(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6833430
(24)【登録日】2021年2月5日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】固体撮像素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20210215BHJP
H01L 21/266 20060101ALI20210215BHJP
H01L 21/265 20060101ALI20210215BHJP
H01L 21/76 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L27/146 D
H01L21/265 M
H01L21/265 F
H01L21/76 M
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-188537(P2016-188537)
(22)【出願日】2016年9月27日
(65)【公開番号】特開2018-56241(P2018-56241A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】391016358
【氏名又は名称】東芝情報システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100074147
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 崇
(72)【発明者】
【氏名】石川 通弘
【審査官】
柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−065139(JP,A)
【文献】
特開2013−211413(JP,A)
【文献】
特開2001−250931(JP,A)
【文献】
特開2012−142994(JP,A)
【文献】
特開2014−116472(JP,A)
【文献】
特開2011−176715(JP,A)
【文献】
特開2015−162658(JP,A)
【文献】
特開2013−084742(JP,A)
【文献】
特開2014−086462(JP,A)
【文献】
特開2003−255508(JP,A)
【文献】
特開2014−038937(JP,A)
【文献】
特開昭60−089940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 21/265
H01L 21/266
H01L 21/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面内に複数の画素がマトリックス状に配置された固体撮像素子の製造方法において、
前記複数の画素間を分離する素子分離領域部が平面において交差する平面形状が十字状の交差エリアに対し、前記交差エリアに臨む前記画素における4つの角部の近傍から前記交差エリアの方向へ広がる4つの狭小領域を設けることにより、前記十字状の交差エリアを狭くし、
前記十字状の交差エリアが狭くなったエリアにイオン注入エリアを設定してイオン注入を行うことを特徴とする固体撮像素子の製造方法。
【請求項2】
複数の交差エリアに対し、それぞれ個別にイオン注入エリアの広さを設定してイオン注入を行うことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子の製造方法。
【請求項3】
前記交差エリアより狭い、前記交差エリアに対応するイオン注入のための開口部を有するレジストパターンを用いてイオン注入を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の固体撮像素子の製造方法。
【請求項4】
固体撮像素子は、1つのマイクロレンズと、前記1つのマイクロレンズの背後に配置された第1の画素と第2の画素を1組含んで構成される画素ペアである像面位相差画素が、平面において縦方向と横方向に複数隣接して配置された固体撮像素子であることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、平面内に複数の画素がマトリックス状に配置された固体撮像素子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、
図1〜
図3に示すように、1つのマイクロレンズ11と、上記1つのマイクロレンズ11の背後に配置された第1の画素12Lと第2の画素12Rを1組含んで構成される画素ペア12である像面位相差画素を、複数備える固体撮像素子が知られている。この像面位相差画素とマイクロレンズ11とが、平面において縦方向と横方向に複数隣接して配置される。つまり、平面内に複数の画素がマトリックス状に配置された固体撮像素子である。
【0003】
図1、
図2においては、縦方向に隣接する2つの画素ペア12を示している。全ての画素ペア12の第1の画素12Lと第2の画素12Rは、例えば、撮像処理前のAF(オートフォーカス)処理の際には像面位相差画素として用いられ、撮像処理の際には同じく全ての画素ペア12の第1の画素12Lと第2の画素12Rが撮像素子として用いられる。
【0004】
1つのマイクロレンズ11と1組の第1の画素12Lと第2の画素12Rとの間には、平坦化層14が設けられている。平坦化層14内の上側の位置には、1組の第1の画素12Lと第2の画素12Rの表面領域を覆う大きさのカラーフィルタ15が介装されている。即ち、上記1つのマイクロレンズ11と上記1組の第1の画素12Lと第2の画素12Rとの間に、1つのカラーフィルタが介装されている。
【0005】
各画素ペア12のカラーフィルタ15の色は、全画素ペアについて公知のようにベイヤー配列とすることができる。平面の上記画素ペア12の周縁部を囲繞するように周縁部遮光膜16が配置されている。この周縁部遮光膜16は、例えばいずれの位置においても同一幅に形成されている。
【0006】
図4には、固体撮像素子において、平面の上記画素ペア12が縦に2ペア配列され、横に2ペア配列され、合計4ペアの部分が抜き出されて描かれている。この
図4では、マイクロレンズ11と周縁部遮光膜16を取り去った状態を示している。素子分離領域部13の領域に対しイオン注入を行って固体撮像素子が製造される。
【0007】
イオン注入において、広いイオン注入エリアと狭いイオン注入エリアとを比べると、一般的に、狭いイオン注入エリアの方が広いイオン注入エリアに比べて不純物濃度が薄くなることが知られている。これは半導体基板を構成している原子にイオンが衝突し、一定の広がりを持って注入されるからである。そのため、イオン注入領域の幅が狭くなるほど交差するイオン注入領域と他のイオン注入領域の濃度差は大きくなる。
【0008】
図4の固体撮像素子の例において、素子分離領域部13の平面において素子分離領域部13が交差する広いイオン注入エリアを円Xで示す。これに対し、直線帯状に素子分離領域部13が延びている部分の狭いイオン注入エリアを円Yで示す。
【0009】
図5に、イオン注入を行った場合の
図4に示した部分に関する不純物濃度の濃淡分布をシミュレーションした結果を示す。素子分離領域部13において、濃い色で示されている部分の不純物濃度が濃く表されている。明らかに、素子分離領域部13の広いイオン注入エリア円Xの不純物濃度が濃くなることが判る。また、交差エリアの濃度xと交差エリア以外の濃度yの比(相対値)をx/yとし、素子分離領域部13の幅(交差点以外の位置の幅)を3段階で変化させたときの上記x/yの変化を
図6のグラフに示す。素子分離領域部13の幅が狭いほど、比x/yの値も大きくなることが判る。
【0010】
従って、上記
図4の固体撮像素子において、直線帯状の素子分離領域部13の部分で所定の素子分離効果が得られるように不純物濃度の設定を行ってイオン注入を行うと、交差エリアにおいて不純物濃度が必要以上に濃くなってしまう。このため、交差エリア近傍の無電界領域が設計値よりも広くなる。この結果、1つの画素ペア12の素子分離領域部13へ入射した光によって生成された電子は隣接する他方の画素ペア12に到達し、クロストーク(混色)が生じるという問題がある。
【0011】
混色の防止という観点からなされた発明が特許文献1に開示されている。この発明では、チャネルストップ部20、50は、複数回の不純物イオン注入工程によって形成されており、半導体基板100の深さ方向(バルク深さ方向)に4層の不純物領域20A、20B、20C、20D及び不純物領域50A、50B、50C、50Dを形成することにより、半導体基板100の深い領域までP型領域を設け、不正な電荷の移動を防止する。
【0012】
また、チャネルストップ部70の4層構造の不純物領域70A、70B、70C、70Dは、半導体基板100の深さ方向に徐々に幅の狭い不純物領域とすることにより、半導体基板100の深部では、チャネルストップ部70のP型不純物の拡散によって受光部の電荷蓄積領域が小さくなるのを回避する、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2004−165462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記のような従来の固体撮像素子の製造方法によっては、固体撮像素子において、直線帯状の素子分離領域部の部分で所定の素子分離効果が得られるように不純物濃度の設定を行ってイオン注入を行うと、交差エリアにおいて不純物濃度が必要以上に濃くなってしまうという問題は解決することができなかった。また、逆に、交差エリアにおいて所定の素子分離効果が得られるように不純物濃度の設定を行ってイオン注入を行うと、直線帯状の素子分離領域部の部分で不純物濃度が必要以上に薄くなってしまうという問題は解決することができなかった。
【0015】
本発明は、上記のような固体撮像素子の製造方法が有している問題点を解決せんとしてなされたもので、その目的は、直線帯状の素子分離領域部の部分と交差エリアにおいてそれぞれ適切な不純物濃度の値を設定することが可能な固体撮像素子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る固体撮像素子の製造方法は、平面内に複数の画素がマトリックス状に配置された固体撮像素子の製造方法において、前記複数の画素間を分離する素子分離領域部が平面において交差する
平面形状が十字状の交差エリアに対し、前記交差エリアに臨む前記画素における4つの角部の近傍から前記交差エリアの方向へ広がる4つの狭小領域を設けることにより、前記十字状の交差エリアを狭くし、前記十字状の交差エリアが狭くなったエリアにイオン注入エリアを設定してイオン注入を行うことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る固体撮像素子の製造方法では、複数の交差エリアに対し、それぞれ個別にイオン注入エリアの広さを設定してイオン注入を行うことを特徴とする。
【0018】
本発明に係る固体撮像素子の製造方法では、前記交差エリアより狭い、前記交差エリアに対応するイオン注入のための開口部を有するレジストパターンを用いてイオン注入を行うことを特徴とする。
【0019】
本発明に係る固体撮像素子の製造方法では、固体撮像素子は、1つのマイクロレンズと、前記1つのマイクロレンズの背後に配置された第1の画素と第2の画素を1組含んで構成される画素ペアである像面位相差画素が、平面において縦方向と横方向に複数隣接して配置された固体撮像素子であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複数の画素間を分離する素子分離領域部が平面において交差する交差エリアに対し、前記交差エリアより狭いイオン注入エリアを設定してイオン注入を行うので、実際の広さより狭いエリアへのイオン注入となり、直線帯状の素子分離領域部の部分と交差エリアにおいてそれぞれ適切な不純物濃度の値を設定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る固体撮像素子の平面図。
【
図4】本発明の実施形態に係る固体撮像素子の平面図であり、画素ペアが縦に2ペアで横に2ペア配置された部分を示す平面図。
【
図5】従来の固体撮像素子の
図4に示した部分に関する不純物濃度の濃淡分布をシミュレーションした結果を示す図。
【
図6】従来の固体撮像素子の素子分離領域部の幅を3段階で変化させたときの、交差エリアの濃度xと交差エリア以外の濃度yの比を示す図。
【
図7】本発明の実施形態に係る固体撮像素子の製造方法の第1の実施形態と、これに用いるレジストパターンの平面図。
【
図8】本発明の実施形態に係る固体撮像素子の製造方法におけるイオン注入工程を示すフローチャート。
【
図9】本発明に係る実施形態の製造方法により製造した固体撮像素子の
図4に示した部分に関する不純物濃度の濃淡分布をシミュレーションした結果を示す図。
【
図10】本発明に係る第1の実施形態の製造方法により、イオン注入エリアの広さを設定するパラメータを3段階で変化させたときの、交差エリアの濃度xと交差エリア以外の濃度yの比を示す図。
【
図11】本発明の実施形態に係る固体撮像素子の製造方法の第2の実施形態と、これに用いるレジストパターンの平面図。
【
図12】本発明の実施形態に係る固体撮像素子の製造方法の第3の実施形態と、これに用いるレジストパターンの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明に係る固体撮像素子の製造方法の実施形態を説明する。各図において同一の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。本発明の実施形態に係る製造方法によって作成された固体撮像素子は、外見上は
図1から
図4に示した従来例の固体撮像素子と変わらないので、これらの図を用いて構成を説明する。本発明の実施形態に係る製造方法によって作成された固体撮像素子は、1つのマイクロレンズ11と、上記1つのマイクロレンズ11の背後に配置された第1の画素12Lと第2の画素12Rを1組含んで構成される画素ペア12である像面位相差画素を、複数備える。
【0023】
この画素ペア12とマイクロレンズ11とが、平面において縦方向と横方向に複数隣接して配置される。つまり、平面内に複数の画素がマトリックス状に配置された固体撮像素子である。
【0024】
図1〜
図3においては、縦方向に隣接する2つの画素ペア12を示している。全ての画素ペア12の第1の画素12Lと第2の画素12Rは、例えば、撮像処理前のAF処理の際には像面位相差画素として用いられ、撮像処理の際には同じく全ての画素ペア12の第1の画素12Lと第2の画素12Rが撮像素子として用いられる。
【0025】
1組の第1の画素12Lと第2の画素12Rは、それぞれ、その底部と側壁部に素子分離領域部13が設けられている。1組の第1の画素12Lと第2の画素12Rの上面と素子分離領域部13の上面は例えば同じ高さとされている。
【0026】
1つのマイクロレンズ11と1組の第1の画素12Lと第2の画素12Rとの間には、平坦化層14が設けられている。平坦化層14内の上側の位置には、1組の第1の画素12Lと第2の画素12Rの表面領域を覆う大きさのカラーフィルタ15が介装されている。即ち、上記1つのマイクロレンズ11と上記1組の第1の画素12Lと第2の画素12Rとの間に、1つのカラーフィルタが介装されている。
【0027】
各画素ペア12のカラーフィルタ15の色は、例えば赤色、緑色、青色であり、全画素ペアについて公知のようにベイヤー配列とすることができる。平面の上記画素ペア12の周縁部を囲繞するように周縁部遮光膜16が配置されている。この周縁部遮光膜16は、例えばいずれの位置においても同一幅に形成されている。
【0028】
図4には、固体撮像素子において、平面の上記画素ペア12が縦に2ペア配列され、横に2ペア配列され、合計4ペアの部分が抜き出されて描かれている。この
図4では、マイクロレンズ11と周縁部遮光膜16を取り去った状態を示している。素子分離領域部13の領域に対しイオン注入を行って固体撮像素子が製造される。
【0029】
本発明の実施形態に係る固体撮像素子の製造方法は、平面内に複数の画素がマトリックス状に配置された固体撮像素子(
図1から
図4に示した固体撮像素子)の製造方法である。本発明の実施形態に係る製造方法は、上記複数の画素間を分離する素子分離領域部13が平面において交差する交差エリアE(
図7(a)のハッチングのエリア)に対し、上記交差エリアEより狭いイオン注入エリアを設定してイオン注入を行うものである。
【0030】
次に、第1の実施形態を示す。
図7(b)に、第1の実施形態のイオン注入エリア設定の手法を示す。この実施形態では、交差エリアEより狭いイオン注入エリアをL字領域21を用いて設定する。交差エリアEは2つの画素12Lの角と2つの画素12Rの角により規定されるため、この4つの角に、交差エリアEを狭く設定するL字領域21を設ける。L字領域21は、その内側の角から横方向及び縦方向の長さLと、その幅Wにより規定される。本実施形態では、L字領域21の横方向及び縦方向の長さを同じに設定したが、異なる長さであっても良い。
【0031】
L字領域21は、交差エリアEより狭いイオン注入エリアを設定するための設計に用いるもので、このL字領域21によりイオン注入エリアが決定されると、これに応じて
図7(c)に示すようなレジストパターン20を作成し、これを用いてイオン注入を行う。
【0032】
イオン注入を行う工程のフローチャートを
図8に示す。上記のようにイオン注入エリアを決定してレジストパターンニングを行う(S11)。次にレジストパターンニングされたレジストパターンを用いてイオン注入を行う(S12)。イオン注入が終了するとレジストパターンを剥離する(S13)。
【0033】
図9にイオン注入を行った場合の不純物濃度の濃淡分布を、シミュレーションした結果を示す。素子分離領域部13においては、不純物濃度が濃い部分の色を濃い色で表示したものである。明らかに、素子分離領域部13の平面において交差する交差エリアEにおいても素子分離領域部13の他のエリアにおいても、同程度の濃さで表示されており、交差エリアEにおいて不純物濃度が濃くなるという不具合を解消できたことが判る。
【0034】
また、交差エリアEの濃度xと交差エリア以外の濃度yの比(相対値)をx/yとし、L字領域21の幅Wを3段階で変化させたときの上記x/yの変化を
図10のグラフに示す。
図10のグラフにおいては、L字領域21の幅Wを「補正量1」、「補正量2」、「補正量3」と表記している。L字領域21の幅Wが広いほど、比x/yの値が1に近付いている。従って、L字領域21の幅Wを適宜変更することによって、交差エリアの濃度を変更して所望の値とすることができるものである。
【0035】
次に、第2の実施形態を示す。
図11(a)に、第2の実施形態のイオン注入エリア設定の手法を示す。この実施形態では、交差エリアEより狭いイオン注入エリアを三角形領域31により設定する。交差エリアEは2つの画素12Lの角と2つの画素12Rの角により規定されるため、この4つの角に、三角形の例えば重心を合わせて、交差点の中心点に対して点対称に配置し、三角形の大きさ(面積)を変化させて交差エリアEを狭く設定する。
図11(a)に示す三角形領域31は二等辺三角形の領域であり、二角の角度で決められている三角形の面積を適宜調整し、イオン注入エリアを規定することにより、交差エリアEの濃度を適宜に調整する。三角形領域31の面積調整は、4つの三角形領域31が共に同じ面積となるように調整する。
【0036】
この三角形領域31によりイオン注入エリアが決定されると、これに応じた
図11(b)に示すようなレジストパターン30を作成し、これを用いてイオン注入を行う。この第2の実施形態では、二等辺三角形による三角形領域31としたが、正三角形など他の三角形であっても良い。また、三角形領域31は、多角形領域であっても良いし、円や楕円の領域であっても良い。
【0037】
次に、第3の実施形態を示す。
図12(a)に、第3の実施形態のイオン注入エリア設定の手法を示す。この実施形態では、交差エリアEより狭いイオン注入エリアを交差点図形領域41により設定する。交差エリアEは交差点の中心点により規定されるため、この中心点に、図形の例えば重心を合わせて、図形の大きさ(面積)を変化させて交差エリアEを狭く設定する。
図12(a)に示す交差点図形領域41は正四角形であり、一辺の長さが決められるものとする。一辺の長さを変更して正四角形の面積を適宜調整し、イオン注入エリアを規定する。これにより交差エリアの濃度を適宜に調整する。
【0038】
この交差点図形領域41によりイオン注入エリアが決定されると、これに応じた
図12(b)に示すようなレジストパターン40を作成し、これを用いてイオン注入を行う。この第3の実施形態では、正四角形による交差点図形領域41としたが、他の図形であっても良い。但し、交差点の中心点を点対称の中心として左右上下の面積が変更される図形が好適であり、この例として円や正八角形の領域を挙げることができる。
【0039】
以上の如くの本発明の第1の実施形態に示したレジストパターン20と、第2の実施形態に示したレジストパターン30、第3の実施形態に示したレジストパターン40のいずれかを用いてイオン注入を行うことにより、直線帯状の素子分離領域部の部分と交差エリアにおいてそれぞれ適切な不純物濃度の値を設定することが可能となる。なお、上記のレジストパターン20、30、40では、図において、交差エリアEの付近の白抜きされたエリアが、交差エリアEより狭い、上記交差エリアに対応するイオン注入のための開口部を示している。
【0040】
上記では、固体撮像素子の全ての複数の交差エリアに対し、交差エリアより狭い同じ広さのイオン注入エリアを設定したが、固体撮像素子の全ての複数の交差エリアに対し、それぞれ個別にイオン注入エリアの広さを設定してイオン注入を行うようにしても良い。例えば、隣接する画素ペア12のカラーフィルタの色の組合せが同じ場合には同じ広さとし、隣接する画素ペア12のカラーフィルタの色の組合せが同じ場合には異なる広さとする。これはカラーフィルタの色により侵入する光のエネルギーが異なるためである。このため、入射した光によって電子が生成された場合、この電子が隣接する他方の画素ペア12に到達しないように不純物濃度を制御すればよく、このような素子分離領域部13を得るようにする。
【符号の説明】
【0041】
11 マイクロレンズ
12 画素ペア
12L 第1の画素
12R 第2の画素
15 カラーフィルタ
16 周縁部遮光膜
20 レジストパターン
21 L字領域
30 レジストパターン
31 三角形領域
40 レジストパターン
41 交差点図形領域