特許第6833277号(P6833277)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6833277
(24)【登録日】2021年2月5日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】分電盤
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/40 20060101AFI20210215BHJP
【FI】
   H02B1/40 B
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-19367(P2017-19367)
(22)【出願日】2017年2月6日
(65)【公開番号】特開2018-129873(P2018-129873A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2019年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮山 将
(72)【発明者】
【氏名】若原 慎泰
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宣紀
【審査官】 北岡 信恭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−044812(JP,A)
【文献】 特開2014−033574(JP,A)
【文献】 特開平07−298424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/40−1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電機器が収納される箱本体の開口を閉塞するように取り付けられる内扉を備え、
前記内扉には、配電機器に対して負荷が接続される端子部の対応位置に開口部を備え、
前記開口部を覆うように形成された透明板カバーを内扉に着脱可能に備え、前記端子部を透明板カバー越しに視認可能な分電盤。
【請求項2】
配電機器を開閉するためのハンドルを露出するハンドル露出用開口を透明板カバーに備えた請求項1に記載の分電盤。
【請求項3】
開口部が複数の配電機器の列に渡って設けられた請求項2に記載の分電盤。
【請求項4】
透明板カバーには、配電機器の端子部の対応位置に孔部を形成した請求項1乃至3の何れかに記載の分電盤。
【請求項5】
複数の配電機器からなる集合体ごとに、透明板カバーが複数の透明板から形成される請求項1乃至4の何れかに記載の分電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分電盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
充電保護カバーなどと称される内扉を分電盤に設けることは知られている。特許文献1に記載されているように、このような内扉には、配電機器のハンドルの操作や、漏電表示ボタンの視認をできるようにするために開口が設けられている。しかし、これらの作業のみをできる程度にしか開口は設けられておらず、配電機器の接続部の状態の確認や、接続部が締まっているのかの確認や、増し締め作業に際して、内扉を開ける必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−125008号公報
【0004】
ところで、内扉を開くことにより、全ての機器が露出すると、不必要な機器に触れてしまう虞がある。このため、安全性が確保できない虞があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明の課題は、配電部の接続の状態や接続部における作業を安全に行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、配電機器が収納される箱本体の開口を閉塞するように取り付けられる内扉を備え、前記内扉には、配電機器に対して負荷が接続される端子部及び/又は電源が接続される端子部の対応位置に開口部を備え、前記開口部を覆うように形成された透明板カバーを内扉に着脱可能に備えた分電盤とする。
【0007】
配電機器を開閉するためのハンドルを露出するハンドル露出用開口を透明板カバーに備えた構成とすることが好ましい。
【0008】
開口部が複数の配電機器の列に渡って設けられた構成とすることが好ましい。
【0009】
透明板カバーには、配電機器の端子部の対応位置に孔部を形成した構成とすることが好ましい。
【0010】
複数の配電機器からなる集合体ごとに、透明板カバーが複数の透明板から形成される構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、配電部の接続の状態や接続部における作業を安全に行えるようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】分電盤の斜視図である。
図2】分電盤から内機を取り外した状態を示す斜視図である。
図3】内機の内扉を開いた状態を示す斜視図である。
図4】内扉及び内扉の正面側に位置する部品の分解斜視図である。
図5】分電盤の正面図である。ただし、扉及び扉用蝶番は省略している。
図6】分電盤の正面図である。ただし、扉及び扉用蝶番は省略している。また、透明板カバー越しに見える部品等を省いて表している。
図7】二系統またがるように一枚の透明板カバーを取り付けた分電盤の正面図である。ただし、扉及び扉用蝶番は省略している。
図8】二系統またがるように一枚の透明板カバーを取り付けた分電盤の正面図である。ただし、扉及び扉用蝶番は省略している。また、透明板カバー越しに見える部品等を省いて表している。
図9】系統毎に透明板カバーを取り付けた分電盤の正面図である。ただし、扉及び扉用蝶番は省略している。また、透明板カバー越しに見える部品等を省いて表している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に発明を実施するための形態を示す。本実施形態の分電盤1は、複数の配電機器2が収納される箱本体11の開口12を閉塞するように取り付けられる内扉3を備えている。また、この内扉3には、配電機器2に対して負荷が接続される端子部21b及び/又は電源が接続される端子部21aの対応位置に開口部31を備えている。更には、この開口部31を覆うように形成された透明板カバー5を内扉3に着脱可能に備えている。このため、配電部の接続の状態や接続部における作業を安全に行えるようにすることが可能である。
【0014】
ここで、分電盤1の構造について説明する。図1及び図2に示すことから理解されるように、開口12を備えた箱本体11と、箱本体11の開口12を覆うことが可能であり、分電盤1の外形の一部を形成する扉13を備えている。分電盤1の内部には内機14が備えられている。図3に示すように、内機14には、配電機器2などを取り付ける内機取付板15を備えている。本実施形態の内機取付板15は取付レール16を介して、箱本体11に取り付けられている。また、分電盤1は、配電機器2(主幹ブレーカや分岐ブレーカ等)などを覆うように位置することが可能な内扉3を備えている。本実施形態の内扉3は、内機取付板15に対して回動可能に取り付けられており、内扉3が閉じた状態において支持ラッチ32により内扉3が閉じた状態を維持できるように構成されている。
【0015】
本実施形態は配線が接続される電源側端子部21aと負荷側端子部21bを備えた分岐ブレーカを配電機器2として備えている。この電源側端子部21aは配線がネジ止め接続されるねじ端子部であり、電源側端子部21aにプラグ端子部に変換するプラグ変換部18が形成されており、プラグ変換部18のプラグ端子部を母線バー17に差込接続されて使用されるものである。
【0016】
図4に示すように、内扉3には開口部31が備えられているが、この開口部31は、内扉3を閉じた状態において、配電機器2に対して負荷及び/又は電源が接続される端子部21に面する位置を含むように設けられている。図4に示す例においては、横長の開口部31と縦長の開口部31が設けられている。配電機器2と面する開口部31を覆うために透明板カバー5が取り付けられる。透明板カバー5は内扉3に対して着脱可能であり、配電機器2の開閉操作に使用するハンドル22と面する箇所にはハンドル露出用開口51が設けられている。ハンドル露出用開口51を透明板カバー5に備えた構成であると、透明板カバー5を取り付けた状態でハンドル22を操作することが可能となる。
【0017】
また、本実施形態では、各列の機器の名称を示す負荷名称ホルダ91を、透明板カバー5に着脱可能としている。この負荷名称ホルダ91は、上下に位置するホルダ係止部材92を用いて透明板カバー5に固定することができる。そのため、負荷名称ホルダ91を着脱すると、母線バー17の状態やプラグ変換部18のプラグ端子部の母線バー17への接続状態が内扉3を閉じた状態で確認することができる。なお、通常時は、負荷名称ホルダ91は透明板カバー5に固定されているため、母線バー17を被覆するように形成されている。
【0018】
開口部31が透明板カバー5に覆われた状態は、図5に示すようなものとなり、内扉3を閉じた状態においても、負荷が接続される端子部21bや電源が接続される端子部21aを視認することが可能となるうえ、内扉3は開かないためそれらには触れにくい構成となっている。このため、安全を確保して端子部21の目視点検をすることができる。なお、透明板カバー5は、開口部31よりも幅広に設けられており、幅広とした部位に内扉3との固定部としてラッチ81を備えた構成としている。
【0019】
また、本実施形態においては、開口部31が複数の配電機器2の列に渡って設けられている。したがって、多くの端子部21を目視することが可能となる。なお、本実施形態では配電機器2である分岐ブレーカの複数の列に渡って開口部31が設けられている。本実施形態における開口部31は、二列に形成した配電機器2に渡ってように形成しているが、開口部31は、三列以上の複数列に形成した配電機器2を臨むように設けるものとしても良い。また、列ごとに開口部31を設けておくものとしても良い。なお、配電機器2を臨む開口部31は1つの開口で構成しても良いし、複数の開口により構成しても良い。
【0020】
また、図6に示すように、透明板カバー5には、配電機器の端子部21の対応位置に孔部52を形成している。したがって、テスターなどの点検器具を挿入して点検することができる。また、孔部52は点検器具の先端のみを挿入可能な大きさとすれば、点検を安全かつ適切に行うことができる。なお、透明板カバー5が無色透明であることから、点検器具と端子部21が接触していることなども目視しやすいものとなっている。
【0021】
また、一つの母線バー17に接続される配電機器2などを一つの系統とした際、複数の系統を一枚の透明板カバー5で覆う構造とすることも可能である。この状態を図7及び図8に例示するが、図7は透明板カバー5越しに見える分岐ブレーカなどを表しており、図8は透明板カバー5の外形が理解できるように、透明板カバー5越しに見える部品等を省いて表している。
【0022】
また、分岐ブレーカと臨む開口部31を覆う透明板カバー5が複数の分岐ブレーカからなる集合体ごとに形成した複数の透明板から形成されるものとすることも可能である。この場合、例えば、複数の系統を複数の透明板で覆う構造とすることも可能である。図9に示す例においては、二系統に対して二枚の透明板を取り付けた構成としている。複数の透明板で開口部31を覆う構成とすると、保守作業を行う際に、透明板で覆われている部分を残したまま、必要箇所だけ透明板を取り外した状態とすることができる。
【0023】
以上、いくつかの実施形態を中心に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、透明板カバーは無色透明のアクリル板で形成しているがガラスにすることも可能である。ただし、透明板カバーがアクリルの場合、軽くすることができる、ラッチ等で固定でき着脱を容易にすることが可能となる。なお、アクリル板を用いた場合でもネジ固定するものとできることは勿論のことである。また、透明板カバー5はハンドル22が露出されるハンドル露出用開口51を設けているが、ハンドル22も覆うように形成するものであっても良い。この場合は、透明板カバー5を取り外して分岐ブレーカや主幹ブレーカのハンドル22を操作するものである。
【0024】
また、開口部は主幹ブレーカに対応するものと、分岐ブレーカに対応するものとを分けて形成したが、全てを含む開口部としても良い。
【0025】
また、分岐ブレーカと母線バーは、実施形態のようにプラグイン接続するものでも良いし、母線バーと分岐ブレーカの電源側端子部21aとをリードバーや電線などの配線で電気的に接続するものでも良い。この場合、透明板カバー5で電源側端子部21aと配線との接続状態を確認可能としている。
【0026】
実施形態における開口部は、内扉が閉じた状態において、配電機器の負荷側端子と電源側端子の双方に臨むように形成されているが、負荷側端子と電源側端子のどちらか一方に臨むように形成しても良い。
【符号の説明】
【0027】
1 分電盤
2 配電機器
3 内扉
5 透明板カバー
11 箱本体
12 開口
21 端子部
21a 電源側端子部
21b 負荷側端子部
22 ハンドル
31 開口部
51 ハンドル露出用開口
52 孔部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9