(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記更新位置で測定された磁場計測値は、予め設定された測定回数に達する迄蓄積され、蓄積された前記磁場計測値の平均値を基に前記磁場マップを更新する請求項1に記載の磁場マップ更新方法。
前記磁場マップは、微細なセルにより分割され、該セル毎に座標値と、磁場データ値と、前記磁場計測値を前記磁場データ値に合致させる係数行列が設定され、前記更新位置で測定された前記磁場計測値に対して前記更新位置に対応する前記セルの係数行列を適用し、前記磁場マップを更新する請求項1又は請求項2に記載の磁場マップ更新方法。
電磁界シミュレーションで得られた磁場データ値と建築物内の座標系で示される座標値とが関連付けられた磁場マップを作成する磁場マップ作成部と、前記建築物内で実測された磁場計測値と、対応する前記磁場マップ上の前記磁場データ値とが一致しなかった位置を前記磁場マップの更新位置と設定し、該更新位置で新たに実測された前記磁場計測値を基に前記磁場マップを更新する磁場マップ更新部と、前記磁場マップ作成部による前記磁場マップの作成と前記磁場マップ更新部による前記磁場マップの更新とを制御する制御演算部とを具備する磁場マップ更新装置。
前記更新位置で実測された前記磁場計測値を、予め設定された測定回数迄蓄積する記憶部を更に具備し、前記磁場マップ更新部は、蓄積された前記磁場計測値の平均値を基に前記磁場マップを更新する請求項4に記載の磁場マップ更新装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0017】
先ず、
図1に於いて、本発明の実施例に係る磁場マップ更新装置1について説明する。
【0018】
該磁場マップ更新装置1は、磁場マップの作成及び更新を行う。該磁場マップ更新装置1は、CPU等の制御演算部2と、BIMデータ作成部3と、磁場マップ作成部4と、磁場マップ較正部5と、測位部6と、磁場マップ更新部7と、通信部8と、記憶部9と、表示部11と、操作部12とを有している。
【0019】
前記BIMデータ作成部3は、
図3に示される様な、BIM(Building Information Modeling)データ25を作成する機能を有している。該BIMデータ25は、例えば鉄骨を有する柱26、天井に張り巡らされた配線27、水回りの配管28、上下の階層に掛渡るケーブル29、什器31の配置や材質、建築物内に設定した基準位置を基準とした座標値等、建築物に関する全ての情報を基に作成される3次元モデルデータ(
図3中では2次元で表示)である。又、前記BIMデータ25は、例えば立方体状の微細なセル32により分割された構成となっている。該セル32は、それぞれ建築物内の座標系で示される3次元座標で位置が表示される。尚、建築物に関する情報は、設計図、設計データ等から得ることができる。
【0020】
前記磁場マップ作成部4は、前記BIMデータ25を基に、前記セル32毎に番付し、該セル32毎に磁場強度を求める。
【0021】
前記磁場マップ作成部4は、前記柱26や前記配線27等の自然磁場への影響を考慮して電磁界シミュレーションを実行する。電磁界シミュレーションにより、建築物内の磁場の強度が前記セル32毎に演算され、強度分布が求められる。又、前記磁場マップ作成部4は、電磁界シミュレーション結果を基に、建築物内の全域の番付された前記セル32について、建築物内の座標系で示される座標値と電磁界シミュレーションにより得られた磁場強度(磁場データ値)とが関連付けられた磁場マップ33を作成する。
【0022】
該磁場マップ33は、
図4に示される様な分布図であってもよいし、等高線により表されてもよい。尚、
図4では、該磁場マップ33の磁場分布を磁場の強さを濃淡で表した分布図としているが、赤や黄色等、色の違いにより磁場の強さを表す分布図としてもよい。
【0023】
前記磁場マップ較正部5は、前記磁場マップ作成部4で作成された前記磁場マップ33上の所定の位置に少なくとも1つの標定点を設定する。又、前記磁場マップ較正部5は、標定点で測定された磁場強度の実測値(磁場計測値)と、前記磁場マップ33上の磁場データ値との比較により、該磁場マップ33の較正を行う。
【0024】
前記測位部6は、後述する携帯端末13で測定された磁場計測値、移動距離、移動方向を基に、該携帯端末13の前記磁場マップ33上での位置を特定し、該磁場マップ33上の座標値から前記携帯端末13の位置を測定(測位)する。
【0025】
磁場マップ更新部7は、建築物内の所定の位置で測定された磁場計測値と、前記磁場マップ33上の所定位置に対応する位置(前記セル32)の磁場データ値とを比較し、磁場計測値と磁場データ値とが一致しているかどうかを判断する。又、前記磁場マップ更新部7は、磁場計測値と磁場データ値とが一致していないと判断した場合、不一致であった前記セル32を前記磁場マップ33の更新位置として設定する。更に、前記磁場マップ更新部7は、更新位置で測定された磁場計測値を順次取得し、一致する磁場計測値が予め設定された数だけ取得された時点で、その磁場計測値を正しい磁場計測値として前記磁場マップ33を更新する。
【0026】
尚、該磁場マップ33は、前記セル32毎に磁場計測値を磁場データ値に合致させる為の係数行列が予め作成されている。前記磁場マップ33の更新は、磁場計測値に対して、磁場計測値の取得位置に対応する前記セル32の係数行列を適用することで実行される。該係数行列は、自然磁場を基に推定されるものであり、建築物内の構造に拘わらず適用可能となっている。
【0027】
前記通信部8は、前記携帯端末13との間でデータの授受を行うものである。前記通信部8は、前記携帯端末13から該携帯端末13が具備する各センサ(後述)による測定結果を受信する。又、前記通信部8は、前記測位部6で測位した前記携帯端末13の測定結果、磁場マップ33等を該携帯端末13に送信する。
【0028】
前記記憶部9には、前記BIMデータ25を作成する為のプログラム、前記磁場マップ33を作成する為のプログラム、該磁場マップ33を較正する為の較正プログラム、前記携帯端末13の移動方向を演算する移動方向演算プログラム、前記携帯端末13の測位を行う為の測位プログラム、前記磁場マップ33を更新する為の更新プログラム、前記携帯端末13との通信を行う為の通信プログラム、前記表示部11に前記磁場マップ33や測位結果等を表示させる為の表示プログラム等の各種プログラムが格納される。
【0029】
又、前記記憶部9には、前記BIMデータ25を作成する為の建築物のデータ、前記BIMデータ25、電磁界シミュレーションのシミュレーション結果、前記磁場マップ33、該磁場マップ33の各セル32毎に作成された係数行列、標定点の磁場計測値、更新点での磁場計測値群、測位結果等の各種データが格納される。
【0030】
前記表示部11は、前記BIMデータ25、前記磁場マップ33、測位結果等を表示させる機能を有している。又、前記操作部12は、例えば前記BIMデータ25を作成する為の建築物に関する情報の入力が可能となっている。
【0031】
次に、
図2に於いて、前記携帯端末13について説明する。
【0032】
該携帯端末13は、例えばスマートフォンやタブレット等であり、CPU等の制御演算部14と、磁場センサ15と、加速度計(IMU:Inertial Measurement Unit)16と、傾斜センサ17と、方位センサ18と、通信部19と、記憶部21と、表示部22と、操作部23等を有している。
【0033】
前記磁場センサ15は、磁場強度の実測値である磁場計測値を取得する。又、前記IMU16は、所定の位置からの移動距離、移動方向を検出可能となっている。
【0034】
前記傾斜センサ17は、例えば水平に対する2軸の傾斜を検出可能であり、前記携帯端末13の傾斜角、傾斜方向を検出可能となっている。更に、前記方位センサ18は、前記携帯端末13の方位角、即ち移動方向を検出可能となっている。
【0035】
前記通信部19は、前記磁場センサ15で計測された磁場計測値、前記IMU16で計測された移動距離、前記方位センサ18で検出された移動方向を前記磁場マップ更新装置1に送信する。又、前記通信部19は、前記磁場マップ更新装置1からの測位結果、前記磁場マップ33を受信する様になっている。
【0036】
前記記憶部21には、前記傾斜センサ17の検出結果を基に前記携帯端末13の傾斜を補正する傾斜補正プログラム、前記方位センサ18の検出結果を基に移動方向を判断する移動方向判断プログラム、磁場計測値と移動距離とを関連付けて前記磁場マップ更新装置1に送信し、該磁場マップ更新装置1から測位結果や磁場マップ33等の各種データを受信する為の通信プログラム、前記磁場マップ33や測位結果を表示する為の表示プログラム等のプログラムが格納されている。
【0037】
前記表示部22は、前記磁場マップ更新装置1から受信した前記磁場マップ33や測位結果を基に、該磁場マップ33上での前記携帯端末13の位置を表示する様になっている。又、前記操作部23は、測位の開始及び停止、或は前記磁場マップ33の拡大及び縮小等の各種操作を行うことができる。
【0038】
次に、
図5のフローチャートを用い、本実施例に係る前記磁場マップ33の作成方法について説明する。
【0039】
STEP:01 先ず、設計図等を基に、対象となる建築物の前記柱26、前記配線27、前記配管28、前記ケーブル29、前記什器31の配置や材質、座標値等、建築物に関する全ての情報が、前記操作部12を介して前記磁場マップ更新装置1に入力される。尚、データ化された設計情報をメモリカード等に格納し、メモリカード読取り機等を介して設計データを読込む様にしてもよい。
【0040】
STEP:02 前記BIMデータ作成部3は、入力された建築物に関する全ての情報を基に、建築物全体の詳細なモデル(前記BIMデータ25)を作成する。尚、該BIMデータ25に含まれる座標値は、建築物内に設定した基準位置を基準とした座標系であるが、既知の点に設けられた基準杭等を基に絶対座標系に変換してもよい。
【0041】
STEP:03 次に、前記磁場マップ作成部4は、前記BIMデータ作成部3が作成した前記BIMデータ25を基に、自然磁場に建築物の構造物等の影響要素を全て加味し、実際の磁場をシミュレートする電磁界シミュレーションを実行する。電磁界シミュレーションにより、建築物内の全ての前記セル32について、どの様な磁場が形成されるかがシミュレートされ、前記セル32単位で磁場分布が演算される。
【0042】
STEP:04 又、前記磁場マップ作成部4は、電磁界シミュレーションにより演算された建築物内の磁場データ値の分布と、前記BIMデータ25に含まれる建築物内の座標値とを基に、磁場データ値と座標値とを関連付けた建築物内の前記磁場マップ33を作成する。作成された該磁場マップ33は、前記記憶部9に格納される。
【0043】
STEP:05 該磁場マップ33が作成されると、該磁場マップ33上の所定箇所、少なくとも1箇所に標定点が設定される。標定点が設定されると、建築物内の標定点の3次元座標を、トータルステーション等の位置座標取得装置により取得する。又、前記携帯端末13の前記磁場センサ15により、標定点の磁場計測値を実測する。
【0044】
最後に、実測された標定点の3次元座標及び磁場計測値と、前記磁場マップ33上での3次元座標及び磁場データ値とを比較し、比較結果に基づき前記磁場マップ33を実測値に合致する様較正する。
【0045】
この時、該磁場マップ33に含まれる座標値は、建築物内に設定された基準点を基準とした3次元座標である。従って、較正の際に、位置座標取得装置としてGNSS装置を用いる場合には、前記磁場マップ33の座標系を絶対座標系へと変換するか、或はGNSS装置の絶対座標系を前記磁場マップ33の座標系へと変換する。
【0046】
尚、STEP:04の電磁界シミュレーションにより、充分な精度の前記磁場マップ33が得られる場合には、STEP:05の磁場マップの較正処理は省略してもよい。
【0047】
次に、
図6のフローチャートを用い、前記磁場マップ33を用いた前記携帯端末13の測位方法について説明する。
【0048】
STEP:11 先ず、建築物内の所定位置に於いて、前記操作部23より前記携帯端末13の測位を開始させる。該携帯端末13の測位が開始されると、前記磁場センサ15により測位開始位置(第1地点)の磁場計測値が実測される。実測された磁場計測値は、前記通信部19,8を介して前記磁場マップ更新装置1に送信される。尚、この時に前記IMU16により取得される移動距離は0となる。
【0049】
STEP:12 磁場計測値が受信されると、前記制御演算部2は、前記磁場マップ33上で、磁場計測値と一致する磁場データ値を有する位置(前記セル32)を抽出する。通常、同一の磁場データ値を有する前記セル32は複数箇所あり、これらは全て前記携帯端末13の位置の候補として設定される。
【0050】
STEP:13 該携帯端末13の位置の候補である前記セル32が設定されると、前記制御演算部2により、前記セル32が複数であるかが判断される。該セル32が複数ではない、即ち1つであると判断された場合には、前記携帯端末13の位置が特定されたとして、該携帯端末13の測位を終了する。
【0051】
STEP:14 STEP:13にて、該携帯端末13の位置の候補である前記セル32が複数あると判断された場合には、測位開始位置(第1地点)から所定距離移動した位置(第2地点)に於いて、前記磁場センサ15による磁場計測値と、前記IMU16による移動距離とが取得される。
【0052】
STEP:15 又、前記傾斜センサ17により前記携帯端末13の傾斜角及び傾斜方向が検出されると共に、前記方位センサ18により前記携帯端末13の方位角が検出される。
【0053】
STEP:16 前記制御演算部14は、検出された傾斜角及び傾斜方向に基づき前記携帯端末13が水平となる様傾斜を補正すると共に、補正結果と検出された方位角に基づき、前記携帯端末13の移動方向を演算する。前記携帯端末13で取得された第2地点の磁場計測値、移動距離及びどの方位に移動したかが、前記通信部19,8を介して前記磁場マップ更新装置1に送信される。
【0054】
尚、前記携帯端末13の移動方向の演算は、前記傾斜センサ17と前記方位センサ18の検出結果を基に、前記制御演算部14で行ってもよい。
【0055】
STEP:17 前記制御演算部2は、第2地点の磁場計測値と前記磁場マップ33上の磁場データ値とが一致する前記セル32を、前記携帯端末13の第2地点の候補として抽出する。
【0056】
更に、前記制御演算部2は、第2地点の候補である全ての前記セル32について、STEP:16で受信した移動距離、移動方向を逆算した位置を求める。又、前記制御演算部2は、第2地点の候補のうち、逆算した位置に第1地点の候補が存在する前記セル32を更に抽出する。抽出された該セル32は、第2地点の候補として設定される。
【0057】
STEP:18 STEP:17にて第2地点の位置の候補である前記セル32が設定されると、前記制御演算部2は、第2地点の候補が1つであるかどうかを判断する。第2地点の候補が1つであると判断された場合には、第2地点、即ち前記携帯端末13の現在位置が特定されたと判断される。
【0058】
又、該携帯端末13の位置の候補が1つではないと判断された場合には、第2地点から第3地点へと移動し、STEP:14〜STEP:18の処理が再度行われる。
【0059】
例えば、第3地点で磁場計測値が実測された場合には、前記制御演算部2は、第3地点で取得された磁場計測値と一致する磁場データ値を有する前記セル32を、第3地点の位置の候補として抽出する。
【0060】
又、前記制御演算部2は第3地点の候補のうち、第3地点の候補の各位置から第3地点で実測された移動距離、移動方向を逆算した位置に第2地点の候補が存在する前記セル32を抽出し、第3地点の候補の前記セル32を絞込む。
【0061】
更に、前記制御演算部2は、絞込まれた第3地点の候補のうち、第2地点の各位置から第2地点で実測された移動距離、移動方向を逆算した位置に第1地点の候補がある前記セル32を抽出し、第3地点の候補の前記セル32を更に絞込む。
【0062】
STEP:14〜STEP:18の処理の繰返しにより、前記携帯端末13の現在位置の候補のセル32が順次絞込まれる。該携帯端末13の位置の候補が1つになった時点で、該携帯端末13が現在位置する前記セル32が特定されたと判断され、該携帯端末13の現在位置が確定する。
【0063】
現在位置が確定した後は、前記携帯端末13の移動距離、移動方向に基づき、該携帯端末13の現在位置がリアルタイムで測位される。
【0064】
測位が終了すると、前記磁場マップ33と測位結果が、前記通信部8,19を介して前記磁場マップ更新装置1から前記携帯端末13へと送信されると共に、前記記憶部9に格納される。
【0065】
前記制御演算部14は、受信した前記磁場マップ33と測位結果とを基に、該磁場マップ33上での前記携帯端末13の位置を前記表示部22に表示する。前記携帯端末13の使用者は、前記操作部23を介して前記表示部22に表示された前記磁場マップ33の拡大や縮小を行うことで、現在地を把握することができる。
【0066】
尚、上記処理では、前記携帯端末13に設けられた前記傾斜センサ17と前記方位センサ18により前記携帯端末13の移動方向を演算していたが、磁場計測値と移動距離のみにより前記携帯端末13の位置を特定してもよい。この場合、前記傾斜センサ17と前記方位センサ18は省略することができる。
【0067】
次に、
図7のフローチャートを用い、前記磁場マップ33の更新方法について説明する。尚、該磁場マップ33の更新処理は、現在位置が特定された前記携帯端末13の測位処理と並行して実行される。
【0068】
前記磁場マップ更新装置1には、現在位置が特定されている複数の前記携帯端末13から、測定された磁場計測値、移動距離、移動方向が常時受信されている。又、前記磁場マップ更新装置1は、受信した磁場計測値、移動距離、移動方向と、前記磁場マップ33との比較を基に、各携帯端末13をリアルタイムで測位している。
【0069】
STEP:21 前記磁場マップ更新部7は、所定の位置で測定された磁場計測値と、移動距離及び移動方向から特定された前記磁場マップ33上での所定の前記セル32の磁場データ値とを比較する。
【0070】
STEP:22 前記磁場マップ更新部7は、比較結果を基に、磁場計測値と磁場データ値とが一致するか、又は差が所定の閾値内にあるかどうかを判断する。磁場計測値と磁場データ値とが一致又は閾値内であった場合には、前記磁場マップ33が正しいと判断され、該磁場マップ33の更新は行われない。
【0071】
尚、磁場計測値と磁場データ値とが不一致又は閾値内にない場合には、測位結果に不備が生じる。従って、前記磁場マップ33上に前記携帯端末13の現在位置を表示できないか、前記磁場マップ33上の誤った前記セル32が前記携帯端末13の現在位置として表示される。
【0072】
STEP:23 磁場計測値と磁場データ値とが不一致又は閾値内にないと判断された場合には、前記磁場マップ更新部7は、不一致であった前記磁場マップ33上の前記セル32を磁場マップの更新位置として設定する。尚、該更新位置は、単一の前記セル32であってもよいし、隣接する前記セル32を含めた所定範囲のエリアであってもよい。
【0073】
STEP:24 更新位置が設定されると、前記磁場マップ更新部7は、更新位置にあると判断された前記携帯端末13からの磁場計測値を順次取得し、前記記憶部9に蓄積する。
【0074】
STEP:25 前記磁場マップ更新部7は、予め設定された測定回数だけ更新位置の磁場計測値が蓄積されたかを判断する。蓄積されていないと判断された場合には、磁場計測値の蓄積数が設定数に到達する迄STEP:24を繰返す。
【0075】
尚、前記磁場マップ更新部7は、前記記憶部9への蓄積時に磁場計測値同士を比較し、値が一致する磁場計測値のみをカウントする様にしてもよい。又、前記磁場マップ更新部7は、前記記憶部9に蓄積される磁場計測値同士の差が、所定の閾値内であれば同一の磁場計測値としてカウントし、最後に平均値を求める様にしてもよい。更に、前記磁場マップ更新部7は、磁場計測値同士の比較を行わず、設定された測定回数迄蓄積された磁場計測値の平均値を求める様にしてもよい。
【0076】
STEP:26 更新位置の磁場計測値が設定された測定回数迄蓄積されたと判断されると、前記磁場マップ更新部7は、蓄積された磁場計測値の信頼性が高くなったと判断する。最後に、前記磁場マップ更新部7は、蓄積された磁場計測値又は磁場計測値の平均値に対し、更新位置に対応するエリアの係数行列を適用し、更新位置に於ける前記磁場マップ33の更新が完了する。
【0077】
上記した該磁場マップ33の更新処理は、建築物内に位置する各携帯端末13の測位と並行して実施される。
【0078】
上述の様に、本実施例では、前記磁場マップ33の更新が必要な前記セル32を更新位置として自動で設定している。従って、前記磁場マップ33の更新の為、別途GNSS装置やトータルステーション等の位置座標取得装置、磁場センサ等を用意し、前記磁場マップ33の更新が必要な位置を探す必要がなく、容易に前記磁場マップ33の更新を行うことができる。
【0079】
又、各携帯端末13の測位の為に受信した磁場計測値、移動距離、移動方向等を利用して、前記磁場マップ33の更新を行っている。従って、該磁場マップ33の更新の為、各携帯端末13の測位処理を中断し、別途磁場計測値等を取得して前記磁場マップ33の更新処理を行う必要がなく、該磁場マップ33を容易に更新することができる。
【0080】
又、本実施例では、更新位置で取得された磁場計測値が設定された測定回数だけ蓄積された後、蓄積された磁場計測値又は磁場計測値の平均値を基に前記磁場マップ33の更新を行う様になっている。従って、信頼性の高い磁場計測値により前記磁場マップ33の更新を行うことができ、更新される該磁場マップ33の精度を高めることができる。
【0081】
又、前記携帯端末13は、磁場計測値と、移動距離と、移動方向とにより前記磁場マップ33上での位置が特定できるので、衛星からの電波が遮られ、GNSS装置で位置座標を取得できない場合でも測位が可能となる。又、既知の位置に設置されたトータルステーション等を用いることなく前記携帯端末13の測位が可能となる。従って、前記携帯端末13の測位を安価且つ簡易な構成で実行することができる。
【0082】
尚、本実施例では、前記携帯端末13が前記磁場センサ15と前記IMU16とを有し、磁場計測値と前回の測位位置からの移動距離、移動方向を基に前記携帯端末13の測位を行っている。即ち、前回の測位位置からの移動距離、移動方向を求められれば、前記IMU16に代えて他の測定器を用いてもよい。
【0083】
例えば、ジャイロセンサを用い、前回の測位位置からの移動距離、移動方向を求めてもよいし、GNSS装置を用い、前回の測位位置からの座標差により移動距離、移動方向を求めてもよい。