特許第6833222号(P6833222)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6833222
(24)【登録日】2021年2月5日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】シュミットカップリング
(51)【国際特許分類】
   F16D 3/04 20060101AFI20210215BHJP
   F16D 1/08 20060101ALN20210215BHJP
【FI】
   F16D3/04 K
   !F16D1/08 200
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-190118(P2019-190118)
(22)【出願日】2019年10月17日
(65)【公開番号】特開2020-148341(P2020-148341A)
(43)【公開日】2020年9月17日
【審査請求日】2019年10月18日
(31)【優先権主張番号】108108101
(32)【優先日】2019年3月11日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】519373501
【氏名又は名称】李馥雄
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】李馥雄
【審査官】 古▲瀬▼ 裕介
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04084411(US,A)
【文献】 独国特許出願公開第03707118(DE,A1)
【文献】 米国特許第03242694(US,A)
【文献】 米国特許第00268807(US,A)
【文献】 特開2001−173671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1中心軸と第1枢着部と第2枢着部と第3枢着部とを含み、前記第1枢着部、前記第2枢着部及び前記第3枢着部は前記第1中心軸を取り囲むように設けられた第1エンドプレートと、
第1エンドプレートと互いに平行になるように設けられ、第2中心軸と第4枢着部と第5枢着部と第6枢着部とを含み、前記第4枢着部、前記第5枢着部及び前記第6枢着部は第2中心軸を取り囲むように設けられ、かつ前記第1枢着部及び前記第4枢着部が各々前記第1中心軸の対向両側に位置し、前記第2枢着部及び前記第5枢着部が各々前記第1中心軸の対向両側に位置し、前記第3枢着部及び前記第6枢着部が各々前記第1中心軸の対向両側に位置する第2エンドプレートと、
前記第1エンドプレートと前記第2エンドプレートとの間に位置し、第1リンクセットと第2リンクセットと第3リンクセットとを含み、前記第1リンクセットは第1ラジアル方向リンクと各々第1ラジアル方向リンクの両端に枢着された2本の第1クランクとを含み、前記第2リンクセットが第2ラジアル方向リンクと各々第2ラジアル方向リンクの両端に枢着された2本の第2クランクとを含み、前記第3リンクセットが第3ラジアル方向リンクと各々第3ラジアル方向リンクの両端に枢着された2本の第3クランクとを含み、前記第1ラジアル方向リンク、前記第2ラジアル方向リンク及び前記第3ラジアル方向リンクが互いに同軸に枢設されることにより枢着軸となり、かつ前記第1リンクセットの前記2本の第1クランクが各々前記第1枢着部及び前記第4枢着部に枢着され、前記第2リンクセットの前記2本の第2クランクが各々前記第2枢着部及び前記第5枢着部に枢着され、前記第3リンクセットの前記2本の第3クランクが各々前記第3枢着部及び前記第6枢着部に枢着されたマルチリンク構造と、を含み、
前記第2ラジアル方向リンクの軸方向に2本の軸棒が凸設され、
前記第1ラジアル方向リンク及び前記第3ラジアル方向リンクは、前記2本の軸棒に各々枢着され、
前記第1枢着部、前記第2枢着部及び前記第3枢着部は、前記第1中心軸を基準として120度の等角を成して並んで配置されることを特徴とする、
シュミットカップリング。
【請求項2】
前記第1枢着部、前記第2枢着部及び前記第3枢着部が前記第1エンドプレートの外周に沿って並んで設けられることを特徴とする、請求項1に記載のシュミットカップリング。
【請求項3】
前記第1枢着部、前記第2枢着部及び前記第3枢着部は、前記第1中心軸を中心に等角度で配置されることを特徴とする、請求項1に記載のシュミットカップリング。
【請求項4】
前記第1枢着部から前記第1中心軸までの距離と前記第4枢着部から前記第2中心軸までの距離は、第1距離の比を有し、前記第2枢着部から前記第1中心軸までの距離と前記第5枢着部から前記第2中心軸までの距離が第2距離の比を有し、前記第1距離の比が前記第2距離の比に等しいことを特徴とする、請求項1に記載のシュミットカップリング。
【請求項5】
前記第1枢着部から前記第1中心軸までの距離と前記第4枢着部から前記第2中心軸までの距離は、距離の比を有し、前記第1枢着部に枢着された前記第1クランクと前記第4枢着部に枢着された前記第1クランクの第1長さ比が前記距離の比に等しく、前記第1ラジアル方向リンクは前記枢着軸によって第1リンクセクションと第2リンクセクションに区分し、前記第1リンクセクションが前記第2リンクセクションに比べると前記第1枢着部に近く、かつ前記第1リンクセクションと前記第2リンクセクションの第2長さの比が前記距離の比に等しいことを特徴とする、請求項1に記載のシュミットカップリング。
【請求項6】
前記第1枢着部から前記第1中心軸までの距離は、前記第4枢着部から前記第2中心軸までの距離に等しく、前記第1リンクセットの前記2本の第1クランクの長さが同じで、前記第1ラジアル方向リンクの前記第1リンクセクションの長さと前記第2リンクセクションの長さが同じであることを特徴とする、請求項5に記載のシュミットカップリング。
【請求項7】
前記第1枢着部は、前記第1中心軸に相対して第1位相角を有し、前記第4枢着部が前記第2中心軸に相対して第2位相角を有し、前記第1位相角と前記第2位相角の位相差が180°であることを特徴とする、請求項1に記載のシュミットカップリング。
【請求項8】
各前記第1クランクの一端には、軸受が設けられ、前記第1ラジアル方向リンクの両端が前記軸受に各々枢着されることを特徴とする、請求項1に記載のシュミットカップリング。
【請求項9】
前記第1枢着部及び前記第4枢着部に各々枢着するため、各前記第1クランクの一端には、軸受が設けられることを特徴とする、請求項1に記載のシュミットカップリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップリングに関し、特に、シュミットカップリングに関する。
【背景技術】
【0002】
カップリングは、よく見られる動力伝達機械要素であり、主に2つの機械装置(例えばモータ又はボールねじ)の回転軸を連結するために用いられ、かつ交換或いは修理の必要がある時、随時取り外すことができる。カップリングの発展の歴史は長く、様々な異なる使用上のニーズに対応するため、現在市場では様々なタイプ或いは性能のカップリングが開発されている。
【0003】
最もよく見られる剛性カップリングとフレキシブルカップリングについて言えば、剛性カップリングは、連結される2つの回転軸を一体に固定させると共に正確にトルクを伝達できるが、連結される2つの回転軸に偏心、偏角の発生を許容されないため、使用上の同心度の要求が非常に高い。フレキシブルカップリングは、衝撃を緩和し、平行変位、角度変位、軸方向変位を吸収する機能を持っているが、少量のミスアライメントしか許容できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、シュミットカップリングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、一実施例において、シュミットカップリングは、第1エンドプレートと第2エンドプレートとマルチリンク構造とを含む。第1エンドプレートは、第1中心軸と第1枢着部と第2枢着部と第3枢着部とを含み、第1枢着部、第2枢着部及び第3枢着部が第1中心軸を取り囲むように設けられる。第2エンドプレートは、第1エンドプレートと互いに平行になるように設けられ、第2中心軸と第4枢着部と第5枢着部と第6枢着部とを含み、第4枢着部、第5枢着部及び第6枢着部が第2中心軸を取り囲むように設けられ、かつ第1枢着部及び第4枢着部が各々第1中心軸の対向両側に位置し、第2枢着部及び第5枢着部が各々第1中心軸の対向両側に位置し、第3枢着部及び第6枢着部が各々第1中心軸の対向両側に位置する。マルチリンク構造は、第1エンドプレートと第2エンドプレートとの間に位置し、第1リンクセットと第2リンクセットと第3リンクセットとを含み、第1リンクセットが第1ラジアル方向リンクと各々第1ラジアル方向リンクの両端に枢着された2本の第1クランクとを含み、第2リンクセットが第2ラジアル方向リンクと各々第2ラジアル方向リンクの両端に枢着された2本の第2クランクとを含み、第3リンクセットが第3ラジアル方向リンクと各々第3ラジアル方向リンクの両端に枢着された2本の第3クランクとを含み、第1ラジアル方向リンク、第2ラジアル方向リンク及び第3ラジアル方向リンクが互いに同軸に枢設されることにより枢着軸となり、かつ第1リンクセットの2本の第1クランクが各々第1枢着部及び第4枢着部に枢着され、第2リンクセットの2本の第2クランクが各々第2枢着部及び第5枢着部に枢着され、第3リンクセットの2本の第3クランクが各々第3枢着部及び第6枢着部に枢着される。
【発明の効果】
【0006】
上述をまとめると、本発明の実施例に係るシュミットカップリングの第1エンドプレート及び第2エンドプレートは、各々2つの機械装置(例えばモータ或いはボールねじ)の回転軸を連結でき、第1エンドプレートと第2エンドプレートとの間にあるマルチリンク構造設計を通じて、機械装置の2つの回転軸に比較的大きな芯ずれ量を許容させ、かつずれ過程中も同時回転運動を保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例に係るシュミットカップリングの立体図である。
図2】本発明の一実施例に係るシュミットカップリングの分解立体図である。
図3】本発明の一実施例に係るシュミットカップリングの配置を示す模式図である。
図4】本発明の一実施例に係るシュミットカップリングの上面図である。
図5図4の芯ずれを示す模式図である。
図6】本発明の一実施例に係るシュミットカップリングの側面図である。
図7図6の芯ずれを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の一実施例に係るシュミットカップリングの立体図であり、図2が本発明の一実施例に係るシュミットカップリングの分解立体図である。
図1に示すように、本実施例のシュミットカップリング1は、第1エンドプレート10と第2エンドプレート20とマルチリンク構造30とを含み、マルチリンク構造30が第1エンドプレート10と第2エンドプレート20との間を連結する。シュミットカップリング1は、動力伝達機械要素であり、2つの機械装置(例えばモータ或いはボールねじ)の回転軸を連結するために用いられ、2つの機械装置がシュミットカップリング1を通じて動力伝達させることができると共に一定程度の芯ずれ量を許容できる。
【0009】
図1及び図2に示すように、本実施例の第1エンドプレート10は、円板であり、第1エンドプレート10が第1中心軸A1と3個以上の枢着部(ここで、第1枢着部11、第2枢着部12及び第3枢着部13)とを含む。いずれかの機械装置の回転軸2の組立のため、第1エンドプレート10の中心に軸孔101が設けられ、第1エンドプレート10と回転軸2を同時回転させる。ただし本実施例は、これに限られるものではなく、その他の実施例において、第1エンドプレート10は他の形状(例えば方形、楕円形、長方形或いはその他の不規則形)のプレートとすることもできる。若しくは、別の実施例において、第1エンドプレート10は機械装置の回転軸2と一体成形した構造とすることもできる。
【0010】
次に、図1及び図2に示すように、第1エンドプレート10の第1枢着部11、第2枢着部12及び第3枢着部13は、第1中心軸A1を取り囲むように設けられ、本実施例において、第1枢着部11、第2枢着部12及び第3枢着部13が第1エンドプレート10の外周に沿って並んで設けられる。また、本実施例の第1枢着部11、第2枢着部12及び第3枢着部13は、第1中心軸A1を基準として等角(ここでは120度)を成して並んで配置されるが、これに限定されるものではない。幾つかの実施例において、第1枢着部11、第2枢着部12及び第3枢着部13は、その他の構成要素の枢着に用いられるため、軸棒或いは軸孔とすることができる。
図2に示すように、本実施例の第1枢着部11、第2枢着部12及び第3枢着部13は、第1エンドプレート10の表面に凸設された軸棒であり、かつ各軸棒の軸方向が第1中心軸A1に平行である。
【0011】
図1及び図2に示すように、本実施例の第2エンドプレート20も円板で、第2エンドプレート20の寸法は、第1エンドプレート10と同一或いは異なることができる。第2エンドプレート20は、第2中心軸A2と3個以上の枢着部(ここでは、第4枢着部21、第5枢着部22及び第6枢着部23)とを含む。
第2エンドプレート20と第1エンドプレート10は、互いに平行になるように設けられる。すなわち、第1エンドプレート10と第2エンドプレート20が互いに距離を保つことで接触せず、かつ第1エンドプレート10の第1中心軸A1が第2エンドプレート20の第2中心軸A2と互いに平行或いは重なる。本実施例において、別の機械装置の回転軸3の組立のため、第2エンドプレート20の中心に軸孔201が設けられ、第2エンドプレート20と回転軸3を同時回転させるが、本実施例は、これに限られるものではなく、その他の実施例において、第2エンドプレート20も他の形状(例えば方形、楕円形、長方形或いはその他の不規則形)のプレートとすることができる。若しくは、別の実施例において、第2エンドプレート20も機械装置の回転軸3と一体成形した構造とすることができる。
【0012】
次に図1及び図2に示すように、第2エンドプレート20の第4枢着部21、第5枢着部22及び第6枢着部23は、第2中心軸A2を取り囲むように設けられ、本実施例において、第4枢着部21、第5枢着部22及び第6枢着部23が第2エンドプレート20の外周に沿って並んで設けられる。また、本実施例の第4枢着部21、第5枢着部22及び第6枢着部23は、第2中心軸A2を基準として等角(ここでは120度)を成して並んで配置されるが、これに限定されるものではない。幾つかの実施例において、第4枢着部21、第5枢着部22及び第6枢着部23は、その他の構成要素の枢着に用いられるため、軸棒或いは軸孔とすることができる。
図2に示すように、本実施例の第4枢着部21、第5枢着部22及び第6枢着部23は、第2エンドプレート20の表面に凸設された軸棒であり、かつ各軸棒の軸方向が第2中心軸A2に平行である。
【0013】
図2に示すように、第1エンドプレート10の第1枢着部11と第2エンドプレート20の第4枢着部21は、各々第1中心軸A1と第2中心軸A2の対向両側に位置し、第1エンドプレート10の第2枢着部12と第2エンドプレート20の第5枢着部22が各々第1中心軸A1と第2中心軸A2の対向両側に位置し、第1エンドプレート10の第3枢着部13と第2エンドプレート20の第6枢着部23が各々第1中心軸A1と第2中心軸A2の対向両側に位置する。
【0014】
例を挙げると、図3に示すように、第1エンドプレート10の第1中心軸A1と第2エンドプレート20の第2中心軸A2が互いに重なる場合において、第1枢着部11は第1中心軸A1及び第2中心軸A2に相対して第1位相角θ1を有し、第4枢着部21が第1中心軸A1及び第2中心軸A2に相対して第2位相角θ2を有し、かつ第1位相角θ1と第2位相角θ2の位相差が180度である。すなわち、第2位相角θ2=π+第1位相角θ1となり、第1枢着部11、第4枢着部21及び第1エンドプレート10の中心が同一平面に投影した時、三者が同一直線上になり、第1エンドプレート10の第1枢着部11及び第2エンドプレート20の第4枢着部21を各々第1中心軸A1と第2中心軸A2の対向両側に位置させる。
第1中心軸A1及び第2中心軸A2に相対する第2枢着部12及び第5枢着部22の位相角差も180度で、第1中心軸A1及び第2中心軸A2に相対する第3枢着部13及び第6枢着部23の位相角差も180度であり、ここでは詳細な説明を省略する。しかしながら、上記第1位相角θ1と第2位相角θ2の位相差は、例を挙げただけであって、実際上、第1位相角θ1と第2位相角θ2の位相差は、シュミットカップリング1の製作公差或いはその他の需要により異なる場合もある。
【0015】
幾つかの実施例において、上記第1エンドプレート10の枢着部の個数及び第2エンドプレート20の枢着部の個数は、互いに対応する。例えば本実施例において、第1エンドプレート10の枢着部の個数は、3個(第1枢着部11、第2枢着部12及び第3枢着部13)で、第2エンドプレート20の枢着部の個数がそれに対応して3個(第4枢着部21、第5枢着部22及び第6枢着部23)であるが、これに限定されない。
【0016】
図1及び図2に示すように、マルチリンク構造30は、第1エンドプレート10と第2エンドプレート20との間に位置し、第1エンドプレート10の枢着部の個数及び第2エンドプレート20の枢着部の個数に対応するため、3個以上のリンクセット(ここでは、第1リンクセット31、第2リンクセット32及び第3リンクセット33)を備える。
第1リンクセット31、第2リンクセット32及び第3リンクセット33は、各々Z字型のリンク部材であり、第1リンクセット31が第1ラジアル方向リンク311と、第1ラジアル方向リンク311の両端に各々枢着された2本の第1クランク312とを含む。第2リンクセット32は、第2ラジアル方向リンク321と、第2ラジアル方向リンク321の両端に各々枢着された2本の第2クランク322とを含む。第3リンクセット33は、第3ラジアル方向リンク331と、第3ラジアル方向リンク331の両端に各々枢着された2本の第3クランク332とを含む。第1ラジアル方向リンク311、第2ラジアル方向リンク321及び第3ラジアル方向リンク331は、いずれも第1エンドプレート10及び第2エンドプレート20の径方向に向けて延伸し、かつ第1ラジアル方向リンク311、第2ラジアル方向リンク321及び第3ラジアル方向リンク331が互いに同軸に枢設されることで枢着軸M(図5)となり、かつ枢着軸Mが第1エンドプレート10の第1中心軸A1及び第2エンドプレート20の第2中心軸A2に平行で、第1ラジアル方向リンク311、第2ラジアル方向リンク321及び第3ラジアル方向リンク331に各々枢着軸Mを回転軸として互いに相対して回転させることができる。
【0017】
幾つかの実施例において、図2に示すように、第2ラジアル方向リンク321の軸方向に2本の軸棒325、326が凸設され、第1ラジアル方向リンク311及び第3ラジアル方向リンク331が2本の軸棒325、326に各々枢着されるが、これに限定されない。その他の実施例において、第1ラジアル方向リンク311、第2ラジアル方向リンク321及び第3ラジアル方向リンク331にいずれも軸孔が設けられ、また枢軸を通じて各軸孔を挿設して枢着作用を実現できる。
【0018】
次に図2に示すように、第1リンクセット31の2本の第1クランク312は、第1枢着部11及び第4枢着部21に各々枢着される。本実施例において、いずれかの第1クランク312の両端が第1ラジアル方向リンク311及び第1エンドプレート10の第1枢着部11に各々枢着され、もう1本の第1クランク312の両端が第1ラジアル方向リンク311及び第2エンドプレート20の第4枢着部21に各々枢着され、各第1クランク312を第1エンドプレート10、第2エンドプレート20及び第1ラジアル方向リンク311に相対して回転揺動させることができる。
第2リンクセット32の2本の第2クランク322は、第2枢着部12及び第5枢着部22に各々枢着され、本実施例において、いずれかの第2クランク322の両端が第2ラジアル方向リンク321及び第1エンドプレート10の第2枢着部12に各々枢着し、もう1本の第2クランク322の両端が第2ラジアル方向リンク321及び第2エンドプレート20の第5枢着部22に各々枢着され、各第2クランク322を第1エンドプレート10、第2エンドプレート20及び第2ラジアル方向リンク321に相対して回転揺動させることができる。
第3リンクセット33の2本の第3クランク332は、第3枢着部13及び第6枢着部23に各々枢着され、本実施例において、いずれかの第3クランク332の両端が第3ラジアル方向リンク331及び第1エンドプレート10の第3枢着部13に各々枢着され、もう1本の第3クランク332の両端が各々第3ラジアル方向リンク331及び第2エンドプレート20の第6枢着部23に各々枢着され、各第3クランク332を第1エンドプレート10、第2エンドプレート20及び第3ラジアル方向リンク331に相対して回転揺動させることができる。
【0019】
幾つかの実施例において、第1リンクセット31の第1ラジアル方向リンク311及び各第1クランク312の長さの設計は、第1枢着部11及び第4枢着部21の位置によって取り決めることができ、第2リンクセット32の第2ラジアル方向リンク321及び各第2クランク322の長さの設計が第2枢着部12及び第5枢着部22の位置によって取り決めることができ、第3リンクセット33の第3ラジアル方向リンク331及び各第3クランク332の長さの設計が第3枢着部13及び第6枢着部23の位置によって取り決めることができる。
図2及び図3に示すように、第1リンクセット31を例にすると、第1枢着部11から第1中心軸A1までの距離と第4枢着部21から第2中心軸A2までの距離は、距離の比(例えば1:1、1:2或いは2:1)を有し、第1リンクセット31の第1枢着部11に枢着された第1クランク312と第4枢着部21に枢着された第1クランク312の長さ比が上記距離の比に等しい。第1リンクセット31の第1ラジアル方向リンク311は、更に枢着軸Mによって第1リンクセクション3111及び第2リンクセクション3112(図2)に区分し、第1リンクセクション3111が第2リンクセクション3112に比べると第1枢着部11に近く、かつ第1リンクセクション3111と第2リンクセクション3112の長さの比も上記距離の比に等しい。
【0020】
更に例を挙げると、図2及び図3に示すように、本実施例において、第1枢着部11から第1中心軸A1までの距離は、第4枢着部21から第2中心軸A2までの距離(すなわち、距離の比が1:1)に等しく、第1リンクセット31の2本の第1クランク312の長さの比が1:1(すなわち、2本の第1クランク312の長さが同じ)で、かつ第1ラジアル方向リンク311の第1リンクセクション3111と第2リンクセクション3112の長さの比も1:1(すなわち、第1リンクセクション3111の長さと第2リンクセクション3112の長さが同じ)である。その後もこの例によるものとすると、仮に第1枢着部11から第1中心軸A1までの距離と第4枢着部21から第2中心軸A2までの距離の比が1:2の場合、第1枢着部11に枢着されたクランク312と第4枢着部21に枢着された第1クランク312の長さの比は1:2で、第1ラジアル方向リンク311の第1リンクセクション3111と第2リンクセクション3112の長さの比も1:2である。
【0021】
幾つかの実施例において、第1枢着部11から第1中心軸A1までの距離と第4枢着部21から第2中心軸A2までの距離は、第1距離の比を有し、第2枢着部12から第1中心軸A1までの距離と第5枢着部22から第2中心軸A2までの距離が第2距離の比を有し、第3枢着部13から第1中心軸A1までの距離と第6枢着部23から第2中心軸A2までの距離が第3距離の比を有し、上記第1距離の比、第2距離の比及び第3距離の比が同じである。
例を挙げると、図3に示すように、本実施例において、第1枢着部11から第1中心軸A1までの距離は、第4枢着部21から第2中心軸A2までの距離(すなわち、第1距離の比が1:1)に等しく、第2枢着部12から第1中心軸A1までの距離が第5枢着部22から第2中心軸A2までの距離(すなわち、第2距離の比が1:1)に等しく、第3枢着部13から第1中心軸A1までの距離が第6枢着部23から第2中心軸A2までの距離(すなわち、第3距離の比が1:1)に等しい。ただしこれに限定されず、その他の実施例において、上記第1距離の比、第2距離の比及び第3距離の比も1:2、2:1、1:3或いは3:1とすることができる。
【0022】
以上の構成により、図4及び図6に示すように、いずれかのエンドプレート(例えば第1エンドプレート10)が回転軸2に連動して回転している時、マルチリンク構造30の各リンクセット(第1リンクセット31、第2リンクセット32及び第3リンクセット33)は、第1エンドプレート10と第2エンドプレート20との間に各々連結されるため、第1エンドプレート10がマルチリンク構造30を通じて第2エンドプレート20を連動して回転軸3と同時回転させることで、動力伝達の作用を実現できる。
【0023】
図5及び図7に示すように、第1エンドプレート10と第2エンドプレート20に互いに芯ずれが生じた時、例えば第1エンドプレート10及び第2エンドプレート20に衝突或いは動作環境上の振動を受けて芯ずれが生じた時、第1ラジアル方向リンク311、第2ラジアル方向リンク321及び第3ラジアル方向リンク331は、互いに相対的に回転自在可能で、かつ各第1クランク312、各第2クランク322及び各第3クランク332も自在に回転揺動でき、第1エンドプレート10と第2エンドプレート20のずれ方向が制限を受けさせない。
また、従来のカップリングに対比すると、本発明の実施例に係る第1エンドプレート10と第2エンドプレート20は、比較的大きな芯ずれ量を許容し、かつずれ過程においてやはり同時等速回転を保持でき、次に、複数のリンクセット(第1リンクセット31、第2リンクセット32及び第3リンクセット33)の機構配置方式を通じて動力伝達し、各リンクセットの受けた力を分散することで寿命の延長を実現できる。ここで、更に図面を基に次の通り説明する。
【0024】
図4及び図5を対照して見る。第1エンドプレート10と第2エンドプレート20に互いに芯ずれが生じた時、例えば第1エンドプレート10は矢印Lの方向に向けてずれ、第1ラジアル方向リンク311、第2ラジアル方向リンク321及び第3ラジアル方向リンク331が互いに同軸に枢設して形成された枢着軸Mは第1エンドプレート10の第1中心軸A1及び第2エンドプレート20の第2中心軸A2と伴って同時にずれる。すなわち、本実施例の枢着軸Mも矢印Lの方向に向けて変位する。
更に図6及び図7を対照して見る。第1エンドプレート10と第2エンドプレート20のずれ過程で、第1ラジアル方向リンク311、第2ラジアル方向リンク321及び第3ラジアル方向リンク331が互いに相対的に回転でき、かつ各リンクセットの2本のクランクの回転揺動角度が同じである。例を挙げると、第1リンクセット31、第2リンクセット32及び第3リンクセット33のモーション状況を明確に説明するため、ここで図6及び図7に示すように第1リンクセット31、第2リンクセット32及び第3リンクセット33を各々異なる線型で示す。例えば第1リンクセット31を実線で示し、第2リンクセット32を一点鎖線で示し、第3リンクセット33を破線で示している。この点について、先ず説明しておく。
図6及び図7の視点方向から言えば、第1エンドプレート10と第2エンドプレート20のずれ過程(例えば第1エンドプレート10が矢印Lの方向に向けてずれ)において、第1リンクセット31の第1ラジアル方向リンク311が時計回り方向にやや回転し、2本の第1クランク312が同一方向に向けて同じ角度を回転揺動する。第2リンクセット32の第2ラジアル方向リンク321は、反時計回り方向に向けて回転し、2本の第2クランク322も同一方向に向けて同じ角度を回転揺動する。第3リンクセット33の第3ラジアル方向リンク331は、時計回り方向に向けて回転し、2本の第3クランク332が同一方向に向けて同じ角度を回転揺動する。これにより、第1リンクセット31、第2リンクセット32及び第3リンクセット33のモーションを通じて、第1エンドプレート10と第2エンドプレート20の芯ずれ方向が制限を受けず、比較的大きな芯ずれ量を許容し、かつずれ過程においてやはり同時等速回転を保持できる。
【0025】
更に、図2に示すように、一実施例において、第1リンクセット31の各第1クランク312の両端に各々軸受313、314が設けられ、第2リンクセット32の各第2クランク322の両端に各々軸受323、324が設けられ、各第3リンクセット33の各第3クランク332の両端にも軸受333、334が設けられる。
第1ラジアル方向リンク311、第1エンドプレート10の第1枢着部11及び第2エンドプレート20の第4枢着部21は、上記軸受313、314に各々枢着される。第2ラジアル方向リンク321、第1エンドプレート10の第2枢着部12及び第2エンドプレート20の第5枢着部22は、上記軸受323、324に各々枢着される。第3ラジアル方向リンク331、第1エンドプレート10の第3枢着部13及び第2エンドプレート20の第6枢着部23は、上記軸受333、334に各々枢着される。これにより、第1エンドプレート10と第2エンドプレート20が互いに芯ずれが生じた時、マルチリンク構造30のモーション時の摩擦力を大幅に軽減させることで寿命を延ばすことができる。
【0026】
上述の説明は、単に本発明の最良の実施例を挙げたまでであり、本発明を限定しない。その他本発明の開示する要旨を逸脱することなく完成された同等効果の修飾または置換はいずれも後述の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0027】
10 第1エンドプレート
101 軸孔
1 シュミットカップリング
2、3 回転軸
11 第1枢着部
12 第2枢着部
13 第3枢着部
20 第2エンドプレート
201 軸孔
21 第4枢着部
22 第5枢着部
23 第6枢着部
30 マルチリンク構造
31 第1リンクセット
311 第1ラジアル方向リンク
3111 第1リンクセクション
3112 第2リンクセクション
312 第1クランク
313、314 軸受
32 第2リンクセット
321 第2ラジアル方向リンク
322 第2クランク
323、324 軸受
325、326 軸棒
33 第3リンクセット
331 第3ラジアル方向リンク
332 第3クランク
333、334 軸受
A1 第1中心軸
A2 第2中心軸
M 枢着軸
L 矢印
θ1 第1位相角
θ2 第2位相角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7