特許第6833365号(P6833365)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6833365水位測定装置および水位測定装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6833365
(24)【登録日】2021年2月5日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】水位測定装置および水位測定装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/18 20060101AFI20210215BHJP
   G21C 17/02 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
   G01F23/18
   G21C17/02
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-133645(P2016-133645)
(22)【出願日】2016年7月5日
(65)【公開番号】特開2018-4518(P2018-4518A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【弁理士】
【氏名又は名称】原 拓実
(74)【代理人】
【識別番号】100200115
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 元勇
(74)【代理人】
【識別番号】100138601
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 正成
(72)【発明者】
【氏名】深井 亘
【審査官】 羽飼 知佳
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−202695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/14−23/18 等
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水面下にて水頭圧と大気圧との差圧を検出する差圧センサおよび、前記差圧センサの検出値を電気信号に変換する電子回路を有する検出器と、
前記電気信号に基づいて水位を算出するハウジング部と、
前記検出器と前記ハウジング部とを接続し、前記大気圧および前記電気信号を伝送するケーブルと、
を具備し、
前記検出器または前記電子回路の少なくともいずれか一方には予め所定の積算放射線量が照射されている水位測定装置。
【請求項2】
前記電子回路はアナログ回路から構成される、請求項1に記載の水位測定装置。
【請求項3】
前記電子回路は前記電気信号を増幅する増幅器を有する、請求項1または請求項2に記載の水位測定装置。
【請求項4】
前記電子回路の増幅器には予め所定の積算放射線量が照射されている、請求項3に記載の水位測定装置。
【請求項5】
前記ハウジング部は前記電気信号を増幅する増幅器を有する、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の水位測定装置。
【請求項6】
前記ハウジング部には予め所定の積算放射線量が照射されている請求項5に記載の水位測定装置。
【請求項7】
前記ハウジング部の増幅器には予め所定の積算放射線量が照射されている請求項5または請求項6に記載の水位測定装置。
【請求項8】
前記所定の積算放射線量は1kGy〜3kGyの積算放射線量である、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の水位測定装置。
【請求項9】
水面下にて水頭圧と大気圧との差圧を検出する差圧センサの検出値を電気信号に変換する電子回路に所定の積算放射線量を照射した後に熱処理をし、
前記電子回路を検出器に組み込み、
前記検出器と前記電気信号に基づいて水位を算出するハウジング部とを、前記大気圧および前記電気信号を伝送するケーブルで接続した、
水位測定装置の製造方法。
【請求項10】
水面下にて水頭圧と大気圧との差圧を検出する差圧センサおよび、前記差圧センサの検出値を電気信号に変換する電子回路を有する検出器に所定の積算放射線量を照射した後に熱処理をし、
前記検出器と前記電気信号に基づいて水位を算出するハウジング部とを、前記大気圧および前記電気信号を伝送するケーブルで接続した、
水位測定装置の製造方法。
【請求項11】
水面下にて水頭圧と大気圧との差圧を検出する差圧センサおよび、前記差圧センサの検出値を電気信号に変換する電子回路を有する検出器と、前記電気信号に基づいて水位を算出するハウジング部とを、前記大気圧および前記電気信号を伝送するケーブルで接続し、
前記検出器または前記ハウジング部の少なくとも一方に予め所定の積算放射線量を照射した後に熱処理をした、
水位測定装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、水位測定装置および水位測定装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、湖畔やプールなどの水位を測定するものとして投込み式の水位測定装置がある。水位測定装置は大気圧と水頭圧との差圧を電気信号に変換し、電子回路により水位を測定している。
【0003】
しかし、高い放射線が存在する環境においては、電子回路が放射線を受けることにより、正常に動作せず、正確な水位を測定できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−302841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、高い放射線が存在する環境にて、放射線による電子回路の影響を抑制し、精度よく水位を測定することができる水位測定装置および水位測定装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、実施形態の水位測定装置は、水面下にて水頭圧と大気圧との差圧を検出する差圧センサおよび、前記差圧センサの検出値を電気信号に変換する電子回路を有する検出器と、前記電気信号に基づいて水位を算出するハウジング部と、前記検出器と前記ハウジング部とを接続し、前記大気圧および前記電気信号を伝送するケーブルと、を具備し、前記検出器または前記電子回路の少なくともいずれか一方には予め所定の積算放射線量が照射されている。
【0007】
上記課題を解決するため、実施形態の水位測定装置の製造方法は、水面下にて水頭圧と大気圧との差圧を検出する差圧センサの検出値を電気信号に変換する電子回路に所定の積算放射線量を照射した後に熱処理をし、前記電子回路を検出器に組み込み、前記検出器と前記電気信号に基づいて水位を算出するハウジング部とを、前記大気圧および前記電気信号を伝送するケーブルで接続したものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態である水位測定装置の構成図。
図2】検出器の構成図およびケーブルの断面図。
図3】OPアンプを用いた反転増幅回路の図。
図4】第1の実施形態である水位測定装置のハウジング部の構成図。
図5】積算放射線量と出力変動率の相関図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、水位測定装置の実施形態を図面に基づき説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態である水位測定装置の構成図である。本実施形態の水位測定装置は検出器10とケーブル20とハウジング部30とを有している。検出器10とハウジング部30とはケーブル20により接続されている。
【0011】
本実施形態の水位測定装置は水面40の下に検出器10を投入し、ケーブル20より供給される大気圧と、水面40下の水頭圧との差圧から電気信号を生成する。生成された電気信号はケーブル20を介してハウジング部30に伝送される。その後、ハウジング部30にて電気信号に基づいて水位を算出する。
【0012】
検出器10の下部には水底に配置するための配置部10aを有しており、検出器10を水底に配置することで、安定した水位の値を測定することが可能である。ただし、配置部10aは本実施形態において及び、以下の実施形態において必須の構成要素ではない。また、検出器10の下部に配置部10aを設けたとしても、図1の形状に限定されるものではない。
【0013】
図2(a)は検出器10の構成図であり、(b)はケーブル20の断面図である。本実施形態における検出器10は先端部に開口部10bが設けられた筒状の形状の本体13を有している。ただし、図2において、開口部10bは2個設けているが、開口部10bの個数はこれに限定されない。検出器10の本体13の後端部にはケーブル20が接続されており、ケーブル20を介してハウジング部30と接続されている。ケーブル20の内部には中空ケーブル21を有しており、検出器10の内部に大気圧を供給することが可能である。
【0014】
検出器10の本体13の内部には差圧センサ11とプリアンプ12とを有している。差圧センサ11には接液ダイヤフラム11aと封入液11bを介して水頭圧が加わる。
【0015】
差圧センサは11半導体拡散抵抗式のセンサで構成されており、水頭圧と大気圧の差分値をプリアンプ12に伝送している。
【0016】
ただし、半導体拡散抵抗式のセンサは一例であり、差圧センサ11はこれに限定されるものではない。
【0017】
プリアンプ12は差圧センサ11とケーブル20とに電気的に接続されており、差圧センサ11より伝送された電圧を増幅し、ケーブル20に伝送している。差圧センサ11から伝送される電圧は小電圧であるため、プリアンプ12にて電圧を増幅してケーブル20を介してハウジング部30へ伝送する。
【0018】
プリアンプ12は一例としてアナログ回路であるOPアンプを用いた反転増幅回路12aがある。図3はOPアンプ12bを用いた反転増幅回路12aである。OPアンプ12bの入力(−)には差圧センサ11から伝送される電圧Vinを、抵抗R1を介して入力する。OPアンプ12bの他方の入力(+)は接地されており、出力は抵抗R2を介して入力(−)にフィードバックされている。このときの出力電圧Voutは以下の式(1)のようになる。
【0019】
Vout=−(R2/R1)Vin…式(1)
抵抗R2が抵抗R1よりも大きい場合は電圧Voutの絶対値がVinよりも大きくなり増幅される。また、反転増幅回路12aにより電圧を増幅した後、電圧−電流変換回路を付加して電流値として出力しても良い。なお、図3の反転増幅回路12aはプリアンプ12の一例であり、プリアンプ12はこれに限定されるものでは無い。
【0020】
ケーブル20は検出器10へ大気圧を供給し、かつプリアンプ12で増幅された電圧を電気信号としてハウジング部30へ伝送する。図2(b)は図2(a)のケーブル20におけるA1―A2間の断面図である。ケーブル20は大気圧を検出器10へ供給する中空ケーブル21と、プリアンプ12で増幅された電圧を電気信号としてハウジング部30へ伝送する信号ケーブル22とを有している。
【0021】
図2(b)ではケーブル20の中央に中空ケーブル21を設け、ケーブル20と中空ケーブル21との空隙部分に信号ケーブル22を8本設けている。ただし、本実施形態および以下の実施形態において、中空ケーブル21および信号ケーブル22の配置、信号ケーブル22の本数についてはこれに限定されるものでは無い。
【0022】
中空ケーブル21は大気圧をハウジング部30から検出器10へ供給するための空隙を有している。信号ケーブル22はケーブル内部にアルミ線や銅線などからなる導通部22aを有しており、導通部22aにてプリアンプ12で増幅された電圧を電気信号としてハウジング部30へ伝送する。
【0023】
図4は本実施形態におけるハウジング部30の構成図である。ハウジング部30はケーブル20と接続されており、ケーブル20の中空ケーブル21が検出器10へ大気圧を供給するため、ハウジング部30の内または外に伸びている。また、ハウジング部30は演算部31を有している。演算部31はケーブル20の信号ケーブル22と電気的に接続されており、プリアンプ12から伝送された電圧に基づいて水位を算出する。
【0024】
ハウジング部30は例えば表示部32を有しており、演算部31にて算出した水位を表示してもよい。また、ハウジング部30は例えば送信部を有しており、高い放射線環境から離れた場所にいる観測者へ当該演算データを送信してもよい。ただし、表示部32や送信部は本実施形態および以下の実施形態において、ハウジング部30に必須の構成要件ではなく、図4の構成に限定されるものではない。
【0025】
本実施形態の水位測定装置は高い放射性物質が存在する環境下における水位の測定を行うこともある。水が高濃度の放射性物質を含有している場合、検出器10内の差圧センサ11やプリアンプ12などの電子回路が放射線の影響を受け、出力が変動することがある。これらの電子回路について、メモリなどを用いたディジタル回路を用いた場合、放射線の影響によりメモリ内部のデータの破損が発生し、水位の測定に大きな誤差を生じさせることがある。このため、本実施形態および以下の実施形態の水位測定装置に用いられる電子回路はアナログ回路であることが望ましい。
【0026】
図5は水位測定装置に用いられているアナログの電子回路が放射線を受けている場合の積算放射線量と出力変動率の相関図である。横軸は電子回路が受けた積算放射線量であり、縦軸は当該電子回路の出力の変動率である。
【0027】
水位測定装置内の電子回路はOPアンプを用いた場合、0〜1kGyの積算放射線量を受けている場合(図5のA1領域)、受けている放射線量に比例して出力が大きく変動する。1〜3kGyの積算放射線量を受けている場合(図5のA2領域)、電子回路の出力変動率はおよそ2〜3%程度であるが変動率が増加した後に減少する。そして、3kGy以上の積算放射線量を受けた後は(図5のA3領域)、積算の放射線量に比例して出力の変動率は再び増加するが増加の変動率の変化は少ない。
【0028】
アナログ回路の電子回路は1〜3kGyの積算放射線量を受けている場合は比較的安定していることがわかっている。特に3kGy近傍の積算放射線量を受けている場合が一番安定した出力であることがわかっている。
【0029】
このため、本実施形態の水位測定装置は検出器10に電子回路の出力が安定する範囲内の所定の積算放射線量を予め照射している。電子回路にOPアンプを用いた場合は所定の積算放射線量とは、1kGy〜3kGyとなる。ただし、本実施形態および以下の実施形態において予め照射する積算放射線量は1kGy〜3kGyに限定されない。例えば、事前に電子回路の積算放射線量と出力の変動率を計測し、出力の変動率が安定している範囲内の積算放射線量を照射しても良い。
【0030】
予め積算放射線量を照射する方法として、たとえば100Gr/時間の放射線を電子回路であるプリアンプ12に10時間〜30時間照射した後、約85℃の環境下で熱処理(アニール処理)することにより、積算放射線量を1kGr〜3kGrとすればよい。この方法であれば1kGr〜3kGrの積算放射線量を照射した結果、破損するプリアンプが存在したとしてもそのプリアンプのみを廃棄すれば済む。
【0031】
また、本実施形態の水位測定装置は電子回路を検出器10に組み込んだ後に、検出器10に放射線を照射し、熱処理をしてもよい。このため、熱処理の温度は検出器10が破損しないよう、約60℃の環境下での熱処理としている。以上の製造方法により電子回路のみならず、検出器10に放射線照射できるため、水位測定装置全体として出力が安定する。また、検出器10とハウジング部30とをケーブル20で接続し、水位測定装置を完成させた後に、検出器10に放射線を照射し、熱処理をしてもよい。
【0032】
ハウジング部30の演算部31は、熱処理後に残った放射線の影響を補正したうえで、プリアンプ12から出力された電圧値を4−20mAの出力信号に変換する。演算部31は電圧値を出力信号への変換するための増幅器を有していても良い。
【0033】
以上により、本実施形態の水位測定装置は高い放射性物質が存在する環境にて、放射線を受けることによる電子回路の出力変動を抑制し、精度よく水位を測定することができる。
【0034】
(第2の実施形態)
第2の実施形態である水位測定装置の構成は第1の実施形態と同じである。
【0035】
本実施形態では、高濃度の放射性物質が含有する水中から検出器10内の差圧センサ11やプリアンプ12は水中から放射線を受け、高い放射線を有する大気中からハウジング部30内の演算部31は放射線を受けている。このため、演算部31はアナログ回路であることが望ましい。
【0036】
電子回路の出力変動率について放射線の影響を補正させるために、本実施形態の水位測定装置は検出器10だけでなく、ハウジング部30にも出力が安定する範囲内の所定の放射線量を予め照射している。なお、ケーブル20にも放射線を照射して、水位測定装置全体に所定の放射線量を予め照射していても良い。
【0037】
ハウジング部30のアナログの電子回路の積算放射線量と出力変動率の相関図は図5と同様である。演算部31にOPアンプを用いた場合は所定の放射線量とは、1kGy〜3kGyとなる。ただし、本実施形態において予め照射する放射線量は1kGy〜3kGyに限定されない。例えば、事前に電子回路の積算放射線量と出力の変動率を計測し、出力の変動率が安定している範囲内の積算放射線量を照射しても良い。
【0038】
予め積算放射線量を照射する方法は第1の実施形態と同様である。本実施形態の水位測定装置は電子回路を検出器10に組み込んで、検出器10とハウジング部30とをケーブル20で接続し、水位測定装置を完成させた後に、水位測定装置全体に積算放射線量を照射し、熱処理をする。
【0039】
以上の製造方法により電子回路のみならず、水位測定装置全体に積算放射線量を照射できるため、測定装置全体として出力が安定する。
【0040】
ハウジング部30の演算部31は差圧センサ11やプリアンプ12から出力された電圧値について、出力変動率分を補正して水位を算出することで、正確な水位を測定することができる。
【0041】
ハウジング部30の演算部31は、熱処理後に残った放射線の影響を補正したうえで、プリアンプ12から出力された電圧値を4−20mAの出力信号に変換する。演算部31は電圧値を出力信号への変換するための増幅器を有していても良い。
【0042】
以上により、本実施形態の水位測定装置は高い放射性物質が存在する環境にて、放射線を受けることによる電子回路の出力変動を抑制し、精度よく水位を測定することができる。
【0043】
(第3の実施形態)
第3の実施形態である水位測定装置は電子回路に予め所定の積算放射線量を照射している。即ち、第1の実施形態では電子回路を有する検出器10に予め所定の積算放射線量が照射されており、第2の実施形態では検出器10とハウジング部30に予め所定の積算放射線量が照射されているが、本実施形態では検出器10やハウジング部30に格納される前の段階で電子回路に所定の積算放射線量を照射している。これらの電子回路が、水位測定装置の構成の内、放射線による影響を受けやすいからである。
【0044】
本実施形態の場合、検出器10のプリアンプ12のみに所定の積算放射線量を予め照射しても良く、プリアンプ12のほかに差圧センサ11や演算部31にも所定の積算放射線量を予め照射しても良い。
【0045】
(第3の実施形態の変形例)
第3の実施形態の変形例として、プリアンプ12内の増幅器12aのみに所定の積算放射線量を予め照射しても良い。増幅器12aがOPアンプの場合、所定の積算放射線量とは、1kGy〜3kGyとなる。
【0046】
電子回路の内、放射線による出力の変動に大きく起因する素子は増幅器のため、予め増幅器12aに所定の積算放射線量を照射し、その後、検出器10に格納する。また、ハウジング部30の演算部31に予め所定の積算放射線量を照射してハウジング部30に格納してもよい。
【0047】
予め放射線を照射する方法として、たとえば100Gr/時間の放射線を検出器10に10時間〜30時間照射した後、85℃以上の環境下で熱処理(アニール処理)することにより、積算放射線量を1kGr〜3kGrとすればよい。
【0048】
第3の実施形態および変形例の水位測定装置は予め電子回路に放射線を照射し、熱処理をする。このため、電子回路の部品にダメージの無いよう、約85℃の環境下での熱処理としている。
【0049】
以上の製造方法により電子回路に放射線を照射して動作が安定したもののみを検出器10またはハウジング部30に組み込むことができる。
【0050】
また、プリアンプ12内の増幅器12aおよびハウジング部30内の演算部31にOPアンプを使用した場合、OPアンプはバイポーラトランジスタを使用する。当該バイポーラトランジスタの製造過程(プロセス過程)において所定の放射線をバイポーラトランジスタに照射した後、熱処理をしても良い。プロセス過程における熱処理については例えば、200〜600℃程度の環境下で行う。
【0051】
プリアンプ12内の増幅器12aやハウジング部30内の演算部31に予め所定の積算放射線量を照射し、演算部31が電圧値についての出力変動率分を補正して水位を算出することで、正確な水位を測定することができる。
【0052】
以上により、本実施形態の水位測定装置は高い放射性物質が存在する環境にて、放射線を受けることによる電子回路の出力変動を抑制し、精度よく水位を測定することができる。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、そのほかの様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
10‥‥検出器、
10a‥‥配置部、
10b‥‥開口部、
11‥‥差圧センサ、
11a‥‥接液ダイヤフラム、
11b‥‥封入液、
12‥‥プリアンプ、
12a‥‥増幅器、
12b‥‥OPアンプ、
20‥‥ケーブル、
21‥‥中空ケーブル、
22‥‥信号ケーブル、
22a‥‥導電部、
30‥‥ハウジング部、
31‥‥演算部、
32‥‥表示部、
40‥‥水面。
図1
図2
図3
図4
図5