコイルは、加熱素子110を漸進的に加熱し、したがって、加熱領域113内に配置された物品の喫煙材を漸進的に加熱し、その結果、蒸気を漸進的に生成するように動作可能とすることができる。例えば、1つのコイルは、加熱材の第1の領域を比較的急速に加熱して、喫煙材の第1の領域で、喫煙材の少なくとも1つの成分の揮発及び蒸気の形成を開始させることができる。別のコイルは、加熱材の第2の領域を比較的ゆっくり加熱して、喫煙材の第2の領域で、喫煙材の少なくとも1つの成分の揮発及び蒸気の形成を開始させることができる。したがって、蒸気は、使用者が吸入するために比較的迅速に形成することができ、喫煙材の第1の領域が蒸気の生成を終えた後でさえ、使用者が引き続き吸入するためにその後も蒸気を形成し続けることができる。最初のうちは加熱されていない喫煙材の第2の領域は、喫煙材の第1の領域が加熱されている間、生成された蒸気の温度を下げるように、又は生成された蒸気の刺激を弱くするようにフィルタとして働くことができる。
【0077】
図5及び
図6を参照すると、本発明の実施形態による、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための別の装置の例の概略断面図、及びこの装置の吸い口の概略断面図が示されている。この実施形態の装置300は、吸い口320を設けていること、並びに、吸い口320が加熱素子110及び加熱領域113を備えていることを除いては
図1及び
図2の装置100と同一である。
図1及び
図2の装置100に対する上記の可能な変形のいずれも、
図5及び
図6の装置300に対して行って、個別の各実施形態を形成することができる。
【0078】
この実施形態の装置300は、本体310及び吸い口320を備える。本体310は磁場発生器120を備える。
図6に示すように、加熱素子110、及びその中の加熱領域113が、吸い口320内に代わりに備えられ、吸い口320を本体310に対して移動して第1の熱材料の塊130内から取外し可能であることが
図1及び
図2に示した装置100とは異なるが、それを除いて、本体310は、
図1及び
図2に示した装置100と同じである。
【0079】
図5に示すような吸い口320に対する位置では、装置300の本体310は、物品が中を通って加熱領域113内に挿入可能である、加熱領域113内への開口を覆う。吸い口320を本体310に対してこのように配置すると、吸い口320によって画定された通路322は、加熱領域113と流体連通し、加熱領域113を装置300の外部と流体連通状態にする。装置300の使用時、通路322によって、揮発材料は、加熱領域113から装置300の外部に流れることができる。
【0080】
加熱領域113を清掃するために又は物品を挿入若しくは取り外しするためなど、装置300の外部から加熱領域113にアクセスすることができるように、吸い口320は本体310に対して移動可能である。この吸い口320があると、加熱領域113を通る貫通穴ができ、それによって、加熱領域113の全長に沿って清掃することができる。この実施形態では、吸い口320は、吸い口320を本体310に接続するように本体310と取外し可能に係合可能である。したがって、吸い口320は、
図6に示すように、本体310から完全に取外し可能とすることができる。いくつかの実施形態では、吸い口320は、加熱素子110とともに処分可能とすることができる。他の実施形態では、吸い口320と本体310とは、蝶番又は可撓性部材などによって永続的に接続することができる。吸い口320は、
図6に示す位置から
図5に示す位置まで本体310に対して移動可能で、その結果、コイル122は加熱素子110を取り囲む。
【0081】
装置300の吸い口320は、香味料を備えることができる、又は含浸することができる。香味料は、使用時、蒸気が吸い口320の通路322を通過するときに高温の蒸気によって拾い出されるように配置することができる。
【0082】
装置300の他の実施形態では、吸い口が備える加熱素子は異なる形態を採ることができる。例えば、加熱素子は、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備えて加熱領域113を加熱する棒又は帯板を備えることができる。例えば、加熱素子は、喫煙材を備えて加熱領域113内に受け入れられる物品内に挿入されるためのものとすることができる。加熱領域113は、装置300の本体310内、又は吸い口320内に備えることができる。例えば、いくつかの実施形態では、吸い口320が装置300の本体310に対して移動されると、加熱素子は加熱領域113内に挿入される。他の実施形態では、吸い口320は、加熱領域113を一緒に画定する1つ以上の構成要素を備え、加熱素子は加熱領域113内に配置される。
【0083】
いくつかの実施形態では、本装置は、物品を凹部に挿入すると、物品を圧縮するための、又は境界面と協働するための機構を有することができる。物品をこのように圧縮すると、物品内の喫煙材を圧縮することができ、その結果、喫煙材の熱伝導率を上げることができる。言い換えると、喫煙材を圧縮すると、物品内の熱伝達をより高くすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、本装置は、加熱領域113が間に配置される第1の部材と第2の部材とを備えることができる。第1及び第2の部材は、加熱領域113を圧縮するように互いの方に移動可能とすることができる。いくつかの実施形態では、第1及び第2の部材には、加熱材がない場合がある。したがって、磁場発生器120によって変動磁場が生成されると、変動磁場のより多くのエネルギーが加熱素子110を加熱させるために利用できる。しかしながら、他の実施形態では、第1及び第2の部材のうちの一方又は両方が、磁場発生器120によって生成された変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備えることができる。これによって、物品の喫煙材をさらに、及び/又はより均一に加熱することができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、加熱素子110の加熱材は、その中に切れ目又は穴を備えていてもよい。このような切れ目又は穴は、使用時に喫煙材の異なる領域が加熱される度合いを制御するための熱断絶部として機能してもよい。加熱材のうち切れ目又は穴を有する領域は、切れ目又は穴のない領域よりも加熱される程度を低くすることができる。これは、喫煙材を漸進的に加熱し、したがって、蒸気を漸進的に生成する助けとなり得る。
【0085】
上記の実施形態の各々において、喫煙材はタバコを含んでいる。しかしながら、これらの実施形態の各々の変形例では、喫煙材は、タバコのみからなるものであってもよいし、ほぼ全体がタバコのみからなるものであってもよいし、タバコとタバコ以外の喫煙材とを含むものであってもよいし、タバコ以外の喫煙材を含むものであってもよいし、タバコを含まないものであってもよい。いくつかの実施形態では、喫煙材は、蒸気又はエアロゾルの形成剤や、湿潤剤(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、トリアセチン、又はジエチレングリコール)を含んでいてもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、上記の物品は、この物品とともに使用可能な装置100、200、300とは別個に販売され、供給され、又はその他の方法により提供される。しかしながら、いくつかの実施形態では、装置100、200、300及び1つ以上の上記物品を、キットや組立体などのシステムとして、場合によっては清掃器具などの追加の構成要素とともに一緒に提供してもよい。
【0087】
本発明は、本明細書で説明した物品のいずれか1つと、本明細書で説明した装置のいずれか1つとを備えるシステムとして実施することも可能である。ここで、磁場発生器によって生成される変動磁場の侵入による加熱のための加熱材(例えば、サセプタの形態のもの)は、物品自身がさらに有する。物品自身の加熱材で発生した熱を喫煙材に伝達して、物品内の喫煙材をさらに加熱することができる。
【0088】
様々な課題に対処し、技術を進歩させるため、本開示はその全体にわたって様々な実施形態を例示している。これらの実施形態は、特許請求された発明を実施することが可能なものであり、また、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための優れた装置を提供するものである。本開示の利点及び特徴は、実施形態のうち代表的な例のものにすぎず、すべての利点や特徴を網羅したものでもなければ、他の利点や特徴を排除するものでもない。これらは、特許請求の範囲などに開示される特徴の理解と教示を助けるためだけに提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の側面は、特許請求の範囲によって規定されたとおりに本開示を限定するもの、あるいは特許請求の範囲の均等物を制限するものと考えるべきではなく、本開示の範囲や趣旨から逸脱することなく他の実施形態を利用し、変形を施すことができることを理解されたい。様々な実施形態が、開示された要素、構成、特徴、部品、ステップ、手段などの様々な組合せを適切に備え、それらのみから構成され、あるいは実質的にそれらのみから構成されてもよい。本開示は、特許請求の範囲に現在は記載されていないが将来記載される可能性のある他の発明を含む可能性がある。