(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
配達対象物の搬送方向を変換させる方向変換経路を有する搬送路を備えた搬送部と、前記配達対象物を両側から挟み込んで前記搬送路に沿って搬送する少なくとも一対の搬送ベルトと、前記搬送ベルトを駆動させる駆動部と、を有する搬送機構と、
前記搬送機構によって搬送された配達対象物が集積される複数の集積部と、を備え、
前記一対の搬送ベルトの一方は前記方向変換経路に設けられた内周搬送ベルトであり、
他方は前記内周搬送ベルトより伸びが大きくかつ前記内周搬送ベルトの外周面に対向する外周搬送ベルトであり、
前記方向変換経路は、前記配達対象物に接して前記搬送方向と交差する軸の周りに回転可能な1または複数の回転支持体を有する、配達物処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の配達物処理装置を、図面を参照して説明する。
【0008】
まず、
図1および
図2を参照して、実施形態の配達物処理装置1の全体構成を説明する。
図1は、実施形態の配達物処理装置1の構成の概略を示す平面図である。
図2は、区分前処理部の構成の概略を示す図である。
図1および
図2に示すように、配達物処理装置1は、封書等の配達対象物Sに記載・貼り付け等された宛先を認識し、その宛先に応じたスタッカに配達対象物Sを区分集積する装置である。配達物処理装置1は、例えば郵便局等に設置される郵便物処理区分機である。
【0009】
以下の説明においては、XY座標系を用いることがある。X方向は配達物処理装置1の長さ方向(
図1における左右方向)である。Y方向は搬送路2の表面においてX方向と直交する方向であり、配達物処理装置1の幅方向(
図1における上下方向)である。平面視とは、XY平面に垂直な方向から見ることをいう。
図1においては、X方向のうち一方向(右方向)を+X方向といい、その反対方向を−X方向という。Y方向のうち一方向(上方向)を+Y方向といい、その反対方向を−Y方向という。
【0010】
図1に示すように、配達物処理装置1は、例えば、搬送機構20と、区分部70とを備える。区分部70は、複数のスタッカ71(集積部)を有する。スタッカ71の数は2以上の任意の数であってよい。
スタッカ71は、搬送台3の一方の外側方(+Y方向)に設けられた複数の一方側スタッカ71A(一方側集積部)と、搬送台3の他方の外側方(−Y方向)に設けられた複数の他方側スタッカ71B(他方側集積部)と、を有する。
複数の一方側スタッカ71A、および複数の他方側スタッカ71Bは、それぞれ搬送機構20の長さ方向(X方向)に並んで設けられている。
【0011】
図1および
図2に示すように、搬送機構20は、区分前処理部10と、搬送路2を有する搬送台3と、搬送ベルト4(
図3等を参照)と、支持プーリ5(
図3等を参照)と、駆動部6と、制御部7とを備えている。
【0012】
区分前処理部10は、例えば、供給部11と、整位部12と、搬送可否判定部13と、排除集積部14と、読取り部15と、VC(Video Coding)依頼部16と、IJP17(Ink Jet Printer)と、ギャップ補正部18(
図1等を参照)とを備える。
供給部11では、複数の配達対象物Sが1つずつ取り出される。整位部12では、例えば配達対象物Sの下端の位置が揃えられる。
【0013】
搬送可否判定部13では、配達対象物Sのサイズ、姿勢、複数枚重ね、異物・金属の有無などが検知される。配達対象物Sのサイズ、厚みなどが規定外である場合、配達対象物Sが複数枚重ねとなっている場合、配達対象物Sに異物等が含まれている場合、配達対象物Sの姿勢が規定外である場合などには、その配達対象物Sは搬送不可と判定されて排除集積部14に送られる。それ以外の配達対象物Sはそのまま通過する。
【0014】
読取り部15は、配達対象物Sを撮像するカメラ(ラインセンサ)を備えている。読取り部15は、配達対象物Sに表示されたバーコード(仕分けバーコード等)を読み取ることができる。読取り部15はOCR(Optical Character Recognition)処理部としても機能し、カメラによって撮像された画像に対してOCR処理を行って、配達対象物Sの郵便番号、宛先、差出人等の情報を読み取る。
【0015】
図2に示すように、VC依頼部16は、読取り部15によって情報の一部または全部が読み取れなかった配達対象物Sの画像(読取り不能画像)を、ネットワークNWを介してVC端末90に送信し、VC端末90から配達対象物Sに関する情報(例えば郵便番号や宛先)を受信する。
VC端末90では、配達物処理装置1から受信した画像をオペレータに表示し、オペレータにより入力された情報を配達物処理装置1に返信する。この画像を表示して入力を受け付ける処理を、VC処理と称する。
VC依頼部16は、読取り不能画像をVC端末90に送信する情報送信部としての機能と、読取り不能画像に関する情報(オペレータにより入力された情報)をVC端末90から受信する情報受信部としての機能を有する。
【0016】
IJP17(印刷部)は、読取り部15またはVC依頼部16によって取得された配達対象物Sの情報をエンコードしたオブジェクトを、ステルスバーコードとして配達対象物Sに印刷する。印刷されたステルスバーコードは、IJP17に付設されたバーコード読取部19(
図1参照)によって読み取られ、ベリファイ処理が行われる。
図1に示すギャップ補正部18は、配達対象物Sの搬送速度を調整することにより、複数の配達対象物Sの間のギャップを適切な範囲に補正する。
【0017】
図1に示すように、搬送台3(搬送部)は、第1延在部21と、中間連結部22と、第2延在部23とを有する。
第1延在部21と第2延在部23とは、それぞれ平面視においてX方向に沿って直線状に延在している。第1延在部21と第2延在部23とは間隔をおいて並行配置されている。中間連結部22は、第1延在部21の一方の端部21a(+X方向の端部)と、第2延在部23の一方の端部23a(+X方向の端部)との間に設けられている。
【0018】
搬送路2は、搬送台3の上面にあって、配達対象物Sをスタッカ71に向けて搬送する経路である。
搬送路2は、平面視においてU字状の第1搬送経路31(内側搬送経路)と、中間方向変換経路32と、平面視においてU字状の第2搬送経路33(外側搬送経路)とを有する。配達対象物Sが搬送される方向を搬送方向D1という。
【0019】
第1搬送経路31は、搬送方向D1の順に、一方側部分経路34と、第1方向変換経路35と、中間経路36と、第2方向変換経路37と、他方側部分経路38と、を有する。
一方側部分経路34は、第1延在部21の上板24に、概略、第1延在部21の長さ方向(X方向)に沿って形成されている。一方側部分経路34は、供給部11から、整位部12、搬送可否判定部13、読取り部15、VC依頼部16を経て第1延在部21の端部21aに向けて延びる。
【0020】
図3〜
図17を参照して、搬送機構20について説明する。
図3は、搬送機構20の構成の一部を示す平面図である。
図4は、搬送機構20の構成の一部を示す斜視図である。
図5は、第2方向変換経路37の構成を示す斜視図であり、
図3のI部分(
図4のII部分)を示す図である。
図6は、移送コロ40を示す斜視図である。
図7は、第2方向変換経路37の構成を模式的に示す平面図であり、
図3のI部分を示す図である。
【0021】
図3に示すように、第1方向変換経路35は、第1延在部21の上板24に、平面視において湾曲して形成されている。第1方向変換経路35は、例えば平面視において例えば4分の1円に相当する円弧状とされている。第1方向変換経路35は、一方側部分経路34における配達対象物Sの搬送方向(+X方向)を、−Y方向に変換することができる。
【0022】
中間経路36は、中間連結部22の上板25に、中間連結部22の長さ方向(Y方向)に沿って形成されている。
【0023】
第2方向変換経路37は、第2延在部23の上板26に、平面視において湾曲して形成されている。第2方向変換経路37は、例えば平面視において例えば4分の1円に相当する円弧状とされている。第2方向変換経路37は、中間経路36における配達対象物Sの搬送方向(−Y方向)を、−X方向に変換することができる。
【0024】
第1方向変換経路35および第2方向変換経路37は、それぞれ複数の移送コロ40(回転支持体)を有する。
以下、第2方向変換経路37を例として、
図4〜
図11を参照して、移送コロ40を有する方向変換経路の構成について詳しく説明する。
図4および
図5に示すように、第2方向変換経路37は、上板26に形成された開口部28に設けられた複数の移送コロ40からなる。
【0025】
図6に示すように、移送コロ40は、中心軸部41(中心軸、軸)と、胴部42とを有する。
胴部42は、例えば円筒状に形成され、中心軸部41に支持されている。胴部42は、胴部42の周方向(中心軸部41の軸周り方向)に回転自在とされている。胴部42は、少なくとも外周面42bが金属(例えばステンレス鋼)からなることが好ましい。これによって、配達対象物Sとの接触による外周面42bの摩耗を抑制できる。
移送コロ40は、少なくとも一部が高分子材料(例えばポリアセタール、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂)で構成されていてもよい。例えば、胴部42の少なくとも一部が前記高分子材料で構成されていてもよい。これによって、胴部42が軽量となるため、移送コロ40は回転しやすくなる。そのため、配達対象物Sと移送コロ40との間の摩擦を低減できる。
【0026】
中心軸部41は、胴部42の中心軸に沿って設けられている。中心軸部41の端部41a,41aは、それぞれ胴部42の端部42a,42aから胴部42の中心軸方向に沿って外方(胴部42から離れる方向)に突出している。
【0027】
図5および
図7に示すように、開口部28は、平面視において湾曲する形状、例えば4分の1円に相当する円弧状とされている。開口部28の一端28aにおける接線方向は中間経路36の方向(Y方向)と一致し、開口部28の他端28bにおける接線方向は他方側部分経路38の方向(X方向)と一致する。
【0028】
図5に示すように、複数の移送コロ40は、開口部28の長さ方向に並んで設けられている。移送コロ40は、例えば開口部28の長さ方向に間隔をおいて配置される。移送コロ40の中心軸部41の方向は、例えばXY平面内において開口部28の長さ方向に直交する方向(円弧状の開口部28の径方向)である。
移送コロ40の中心軸部41の端部41a,41aは、それぞれ開口部28の内周縁部28cおよび外周縁部28dに支持されている。胴部42は、平面視において開口部28内に位置し、中心軸部41周りに回転自在となっている(
図6参照)。開口部28の延在方向は、配達対象物Sの搬送方向D1と同じ方向である。
【0029】
第2方向変換経路37は、開口部28の長さ方向に並ぶ複数の移送コロ40を有するため、複数の移送コロ40によって配達対象物Sを安定的に支持しつつ搬送することができる。
なお、移送コロ40の中心軸部41の方向は開口部28の長さ方向に直交する方向に限らず、開口部28の長さ方向(搬送方向D1)に交差する方向であればよい。また、1つの方向変換経路を構成する移送コロ40の数は複数に限らず、1でもよい。
【0030】
図8は、第2方向変換経路37の構成を模式的に示す側面図である。
図9は、第2方向変換経路37の一部の構成を模式的に示す側面図である。
図8および
図9における上方は、XY平面に直交する方向であって上板26から離れる方向であり、高さ方向である。
図8および
図9に示すように、他方側部分経路38のうち、第2方向変換経路37の搬送方向D1の下流側に連設された部分38A(摺動経路)は、例えば配達対象物Sが摺動可能な摺動面38aを有する。
図9に示すように、第2方向変換経路37を構成する移送コロ40のうち最も搬送方向D1の下流側の移送コロ40Bの最上部40Baは、摺動面38aに対して高い位置にあることが好ましい。移送コロ40Bの最上部40Baと摺動面38aとの高低差H1は、例えば0.5mm以上である。
図9および
図10に示すように、移送コロ40Bの最上部40Baが摺動面38aに対して高い位置にあると、配達対象物Sは摺動面38aに対して高い位置から摺動面38aに移る。そのため、開口部28の他端28bに配達対象物Sが引っ掛かるなどの不都合が起こらず、移送コロ40Bから摺動面38aへの配達対象物Sの移行がスムーズになる。
なお、移送コロ40の最上部とは、搬送路2の表面(水平面)に対して最も高い位置にある部分である。
【0031】
図11に示すように、中間経路36のうち第2方向変換経路37の搬送方向D1の上流側に連設された部分36Aは、例えば配達対象物Sが摺動可能な摺動面36aを有する。
第2方向変換経路37を構成する移送コロ40のうち最も搬送方向D1の上流側の移送コロ40Aの最上部40Aaは、摺動面36aと同じ高さにあるか、または摺動面36aより低い位置にあることが好ましい。これによって、摺動面36aから移送コロ40Aへの配達対象物Sの移行がスムーズになる。
【0032】
図3に示すように、第1方向変換経路35は、第2方向変換経路37と同様に、上板24に形成された開口部27に設けられた複数の移送コロ40からなる。
開口部27は、平面視において湾曲する形状、例えば4分の1円に相当する円弧状とされている。開口部27の一端27aにおける接線方向は一方側部分経路34の方向(X方向)と一致し、開口部27の他端27bにおける接線方向は中間経路36の方向(Y方向)と一致する。
複数の移送コロ40は、開口部27の長さ方向に並んで設けられている。移送コロ40の中心軸部41の方向は、例えばXY平面内において開口部27の長さ方向に直交する方向(円弧状の開口部27の径方向)である。移送コロ40の胴部42は中心軸部41周りに回転自在となっている(
図6参照)。
【0033】
図1および
図3に示すように、他方側部分経路38は、第2延在部23の上板26に形成されている。他方側部分経路38は、第2方向変換経路37から、第2延在部23の他方の端部23b(−X方向の端部)に向けて延びる。
図1に示すように、他方側部分経路38は、搬送方向D1の順に、主経路44と、回避経路45とを有する。
主経路44は、平面視において第2延在部23の長さ方向(X方向)に沿う直線状に形成されている。
回避経路45は、搬送方向D1の順に、外方傾斜経路46と、中間経路47と、内方傾斜経路48とを有する。外方傾斜経路46は、平面視において搬送方向D1に向かって外側方(−Y方向)に傾斜している。中間経路47は、平面視において第2延在部23の長さ方向(X方向)に沿う直線状に形成されている。内方傾斜経路48は、平面視において搬送方向D1に向かって内側方(+Y方向)に傾斜している。
【0034】
IJP17およびバーコード読取部19は、中間経路47の内側方(+Y方向)寄りの位置に設けられている。中間経路47は、第2延在部23の幅方向(Y方向)の位置に関して、主経路44に比べて外側方(−Y方向)寄りに位置している。そのため、第2延在部23上に、IJP17およびバーコード読取部19のための十分な設置スペースが確保されている。
【0035】
一方側部分経路34のうちVC依頼部16より搬送方向D1の下流側の範囲と、第1方向変換経路35と、中間経路36と、第2方向変換経路37と、主経路44と、回避経路45のうちIJP17より搬送方向D1の上流側の範囲45Aとは、遅延搬送経路である。
遅延搬送経路は、VC端末90(
図2参照)におけるオペレータによる情報の入力(VC処理)のための時間を確保するための経路である。遅延搬送経路によりVC処理のための時間を確保することによって、区分情報を認識できなかった配達対象物Sを排除することなく処理し、装置の稼働率を向上させることができる。
【0036】
図13〜
図15に示すように、中間方向変換経路32は、第2延在部23の上板26に、平面視において湾曲して形成されている。中間方向変換経路32は、平面視において例えばほぼ半円に相当する円弧状とされている。中間方向変換経路32は、平面視において搬送方向D1が左回り方向となるように湾曲している。中間方向変換経路32は、他方側部分経路38における配達対象物Sの搬送方向を、+X方向に変換することができる。
【0037】
中間方向変換経路32は、第1方向変換経路35および第2方向変換経路37と同様に、複数の移送コロ40を有する。
図14および
図15に示すように、中間方向変換経路32は、上板26に形成された開口部49に設けられた複数の移送コロ40(
図6参照)からなる。
【0038】
開口部49は、平面視において湾曲する形状、例えばほぼ半円に相当する円弧状とされている。開口部49の一端49aにおける接線方向は内方傾斜経路48の方向と一致し、開口部49の他端49bにおける接線方向は直線経路51の方向(X方向)と一致する。
【0039】
複数の移送コロ40は、開口部49の長さ方向に並んで設けられている。移送コロ40は、例えば開口部49の長さ方向に間隔をおいて配置される。移送コロ40の中心軸部41の方向は、例えばXY平面内において開口部49の長さ方向に直交する方向(円弧状の開口部49の径方向)である。
図14に示すように、移送コロ40の中心軸部41の端部41a,41aは、それぞれ開口部49の内周縁部49cおよび外周縁部49dに支持されている。胴部42は、平面視において開口部49内に位置し、中心軸部41周りに回転自在となっている(
図6参照)。
なお、移送コロ40の中心軸部41の方向は開口部49の長さ方向に直交する方向に限らず、開口部49の長さ方向に交差する方向であればよい。
【0040】
中間方向変換経路32を構成する移送コロ40のうち最も搬送方向D1の下流側の移送コロ40の最上部は、搬送方向D1の下流側に連設された部分の第2搬送経路33の摺動面に対して高い位置にあることが好ましい(
図9参照)。最も搬送方向D1の下流側の移送コロ40の最上部と前記摺動面との高低差は、例えば0.5mm以上である。
これによって、開口部49の他端49bに配達対象物Sが引っ掛かるなどの不都合が起こらず、移送コロ40から前記摺動面への配達対象物Sの移行がスムーズになる。
【0041】
中間方向変換経路32を構成する移送コロ40のうち最も搬送方向D1の上流側の移送コロ40の最上部は、搬送方向D1の上流側に連設された部分の内方傾斜経路48の摺動面と同じ高さにあるか、または前記摺動面より低い位置にあることが好ましい(
図11参照)。これによって、前記摺動面から移送コロ40への配達対象物Sの移行がスムーズになる。
【0042】
図1に示すように、第2搬送経路33は、搬送方向D1の順に、他方側部分経路54と、第1方向変換経路55と、中間経路56と、第2方向変換経路57と、一方側部分経路58と、を有する。
他方側部分経路54は、第2延在部23の上板26に形成されている。他方側部分経路54は、中間方向変換経路32から、第2延在部23の端部23a(+X方向の端部)に向けて延びる。
他方側部分経路54は、搬送方向D1の順に、直線経路51と、内方傾斜経路52と、主経路53とを有する。他方側部分経路54は、第1搬送経路31の他方側部分経路38に対して外側方側(−Y方向側)に離間して位置する。
【0043】
直線経路51は、平面視において、概略、第2延在部23の長さ方向(X方向)に沿う直線状に形成されている。内方傾斜経路52は、平面視において搬送方向D1に向かって内側方(+Y方向)に傾斜している。主経路53は、平面視において第2延在部23の長さ方向(X方向)に沿う直線状に形成されている。
【0044】
図13に示すように、直線経路51の一部には、床面搬送ベルト59(床面搬送部)が設けられている。
図13および
図16に示すように、床面搬送ベルト59は、第2延在部23の長さ方向(X方向)に離れて設けられた一対のプーリ60,60(回転体)と、これらの間に架け渡された無端ベルト61とを有する。床面搬送ベルト59は、第2延在部23の上板26に形成された開口部62内に設けられている。
床面搬送ベルト59は、プーリ60を、モータ等の駆動部(図示略)によって回転させて駆動させることができる。床面搬送ベルト59の駆動速度は、搬送ベルト4の駆動速度と同じとすることができる。
【0045】
図17に示すように、直線経路51のうち床面搬送ベルト59の搬送方向D1の下流側に連設された部分の表面を摺動面51bとすると、無端ベルト61の搬送方向D1の下流側の端部の最上部59bは、搬送方向D1の下流側の直線流路51の摺動面51bに対して高い位置にあることが好ましい。最上部59bと摺動面51bとの高低差H2は、例えば0.5mm以上である。
床面搬送ベルト59の端部の最上部59bが摺動面51bに対して高い位置にあると、床面搬送ベルト59から摺動面51bへの配達対象物Sの移行がスムーズになる。
【0046】
図16に示すように、床面搬送ベルト59の搬送方向D1の上流側の端部の最上部59aは、搬送方向D1の上流側の摺動面51aと同じ高さにあるか、または摺動面51aより低い位置にあることが好ましい。これによって、摺動面51aから床面搬送ベルト59への配達対象物Sの移行がスムーズになる。
【0047】
床面搬送ベルト59が設けられた範囲の一部においては、搬送ベルト4の張力または支持プーリ5の位置を調整することによって、配達対象物Sを挟み込んで保持する際に配達対象物Sに加えられる押圧力を小さくすることができる。配達対象物Sに加えられる押圧力を小さくするには搬送ベルト4,4の離間距離を大きくしてもよい。
これによって、配達対象物Sを自重により下降させて床面搬送ベルト59に当接した状態とし、配達対象物Sの姿勢を正常化することができる。例えば下縁が上板26の表面に対して傾いた状態の矩形の配達対象物Sは、自重により下降して床面搬送ベルト59に当接した状態となると、下縁がXY平面に沿う水平姿勢となる。
【0048】
図1および
図13に示すように、回避経路45のうちIJP17より搬送方向D1の下流側の範囲45Bと、中間方向変換経路32と、他方側部分経路54のうち主経路53より搬送方向D1の上流側の範囲54Aとは、IJP17によって配達対象物Sに印刷されたステルスバーコードを乾燥させる乾燥用経路である。
この乾燥用経路によってバーコードを確実に乾燥させることによって、バーコードのかすれ、にじみ等は起こりにくくなる。そのため、配達対象物Sがスタッカ71に集積されたときに、他の配達対象物Sとの接触によりバーコードが判読しにくくなるのを防ぐことができる。
【0049】
主経路53は、第2延在部23の上板26に、第2延在部23の長さ方向(X方向)に沿って形成されている。主経路53は、第1搬送経路31の主経路44に対して外側方側(−Y方向側)に離間して位置する。主経路53は、第2延在部23の長さ方向(X方向)について、他方側スタッカ71Bが設けられた範囲に形成されている。
【0050】
図3、
図4および
図12に示すように、第1方向変換経路55は、第2延在部23の上板26に、平面視において湾曲して形成されている。第1方向変換経路55は、平面視において例えば4分の1円に相当する円弧状とされている。
第1方向変換経路55は、他方側部分経路54における配達対象物Sの搬送方向(+X方向)を、+Y方向に変換することができる。
【0051】
図3および
図12に示すように、第1方向変換経路55は、上板26に形成された開口部63に設けられた複数の移送コロ40からなる。
開口部63は、平面視において湾曲する形状、例えば4分の1円に相当する円弧状とされている。開口部63の一端63aにおける接線方向は一方側部分経路54の方向(X方向)と一致し、開口部63の他端63bにおける接線方向は中間経路56の方向(Y方向)と一致する。
複数の移送コロ40は、開口部63の長さ方向に並んで設けられている。移送コロ40の中心軸部41の方向は、例えばXY平面内において開口部63の長さ方向に直交する方向(円弧状の開口部63の径方向)である。
第1方向変換経路55は、第1搬送経路31の第2方向変換経路37に対して、外周側に離間して位置する。
【0052】
図3に示すように、中間経路56は、中間連結部22の上板25に、中間連結部22の長さ方向(Y方向)に沿って形成されている。
中間経路56は、第1搬送経路31の中間経路36に対して、外周側(+X方向側)に離間して位置する。
【0053】
第2方向変換経路57は、第1延在部21の上板24に、平面視において湾曲して形成されている。第2方向変換経路57は、平面視において例えば4分の1円に相当する円弧状とされている。
第2方向変換経路57は、中間経路56における配達対象物Sの搬送方向(+Y方向)を、−X方向に変換することができる。
【0054】
第2方向変換経路57は、上板24に形成された開口部64に設けられた複数の移送コロ40からなる。
開口部64は、平面視において湾曲する形状、例えば4分の1円に相当する円弧状とされている。開口部64の一端64aにおける接線方向は中間経路56の方向(Y方向)と一致し、開口部64の他端64bにおける接線方向は一方側部分経路58の方向(X方向)と一致する。
複数の移送コロ40は、開口部64の長さ方向に並んで設けられている。移送コロ40の中心軸部41の方向は、例えばXY平面内において開口部64の長さ方向に直交する方向(円弧状の開口部64の径方向)である。
第2方向変換経路57は、第1搬送経路31の第1方向変換経路35に対して、外周側に離間して位置する。
【0055】
図1に示すように、一方側部分経路58は、第1延在部21の上板24に、第1延在部21の長さ方向(X方向)に沿って形成されている。一方側部分経路58は、第2方向変換経路57から、第1延在部21の他方の端部21bに向けて延びる。
一方側部分経路58は、第1搬送経路31の一方側部分経路34に対して外側方側(+Y方向側)に離間して位置する。一方側部分経路58は、第1延在部21の長さ方向(X方向)について、一方側スタッカ71Aが設けられた範囲に形成されている。
【0056】
遅延搬送経路の一部である一方側部分経路34の一部および主経路44は、第2搬送経路33の内側(他方側部分経路54と一方側部分経路58との間)に設けられている。
【0057】
図4および
図7に示すように、搬送ベルト4は、少なくとも一対が、搬送路2に沿って配達対象物Sを搬送できるように搬送台3に設けられている。搬送ベルト4は、例えば無端ベルトであって、搬送台3(第1延在部21、中間連結部22、第2延在部23)に設けられた複数の支持プーリ5(ベルト支持体)に支持されている。
【0058】
図7には、搬送路2のうち第2方向変換経路37を含む範囲に設けられた一対の搬送ベルト4,4(内側搬送ベルト4Aおよび外側搬送ベルト4B)が示されている。内側搬送ベルト4A(内周搬送ベルト)は、第2方向変換経路37の内周側を通る搬送ベルト4であり、外側搬送ベルト4B(外周搬送ベルト)は、第2方向変換経路37の外周側を通る搬送ベルト4である。外側搬送ベルト4Bの一部は、中間経路36の一部および第2方向変換経路37において内側搬送ベルト4Aの外周面4Aaに対向する。内側搬送ベルト4Aと外側搬送ベルト4Bは、中間経路36の一部および第2方向変換経路37において配達対象物Sを両側から挟み込んで搬送することができる。
内側搬送ベルト4Aは、複数の支持プーリ5(5A〜5I)に支持されている。外側搬送ベルト4Bは、複数の支持プーリ5(5J〜5N)に支持されている。支持プーリ5は、例えば円柱状に形成されている。支持プーリ5は、例えば搬送台3に立設された支柱(例えば
図5および
図7に示す支柱5a)に軸回り回転自在に支持されている。支持プーリ5は、第2方向変換経路37の内周側から搬送ベルト4,4に当接することによって、第2方向変換経路37に沿う搬送ベルト4,4の移動経路を定める。
【0059】
図15には、搬送路2のうち中間方向変換経路32を含む範囲に設けられた一対の搬送ベルト4,4(内側搬送ベルト4Cおよび外側搬送ベルト4D)が示されている。内側搬送ベルト4Cは、中間方向変換経路32の内周側を通る搬送ベルト4であり、外側搬送ベルト4Dは、中間方向変換経路32の外周側を通る搬送ベルト4である。外側搬送ベルト4Dの一部は、中間方向変換経路32において内側搬送ベルト4Cの外周面4Caに対向する。内側搬送ベルト4Cと外側搬送ベルト4Dは、中間方向変換経路32において配達対象物Sを両側から挟み込んで搬送することができる。
内側搬送ベルト4Cと外側搬送ベルト4Dは、それぞれ複数の支持プーリ5に支持されている。
【0060】
搬送ベルト4(4A〜4D)は、例えばポリエステルなどの樹脂からなる。搬送ベルト4の表面には例えばポリウレタンなどの樹脂からなる被覆層が形成されていてもよい。
外側搬送ベルト4B,4Dの伸びは、内側搬送ベルト4A,4Cの伸びより大きいことが好ましい。外側搬送ベルト4B,4Dの伸びは、例えば2〜20%(例えば2.5〜7.5%)とすることができる。外側搬送ベルト4B,4Dの伸びは例えば5%であってよい。
内側搬送ベルト4A,4Cの伸びは、例えば0.1〜5%(例えば0.5〜2%)とすることができる。内側搬送ベルト4A,4Cの伸びは例えば1%であってよい。なお、伸びの指標としては、例えばJIS K 7161などがある。
【0061】
外側搬送ベルト4B,4Dの伸びが内側搬送ベルト4A,4Cの伸びより大きいと、配達対象物Sを挟み込んで保持する際に配達対象物Sに加えられる押圧力を小さくできる。
そのため、配達対象物Sが搬送路2の表面(上板24,25,26の表面)に押し付けられる力を軽減できる。また、配達対象物Sに加えられる押圧力が小さくなることで配達対象物Sの上方移動(搬送路2から離れる方向の移動)が容易になるため、搬送路2に凹凸があった場合でも、この凹凸により配達対象物Sに大きな力が加えられるのを回避できる。よって、配達対象物Sの破損を回避できる。
【0062】
外側搬送ベルト4B,4Dの伸長時の張力は、内側搬送ベルト4A,4Cの伸長時の張力より小さいことが好ましい。外側搬送ベルト4B,4Dの張力は、例えば5%伸長時に5〜50N(例えば10〜30N)とすることができる。外側搬送ベルト4B,4Dの張力は5%伸長時に例えば20Nであってよい。
内側搬送ベルト4A,4Cの張力は、例えば1%伸長時に50〜500N(例えば100〜200N)とすることができる。内側搬送ベルト4A,4Cの張力は1%伸長時に例えば160Nであってよい。
【0063】
搬送ベルト4(4A〜4D)の伸びは、例えば次のようにして確認できる。伸長していない状態の搬送ベルト4に、予め定められた長さ方向の間隔(例えば100mm)をおいた複数の目印線を引いておく。この搬送ベルト4を支持プーリ5に取り付け、その状態(伸長状態)で目印線の間隔を測定し、測定値に基づいて伸びを算出する。例えば伸長していない搬送ベルト4の目印線の間隔が100mmである場合、伸長状態の目印線の間隔が105mmであれば、搬送ベルト4が5%伸長されていることが確認できる。
【0064】
支持プーリ5の少なくとも一部は、モータ等の駆動部6(
図2参照)によって回転して搬送ベルト4(4A〜4D)を駆動させ、配達対象物Sを搬送方向D1に搬送することができる。
【0065】
図2に示すように、制御部7は、駆動部6の駆動量(例えばモータの回転速度)を制御し、例えば搬送ベルト4による配達対象物Sの搬送速度を任意に調整できる。例えば、配達対象物Sの搬送速度を、第1搬送速度と、第1搬送速度とは異なる第2搬送速度との間で切り替えできる。
【0066】
図4、
図5および
図14に示すように、第1延在部21、中間連結部22および第2延在部23には、搬送路2(第1搬送経路31、中間方向変換経路32、第2搬送経路33)に沿って複数の外ガイド板65および複数の内ガイド板66が設けられている。
外ガイド板65および内ガイド板66は、例えば樹脂、金属などからなる板体である。外ガイド板65および内ガイド板66は、例えばXY平面に対して垂直に形成されている。外ガイド板65および内ガイド板66は、第1延在部21、中間連結部22および第2延在部23の上板24,25,26に立設された複数の支柱67によって支持されている。
外ガイド板65および内ガイド板66は、例えば上板24,25,26から上方に離間した位置に設けられる。
図5に示すように、外ガイド板65および内ガイド板66は、上端が配達対象物Sより高い位置に達するように形成されていることが望ましい。
【0067】
外ガイド板65は、平面視において第1搬送経路31、中間方向変換経路32、第2搬送経路33から外周側に離間した位置に、概略、第1搬送経路31、中間方向変換経路32、第2搬送経路33に沿って設けられている。
内ガイド板66は、平面視において第1搬送経路31、中間方向変換経路32、第2搬送経路33から内周側に離間した位置に設けられている。内ガイド板66は、例えば第1搬送経路31、中間方向変換経路32、第2搬送経路33のうち、方向変換経路35,37,32,55,57を除く範囲に、概略、第1搬送経路31、中間方向変換経路32、第2搬送経路33に沿って設けられている。
外ガイド板65および内ガイド板66は、配達対象物Sの傾斜を規制し、その姿勢が乱れるのを防ぐことができる。
【0068】
次に、配達物処理装置1を用いて、配達対象物Sを処理する方法について説明する。
配達対象物Sは、例えばプラスチック(例えばポリエチレン)製の袋状の包装体で包装された紙葉類である。供給部11から供給された配達対象物Sは、第1搬送経路31、中間方向変換経路32、第2搬送経路33を通って搬送方向D1に搬送される。
配達対象物Sは、方向変換経路35,37,32,55,57を通る際には、移送コロ40の胴部42の外周面42bに当接して移送コロ40に支持されつつ搬送方向D1に移動する。この際、配達対象物Sは、移送コロ40の外周面42bの最上部にのみ接するため、配達対象物Sと外周面42bとの接触面積は小さくなる。移送コロ40は、配達対象物Sの移動に伴って中心軸部41の周りに回転してもよいし、しなくてもよい。
【0069】
配達対象物Sは、読取り部15またはVC依頼部16によって取得された情報に基づいて区分先が判定され、その区分先に該当するスタッカ71に導入される。例えば、該当するスタッカ71が他方側スタッカ71Bである場合には、配達対象物Sは、第2搬送経路33の主経路53から該当する他方側スタッカ71Bに導入される。該当するスタッカ71が一方側スタッカ71Aである場合には、配達対象物Sは、第2搬送経路33の一方側部分経路58から該当する一方側スタッカ71Aに導入される。
【0070】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、第1方向変換経路35、第2方向変換経路37、中間方向変換経路32、第1方向変換経路55、第2方向変換経路57が移送コロ40を持つことにより、配達対象物Sは、移送コロ40の胴部42の外周面42bに当接して移送コロ40に支持されつつ搬送方向D1に移動する。移送コロ40は配達対象物Sの移動に伴って中心軸部41の周りに回転可能であり、しかも配達対象物Sとの接触面積が小さいため、配達対象物Sに作用する摩擦力は小さくなる。
配達対象物Sの搬送方向が変化する方向変換経路では、遠心力による配達対象物Sの姿勢の変化等を原因として、搬送路面との間の摩擦力が配達対象物Sに局所的に作用しやすくなる。これに対して、配達物処理装置1では、配達対象物Sに作用する摩擦力を抑えることができるため、配達対象物Sの包装体が擦り切れて破損するのを防ぐことができる。よって、配達対象物Sの内容物が包装体の外に放出される事態を防ぐことができる。
【0071】
搬送ベルト4は、内側搬送ベルト4Aと、内側搬送ベルト4Aより伸びが大きい外側搬送ベルト4Bとを有するため、配達対象物Sを挟み込んで保持する際に配達対象物Sに加えられる押圧力を小さくできる。そのため、配達対象物Sが搬送路2の表面(上板24,25,26の表面)に押し付けられる力を軽減できる。また、搬送ベルト4による押圧力が小さくなるため、配達対象物Sの上方移動(搬送路2から離れる方向の移動)が容易になる。そのため、搬送路2に凹凸があった場合でも、この凹凸により配達対象物Sに大きな力が加えられるのを回避できる。よって、配達対象物Sの包装体の破損を回避できる。
【0072】
配達物処理装置1では、配達対象物Sに作用する摩擦力を抑えて破損を防ぐことができるため、重量が大きい配達対象物Sにも対応できる。よって、配達対象物Sの大きさ、種類などに関する制限が少なく、多様な配達対象物Sを処理することができる。例えば、大型の配達対象物を選り分けて別に処理する必要がなくなるため、作業の簡略化、および処理コストの低減を図ることができる。
【0073】
移送コロ40は円筒状であり、配達対象物Sに当接する胴部42の外周面42bは、回転軸である中心軸部41に沿う円筒面であるから、配達対象物Sを安定に支持できる。よって、配達対象物Sを安定的に処理することができる。
【0074】
制御部7は、駆動部6の駆動量(例えばモータの回転速度)を制御できるため、搬送ベルト4による配達対象物Sの搬送速度を任意に調整できる。そのため、配達対象物Sの搬送速度を低くすることができる。例えば、配達対象物Sの搬送速度を、従前に比べて約2分の1とすることができる。これによって、配達対象物Sに作用する摩擦力をさらに低くし、配達対象物Sの包装体が破損するのを防ぐことができる。
【0075】
さらに、配達物処理装置1では、第1搬送経路31の一部(一方側部分経路34の一部、第1方向変換経路35、中間経路36、第2方向変換経路37、主経路44、および回避経路45の一部範囲45A)は、VC端末90(
図2参照)におけるオペレータによる情報の入力(VC処理)のための時間を確保するための遅延搬送経路である。遅延搬送経路によりVC処理のための時間を確保することによって、区分情報を認識できなかった配達対象物Sを排除することなく処理し、装置の稼働率を向上させることができる。
【0076】
上記の通り、配達物処理装置1では、VC処理のための時間を確保するための遅延搬送経路を設けられるが、搬送経路が長くなるため配達物処理装置1の装置全体が大型化するという課題がある。
配達物処理装置1では、遅延搬送経路の一部(一方側部分経路34の一部および主経路44)は、第2搬送経路33の内側(他方側部分経路54と一方側部分経路58との間)に設けられているため、第2搬送経路33の内側のスペースを有効に利用することができる。そのため、遅延搬送経路のためのスペースを第2搬送経路33の外側に確保する場合に比べ、配達物処理装置1の小型化が可能となる。
【0077】
図18および
図19は、搬送機構の変形例を示す平面図である。
図18および
図19に示すように、第2方向変換経路37Aにおいて、内側搬送ベルト4Aは内周側が複数の支持プーリ5(5A〜5I)に当接して支持されている。
図19に示すように、支持プーリ5が当接する搬送ベルト4(内側搬送ベルト4A)の領域を当接領域81という。第2方向変換経路37Aの延在方向の位置を「経路方向位置」という。第2方向変換経路37Aの延在方向の位置は、例えば円弧状の第2方向変換経路37Aの周方向の位置である。
【0078】
図7に示す第2方向変換経路37の移送コロ40の一部は、支持プーリ5が当接する搬送ベルト4の領域と経路方向位置が重なる。すなわち、開口部28の一端28a側から1,4,7,10,13番目の移送コロ40Fの最上部の経路方向位置は、搬送ベルト4の当接領域の経路方向の範囲に含まれている。そのため、移送コロ40Fの最上部は、搬送ベルト4の当接領域と経路方向位置が重なっている。一方、それ以外の移送コロ40の最上部は、搬送ベルト4の当接領域と経路方向位置が重なっていない。
【0079】
図18および
図19に示す第2方向変換経路37Aは、
図7に示す移送コロ40のうち一部(
図18および
図19に仮想線で示す移送コロ40D)を省いた構成を有する。
第2方向変換経路37Aの移送コロ40C(
図18および
図19に実線で示す)は、
図7に示す第2方向変換経路37における、一端28a側から3,6,9,12番目の移送コロ40Gと同じ構成である。
【0080】
第2方向変換経路37Aは、経路方向位置が当接領域81と重なる移送コロ40(例えば
図7における一端28a側から1,4,7,10,13番目の移送コロ40F)を備えていない。そのため、第2方向変換経路37Aを構成する移送コロ40Cの最上部40Ca(
図19参照)の経路方向位置は、当接領域81の経路方向位置とは異なる。
【0081】
開口部28の端部(例えば一端28a)と移送コロ40Cとの距離が大きすぎる場合には、開口部28の端部と、それに最も近い移送コロ40Cとの間に、移送コロを追加して設置してもよい。
図18および
図19では、開口部28の一端28aに近い位置に移送コロ40Eが追加設置されている。これにより、配達対象物Sを複数箇所で支持し、配達対象物Sの姿勢を安定させることができるため、配達対象物Sが傾いて配達対象物Sの角部が移送コロ40Cに衝突するのを防ぐことができる。40Eaは移送コロ40Eの最上部であり、最上部40Eaの経路方向位置は、当接領域81の経路方向位置とは異なる。
【0082】
図18および
図19に示す搬送機構では、最上部Ca,Eaの経路方向位置が当接領域81の経路方向位置とは異なる移送コロ40C,40Eが用いられているため、配達対象物Sの破損(例えば包装体の破れ)が起こりにくい。この構成の搬送機構によって配達対象物Sの破損が起こりにくくなる理由については、次の推測が可能である。
支持プーリ5が内側搬送ベルト4Aに当接する箇所では、支持プーリ5によって配達対象物Sに厚さ方向の押圧力が加えられるが、
図18および
図19に示す搬送機構では、当接領域81と同じ経路方向位置に移送コロ40がないため、支持プーリ5からの力によって配達対象物Sが移送コロ40の最上部に強く押しつけられるのを回避できる。移送コロ40C,40Eの最上部Ca,Eaの経路方向位置は当接領域81の経路方向位置とは異なるため、移送コロ40C,40Eに対する配達対象物Sの押しつけ力は比較的小さくなる。そのため、配達対象物Sの破損(例えば包装体の破れ)は起こりにくくなる。
【0083】
図18および
図19に示す搬送機構では、移送コロ40(40C,40E)の数が少ないため、移送コロ40を回転しやすくし、配達対象物Sの搬送の際のエネルギーロスを低減することができる。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
なお、以下出願当初の特許請求の範囲を付記する。
[C1]
配達対象物の搬送方向を変換させる方向変換経路を有する搬送路を備えた搬送部と、前記配達対象物を両側から挟み込んで前記搬送路に沿って搬送する少なくとも一対の搬送ベルトと、前記搬送ベルトを駆動させる駆動部と、を有する搬送機構と、
前記搬送機構によって搬送された配達対象物が集積される複数の集積部と、を備え、
前記一対の搬送ベルトの一方は前記方向変換経路に設けられた内周搬送ベルトであり、他方は前記内周搬送ベルトより伸びが大きくかつ前記内周搬送ベルトの外周面に対向する外周搬送ベルトであり、
前記方向変換経路は、前記配達対象物に接して前記搬送方向と交差する軸の周りに回転可能な1または複数の回転支持体を有する、配達物処理装置。
[C2]
前記回転支持体は、前記軸である中心軸の周りに回転可能な円筒状のコロである、C1に記載の配達物処理装置。
[C3]
前記方向変換経路は、前記搬送方向に並ぶ複数の前記回転支持体を有する、C1または2に記載の配達物処理装置。
[C4]
前記搬送路は、前記方向変換経路の前記搬送方向下流側に連設された摺動経路、をさらに備え、
前記方向変換経路を構成する回転支持体のうち最も前記搬送方向下流側の回転支持体の最上部は、前記摺動経路の摺動面に対して高い位置にある、C1〜3のうちいずれか1項に記載の配達物処理装置。
[C5]
前記搬送機構は、前記駆動部の駆動量を制御する制御部をさらに備えている、C1〜4のうちいずれか1項に記載の配達物処理装置。
[C6]
前記搬送部は、ベルト支持体をさらに備え、
前記ベルト支持体は、前記方向変換経路の内周側から前記搬送ベルトに当接領域で当接することによって、前記方向変換経路に沿う前記搬送ベルトの移動経路を定め、
前記回転支持体の最上部の、前記方向変換経路の延在方向における位置は、前記方向変換経路の延在方向における前記当接領域の位置とは異なる、C1〜5のうちいずれか1項に記載の配達物処理装置。
[C7]
前記回転支持体は、少なくとも一部が高分子材料からなる、C1〜6のうちいずれか1項に記載の配達物処理装置。
[C8]
配達対象物が搬送される搬送路を有する搬送部と、前記配達対象物の画像から情報を読み取る読取り部と、前記読取り部によって前記情報の一部または全部が読み取れなかった読取り不能画像を送信する情報送信部と、前記読取り不能画像に関する情報を受信する情報受信部と、前記配達対象物を両側から挟み込んで前記搬送路に沿って搬送方向に搬送する少なくとも一対の搬送ベルトと、を有する搬送機構と、
前記搬送機構によって搬送された配達対象物が集積される複数の集積部であって、平面視において前記搬送部の一方の外側方に設けられた一方側集積部と、平面視において前記搬送部の他方の外側方に設けられた他方側集積部とを有する複数の集積部と、を備え、
前記搬送路は、前記情報送信部を経た前記配達対象物が搬送される第1搬送経路と、前記第1搬送経路を経た配達対象物が搬送される第2搬送経路とを有し、
前記第2搬送経路は、前記一方側集積部に前記配達対象物が搬送される一方側部分経路と、前記他方側集積部に前記配達対象物が搬送される他方側部分経路とを有し、
前記第1搬送経路の少なくとも一部は、平面視において前記第2搬送経路の一方側部分経路と他方側部分経路との間に設けられている、配達物処理装置。