(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ベースユニットと前記増設ユニットとのうち一方または双方は、測定された電力に関する情報が入力されると共に、遮断器に対する制御情報を前記遮断器に出力する増設入出力部を備える、
請求項1又は請求項2に記載の保護継電装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の保護継電装置を、図面を参照して説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態の保護継電装置10が用いられる電力系統システム1の構成図である。電力系統システム1は、例えば発電装置2と、変圧装置3と、複数の遮断器4−1〜4−3(
図1において「CB」と記載する)と、複数の計器用変成部5−1〜5−3(測定部の一例)(
図1において「CT・VT」と記載する)と、保護継電装置10と、送電線SL0〜SL3とを含む。電力系統システム1は、発電装置2により発電された電力を需要家の受電設備50A〜50Cに供給する。なお、以下の説明において、複数の遮断器を互いに区別しない場合は単に「遮断器4」と記載する。また、複数の計器用変成部5−1〜5−3を互いに区別しない場合は単に「計器用変成部5」と記載する。また、送電線SL0〜SL2を互いに区別しない場合は単に「送電線SL」と記載する。また、電力系統システム1において、発電設備2に近い側を「上流側」、受電設備50A〜Cに近い側を「下流側」として説明する。
【0009】
発電装置2は、火力、水力、原子力などにより発電する。発電装置2により発電された電力は、送電線SLを介して送電される。一般に、経路損失を抑制するために、高い電圧(例えば275[kV]や500[kV]など)の電力が、発電装置2がある山間部などから需要家の受電設備50A〜50Cのそれぞれが設置された場所の近くまで送電される。変圧装置3は、需要家の近くまで送電された電力を、需要家の受電設備50A〜50Cのそれぞれに適した電圧に変換する。
【0010】
送電線SLは、例えば、上流側から下流側にかけて分岐する構造を有する送電設備の一例である。
図1の例では、送電線SL0により発電装置2と変圧装置3とが接続され、発電装置2により発電された電力が変圧装置3まで送電される。また、送電線SL1により変圧装置3と需要家の受電設備50Aとが接続され、変圧装置3により変圧された電力が受電設備50Aまで送電される。また、送電線SL2により変圧装置3と受電設備50Bとが接続され、変圧装置3により変圧された電力が受電設備50Bまで送電される。また、送電線SL3により変圧装置3と受電設備50Cとが接続され、変圧装置3により変圧された電力が受電設備50Cまで送電される。
【0011】
また、送電線SLにより送電される電力は、例えば三相交流である。送電線SLは三相交流電力の各相(U、V、W)をそれぞれ送電するための三本の電力線を備え、各相の電力を送電する。
【0012】
遮断器4は、送電線SLにおける複数の箇所に設けられる。
図1の例では、遮断器4−1が変圧装置3と受電設備50Aとの間に、遮断器4−2が変圧装置3と受電設備50Bとの間に、遮断器4−3が変圧装置3と受電設備50Cとの間にそれぞれ設けられる。これらの遮断器4は、例えば三相交流の各相に設けられる。遮断器4は、保護継電装置10からの制御情報に基づき、送電線における遮断器4が設置されている箇所を、相ごとに、或いは三相まとめて遮断状態または通電状態とすることができる。遮断器4が遮断状態となった場合、送電線における遮断器4が設置されている箇所から下流側の設備は、電力が供給されない状態となる。一方で、遮断器4が通電状態となった場合、送電線における遮断器4が設置されている箇所から下流側の設備に電力が供給される。
【0013】
計器用変成部5は、送電線SLの遮断器4が設置されている付近(遮断器4に対応する箇所の一例)における電圧値および電流値を取得し、取得した電圧値および電流値を示す情報を、保護継電装置10の対応するユニットに出力する。計器用変成部5は、遮断器4に対応する箇所における電力の電圧を、図示しない計器用変圧器により降圧させて計測を行う。一般に送電線SLにより送電される電力の電圧は、そのまま計測するのに適さない程大きいからである。また、計器用変成部5は、遮断器4に対応する箇所における電力の電流を、図示しない計器用変流器により小電流に変換させて計測を行う。一般に送電線SLにより送電される電力の電流は、電圧の場合と同様に、そのまま計測するのに適さない程大きいからである。なお、計器用変成部5は、取得した電圧値および電流値に対し、必要に応じてアナログ−デジタル(AD)変換を行う。計器用変成部5により取得される電圧値および電流値は、「電力に関する電力情報」の一例である。
【0014】
保護継電装置10は、複数の遮断器4をそれぞれ制御する。保護継電装置10は、ベースユニット100と、増設ユニット200−1、200−2とを備える。以下の説明において、増設ユニット200−1、200−2を互いに区別しない場合は単に「増設ユニット200」と記載する。
図1の例では、保護継電装置10は、複数の増設ユニット200−1、200−2を備えているが、これに限定されることはない。保護継電装置10は、ベースユニット100と、少なくとも一つの増設ユニット200とを備えていればよい。
【0015】
保護継電装置10には、計器用変成部5により取得された電力情報が入力される。計器用変成部5により取得された電力情報の一部は、ベースユニット100に入力される。また、計器用変成部5により取得された電力情報のうち、ベースユニット100に入力されない残りの電力情報は、増設ユニット200−1または200−2に入力される。計器用変成部5により取得された電力情報のうち、どの電力情報をどのユニットに入力させるかは、各ユニットの設置位置や各ユニットに入力可能な電力情報の本数などに応じて任意に決定されてよい。
【0016】
ベースユニット100は、増設ユニット200と通信を行い、増設ユニット200に入力された電力情報を受信する。ベースユニット100は、ベースユニット100自身に入力された電力情報と、増設ユニット200から受信した電力情報とに基づいて、複数の遮断器4のそれぞれの制御情報を生成する。例えば、ベースユニット100は、ある遮断器4(例えば、遮断器4−1)を制御する制御情報を生成するために、遮断器4−1に対応する計器用変成部5−1からの電力情報と、遮断器4−1よりも下流側に設置された遮断器4(例えば、遮断器4−2)に対応する計器用変成部5−2からの電力情報を用いる。なお、ある遮断器4に対する制御情報を生成する場合に必要な電力情報の処理単位を「ベイ」ともいう。なお、計器用変成部5は、遮断器4に対応する箇所ではなく、ベイに対応する箇所(すなわち二つの遮断器4の中間など)に設けられてもよい。
【0017】
ベースユニット100は、生成した制御情報の一部を、自身の制御情報入出力部102から遮断器4に出力する。また、ベースユニット100は、生成した制御情報のうち自身の制御情報入出力部102から出力しない制御情報を、増設ユニット200に送信する。増設ユニット200は、ベースユニット100から受信した制御情報を、自身の制御情報入出力部202から遮断器4に出力する。
図1の例では、ベースユニット100からは遮断器4−1に与える制御情報が、増設ユニット200−1からは遮断器4−2に与える制御情報が、増設ユニット200−2からは遮断器4−3に与える制御情報が、それぞれ出力される。
【0018】
図2は、第1の実施形態の保護継電装置10の構成図である。
図2に示すように、ベースユニット100は、例えば、電力情報入力部101(第1電力情報入力部の一例)、制御情報入出力部102(第1制御情報出力部の一例)、通信部103(第1通信部の一例)、および制御部105を有する。
【0019】
電力情報入力部101は、複数の(例えば十の)入力端子を有する。複数の入力端子のうち六つの入力端子には、計器用変成部5−1からの三相分の電圧値および電流値が六本の信号線を介して入力される。残りの四つの入力端子には、計器用変成部5−2からの三相分の電圧値および電流値のうち四つの情報が4本の信号線を介して入力される。電力情報入力部101は、電力情報入力部101に入力された電力情報を制御部105に出力する。
【0020】
増設ユニット200−1は、例えば、電力情報入力部201−1(第2電力情報入力部の一例)、制御情報入出力部202−1(第2制御情報出力部の一例)、および通信部203−1(第2通信部の一例)を有する。
【0021】
電力情報入力部201−1は、複数の(例えば5つの)入力端子を有し、計器用変成部5−2からの三相分の電圧値および電流値のうち、電力情報入力部101に入力されない二つの情報と、計器用変成部5−3からの三相分の電圧値と電流値のうち三つの情報とが入力される。電力情報入力部201−1は、入力された電力情報を制御部205−1に出力する。
【0022】
増設ユニット200−2は、例えば、電力情報入力部201−2(第2電力情報入力部の一例)、制御情報入出力部202−2(第2制御情報出力部の一例)、および通信部203−2(第2通信部の一例)を有する。
【0023】
電力情報入力部201−2は、複数の(例えば五つの)入力端子を有し、計器用変成部5−3から電力情報入力部201−1に入力されない残りの三つの情報が入力され、二つの入力端子が使用されず残される。電力情報入力部201−2は、入力された電力情報を制御部205−2に出力する。なお、以下の説明においては、電力情報入力部201−1と、201−2とを区別しない場合には、単に「電力情報入力部201」と記載する。制御情報入出力部202−1と、202−2とを区別しない場合には、単に「制御情報入出力部202」と記載する。また、通信部203−1と、203−2とを区別しない場合には、単に「通信部203」と記載する。
【0024】
以下、各ユニットの制御情報入出力部について説明する。制御情報入出力部102は、遮断器4−1に対する制御情報を出力し、制御部105から入力された制御情報を遮断器4−1に出力する。制御情報には、通電状態の遮断器4を遮断状態とする遮断制御情報と、遮断状態の遮断器4を通電状態とする通電制御情報とが含まれる。また、制御情報入出力部102は、遮断器4−1の状態情報(通電状態か遮断状態かを示す情報)が入力される入力端子を有し、入力された遮断器4−1の状態情報を制御部105に出力する。
【0025】
制御情報入出力部202−1は、遮断器4−2に対する制御情報を出力し、通信部203−1から入力された制御情報を遮断器4−2に出力する。また、制御情報入出力部202−1は、遮断器4−2の状態情報が入力される入力端子を有し、入力された遮断器4−2の状態情報を通信部203−1に出力する。
【0026】
制御情報入出力部202−2は、遮断器4−3に対する制御情報を出力し、通信部203−2から入力された制御情報を遮断器4−3に出力する。また、制御情報入出力部202−2は、遮断器4−3の状態情報が入力される入力端子を有し、入力された遮断器4−3の状態情報を通信部203−2に出力する。
【0027】
通信部103は、増設ユニット200と通信を行う。通信部103は、計器用変成部5−2からの三相交流の電圧値および電流値のうち二つの電力情報と、計器用変成部5−3からの三相分の電圧値と電流値とのうち三つの電力情報を含む五つの電力情報を、増設ユニット200−1から受信する。また、通信部103は、計器用変成部5−3からの三相分の電圧値と電流値のうち、増設ユニット200−1に入力されない残りの三つの電力情報を、増設ユニット200−2から受信する。通信部103は、増設ユニット200−1、200−2から受信した電力情報を、制御部105に出力する。また、通信部103は、制御部105によって生成された遮断器4−2に対する制御信号を増設ユニット200−1に、遮断器4−3に対する制御信号を増設ユニット200−2に、それぞれ送信する。
【0028】
通信部203−1は、ベースユニット100と通信を行う。通信部203−1は、電力情報入力部201−1から入力された電力情報を、ベースユニット100に送信する。また、通信部203−1は、ベースユニット100から遮断器4−2に対する制御信号を受信し、受信した制御信号を制御情報入出力部202−1に出力する。
【0029】
通信部203−2は、ベースユニット100と通信を行う。通信部203−2は、電力情報入力部201−2から入力した電力情報を、ベースユニット100に送信する。また、通信部203−2は、ベースユニット100から遮断器4−3に対する制御信号を受信し、受信した制御信号を制御情報入出力部202−2に出力する。
【0030】
なお、通信部103と通信部203との間の通信は、例えば400[MHz]帯の特定小電力無線局や、2.4[GHz]帯の小電力データ通信システムなどの無線通信で行われてもよいし、光ファイバーケーブルなどを用いた有線通信で行われてもよい。
【0031】
図3は、実施形態における制御部105の構成図である。
図3に示すように、制御部105は、例えば適用ベイ識別部1051と保護機能部1052とを有する。
【0032】
適用ベイ識別部1051は、電力情報入力部101に入力された電力情報および通信部103を介して受信した増設ユニット200−1、200−2に入力された電力情報を、制御対象(ベイ)ごとに再編成する。例えば、適用ベイ識別部1051は、電力情報入力部101に入力された電力情報について、入力端子に応じて、どの遮断器4のどの相の電圧値または電流値であるかを判別する。また、例えば、増設ユニット200の通信部203からは、入力端子に応じた識別情報(どの遮断器4のどの相の電圧値または電流値であるかを示す情報)が付与された電力情報がベースユニット100に送信される。適用ベイ識別部1051は、電力情報に付与された識別情報に基づいて、通信部103から受信された電力情報が、どの遮断器4のどの相の電圧値または電流値であるかを判別する。そして、適用ベイ識別部1051は、制御対象(ベイ)の上流側と下流側の電力情報を抽出し、保護機能部1052に出力する。
【0033】
保護機能部1052は、適用ベイ識別部1051から入力されるベイ毎の電力情報に基づいて、各遮断器4を制御する制御情報を生成する。保護機能部1052には、適用ベイ識別部1051から、制御対象(ベイ)の上流側と下流側の三相分の電圧値と電流値がそれぞれ入力される。例えば、保護機能部1052は、上流側と下流側の同相における電流値を比較し、比較した電流値の差が予め設定された閾値を超える場合、例えば上流側の遮断器4を遮断状態とする制御信号を生成する。
【0034】
上流側と下流側における電流値の差が大きい場合、上流側と下流側との間の送電区間において、何らかの異常(例えば、落雷など)が発生したと考えられる。送電区間において何らかの異常が発生した場合に、送電区間の上流側の遮断器4を遮断状態することにより、事故が発生した箇所を電力系統システム1から切り離し、送電線SLにおける他の区間に事故が拡大しないように制御することができる。なお、保護機能部1052は、異常が発生した送電区間において、異常が発生した送電区間の上流側の遮断器のみを遮断状態としてもよいし、上流側と下流側の両方の遮断器4を遮断状態としてもよい。また、保護機能部1052は、異常が発生した相のみを遮断状態としてもよいし、異常が発生した送電区間における三相全てを遮断状態としてもよい。また、上記においては電流値を比較する場合について説明したが、電流値に加えて、或いは電流値に代えて電圧値を用いてもよい。
【0035】
そして、適用ベイ識別部1051は、保護機能部1052から入力された制御情報が、遮断器4−1に対する制御情報である場合、制御情報を制御情報入出力部102に出力する。また、適用ベイ識別部1051は、保護機能部1052から入力された制御情報が、遮断器4−2に対する制御情報である場合、制御情報を通信部103へ出力し、制御信号を増設ユニット200−1に送信する。また、適用ベイ識別部1051は、保護機能部1052から入力された制御情報が、遮断器4−3に対する制御情報である場合、制御情報を通信部103へ出力し、制御信号を増設ユニット200−2に送信する。
【0036】
図4は、実施形態の制御部105により行われる処理の流れを示すフローチャートの一例である。まず、制御部105は、電力情報入力部101に入力された電力情報を取得する(ステップS1)。また、制御部105は、通信部103を介して、電力情報入力部201に入力された電力情報を取得する(ステップS2)。これにより、制御部105は、複数の遮断器4のそれぞれに対する制御信号を生成するために必要な電力情報を取得する。そして、制御部105は、取得した電力情報に基づいて、制御対象である複数の遮断器4それぞれの制御信号を生成するために用いる電力情報を検出し、検出した電力情報を用いて制御信号を生成する(ステップS3)。そして制御部105は、制御情報入出力部102から出力させる遮断器4−1に対する制御信号を制御情報入出力部102に出力する。そして、制御情報入出力部102に入力された遮断器4−1に対する制御情報が制御情報入出力部102から遮断器4−1に出力される(ステップS4)。また、制御部105は、制御情報入出力部202−1から出力させる遮断器4−2に対する制御信号を通信部103に出力する。通信部103は、遮断器4−2に対する制御信号を通信部203−1に送信する。そして、通信部203−1に受信された遮断器4−2に対する制御信号が、制御情報入出力部202−1から遮断器4−2に出力される(ステップS5)。また、制御部105は、制御情報入出力部202−2から出力させる遮断器4−3に対する制御信号を通信部103に出力する。通信部103は、遮断器4−3に対する制御信号を通信部203−2に送信する。そして、通信部203−2に受信された遮断器4−3に対する制御信号が、制御情報入出力部202−2から遮断器4−3に出力される(ステップS6)。
【0037】
なお、送電線SLにおける変電設備には遮断器4の他に、断路器(不図示)がある。断路器は、送電線SL上に設けられ、断路器が設けられた箇所における電気的な接続を通電状態または遮断状態とするスイッチである。断路器は、遮断器4のように送電線SLに送電電流が流れている状態ではスイッチの開閉をすることができないものであり、遮断器4等の変電設備の点検や工事などにおいて、送電停止区間を設定する場合等に用いられる。断路器は、遮断器4と同様に、保護継電装置10によって制御される。
【0038】
以上説明したように、第1の実施形態の保護継電装置10においては、ある遮断器4に対応する制御信号を生成するために必要な電力情報が、ベースユニット100と増設ユニット200とに別々に入力された場合であっても、通信部103および通信部203を介して必要な電力情報を制御部105に集約させることができる。そして、制御部105は、集約された電力情報に基づいて、複数の遮断器4のそれぞれにおける制御信号を生成し、ユニット間通信によって制御信号の出力元のユニットに制御信号を送信する。これによって、本実施形態の保護継電装置10は、送電設備を統合的に監視して遮断器を制御することができる。
【0039】
従来の保護継電装置においては、ユニット間で通信する機能を有していないため、ある遮断器を制御しようとした場合、その制御情報を生成するために用いられる全ての電力情報を同一のユニットに入力させる必要があった。このため、従来の保護継電装置では、各ユニットにおいて十分な数の入力端子を備えている必要があり、使用されない入力端子が残るため、装置を効率良く使用することができない場合があった。入力される電力情報の数に合わせて入力端子の数を設定すればそのような問題は生じないが、現場ごとに装置のハードウェアを設計しなければならず、また入力される電力情報の増減にも対応するのが困難である。これに対し、本実施形態の保護継電装置10は、ユニット間通信によって電力情報の送受信を行うため、各ユニットにおいて入力端子を効率良く使用することができる。つまり、本実施形態の保護継電装置10は、仮想的に一群の入力端子とみなすことができ、無駄なく使用できる複数の入力端子に、複数の計器用変成部5の出力端子を端から順に詰めて接続することができるため、効率良く装置を運用することができる。
【0040】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態について説明する。
図5は、第2の実施形態の保護継電装置10Aの構成図である。以下の説明において、第1の実施形態と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。第2の実施形態の保護継電装置10Aでは、ベースユニット100Aに、HMI(Human Machine Interface)機能部106(入出力部の一例)が追加されている。HMI機能部106は、ベースユニット100Aおよび増設ユニット200に入力される電力情報を表示させる表示部を有する。また、HMI機能部106は、制御部105が制御信号を生成する場合に用いる制御基準など、ユーザによる設定を受け付けるための入力部を有する。制御基準とは、例えば、遮断器4を遮断状態とする判定を行う際に用いられる閾値である。制御部105は、ユーザがHMI機能部106に対して設定を行った場合、ユーザが設定した制御基準を用いて遮断器4に対する制御情報を生成する。
【0041】
以上説明したように、第2の実施形態の保護継電装置10Aによれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する他、作業員等がHMI機能部106を介して、制御情報の生成に必要な設定値を設定することができる。また、ベースユニット100AのみがHMI機能部106を有することにより、ベースユニット100A及び増設ユニット200のそれぞれに、逐一似通った設定値を設定する必要がなく、制御部105への設定値を一括して設定することができる。
【0042】
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態について説明する。
図6は、第3の実施形態の保護継電装置10Bの構成図である。以下の説明において、第1の実施形態の構成と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。第3の実施形態の保護継電装置10Bでは、ベースユニット100Bに増設入出力部107が、増設ユニット200B−1に増設入出力部207−1が、増設ユニット200B−2に増設入出力部207−2が、それぞれ追加されている。以下の説明において、増設入出力部207−1と増設入出力部207−2を区別しない場合には、単に「増設入出力部207」と記載する。なお、第3の実施形態においては、保護継電装置B10が備える全てのユニットが、増設入出力部107、207を有する必要はなく、保護継電装置10Bに含まれる少なくとも一つのユニットが増設入出力部を備えていればよい。
【0043】
増設入出力部107は、例えば、複数の端子を有する。増設入出力部107の端子は、入力端子として機能してもよいし、出力端子として機能してもよい共用端子である。増設入出力部107が有する各端子を入力端子として機能させるか出力端子として機能させるかを示す設定情報は、例えば、制御部105の図示しない記憶部に格納される。なお、増設入出力部107は、予めユニットの内部に組み込まれていてもよいし、ユニットとば別体であって、必要に応じてユニットに接続可能な外付け回路等であってもよい。
【0044】
増設入出力部107の端子が入力端子として機能する場合、増設入出力部107はその入力端子に入力された情報を制御部105に出力する。また、増設入出力部107が有する端子が出力端子として機能する場合、増設入出力部107は、制御部105から入力されたその出力端子から出力させる情報を、当該出力端子から出力させる。
【0045】
増設入出力部207の機能は、増設入出力部107と同様である。
【0046】
以上説明したように、第3の実施形態の保護継電装置10Bによれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する他、各ユニットの役割の変化に対して柔軟に対応することができる。
【0047】
(第4の実施形態)
次に第4の実施形態について説明する。
図7は、第4の実施形態の保護継電装置10Cの構成図である。以下の説明において、前述の構成と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。第4の実施形態の保護継電装置10Cでは、ベースユニット100Cに増設ユニット検出部108が追加されている。
【0048】
増設ユニット検出部108は、通信部103により受信される情報に基づき、保護継電装置10における増設ユニット200の個数を検出する。例えば、予め増設ユニット200のそれぞれには、固有のアドレスを設定する。そして、増設ユニット200のそれぞれは、その固有のアドレスを付して、電力情報などの情報をベースユニット100Cに送信する。すると、増設ユニット検出部108には、増設ユニット200の固有のアドレスが付された情報が、通信部203および通信部103を介して受信される。これにより、増設ユニット検出部108は、通信部103が受信した情報が、どの増設ユニット200から送信されたものかを検出することができ、保護継電装置10において増設ユニット200が増設された場合にも、増設された増設ユニット200を検出することができる。増設ユニット検出部108は、検出した増設された増設ユニット200に関する情報を、制御部105に出力する。
【0049】
以上説明したように、第4の実施形態の保護継電装置10Cによれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する他、増設ユニット200が増設された場合にも、特別な初期設定などをすることなく、増設された増設ユニット200を自動的に検出(プラグアンドプレイ)することができる。
【0050】
(第4の実施形態の変形例)
また、第4の実施形態の変形例として、増設ユニット検出部108は、第3の実施形態における外付け可能な増設入出力部107がユニットに接続された場合に、接続された増設入出力部107の入出力端子の数や構成、入出力信号の電圧範囲等の仕様などを、検出するようにしてもよい。これにより、本実施形態の保護継電装置10は、ユニットにおいて、増設入出力部107が接続された場合にも、特別な初期設定などをすることなく、接続された増設入出力部107を自動的に検出(プラグアンドプレイ)することができる。
【0051】
(第5の実施形態)
次に第5の実施形態について説明する。
図8は、第5の実施形態の保護継電装置10Dについて説明するための図である。以下の説明において、前述の構成と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。第5の実施形態の保護継電装置10Dでは、増設ユニット200D−1に保護機能部2502−1が、増設ユニット200D−2に保護機能部2502−2が、それぞれ追加されている。以下の説明において、保護機能部2502−1と保護機能部2502−2とを区別しない場合には、単に「保護機能部2502」と記載する。なお、保護継電装置10Dにおける全ての増設ユニット200Dが、保護機能部2502を有していなくともよく、保護継電装置10Dのうち少なくとも一つの増設ユニット200Dが、保護機能部2502を有していればよい。
【0052】
第5の実施形態では、保護機能部2502が、自身の増設ユニット200Dより出力させる制御信号を生成する。このため、第5の実施形態では、ユニット間において制御情報が送受信されない。第5の実施形態では、ユニット間において保護機能部2502が制御情報を生成するために必要な電力情報CTVTが送受信される。
【0053】
保護機能部2502−1は、例えば、遮断器4−2に対応する計器用変成部5−2により計測された電圧値および電流値に基づいて、遮断器4−2に対する制御情報を生成する。計器用変成部5−2により計測された電圧値および電流値の一部の電力情報CTVT2−2は、電力情報入力部201−1に入力される。しかし、残りの電力情報CTVT2−1は、電力情報入力部101に入力される。このため、保護機能部2502−1は、通信部203−1を介して、ベースユニット100から電力情報CTVT2−1を取得する。これにより、保護機能部2502−1は、遮断器4−2の制御情報を生成するために必要な電力情報CTVT2−1、CTVT2−2を取得することができ、これらに基づいて、遮断器4−2に対する制御情報を生成することができる。
【0054】
保護機能部2502−2は、例えば、遮断器4−3に対応する計器用変成部5−3により計測された電圧値および電流値に基づいて、遮断器4−3に対する制御情報を生成する。計器用変成部5−3により計測された電圧値および電流値の一部の電力情報CTVT3−2は、電力情報入力部201−2に入力される。しかし、残りの電力情報CTVT3−1は、電力情報入力部201−1に入力される。このため、保護機能部2502−1は、増設ユニット200D−1に入力された電力情報CTVT3−1を、ベースユニット100を経由して取得する。これにより、保護機能部2502−2は、遮断器4−3の制御情報を生成するために必要な電力情報CTVT3−1、CTVT3−2を取得することができ、これらに基づいて、遮断器4−3に対する制御情報を生成することができる。
【0055】
以上説明したように、第5の実施形態の保護継電装置10Dによれば、増設ユニット200Dの保護機能部2502は、自身の増設ユニット200Dの電力情報入力部201からの電力情報と、通信部203により他のユニットから受信した電力情報とに基づいて、自身と接続される遮断器4に対する制御情報を生成する。これにより、第1の実施形態と比較すると、保護機能部2502を設けるコストは生じるものの、ユニット間通信の負荷を低減することができる。
【0056】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、ある遮断器4に対応する制御信号を生成するために必要な電力情報が、ベースユニット100と増設ユニット200とに別々に入力された場合であっても、通信部103および通信部203を介して必要な電力情報を制御部105に集約させることができる。そして、制御部105は、集約された電力情報に基づいて、複数の遮断器4のそれぞれにおける制御信号を生成し、ユニット間通信によって制御信号の出力元のユニットに制御信号を送信する。これによって、送電設備を統合的に監視して遮断器を制御することができる。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。