【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バイオマス等の固体燃料を燃料として、より多くのエネルギーを得ようとした場合、多量の粉砕した固体燃料を燃焼器に供給する必要がある。そのためには、固体燃料を多量に粉砕する必要があるが、粉砕機に多量の固体燃料を供給した場合、粉砕機内を循環する固体燃料の量が多くなり、粉砕機内の粉体層差圧が高くなって、粉砕機の運転が困難になる可能性がある。
【0006】
特許文献1では、回収ホッパの上端部の径方向外側から下方に向けて、円筒形状をした下部円筒部材を設置し、その下部円筒部材とハウジングの間に幅狭で下方から上方に向かって延びたストレートな縮流上昇方向通路を筒状に形成し、縮流上昇方向通路内の粒子群を粗粒子と微粒子に分離し難くして粉砕装置系外への粒子の排出を増加させ、粉体層差圧を減少させている。
【0007】
しかしながら、多くのエネルギーを得るために、より多くの固体燃料を粉砕したい場合には、特許文献1の構成では、十分に粉砕機内部の粉体層差圧を減少させられない可能性があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、内部を循環する固体燃料を減少させて、内部の粉体層差圧を減少させることができる竪型粉砕機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の竪型粉砕機は以下の手段を採用する。
本発明の一態様に係る竪型粉砕機は、固体燃料を粉砕する粉砕部と、前記粉砕部の上方に設けられ、粉砕された前記固体燃料を外部に排出する排出部と、前記粉砕部の上方であって、且つ、前記排出部よりも下方に配置され、上下方向に延びる筒状のホッパと、前記粉砕部で粉砕された前記固体燃料を、前記ホッパの外側および該ホッパの上端を通過させて、前記排出部に搬送する搬送用ガスを供給する搬送用ガス供給部と、前記ホッパの前記上端から半径方向内側に延びる流路仕切部と、を備えている。
【0010】
粉砕部で粉砕された固体燃料(以下、粉砕された固体燃料のことを「粉砕固体燃料」という。)の一部は、搬送用ガスとともに、ホッパの外側を上昇し、ホッパの上端で流通方向を変化させて、ホッパの上端を通過して排出部に搬送される。この搬送途中で、粒径の大きい粗粒は、重力によって落下し、粉砕部に戻される。このように、搬送用ガスは、粉砕固体燃料のうち、所定の粒径よりも小さい微粒を排出部に搬送し、所定の粒径よりも大きい粗粒を搬送途中で落下させて粉砕部に戻す分級機能を有している。
上記構成では、ホッパ上端から半径方向内側に延びる流路仕切部が設けられている。よって、ホッパの外側およびホッパの上端を通過する粉砕固体燃料から粗粒の一部が落下するのを流路仕切部が妨げる。流路仕切部によって落下を妨げられた粗粒は、再度、搬送用ガスによって、排出部に搬送される。これにより、搬送途中で落下して粉砕部に戻される粗粒を減少させ、排出部から排出される粗粒の量を増加させることができる。このように、竪型粉砕機から粗粒を排出し易くすることで、竪型粉砕機内を循環する粉砕固体燃料を減少させることができる。したがって、竪型粉砕機内の粉体層差圧を減少させることができる。
また、流路仕切部を設けているだけなので、簡素な構成で上記効果を得ることができる。したがって、設置コスト等を抑制することができる。また、既存の竪型粉砕機にも容易に追設することができる。また、簡易に取り外すことができる。
【0011】
本発明の一態様に係る竪型粉砕機は、前記流路仕切部は、半径方向内側が高くなるように水平面に対して傾斜していてもよい。
【0012】
上記構成では、流路仕切部が水平面に対して傾斜している。これにより、流路仕切部の上に着地した粉砕固体燃料は、傾斜面に沿うように滑り落ちる。したがって、粉砕固体燃料が流路仕切部の上に堆積するのを防止することができる。また、上記構成では、流路仕切部は半径方向内側が高くなるように傾斜しているので、流路仕切部の上に着地した粉砕固体燃料は、流路仕切部の半径方向外側に滑り落ちる。流路仕切部の半径方向外側に滑り落ちた粉砕固体燃料は、ホッパの外側を上昇する搬送用ガスによって、再度上昇するので、粉砕部に戻される粉砕固体燃料が減少する。したがって、より竪型粉砕機から粗粒を排出し易くし、竪型粉砕機内を循環する粉砕固体燃料を減少させることができる。水平面に対する傾斜角度は、30度から50度の範囲が好適である。このような範囲であれば、粉砕固体燃料が流路仕切部の上に堆積するのを好適に防止することができる。
【0013】
本発明の一態様に係る竪型粉砕機は、前記粉砕部の上方であって、且つ、前記排出部の下方に配置され、側面が略鉛直方向に延びる筒状部材を備え、前記ホッパを設けておらず、前記流路仕切部は、前記ホッパの前記上端に代えて、前記筒状部材の上端から前記半径方向内側に延びていてもよい。
【0014】
上記構成では、ホッパを設けておらず、筒状部材を設けている。筒状部材は、側面が略鉛直方向に延びている。すなわち、筒状部材の側面は、鉛直面に対して傾斜していない。よって、下方に配置された粉砕部から上方に配置された排出部へと搬送される粉砕固体燃料の搬送経路に影響を与え難い。これにより、粉砕部から排出部への経路が短くなるので、搬送途中で粗粒が落下し難くなる。したがって、粗粒が排出部に搬送され易くなり、より粗粒を竪型粉砕機から排出し易くすることができる。なお、筒状部材が粉砕部から排出部への最短の搬送経路を妨げない場合には、より好適に粗粒を排出することができる。
また、上記構成では、筒状部材の外側を通過して搬送される粗粒の一部が、流路仕切部によって、落下を妨げられるので、粗粒を排出し易くすることができ、竪型粉砕機内を循環する粉砕固体燃料を減少させることができる。
【0015】
本発明の一態様に係る竪型粉砕機は、前記流路仕切部は、該流路仕切部を平面視したときの面積を変化させる面積変更機構を備えていてもよい。
【0016】
上記構成では、面積変更機構が、平面視したときの流路仕切部の面積を変化させている。面積が大きい場合には、落下を妨げる粗粒の量が多くなり、面積が小さい場合には、落下を妨げる粗粒の量は少なくなる。このように、落下を妨げる粗粒の量を調整することができる。落下を妨げる粗粒の量を調整することによって、粉砕部に戻されて再粉砕される粗粒の量を調整することができるので、再粉砕される粗粒の量を調整することで、竪型粉砕機から排出される粉砕固体燃料に含まれる粗粒の割合を所望の割合に調整することで、竪型粉砕機内を循環する固体燃料の量を調整することができる。これにより、例えば、石炭を粉砕するときには、粗粒の割合を低減させる、というように、粗粒の割合を被粉砕物に応じた割合に調整することができる。
【0017】
本発明の一態様に係る竪型粉砕機は、回転するブレードを有し、前記搬送用ガスによって搬送される粉砕された前記固体燃料のうち、所定粒子径より大きいものを前記ブレードで弾いて前記粉砕部に戻し、所定粒子径以下のものを前記排出部に導く分級機を備え、前記分級機は、前記ホッパの上方に、前記ブレードの外周端部の回転軌道が描く円と、前記ホッパの上端との間に隙間空間が形成されるように設けられ、該流路仕切部を平面視したときの面積は、前記隙間空間を平面視したときの面積の50%〜90%程度であってもよい。
【0018】
流路仕切部を平面視したときの面積が小さいと、落下を妨げる粉砕固体燃料の量が低下してしまう。一方、流路仕切部を平面視したときの面積が大きすぎると、粉砕部に戻される粗粒が極端に減少してしまい、搬送用ガスの分級性能が喪失してしまう。上記構成では、流路仕切部を平面視したときの面積が、隙間空間を平面視したときの面積の50%〜90%程度としているので、搬送用ガスの分級性能を喪失させることなく、竪型粉砕機内の粉体層差圧を好適に減少させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、粉砕機の内部を循環する固体燃料を減少させて、粉砕機の内部の粉体層差圧を減少させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る竪型粉砕機の一実施形態について、図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について、
図1から
図5を用いて説明する。
本実施形態では、固体燃料として例えばバイオマスを用いたものを説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る竪型粉砕機1は、竪型粉砕機1の外殻をなす略円筒中空形状のハウジング2と、ハウジング2の下部側面に連通してハウジング2の内部に搬送用空気(搬送用ガス)42を供給する空気供給ダクト(搬送用ガス供給部)3とを備える。ハウジング2の内部には、鉛直上下方向に沿う回転軸を中心として回転可能にハウジング2に対して支持される粉砕テーブル4と、粉砕テーブル(粉砕部)4の上でバイオマス(固体燃料)を粉砕する複数の粉砕ローラ5が収容されている。また、ハウジング2の内部には、粉砕テーブル4の上方に、逆円錐形状であって、且つ、筒状のホッパ9が設けられている。
【0022】
ハウジング2は、円筒形状であってハウジング2の側面を規定する側面部2aと、ハウジングの鉛直方向上端を規定する天井面部2bとを有する。ハウジング2の上部中央部にはハウジング2の天井面部2bを貫通するように、筒形状の固体燃料供給管6が設けられる。固体燃料供給管6は、図示しないバイオマス供給装置からハウジング2内にバイオマスを供給するものであり、ハウジング2の中心位置に鉛直上下方向に沿って延在する。また、ハウジング2内の固体燃料供給管6の周りを回転し、固体燃料供給管6の長手方向に直交する方向に存在する、ロータリセパレータ(分級機)7が設けられている。ロータリセパレータ7は、ロータリセパレータ7まで搬送された粉砕されたバイオマス(以下、粉砕されバイオマスを「粉砕バイオマス」という。)を所定粒径より大きいものと、所定粒径以下のものに分級するものである。ハウジング2の天井面部2bには、ロータリセパレータ7で分級された所定粒径以下の粉砕バイオマスである微粒をハウジング2の外部へ排出する出口ポート(排出部)8が設けられている。
【0023】
粉砕テーブル4は、ハウジング2の底面部の略中心に回転可能に支持される回転支持部11と、回転支持部11の上端に固定される略円形板状のテーブル部12とを有する。回転支持部11は、駆動装置13により回転駆動する。テーブル部12は、固体燃料供給管6の鉛直下側の下端部に対向して配置され、回転支持部11とともに回転する。また、粉砕テーブル4の上面は、水平方向に延在し、略中心部分にセンターコーン14が設けられている。テーブル部12の外端部と、ハウジング2の側面部2aとは接触しておらず、テーブル部12とハウジング2の側面部2aとの間には、隙間が設けられている。この隙間には、テーブル部12の外端部に固定され、粉砕テーブル4の回転とともに回転する、スロート15が設けられている。なお、本実施形態では、粉砕テーブル4の回転とともに回転する、いわゆる回転式旋回流スロートを設けているが、スロート15は、ハウジング2側に取り付けた、固定式旋回流スロートを設けることも可能である。
【0024】
複数の粉砕ローラ5は、テーブル部12の上に円周方向に沿って等間隔に配置されている。各粉砕ローラ5は、加圧フレーム16、ローラピボット17及びローラブラケット18によって、粉砕テーブル4の上方で、上部側が下部側よりもハウジング2の中心部側に位置するように傾斜した状態で、回転可能に支持されている。竪型粉砕機1の外側に設置された油圧シリンダなどの加圧装置19により、加圧ロッド20を介して竪型粉砕機1の内側に設置された加圧フレーム16を下側に引っ張ることで、加圧フレーム16の下部に設置されているローラブラケット18に粉砕荷重を加えている。各粉砕ローラ5は、外周面が粉砕テーブル4の上面に接触した状態でこの粉砕テーブル4が回転すると、粉砕テーブル4から回転力を受けて連れ回り可能となっている。
【0025】
空気供給ダクト3は、横断面が略矩形状とされた角筒状形状または円形筒状形状をしている。また、空気供給ダクト3の一端には、ハウジング2内に開口するダクト出口26が設けられ、他端には、ハウジング2の外に開口するダクト入口27が設けられている。空気供給ダクト3は、水平面に対して略平行もしくは鉛直下側に傾斜角度をもって延在するように設けられ、ハウジング2の側面部2aに連通している。空気供給ダクト3は、空気供給装置(図示省略)から供給される搬送用空気42をダクト入口27から押入して、ダクト出口26から排出することでハウジング2内に搬送用空気42を供給する。空気供給ダクトから供給された搬送用空気42は、粉砕テーブル4とハウジング2の側面部2aとの隙間に設けられたスロート15から吹出して、粉砕テーブル4で粉砕された粉砕バイオマスを気流搬送する。
【0026】
ロータリセパレータ7は、上下方向(鉛直方向)に沿って延びて固体燃料供給管6の周りを囲むように回転可能に設けられた回転軸体22と、回転軸体22の外面から放射状に延びる支持棒(図示省略)によって支持される環状の枠体(図示省略)と、枠体の周方向に所定の間隔で固定される複数のブレード23と、回転軸体22を回転させる駆動部24とを備える。
【0027】
各ブレード23は、平板形状をなして構成され、略鉛直上下方向に延びて、ロータリセパレータ7の回転の中心に対して外周方向へ放射状となる方向に対して所定の角度になるように設けられている。なお、本実施形態では、各ブレード23の外端部分が略鉛直に延びるように設けているが(
図1及び
図2参照)、各ブレード23の外端部分は、上端よりも下端がロータリセパレータ7の回転中心側に接近するように傾斜していてもよい。
【0028】
ブレード23の下方には、ブレード23の下端部から離間した位置にホッパ9が配置されている。ホッパは、逆円錐状であって、かつ、筒状をし、上下方向に延在している。すなわち、ホッパ9は、上方に開口する上部開口30と、下方に開口して上部開口30の径d2よりも小さい径である下部開口31と、上部開口30と下部開口31とを形成するすり鉢状のホッパ本体部32とを有する。下部開口31の中心は、センターコーン14の頂点と略鉛直上方に位置する。ホッパ9は、ハウジング2の天井面部2bまたは側面部2aから梁等で支持されている。ホッパ9の上部開口30の径d2(
図2参照)は、ブレード23の外周端部の回転軌道が描く円の径d1(
図2参照)よりも大きく形成される。
【0029】
ホッパ本体部32の上端部から下方に向けて、円筒形状をした下部円筒部材(筒状部材)34が設置されている。すなわち、下部円筒部材34は、粉砕テーブル4の上方であって、かつ、出口ポート8の下方に配置され、鉛直方向に延びている。下部円筒部材34も、ハウジング2の天井面部2bまたは側面部2aから梁等で支持されている。また、ブレード23の径方向外側には、ハウジング2の天井面部2bから下方に向けて円筒形状をした上部円筒部材35を吊り下げている。上部円筒部材35の下端と、下部円筒部材34の上端とは離間している。
【0030】
ホッパ本体部32の上端部(すなわち、下部円筒部材34の上端部)から上部開口30の半径方向内側に延びる円環状の板部材である流路仕切板(流路仕切部)37が設けられている。
図1及び
図2(b)に示すように、流路仕切板37は、半径方向内側が高くなるように、水平面L1(
図2(b)参照)に対して傾斜角度θだけ傾斜している。流路仕切板37の上端は、ブレード23の下端よりも下方に位置し、かつ流路仕切板37の上端の延長線上にブレード23が位置するように配置される。なお、傾斜角度θは30度から50度の範囲が好適である。
【0031】
また、流路仕切板37の内周端は、ブレード23の外端よりも、半径方向外側に位置する。すなわち、流路仕切板37は、流路仕切板37を平面視したときに、ホッパ9の上部開口30の外周と、ブレード23の外周端部の回転軌道が描く円の外周との間に形成される環状の空間(以下、「隙間空間」という。)の全てを覆わない。本実施形態では、流路仕切板37を平面視したときの面積S1は、隙間空間を平面視したときの面積S2の50%から90%である。すなわち、流路仕切板37が隙間空間を覆う割合である閉止割合(S1/S2)は、0.5〜0.9程度となっている。
なお、隙間空間を平面視したときの面積S2は、上部開口30の面積からブレード23の外周端部の回転軌道が描く円の面積を引くことで求められる。上部開口30の面積は、上部開口30の径d2から求められ、ブレード23の外周端部の回転軌道が描く円の面積は、ブレード23の外周端部の回転軌道が描く円の径d1から求められる。また、流路仕切板37を平面視したときの面積S1は、上部開口30の面積から流路仕切板37の内部に形成される開口の面積を引くことで求められる。流路仕切板37の内部に形成される開口の面積は、流路仕切板37の内周端の径d3から求められる。
【0032】
次に、固体燃料供給管6から粉砕テーブル4上に供給されたバイオマスの主な流れについて
図1を用いて説明する。なお、
図1において、黒色矢印は、バイオマスのみの流れを表し、白色矢印は、搬送用空気のみの流れを表す。また、黒色と白色の2色の矢印は、搬送用空気がバイオマスを搬送している固気二相状態の流れを表す。
【0033】
固体燃料供給管6から矢印40に示すように竪型粉砕機1内に供給されたバイオマスは、粉砕テーブル4上に落下する。粉砕テーブル4上に落下したバイオマスは、回転に伴う遠心力によって粉砕テーブル4上を渦巻き状の軌跡を描いて外周部へ移動され、粉砕テーブル4と粉砕ローラ5との間に噛み込まれて粉砕される。粉砕によって生成した粉砕バイオマスは粉砕テーブル4の周囲に設けられたスロート15から導入される搬送用空気42によって矢印41に示すように、上方に吹き上げられる。上方に吹き上げられた粉砕バイオマスは、下部円筒部材34の外周面とハウジング2の側面部2aとの間を、矢印43で示すように上昇する。この上昇中に粉砕バイオマスのうち、粒径の大きい粗粒の一部は、重力により落下し、粉砕テーブル4に戻される。
【0034】
下部円筒部材34の上端に到達した粉砕バイオマスは、矢印44で示されるように、下部円筒部材34の上端と上部円筒部材35の下端の間を通過して、下部円筒部材34の半径方向内側に配置されたロータリセパレータ7へと向かう。このロータリセパレータ7に向かう粉砕バイオマスのうち、粒径の大きい粗粒の一部は、ロータリセパレータ7まで到達せずに、重力によって隙間空間を通過して落下する。落下した粉砕バイオマスは、矢印45で示すように、ホッパ本体部32に沿うように滑り落ち、粉砕テーブル4に戻され、再び粉砕される。
【0035】
ロータリセパレータ7に導入された粉砕バイオマスのうち粒径の大きい粗粒は、ブレード23により叩き落される。ブレード23により叩き落された粗粒は、矢印45で示すように、ホッパ本体部32に沿うように滑り落ち、粉砕テーブル4に戻され、再び粉砕される。一方、矢印46で示すように、ブレード23を通過した粒径の小さい微粒は、出口ポート8から製品微粉として竪型粉砕機1の外部に設けられた燃焼器(図示省略)へ搬送される(矢印47参照)。
【0036】
このように、本実施形態に係る竪型粉砕機1では、重力による分級(一次分級)と、ロータリセパレータ7による分級(二次分級)とによって、粉砕バイオマスの分級を行っている。すなわち、粉砕バイオマスのうち、粒径の小さい微粒を出口ポート8に搬送し、粒径の大きい粗粒を粉砕テーブル4に戻して、粉砕バイオマスを竪型粉砕機1内で循環させている。
【0037】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
図2(a)に示すように、流路仕切板37が設けられていない従来の竪型粉砕機では、隙間空間が大きく形成されている。したがって、搬送される粉砕バイオマスは、下部円筒部材34の上端(すなわち、ホッパ9の上端)を通過した後に、矢印A1で示すように、粗粒が重力によって落下する量が比較的多い。
【0038】
本実施形態では、ホッパ本体部32の上端から半径方向内側に延びる流路仕切板37が設けられている。すなわち、
図2(b)に示すように、流路仕切板37によって隙間空間の一部を覆っている。したがって、下部円筒部材34の外側(すなわち、ホッパ9の外側)および下部円筒部材34の上端(すなわち、ホッパ9の上端)を通過する粉砕バイオマスから粗粒が落下するのを流路仕切板37が妨げる。流路仕切板37によって落下を妨げられた粗粒は、再度、搬送用空気42によって出口ポート8へと搬送される。すなわち、矢印A2のように、搬送途中で落下して粉砕部に戻される粗粒を減少させることができる。これにより、出口ポート8から排出される粗粒の量を増加させることができる。このように、竪型粉砕機1から粗粒を排出し易くすることで、竪型粉砕機1内を循環する循環バイオマスを減少させることができる。よって、竪型粉砕機1内の粉体層差圧を減少させることができる。バイオマスは、比較的燃焼し易いため、ある程度の粗粒を燃焼器に供給しても好適に燃焼することができるので、燃焼器に影響を与えることなく、粉体層差圧を減少させることができる。
【0039】
したがって、燃焼器にて得られるエネルギー量を増加させるために、竪型粉砕機1内に多量のバイオマスを供給することができる。具体的には、
図3に示すように、従来よりも竪型粉砕機1内に供給するバイオマスの量を増加させても粉体層差圧が閾値を越えないようになる。なお、
図3に示す横軸の「バイオマス供給量」とは、石炭を粉砕する石炭ミル5台及びバイオマスを粉砕するバイオマスペレットミル1台で粉砕された全ての固体燃料を燃焼させて得られる総エネルギー量のうち、バイオマスペレットミル1台で粉砕されたバイオマスを燃焼させて得られるエネルギー量の割合のことである。
【0040】
また、竪型粉砕機1内を循環する粉砕バイオマスを減少させることができるので、従来と比較して粉砕テーブル4の粉砕動力も低減することができる。具体的には、
図4に示すように、従来よりも竪型粉砕機1内に供給するバイオマスの量を増加させても粉砕動力が閾値を越えないようになる。
【0041】
また、本実施形態では、隙間空間の閉止割合が、0.5〜0.9程度となっている。
図5に示すように、閉止割合が0.5〜0.9の範囲内であれば、粉体層差圧が閾値よりも低くなる。したがって、搬送用空気の分級性能を喪失させることなく、竪型粉砕機1内の粉体層差圧を好適に減少させることができる。
【0042】
また、円環状の板部材である流路仕切板37を設けているだけなので、簡素な構成で上記効果を得ることができる。したがって、設置コスト等を抑制することができる。また、既存の竪型粉砕機にも容易に追設することができる。また、簡易に取り外すことができる。したがって、例えば、竪型粉砕機1で、バイオマスの代わりに石炭を粉砕するために、排出される粗粒の量を低減したい場合には、流路仕切板37を取り外すことで、粉砕テーブル4に戻される粗粒の量を増大させ、排出される粗粒の量を低減させることができる。よって、簡易に、石炭粉砕に適した竪型粉砕機1にすることができる。
【0043】
また、本実施形態では、流路仕切板37が水平面L1(
図2(b)参照)に対して傾斜している。これにより、流路仕切板37の上に着地した粉砕バイオマスは、傾斜面に沿うように滑り落ちる。したがって、粉砕バイオマスが流路仕切板37の上に堆積するのを防止することができる。また、本実施形態では、流路仕切板37は半径方向内側が高くなるように傾斜しているので、流路仕切板37の上に着地した粉砕バイオマスは、流路仕切板37の半径方向外側に滑り落ちる。流路仕切板37の半径方向外側に滑り落ちた粉砕バイオマスは、ホッパ本体部32の外側を上昇する搬送用空気(
図1矢印43参照)によって、再度上昇させられ、再度出口ポート8へと搬送されるので、粉砕テーブル4に戻される粉砕バイオマスが減少する。したがって、より竪型粉砕機1から粗粒を排出し易くし、竪型粉砕機1内を循環する粉砕バイオマスを減少させることができる。水平面L1に対する傾斜角度θは、30度から50度の範囲が好適である。このような範囲であれば、粉砕バイオマスが流路仕切板37の上に堆積するのを好適に防止することができる。
【0044】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について、
図6を用いて説明する。
本実施形態の構成は、
図1に示したホッパ9を備えていないことを特徴とし、その他の構成は、基本的に第1実施形態と同様の構成を有する。したがって、第1実施形態と同一の構成については同一符号を付しその説明を省略する。なお、
図6の(a)はホッパ9を備えた構成(第1実施形態に係る構成)を示し、(b)はホッパ9を備えていない構成(本実施形態に係る構成)を示している。
【0045】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、
図6(b)に示すようにホッパ9を備えていない。したがって、粉砕テーブル4から出口ポート8へと搬送される粉砕バイオマスの搬送経路に、ホッパ9が影響を与えない。また、粉砕テーブル4と出口ポート8との間には下部円筒部材34が設けられているが、下部円筒部材34は、側面が略鉛直方向に延びている。すなわち、下部円筒部材34の側面は、鉛直面に対して傾斜していない。よって、下部円筒部材34は、粉砕テーブル4から出口ポート8へと搬送される粉砕バイオマスの搬送経路に影響を与え難い。これにより、粉砕テーブル4から出口ポート8への搬送経路が短くなるので、搬送途中で粗粒が落下し難くなる。したがって、粗粒が出口ポート8に搬送され易くなり、より粗粒を竪型粉砕機1から排出し易くすることができる。
【0046】
次に、ホッパを備えた構成及びホッパを備えていない構成の搬送される粉砕バイオマスの流れを説明する。
ホッパ9を備えた構成では、ホッパ9は逆円錐状をしているので、ホッパ9のホッパ本体部32は、粉砕テーブル4から出口ポート8へと搬送される粉砕バイオマスの搬送経路に影響を与えやすい。ホッパ9のホッパ本体部32に影響を受けた粉砕バイオマスは、
図6(a)の矢印A3に示すように、ホッパ9の外周面に沿って搬送され、ホッパ9の上端で下部円筒部材34の上端部分に上昇を妨げられ、下部円筒部材34の内周面に沿うように落下し、粉砕テーブル4に戻される。また、ホッパ9は逆円錐状をしているので、下部開口31の面積が小さくなっている。したがって、搬送される粉砕バイオマスは、下部開口31を通過し難い。通過した場合であっても、
図6(a)の破線矢印A4に示すように、搬送経路が長くなり、搬送途中で粗粒が落下して、粉砕テーブル4に戻され易い。
【0047】
一方、ホッパを備えていない構成では、矢印A3(
図6(a)参照)のような経路は生じず、また、下部円筒部材34の下方への開口の径d2(
図2参照)は、ロータリセパレータ7のブレード23の外周端部の回転軌道が描く円の径d1(
図2参照)よりも大きいので、下部円筒部材34は、粉砕テーブル4から出口ポート8への最短の搬送経路を妨げない。具体的には、
図6(b)の矢印A5に示すように、粉砕テーブル4から出口ポート8へと搬送される。
【0048】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態について、
図7から
図9を用いて説明する。
本実施形態では、基本的に第1実施形態と同様の構成を有し、流路仕切板37が面積変更機構を有している点が相違している。したがって、第1実施形態と同一の構成については同一符号を付しその説明を省略する。
本実施形態の流路仕切板37には、複数の開口50が形成されている。また、流路仕切板37は、各開口50をそれぞれ開閉する複数の開閉部(面積変更機構)51を有する。各開閉部51は、半径方向内側の端部である固定端部51aと、半径方向外側の端部である自由端部51bとを有し、駆動部(図示省略)が固定端部51aを中心に自由端部51bを所定角度回転させることで、流路仕切板37に形成された各開口を開閉する。
【0049】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、開閉部51によって、流路仕切板37の平面視したときの面積を変化させている。開閉部51が開口50を塞いでいる状態では、流路仕切板37の面積が大きくなり、落下を妨げる粗粒の量が多くなる。また、開閉部51が開口50を開けている状態では、流路仕切板37の面積が小さくなり、
図7の矢印A6で示すように、一部の粗粒は流路仕切板37に形成された開口50を通過して、落下する。したがって、落下を妨げる粗粒の量は少なくなる。
このように、開閉部51を設けることで、落下を妨げる粗粒の量を調整することができる。落下を妨げる粗粒の量を調整することによって、粉砕テーブル4に戻されて再粉砕される粗粒の量を調整することができる。再粉砕される粗粒の量を調整できので、竪型粉砕機1から排出される粗粒の割合を所望の割合に調整することができる。したがって、例えば、石炭を粉砕するときには、200メッシュパス率70〜80%程度まで微粉化する必要があるが、本実施形態では、流路仕切板37の面積を変化させることで、排出される粉砕された石炭の200メッシュパス率を70〜80%とすることができる。このように、排出される粗粒の割合を被粉砕物に応じた割合とすることができる。
【0050】
なお、本実施形態では、流路仕切板37の面積を変更する機構として、複数の開閉部51を設ける例を説明したが、面積を変更する機構はこれに限られない。
図9(a)から(c)に示すように、面積を変更する機構は、複数の羽根53が重なるように設けられ、複数の羽根53の角度が変わることでカメラの絞りのように面積を変化させる絞り部52であってもよい。
【0051】
なお、本発明は、上記各実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記各実施形態では、粉砕される被粉砕物として、バイオマスを例として説明したが、被粉砕物はバイオマスに限定されない。燃料にする際に粉砕を要する固体燃料であればよく、例えば、石炭、高品位炭、低品位炭または石油コークス等であってもよい。