特許第6833501号(P6833501)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オリンパス株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6833501-内視鏡システム 図000002
  • 特許6833501-内視鏡システム 図000003
  • 特許6833501-内視鏡システム 図000004
  • 特許6833501-内視鏡システム 図000005
  • 特許6833501-内視鏡システム 図000006
  • 特許6833501-内視鏡システム 図000007
  • 特許6833501-内視鏡システム 図000008
  • 特許6833501-内視鏡システム 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6833501
(24)【登録日】2021年2月5日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/04 20060101AFI20210215BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
   A61B1/04 520
   G02B23/24 A
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-249116(P2016-249116)
(22)【出願日】2016年12月22日
(65)【公開番号】特開2018-102365(P2018-102365A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 豊
(72)【発明者】
【氏名】藤本 武秀
【審査官】 北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−206763(JP,A)
【文献】 特開昭63−105735(JP,A)
【文献】 特開平01−192339(JP,A)
【文献】 特開2001−340289(JP,A)
【文献】 特開平06−062413(JP,A)
【文献】 特開平03−114433(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0129108(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 − 1/32
G02B 23/24 −23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に配置され、内視鏡スコープ内に搭載されたアクチュエータを駆動するためのパルス信号を生成するアクチュエータ駆動信号生成部と、
前記筐体に接続されるコネクタであって、前記筐体との接続時に前記パルス信号が入力される電気接点近傍において、当該パルス信号の時定数を可変させて出力するコネクタと、
を備えたことを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
前記コネクタは、前記電気接点が設けられた接点基板上において、抵抗及びコンデンサからなる低域通過フィルタを構成することを特徴とする、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記接点基板上において前記内視鏡スコープから転送されるデータ信号が入力される配線及び電気接点が設けられ、前記低域通過フィルタが設けられた領域と前記データ信号が入力される配線領域とが、GND領域跨って配置されることを特徴とする、請求項2に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記GND領域の電位は、前記筐体内における患者回路のGND電位であることを特徴する、請求項3に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記コネクタは、前記アクチュエータ駆動信号生成部と前記低域通過フィルタとの間において直列接続された電流平滑化インダクタを更に備えることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
筐体内に配置され、撮像素子近辺に搭載されたアクチュエータを駆動させるためのパルス信号を生成するアクチュエータ駆動信号生成部と、
前記筐体外であるとともに前記撮像素子と前記筐体との間に通電ラインに対して配置され、前記アクチュエータ駆動信号生成部から生成されたパルス信号に対して時定数を可変させて出力する時定数可変部と、
を備えたことを特徴とする内視鏡システム。
【請求項7】
前記時定数可変部は、抵抗及びコンデンサからなる低域通過フィルタとして構成され、前記抵抗及び前記コンデンサのうち、少なくとも一方の可変値を設定する時定数設定部を更に備えることを特徴とする請求項6に記載の内視鏡システム。
【請求項8】
前記筐体内に設けられ、前記筐体に対する外部接続の際に入力される前記アクチュエータの種類を判別する判別部を更に備え、前記時定数設定部は、前記判別部の判別結果に基づいて前記可変値を設定することを特徴とする、請求項7に記載の内視鏡システム。
【請求項9】
前記筐体内に設けられ、前記判別部の判別結果に基づいて前記パルス信号のデューティー比を決定し、前記アクチュエータ駆動信号生成部に対して制御信号を送信するデューティー比設定部を更に備えることを特徴とする、請求項8に記載の内視鏡システム。
【請求項10】
前記アクチュエータ駆動信号生成部と前記低域通過フィルタとの間において、直列接続された電流平滑インダクタを更に備えることを特徴とする、請求項7に記載の内視鏡システム。
【請求項11】
筐体として構成され、前記アクチュエータが搭載されたスコープにおいて撮像された撮像信号に対して所定の信号処理を行うインプットモジュールと、
前記インプットモジュールから出力された信号が入力され、画像処理を行って映像信号を生成するコントロールモジュールと、を更に備えることを特徴とする、請求項1または6に記載の内視鏡システム。
【請求項12】
前記筐体がインプットモジュールとして構成されることを特徴とする、請求項11に記載の内視鏡システム。
【請求項13】
前記筐体がコントロールモジュールとして構成されることを特徴とする、請求項11に記載の内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、内視鏡システムに関し、特に、アクチュエータにより挿入部先端部に設けたズームレンズなどの被駆動体を駆動する内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡システムにおいては、内視鏡の径を細くすることで患者の負担を軽減することが要求される一方で、診断の正確さを向上させるために高画質化が求められている。これらの要求を満たすため、内視鏡の先端に搭載される撮像素子の小型化と高画素化とを進めていくと、被写体までの焦点距離が短くなり、被写界深度も浅くなるという問題が発生する。
【0003】
この問題を解決するために、内視鏡先端にアクチュエータを搭載し、ユーザ操作によって手動で光学的に焦点を切り替えることで、十分な観察深度を確保し、必要とされる作業性を達成することを可能とする内視鏡システムが開発され、実用化されつつある。アクチュエータが搭載された内視鏡システムは、近接拡大観察による血管や神経、組織の詳細な観察を可能とし、精緻な作業や診断を実現している。
【0004】
このような内視鏡システムに搭載されるアクチュエータは、様々な駆動方式が存在する。中でも、パルス幅変調方式(PWM方式)が主流となっており、数多くのアクチュエータ制御に使用されている。しかし、PWM方式は、急峻な駆動波形となるため、他の信号への影響が懸念される。例えば、複合ケーブル内に撮像ケーブルが存在すれば、映像ラインに影響を及ぼす可能性がある。また、超音波プローブを使用可能なスコープであれば、超音波画像に影響を及ぼす可能性もある。更に、先端のアクチュエータの材質によっては、急峻なPWM制御によりノイズが発生する可能性もある。
【0005】
このため、内視鏡に搭載するアクチュエータやスコープの種別に応じた種々の異なる駆動波形を生成すべく、様々な駆動波形に対応した複数の回路をプロセッサに搭載し、切り替えて使用する内視鏡システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−338420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された内視鏡システムでは、新規のアクチュエータを用いる場合、当該アクチュエータに対応した駆動波形を生成するために、プロセッサに新規の回路を増設する必要があった。このため、回路規模の増大により、装置の大型化やコスト増大を招くという問題があった。そこで、本発明は、プロセッサの回路規模の増大を抑制しつつ、種々のアクチュエータに対応し、他の信号への影響を防止することが可能な駆動波形を生成することができる、内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の内視鏡システムは、筐体内に配置され、内視鏡スコープ内に搭載されたアクチュエータを駆動するためのパルス信号を生成するアクチュエータ駆動信号生成部を有する。また、前記筐体に接続されるコネクタであって、前記筐体との接続時に前記パルス信号が入力される電気接点近傍において、当該パルス信号の時定数を可変させて出力するコネクタも有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の内視鏡システムによれば、プロセッサの回路規模の増大を抑制しつつ、種々のアクチュエータに対応し、他の信号への影響を防止することが可能な駆動波形を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係わる内視鏡システムの全体構成の一例を示す斜視図。
図2】第1の実施形態に係わる内視鏡、及び、プロセッサの構成の一例を説明するブロック図。
図3】第1の実施形態に係わるスコープコネクタの構成の一例を説明する斜視図。
図4】第1の実施形態に係わる内視鏡、及び、プロセッサの構成の別の一例を説明するブロック図。
図5】第1の実施形態に係わる内視鏡システムの構成の別の一例を説明するブロック図。
図6】第2の実施形態に係わる内視鏡、及び、プロセッサの構成の一例を説明するブロック図。
図7】第3の実施形態に係わる内視鏡、及び、プロセッサの構成の一例を説明するブロック図。
図8】第3の実施形態に係わる内視鏡システムの構成の別の一例を説明するブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係わる内視鏡システムの全体構成の一例を示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態の内視鏡システム1は、内視鏡スコープとしての電子内視鏡(以下、単に内視鏡という)2と、光源装置3と、プロセッサ4と、モニタ5と、から主に構成されている。
【0013】
内視鏡2は、長尺で細長な挿入部9と、操作部10と、電気ケーブルであるユニバーサルケーブル19と、を有して構成されている。内視鏡2の挿入部9は、先端から順に、先端部6と、湾曲部7と、可撓管部8と、を有して構成されている。先端部6には、被写体を撮像する手段として、CCD、CMOSなどの固体撮像素子が配置されている。
【0014】
操作部10には、挿入部9の湾曲部7を湾曲操作するための湾曲操作の部14が回転自在に配設されると共に、各種内視鏡機能のスイッチ類などが設けられている。なお、湾曲操作ノブ14は、湾曲部7を上下方向に湾曲操作するためのUD湾曲操作ノブ12と、湾曲部7を左右方向に湾曲操作するためのRL湾曲操作ノブ13とが重畳するように配設されている。
【0015】
また、挿入部9と操作部10の連結部は、ユーザによる把持部を兼ねる把持部11と、この把持部11及び挿入部9の可撓管部8の一端の間に設けられた折れ止め部に配設されて、挿入部9に配設された各種処置部を挿通する処置具チャネルの開口部となる処置具チャネル挿通部18とを有して構成されている。
【0016】
操作部10から延設されたユニバーサルケーブル19は、延出端に光源装置3と着脱自在なスコープコネクタ19aを有している。また、スコープコネクタ19aは、コイル状のコイルケーブル20が延設しており、このコイルケーブル20の延出端にプロセッサ4と着脱自在なコネクタとしてのスコープコネクタ20aが設けられている。なお、本実施形態の内視鏡2は、ユニバーサルケーブル19、操作部10及び挿入部9に配設された照明手段のライトガイドケーブルによって、光源装置3から先端部6まで照明光を伝送するものである。
【0017】
筐体としてのプロセッサ4は、内視鏡画像を表示するモニタ5と電気的に接続され、内視鏡2に搭載されているCCDなどの撮像手段によって光電変換された撮像信号を処理して、画像信号としてモニタ5に出力する。
【0018】
図2は、内視鏡2、及び、プロセッサ4の構成の一例を説明するブロック図である。内視鏡2とプロセッサ4とは、スコープコネクタ20aを介して電気的に接続されている。内視鏡2は、先端に、被写体を結像する対物レンズ23が配置されている。さらに、この対物レンズ23の結像位置には、撮像手段として、CCD、CMOSなどの固体撮像素子22が配置されている。対物レンズ23には、光軸方向に移動可能で、その移動により像倍率を可変できるようにしたズームレンズが一部の光学系で形成されている。このズームレンズの移動により、焦点距離を変化させ、広角/拡大可能(拡大率の調整が可能)となっている。
【0019】
内視鏡2の先端には、このズームレンズを駆動するアクチュエータ21が設けられている。アクチュエータ21はズームレンズと連結されており、ズームレンズは、アクチュエータ21の駆動によって光軸方向に移動する。なお、アクチュエータ21は、圧電素子を用いて構成してもよいし、ソレノイドコイルの内側に、バネと連結された移動可能な磁石を移動部として配置した電磁プランジャーなどにより構成してもよい。
【0020】
プロセッサ4は、アクチュエータ駆動信号生成部としてのアクチュエータ駆動部41と、画像処理部42とを有する。アクチュエータ駆動部41は、アクチュエータ21を駆動させる駆動信号を生成する。本実施形態のアクチュエータ駆動部41は、PWM方式でアクチュエータ21を駆動させる。アクチュエータ駆動部41は、電源生成回路411と、駆動制御回路412と、タイミング生成回路413と、定電流回路414とから構成される。
【0021】
電源生成回路411では一定の電圧が生成される。駆動制御回路412は、例えばHブリッジ型のスイッチ回路であり、アクチュエータ21へ出力する駆動信号のオン/オフや、駆動信号の向き(アクチュエータ21に流れる電流の向き)を切り替える。タイミング生成回路413は、アクチュエータ21の駆動信号であるPWM信号を生成する。定電流回路414は、アクチュエータ21に常に一定レベルの駆動信号が出力されるように、電流値を制御する。
【0022】
画像処理部42は、内視鏡2の先端に設けられた固体撮像素子22で撮像された、被写体像の画像信号に各種処理を施し、モニタ5に表示可能な信号に変換する。画像処理部42は、例えば、CDS回路、低域通過フィルタ、クランプ回路、A/D変換器、ホワイトバランス補正回路、色調調整回路、γ補正回路、輪郭強調回路、などから構成される。
【0023】
スコープコネクタ20aは、アクチュエータ駆動部41からアクチュエータ21への駆動信号の伝送経路であるアクチュエータ通電ライン211を有する。アクチュエータ通電ライン211の途中に、時定数可変部としてのパルス立ち上がり調整部201が配置されている。パルス立ち上がり調整部201は、抵抗R1と容量C1で構成される低域通過フィルタ201aと、抵抗R2と容量C2で構成される低域通過フィルタ201bの、2組の低域通過フィルタで構成されている。また、スコープコネクタ20aは、固体撮像素子22から画像処理部42への画像信号の伝送経路である撮像信号ライン221も有する。
【0024】
スコープコネクタ20aの詳細な構成について、図3を用いて説明する。図3は、スコープコネクタの構成の一例を説明する斜視図である。スコープコネクタ20aは、接点基板31と、接続基板32とから構成されている。略円形状の板状部材である接点基板31は、スコープコネクタ20aがプロセッサ4に装着された状態において、板面がプロセッサ4から各信号ラインが延出される面と密着するように配置される。略長方形状の板状部材である接続基板32は、長手方向が接点基板31の板面に対して垂直になるように配置され、基端側の一端が、接点基板31のプロセッサ4に密着する面の反対側の板面に当接して固定される。接続基板32の先端側の一端は、コイルケーブル20に接続されている。
【0025】
接点基板31と接続基板32との当接部には、基板間コネクタ311が配置されている。また、接続基板32の先端側の板面上には、ケーブル接続用コネクタ321、322が配置されている。
【0026】
接点基板31には、板面の中心から所定距離にある円周上に、複数の接点が設けられている。接点を介して、プロセッサ4内の所定部位から延出された信号ラインが、スコープコネクタ20a内の信号ラインと電気的に接続される。具体的には、駆動制御回路412から出力される駆動信号を伝達する2本の信号線のうちの1本は、接点P11を介してアクチュエータ通電ライン211に接続される。また、駆動制御回路412から出力される駆動信号を伝達する他方の信号線は、接点P21を介してアクチュエータ通電ライン211に接続される。更に、接点P11と接点P21との間に位置する接点Pgを介し、プロセッサ4内に設定された患者回路側のGND電位が、グランドパターン212に伝達される。
【0027】
接点P11に接続されたアクチュエータ通電ライン211の途中には、低域通過フィルタ201aが挿入されている。具体的には、接点P11と接点P12との間に抵抗R1が挿入され、抵抗R1の出力側とグランドパターン212とが容量C1で接続されている。また同様に、接点P21に接続されたアクチュエータ通電ライン211の途中には、低域通過フィルタ201bが挿入されている。具体的には、接点P21と接点P22との間に抵抗R2が挿入され、抵抗R2の出力側とグランドパターン212とが容量C2で接続されている。すなわち、低域通過フィルタ201aと低域通過フィルタ201bとは、グランドパターン212を軸として対称に配置されている。
【0028】
低域通過フィルタ201aは、アクチュエータ駆動部41で生成された駆動信号の向きが、接点P11、接点P12を介してアクチュエータ21に入力される方向である場合に、駆動信号であるPWM信号の立ち上がりや立ち下がりを緩やかにする。一方、低域通過フィルタ201bは、アクチュエータ駆動部41で生成された駆動信号の向きが、接点P21、接点P22を介してアクチュエータ21に入力される方向である場合に、駆動信号であるPWM信号の立ち上がりや立ち下がりを緩やかにする。
【0029】
すなわち、駆動信号に起因する高周波ノイズの発生を抑制することができるため、撮像信号へのノイズの重畳を低減することができる。従って、鮮明な観察画像を得ることができ、観察性能が向上する。なお、図3に示すように、撮像信号ライン221とアクチュエータ通電ライン211との間に、患者回路のGND電位を伝達するグランドパターン213を配置することで、アクチュエータ通電ライン211によって伝達される駆動信号が、撮像信号ライン221によって伝達される撮像信号に影響を及ぼすことをより一層防止することができる。
【0030】
また、パルス立ち上がり調整部201をスコープコネクタ20aに設けているので、パルス立ち上がり調整部201とアクチュエータ21とが一対一で対応している。すなわち、内視鏡2に搭載されているアクチュエータ21の特性に応じて低域通過フィルタ201a、201bのフィルタ定数(抵抗R1、R2、容量C1、C2の値)をあらかじめ設定することができる。従って、内視鏡2に搭載するアクチュエータ21やスコープの種別が変更されても、アクチュエータ駆動部41では駆動信号を調整する必要がないため、プロセッサ4の回路規模の増大を抑制し、生産コストを低減することができる。
【0031】
スコープコネクタ20a内を貫通する2本のアクチュエータ通電ライン211は、ケーブル接続用コネクタ321を介して、コイルケーブル20内へ延出する。コイルケーブル20内では、すべてのアクチュエータ通電ライン211は、アクチュエータ通電ケーブル210によって一纏めになされている。また、コイルケーブル20内で撮像ケーブル220によって一纏めにされている複数の撮像信号ライン221は、ケーブル接続用コネクタ322を介してスコープコネクタ20a内へ延出しており、接点P31を介してプロセッサ4の画像処理部42に電気的に接続される。
【0032】
このように、本実施形態の内視鏡システムは、スコープコネクタ20a内を貫通するアクチュエータ通電ライン211の途中に、低域通過フィルタ201a、201bからなるパルス立ち上がり調整部201を設けている。低域通過フィルタ201a、201bのフィルタ定数を、アクチュエータ21の特性に応じてあらかじめ設定することで、駆動信号であるPWM信号の立ち上がりや立ち下がりを緩やかにすることができる。従って、駆動信号に起因する高周波ノイズの発生を抑制することができるため、撮像信号へのノイズの重畳を低減することができる。また、アクチュエータ駆動部41では駆動信号を調整する必要がないため、プロセッサ4の回路規模の増大を抑制し、生産コストを低減することができる。
【0033】
なお、上述の説明では、パルス立ち上がり調整部201をRC型の低域通過フィルタ201a、201bで構成しているが、これに限定されるものでなく、PWM信号の立ち上がりや立ち下がりを、アクチュエータ21の特性に合わせて緩やかにすることができる構成であればよい。
【0034】
例えば、アクチュエータ21のインダクタンスが大きい場合、図2に示すように、パルス立ち上がり調整部201をRC型の低域通過フィルタ201a、201bで構成することで、駆動信号の高周波成分をカットし、高周波ノイズを低減することができる。一方、アクチュエータ21のインダクタンスが小さい場合、図4に示すように、それぞれの低域通過フィルタ201a、201bと直列にインダクタL1、L2を挿入してもよい。図4は、第1の実施形態に係わる内視鏡、及び、プロセッサの構成の別の一例を説明するブロック図である。
【0035】
内視鏡2先端のアクチュエータ21のインダクタンス値が小さく、消費電流が大きい場合、駆動信号の波形を平滑化して消費電力を抑えるために、インダクタンス値の大きいインダクタL1、L2をアクチュエータ通電ライン211に挿入する。インダクタL1、L2を通過後の駆動信号は、高周波成分を含んだ信号であるので、RC型の低域通過フィルタ201a、201bを直列に接続することにより高周波成分をカットし、高周波ノイズを低減する。このように、パルス立ち上がり調整部201´にインダクタL1、L2を挿入することで、インダクタンス値の小さいアクチュエータ21を用いた場合にも高周波ノイズを低減することができる。
【0036】
また、パルス立ち上がり調整部201を配置するのはスコープコネクタ20aに限定されるものでなく、アクチュエータ駆動部41を含むユニット(図2の場合、プロセッサ4)よりアクチュエータ21側であればよい。図5は、第1の実施形態に係わる内視鏡システムの構成の別の一例を説明するブロック図である。図5に示す内視鏡システムは、プロセッサ4を、インプットモジュール43とコントロールモジュール44とに分割した構成となっている。
【0037】
インプットモジュール43は、中継基板とも呼ばれ、固体撮像素子22から出力された撮像信号に対して所定の信号補正を行って出力する、第1画像処理部421を備えている。第1画像処理部421は、具体的には、内視鏡2の対物レンズ23の光学特性の補正情報に基づく補正、固体撮像素子22の欠陥画素情報に基づく画素欠陥補正や、ホワイトバランス特性情報に基づくホワイトバランス補正、色ばらつき補正情報に基づく色ばらつき補正、接続先であるコントロールモジュール44が処理する信号との互換性のある映像フォーマットの信号への変換、などの各処理が行われる。また、インプットモジュール43は、パルス立ち上がり調整部201も備えている。
【0038】
コントロールモジュール44は、信号処置装置とも呼ばれ、第2画像処理部421を備えている。第2画像処理部421は、第1画像処理部421から出力された信号補正後の撮像信号に対し、更に画像処理を行って、モニタ5に表示可能な映像信号を生成する。また、コントロールモジュール44は、アクチュエータ駆動部41も備えている。アクチュエータ駆動部41で生成されたPWM信号は、インプットモジュール43のパルス立ち上がり調整部201に出力され、高周波成分をカットされて、立ち上がりや立ち下がりが緩やかになされる。
【0039】
内視鏡2の先端部6とインプットモジュール43とは第1ケーブル51で接続され、インプットモジュール43とコントロールモジュール44とは第2ケーブル52で接続されている。すなわち、アクチュエータ通電ライン211は、アクチュエータ駆動部41から延出され、第2ケーブル52を貫通して、パルス立ち上がり調整部201に接続される。そして、パルス立ち上がり調整部201からさらに延出され、第1ケーブル51を貫通してアクチュエータ21に接続される。また、撮像信号ライン221は、固体撮像素子22から延出され、第1ケーブル51を貫通して第1画像処理部421に接続される。そして、第1画像処理部421からさらに延出され、第2ケーブル52を貫通して第2画像処理部422に接続される。
【0040】
このように、パルス立ち上がり調整部201をインプットモジュール43に配置することで、コントロールモジュール44の回路構成をなんら変更することなく、アクチュエータ21の特性に応じて、PWM信号の立ち上がりや立ち下がりを緩やかにすることができる。
(第2の実施形態)
【0041】
上述した第1の実施形態の内視鏡システムでは、パルス立ち上がり調整部201のフィルタ定数は、アクチュエータ21の特性に応じた値に予め設定されていた。これに対し、本実施形態においては、プロセッサ4側で、接続された内視鏡2の種別を判別し、判別結果に応じてパルス立ち上がり調整部201”のフィルタ定数を設定する点が異なっている。
【0042】
図6は、第2の実施形態に係わる内視鏡、及び、プロセッサの構成の一例を説明するブロック図である。本実施の形態の内視鏡システムは、アクチュエータ駆動部41´のタイミング生成回路413´の構成が異なる点と、パルス立ち上がり調整部201”の低域通過フィルタ201a´、201b´を構成する抵抗VR1、VR2が、抵抗値が可変である点を除き、図2を用いて説明した第1の実施形態の内視鏡システムと同様である。同じ構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0043】
アクチュエータ駆動部41´のタイミング生成回路413´は、SID通信部419と、判別部418と、時定数設定部417と、デューティー比設定部416と、PWM信号生成部415とから構成される。
【0044】
SID通信部419は、プロセッサ4に内視鏡2が接続されると、内視鏡2のROM24との間でSID通信を行う。判別部418は、SID通信によりROM24から入力された情報に基づき、プロセッサ4に接続された内視鏡2、及び、該内視鏡2に内蔵されているアクチュエータ21の種別を判別する。時定数設定部417は、判別部418により判別された内視鏡2及びアクチュエータ21の種別に従い、パルス立ち上がり調整部201”のフィルタ定数が最適な値になるよう、抵抗VR1、VR2の値を決定し、パルス立ち上がり調整部201”に制御信号を出力する。
【0045】
デューティー比設定部416は、判別部418により判別された内視鏡2及びアクチュエータ21の種別に従い、生成するPWM信号のデューティー比を決定し、PWM信号生成部415に出力する。PWM信号生成部415は、入力されたデューティー比を用いてPWM信号を生成し、駆動制御回路412へ出力する。
【0046】
このように、本実施形態によれば、プロセッサ4が内視鏡2と通信し、接続されている内視鏡2(及びこれに内蔵されているアクチュエータ21)の種別を判別する。そして、判別情報を用いてパルス立ち上がり調整部201”のフィルタ定数を調整することで、アクチュエータ21の特性に応じてPWM信号の立ち上がりや立ち下がりを緩やかにすることができる。従って、駆動信号に起因する高周波ノイズの発生を抑制することができるため、撮像信号へのノイズの重畳を低減することができる。また、フィルタ定数の決定は、アクチュエータ駆動部41´の時定数設定部417で行うが、実際のフィルタ定数の調整を行うパルス立ち上がり調整部201”はスコープコネクタ20aに搭載されているため、プロセッサ4の回路規模の増大を必要最低限にとどめることができ、生産コストの増大を抑制することができる。
【0047】
なお、低域通過フィルタ201a、201bにおいて、可変抵抗VR1、VR2を固定抵抗とし、容量C1、C2を可変容量に変更してもよい。この場合、時定数設定部417から入力される制御信号に従って、可変容量の値が設定される。
【0048】
また、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、パルス立ち上がり調整部201”をRC型の低域通過フィルタ201a、201bでなく、PWM信号の立ち上がりや立ち下がりを、アクチュエータ21の特性に合わせて緩やかにすることができる構成であればよい。
【0049】
また、第1の実施形態と同様に、PWM信号生成部415とパルス立ち上がり調整部201´との間にインダクタL1、L2を挿入してもよい。
(第3の実施形態)
【0050】
上述した第2の実施形態の内視鏡システムでは、PWM信号の立ち上がりや立ちあがりを緩やかにするパルス立ち上がり調整部201”が、スコープコネクタ20aに搭載されていた。これに対し、本実施形態においては、プロセッサ4内に、パルス立ち上がり調整部201”に相当する時定数可変部420が設けられている点が異なっている。
【0051】
図7は、第3の実施形態に係わる内視鏡、及び、プロセッサの構成の一例を説明するブロック図である。本実施の形態の内視鏡システムは、タイミング生成回路513に時定数可変部420が追加されている点と、スコープコネクタ20aからパルス立ち上がり調整部201”が削除されている点を除き、図5を用いて説明した第2の実施形態の内視鏡システムと同様である。同じ構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0052】
時定数可変部420は、例えば、可変抵抗VR3、抵抗R3、及び、容量C3からなる低域通過フィルタで構成される。時定数可変部420は、PMW信号生成部415と駆動制御回路412との間に挿入され、PMW信号生成部415で生成されたPMW信号の高周波成分をカットすることで、立ち上がりや立ち下がりを緩やかにする。可変抵抗VR3は、PMW信号生成部415と駆動制御回路412との間に直列に挿入され、抵抗R3と並列に容量C3が接続されている。
【0053】
時定数設定部417は、判別部418により判別された内視鏡2及びアクチュエータ21の種別に従い、時定数可変部420のフィルタ定数が最適な値になるよう、可変抵抗VR3の値を決定し、時定数可変部420に制御信号を出力する。時定数可変部420では、時定数設定部417から入力される制御信号に従って、可変抵抗VR3の値が設定される。
【0054】
このように、本実施形態によれば、プロセッサ4が内視鏡2と通信し、接続されている内視鏡2(及びこれに内蔵されているアクチュエータ21)の種別を判別する。そして、判別情報を用いて時定数可変部420のフィルタ定数を調整することで、アクチュエータ21の特性に応じてPWM信号の立ち上がりや立ち下がりを緩やかにすることができる。従って、駆動信号に起因する高周波ノイズの発生を抑制することができるため、撮像信号へのノイズの重畳を低減することができる。
【0055】
なお、時定数可変部420において、可変抵抗VR3を固定抵抗とし、容量C3を可変容量に変更してもよい。この場合、時定数設定部417から入力される制御信号に従って、可変容量の値が設定される。
【0056】
本実施形態においては、PMW信号の制御はすべてプロセッサ4で行うが、従来のように、異なる特性のPWM信号を生成するPWM生成部を複数設けておき、接続された内視鏡2やアクチュエータ21に応じて最適なPMW生成部を選択するのではなく、PMW生成部415は1つのみとし、時定数を最適な値に制御する機構を用いている。従って、プロセッサ4の回路規模の増大を必要最低限にとどめることができ、生産コストの増大を抑制することができる。
【0057】
図8は、第3の実施形態に係わる内視鏡システムの構成の別の一例を説明するブロック図である。プロセッサ4が、インプットモジュール43とコントロールモジュール44とに分割した構成となっている場合、アクチュエータ駆動部41”をインプットモジュール43に搭載することで、コントロールモジュール44の回路構成をなんら変更することなく、アクチュエータ21の特性に応じて、PWM信号の立ち上がりや立ち下がりを緩やかにすることができる。
【0058】
本明細書における各「部」は、実施の形態の各機能に対応する概念的なもので、必ずしも特定のハードウェアやソフトウエア・ルーチンに1対1には対応しない。従って、本明細書では、実施の形態の各機能を有する仮想的回路ブロック(部)を想定して実施の形態を説明した。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として例示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1…内視鏡システム、2…内視鏡、3…光源装置、4…プロセッサ、5…モニタ、6…先端部、7…湾曲部、8…可撓管部、9…挿入部、10…操作部、11…把持部、12…UD湾曲操作ノブ、13…RL湾曲操作ノブ、14…湾曲操作ノブ、18…処置具チャネル挿通部、19…ユニバーサルケーブル、19a…スコープコネクタ、20…コイルケーブル、20a…スコープコネクタ、21…アクチュエータ、22…固体撮像素子、23…対物レンズ、31…接点基板、32…接続基板、41、41´、41”…アクチュエータ駆動部、42…画像処理部、43…インプットモジュール、44…コントロールモジュール、51…第1ケーブル、52…第2ケーブル、201、201´、201”…パルス立ち上がり調整部、201a、201b…低域通過フィルタ、210…アクチュエータ通電ケーブル、211…アクチュエータ通電ライン、212、213…グランドパターン、220…撮像ケーブル、221…撮像信号ライン、311…基板間コネクタ、321、322…ケーブル接続用コネクタ、411…電源生成回路、412…駆動制御回路、413…タイミング生成回路、414…定電流回路、415…PMW信号生成部、416…デューティー比設定部、417…時定数設定部、418…判別部、419…SID通信部、420…時定数可変部、421…第1画像処理部、422…第2画像処理部、513…タイミング生成回路、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8