(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6833345
(24)【登録日】2021年2月5日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】熱交換装置及び熱交換装置におけるバッフルプレートの設置範囲設定方法
(51)【国際特許分類】
F28F 9/00 20060101AFI20210215BHJP
F28D 7/16 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
F28F9/00 A
F28D7/16 A
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-98897(P2016-98897)
(22)【出願日】2016年5月17日
(65)【公開番号】特開2017-207231(P2017-207231A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2019年2月4日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】沖本 貴寛
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 直樹
(72)【発明者】
【氏名】林 健太郎
【審査官】
森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−065708(JP,A)
【文献】
実開昭59−108086(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/00
F28D 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を熱源ガスが流通するガスダクトと、
前記熱源ガスの流れ方向及び前記流れ方向に直交するダクト幅方向にそれぞれ複数配列された伝熱管を有し、前記内部空間内に配置された伝熱管群と、
前記流れ方向に延在し、前記内部空間を前記ダクト幅方向に対して分割するように前記内部空間に配設された一枚物のバッフルプレートとを備える、熱交換装置において、
前記バッフルプレートの上流端の位置が、上流側から1段目に配置された前記伝熱管の下流端と、前記上流側から3段目に配置された前記伝熱管の下流端との間に設定された
ことを特徴とする、熱交換装置。
【請求項2】
前記バッフルプレートが前記1段目に配置された前記伝熱管の上流端から上流側へ突出する長さであるバッフル出代BLと、前記伝熱管の外径の大きさdとの比(BL/d)が、−1.0〜−5.5を満たす位置に、前記バッフルプレートの上流端の位置が設定された
ことを特徴とする、請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項3】
前記バッフルプレートの上流端の位置が、前記3段目に配置された前記伝熱管の下流端の位置に設定された
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の熱交換装置。
【請求項4】
内部空間を熱源ガスが流通するガスダクトと、
前記熱源ガスの流れ方向及び前記流れ方向に直交するダクト幅方向にそれぞれ複数配列された伝熱管を有し、前記内部空間内に配置された伝熱管群と、
前記流れ方向に延在し、前記内部空間を前記ダクト幅方向に対して分割するように前記内部空間に配設された一枚物のバッフルプレートとを備える、熱交換装置において、
前記バッフルプレートの上流端の位置を、上流側から1段目に配置された前記伝熱管の下流端と、前記上流側から3段目に配置された前記伝熱管の下流端との間に設定する
ことを特徴とする、熱交換装置におけるバッフルプレートの設置範囲設定方法。
【請求項5】
前記バッフルプレートが前記1段目に配置された前記伝熱管の上流端から上流側へ突出する長さあるバッフル出代BLと、前記伝熱管の外径の大きさdとの比(BL/d)が、−1.0〜−5.5を満たす位置に、前記バッフルプレートの上流端の位置を設定する
ことを特徴とする、請求項4に記載の熱交換装置におけるバッフルプレートの設置範囲設定方法。
【請求項6】
前記バッフルプレートの上流端の位置を、前記3段目に配置された前記伝熱管の下流端の位置に設定する
ことを特徴とする、請求項4又は5に記載の熱交換装置におけるバッフルプレートの設置範囲設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶鳴りの発生を防止するためのバッフルプレートが備えられた熱交換装置及びバッフルプレートの設置範囲設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電用のボイラや、プラント排熱,ガスタービン排熱を回収するボイラ(排熱回収ボイラ)などでは、高温ガスが流れるダクト内に1又は複数の伝熱管群を配置した熱交換装置が使用される。伝熱管群は、ガス流れ方向及びダクト幅方向(ガス流れ方向と直交する方向、以下「幅方向」とも表記する)に配列された複数の伝熱管を備えて構成される。
【0003】
このような熱交換装置では、ダクト幅方向に定在波が発生すると共に、高温ガスが伝熱管を通過する際に伝熱管の下流側でカルマン渦が発生する。定在波の周波数とカルマン渦の発生周波数とが一致してしまうと、共鳴現象が生じて自励音が発生する。この現象は缶鳴りと呼ばれる。
そこで、従来、ダクト内に、ガス流れ方向に延在する防振バッフルを設けることで缶鳴りを防止することが行われている(例えば特許文献1参照)。防振バッフルを設けてダクト内を幅方向に分割することで、定在波の周波数が高めに変調され、定在波の周波数とカルマン渦の発生周波数とを離調することができる。これにより缶鳴りを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭63−50637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カルマン渦の発生周波数は高温ガスの流速に比例して変化するため、防振バッフルを使用した技術では、高次の共鳴現象まで防止するには、定在波の周波数をカルマン渦の最大の発生周波数よりも高くしなければならない。このため、防振バッフルをダクト幅方向に複数設ける必要がある。
また、伝熱管群における缶鳴りの発生箇所の特定が困難なため、防振バッフルは、伝熱管群の全長よりも長い範囲に亘って設けられる。つまり、防振バッフルの長さは、そのガス流れ上流端が、伝熱管群のガス流れ上流端よりも上流側に位置するように、そのガス流れ下流端が、伝熱管群のガス流れ下流端よりも下流側に位置するように設定されている(特許文献1の第1図参照)。
このため、防振バッフルを設置する範囲が広くなり、特にダクト幅方向に防振バッフルを複数設ける場合には、防振バッフルの設置に伴うコストアップが大きいという課題がある。
【0006】
本発明は、熱交換装置の製作コストの増大を抑制しつつ缶鳴りの発生を防止できるようにした、熱交換装置及び熱交換装置におけるバッフルプレートの設置範囲設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記の目的を達成するために、本発明の熱交換装置は、内部空間を熱源ガスが流通するガスダクトと、前記熱源ガスの流れ方向及び前記流れ方向に直交するダクト幅方向にそれぞれ複数配列された伝熱管を有し、前記内部空間内に配置された伝熱管群と、前記流れ方向に延在し、前記内部空間を前記ダクト幅方向に対して分割するように前記内部空間に配設された
一枚物のバッフルプレートとを備える、熱交換装置において、前記バッフルプレートの上流端の位置が、上流側から1段目に配置された前記伝熱管の下流端と、前記上流側から3段目に配置された前記伝熱管の下流端との間に設定されたことを特徴としている。
前記バッフルプレートが前記1段目に配置された前記伝熱管の上流端から上流側へ突出する長さであるバッフル出代BLと、前記伝熱管の外径の大きさdとの比(BL/d)が、−1.0〜−5.5を満たす位置に、前記バッフルプレートの上流端の位置が設定されたことが好ましい。
さらに、前記バッフルプレートの上流端の位置が、前記上3段目に配置された前記伝熱管の下流端の位置に設定されたことが好ましい。
【0008】
(2)上記の目的を達成するために、本発明の熱交換装置におけるバッフルプレートの設置範囲設定方法は、内部空間を熱源ガスが流通するガスダクトと、前記熱源ガスの流れ方向及び前記流れ方向に直交するダクト幅方向にそれぞれ複数配列された伝熱管を有し、前記内部空間内に配置された伝熱管群と、前記流れ方向に延在し、前記内部空間を前記ダクト幅方向に対して分割するように前記内部空間に配設された
一枚物のバッフルプレートとを備える、熱交換装置において、前記バッフルプレートの上流端の位置を、上流側から1段目に配置された前記伝熱管の下流端と、前記上流側から3段目に配置された前記伝熱管の下流端との間に設定することを特徴としている。
前記バッフルプレートが前記1段目に配置された前記伝熱管の上流端から上流側へ突出する長さであるバッフル出代BLと、前記伝熱管の外径の大きさdとの比(BL/d)が、−1.0〜−5.5を満たす位置に、前記バッフルプレートの上流端の位置を設定することが好ましい。
前記バッフルプレートの上流端の位置を、前記3段目に配置された前記伝熱管の下流端の位置に設定することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ガスダクトに配置されるバッフルプレートの先端(上流端)の位置を、一段目の伝熱管の
下流端と三段目の伝熱管の下流端との間に設定することで、バッフルプレートの先端を一段目の伝熱管の上流端よりも前方(上流側)に突出させる従来配置に較べ、バッフルプレートを短くしつつ缶鳴りの発生を防止することができる。
したがって、バッフルプレートの設置に伴う熱交換装置の製作コストの増大を抑制しつつ缶鳴りの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態の熱交換装置の構成を示す模式的な平面視による断面図である。
【
図2】横軸をバッフル出代BLと外径(直径)dとの比(BL/d)とし、縦軸を音圧レベルとしたグラフに、各実施例1,2及び比較例1,2の試験結果をプロットした図である。
【
図3】横軸を音圧レベルの評価位置とし、縦軸を音圧レベル[dB]としたグラフに、試験結果をプロットした図であり、(a)は実施例1に関する図、(b)は実施例2に関する図、(c)は比較例1に関する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。以下の実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができると共に、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることが可能である。
【0012】
本実施形態では、本発明を、排熱回収ボイラ(以下「HRSG」と表記する)に備えられた熱交換装置に適用した例を説明する。
以下の説明では、特段の説明なく「上流」,「前」と記載した場合は、燃焼排ガス(熱源ガス)Gの流れにおける上流を指すものとする。また、特段の説明なく「下流」,「後」と記載した場合は、燃焼排ガスGの流れにおける下流を指すものとする。
また、燃焼排ガスGの流れ方向を前後方向Yとし、前後方向Yと直交する水平方向をダクト幅方向(以下「横方向」又は「幅方向」ともいう)Xとする。
【0013】
[1.構成]
本実施形態の熱交換装置1について
図1を参照して説明する。
図1は、本実施形態の熱交換装置1の構成を示す模式的な平面視による断面図である。なお、伝熱管40の断面を示すハッチは省略する。
熱交換装置1は、ガスダクト2と、ガスダクト2の内部空間(以下「ダクト内部空間」ともいう)3にそれぞれ配置された伝熱管群4及び防振バッフル5とを備えて構成される。
ガスダクト2は、左右の側壁,底壁及び天井壁の4つのダクト壁20を有している。これらのダクト壁20により包囲された内部空間3を、黒塗の矢印で示す方向(
図1の紙面における上下方向)に燃焼排ガス(熱源ガス)Gが流通する。
伝熱管群4は、本実施形態では、それぞれ鉛直方向(
図1の紙面に対して直交する方向)に延在する複数の伝熱管40を前後左右に並べて構成されており、各伝熱管40には同一仕様(同一内径、同一外径、同一材質)のものが使用されている。各伝熱管40にはそれぞれ水(被加熱流体)が供給され、この水は伝熱管40を流通する過程で燃焼排ガスGに加熱され蒸気(又は水と蒸気とが混在した二相流)となる。
【0014】
以下、伝熱管40の前後方向Yの並びを「列」と呼び、横方向Xの並びを「段」と呼ぶ。本実施形態では、伝熱管40を、前後左右に半ピッチずらした千鳥配列により、18列×5段で配列している(
図1では、一部の列を省略している)。以下の説明では、右から1列目,2列目…18列目とし、前から(上流から)1段目,2段目…5段目とする。
伝熱管40の段についてさらに説明すると、所定の伝熱管40の前端を通る横線と後端を通る横線との間に入る伝熱管40は、前記の所定の伝熱管40と同じ段とする。例えば、
図1において、1列目で5段目の伝熱管40の前端を通る横線Lf5と後端を通る横線Lb5との間に入る伝熱管40は5段目となる。或いは、前後方向Yに関して、軸心線CLが一致(又は略一致)している伝熱管40は同じ段とする。
【0015】
防振バッフル5は、前後方向Yに延在するバッフルプレートであり、ダクト内部空間3及び伝熱管群4を幅方向Xに対して分割するように配置される。本実施形態では、これに限定されるものではないが、防振バッフル5は、9列目の伝熱管40と10列目の伝熱管40との間に配置され、ダクト内部空間3及び伝熱管群4を幅方向Xに対して2等分するように配置されている。また、本実施形態では、防振バッフル5は、ダクト内部空間3の全高さに亘って設けられており、その上端が、ダクト2の天井壁(ダクト壁)の下面に固定され、その下端が、ダクト2の底壁(ダクト壁)の上面に固定されている。
【0016】
防振バッフル5は、下流端(図示略)が、少なくとも最も後方の段(5段目)の伝熱管40の下流端まで延設され、本実施形態では、最下段(5段目)の伝熱管40の下流端よりもさらに下流側に延設されている。
そして、防振バッフル5の先端(上流端、以下「バッフル先端」ともいう)5aの位置は、所定範囲R内に設定される。所定範囲Rは、一段目の伝熱管40の上流端40uと、三段目の伝熱管40の下流端40dとの間の領域(上流端40uの位置及び下流端40dの位置を含む)として規定される。本実施形態では、バッフル先端5aの位置は、一段目の伝熱管40の下流端と略同じ位置に設定されている。
【0017】
[2.実施例]
本発明の実施例1,実施例2及び比較例1,比較例2についての試験結果を、
図2及び
図3を参照して説明する。
伝熱管40の仕様,横方向XのピッチPx,前後方向YのピッチPy,防振バッフル5の板厚t,側壁をなすダクト壁21と防振バッフル5との距離L1,L2は共通であり(ピッチPx,Py,板厚t及び距離L1,L2は
図1参照)、下表のとおりである。
【表1】
【0018】
実施例1,2及び比較例1,2は、バッフル出代BLと外径(直径)dとの比(BL/d)が相違し、それぞれ以下のように設定されている。
バッフル出代BL(
図1参照)は、一段目の伝熱管40からバッフル5が前方に突出している長さであり、一段目の伝熱管40の上流端40uとバッフル先端5aとの距離である。したがって、バッフル先端5aの位置が上流端40uと揃っていればバッフル出代BL及び比(BL/d)はゼロとなり、従来のようにバッフル先端5aが上流端40uよりも前方に突出していればバッフル出代BL及び比(BL/d)はプラスになり、バッフル先端5aが上流端40uよりも後方に退避していればバッフル出代BL及び比(BL/d)はマイナスとなる。
【0020】
つまり、上表2の条件は、実施例1は、前後方向
Yの位置に関してバッフル先端5aの位置が上流端40uと揃っていることを意味し、実施例2及び比較例1は、それぞれ、バッフル先端5aの位置が、上流端40uよりも後方(下流側)に退避していることを意味し、比較例2は、バッフル先端5aの位置が上流端40uよりも前方(上流側)に突出した従来技相当であることを意味する。
また、実施例2は、前後方向
Yの位置に関してバッフル先端5aが三段目の伝熱管40の下流端40dと揃っていることを示す。
【0021】
図2は、横軸を比(BL/d)とし、縦軸を音圧レベル[dB]としたグラフに、実施例1,2及び比較例1,2の各試験結果〔共鳴周波数を中心とした一定範囲の周波数(138Hz〜169Hz)について計測された、熱交換装置1における最大音圧レベル〕をプロットした図である。
図2からも明らかなように、バッフル先端5aの位置が、所定範囲R(一段目の伝熱管40の上流端40u〜三段目の伝熱管40の下流端40dとの間の領域)にある実施例1,2は、従来技術相当の比較例2よりも音圧レベルが抑制されている。一方、バッフル先端5aの位置が、上流端40uよりも後方に退避しているものの、所定範囲Rから外れている比較例1では、共鳴により自励音が発生して従来技術相当の比較例2よりも音圧レベルが高くなっている。
【0022】
図3は、横軸を音圧レベルの評価位置とし縦軸を音圧レベル[dB]としたグラフに試験結果(特定の周波数における音圧レベル)をプロットした図、すなわち特定の周波数における音圧レベルのダクト幅方向
Xに関する分布(以下「幅方向分布」という)を示す図であり、(a)は実施例1に関する試験結果(周波数158Hzにおける音圧レベルの幅方向分布)を示す図、(b)は実施例2に関する試験結果(周波数154Hzにおける音圧レベルの幅方向分布)を示す図、(c)は比較例1に関する試験結果(周波数173Hzにおける音圧レベルの幅方向分布)を示す図である。
【0023】
ここで、
図1を参照して評価位置について説明する。
図1中の「*」が、音圧レベルを計測する評価位置を示し、伝熱管40の各段の前後にそれぞれ複数(本実施形態では20個)の評価位置が横並びに設定されている。評価位置は、右から順にナンバリングされ、一番右が評価位置0(ゼロ)、一番左が評価位置19とされる。また、横並びした評価位置の段を、前方から順にA段,B段…F段とする(
図1では、A段及びE段は省略。また、評価位置を示す「*」はB段についてのみ示し、他の段については省略する)。
【0024】
図3(c)に示す比較例1の計測結果は、
図3(a),(b)に示す実施例1,2の計測結果に較べて、B段,D段,F段においてそれぞれ音圧レベルに滑らかな落ち込みが見られる。これは、自励音が発生した時の特徴である。
なお、
図3(b)に示す実施例2の試験結果と、
図3(c)に示す比較例1の試験結果とで、音圧レベルに大きな差は見られないが、これは、上述したように
図3(b)に示す実施例2の試験結果は周波数154Hzにおけるものであり、
図3(c)に示す比較例1の試験結果は周波数173Hzにおけるものであり、そもそも異なる周波数の試験結果だからである。要するに
図3(a),(b),(c)に示す各実験結果は、自励音の発生の有無を定性的に確認するための図であって、音圧レベルの大きさを比較しうるものではない。
【0025】
[3.作用・効果]
本発明の一実施形態によれば、防振バッフル5の先端5aの位置を、一段目の伝熱管40の上流端40uと三段目の伝熱管40の下流端40dとの間の範囲R内に設定することで、一段目の伝熱管の上流端よりも防振バッフル5を前方に突出させる従来配置に較べ、防振バッフル5のサイズが小さくなるにも拘わらず、缶鳴りと呼ばれる自励音の発生を防止することができる。
したがって、防振バッフル5の設置に伴う熱交換装置の製作コストの増大を抑制しつつ缶鳴りの発生を防止できる。
【0026】
[4.変形例]
(1)上記実施形態では、防振バッフル5を1枚設けたが、防振バッフル5の枚数は、ダクト2内を流れる燃焼排ガスGの流速等種々の条件に応じて適宜設定されるものであり、幅方向Xに複数枚並設してもよい。
【0027】
(2)上記実施形態では、熱交換装置を、伝熱管40を18列×5段で千鳥配列して構成したが、熱交換装置の構成はこれに限定されない。例えば、伝熱管40の列数及び段数は、前記の数に限定されずそれぞれ適宜設定されるものであり、また、伝熱管40を格子配列して熱交換装置を構成してもよい。
【0028】
(3)上記実施形態では、本発明をHRSGの熱交換装置に適用したが、バーナを備えた一般的な蒸気ボイラ、温水器など各種の用途に使用される熱交換装置に適用できる。
【符号の説明】
【0029】
1 熱交換装置
2 ガスダクト
20 ダクト壁
3 ガスダクト2の内部空間
4 伝熱管群
40 伝熱管
40u 一段目の伝熱管40の上流端
40d 三段目の伝熱管40の下流端
5 防振バッフル(バッフルプレート)
5a 防振バッフル5の先端(上流端)
G 排ガス(熱源ガス)
X ダクト
幅方向
Y ダクト
前後方向